(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記流量増加制御手段は、前記判定手段によって前記所定圧力を下回ると判定された場合に、前記液圧シリンダー内が前記所定圧力となるようにフィードバック制御を行う請求項1に記載の型締装置。
固定金型を備える固定型盤と、可動金型を備える可動型盤と、前記固定型盤に対して前記可動型盤を近接および離間させる液圧シリンダーと、を備える型締装置の型開閉方法において、
前記液圧シリンダー内の圧力を検出する工程と、
前記可動型盤の減速時に、前記液圧シリンダー内の圧力が該液圧シリンダーの最低駆動圧力よりも低い正の所定圧力を下回った場合に、前記液圧シリンダーに供給する作動液の流量を増加する流量増加工程を有することを特徴とする型開閉方法。
固定金型を備える固定型盤と、可動金型を備える可動型盤と、前記固定型盤に対して前記可動型盤を近接および離間させる液圧シリンダーと、を備える型締装置の型開閉方法において、
前記液圧シリンダーの移動速度を検知する工程と、
前記可動型盤の減速時に、前記液圧シリンダーの速度が、前記予め設定された所定の速度勾配に対し、所定の量あるいは所定の比率だけ上回ったと判定された場合に、前記液圧シリンダーに供給する作動液の流量を増加する流量増加工程を有することを特徴とする型開閉方法。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、上述した特許文献1に記載の技術の場合、予め設定されたピストンの減速勾配に対応した油量制御であるため、
図7に示すように可動型盤の摺動部の潤滑抵抗が小さくなった場合や、可動型盤に取り付ける金型の重量が大きくなったりした場合などの変化によって可動型盤の慣性による動作が大きくなり実際の減速勾配(
図7中、実線で示す)が予め設定された減速勾配(
図7中、破線で示す)から高速側にずれてしまうと、可動型盤の移動に引っ張られた油圧シリンダーの実際の速度が、作動油の供給流量分の油圧シリンダーの移動速度以上に大きくなってしまうため、油圧シリンダーの油室容積の拡大に供給作動油量が追いつけずに、油圧シリンダー内が負圧となって可動型盤の一時停止やスティックスリップが発生してしまう虞がある。
【0007】
また、一般的には射出成形機の可動型盤の速度設定は所定の位置において、不連続な段階的な切り替え設定による制御であるが、
図8に示すように、例えば、ユーザーにより、ピストンの減速工程中において多段の減速切り替えの設定(
図8中、破線で示す)がなされてしまった場合、速度切り替え位置で、ピストンの減速勾配(
図8中、実線で示す)の限界を突然超えるよう制御を行うこととなる。この場合においても上記
図7と同様に、作動油の流量減少が停止した後も可動型盤がその慣性によって移動を継続してしまい、油圧シリンダー内が負圧となって可動型盤の一時停止やスティックスリップが発生してしまう虞がある。
【0008】
ここで、例えば、可動型盤の移動速度に基づいて作動油の流量をフィードバック制御することが考えられるが、可動型盤の移動速度を検出するためのセンサーなど部品点数の増加や制御の複雑化を招いてしまい、コストが上昇してしまうという課題がある。
また、比例電磁弁やサーボ弁等を用いて作動油の流量を調整しようとした場合、当該弁内の流路において圧力損失が発生する為、当該弁の下流である油圧アクチュエータ側で所望の圧力を得るためには、当該弁の上流である油圧源の圧力を、少なくとも圧力損失分だけ油圧アクチュエータに必要な圧力に上乗せした圧力に保持しなければならず、エネルギーロスが非常に大きくなってしまうという課題がある。
【0009】
一方で、上述した特許文献2に記載された技術の場合、油圧シリンダーに発生する負圧を利用して作動油を作動油タンクから供給するようになっているため、可動型盤に生じる一時停止やスティックスリップの継続時間を短くすることは可能であるが、油圧シリンダー内が一旦負圧にならないと、つまり油圧シリンダーの駆動力が無くなり、油圧シリンダーの動作抵抗となる駆動側油室内の負圧が発生しないと、油圧シリンダー内に油の吸い込みができないため一時停止やスティックスリップ自体の発生を防止することはできない。また、圧力低下を利用して作動油を供給するため、作動油タンクから作動油を吸い上げるのに時間がかかり、一時停止やスティックスリップの発生時間の更なる短縮化が難しいという課題がある。
