特許第5832011号(P5832011)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】5832011
(24)【登録日】2015年11月6日
(45)【発行日】2015年12月16日
(54)【発明の名称】車両用フットレスト
(51)【国際特許分類】
   B60N 3/06 20060101AFI20151126BHJP
【FI】
   B60N3/06
【請求項の数】2
【全頁数】8
(21)【出願番号】特願2011-144788(P2011-144788)
(22)【出願日】2011年6月29日
(65)【公開番号】特開2013-10439(P2013-10439A)
(43)【公開日】2013年1月17日
【審査請求日】2014年5月12日
(73)【特許権者】
【識別番号】000005348
【氏名又は名称】富士重工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000383
【氏名又は名称】特許業務法人 エビス国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】吉川 満晴
(72)【発明者】
【氏名】伊澤 直
(72)【発明者】
【氏名】徳永 孝行
(72)【発明者】
【氏名】荻原 利明
【審査官】 佐々木 一浩
(56)【参考文献】
【文献】 特開2001−163107(JP,A)
【文献】 特開2001−001827(JP,A)
【文献】 特開2009−126337(JP,A)
【文献】 特開平9−86255(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B60N 3/06
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
運転者が足で踏む面である踏面が設けられた踏板部と、車室内の運転席の床面に固定され、前記踏板部を支持する支持部と、を有する車両用フットレストであって、
前記支持部は、車両に前方から作用する衝撃力によって、前記踏板部を、前記踏面の幅方向の角度を所定以上に変化させることなく、車両の幅方向一方側に移動させるとともに床面側に移動させ
前記支持部は、前記踏板部の幅方向両側をそれぞれ支持する一対の支持板を有し、
前記一対の支持板は、それぞれ運転席の床面から前記踏板部に向かって幅方向一方側に斜めに延びるように形成され、
前記支持部は、前記踏板部の前後方向両側にそれぞれ設けられ、
前記踏板部の後側に位置する前記支持部は、前記踏板部の前側に位置する前記支持部よりも前記踏板部を移動させる距離が大きくなるように構成されている
ことを特徴とする車両用フットレスト。
【請求項2】
前記支持部の幅方向一方側には、床面側に最大限移動した踏板部の踏面と床面との間に生じる段差部に傾斜面を形成するための傾斜部が設けられている
ことを特徴とする請求項1に記載の車両用フットレスト。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、例えば、クラッチペダルの操作を行っていない運転者の左足を載せるために、運転席の床面に設けられた車両用フットレストに関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、この種の車両用フットレストとしては、運転者が足で踏む面である踏面が設けられ、運転席の左側の床面に、取り付けるようにしたものが知られている(例えば、特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2001−1827号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
前記車両用フットレストを有する車両では、フルラップ衝突やオフセット衝突等、車両に前方から衝撃力が加わると、フットレストが変形し、踏面と床面との間の段差を小さくすることで運転者の足の捩じれを防止して下肢の傷害値を低減し、車両の安全性の向上を図るようにしている。
【0005】
しかし、前記車両においては、衝撃力によって踏面と床面との間の段差を小さくすることはできるが、フットレストの足が接触する面が幅方向内側に下り傾斜となる傾斜面が形成される。この場合、傾斜面に足が押し付けられると、運転者の足に対して捩じり方向に力が作用してしまい、下肢の傷害値を有効に低減することができなくなるおそれがある。
【0006】
本発明の目的とするところは、車両に前方から衝撃力が加わる場合において、運転者の足に対して捩じり方向の力が作用することを抑制し、下肢の傷害値を低減することのできる車両用フットレストを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明は、前記目的を達成するために、運転者が足で踏む面である踏面が設けられた踏板部と、車室内の運転席の床面に固定され、前記踏板部を支持する支持部と、を有する車両用フットレストであって、前記支持部は、車両に前方から作用する衝撃力によって、前記踏板部を、前記踏面の幅方向の角度を所定以上に変化させることなく、車両の幅方向一方側に移動させるとともに床面側に移動させ、前記支持部は、前記踏板部の幅方向両側をそれぞれ支持する一対の支持板を有し、前記一対の支持板は、それぞれ運転席の床面から前記踏板部に向かって幅方向一方側に斜めに延びるように形成され、前記支持部は、前記踏板部の前後方向両側にそれぞれ設けられ、前記踏板部の後側に位置する前記支持部は、前記踏板部の前側に位置する前記支持部よりも前記踏板部を移動させる距離が大きくなるように構成されている
