特許第5832164号(P5832164)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2015.5.11 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ 大王製紙株式会社の特許一覧
<>
  • 特許5832164-吸収性物品 図000002
  • 特許5832164-吸収性物品 図000003
  • 特許5832164-吸収性物品 図000004
  • 特許5832164-吸収性物品 図000005
  • 特許5832164-吸収性物品 図000006
  • 特許5832164-吸収性物品 図000007
  • 特許5832164-吸収性物品 図000008
  • 特許5832164-吸収性物品 図000009
  • 特許5832164-吸収性物品 図000010
  • 特許5832164-吸収性物品 図000011
  • 特許5832164-吸収性物品 図000012
  • 特許5832164-吸収性物品 図000013
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】5832164
(24)【登録日】2015年11月6日
(45)【発行日】2015年12月16日
(54)【発明の名称】吸収性物品
(51)【国際特許分類】
   A61F 13/15 20060101AFI20151126BHJP
   A61F 13/472 20060101ALI20151126BHJP
【FI】
   A61F13/18 340
【請求項の数】5
【全頁数】13
(21)【出願番号】特願2011-145336(P2011-145336)
(22)【出願日】2011年6月30日
(65)【公開番号】特開2013-9892(P2013-9892A)
(43)【公開日】2013年1月17日
【審査請求日】2014年6月25日
(73)【特許権者】
【識別番号】390029148
【氏名又は名称】大王製紙株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100104927
【弁理士】
【氏名又は名称】和泉 久志
(72)【発明者】
【氏名】則元 由美
【審査官】 北村 龍平
(56)【参考文献】
【文献】 特開2004−290602(JP,A)
【文献】 特開2009−142454(JP,A)
【文献】 特開2009−232950(JP,A)
【文献】 特開2005−007144(JP,A)
【文献】 特開2002−330992(JP,A)
【文献】 特開2009−125430(JP,A)
【文献】 特表平06−502336(JP,A)
【文献】 特開2000−024036(JP,A)
【文献】 特表平08−504640(JP,A)
【文献】 米国特許出願公開第2010/0312215(US,A1)
【文献】 米国特許第06042575(US,A)
【文献】 米国特許第05330461(US,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61F 13/00
13/15 − 13/84
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
透液性表面シートと不透液性裏面シートとの間に吸収体が介在された本体部分の両側部に夫々、装着時に下着のクロッチ部分を巻き込むようにして固定されるウイング状フラップが形成され、かつ前記ウイング状フラップの前記不透液性裏面シート側の面にウイングズレ止め粘着剤層が形成された吸収性物品において、
前記ウイング状フラップは、本体部分から外方に延びる前側外形線と、本体部分から外方に延びる後側外形線とを有し、前記前側外形線及び後側外形線は波状線として凸部と凹部とが交互に形成されるようにし、
前記ウイングズレ止め粘着剤層は、前記ウイング状フラップの前側外形線及び後側外形線の凹凸部の内、外方に突出する凸部に対応する位置のみに形成する間欠的なパターンとすることにより、装着時に前記ウイング状フラップは前記凸部でショーツとの固定が図られ、前記凹部ではショーツと固定されないようにしたことを特徴とする吸収性物品。
【請求項2】