この発明は、上記事情に鑑みてなされたものであり、エネルギーロスが少ない簡易な構成で液圧シリンダー内の圧力低下に起因する一時停止やスティックスリップの発生を確実に防止して、型開閉を高速化可能な型締装置、射出成形装置、および、型開閉方法を提供するものである。
【課題を解決するための手段】
【0010】
上記の課題を解決するために以下の構成を採用する。
この発明に係る型締装置は、固定金型を備える固定型盤と、可動金型を備える可動型盤と、前記固定型盤に対して前記可動型盤を近接および離間させる液圧シリンダーと、を備える型締装置において、前記液圧シリンダーへ作動液を供給する液圧供給源と、該液圧供給源の駆動制御を行う制御部と、を備え、前記制御部は、前記可動型盤の移動速度を予め設定された減速勾配に応じて減速する際に、前記予め設定された減速勾配に応じて作動液の流量を減少させる減速時流量減少制御手段と、該減速時流量減少制御手段により前記予め設定された減速勾配に応じて作動液の流量を減少させているときに、作動液の流量を増加制御可能な流量増加制御手段を備えることを特徴としている。
このように構成することで、可動型盤の移動速度を高速から低速に変位させるなど減速する際に、減速時流量減少制御手段により液圧シリンダーに供給する作動液の流量を予め設定された所定の減速勾配に応じて減少させることができる。また、可動型盤に取り付ける金型の質量増加や可動型盤動作の摺動抵抗の低下などによって可動型盤の速度が低下し難く、予め設定された所定の減速勾配よりも実際の減速勾配が緩やかになってしまう場合であっても、流量増加制御手段により液圧シリンダーに供給する作動液の流量を増加して、液圧が必要以上に低下するのを防止することができる。
【0011】
さらに、この発明に係る型締装置は、上記型締装置において、前記液圧シリンダーへ供給される作動液の液圧を検出する液圧検出部と、前記液圧シリンダー内が予め設定された正の所定圧力を下回るか否かを判定する判定手段と、を備え、前記流量増加制御手段は、減速時流量減少制御手段によって作動液の流量を減少させているときに前記判定手段によって前記液圧シリンダー内が所定圧力を下回ると判定された場合に、作動液の流量を増加させるようにしてもよい。
このように構成することで、実際の液圧に基づいて液圧シリンダー内の圧力低下を検出することができると共に、液圧シリンダー内が正の所定圧力を下回ったと判定された時点で作動液の流量を増加することができるため、可動型盤が一時停止したりスティックスリップが発生したりする負圧まで液圧が低下する前に液圧を上昇させることができる。
【0012】
さらに、この発明に係る型締装置は、上記型締装置において、前記流量増加制御手段が、前記判定手段によって前記所定圧力を下回ると判定された場合に、前記液圧シリンダー内が前記所定圧力となるようにフィードバック制御を行うようにしてもよい。
このように構成することで、所定圧力を下回った液圧シリンダー内の圧力を、フィードバック制御によってスムーズ且つ確実に所定圧力まで上昇させることができる。
【0013】
さらに、この発明に係る型締装置は、上記型締装置において、前記液圧シリンダーの移動速度を検知する速度検出部と、前記液圧シリンダーの移動速度の減速勾配と前記予め設定された減速勾配を比較する比較手段と、を備え、前記流量増加制御手段は、減速時流量減少制御手段によって作動液の流量を減少させているときに前記比較手段によって前記液圧シリンダーの速度が、前記予め設定された所定の速度勾配に対し、所定の量あるいは所定の比率だけ上回ったと判定された場合に、作動液の流量を増加させるようにしてもよい。
