(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明を実施するための形態】
【0014】
本発明の方法は、光触媒、貴金属もしくは貴金属酸化物、またはコバルト化合物を含む触媒、水、および酸化剤存在下、放射線照射により芳香族化合物を部分酸化させて芳香族水酸化物を生成する水酸化工程を備える芳香族水酸化物製造方法に関する。以下、本発明の好適な実施形態について詳細に説明する。なお、以下に示す実施形態は、本発明の単なる一例であって、当業者であれば、適宜設計変更可能である。
【0015】
(光触媒)
本発明で使用する光触媒は、紫外光以上のエネルギーで励起できる光触媒であれば使用可能である。好ましくは、酸化チタン、酸化タングステン、酸化ニオブ、酸化ジルコニウム、酸化スズ、酸化亜鉛、およびこれらの混合物を使用できる。
【0016】
本発明で使用する光触媒は粒子であってもよい。光触媒の粒径は、特に制限はしないが、50μm以下、詳細には1μm以下、より詳細には、粒径50nm以下のものが活性が高く好ましい。なお、光触媒の粒径は、電子顕微鏡により測定することができる。
【0017】
本発明で使用する光触媒は反応液中の濃度として、1重量%以下、詳細には0.1重量%以下で用いることができる。
【0018】
上記光触媒は、助触媒として白金、パラジウム、ルテニウム、ロジウム、金、銀、銅、ニッケル、コバルト等を担持してもよい。助触媒の担持方法は、特に制限されないが、光触媒の粉末に助触媒の金属種を含む金属塩溶液を含浸させて、光触媒上に金属ナノ粒子を形成させてもよい。また、光触媒粉末を助触媒を含む水溶液に懸濁し、紫外線を当てながら撹拌を行い、光電着により助触媒を光触媒に担持させてもよい。
【0019】
(貴金属または貴金属酸化物触媒)
本発明で使用する貴金属または貴金属酸化物部分酸化触媒は、周期表第8類〜第11類の貴金属の金属単体、酸化物、およびそれらの混合物を用いることができる。好ましくは、金、銀、白金、パラジウム、ルテニウム、ロジウム、イリジウム、インジウム等の金属単体、酸化物、およびそれらの混合物からなる群から選択される。さらに好ましくは、金、銀、または白金の金属単体、酸化物、およびそれらの混合物である。
【0020】
本発明で使用する貴金属または貴金属酸化物触媒は粒子であってもよい。貴金属または貴金属酸化物粒子の粒径は、特に制限はしないが、50nm以下、詳細には30nm以下、より詳細には、粒径10nm以下のものが活性が高く好ましい。なお、貴金属粒子または貴金属酸化物粒子の粒径は、電子顕微鏡または一酸化炭素および水素吸着法により測定することができる。
【0021】
さらに、本発明で使用する貴金属粒子および貴金属酸化物粒子部分酸化触媒は、貴金属粒子および貴金属酸化物粒子単独でも利用可能であるが、担体に担持してもよい。担体に担持することにより、操作性が向上し、より広範囲の用途に利用することができる。
【0022】
本発明にかかる貴金属または貴金属酸化物粒子の担体は、特に制限されるものではないが、比表面積が大きい物質を使用することが好ましい。比表面積が大きいと、貴金属ナノ粒子の担持量を多くしても、粒子間の距離が大きいために、粒子同士が結合して粒子径が増大することを防ぐことができる。当該担体は比表面積が50m
2/g以上であることが好ましく、100m
2/g以上であることがより好ましい。担体の形状は特に制限されないが、以下に詳述する利用形態に応じて異なってもよい。
【0023】
本発明の部分酸化触媒の担体としては、シリカ、アルミナ、シリカアルミナ、シリカチタニア、ゼオライト、酸化チタン、酸化鉄、酸化銅、メソポーラスシリカ、メソポーラスチタニア、酸化タングステン、酸化ニオブ、窒化炭素、多孔質シリカ、多孔質チタニア、ジルコニア、セリア、活性炭、カーボンブラック、カーボンナノチューブおよびカーボンナノファイバー等の無機化合物が利用できる。さらに、これらの担体を構成する主成分に他の元素を付加した化合物も利用できる。
【0024】
担体に担持される貴金属粒子または貴金属酸化物粒子の量は、特に制限されないが、例えば、酸化チタンに担持された金粒子の量は、酸化チタンを基準として、0.01 〜10.0重量%であることが好ましく、0.1〜2.0重量%であることがより好ましい。また、ゼオライトに担持された白金の量は、ゼオライトを基準として0.01〜10.0 重量%であることが好ましく、0.1〜2.0重量%であることがより好ましい。
【0025】
また、本発明において、貴金属または貴金属酸化物を含む触媒は、貴金属または貴金属酸化物として、反応液中に、1重量%以下、詳細には0.1重量%以下、より詳細には0.01重量%以下の濃度で用いることができる。
【0026】
貴金属粒子触媒の製造方法は、特に制限はされないが、通常の還元方法等で製造することができる(例えば、非特許文献1参照)。例えば、貴金属塩水溶液に還元剤を添加して還元する方法、貴金属水溶液にアルコール等の弱い還元剤を添加して還流しながら還元する方法等がある。この時、貴金属水溶液にポリビニルピロリドン等の分散剤を添加してもよい。また、これらの製造した貴金属粒子を担体に担持させて貴金属粒子担持触媒として使用することもできる。さらには担体上に貴金属イオンを含浸後、または、水酸化物として付着後、還元処理により貴金属ナノ粒子にして、貴金属ナノ粒子触媒とすることもできる。
