特許第5832067号(P5832067)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2015.5.11 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】5832067
(24)【登録日】2015年11月6日
(45)【発行日】2015年12月16日
(54)【発明の名称】光測距装置
(51)【国際特許分類】
   G01S 17/10 20060101AFI20151126BHJP
   G01C 3/06 20060101ALI20151126BHJP
【FI】
   G01S17/10
   G01C3/06 120Q
   G01C3/06 140
【請求項の数】3
【全頁数】19
(21)【出願番号】特願2009-166789(P2009-166789)
(22)【出願日】2009年7月15日
(65)【公開番号】特開2011-21980(P2011-21980A)
(43)【公開日】2011年2月3日
【審査請求日】2012年7月2日
【審判番号】不服-21999(P-21999/J1)
【審判請求日】2014年10月30日
(73)【特許権者】
【識別番号】000004651
【氏名又は名称】日本信号株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100129425
【弁理士】
【氏名又は名称】小川 護晃
(74)【代理人】
【識別番号】100087505
【弁理士】
【氏名又は名称】西山 春之
(74)【代理人】
【識別番号】100099623
【弁理士】
【氏名又は名称】奥山 尚一
(72)【発明者】
【氏名】石川 智之
(72)【発明者】
【氏名】猪俣 宏明
【合議体】
【審判長】 酒井 伸芳
【審判官】 中塚 直樹
【審判官】 堀 圭史
(56)【参考文献】
【文献】 特開2007−147332(JP,A)
【文献】 国際公開第2007/004606(WO,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G01C 3/00-3/32
G01S 7/48-7/51
G01S 17/00-17/95
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
測定対象物に向けて走査されるパルス光の放射タイミングと、その反射光の受光タイミングとの時間差に基づいて距離を測定する光測距装置において、
外乱の反射光の光量よりも高い光量で第1受光タイミングを検出する第1受光タイミング検出手段と、
前記外乱の反射光の光量を含む光量で第2受光タイミングを検出する第2受光タイミング検出手段と、
最初の反射光について前記第2受光タイミングのみが検出されたときに、その後に前記第1受光タイミングが検出された場合は距離の測定に用いる受光タイミングとして前記第1受光タイミングを選択し、その後に前記第1受光タイミングが検出されなかった場合は距離の測定に用いる受光タイミングとして前記第2受光タイミングを選択する第1出力選択手段と、
最初の反射光について前記第1受光タイミング及び前記第2受光タイミングが検出されたときに、受光タイミングを検出した反射光の光量が前記第2受光タイミングの検出精度が低下する光量域に含まれる場合は距離の測定に用いる受光タイミングとして前記第1受光タイミングを選択し、受光タイミングを検出した反射光の光量が前記第2受光タイミングの検出精度が低下する光量域に含まれない場合は距離の測定に用いる受光タイミングとして前記第2受光タイミングを選択する第2出力選択手段と、
を備えた、光測距装置。
【請求項2】
前記外乱による反射光の光量域に含まれる光量の反射光に基づき第2受光タイミングを検出した測点が前記パルス光の全走査域に分布する場合に前記外乱の発生状態を判定する外乱発生判定手段と、
受光タイミングを検出した反射光の光量が前記第2受光タイミングの検出精度が低下する光量域に含まれる場合は距離の測定に用いる受光タイミングとして前記第1受光タイミングを選択し、受光タイミングを検出した反射光の光量が前記第2受光タイミングの検出精度が低下する光量域に含まれない場合は距離の測定に用いる受光タイミングとして前記第2受光タイミングを選択する第3出力選択手段と、
前記外乱発生判定手段が前記外乱の発生を判定した場合は前記第1出力選択手段または第2出力選択手段により距離の測定に用いる受光タイミングを選択させ、前記外乱発生判定手段が前記外乱の発生を判定しなかった場合は前記第3出力選択手段により距離の測定に用いる受光タイミングを選択させる作動判定手段と、
を更に備えた、請求項1記載の光測距装置。
【請求項3】
前記外乱発生判定手段は、前記外乱による反射光の光量域に含まれる光量の反射光に基づき前記第2受光タイミングを検出し、かつ、該第2受光タイミングに基づき測定される距離が所定距離よりも短い測点が前記パルス光の全走査域に分布する場合に前記外乱の発生状態を判定する、請求項2記載の光測距装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、測定対象物に向けて走査されるパルス光の放射タイミングと、前記測定対象物からの反射光の受光タイミングとの時間差に基づいて、前記測定対象物までの距離を測定する光測距装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、霧,雨,雪などの外乱からの反射光を受光した場合であっても、測定対象物からの反射光に基づいて測距を行える光測距装置が、特許文献1に開示されている。
前記特許文献1に開示される光測距装置では、1つのパルス光に対して得られた複数の反射光それぞれについて、パルス光の放射タイミングから受光タイミングまでの時間差を計測させ、略同一の近距離データが全走査エリアに略均等に存在しているか否かに基づいて、外乱からの反射光を受光しているか否かを判断している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開平8−122437号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、前記特許文献1のものでは、1つのパルス光に対して反射光が複数得られた場合に、最短の距離データ(最初の反射光に基づき測定した距離データ)を第1データと呼び、次に長い距離データ(2回目に受光した反射光に基づき測定した距離データ)を第2データと呼び、第1データが、近距離データであって全走査エリアに略均等に存在している場合に、第2データを測定対象物までの距離として出力している。