【0008】
これにより、車両に前方から衝撃力が加わる場合に、踏面の幅方向の角度が所定角度以上の傾斜角度となることはなく、さらに踏板部の踏面と床面との間の段差を小さくすることが可能となる。
【発明の効果】
【0009】
本発明によれば、車両に前方から衝撃力が加わる場合に、踏面の幅方向の角度が所定角度以上の傾斜角度となることはなく、さらに踏板部の踏面と床面との間の段差を小さくすることが可能となるので、運転者の足に対して捩じり方向の力が作用することを抑制でき、運転者の下肢傷害値を低減して車両の安全性を向上させることが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
図1】本発明の一実施形態を示す車両の運転席の下部の前方を示す斜視図である。
図2】フットレストを車両の後方から見た図である。
図3】フットレストの斜視図である。
図4】車両の前方から衝撃力が加わる場合の運転者の足の挙動を側方から見た図である。
図5】車両の前方から衝撃力が加わる場合の運転者の足の挙動を後方から見た図である。
図6】車両の前方から衝撃力が加わる場合の運転者の足の挙動を後方から見た図である。
図7】車両の前方から衝撃力が加わる場合の運転者の足の挙動を後方から見た図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
図1乃至図7は、本発明の一実施形態を示すものである。
【0012】
本発明の車両用フットレストを備えた車両は、車室内の左側に運転席1が設けられている。運転席1の下部の前方には、図1に示すように、車幅方向の右側にアクセルペダル10が設けられ、アクセルペダル10の左側にブレーキペダル20が設けられている。また、運転席1の左側の床面2には、運転者の左足Fを載せるためのフットレスト30が設けられている。
【0013】
フットレスト30は、合成樹脂製の部材からなり、図2および図3に示すように、左足Fで踏まれる踏板部31と、踏板部31の前側および後側のそれぞれに設けられ、踏板部31を運転席1の床面2に支持するための支持部32と、を有している。
【0014】
踏板部31は、運転席1の前方下部において前方に向かって斜め上方に延びる板状に形成されている。また、踏板部31には、足の裏面が接触する踏面31aが設けられている。
【0015】
各支持部32は、幅方向に延びるように設けられ、運転席1の床面2に固定される固定板32aと、固定板32aの左右両端からそれぞれ上方に延びるように設けられ、それぞれ踏板部31の幅方向両端側に接続された支持板32bと、を有している。固定板32aは、ネジ止めやボルトとナット等によって床面2に固定される。
【0016】
各支持板32bは、固定板32aの左右両端から踏板部31に向かってそれぞれ右斜め上方に延びるように形成されている。各支持板32bは、それぞれ床面2に対して第1角度θ1および第2角度θ2を成している。第1角度θ1と第2角度θ2は、互いに同一の角度であるか、または、第1角度θ1よりも第2角度θ2が大きく形成されている(θ1<θ2)ことが望ましい。各支持板32は、踏面31aと床面2との間で圧縮する方向に力が作用すると、床面2に対して踏板部31側の端部が右側に倒れる方向に回転し、踏板部31を右側に移動させる。このとき、踏板部31は、第1角度θ1と第2角度θ2が同一の場合に、踏面31aの幅方向の角度を変化させることなく、右側に移動するとともに、床面2側に向かって移動する。また、踏板部31は、第1角度θ1よりも第2角度θ2が大きい場合に、踏面31aの幅方向の角度を左側に下り傾斜となる方向に回転して、右側に移動するとともに、床面2側に移動する。踏板部31は、踏面31aの幅方向の角度を、車両に前方から加わる衝撃力によって運転者の足に傷害が生じる角度である所定角度以上に変化させることなく、右側に移動するとともに、床面2側に向かって移動することが必要である。
【0017】
また、後側に位置する支持部32は、踏板部31が最大限右側且つ床面2側に移動した状態における踏面31aと床面2との間に生じる段差部分を傾斜面とするための傾斜部32cを有している。傾斜部32cは、板状であり、固定板32aの右端部から右側に延びるとともに、先端側が屈曲されている。また、傾斜部32cの先端側には、踏板部31が最大限右側且つ床面2側に移動した状態で踏面31aの右側において踏面31aと同一の高さから右方向に向かって下り傾斜となる傾斜面32dが形成されている。
【0018】
以上のように構成された車両用フットレストにおいて、フルラップ衝突やオフセット衝突によって走行中の車両に前方から衝撃力が加わる場合における運転者の左足Fの挙動を図4乃至図7を用いて説明する。