前記ウイング状フラップは、前記吸収性物品の幅方向線と前記前側外形線との成す角度よりも前記吸収性物品の幅方向線と前記後側外形線との成す角度の方が大きく設定され、前記ウイング状フラップの重心がウイング状フラップの付け根と本体部分との接合線の中央よりも前側に偏倚している請求項1記載の吸収性物品。
【請求項3】
前記ウイングズレ止め粘着剤層は、前記ウイング状フラップの外形線の凸部の先端から内側に10〜15mmの位置に凸部同士を結ぶ直線と平行に引いた直線より内側の範囲として定義される中央領域には形成していない請求項1、2いずれかに記載の吸収性物品。
【請求項4】
前記ウイングズレ止め粘着剤層の平面形状において、前記ウイング状フラップの外方となる外側の形状線は、前記ウイング状フラップの外形線と平行する形状線としてある請求項1〜3いずれかに記載の吸収性物品。
【請求項5】
ウイングズレ止め粘着剤層は、該ウイングズレ止め粘着剤層の一部が前記ウイング状フラップの外形線の凹部同士を結ぶ仮想線より外側に延在するように形成されている請求項1〜4いずれかに記載の吸収性物品。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、下着への固定に際し、下着のクロッチ部分に巻き付けるようにして使用されるウイング状フラップを備えた吸収性物品に関する。
【背景技術】
【0002】
従来より、生理用ナプキン、パンティライナー、おりものシート、失禁パッドなどの吸収性物品Nとしては、例えば図11に示されるように、ポリエチレンシートまたはポリエチレンラミネート不織布などからなる不透液性裏面シート50と、不織布または透孔性プラスチックシートなどからなる透液性表面シート51との間に綿状パルプなどからなる吸収体52を介在させたものが知られている。
【0003】
この種の吸収性物品Nとしては、装着状態でのズレ止めを図るために、例えば非肌当接面側(外面)に1または複数条の粘着剤層53,53を形成し、かつナプキン本体の長手方向両側部に、外方に延在するウイング状フラップW、Wを一体的に形成するとともに、このウイング状フラップW、Wの不透液性裏面シート50側の面(外面)に粘着剤層54,54を設けるようにしたものが存在する。
【0004】
前記吸収性物品Nを下着60に固定するには、図12に示されるように、吸収性物品Nを下着60の局所対応部位にあてがい、側方に突出する前記ウイング状フラップW、Wを下着より外方に突出させ、両ウイング状フラップW、Wを折返し線RL、RLで折返し、下着のクロッチ部分を巻き込むようにしながら下着60の股間部外面に接着した後、下着を身体に装着するようにしている。
【0005】
この種の吸収性物品では、ウイング状フラップの下着(以下、ショーツともいう)への固定性を高めるための手段が種々提案されている。例えば、下記特許文献1では、一対のウイングが、吸収性本体の長手方向に伸張性を有し、且つその基端部の伸張性よりも先端部の伸張性の方が高くなされており、各ウイングには、吸収性物品を下着へ装着するための固定部が設けられている吸収性物品が開示されている。
【0006】
また、下記特許文献2では、ウイング部が、吸収性物品の装着時に少なくともそれぞれの一部が互いに重合可能に形成されており、一方のウイング部の片面に、メカニカルホックのオス部材が配設され、他方のウイング部の片面は、両ウイング重合時にオス部材が直接係合止着可能になされている吸収性物品が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】特許第4508885号
【特許文献2】特許第3818955号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
しかしながら、上記特許文献1記載の吸収性物品では、伸縮素材を利用してウイングの持ちやすさと下着への固定性を高めているものの、ズレ止め粘着剤層は伸縮性が高い領域に設けられているため、ウイングの伸縮状況によっては粘着剤層が湾曲したショーツの形状に沿ってしっかり固定できない可能性があった。
【0009】
また、上記特許文献2記載の吸収性物品では、装着時にウイング状フラップ同士がメカニカルテープでしっかりと固定されるものの、ショーツとウイングとの間には隙間が生じるため、ウイングが脚に当たって違和感を感じたり、ナプキンがショーツからずれることによって違和感やモレが生じるおそれがあった。
【0010】