このため、1つのパルス光に対する反射光として、外乱で反射し受光タイミングの異なる複数の反射光が発生し、更に、その後、測定対象物からの反射光が受光されるような場合、霧などの外乱の発生を検出しても、外乱からの反射光に基づく距離データである第2データが測定対象物までの距離として出力され、測定対象物を見落としてしまう可能性があった。
【0005】
霧などの外乱からの反射光は、1つのパルス光に対して、1つだけ受光される場合もあり、また、前述のように、複数の受光される場合もあるため、何番目に長い距離データであるかによって測定対象物の距離を特定することはできず、また、外乱によって光が反射する位置の近傍に測定対象物が存在する場合があるため、最短の距離データからの距離範囲で、霧からの反射した光であるのか、測定対象物からの反射光であるのかを特定することもできない。
従って、特許文献1のように、測定された距離に基づいて外乱を検知し、また、測定対象物の距離を選択する構成では、測定対象物を見落としなく確実に検知することが難しい。
【0006】
本発明は上記問題点に着目してなされたものであり、霧などの外乱の中に測定対象物が存在する場合であっても、この測定対象物を見落としなく検出できる光測距装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
このため、請求項1に係る発明は、測定対象物に向けて走査されるパルス光の放射タイミングと、その反射光の受光タイミングとの時間差に基づいて距離を測定する光測距装置において、外乱の反射光の光量よりも高い光量で第1受光タイミングを検出する第1受光タイミング検出手段と、前記外乱の反射光の光量を含む光量で第2受光タイミングを検出する第2受光タイミング検出手段と、最初の反射光について前記第2受光タイミングのみが検出されたときに、その後に前記第1受光タイミングが検出された場合は距離の測定に用いる受光タイミングとして前記第1受光タイミングを選択し、その後に前記第1受光タイミングが検出されなかった場合は距離の測定に用いる受光タイミングとして前記第2受光タイミングを選択する第1出力選択手段と、最初の反射光について前記第1受光タイミング及び前記第2受光タイミングが検出されたときに、受光タイミングを検出した反射光の光量が前記第2受光タイミングの検出精度が低下する光量域に含まれる場合は距離の測定に用いる受光タイミングとして前記第1受光タイミングを選択し、受光タイミングを検出した反射光の光量が前記第2受光タイミングの検出精度が低下する光量域に含まれない場合は距離の測定に用いる受光タイミングとして前記第2受光タイミングを選択する第2出力選択手段と、を備えるようにした。
【0008】
かかる構成では、霧などの外乱の中に測定対象物が存在する場合、パルス光を放射すると、まず、外乱で反射した反射光が受光され、遅れて測定対象物で反射した反射光が受光されることになり、第2受光タイミングが検出された後に第1受光タイミングが検出されることになる。
従って、最初の反射光について第2受光タイミングのみが検出されたときに、その後に第1受光タイミングが検出された場合は、霧などの外乱の中に測定対象物が存在する場合の反射光のパターンに相当することになり、第1受光タイミングを選択することで、測定対象物までの距離が出力されることになる。
【0009】
た、最初の反射光について前記第1受光タイミング及び前記第2受光タイミングが検出されたときには、受光タイミングを検出した反射光の光量が第2受光タイミングの検出精度が低下する光量域に含まれる場合は距離の測定に用いる受光タイミングとして第1受光タイミングを選択し、受光タイミングを検出した反射光の光量が第2受光タイミングの検出精度が低下する光量域に含まれない場合は距離の測定に用いる受光タイミングとして第2受光タイミングを選択する。
【0013】
上記請求項1の構成において、請求項2のように、前記外乱による反射光の光量域に含まれる光量の反射光に基づき第2受光タイミングを検出した測点が前記パルス光の全走査域に分布する場合に前記外乱の発生状態を判定する外乱発生判定手段と、受光タイミングを検出した反射光の光量が前記第2受光タイミングの検出精度が低下する光量域に含まれる場合は距離の測定に用いる受光タイミングとして前記第1受光タイミングを選択し、受光タイミングを検出した反射光の光量が前記第2受光タイミングの検出精度が低下する光量域に含まれない場合は距離の測定に用いる受光タイミングとして前記第2受光タイミングを選択する第3出力選択手段と、前記外乱発生判定手段が前記外乱の発生を判定した場合は前記第1出力選択手段または第2出力選択手段により距離の測定に用いる受光タイミングを選択させ、前記外乱発生判定手段が前記外乱の発生を判定しなかった場合は前記第3出力選択手段により距離の測定に用いる受光タイミングを選択させる作動判定手段と、を更に備えることができる。
この場合、外乱からの反射光に相当する光量の反射光が受光され、第2受光タイミングを検出した測点(走査ポイント)が、パルス光の全走査域に分布する場合、霧などの外乱が全走査域に影響することに対応していることになるので、実際に外乱が発生しているものと判断して第1出力選択手段または第2出力選択手段により距離の測定に用いる受光タイミングを選択させ、前記外乱の発生を判定しなかった場合は第3出力選択手段により距離の測定に用いる受光タイミングを選択させる。
【0014】
また、上記請求項2の構成において、請求項3のように、前記外乱発生判定手段は、前記外乱による反射光の光量域に含まれる光量の反射光に基づき前記第2受光タイミングを検出し、かつ、該第2受光タイミングに基づき測定される距離が所定距離よりも短い測点が前記パルス光の全走査域に分布する場合に前記外乱の発生状態を判定することができる。
この場合、外乱からの反射光に相当する光量の反射光が受光され、第2受光タイミングが検出され、かつ、この第2受光タイミングに基づき測定される距離が所定距離よりも短い測点(走査ポイント)がパルス光の全走査域に分布する場合、霧などの外乱が全走査域に影響し、かつ、外乱までの距離は近距離であることに対応していることになるので、実際に外乱が発生しているものと判断して、第1出力選択手段または第2出力選択手段により距離の測定に用いる受光タイミングを選択させる。
【発明の効果】
【0017】
かかる光測距装置によると、外乱からの反射光が複数発生しても、反射光の光量の違いによって、外乱からの反射光と外乱中に存在する外乱よりも高い反射率の測定対象物とを区別し、外乱中に存在する測定対象物までの距離を測定することができ、霧などの外乱が発生しても測定対象物の見落としを簡便な構成で回避することができる。