このように構成することで、実際の液圧シリンダーの移動速度に基づいて液圧シリンダーの移動速度が増加したことを検出することができると共に、液圧シリンダーの移動速度が、予め設定された所定の速度勾配に対し、所定の量あるいは所定の比率だけ上回ったと判定された時点で作動液の流量を増加することができるため、可動型盤が一時停止したりスティックスリップが発生したりする負圧まで液圧が低下する前に液圧を上昇させることができる。一般に液圧シリンダーの速度フィードバック制御を行う場合は、液圧シリンダーの作動油の入口側と出口側にそれぞれ連通した油口を備えた4ポート式のサーボバルブにより、作動油の供給量と排出量を同時に制御することで、背圧側を絞ってブレーキを負荷させることで、液圧シリンダーの慣性による速度制御不良(特に液圧アクチュエータ動作の一旦停止)を発生することなく制御できる。また3ポート式のサーボバルブを用いた場合でも、所定値の背圧を常に負荷させておくことで、同様に液圧シリンダーの慣性による速度制御不良を発生することなく制御できる。しかし、本発明に拠れば、一種の速度フィードバック制御となるものの、高価なサーボバルブを用いることなく、液圧アクチュエータ動作の一旦停止を防止することができる。
【0014】
さらに、この発明に係る型締装置は、上記型締装置において、前記液圧供給源は、前記減速時流量減少制御手段によって駆動制御される主ポンプと、前記流量増加制御手段によって駆動制御される副ポンプと、を備えるようにしてもよい。
このように構成することで、可動型盤の移動速度を減速させている際に、主ポンプの流量を減少させつつ、副ポンプを用いて作動液の流量を増加させることができる。また、複数の液圧ポンプを用いて液圧シリンダーを駆動する型締装置にあっては、可動型盤の減速時に停止している液圧ポンプを作動液の流量を増加させるための副ポンプとして有効利用することができる。
【0015】
さらに、この発明に係る型締装置は、上記型締装置において、前記流量増加制御手段が、前記作動液の流量を増加開始してから所定時間後に、該作動液の流量増加を停止するようにしてもよい。
このように構成することで、例えば、流量増加制御手段によって作動液の供給を開始してから液圧が上昇するまでの実用上問題のない範囲の時間を予め計測して求めておくことで、液圧シリンダー内の圧力が最低駆動圧力レベルまで戻ることを確認して制御する方法よりも精度や省エネ効果は劣るものの、可動型盤の移動速度を検出したり、液圧シリンダー内の圧力を検出し所定の予め定めた所定の圧力と比較したりするなどといった複雑な計算を行ったりすることなしに制御ができるので、高応答かつ実用上使用可能なタイミングで作動液の流量増加を停止することができる。
【0016】
また、この発明に係る射出成形装置は、上記型締装置を備えることを特徴としている。
このように構成することで、可動型盤の一時停止やスティックスリップを防止して型締装置をより高速で駆動することができるため、射出成形のサイクルタイムを短縮することができる。
【0017】
また、この発明に係る型開閉方法は、固定金型を備える固定型盤と、可動金型を備える可動型盤と、前記固定型盤に対して前記可動型盤を近接および離間させる液圧シリンダーと、を備える型締装置の型開閉方法において、可動型盤の減速時に、前記液圧シリンダー内の圧力が該液圧シリンダーの最低駆動圧力よりも低い正の所定圧力を下回ったと判定された場合に、少なくとも前記液圧シリンダー内の圧力が前記所定圧力となるまで前記液圧シリンダーに供給する作動液の流量を増加する流量増加工程を有することを特徴としている。
このようにすることで、可動型盤の移動速度を減速させる際に、液圧シリンダー内の液圧が、液圧シリンダーを駆動可能な最低駆動圧力よりも低い正の所定圧力となったタイミングで、作動液の流量を増加することができるため、可動型盤が一時停止したりスティックスリップが発生したりする程度まで、液圧シリンダー内の圧力が低下するのを防止できる。
【発明の効果】
【0018】
この発明に係る型締装置、射出成形装置、および、型開閉方法によれば、エネルギーロスが少ない簡易な構成で液圧シリンダー内の圧力低下に起因する一時停止やスティックスリップの発生を確実に防止して、型開閉を高速化することが可能となる。