【0027】
本発明で使用する貴金属酸化物粒子触媒は、特に制限されないが、通常の方法で製造することができる。例えば、担体上に貴金属イオンを含浸させた後、空気中加熱処理により酸化して貴金属酸化物粒子を担体上に形成してもよい。また、貴金属粒子を担体上に形成し、その後、空気中加熱処理により貴金属酸化物粒子を担体上に形成してもよい。
【0028】
(コバルト触媒)
本発明で使用するコバルト化合物は、二価および三価のコバルトを含む化合物であれば利用することができるが、好ましくは酸化コバルト(II,III)または酸化コバルト(II,III)を含むコバルト化合物を使用することができる。
【0029】
本発明で使用する酸化コバルト(II,III)は、特に制限はされないが、市販品を購入しても良く、また硝酸コバルト等の水溶性コバルト化合物から製造してもよい。また、本発明で使用する酸化コバルト(II,III)は、比表面積が50m
2/g以上であることが好ましい。
【0030】
本発明で使用する酸化コバルト触媒は、反応液中の濃度として、1重量%以下、好ましくは0.1重量%以下で用いることができる。
【0031】
(均一触媒)
他の実施態様において、本発明は、固体触媒を使った不均一反応のほか、溶媒に可溶なコバルト化合物または貴金属化合物を使った均一反応であってもよい。本発明の均一系触媒は、水または有機溶媒に溶解する化合物であればよい。均一系触媒としては、コバルト化合物、パラジウム化合物、ルテニウム化合物、ロジウム化合物、およびこれらの混合物を使用できる。詳細には、酢酸コバルト、硝酸コバルト、硝酸パラジウム等の金属塩、テトラアンミンパラジウム硝酸塩、テトラアンミン白金(II)等の金属錯体を用いることができる
【0032】
ここで、反応溶液中の触媒の濃度は、反応溶液の重さを基準に金属または貴金属として1重量%以下、好ましくは0.1重量%以下である。
【0033】
(酸化剤)
本発明では、酸化剤から芳香族化合物の部分酸化に必要な酸素が供給される。酸化剤として、分子状酸素、過酸化水素、亜酸化窒素が利用可能である。これらの中でも、分解後に有害な副生物を生成しない過酸化水素、分子状酸素が好ましい。また、これらの酸化剤は、反応溶液中の芳香族化合物と等モル当量以上の含有量であることが好ましい。一方、酸化剤の添加量は、経済的観点から、芳香族化合物の10モル当量程度までが好ましい。
【0034】
(反応溶媒)
本発明は反応溶媒に水を含む。水は酸化剤として反応に寄与してもよい。また、過酸化水素および水等の水溶性の化合物を酸化剤として使用する場合、酸化剤がベンゼン等の芳香族化合物に溶解しないため、相溶性の溶媒をさらに添加してもよい。相溶性溶媒の種類は、特に制限はされないが、酢酸、アセトニトリル、テトラヒドロフラン、ジメチルスルホキシド、スルホラン等が利用できる。
【0035】
(芳香族化合物)
本発明に用いられる芳香族化合物は、分子内に少なくとも一つのベンゼン環を有し、当該ベンゼン環に水酸基を導入可能な未置換部位を有するベンゼン系芳香族化合物を包含している。ここに、ベンゼン系芳香族化合物は、単一のベンゼン環を有する芳香族系化合物(以下、単環式芳香族化合物という。)と、二以上のベンゼン環を多価基を介して連結された芳香族化合物(以下、多価式芳香族化合物という。)と二以上のベンゼン環を縮合状態で有する芳香族系化合物(以下、縮合環式芳香族化合物という。)と二以上のベンゼン環が直接連結した芳香族系化合物(以下、環集合式芳香族化合物という。)とを包含している。単環式芳香族化合物としては、ベンゼンの他、一置換ベンゼン、二置換ベンゼン、多置換ベンゼンを挙げることができる。置換基としては、特に限定しないで、各種官能基を含む置換基で置換されていてもよい。アルキル基、アルケニル基、アルキニル基などの各種の直鎖状及び分岐状の飽和あるいは不飽和炭化水素基、シクロアルキル基などの環状の飽和及び不飽和炭化水素基、さらに、ヒドロキシ基、カルボニル基、オキシ基、カルボキシル基、エステル基などの含酸素官能基を有する置換基、シアノ基、イミド基などの含窒素官能基を有する置換基などであってもよい。また、複素環系官能基を有する置換であってもよい。これらの置換基としては、メチル基、エチル基、プロピル基、ブチル基、カルボキシル基、ニトロ基、アミノ基、シアノ基、アセチル基、アルコキシ基、ヒドロキシル基、アセトキシ基、ハロゲン元素、チオアルコキシ基等を挙げることができる。
【0036】
このような単環式芳香族化合物としては、ベンゼン、トルエン、エチルベンゼン、スチレン、キシレン、プロピルベンゼン、ブチルベンゼン、クメン、シメン、安息香酸、ニトロベンゼン、アニリン、ベンゾニトリル、アセトフェノン、アニソール、フェノール、カテコール、レゾルシノール、ハイドロキノン、酢酸フェニル、フルオロベンゼン、クロロベンゼン、ブロモベンゼン、ヨードベンゼン、クレゾール、クロロトルエン、塩化ベンジル、ニトロトルエン、フタル酸、無水フタル酸、イソフタル酸、テレフタル酸、ベンズアルデヒド、ベンゼンスルホン酸、およびトルエンスルホン酸等を挙げることができる。なかでも、ベンゼン、アルキルベンゼン、芳香族ヒドロキシ化合物、アニリン、アニソール、クロロベンゼンなどの電子供与基をもつベンゼン誘導体を好ましく用いることができ、より好ましくはベンゼンおよびアルキルベンゼンである。