【図面の簡単な説明】
【0018】
図1】本発明の実施形態における光測距装置の光学系を示す斜視図
図2】実施形態における光測距装置のシステムブロック図
図3】受光タイミング検出方式の選択処理の第1実施形態を示すフローチャート
図4】外乱中に測定対象物が存在する場合の反射光の発生パターンと、実施形態における受光タイミングの検出処理を示すタイムチャート
図5】受光タイミング検出方式の選択処理の第2実施形態を示すフローチャート
図6】受光タイミング検出方式の選択処理の第3実施形態を示すフローチャート
図7】受光タイミング検出方式の選択処理の第4実施形態を示すフローチャート
図8】受光タイミング検出方式の選択処理の第5実施形態を示すフローチャート
図9】受光タイミング検出方式の選択処理の第6実施形態を示すフローチャート
【発明を実施するための形態】
【0019】
以下、本発明の実施の形態を図面に基づいて説明する。
尚、本実施形態の光測距装置は、人間や荷物や自動車などの測定対象物までの距離を測定することで、ドアの挟み込み検出、周辺検知、障害物検知などに用いられる装置であって、屋外での使用により霧,雨,雪などの外乱が測距視野に含まれる場合がある装置である。
【0020】
図1は、本発明に係る光測距装置1における光学系を示す斜視図であり、光測距装置1は、2次元走査ミラー(スキャナ)2、レーザ投光部3、レーザ受光部4、投光/受光分離器5b、ガラス板などの透明板からなるレーザ光を透過させる投受光窓6を含んで構成され、測定対象物7に向けたレーザ光(パルスレーザ)の投光、及び、測定対象物7からの反射光の受光は、前記投受光窓6を介してなされるようになっている。
そして、前記レーザ投光部3からの測定対象物7に向けたレーザ光の放射タイミングと、前記測定対象物7からの反射光を前記レーザ受光部4が受光した受光タイミングとの時間差及びレーザ光の伝播速度に基づいて前記測定対象物7までの距離が測定され、光測距装置1は、光パルス飛行時間計測法によって測定対象物7までの距離を測定する装置である。
【0021】
図2は、前記光測距装置1のシステム構成の詳細を示すブロック図である。
前記レーザ投光部3は、図2に示すように、レーザドライバ31、レーザ素子(半導体レーザ)32、投光光学系(レンズなど)33を含んで構成され、前記レーザドライバ31は、レーザ放射タイミング制御信号に基づいて前記レーザ素子32を駆動制御して、レーザ素子32からレーザ光(パルス光)を発光させる。
前記レーザ素子32から発光されたレーザ光(投光光束)は、投光光学系33を介して放射され、反射ミラー5aで投光/受光分離器5bに向けて反射し、投光/受光分離器5bを透過して、2次元走査ミラー2で反射する。
【0022】
ここで、前記2次元走査ミラー2が2次元的に振動することで、2次元走査ミラー2での反射光は2次元領域に走査され、これにより、レーザ光で測定対象物7が2次元走査される。
前記2次元走査ミラー2は、枠状のミラーサポート22の開口部に対してミラー21を一対の縦梁23a,23bによって支え、更に、枠状のスキャナ基板24の開口部に対して前記ミラーサポート22を一対の横梁25a,25bによって支えてなり、図示省略した縦振動駆動手段及び横振動駆動手段によって、前記縦梁23a,23bを軸とした縦振動と、前記横梁25a,25bを軸とした横振動とをミラー21に生じさせることで、ミラー21で反射するレーザ光が2次元に走査されるようになっている。
【0023】
前記縦振動駆動手段及び横振動駆動手段として、例えば、スキャナ基板24の外側に配置した永久磁石と、前記ミラー21及びミラーサポート22に配置したコイルとによって、前記ミラー21とミラーサポート22とにそれぞれローレンツ力を発生させる手段を用いることができる。
前記投受光窓6を透過して測定対象物7に向けて放射されたレーザ光は、測定対象物7で反射し、この反射レーザ光は、投受光窓6を透過して2次元走査ミラー2で反射し、更に、投光/受光分離器5bで反射して、レーザ受光部4に受光される。
【0024】
前記レーザ受光部4は、受光光学系41、受光素子(フォトダイオード)42、プリアンプ43、A/D変換器44を含んで構成される。
そして、投光/受光分離器5bで反射したレーザ光は、受光光学系41で集光されて受光素子42に受光され、受光素子42は、受光したレーザ光の強度が高いほど大きな電流を発生する。
【0025】
前記受光素子42の出力信号(アナログ信号)はプリアンプ43で増幅され、増幅後の出力信号は測距計測部9に出力され、また、増幅後の出力信号は、A/D変換器44でデジタル信号に変換されて、制御部10(距離値算出部101)に出力される。
尚、前記レーザドライバ31及びプリアンプ43には、高電圧電源(HV電源)11の高電圧が供給される。
【0026】
また、前記レーザ投光部3の投光光学系33から放射されるレーザ光を受光する発光モニタ部12が設けられている。
前記発光モニタ部12は、受光素子(フォトダイオード)を含んで構成され、この受光素子(フォトダイオード)でレーザ素子32から発光されたレーザ光(パルス光)を検出して、測定対象物7に向けたレーザ光の放射タイミングにおいて計時スタートパルスを生成し、この計時スタートパルスを前記測距計測部9(時間計測部95,96)に出力する。
【0027】
前記測距計測部9は、前記受光素子42の出力信号を増幅した信号を入力する共振回路91及び立上がり回路92、前記共振回路91の出力を入力し計時ストップパルスを生成するストップタイミング生成部93、前記立上がり回路92の出力を入力し計時ストップパルスを生成するストップタイミング生成部94、前記計時スタートパルス及びストップタイミング生成部93から出力される計時ストップパルスを入力し、前記計時スタートパルスから計時ストップパルスまでの時間差を計測する時間計測部95、前記計時スタートパルス及びストップタイミング生成部94から出力される計時ストップパルスを入力し、前記計時スタートパルスから計時ストップパルスまでの時間差を計測する時間計測部96、前記時間計測部95の出力をA/D変換するA/D変換器97、前記時間計測部96の出力をA/D変換するA/D変換器98を含んで構成される。
【0028】
前記共振回路91,ストップタイミング生成部93,時間計測部95及びA/D変換器97からなる系は、所謂ゼロクロス検出方式で受光タイミングを検出する系(第2受光タイミング検出手段)であり、受光素子42の出力信号に含まれる特定周波数成分で共振(フィルタリング)する共振回路91を用いて前記特定周波数成分を抽出し、抽出した信号波形のゼロクロス点を受光タイミングとして検出し、計時ストップパルスを生成する。