【発明を実施するための形態】
【0020】
次に、この発明の実施形態における型締装置、射出成形装置、および、型開閉方法について図面に基づき説明する。
図1は、この実施形態における射出成形装置の概略構成を示す構成図である。
図1に示すように、射出成形装置1は、射出装置2と型締装置3とを備えている。
射出装置2は、成形材料を加熱して高い圧力で金型内に射出充填する加熱筒部4が、スライド8の上面に固定されたハウジング9に水平方向に延設され、この加熱筒部4の基部側の上部に連通するように、ハウジング9の上面に成形材料を投入するためのホッパ5が取り付けられている。
【0021】
加熱筒部4の型締装置3側の一端には、射出ノズル6が形成されおり、加熱筒部4の内部には、加熱筒部4に対して、回転可能でかつ水平方向に移動可能にスクリュー(図示せず)が嵌挿されている。加熱筒部4の射出ノズル6と反対側には、加熱筒部4の内部に設けられたスクリューを水平方向に移動可能なアクチュエータ7がスライド8と相対移動可能に取り付けられている。
【0022】
当該アクチュエータ7としては、電動モータ駆動のボールねじや、リニアモータなどの電動アクチュエータを用いることができる。また、当該スクリューを回転駆動する図示しないモータは、回転数制御が可能なインバータモータ、サーボモータ、IPMモータなどの電動モータを用いることができる。また、この実施形態においては、アクチュエータ7を電動アクチュエータとして示したが、電動ではなく液圧シリンダーなどの液圧アクチュエータでもよい。この場合は、当該スクリューを回転駆動する図示しないモータは、ベーン型やピストン型の液圧モータを用いることができる。また、アクチュエータ7に液圧アクチュエータを用いた場合でも、スクリューを回転駆動するモータに省エネ効果を狙って上記の電動モータを使用しても支障ない。
【0023】
上記加熱筒部4内部のスクリューは、回転駆動されることでホッパ5から投入された成形材料を徐々に射出ノズル6側へと搬送し、この搬送の途中で成形材料を加熱して可塑化溶融させる。そして、アクチュエータ7によりスクリューが射出ノズル6側へ押圧されると、可塑化された成形材料に圧縮力が作用して、射出ノズル6から型締装置3の金型内部へと成形材料が射出される。
【0024】
型締装置3は、互いに対向する固定金型11と可動金型12との開閉を行う。固定金型11は、型締装置3の射出装置2側に立設された固定型盤13に支持される一方で、可動金型12は、射出装置2側とは反対側に立設された可動型盤14に支持されている。固定型盤13は、ベース部15に対して固定的に支持されており、可動型盤14は、ベース部15上に延設されたガイド16に沿って、固定型盤13に近接・離間する方向にスライド可能に支持されている。
【0025】
固定型盤13には、水平方向に延在するようにして複数本、より具体的には4本のタイバー17が取り付けられている。これらタイバー17は、一端にピストンヘッド18を備え、当該ピストンヘッド18を備えた端部が、固定型盤13の四隅に設けられた液圧式の型締シリンダー19内に嵌挿されている。この型締シリンダー19は、ピストンヘッド18によってその軸方向に区画された2つのシリンダー室19a,19bを備えており、これらシリンダー室19a,19b内に供給される作動液の液圧差に応じてピストンヘッド18がスライドして、タイバー17がその延在方向に変位可能とされている。なお、本実施形態では型締シリンダー19が固定型盤13の四隅に設けられる例を示したが、型締シリンダー19は、可動型盤14の背面(固定型盤13に対して反対側面)に配置される直圧式の型締シリンダーとしてもよい。
【0026】
タイバー17には、その可動型盤14側に被把持部21が設けられている。被把持部21には、タイバー17の外周面に複数の円環溝状の凹凸が形成されている。一方で、可動型盤14には、タイバー17の被把持部21を係脱可能に把持するタイバー把持装置22が取り付けられている。可動型盤14には、更に射出成形後の成型体を押圧して可動金型12から離型するためのエジェクター(図示せず)が取り付けられている。エジェクターは、電動アクチュエータなどによってロッド部材(図示せず)を進退させることで成型体を押圧して離型させる。なお、当該エジェクターは液圧シリンダーなどの液圧アクチュエータであってもよい。