そこで本発明の主たる課題は、装着中の湾曲したショーツの形状に沿ってウイング状フラップをしっかり固定できるようにするとともに、両側からの脚圧によるウイング状フラップのヨレや皺を抑制し、ショーツからウイング状フラップが剥離するのを防止した吸収性物品を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0011】
上記課題を解決するために請求項1に係る本発明として、透液性表面シートと不透液性裏面シートとの間に吸収体が介在された本体部分の両側部に夫々、装着時に下着のクロッチ部分を巻き込むようにして固定されるウイング状フラップが形成され、かつ前記ウイング状フラップの前記不透液性裏面シート側の面にウイングズレ止め粘着剤層が形成された吸収性物品において、
前記ウイング状フラップは、本体部分から外方に延びる前側外形線と、本体部分から外方に延びる後側外形線とを有し、前記前側外形線及び後側外形線は波状線として凸部と凹部とが交互に形成されるようにし、
前記ウイングズレ止め粘着剤層は、前記ウイング状フラップの前側外形線及び後側外形線の凹凸部の内、外方に突出する凸部に対応する位置のみに形成する間欠的なパターンとすることにより、装着時に前記ウイング状フラップは前記凸部でショーツとの固定が図られ、前記凹部ではショーツと固定されないようにしたことを特徴とする吸収性物品が提供される。
【0012】
上記請求項1記載の発明では、ウイング状フラップを、前記前側外形線及び後側外形線は波状線として凸部と凹部とが交互に形成されるようにすることにより、この凹凸曲線部分でウイング状フラップに作用する力が散逸されるため、装着中の湾曲したショーツにウイングを沿わせることができるようになる。また、ウイングズレ止め粘着剤層を、ウイング状フラップの外形線が外方に突出する凸部に対応する位置に形成することにより、ウイング状フラップの外形線の凹凸形状に合わせて間欠的なパターンで形成してあるため、両側からの脚圧によってショーツに皺が生じたとしても、間欠的な固定であるためウイング状フラップのヨレや皺が抑えられ、ショーツからウイング状フラップが剥離するのが防止できる。特に、ウイング状フラップの凸部でショーツとの固定が図られているため、凸部のめくれが防止できる一方で、凹部ではショーツと固定されていないためショーツのヨレや皺を吸収してウイング全体に進展させないようにすることができる。
【0013】
請求項2に係る本発明として、前記ウイング状フラップは、前記吸収性物品の幅方向線と前記前側外形線との成す角度よりも前記吸収性物品の幅方向線と前記後側外形線との成す角度の方が大きく設定され、前記ウイング状フラップの重心がウイング状フラップの付け根と本体部分との接合線の中央よりも前側に偏倚している請求項1記載の吸収性物品が提供される。
【0014】
上記請求項2記載の発明においては、ウイング状フラップの平面形状を、吸収性物品の幅方向線と前側外形線との成す角度(θ:図4参照)よりも吸収性物品の幅方向線と後側外形線との成す角度(β:〃)の方が大きく設定され、前記ウイング状フラップの重心がウイング状フラップの付け根と本体部分との接合線の中央よりも前側に偏倚(ΔS:〃)している形状とするものである。換言すると、従来の等脚台形状のフラップ形状に代えて、フラップの後側辺の傾斜を前側辺よりも急傾斜にした略三角形状又は不等脚台形状を採用するものである。このような外形状とすることにより、後で詳述するように、簡単に正規の折り位置できっちりと折返し貼着できるようになる。このような平面形状を有するウイング状フラップの場合、ウイングズレ止め粘着剤層は、前側外形線及び/又は後側外形線の凹凸形状に合わせて間欠的なパターンで形成する。なお、前側外形線、後側外形線を波状線等とした場合、幅方向線との成す角度(θ、β)を求める際の基礎となる前側外形線、後側外形線とは、波状線等の中心部を通る直線とする。
【0015】
請求項3に係る本発明として、前記ウイングズレ止め粘着剤層は、前記ウイング状フラップの外形線の凸部の先端から内側に10〜15mmの位置に凸部同士を結ぶ直線と平行に引いた直線より内側の範囲として定義される中央領域には形成していない請求項1、2いずれかに記載の吸収性物品が提供される。
【0016】
上記請求項3記載の発明では、ウイングズレ止め粘着剤層をウイング状フラップの中央領域には形成していないため、身体の動きに拘束されずにウイング状フラップを比較的柔軟に動かすことができるようになる。