一方、立上がり回路92,ストップタイミング生成部94,時間計測部96及びA/D変換器98からなる系は、所謂立上がりエッジ検出方式で受光タイミングを検出する系(第1受光タイミング検出手段)であり、受光素子42の出力信号が閾値を超えた時点(エッジ点)を、受光タイミングとして検出し、計時ストップパルスを生成する。
【0029】
ここで、前記立上がりエッジ検出方式(立上がり回路92)における前記閾値は、霧,雨,雪などの外乱からの光量が比較的低い反射光については受光タイミングを検出せず、外乱よりも反射率の高い測定対象物からの比較的光量が高い反射光について受光タイミングを検出するように、外乱からの反射光の最大光量よりも僅かに高い値に設定され、外乱からの反射光の光量域を除く検出光量域で受光タイミングの検出を行う。
即ち、予め霧などの外乱に向けてレーザ放射した場合に得られる反射光の光量を求めておき、外乱からの反射光を受光した受光素子42の出力信号が前記閾値を超えることがないように、換言すれば、霧などの外乱からの反射光に基づいて受光タイミングを検出せずに、外乱よりも高い反射率の測定対象物からの反射光に基づいて受光タイミングを検出するように、外乱による反射光の光量域と、測定対象物による反射光の光量域との境界付近に閾値が予め設定されている。
【0030】
尚、外乱による反射光の光量域の最大値と、測定対象物による反射光の光量域の最小値との間に隔たりがある場合には、その間の光量域内で適宜閾値を設定することができる。
ここで、前記立上がりエッジ検出方式は、受光素子42の出力信号の波高値が高い場合に、比較的精度良く受光タイミングを検出でき、波高値が低くなるほど受光タイミングの検出精度が低下するが、霧などの外乱からの反射光に対して感度をもたないように閾値を設定すれば、結果的に、精度良く受光タイミングを検出できる光量域(受光素子42の出力信号範囲)で、受光タイミングを検出することになる。
【0031】
一方、ゼロクロス検出方式(共振回路91)は、霧などの外乱で反射した低光量の反射光に対しても高い精度で受光タイミングを検出することが可能であり、霧などの外乱で反射した低光量の反射光を受光した場合にも、受光タイミングを検出するものであり、換言すれば、外乱からの反射光の光量域を含む検出光量域で受光タイミングの検出を行う。
但し、受光素子42の出力信号の波高値が高いとプリアンプ43が飽和し、共振回路91の入力波形が変形することで、ゼロクロス点にずれが生じて測距誤差を生じるので、ゼロクロス検出方式では、波高値が低くければ精度の良い測距が可能である。
【0032】
尚、前記立上がりエッジ検出方式及びゼロクロス検出方式は、パルス光の放射毎にリセットされ、1つのパルス光に対して放射タイミングと受光タイミングとの時間差をそれぞれ1回だけ計測する構成であり、前記ゼロクロス検出方式では、1つのパルス光毎に最初の反射光の受光タイミングを検出するが、前記立上がりエッジ検出方式は、前記閾値よりも高い光量の反射光を初めて受光したときに受光タイミングを検出することになる。
このため、例えば、1つのパルス光の放射に対して最初に戻ってきた反射光の光量が、前記立上がりエッジ検出方式における閾値よりも低いと、最初に戻ってきた反射光の受光タイミングは、ゼロクロス検出方式で検出され、立上がりエッジ検出方式では検出されず、その後に、反射光を再度受光してもゼロクロス検出方式では受光タイミングの検出は行われない。
【0033】
そして、2回目以降の反射光の光量が前記閾値を超えると、立上がりエッジ検出方式で受光タイミングが検出されることになり、その後、次のパルス光の放射がなされるまで、たとえ反射光が受光されても、立上がりエッジ検出方式及びゼロクロス検出方式において、受光タイミングの検出は行われない。
また、最初に戻ってきた反射光の光量が、前記立上がりエッジ検出方式における閾値よりも高い場合には、当該反射光について、立上がりエッジ検出方式及びゼロクロス検出方式がそれぞれに受光タイミングを検出し、その後、更に反射光を受光したとしても、新たな受光タイミングの検出は行われない。
【0034】
前記ゼロクロス検出方式及び立上がりエッジ検出方式でそれぞれに計測した、レーザ光の放射タイミングと測定対象物7からの反射光を受光した受光タイミングとの時間差は、制御部10の距離値算出部101に入力される。
また、前記距離値算出部101には、前記A/D変換器44の出力である受光強度データ(反射光量データ)が入力される。
そして、前記距離値算出部101(出力選択手段)は、ゼロクロス検出方式で計測した時間差と、立上がりエッジ検出方式で計測した時間差とのいずれか一方を選択し、選択した時間差とレーザ光の伝播速度とに基づいて距離を演算して出力する。
【0035】
尚、前記距離値算出部101(出力選択手段)において、ゼロクロス検出方式で計測した時間差に基づいて距離を演算すると共に、立上がりエッジ検出方式で計測した時間差に基づいて距離を演算し、これらの距離データのうちのいずれか一方を選択して出力する構成であってもよい。
前記距離値算出部101から出力される測点毎の距離データは、外部インターフェース(I/F)102を介して外部機器に出力される。
前記レーザ・スキャナ・コントローラ103は、前記レーザドライバ31に対してレーザ放射タイミング制御信号を出力し、また、前記2次元走査ミラー2(スキャナ)の駆動手段(縦振動駆動手段及び横振動駆動手段)に対して、駆動信号(内軸駆動パルス、外軸駆動パルス)を出力する。
【0036】
前記縦振動駆動手段及び横振動駆動手段の駆動信号は、スキャナドライバ(駆動回路)104に出力され、このスキャナドライバ104によって縦振動駆動手段及び横振動駆動手段(コイル)への通電が制御される。
また、前記2次元走査ミラー2には、ミラー21の振動を検出するセンサ(検出コイル、歪ゲージ、ピエゾ抵抗素子など)が設けられており、前記センサの出力(スキャナ同期信号)が、フィルタ回路105を介して前記レーザ・スキャナ・コントローラ103にフィードバック信号として入力され、前記レーザ・スキャナ・コントローラ103は、前記フィードバック信号に基づいて前記駆動信号を出力する。
【0037】
前記スキャナドライバ(駆動回路)104、及び、前記レーザ・スキャナ・コントローラ103などは、電源106によって動作する。
次に、前記距離値算出部101における、ゼロクロス検出方式での計測結果と、立上がりエッジ検出方式での計測結果とのいずれか一方を選択する処理を、詳細に説明する。
図3のフローチャートは、前記距離値算出部101における選択処理の第1実施形態を示し、1つのパルス光が放射される毎に実行されるものとする。