【0019】
走行中の車両に前方から衝撃力が加わると、車両が急激に減速することによって運転者が前方に移動するとともに、車両の変形によって前壁面が後方(運転者側)に向かって移動する。
【0020】
前方に移動する運転者の足Fは、図4に示すように、フットレスト30を踏み込んだ状態となり、足Fのつま先側に位置する前側の支持部32を変形させると同時に、図5に示すように、足Fのかかと側に位置する後側の支持部32を変形させる。このとき、踏板部31は、各支持部32の変形によって踏面31aの幅方向の角度を所定以上に変化させることなく右方向に移動する。このため、運転者の足Fは、足Fが車両の幅方向に捩じられることなく踏板部31と共に右方向に移動する。車両に加わる衝撃力は、少なくとも一部が前後両側の支持部32の変形によって吸収される。
【0021】
踏板部31が右方向且つ床面2側に完全に移動すると、踏板部31を踏んだ状態である足Fは、図6に示すように、踏面31a上を右方向に移動する。踏面31a上を移動して踏面31aから外れた位置に移動した足Fは、図7に示すように、傾斜部32cの傾斜面32d上を移動し、フットレスト30の右側の床面2上まで移動する。車両に加わる衝撃力は、傾斜部32cの変形によっても少なくとも一部が吸収される。
【0022】
このように、本実施形態の車両用フットレストによれば、車両に前方から衝撃力が加わる場合に、踏板部31を踏面31aの幅方向の角度を所定以上に変化させることなく、右方向に移動させるとともに、床面2側に移動させている。これにより、車両に前方から衝撃力が加わる場合に、踏面31aの幅方向の角度が所定角度以上の傾斜角度となることはなく、踏面31aと床面2との間の段差を小さくすることが可能となる。したがって、運転者の足Fには、捩じり方向の力が作用することを抑制でき、運転者の下肢傷害値を低減して車両の安全性を向上させることが可能となる。
【0023】
また、支持部32は、踏板部31の幅方向両側をそれぞれ支持する一対の支持板32bを有し、一対の支持板32bは、それぞれ運転席1の床面2から踏板部31に向かって右側に斜め上方に延びるように形成されている。これにより、簡単な構造によって踏板部31を踏面31aの幅方向の角度を所定範囲内の角度に保持して、右方向に移動させるとともに、床面2側に移動させることが可能となり、製造コストを低減することが可能となる。
【0024】
また、支持部32は、踏板部31の前後両側にそれぞれ設けられている。これにより、運転者の足Fのつま先側およびかかと側のそれぞれを移動させることが可能となり、足Fの移動を最適な状態で行うことが可能となる。
【0025】
また、踏板部31の後側に位置する支持部32は、踏板部31の前側に位置する支持部32よりも踏板部31を移動させる距離が大きくなるように構成されている。これにより、運転者の足Fのかかと側の作用する衝撃力をより多く吸収することが可能となり、より下肢傷害値の低減を図ることが可能となる。
【0026】
また、踏板部31の右側には、床面2側に移動した踏板部31の踏面31aと床面2との間に生じる段差部分に傾斜面32dを形成するための傾斜部32cが設けられている。これにより、踏面31aと床面2との間に生じる段差を運転者の足Fが超える場合に傾斜面32d上を通過させることができ、足Fの捩じり方向の力が生じることをより小さくすることで下肢傷害値の低減を図ることが可能となる。
【0027】
尚、前記実施形態では、運転者の左足Fを右側に移動させるようにしたものを示したが、これに限られるものではない。例えば、車両に前方から衝撃が作用する場合に、フットレスト30の左側に足Fが移動可能な空間を確保できる車両の場合には、運転者の左足Fを左側に移動させるようにしてもよい。また、運転者の左足Fに限られず、右足用のフットレストに適用することも可能である。
【0028】
また、前記実施形態では、車室内の左側に運転席1が設けられた車両に対して本発明を適用したものを示したが、これに限られるものではない。車室内の右側に運転席1が設けられた車両に本発明を適用した場合においても、足Fが移動可能な空間を確保できる幅方向一方に足Fを移動させるようにすればよい。
【0029】
また、前記実施形態では、フットレスト30を合成樹脂製の部材から形成するようにしたものを示したが、これに限られるものではない。フットレストに適用可能な材質としては、所定の強度を有し、所定以上の衝撃力が加わった場合に変形可能な材質の部材であればよい。
【0030】
また、前記実施形態では、踏板部31および支持部32を一体に形成するようにしたものを示したが、踏板部31および支持部32をそれぞれ別部品として形成し、互いにボルトとナット等の締結部材によって締結するようにしてもよい。
【符号の説明】
【0031】
1…運転席、2…床面、30…フットレスト、31…踏板部、31a…踏面、32…支持部、32b…支持板、32c…傾斜、32d…傾斜面。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7