【0017】
請求項4に係る本発明として、前記ウイングズレ止め粘着剤層の平面形状において、前記ウイング状フラップの外方となる外側の形状線は、前記ウイング状フラップの外形線と平行する形状線としてある請求項1〜3いずれかに記載の吸収性物品が提供される。
【0018】
上記請求項4記載の発明では、ウイングズレ止め粘着剤層の平面形状について規定してあり、ウイング状フラップの外方となる外側の形状線を、ウイング状フラップの外形線とほぼ平行する形状線としている。従って、ウイングズレ止め粘着剤層を凸部に対応する位置に形成した場合、ウイングズレ止め粘着剤層の外側の形状線は、ウイング状フラップの外方に突出する形状で形成される。
【0019】
請求項5に係る本発明として、ウイングズレ止め粘着剤層は、該ウイングズレ止め粘着剤層の一部が前記ウイング状フラップの外形線の凹部同士を結ぶ仮想線より外側に延在するように形成されている請求項1〜4いずれかに記載の吸収性物品が提供される。
【0020】
上記請求項5記載の発明では、ウイングズレ止め粘着剤層を、ウイング状フラップの外形線の凹部同士を結ぶ仮想線より外側に延在して形成することにより、凸部のめくれをより確実に防止することができるようになる。
【発明の効果】
【0021】
以上詳説のとおり、装着中の湾曲したショーツの形状に沿ってウイング状フラップをしっかり固定できるようになるとともに、両側からの脚圧によるウイング状フラップのヨレや皺が抑制でき、ウイング状フラップがショーツから剥離するのが防止できるようになる。
【図面の簡単な説明】
【0022】
図1】本発明に係る生理用ナプキン1の一部破断展開図である。
図2】その裏面図である。
図3図1のIII−III線矢視図である。
図4】ウイング状フラップの要部拡大平面図である。
図5】ナプキンの装着要領を示す、(A)は従来のウイング状フラップの場合、(B)は本発明に係るウイング状フラップの場合である。
図6】ウイング状フラップの折返し時の作用力メカニズムを示す、(A)は従来のウイング状フラップの場合、(B)は本願発明に係るウイング状フラップの場合である。
図7】本発明に係るウイング状フラップの平面形状を示す模式図(A)〜(D)である。
図8】ウイングズレ止め粘着剤層の形成パターンを示す平面図である。
図9】ウイング状フラップの平面図である。
図10】ウイングズレ止め粘着剤層の形成領域を示すウイング状フラップの拡大図である。
図11】従来の生理用ナプキンNの展開図である。
図12】その装着状態図である。
【発明を実施するための形態】
【0023】
以下、本発明の実施の形態について図面を参照しながら詳述する。
【0024】
《生理用ナプキン1》
本発明に係る生理用ナプキン1は、ポリエチレンシート、ポリプロピレンシートなどからなる不透液性裏面シート2と、経血やおりものなどを速やかに透過させる透液性表面シート3と、これら両シート2,3間に介在された綿状パルプまたは合成パルプなどからなる吸収体4と、この吸収体4の形状保持および拡散性向上のために前記吸収体4を囲繞するクレープ紙5と、前記透液性表面シート3とクレープ紙5との間に介在された親水性不織布からなるセカンドシート6と、表面両側部にそれぞれ長手方向に沿って形成されたサイド不織布7,7とから構成されている。前記吸収体4の周囲において、その上下端縁部では、前記不透液性裏面シート2と透液性表面シート3との外縁部がホットメルトなどの接着剤やヒートシール等の接着手段によって接合され、またその両側縁部では吸収体4よりも側方に延出している前記不透液性裏面シート2と前記サイド不織布7とがホットメルトなどの接着剤やヒートシール等の接着手段によって接合されている。
【0025】
以下、さらに前記生理用ナプキン1の構造について詳述すると、
前記不透液性裏面シート2は、ポリエチレンやポリプロピレン等のオレフィン系樹脂シートなどの少なくとも遮水性を有するシート材が用いられるが、この他にポリエチレンシート等に不織布を積層したラミネート不織布や、さらには防水フィルムを介在して実質的に不透液性を確保した上で不織布シート(この場合には防水フィルムと不織布とで不透液性裏面シートを構成する。)などを用いることができる。近年はムレ防止の観点から透湿性を有するものが用いられる傾向にある。この遮水・透湿性シート材は、ポリエチレンやポリプロピレン等のオレフィン系樹脂中に無機充填剤を溶融混練してシートを成形した後、一軸または二軸方向に延伸することにより得られる微多孔性シートである。