【0037】
なお、単環式芳香族化合物は、ベンゼン以外の他の共役環を含む炭化水素環や複素環をベンゼン環に縮合してあるいは連結して有する化合物も含まれる。このような単環式芳香族化合物としては、インデン、ベンゾチオフェン、ベンゾフラン、ベンゾピラン、キノサン等を挙げることができる。
【0038】
多価式芳香族化合物は、オキシ基、アルキレン基、イミノ基などの二価以上の多価基を介してベンゼン環あるいはベンゼン環を含むユニットが連結された化合物である。多価芳香族化合物には、ベンゼン環を含むユニットを単量体単位として直鎖状あるいは分枝状に連結された高分子化合物も含まれる。多価式芳香族化合物は置換基を有していてもよく、置換基は、単環式芳香族化合物におけるのと同様の各種置換基を有することができる。例えば、このような多価式芳香族化合物としては、ジフェニルエーテル、ジベンジルエーテル、ジベンジルケトン、ジベンジル等を挙げることができる。
【0039】
多環式芳香族化合物としては、縮合環系芳香族化合物と環集合系芳香族化合物とを挙げることができる。縮合環系芳香族化合物としては、ナフタレン、アントラセン、トリフェニリン等あるいはこれらのベンゼン環において1あるいは2以上の置換基を有する化合物を挙げることができる。置換基は、単環式芳香族化合物におけるのと同様の各種置換基を有することができる。このような縮合環系芳香族化合物としては、例えば、ナフタレン、ナフトール、ジヒドロキシナフタレン、アントラセン、トリフェニリン、ベンゾフェナントレン等を挙げることができる。
【0040】
また、環集合系芳香族化合物としては、分子内の少なくとも二つのベンゼン環が共有原子を持つことなく結合を介して連結されている化合物である。例えば、ビフェニル、テルフェニルなどのベンゼン環が直鎖状に連結した環集合系芳香族化合物、分岐して連結した環集合系芳香族化合物及びこれらのベンゼン環において1あるいは2以上の置換基を有する化合物を挙げることができる。置換基は、単環式芳香族化合物におけるのと同様の各種置換基を有することができる。このような縮合環系芳香族化合物としては、例えば、ビフェニル、テレフェニル、スチルベン等を挙げることができる。
【0041】
なお、本発明の芳香族化合物は、水酸基を導入可能な未置換部位を有する少なくとも一つのベンゼン環あるいは非ベンゼン系芳香族環を有していれば足り、上記のカテゴリーに分類されないあるいは2つ以上のカテゴリーに同時に分類される化合物も包含している。
【0042】
本発明における典型的な芳香族化合物としては、ベンゼン、フェノール、トルエンおよびナフタレンを用いることができる。なお、これらの芳香族化合物は、置換基を有していてもよく、置換基を有していなくてもよい。
【0043】
(その他の成分)
なお、本発明の方法には、本発明の目的を妨げない範囲で他の成分を含ませることができる。例えば、無機酸や無機アルカリなど、副生成物の生成あるいは増加に関与しない範囲で含ませることもできる。また、反応溶液中での触媒粒子の分散性を向上させるために、分散剤を添加してもよい。
【0044】
(芳香族ヒドロキシ化合物)
本発明の方法により得られる芳香族ヒドロキシ化合物とは、芳香族化合物のベンゼン環を形成する炭素に直接ヒドロキシル基が少なくとも1個結合した化合物である。本発明方法に則していえば、前記芳香族化合物のベンゼン環を形成する炭素における炭素−水素結合の少なくとも1つが炭素−ヒドロキシ結合に変換された化合物である。したがって、分子中に、芳香族環の炭素原子に結合した水酸基を一つのみならず、2以上有する芳香族ヒドロキシ化合物も含まれる。例えば、ベンゼンからは、フェノール、カテコール、レソルシノール、ヒドロキノン、レゾルシン等が生成し、ナフタレンからは、ナフトール、ジヒドロキシナフタレン等が生成し、トルエンからは、モノ及びポリヒドロキシトルエン等が生成する。
【0045】
(放射線照射による水酸化工程)
次に、本発明のプロセスについて説明する。本発明では、芳香族化合物、水、酸化剤、および光触媒、貴金属粒子もしくは貴金属酸化物粒子、またはコバルト化合物粒子を含む部分酸化触媒を含む反応溶液に、放射線を照射することにより、芳香族化合物の水酸化を行うことができる。
【0046】
本発明において、「放射線」とは電離性を有する高いエネルギーを持った粒子線または電磁波を指す。詳細には、透過性が高く、化合物との反応性が高いためガンマ線および電子線が好ましい。
【0047】
放射線にガンマ線を使用する場合、透過力が非常に高いので、芳香族化合物等を含む反応溶液をガラス瓶や金属容器に封入して反応させることができる。
【0048】
一方、放射線に電子線を使用する場合、透過できる距離が物質の密度に反比例するため、容器の壁が厚すぎると電子線が透過できず反応が進行しない。したがって、芳香族化合物等を含む反応溶液をガラス瓶や金属容器に封入して反応させる場合、容器の壁を十分に透過できる2MeV以上の加速電圧で照射する必要がある。照射線量は、30kGy以上が好ましい。
【0049】