【0038】
まず、ステップS201では、反射光の光量として、立上がりエッジ検出方式が受光タイミングを検出する検出光量域(前記閾値以上)の光量を検知したか否かを判断するためのフラグF1をゼロにリセットし、ステップS202に進む。
ステップS202では、最新に検出した反射光の光量が、立上がりエッジ検出方式が受光タイミングを検出する検出光量域(前記閾値以上)の光量であるか否かを判断する。
ここで、最新に検出した反射光の光量が、立上がりエッジ検出方式が受光タイミングを検出する検出光量域に含まれず、前記閾値を下回る光量であれば、ステップS203を迂回してステップS204へ進み、立上がりエッジ検出方式が受光タイミングを検出する検出光量域(前記閾値以上)の光量であれば、ステップS203へ進む。
【0039】
ステップS203では、前記フラグF1に1をセットする。
ステップS204では、1つのパルス光の放射後に、反射光の受光をモニタする期間として予め設定された期間が経過しているか否かを判断し、前記モニタ期間が経過するまでは、ステップS202へ戻って、反射光の光量レベルの判断と、該判断に基づくフラグF1の設定処理を繰り返す。
そして、前記モニタ期間が経過すると、ステップS205へ進み、前記フラグF1が1に設定されているかゼロであるかを判断する。
【0040】
ステップS205で前記フラグF1=1であると判断されると、ステップS206へ進み、立上がりエッジ検出方式の測定結果を選択し、立上がりエッジ検出方式で検出した受光タイミングに基づき測定した距離を、今回の測点に対応する検出結果として出力させる。
一方、ステップS205で前記フラグF1=0であると判断されると、ステップS207へ進み、ゼロクロス検出方式の測定結果を選択し、ゼロクロス検出方式で検出した受光タイミングに基づき測定した距離を、今回の測点に対応する検出結果として出力させる。
【0041】
例えば、測定対象物が霧などの外乱の中に存在する場合、外乱の反射率は測定対象物に比べて一般的に低く、外乱が測定対象物よりも近い位置に存在するため、図4に示すように、まず、外乱からの比較的光量の低い反射光が1回乃至複数回受光された後、測定対象物からの比較的光量の高い反射光が受光される。
前記立上がりエッジ検出方式では、外乱からの比較的光量の低い反射光については、受光タイミングを検出しないので、図4に示すようなパターンの反射光が発生した場合、前記立上がりエッジ検出方式は、測定対象物からの比較的光量の高い反射光が受光したタイミングを検出することになる。
【0042】
従って、立上がりエッジ検出方式が受光タイミングを検出する光量の反射光が発生したことは、測定対象物からの反射光について立上がりエッジ検出方式が受光タイミングを検出したことを示し、このとき、立上がりエッジ検出方式が検出した受光タイミングを選択して、ゼロクロス検出方式で検出した受光タイミングを無効とすれば、霧などの外乱の中に存在する測定対象物までの距離を出力することになる。
一方、外乱がなく、最初の反射光が測定対象物からの反射光であって、その光量が立上がりエッジ検出方式が受光タイミングを検出する光量域内である場合、ゼロクロス検出方式及び立上がりエッジ検出方式の双方が受光タイミングを検出することになり、この場合も、フラグF1に1が設定されることで、立上がりエッジ検出方式での測定結果が選択されることになるが、いずれも測定対象物からの反射光の受光タイミングを検出しているので、測定対象物までの距離が出力されることになる。
【0043】
また、測距視野内に外乱が存在するものの、測定対象物が存在しない場合、立上がりエッジ検出方式が受光タイミングを検出する光量域の反射光が発生せず、ゼロクロス検出方式で検出した外乱からの反射光の受光タイミングに基づき測定した距離を選択して出力することになるが、この場合、測定対象物が存在しないので、測定対象物を見落とすことにはならない。
更に、測距視野内に外乱及び測定対象物が存在しない場合、レーザ光を反射させる物体がなく、反射光が受光されないから、フラグF1は零に保持され、ゼロクロス検出方式での測定結果が選択されるものの、ゼロクロス検出方式でも受光タイミングの検出は行われていないから、距離データなし(測定対象物なし)を測定結果として出力する。
【0044】
上記実施形態によると、測定対象物が霧などの外乱の中に存在する場合であって、外乱からの反射光が、異なるタイミングで複数回受光されても、測定対象物からの反射光の受光タイミングを選択して、測定対象物までの距離を出力させることができる。
図4に示すように、外乱中に測定対象物が存在していて、外乱からの反射光を受光した後に、測定対象物からの反射光が受光される場合、外乱からの最初の反射光の受光タイミングは、ゼロクロス検出方式で検出されるものの、その後の外乱からの反射光については、ゼロクロス検出方式及び立上がりエッジ検出方式のいずれもが受光タイミングを検出せず、測定対象物からの反射光が受光されたときに立上がりエッジ検出方式が受光タイミングを検出する。
【0045】
従って、測定対象物からの反射光であると推定される光量の反射光を受光し、立上がりエッジ検出方式が受光タイミングを検出したときに、立上がりエッジ検出方式での測定結果を選択すれば、外乱からの反射光の受光を無効とし、測定対象物からの反射光の受光タイミングを抽出することになり、たとえ、外乱からの反射光が異なるタイミングで複数回受光されても、測定対象物までの距離を出力させることができる。
また、立上がりエッジ検出方式(立上がり回路92)と、ゼロクロス検出方式(共振回路91)とを備え、これらの検出方式における検出光量域の違いを利用して、測定対象物までの距離を選択させるので、外乱中の測定対象物を簡易な構成で検出することができる。
【0046】
図5のフローチャートは、前記距離値算出部101における選択処理の第2実施形態を示し、1つのパルス光が放射される毎に実行されるものとする。
この図5のフローチャートに示す第2実施形態は、モニタ期間内で受光した反射光の光量の最大値を検出することで、立上がりエッジ検出方式で受光タイミングの検出がなされたか否かを判断する構成である。
まず、ステップS301では、反射光の最大光量MAXを零にリセットする。
【0047】
次のステップS302では、反射光の光量の最新検出値が、それまでの最大光量MAXよりも大きいか否かを判断し、最新検出値が、それまでの最大光量MAXよりも大きい場合には、ステップS303へ進んで、最大光量MAXに最新検出値を設定する。
一方、最新検出値が、それまでの最大光量MAX以下であれば、ステップS303を迂回してステップS304へ進む。