【0026】
前記透液性表面シート3は、有孔または無孔の不織布や多孔性プラスチックシートなどが好適に用いられる。不織布を構成する素材繊維としては、たとえばポリエチレンまたはポリプロピレン等のオレフィン系、ポリエステル系、ポリアミド系等の合成繊維の他、レーヨンやキュプラ等の再生繊維、綿等の天然繊維とすることができ、スパンレース法、スパンボンド法、サーマルボンド法、メルトブローン法、ニードルパンチ法等の適宜の加工法によって得られた不織布を用いることができる。これらの加工法の内、スパンレース法は柔軟性、ドレープ性に富む点で優れ、サーマルボンド法は嵩高でソフトである点で優れている。なお、前記透液性表面シート3の上面側から各種のエンボスを付与し、体液の滞留を促進し吸収効率を高めることにより横漏れを防止するのが望ましい。
【0027】
前記不透液性裏面シート2と透液性表面シート3との間に介在される吸収体4は、たとえばフラッフ状パルプと吸水性ポリマーとにより構成されている。前記吸水性ポリマーは吸収体を構成するパルプ中に、例えば粒状粉として混入されている。前記パルプとしては、木材から得られる化学パルプ、溶解パルプ等のセルロース繊維や、レーヨン、アセテート等の人工セルロース繊維からなるものが挙げられ、広葉樹パルプよりは繊維長の長い針葉樹パルプの方が機能および価格の面で好適に使用される。本例のように、吸収体4を囲繞するクレープ紙5を設ける場合には、結果的に透液性表面シート3と吸収体4との間にクレープ紙5が介在することになり、吸収性に優れる前記クレープ紙5によって体液を速やかに拡散させるとともに、これら経血等の逆戻りを防止するようになる。
【0028】
前記透液性表面シート3とクレープ紙5との間に介在された親水性不織布からなるセカンドシート6は、たとえばポリエチレンまたはポリプロピレン等のオレフィン系、ポリエステル系、ポリアミド系等の合成繊維の他、レーヨンやキュプラ等の再生繊維、綿等の天然繊維とすることができ、スパンレース法、スパンボンド法、サーマルボンド法、メルトブローン法、ニードルパンチ法等の適宜の加工法によって得られた不織布を用いることができる。親水性を付与するには、合成繊維の製造過程で親水基を持つ化合物、例えばポリエチレングリコールの酸化生成物などを共存させて重合させる方法や、塩化第2スズのような金属塩で処理し、表面を部分溶解し多孔性とし金属の水酸化物を沈着させる方法等により合成繊維を膨潤または多孔性とし、毛細管現象を応用して親水性を与えることができる。なお、上記セカンドシート6は、透液性表面シート3を多孔性プラスチックシートとする組合せで用いるのが最も望ましい。
【0029】
一方、本生理用ナプキン1の表面がわ両側部にはそれぞれ、長手方向に沿ってかつナプキン1のほぼ全長に亘ってサイド不織布7,7が設けられ、このサイド不織布7,7の一部が側方に延在されるとともに、同じく側方に延在された不透液性裏面シート2の一部とによりウイング状フラップW、Wが形成されている。このウイング状フラップWについては後で詳述する。
【0030】
前記サイド不織布7としては、重要視する機能の点から撥水処理不織布または親水処理不織布を使用することができる。たとえば、経血やおりもの等が浸透するのを防止する、あるいは肌触り感を高めるなどの機能を重視するならば、シリコン系、パラフィン系、アルキルクロミッククロリド系撥水剤などをコーティングした撥水処理不織布を用いることが望ましい。また、前記ウイング状フラップW、Wにおける経血等の吸収性を重視するならば、合成繊維の製造過程で親水基を持つ化合物、例えばポリエチレングリコールの酸化生成物などを共存させて重合させる方法や、塩化第2スズのような金属塩で処理し、表面を部分溶解し多孔性とし金属の水酸化物を沈着させる方法等により合成繊維を膨潤または多孔性とし、毛細管現象を応用して親水性を与えた親水処理不織布を用いるようにする。
【0031】