(容器を使用したバッチ反応による水酸化工程)
本発明の一実施態様において、芳香族化合物、水、酸化剤、および光触媒、貴金属もしくは貴金属酸化物、またはコバルト化合物粒子を含む部分酸化触媒を含む反応溶液を容器に封入し、放射線を照射することにより、芳香族化合物の水酸化を行うことができる。光触媒、貴金属もしくは貴金属酸化物粒子、またはコバルト化合物粒子単独を反応溶液に添加して使用してもよい。また、貴金属粒子または貴金属酸化物粒子を担体上に固定した触媒を反応溶液に懸濁して使用してもよい。この時、粒径100μm以下の担体を使用することが好ましい。
【0050】
(流通法による水酸化工程)
本発明の別の実施態様おいて、芳香族化合物、水、および酸化剤を含む反応溶液を、光触媒、貴金属もしくは貴金属酸化物、またはコバルト化合物粒子を含む触媒を充填したカラムを流通させながら放射線を照射することにより、芳香族化合物の水酸化を行うことができる。このとき、直径1μmから100μmの光触媒、直径1μmから100μmの担体上に貴金属もしくは貴金属酸化物を担持させた触媒、または直径1μmから100μmのコバルト化合物粒子を利用することが好ましい。カラムの直径は制限されないが、ガンマ線を利用する場合は、透過性が高いので、直径を大きくすることにより処理量を多くすることができる。また、高エネルギー電子線(200keV以上)を利用する場合は、金属製のキャピラリーカラムまたは金属カラムが好ましい。金属管の肉厚は、電子線が透過できる厚さにする必要がある。
【0051】
(マイクロリアクター流路による水酸化工程)
低エネルギー電子線(200keV未満)を利用する場合は、電子線の透過力が非常に弱いため、深さ100μm未満のマイクロリアクター流路で反応させることが好ましい。
【0052】
本発明の一実施態様において、光触媒または貴金属もしくは貴金属酸化物を含む触媒は反応溶液に添加してもよい。触媒を反応液に添加して、マイクロリアクター流路を流通させる場合、当該触媒として、光触媒、貴金属粒子もしくは貴金属酸化物粒子、またはコバルト化合物粒子触媒単独、あるいは、光触媒、貴金属粒子または貴金属酸化物粒子触媒を粒径20μm以下の担体上に固定化した触媒を使用できる。反応後の触媒は、ろ過または遠心分離等により、反応液から分離して、再利用することもできる。
【0053】
また、溶媒に可溶なコバルト化合物または貴金属化合物を反応溶液に添加して、マイクロリアクター流路を流通させながら、電子線を照射してもよい。反応後の触媒は、蒸留または抽出により生成物および副生物を除去した後に再利用することもできる。
【0054】
さらに、光触媒または貴金属もしくは貴金属酸化物を担体上に固定した触媒、またはコバルト化合物粒子をマイクロリアクター流路の電子線透過領域の壁面に固定し、反応溶液を流通させてもよい。この場合の担体は、粒径10μm以下の粒子状が好ましいが、特に制限されるものではない。マイクロリアクター流路への触媒の固定化は、特に制限されないが、無機バインダーを使用して固定化することができる。無機バインダーとして、アルミナゾル、シリカゾル等のセラミックスゾルが好ましい。セラミックスゾルと触媒を混合し、流路表面に塗布後、200℃以上の温度で加熱して、固定化することができる。加熱処理温度は、無機バインダーが固着する温度を選択する必要が有る。また、触媒によっては、無機バインダーでマイクロリアクター流路に固定化後、さらに、還元雰囲気で貴金属粒子を還元処理してもよい。
【0055】
本発明において好適に使用されるマイクロリアクター反応装置の一例を
図1に示す。
図1において、マイクロリアクター反応装置は、ポンプ部1aおよび1b、マイクロリアクター流路部2、電子線照射部3、ペルチェ温度制御部4、流路カバー5、流路カバー押さえ6からなる。ポンプ部1aおよび1bから溶媒、ベンゼン、過酸化水素をマイクロリアクター流路部2に導入する。このとき、マイクロリアクター流路の入り口をY字型にして、溶媒およびベンゼンと過酸化水素とを別々の流路から導入してもよい。
【0056】
流路カバー5は、低エネルギー電子線が透過できるように10μm以下の金属薄膜が好ましい。金属の種類は、チタン、ベリリウム、アルミニウム、ステンレス等が使用できるが、特に制限されるものではない。耐放射線性が強ければ、カプトン等の樹脂を使用しても良い。ただし、樹脂の場合は、定期的に電子線のダメージを確認する必要がある。
【0057】
ペルチェ型温度制御部4は、電子線照射によりマイクロリアクター流路部2の温度が上昇するのを抑えるため、または、特定の反応温度に制御するために使用される。電子線照射部3から照射される電子線は、直線状でも良いし、放射状に拡散してもよい。また、X,Yステージ上にペルチェ型温度制御部4およびマイクロリアクター流路部2を設置し、X,Yステージを動かすことにより、マイクロリアクター流路部2全体に電子線が照射できるようにしてもよい。
【0058】
このような本発明のプロセスを用いた場合に収率及び選択率が向上する理由は定かではないが、本発明者らは以下のように推察する。
【0059】
ベンゼンと過酸化水素との反応によりフェノールを製造する場合を例にとると、一般的には、以下の工程を経由すると考えられる。
【0060】
(第1工程)