ステップS304では、1つのパルス光の放射後に、前記モニタ期間が経過しているか否かを判断し、前記モニタ期間が経過するまでは、ステップS202へ戻って、最大光量MAXの更新処理を繰り返す。
【0048】
そして、前記モニタ期間が経過すると、ステップS305へ進み、前記モニタ期間内で受光した反射光の光量の最大値を示す前記最大光量MAXが、前記立上がりエッジ検出方式が受光タイミングを検出する光量域に含まれているか否か、換言すれば、立上がりエッジ検出方式が受光タイミングを検出する光量の反射光が発生したか否かを判断する。
ここで、前記最大光量MAXが、前記立上がりエッジ検出方式が受光タイミングを検出する光量域に含まれている場合には、ステップS306へ進み、立上がりエッジ検出方式の測定結果を選択し、立上がりエッジ検出方式で検出した受光タイミングに基づき測定した距離を、今回の測点に対応する検出結果として出力させる。
【0049】
一方、前記最大光量MAXが、前記立上がりエッジ検出方式が受光タイミングを検出する光量域に含まれていない場合には、ステップS307へ進み、ゼロクロス検出方式の測定結果を選択し、ゼロクロス検出方式で検出した受光タイミングに基づき測定した距離を、今回の測点に対応する検出結果として出力させる。
この第2実施形態の場合も、前記立上がりエッジ検出方式が受光タイミングを検出した場合に、立上がりエッジ検出方式での測定結果を選択することになり、第1実施形態と同様に、測定対象物が霧などの外乱の中に存在する場合であって、外乱からの反射光を異なるタイミングで複数回受光しても、測定対象物からの反射光の受光タイミングを選択して、測定対象物までの距離を出力させることができる。
【0050】
尚、モニタ期間における最大光量MAXの検出は、ピークホールド回路などを用いたハードウエアによって行わせることができる。
また、立上がりエッジ検出方式が受光タイミングを検出する光量の反射光が発生し、かつ、実際に立上がりエッジ検出方式が受光タイミングを検出している場合に、立上がりエッジ検出方式の測定結果を選択させることができる。
【0051】
図6のフローチャートは、前記距離値算出部101における選択処理の第3実施形態を示し、1つのパルス光が放射される毎に実行されるものとする。
前述のように、立上がりエッジ検出方式が受光タイミングを検出する検出光量域の光量の反射光を受光した場合に、立上がりエッジ検出方式での測定結果を選択すれば、外乱中に存在する測定対象物までの距離を出力することになるから、立上がりエッジ検出方式が受光タイミングを検出したか否かを判断させても同様な処理を行えることになり、第3実施形態は、直接反射光の光量を判断することなく、立上がりエッジ検出方式が受光タイミングを検出した場合に、立上がりエッジ検出方式での測定結果を選択させるようになっている。
【0052】
まず、ステップS401では、前記モニタ期間の経過を判断し、前記モニタ期間が終了するまでは、ステップS401での判断を繰り返す。
そして、モニタ期間が経過すると、ステップS402へ進み、立上がりエッジ検出方式で受光タイミングを検出したか否かを判断し、立上がりエッジ検出方式で受光タイミングを検出していれば、ステップS403へ進んで、立上がりエッジ検出方式の測定結果を選択し、立上がりエッジ検出方式で検出した受光タイミングに基づき測定した距離を、今回の測点に対応する検出結果として出力させる。
【0053】
一方、立上がりエッジ検出方式で受光タイミングを検出しなかった場合には、ステップS404へ進み、ゼロクロス検出方式の測定結果を選択し、ゼロクロス検出方式で検出した受光タイミングに基づき測定した距離を、今回の測点に対応する検出結果として出力させる。
上記第3実施形態によると、立上がりエッジ検出方式とゼロクロス検出方式との選択処理に、光量のデータが不要となり、ハードウエア構成及びソフトウエア処理を簡略化できる。
【0054】
ところで、前述のように、測定対象物が霧などの外乱の中に存在し、外乱からの比較的光量の低い反射光が1回乃至複数回受光された後、測定対象物からの比較的光量の高い反射光が受光される場合に、測定対象物からの比較的光量の高い反射光の受光タイミングを検出することになる立上がりエッジ検出方式を選択させ、ゼロクロス検出方式での測定結果を無効とすれば、測定対象物の見落としを防止できる。
そこで、上記反射光の発生パターンであることを判断して、選択処理を行わせることができ、係る構成とした第4実施形態を、図7のフローチャートに従って説明する。
【0055】
まず、ステップS501では、モニタ期間の経過を判断し、モニタ期間が経過すると、ステップS502へ進み、前記モニタ期間内で、ゼロクロス検出方式で計測した時間差と、立上がりエッジ検出方式で計測した時間とを読み込む。
次のステップS503では、最初の反射光についてゼロクロス検出方式及び立上がりエッジ検出方式の双方で受光タイミングを検出したか否かを判断する。具体的には、ゼロクロス検出方式で検出された時間差と、立上がりエッジ検出方式で検出された時間差とが、誤差範囲内で同じであるかを判断する。
【0056】
前記立上がりエッジ検出方式では、前記閾値よりも低い光量の反射光については、受光タイミングの検出を行わないが、光量が前記閾値よりも高ければ受光タイミングの検出を行い、このときに、同じ反射光についてゼロクロス検出方式でも受光タイミングが検出される。
従って、最初の反射光についてゼロクロス検出方式及び立上がりエッジ検出方式の双方で受光タイミングを検出した場合は、最初の反射光の光量が立上がりエッジ検出方式の閾値を超えていたことになる。
【0057】
前記閾値は、前述のように、霧,雨,雪などの外乱からの反射光に基づいて受光タイミングが検出されず、人間や障害物などの外乱に比べてより高い反射率である測定対象物からの反射光に基づいて受光タイミングが検出されるように設定されているから、最初の反射光の光量が閾値を超えていたということは、最初の反射光が外乱からの反射光ではなく、外乱に比べてより高い反射率である測定対象物からの反射光であったものと推定できる。
この場合、ゼロクロス検出方式及び立上がりエッジ検出方式での時間差の測定結果は、外乱からの反射光に基づき測定されたものではなく、検出誤差がないとすれば、双方の方式の測定結果は同じであって、測定対象物までの距離を示すことになる。
【0058】
しかし、前述のように、ゼロクロス検出方式では、受光素子42の出力信号の波高値が高くプリアンプ43が飽和してしまうと、ゼロクロス点にずれが生じて測距誤差を生じるのに対し、立上がりエッジ検出方式では、前記波高値が高いと受光タイミングの検出精度が高くなる。