図2に示されるように、前記透液性表面シート3と不透液性裏面シート2との間に吸収体4が介在された本体部分の非肌当接面には、下着に対する固定のために適宜の塗布パターンによって複数条の、図示例では3条の本体ズレ止め粘着剤層8,8…が形成されているとともに、これら本体ズレ止め粘着剤層8,8…が図示されない本体用剥離材によって覆われている。また、前記ウイング状フラップW、Wの不透液性裏面シート2側の面には、ウイングズレ止め粘着剤層9が形成されるとともに、これらウイングズレ止め粘着剤層9,9が図示されないウイング用剥離材によって覆われている。前記剥離材は、本体用剥離材と横断方向に配置されたウイング用剥離材とを交差部で接合し、1回の剥離手間で剥離材を撤去できるようにするのが望ましく、前記ウイング状フラップW、Wは、個装状態では透液性表面シート3側に折り畳む、所謂腹折りとしても良いし、不透液性裏面シート2側に折り畳む、所謂背折りとすることでもよい。また、ウイングズレ止め粘着剤層9,9を覆う剥離材として1枚の剥離材ではなく、左右に分離させてもよい。
【0032】
前記剥離材としては、ズレ止め粘着剤層8,9に対する当接面に対し、例えばシリコーン系樹脂、フッ素系樹脂、または四フッ化エチレン系樹脂などの離型処理液を塗工するかスプレー塗布し離型処理した紙またはプラスチックシートを用いることができる。
【0033】
前記ズレ止め粘着剤層8,9を形成する粘着剤としては、たとえばスチレン系ポリマー、粘着付与剤、可塑剤のいずれかが主成分であるものが好適に使用される。前記スチレン系ポリマーとしては、スチレン−エチレン−ブチレン−スチレンブロック共重合体、スチレン−ブチレン−スチレンブロック共重合体、スチレン−イソブチレン−スチレン共重合体等が挙げられるが、これらのうち1種のみを使用しても、二種以上のポリマーブレンドであってもよい。この中でも熱安定性が良好であるという点で、スチレン−エチレン−ブチレン−スチレンブロック共重合体が好ましい。また、前記粘着付与剤および可塑剤としては、常温で固体のものを好ましく用いることができ、粘着付与剤ではたとえばC5系石油樹脂、C9系石油樹脂、ジシクロペンタジエン系石油樹脂、ロジン系石油樹脂、ポリテルペン樹脂、テルペンフェノール樹脂等が挙げられ、前記可塑剤では例えば、リン酸トリフレシル、フタル酸ジブチル、フタル酸ジオクチル等のモノマー可塑剤の他、ビニル重合体やポリエステルのようなポリマー可塑剤が挙げられる。
【0034】
《ウイング状フラップW及びウイングズレ止め粘着剤層9》
本生理用ナプキン1では、ウイング状フラップWは、外形線の少なくとも一部が波状線や曲線又はこれらの組み合わせとした凹凸曲線で形成してあり、このウイング状フラップWの不透液性裏面シート2側の面に形成されるウイングズレ止め粘着剤層9は、ウイング状フラップWの外形線の凹凸形状に合わせて間欠的なパターンで形成してある。このように、ウイング状フラップWの外形線を凹凸曲線で形成することによって、この凹凸曲線がウイング状フラップWに作用する力を散逸するため、装着中の湾曲したショーツにウイングを沿わせることができ、さらにこの凹凸曲線に合わせて間欠的なパターンでウイングズレ止め粘着剤層9を形成することによって、両側からの脚圧に伴ってウイング状フラップWに作用する力が凹凸曲線で散逸されるため、ウイング状フラップWのヨレや皺の発生が抑制できるとともに、ウイングズレ止め粘着剤層をウイング状フラップの外形線に沿って連続的なパターンで形成したときより動きが拘束されにくくなるため、ショーツやウイング状フラップWのヨレや皺をウイングズレ止め粘着剤層9の間欠部分で吸収して、ウイング状フラップWのヨレや皺の発生が抑制できるようになる。
【0035】
前記ウイング状フラップWは、詳細には図4に示されるように、本体部分から外方に延びる前側外形線10と、本体部分から外方に延びる後側外形線11と、前記前側外形線10と後側外形線11とを繋ぐ先端側外形線12とからなる外形状を成す。そして、これらの外形線のうち少なくとも一部が波状線や曲線又はこれらの組み合わせとしてある。好ましくは、前記前側外形線10及び後側外形線11の少なくとも一方が波状線や曲線又はこれらの組み合わせとしてある。
【0036】