放射線の照射によりベンゼンおよび過酸化水素が活性化され、ベンゼンラジカルおよび水酸基ラジカル(OHラジカル)が生成する。
【0061】
(第2工程)
生成したベンゼンラジカルおよびOHラジカルが反応して、フェノールが生成する。
【0062】
(第3工程:副反応)
ベンゼンラジカル同士が2量化して、ビフェニルが生成する。
【0063】
一方、本発明のプロセスにおいて光触媒、貴金属粒子もしくは貴金属酸化物粒子、またはコバルト化合物粒子部分酸化触媒の役割は定かではないが、以下のように、過酸化水素の活性によるOHラジカルの生成およびベンゼンラジカルとOHラジカルの反応に寄与するものと考えられる。
【0064】
(第1工程−2)
光触媒、貴金属触媒、またはコバルト触媒上で過酸化水素が活性化され、水酸基ラジカル(OHラジカル)が生成する。
【0065】
(第2工程−2)
OHラジカルとベンゼンとの反応によるヒドロキシシクロヘキサジエニルラジカルが生成し、このヒドロキシシクロヘキサジエニルラジカルからフェノールが生成される。
【0066】
その結果、本発明では、ビフェニルの生成が抑制され、フェノールが高収率で得ることができる。
【実施例】
【0067】
以下、実施例及び比較例に基づいて本発明をより具体的に説明するが、本発明は以下の実施例に限定されるものではない。
【0068】
(バッチ反応によるベンゼンの水酸化試験)
実施例1
(金粒子担持触媒の調製)
酸化チタン(石原産業製ST-01)10.0gに、酸化チタンの重量を基準に金として0.5重量%含有するように塩化金酸水溶液を含浸させた。乾燥後、得られた混合物10gを10重量%炭酸水素ナトリウム水溶液1Lに入れて、30分以上攪拌した。このときの懸濁液のpHは、9.5以上であった。さらに、還元剤として1重量%水素化ホウ素ナトリウム水溶液20mlを添加した。この懸濁液をろ過洗浄して、110℃で乾燥して、0.5重量%金担持酸化チタン触媒とした。酸化チタン担体上の金粒子を電子顕微鏡で観察した結果、金粒子の粒径は、10nm以下であった。
【0069】
(ベンゼンの水酸化工程)
20mlの酢酸にベンゼン0.5ml、30%過酸化水素水2mlおよび純水5mlを添加し、さらに0.5重量%金担持酸化チタン触媒を20mg添加して25ml瓶容器(デュランねじ口瓶)に封入した。これを原子燃料工業(株)NFI照射サービスにて10MeVの加速電子線により照射線量が合計90kGyになるように電子線照射を行った。
【0070】
実施例2
(白金粒子担持触媒の調製)
USY型ゼオライト(東ソー製、HSZ−350HUA)10.0gに、ゼオライトの重量を基準に白金として1.0重量%含有するように塩化白金酸水溶液を含浸させた。これを110℃で乾燥後、さらに空気中、450℃で焼成して1重量%白金担持ゼオライト触媒とした。ゼオライト上の白金粒子を電子顕微鏡で観察した結果、白金粒子の粒径は、10nm以下であった。
【0071】
(ベンゼンの水酸化工程)
20mlの酢酸にベンゼン0.5ml、30%過酸化水素水2mlおよび純水5mlを添加し、さらに1重量%白金担持ゼオライト触媒を20mg添加して25ml瓶容器(デュランねじ口瓶)に封入した。これを原子燃料工業(株)NFI照射サービスにて10MeVの加速電子線により照射線量が合計90kGyになるように電子線照射を行った。
【0072】
実施例3
(銀粒子担持触媒の調製)
酸化チタン(石原産業製ST−01)10.0gに、酸化チタンの重量を基準に銀として1.0重量%含有するように硝酸銀水溶液を含浸させた。これを乾燥後、多量の10重量%炭酸水素ナトリウム水溶液に入れて、30分以上攪拌した。このときの懸濁液のpHは、9.5以上であった。さらに、還元剤として1重量%水素化ホウ素ナトリウム水溶液を20ml添加した。この懸濁液をろ過洗浄して、110℃で乾燥し、1重量%銀担持酸化チタン触媒とした。酸化チタン担体上の銀粒子を電子顕微鏡で観察した結果、銀粒子の粒径は、10nm以下であった。
【0073】
(ベンゼンの水酸化工程)
20mlの酢酸にベンゼン0.5ml、30%過酸化水素水2mlおよび純水5mlを添加し、さらに1重量%銀粒子担持酸化チタン触媒を20mg添加して25ml瓶容器(デュランねじ口瓶)に封入した。これを原子燃料工業(株)NFI照射サービスにて10MeVの加速電子線により照射線量が合計90kGyになるように電子線照射を行った。
【0074】
実施例4
(ベンゼンの水酸化工程)
酢酸10mlおよび純水10mlの混合液に、ベンゼン0.5ml、30%過酸化水素水2mllを添加し、さらに実施例1の0.5重量%金粒子担持酸化チタン触媒を20mg添加して25ml瓶容器(デュランねじ口瓶)に封入した。これを原子燃料工業(株)NFI照射サービスにて10MeVの加速電子線により照射線量が合計90kGyになるように電子線照射を行った。
【0075】
実施例5
(ベンゼンの水酸化工程)
酢酸10mlおよび純水10mlの混合液に、ベンゼン0.5ml、30%過酸化水素水2mlを添加し、さらに実施例1の0.5重量%金粒子担持酸化チタン触媒を20mg添加して25ml瓶容器(デュランねじ口瓶)に封入した。これを(財)日本原子力研究開発機構 高崎量子応用研究所のコバルト60照射施設にて照射線量が60kGyになるようにガンマ線照射を行った。