そこで、ステップS503で、最初の反射光についてゼロクロス検出方式及び立上がりエッジ検出方式の双方で受光タイミングを検出したと判断されると、ステップS504へ進み、前記最初の反射光の光量が、前記プリアンプ43の飽和を発生させるほどに大きな値であったか否か、換言すれば、最初の反射光の光量が、ゼロクロス検出方式での検出精度を確保できる最大光量以下であったか否か(ゼロクロス検出方式での検出精度が低下する光量域に含まれていたか否か)を、最初の反射光の光量と飽和判定レベルとを比較することで判断する。
【0059】
最初の反射光の光量が飽和判定レベルよりも小さかった場合には、ステップS505へ進み、ゼロクロス検出方式での受光タイミングの検出によって計測した距離を外部に出力させる。
一方、最初の反射光の光量が飽和判定レベル以上であった場合には、ゼロクロス検出方式での受光タイミングの検出に誤差が生じている可能性があるので、ステップS506へ進んで、立上がりエッジ検出方式での受光タイミングの検出によって計測した距離を外部に出力させる。
【0060】
上記のように、ゼロクロス検出方式及び立上がりエッジ検出方式の双方で同じ受光タイミングを検出する場合には、ゼロクロス検出方式での検出精度を確保できる光量であればゼロクロス検出方式を選択し、ゼロクロス検出方式での検出精度を確保できる光量を超えていれば立上がりエッジ検出方式を選択し、より高い精度を発揮する方式を光量に基づき選択して出力する。
上記ステップS504〜ステップS506の処理機能が、第2出力選択手段に相当する。
【0061】
一方、最初の反射光についてゼロクロス検出方式及び立上がりエッジ検出方式の双方で受光タイミングを検出しなかったと、ステップS503で判断された場合、即ち、最初の反射光についてゼロクロス検出方式のみが受光タイミングを検出した場合には、ステップS507へ進む。
前記立上がりエッジ検出方式は、反射光の光量が閾値よりも高くないと、受光タイミングを検出しないので、最初の反射光についてゼロクロス検出方式でのみ受光タイミングを検出した場合には、最初の反射光の光量が立上がりエッジ検出方式の閾値を下回っていたことになり、最初の反射光について立上がりエッジ検出方式が受光タイミングを検出しなかった場合、最初の反射光の光量は、外乱からの反射光程度の低レベルであったことになる。
【0062】
ステップS507では、最初の反射光についてゼロクロス検出方式が受光タイミングを検出した後、遅れて、立上がりエッジ検出方式が受光タイミングを検出したか否かを判断する。具体的には、ゼロクロス検出方式で計測した時間差よりも、立上がりエッジ検出方式で計測した時間差が、誤差以上に大きいかを判断する。
最初の反射光についてゼロクロス検出方式が受光タイミングを検出した場合は、外乱からの反射光の受光タイミングを検出した可能性があり、該検出に遅れて立上がりエッジ検出方式が受光タイミングを検出した場合には、外乱よりも反射率の高い測定対象物が外乱中に存在していて、この反射率の高い測定対象物からの閾値を超える光量の反射光の受光タイミングを、前記立上がりエッジ検出方式が検出したことを示す。
【0063】
そこで、ステップS507で、最初の反射光についてゼロクロス検出方式が受光タイミングを検出した後、遅れて、立上がりエッジ検出方式が受光タイミングを検出したと判断すると、ステップS508へ進み、立上がりエッジ検出方式で検出した受光タイミングに基づき測定された距離、即ち、外乱中に存在している外乱よりも反射率の高い測定対象物までの距離を出力させる。
即ち、ステップS508へ進んだ場合には、ゼロクロス検出方式で検出した受光タイミングを無効とし、立上がりエッジ検出方式で検出した受光タイミングを選択したことになる。
【0064】
霧などの外乱中に外乱よりも反射率の高い測定対象物が存在する場合、図4に示すように、外乱からの反射光を1回乃至複数回受光した後、外乱よりも反射率の高い測定対象物からの光量の大きな反射光を受光する場合があるが、本実施形態では、立上がりエッジ検出方式が、外乱よりも反射率の高い測定対象物からの光量の大きな反射光についてのみ受光タイミングを検出するので、ゼロクロス検出方式が最初の反射光について受光タイミングを検出した後は、前記閾値を超える光量の反射光が受光されるようになるまで、立上がりエッジ検出方式が受光タイミングを検出することはない。
【0065】
従って、立上がりエッジ検出方式が受光タイミングを検出したことは、外乱での反射位置よりも遠い場所に位置する、外乱よりも反射率の高い測定対象物から反射光の受光タイミングを検出したことになり、立上がりエッジ検出方式が検出した受光タイミングに基づく距離を出力することは、外乱中に存在する測定対象物までの距離を出力することになり、外乱からの反射光の受光回数で不定であっても、外乱中に存在している測定対象物までの距離を確実に出力させることができる。
【0066】
一方、最初の反射光についてゼロクロス検出方式が受光タイミングを検出した後、立上がりエッジ検出方式が受光タイミングを検出することがなかった場合には、立上がりエッジ検出方式での閾値を超える光量の反射光が発生しなかったことになり、その場合には、ステップS509へ進み、ゼロクロス検出方式で検出した受光タイミングに基づき測定した距離を出力させる。
尚、ステップS509において、測定最大距離以内に測定対象物がないことを示す距離データ無しを最終結果として出力することもできる。
【0067】
1つのパルス光の放射に対してゼロクロス検出方式が受光タイミングを検出したのに、立上がりエッジ検出方式が受光タイミングを検出しなかった場合には、1つ乃至複数の反射光が全て外乱からの反射光であって、反射光の光量が立上がりエッジ検出方式の閾値を超えなかったことになる。
そして、霧などの外乱は、距離を測定したい測定対象物ではなく、外乱までの距離は無視しても悪影響のない測定結果であるから、前述のように、距離データ無しを最終結果として出力することができる。
【0068】
ところで、霧などの外乱が発生している状態では、外乱からの反射光を受光する測点が、全走査域に広く略均等に分布することになるから、係る特性であることを確認することで、実際に外乱が発生しているか否かを判断できることになる。
そこで、外乱からの反射光を受光する測点が、全走査域に広く略均等に分布するかを判断し、この判断結果に基づいて測距結果の選択を行わせる第5実施形態を、図8のフローチャートに従って説明する。
【0069】
図8のフローチャートにおいて、まず、ステップS601では、全走査域についてのパルス光による1走査が完了したか否かを判断し、走査完了するまでステップS601での処理を繰り返す。