また、本生理用ナプキン1では、前記ウイング状フラップWの形状を、生理用ナプキン1の幅方向線と前記前側外形線10との成す角度θよりも前記生理用ナプキン1の幅方向線と前記後側外形線11との成す角度βの方が大きく設定され、前記ウイング状フラップWの重心13がウイング状フラップWの付け根と本体部分との接合線15の中央点14よりもΔSだけ前側に偏倚させるようにすることが望ましい。なお、上記条件を満たす形状を模式的に示すと、図7(A)、(C)に示される略三角形状か、図7(B)、(D)に示される略不等脚台形状となる。形状が略三角形状の場合は、前側外形線10と後側外形線11とを繋ぐ先端側外形線12が存在しないような形状としてもよい。また、前記前側外形線10、後側外形線11及び先端側外形線12は、波状線や曲線又はこれらの組み合わせである必要はなく、一部が直線であってもよい。前側外形線10、後側外形線11が波状線や曲線又はこれらの組み合わせの場合、角度θ、βは、これらの波状又は曲線外形線の中心線が成す勾配を取ればよい。
【0037】
前記生理用ナプキン1の幅方向線と前記前側外形線10との成す角度θは、0〜15°程度とし、前記生理用ナプキン1の幅方向線と前記後側外形線11との成す角度βは35〜40°程度とするのが望ましく、この場合、前記生理用ナプキン1の幅方向線と前記前側外形線10との成す角度θと、前記生理用ナプキン1の幅方向線と前記後側外形線11との成す角度βとの角度差は30°以上とするのが望ましい。この角度差が30°以上であると、十分な偏心距離ΔSを確保でき、ウイング状フラップWを折り返す際に、後述のように、手を前側に動かす動作を伴いながら手でウイング状フラップを折り返しても、きっちりと正規の状態で装着できるようになる。
【0038】
ウイング状フラップWを上記のような外形状とすることにより、ウイング状フラップに粘着剤同士の接着や誤接着などの不具合を生じさせずに、簡単に正規の折り位置できっちりと折返し貼着できるなどの利点をもたらすことが可能となる。この点について、従来の等脚台形状のウイング状フラップW(図11参照)との比較によって更に詳述する。
【0039】
先ず、女性が便器等に座った状態で生理用ナプキン1をショーツ30に装着する場合は、ショーツ30を下げ降ろした状態で行うため、図5に示されるように、身体よりも前側でナプキン1の装着作業を行うことになる。
【0040】
従来の等脚台形状のウイング状フラップWの場合は、図5(A)に示されるように、手をナプキンの両側に添えた状態からウイング状フラップを真下方向に折り返さないとうまく装着できない構造となっている。しかし、装着位置が身体よりも前側になっていることから、注意していないと手を前側に動かす動作(図5(B))が入ってしまい、ウイング状フラップの一部だけが折り返され、粘着剤同士が接着してしまいシワや隆起部が出来たり、ウイング状フラップWが中間で折り返され粘着剤層に接着してしまう誤接着などの不具合が出来たりしていた。また、ウイング状フラップの折返し線が斜めに曲がって折り返されることがあった。そこで、本発明では、図5(B)に示されるように、前記ウイング状フラップWを折り返す際に、手を前側に動かす動作を伴いながら手でウイング状フラップを折り返しても、きっちりと正規の状態で装着できるウイング形状としたものである。
【0041】
図6(A)は、従来の等脚台形状のウイング状フラップWの折返し時の作用力メカニズムを示したものであるが、手を前側に動かす動作を伴いながら手でウイング状フラップを折り返す場合、ウイング状フラップWの後側外形線から先端側に亘って下側に向かう荷重が作用するとし、これらの分布荷重を纏めた集中荷重ΣPを想定すると、この集中荷重ΣPによって生じるモーメントの基点はウイング状フラップの接合線15の中央点14となり、ウイング状フラップWを折り返す際に捻れが生じ、後側外形線11の基端から徐々に進行していく折返し線16は外側に傾いてしまうことになる。
【0042】
これに対して、本発明の場合は、図6(B)に示されるように、傾斜した後側外形線11の中央部分に下側に向かう荷重が作用するとし、これらの分布荷重を纏めた集中荷重ΣPを想定すると、この集中荷重ΣPによって生じるモーメントの基点はウイング状フラップの接合線15の中央点14よりも前側にシフトした重心分割点13’(接合線15の1:2分割点)となり、ウイング状フラップWを折り返す際の捻れが少ないため、後側外形線11の基端から徐々に進行していく折返し線16は接合線15と一致し、正規の折返し位置で折り返されることになる。
【0043】
また、ウイング状フラップWの後側外形線11が大きく傾斜した形状となっているため、ウイング状フラップWに粘着剤同士の接着や誤接着などの不具合を生じさせることなく、折返し線RLできっちりと折り畳まれるようになる。
【0044】