【0076】
実施例6
(ベンゼンの水酸化工程)
20mlの酢酸にベンゼン0.5ml、30%過酸化水素水2mlおよび純水5mlを添加し、さらに酸化チタンを20mg添加して25ml瓶容器(デュランねじ口瓶)に封入した。これを原子燃料工業(株)NFI照射サービスにて10MeVの加速電子線で照射線量が合計90kGyになるように電子線照射を行った。
【0077】
比較例1
(ベンゼンの水酸化工程)
20mlの酢酸にベンゼン0.5ml、30%過酸化水素水2mlおよび純水5mlを添加して、触媒を添加せずに25ml瓶容器(デュランねじ口瓶)に封入した。これを原子燃料工業(株)NFI照射サービスにて10MeVの加速電子線で照射線量が合計90kGyになるように電子線照射を行った。
【0078】
比較例2
(ベンゼンの水酸化工程)
20mlの酢酸にベンゼン0.5ml、30%過酸化水素水2mlおよび純水5mlを添加し、さらに実施例1の0.5重量%金粒子担持酸化チタン触媒を20mg添加して25ml瓶容器(デュランねじ口瓶)に封入した。これを3日間静置した。この時、特に光を遮断する処置はしていなかった。
【0079】
分析例1
反応終了後の各反応溶液に内部標準としてナフタレンを加えて、ガスクロマトグラフ法(装置:島津GC−2001、カラム:ZB−WAX、0.25mm×30m)によりフェノールおよびビフェニルの定性および定量分析を行った。このようにして得られたフェノールおよびビフェニルの反応液中の濃度ならびに初期ベンゼン濃度から、下式によりベンゼンのフェノールまたはビフェニルへの転化率を計算した。その結果を表1に示す
フェノールへの転化率(%)=(フェノール濃度(mol/L))/(初期ベンゼン濃度(mol/L))×100
ビフェニルへの転化率(%)=(ビフェニル濃度(mol/L))×2/(初期ベンゼン濃度(mol/L))×100
【0080】
【表1】
【0081】
表1に示すとおり、触媒存在下、反応溶液に放射線を照射した場合には、フェノールへの転化率が著しく向上することが確認された。
【0082】
(マイクロリアクターによるベンゼンの水酸化試験)
実施例7〜9、比較例3
ベンゼン5ml、30%過酸化水素水50mlを200mlメスフラスコに入れ、全体で200mlになるように酢酸を添加した。これを反応液として、電子線アシスト型マイクロリアクターで反応を行った。
【0083】
電子線照射装置は、浜松ホトニクス製EB-ENGENE(登録商標)を使用し、照射窓から10mmの距離にマイクロリアクターの流路をセットした。マイクロリアクターの流路には、実施例2で調製した1重量%Pt担持ゼオライトをシリカゾルをバインダーとして固定化した。流路は、幅500μm、深さ100μm、長さ79mmとした。マイクロリアクター流路は厚さ3μmのチタン箔でカバーした。また、マイクロリアクター流路は、ペルチェ素子で温度制御が可能である。この触媒を固定化したマイクロリアクター流路に反応液を0.5ml/minで流しながら、電子線を照射した。電子線照射条件を表2に示す。
【0084】
【表2】
【0085】
実施例10〜12、比較例4
ベンゼン5ml、30%過酸化水素水50mlを200mlメスフラスコに入れ、全体で200mlになるように酢酸を添加した。これを反応液として、電子線アシスト型マイクロリアクターで反応を行った。
【0086】
電子線照射装置は、浜松ホトニクス製EB-ENGENE(登録商標)を使用し、照射窓から10mmの距離にマイクロリアクターの流路をセットした。マイクロリアクターの流路には、実施例1で調製した0.5重量%金担持酸化チタンをシリカゾルをバインダーとして固定化した。流路は、幅500μm、深さ100μm、長さ79mmとした。マイクロリアクター流路は厚さ3μmのチタン箔でカバーした。また、マイクロリアクター流路は、ペルチェ素子で温度制御が可能である。この触媒を固定化したマイクロリアクター流路に反応液を0.5ml/minで流しながら、電子線を照射した。電子線照射条件を表3に示す。
【0087】
【表3】
【0088】
実施例13〜15、比較例5
ベンゼン5ml、30%過酸化水素水50mlを200mlメスフラスコに入れ、全体で200mlとなるように、酢酸を添加した。これを反応液として、電子線アシスト型マイクロリアクターで反応を行った。
【0089】
電子線照射装置は、浜松ホトニクス製EB-ENGENE(登録商標)を使用し、照射窓から10mmの距離にマイクロリアクターの流路をセットした。マイクロリアクターの流路には、光触媒用酸化チタン(テイカ製:TKC−304)を固定化した。流路は、幅500μm、深さ100μm、長さ79mmとした。マイクロリアクター流路は厚さ3μmのチタン箔でカバーした。また、マイクロリアクター流路は、ペルチェ素子で温度制御が可能である。この触媒を固定化したマイクロリアクター流路に反応液を0.5ml/minで流しながら、電子線を照射した。電子線照射条件を表4に示す。
【0090】
【表4】
【0091】
比較例6
ベンゼン5ml、30%過酸化水素水50mlを200mlメスフラスコに入れ、全体で200mlになるように、酢酸を添加した。これを反応液として、紫外線を照射しながらマイクロリアクターで反応を行った。