そして、1走査が完了すると、ステップS602(外乱判定手段)へ進み、1つのパルス光に対して、最初に受光した反射光の光量が、前記立上がりエッジ検出方式が受光タイミングを検出しない低レベルであり、ゼロクロス検出方式でのみ最初の反射光の受光タイミングを検出した測点が、全走査域に広く略均等に分布しているかを判断する。
【0070】
前記分布判断は、全走査域を複数の測点を含む複数領域に分け、各領域毎に、ゼロクロス検出方式でのみ最初の反射光の受光タイミングを検出した測点の数を計数し、該計数値が所定値以上である領域数が、判定値以上であれば、全走査域に広く略均等に分布していると判断させることができる。
そして、ゼロクロス検出方式でのみ最初の反射光の受光タイミングを検出した測点が、全走査域に広く略均等に分布している場合には、ステップS603へ進み、霧などの外乱の発生状態であると判定し、ゼロクロス検出方式でのみ最初の反射光の受光タイミングを検出した測点があったとしても、係る測点が、全走査域に広く略均等に分布していない場合には、ステップS605へ進み、霧などの外乱は発生していないと判定する。
【0071】
ステップS603で霧などの外乱の発生状態を判定すると、ステップS604へ進み、前記図3図5図7のフローチャートに従って、立上がりエッジ検出方式での測定結果とゼロクロス検出方式での測定結果とのいずれを選択するかを決定させる。換言すれば、外乱の発生が判定されたことに基づいて、図3図5図7のフローチャートに従った検出方式の選択処理の実行(出力選択手段の作動)を許可する。
前記図3図5図7のフローチャートに示した選択処理は、基本的に、立上がりエッジ検出方式で受光タイミングを検出した場合又は検出する光量の反射光が発生した場合に、立上がりエッジ検出方式での測定結果を選択する処理であり、これにより、霧などの外乱が発生していても、測定対象物からの比較的高い光量の反射光を受光したタイミングに基づく測定結果が選択される。
【0072】
一方、ステップS605で霧などの外乱が発生していない状態であると判定された場合には、ステップS606へ進む。
ステップS606へ進んだ場合、霧などの外乱が発生していない状態であるから、最初の反射光が測定対象物からの反射光であると見なすことができる。そこで、測点毎に、最初の反射光の光量を前記飽和判定レベルと比較させ、最初の反射光の光量が、ゼロクロス検出方式での測定精度が低下するほどに高いか否かを判断する。
【0073】
そして、反射光の光量が前記飽和判定レベルよりも低ければ、ゼロクロス検出方式で高精度に受光タイミングを検出できるので、ステップS607へ進んで、ゼロクロス検出方式での測定結果を選択し、ゼロクロス検出方式で検出した受光タイミングに基づく距離の測定結果を出力させる。
一方、反射光の光量が前記飽和判定レベルよりも高ければ、ゼロクロス検出方式での検出精度が低下するのに対し、立上がりエッジ検出方式での受光タイミングの検出精度は充分に高いので、ステップS608へ進んで、立上がりエッジ検出方式での測定結果を選択し、立上がりエッジ検出方式で検出した受光タイミングに基づく距離の測定結果を出力させる。
【0074】
前記ステップS606〜ステップS608の機能が、第2出力選択手段に相当する。
尚、上記ステップS602では、低光量の反射光を受光した測点の分布を判断させたが、霧などの外乱からの反射光は、光量が低いという特性と共に、近距離で反射するという特性がある。
そこで、光量と共に、測定距離を判断して、外乱の発生状態であるか否かを判別させることができ、このようにして、外乱の発生を判断する第6実施形態を、図9のフローチャートに従って説明する。
【0075】
図9のフローチャートにおいて、ステップS602A以外の各ステップでの処理は、前記図8のフローチャートと同じであり、ステップS602Aの処理のみを説明する。
ステップS602Aでは、1つのパルス光に対して、最初に受光した反射光の光量が、前記立上がりエッジ検出方式が受光タイミングを検出しない低レベルであり、ゼロクロス検出方式でのみ最初の反射光の受光タイミングを検出し、かつ、該受光タイミングの検出結果から測定される距離が所定距離以下である測点が、全走査域に広く略均等に分布しているかを判断する。
【0076】
前記所定距離とは、霧などの外乱が発生した場合に、レーザ光の反射が発生する距離域の最大値付近に設定され、前記所定距離を越える位置からの反射は、外乱からの反射ではないものと推定される。
そして、光量が低く、近距離からの反射光を受光した測点が、全走査域に広く略均等に分布している場合には、ステップS603へ進んで外乱の発生を判定し、光量が低く、近距離からの反射光が測定された測点があっても、係る測点が全走査域に広く略均等に分布していない場合には、ステップS605へ進んで外乱は発生していないと判定する。
【0077】
尚、外乱が発生しているか否かの判定は、1走査毎に行わせる必要はなく、例えば、一定時間毎に行わせることができ、また、外乱判定用としてレーザ光の走査を行わせることができる。
また、霧などの外乱の発生を、図8又は図9のフローチャートに従って判定した場合に、そのときの外乱からの反射光の光量に応じて立上がりエッジ検出方式における閾値を補正することができる。
【0078】
更に、霧などの外乱の発生を判断した場合に、距離データと共に、外乱の発生を検知したことを示す信号を外部に出力させたり、外乱までの距離を示す距離データと、測定対照物までの距離を示す距離データとが区別できるように、データを付加して外部に出力させることができる。
また、霧などの外乱の発生を判断した場合に、投光パワーを増大させたり、投光頻度を増大させたり、測距視野を狭める(走査振幅を狭める)などして、測定対象物に対するレーザ光の被曝放出レベルを高め、測定対象物までの距離がより高精度に検出されるようにすることができる。
また、レーザ光の走査を、2次元でなく、1次元に行う装置であってもよい。
【符号の説明】
【0079】
1 光測距装置
2 2次元走査ミラー(スキャナ)
3 レーザ投光部
4 レーザ受光部
5b 投光/受光分離器
6 投受光窓
7 測定対象物
9 測距計測部
10 制御部
12 発光モニタ部
32 レーザ素子
42 受光素子
91 共振回路(第2受光タイミング検出手段)
92 立上がり回路(第1受光タイミング検出手段)
93,94 ストップタイミング生成部
95,96 時間計測部
97,98 A/D変換器
101 距離値算出部(出力選択部、第2出力選択部、外乱判定手段)
103 レーザ・スキャナ・コントローラ
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9