一方、前記ウイング状フラップWの突出長Lは、35mm以上、好ましくは40〜50mmとし、ショーツ30のクロッチ幅でウイング同士が重なってショーツへの固定がしっかりとできるようにするのがよい。なる。なお、ウイング状フラップWの基端部のナプキン長手方向の長さは、ショーツのクロッチ内に納まるように80mm以内とするのがよい。
【0045】
ウイング状フラップWの外形線は、図7(A)、(B)に示されるように、前側外形線10が幅方向線とほぼ一致するように形成することができる。(A)は先端側外形線12を曲線状としたもの、(B)は先端側外形線12に直線部分を含むものである。また、同図7(C)、(D)に示されるように、前側外形線10が幅方向線に対して傾斜している場合も同様に、先端側外形線12を曲線状((C))、直線状((D))とすることができる。
【0046】
次に、前記ウイング状フラップWの裏面側に設けられるウイングズレ止め粘着剤層9について説明すると、ウイングズレ止め粘着剤層9は、図2に示されるように、ウイング状フラップWの外形線の凹凸形状に合わせて間欠的なパターンで形成してある。具体的には、前側外形線10、後側外形線11を波状線や曲線又はこれらの組み合わせとし、凸部20と凹部21とが交互に形成されるようにした場合、ウイング状フラップWの外形線が外方に突出する凸部20に対応する位置に合わせて間欠的なパターンで形成することが好ましい。また、図2に示される例では、ウイング状フラップWの先端部のめくれを防止するため、先端部から内側に15mm以内の範囲内にウイングズレ止め粘着剤層9が形成されている。このウイング先端部のウイングズレ止め粘着剤層9は、ウイング先端の形状によっては形成しないこともできる。
【0047】
ウイングズレ止め粘着剤層9は、図2に示される楕円形状の他、種々の平面形状で形成することができる。例えば、図8(A)に示される蒲鉾形や、同図(B)に示される三日月型などとすることができる。但し、ウイング状フラップWと一体となってショーツの動きに追従させるため、ウイング状フラップWの外方となる外側の形状線9aは、対応するウイング状フラップWの外形線の凸部20とほぼ平行する形状線とすることが好ましい。
【0048】
一方、図9に示されるように、ウイングズレ止め粘着剤層9は、ウイング状フラップWの中央領域には形成しないことが好ましい。このウイング状フラップWの中央領域とは、外形線の凸部20の先端から内側に10〜15mmの位置に凸部20同士を結ぶ直線と平行に引いた直線より内側の範囲をいう。このウイング状フラップWの中央領域ではショーツに固定されない一方で、周縁部ではしっかりとショーツに固定されているため、身体の動きに拘束されず、ウイング状フラップWを柔軟に動かすことができるようになる。
【0049】
図10に示されるように、ウイングズレ止め粘着剤層9は、ウイング外形線の凹部同士を結ぶ仮想線18より外側に延在して形成されるように配置することが好ましい。これにより、ウイング状フラップWの凸部のめくれが確実に防止できるようになる。
【0050】
〔その他の形態例〕
(1)前記ウイング状フラップWがナプキン長手方向及び/又は幅方向に伸縮性を有する素材で構成されていることで、身体の動きにウイング状フラップWが追従し応力を緩和するため、装着感が良好になるとともに、ズレ難くなる。具体的には、前記サイド不織布7として、伸縮性を有するサイド不織布、具体的にはポリウレタンなどの可逆的に塑性変形し易い弾性樹脂材料からなる長繊維で構成した不織布、または引き延ばされた際に繊維自体の繊維直径は変化しないものの、ジグザグ状またはスパイラル状の捲縮が形成され、この捲縮が引き延ばされることによって伸縮性を示すようにした不織布等を使用するとともに、前記不透液性裏面シート2として伸縮性プラスチックフィルムを使用することにより、前記ウイング状フラップW、Wに伸縮性を与え、身体の動きに追従させるようにする。
【符号の説明】
【0051】
1…生理用ナプキン、2…不透液性裏面シート、3…透液性表面シート、4…吸収体、5…クレープ紙、6…セカンドシート、7…サイド不織布、8…本体ズレ止め粘着剤層、9…ウイングズレ止め粘着剤層、10…前側外形線、11…後側外形線、12…先端側外形線、W…ウイング状フラップ
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12