【0092】
マイクロリアクターの流路には、光触媒用酸化チタン(テイカ製:TKC−304)を固定化した。流路は、幅500μm、深さ100μm、長さ79mmとした。マイクロリアクター流路は厚さ11μmのポリエチレンフィルムでカバーした。また、マイクロリアクター流路は、ペルチェ素子で温度制御が可能である。この触媒を固定化したマイクロリアクター流路に反応液を0.5ml/minで流しながら、波長355nmLED照明を使って紫外線を照射した。紫外線の照射量は0.9mW/cm
2であった。
【0093】
比較例7
ベンゼン5ml、30%過酸化水素水50mlを200mlメスフラスコに入れ、全体で100mlになるように、酢酸を添加した。これを反応液として、紫外線を照射しながらマイクロリアクターで反応を行った。
【0094】
マイクロリアクターの流路には、実施例1で調製した0.5重量%金担持酸化チタンをシリカゾルをバインダーとして固定化した。流路は、幅500μm、深さ100μm、長さ79mmとした。マイクロリアクター流路は厚さ11μmのポリエチレンフィルムでカバーした。また、マイクロリアクター流路は、ペルチェ素子で温度制御が可能である。この触媒を固定化したマイクロリアクター流路に反応液を0.5ml/minで流しながら、波長355nmLED照明を使って紫外線を照射した。紫外線の照射量は0.9mW/cm
2であった。
【0095】
比較例8
ベンゼン5ml、30%過酸化水素水50mlを200mlメスフラスコに入れ、全体で200mlとなるように、酢酸を添加した。これを反応液として、紫外線を照射しながらマイクロリアクターで反応を行った。
【0096】
マイクロリアクターの流路には、実施例2で調製した1重量%白金担持ゼオライトをシリカゾルをバインダーとして固定化した。流路は、幅500μm、深さ100μm、長さ79mmとした。マイクロリアクター流路は厚さ11μmのポリエチレンフィルムでカバーした。また、マイクロリアクター流路は、ペルチェ素子で温度制御が可能である。この触媒を固定化したマイクロリアクター流路に反応液を0.5ml/minで流しながら、波長355nmLED照明を使って紫外線を照射した。紫外線の照射量は0.9mW/cm
2であった。
【0097】
分析例2
分析例1と同様の方法で実施例7〜15および比較例3〜8で得られた反応後の液を分析した。結果を表5に示す。
【0098】
【表5】
【0099】
表5より、マイクロリアクターを使用して、本発明の方法により、過酸化水素とベンゼンから効率的にフェノールが製造できることが確認できた。
【0100】
実施例16
(酸化コバルト触媒の調製)
硝酸コバルト六水和物10.0gを純水1Lに溶解し、10重量%炭酸水素ナトリウム水溶液をpHが9以上になるまで添加し、水酸化コバルトの沈殿を生成させた。この沈殿を1晩静置して熟成させた後、ろ過・洗浄した。さらに、ろ過物を120℃で乾燥後、空気中300℃で焼成した。得られた粉末は、黒色であり、非表面積が84m
2/gであった。
【0101】
実施例17
(金粒子担持酸化コバルト触媒の調製)
実施例16で調製した酸化コバルト10.0gに、酸化コバルトの重量を基準に金として0.5重量%含有するように塩化金酸水溶液を含浸させた。乾燥後、得られた混合物10gを10重量%炭酸水素ナトリウム水溶液1Lに入れて、30分以上攪拌した。このときの懸濁液のpHは、9.5以上であった。さらに、還元剤として1重量%水素化ホウ素ナトリウム水溶液20mlを添加した。この懸濁液をろ過洗浄して、110℃で乾燥して、0.5重量%金担持酸化コバルト触媒とした。酸化コバルト担体上の金粒子を電子顕微鏡で観察した結果、金粒子の粒径は、10nm以下であった。
【0102】
実施例18
(1.0重量%銀担持酸化チタンの調製)
酸化チタン(石原産業製ST−01)10.0gに、酸化チタンの重量を基準に銀として1.0重量%含有するように硝酸銀水溶液を含浸させた。乾燥後、得られた混合物10gを10重量%炭酸水素ナトリウム水溶液1Lに入れて、30分以上攪拌した。このときの懸濁液のpHは、9.5以上であった。さらに、還元剤として1重量%水素化ホウ素ナトリウム水溶液20mlを添加した。この懸濁液をろ過洗浄して、110℃で乾燥して、1.0重量%銀担持酸化チタン触媒とした。酸化チタン担体上の銀粒子を電子顕微鏡で観察した結果、銀粒子の粒径は、10nm以下であった。
【0103】
実施例19
(0.5重量%ルテニウム担持酸化チタンの調製)
酸化チタン(石原産業製ST−01)10.0gに、酸化チタンの重量を基準にルテニウムとして0.5重量%含有するように塩化ルテニウム水溶液を含浸させた。乾燥後、空気中300℃で2時間加熱処理して、0.5重量%ルテニウム担持酸化チタン触媒とした。
【0104】
実施例20
(0.5重量%ルテニウム担持USYゼオライトの調製)
USY型ゼオライト(東ソー製、HSZ−350HUA)10.0gに、ゼオライトの重量を基準にルテニウムとして0.5重量%含有するように塩化ルテニウム水溶液を含浸させた。乾燥後、空気中300℃で2時間加熱処理して、0.5重量%ルテニウム担持ゼオライト触媒とした。
【0105】
実施例21
(0.5重量%金−0.5重量%ルテニウム担持酸化チタンの調製)
酸化チタン(石原産業製ST−01)10.0gに、酸化チタンの重量を基準に金として0.5重量%含有するように塩化金酸水溶液およびルテニウムとして0.5重量%含有するように塩化ルテニウム水溶液を含浸させた。乾燥後、空気中300℃で3時間加熱処理して、0.5重量%ルテニウム担持酸化チタン触媒とした。
【0106】
実施例22
(0.5重量%白金−0.5重量%ルテニウム担持酸化チタンの調製)
酸化チタン(石原産業製ST−01)10.0gに、酸化チタンの重量を基準に白金として0.5重量%含有するように塩化白金酸水溶液およびルテニウムとして0.5重量%含有するように塩化ルテニウム水溶液を含浸させた。乾燥後、空気中300℃で3時間加熱処理して、0.5重量%ルテニウム担持酸化チタン触媒とした。
【0107】
実施例23〜32
ベンゼン5ml、30%過酸化水素水5ml、純水80mlを200mlメスフラスコに入れ、全体で200mlになるように酢酸を添加した。この反応液20mlおよび表6に示す触媒20mgを添加して25ml瓶容器(デュランねじ口瓶)に封入した。これを原子燃料工業(株)NFI照射サービスにて10MeVの加速電子線により照射線量が合計90kGyになるように電子線照射を行った。
【0108】
【表6】
【0109】
分析例3
反応終了後の各反応溶液を分析例1と同様の方法で、フェノール、ビフェニルおよびベンゾキノンの定性および定量分析を行った。ただし、ベンゾキノンへの転嫁率はベンゾキノンの反応液中の濃度ならびに初期ベンゼン濃度から、下式により計算した。定性・定量分析の結果を表7に示す。
【0110】
ベンゾキノンへの転化率(%)=(ビフェニル濃度(mol/L))/(初期ベンゼン濃度(mol/L))×100
【0111】
【表7】
【0112】
実施例33〜44
ベンゼン5ml、30%過酸化水素水5ml、純水80mlを200mlメスフラスコに入れ、全体で200mlになるように酢酸を添加した。この反応液20mlおよび表7の金属化合物を金属として20mg添加して25ml瓶容器(デュランねじ口瓶)に封入した。これを原子燃料工業(株)NFI照射サービスにて10MeVの加速電子線により照射線量が合計90kGyになるように電子線照射を行った。
【0113】
【表8】
【0114】
分析例3
反応終了後の各反応溶液を分析例1と同様の方法で、フェノール、ビフェニルおよびベンゾキノンの定性および定量分析を行った。定性・定量分析の結果を表9に示す。
【0115】
【表9】
【0116】
実施例45〜54
ベンゼン5ml、30%過酸化水素水5ml、純水80mlを200mlメスフラスコに入れ、全体で200mlになるように酢酸を添加した。これを反応液として、電子線アシスト型マイクロリアクターで反応を行った。
【0117】
電子線照射装置は、浜松ホトニクス製EB-ENGENE(登録商標)を使用し、照射窓から20mmの距離にマイクロリアクターの流路をセットした。マイクロリアクターの流路には、表10に示す触媒をシリカゾルをバインダーとして固定化した。流路は、幅500μm、深さ100μm、長さ79mmとした。マイクロリアクター流路は厚さ3μmのチタン箔でカバーした。また、マイクロリアクター流路は、ペルチェ素子で20℃に制御した。この触媒を固定化したマイクロリアクター流路に反応液を0.05ml/minで流しながら、加速電圧110KeV,電流値150μAの条件で電子線を照射した。
【0118】
【表10】
【0119】
分析例4
反応終了後の各反応溶液を分析例1と同様の方法で、フェノール、ビフェニルおよびベンゾキノンの定性および定量分析を行った。定性・定量分析の結果を表11に示す。
【0120】
【表11】
【0121】
実施例55〜66
ベンゼン5ml、30%過酸化水素水5ml、純水80mlを200mlメスフラスコに入れ、全体で200mlになるように酢酸を添加した。この反応液200mlに、表12の金属化合物を金属として200mg溶解して電子線アシスト型マイクロリアクターで反応を行った。
【0122】
電子線照射装置は、浜松ホトニクス製EB-ENGENE(登録商標)を使用し、照射窓から20mmの距離にマイクロリアクターの流路をセットした。マイクロリアクターの流路に触媒を固定せずに使用した。流路は幅500μm、深さ100μm、長さ79mmとした。マイクロリアクター流路は厚さ3μmのチタン箔でカバーした。また、マイクロリアクター流路は、ペルチェ素子で20℃に制御した。このマイクロリアクター流路に反応液を0.05ml/minで流しながら、加速電圧110KeV,電流値150μAの条件で電子線を照射した。
【0123】
【表12】
【0124】
分析例5
反応終了後の各反応溶液を分析例1と同様の方法で、フェノール、ビフェニルおよびベンゾキノンの定性および定量分析を行った。定性・定量分析の結果を表13に示す。
【0125】
【表13】
【0126】
以上のとおり、芳香族化合物、水、酸化剤、および光触媒または貴金属粒子もしくは貴金属酸化物粒子を含む部分酸化触媒を含む反応溶液に、放射線を照射することにより、バッチ法およびマイクロリアクターのいずれの方法によっても、ベンゼンから効率よくフェノールへ転換することが可能となる。