【0027】
固定型盤13と可動型盤14との間には、金型を開閉する際に可動型盤14をスライド移動させるための型開閉シリンダー(液圧シリンダー)23が取り付けられている。この型開閉シリンダー23は、固定型盤13に固定されるアウターチューブ24と、可動型盤14に固定されるインナーロッド25とを備えている。このように構成される型開閉シリンダー23を縮退方向に変位させると、可動型盤14が固定型盤13に接近方向にスライド移動する一方で、型開閉シリンダー23を伸長方向に変位させると、可動型盤14が固定型盤13から離間方向にスライド移動する。
【0028】
上述した射出装置2は、固定型盤13に対して加熱筒部4の延在方向に相対移動可能とされており、固定型盤13と上述した射出装置2との間に、固定型盤13と射出装置2との距離を調整するノズルタッチシリンダー28が取り付けられている。このノズルタッチシリンダー28を縮退方向に変位させると、射出ノズル6が固定金型11内部に樹脂を射出する射出位置、つまり射出ノズル6が固定金型11に当接する位置まで移動する一方で、ノズルタッチシリンダー28を伸長方向に変位させると、射出ノズル6が固定金型11から離間される。
【0029】
次に、上述した射出成形装置1における動作について説明する。
まず、型開閉シリンダー23によって可動型盤14を固定型盤13側に移動し、可動金型12を固定金型11に当接させる。その後、あるいは可動金型12を固定金型11に当接させる動作に並行して、タイバー17と可動型盤14とをタイバー把持装置22により連結する。次いで、型締シリンダー19によりタイバー17を射出装置2側に変位させて可動金型12を固定金型11に圧接させる。さらに、ノズルタッチシリンダー28により射出ノズル6を固定金型11に圧接させて、射出装置2の射出ノズル6から可塑化された成形材料を金型内へと射出するとともに、保圧を加えながら成形材料を冷却し成型する。
【0030】
次いで、型締シリンダー19の液圧を抜いて可動金型12と固定金型11の圧接を解除した後に、あるいは型締シリンダー19の液圧を抜き可動金型12と固定金型11の圧接を解除し固定金型11から可動金型12を微小距離離間させた後に、タイバー把持装置22を開放して、タイバー17と可動型盤14の連結を解き、型開閉シリンダー23により可動型盤14を固定型盤13とは反対方向に高速移動させて固定金型11と可動金型12とを、成形品を取り出すために十分な距離に開く。
その後、エジェクターにより可動金型12側に密着している成型体を内側から押圧して離型させて成形品を取り出す。成型体が固定金型11側に密着している場合は、固定金型11側のエジェクターで成型体を取り出す。
【0031】
上記各工程により、成形材料から成型体を形成する1サイクルが終了する。そして、成型体の量産にあたって、上記サイクルが繰り返されることとなる。
【0032】
次に、上述した型締装置3の型開閉シリンダー23を駆動制御する液圧回路構成について説明する。
図2に示すように、型開閉シリンダー23は、アウターチューブ24の内部に配置されるインナーロッド25の端部にピストンヘッド26を有している。このピストンヘッド26によってアウターチューブ24の内部が区画されることで、2つのシリンダー室27a,27bが形成されている。ピストンヘッド26は、シリンダー室27a,27bにそれぞれ供給される作動液の液圧差に応じて軸方向にスライドするようになっており、このピストンヘッド26のスライドによってインナーロッド25がその延在方向に変位する。
【0033】
型締装置3は、型開閉シリンダー23を駆動するための作動液を大気圧下で貯留する作動液タンク30を備えている。この作動液タンク30には、液圧供給源40と切換バルブ回路50とがそれぞれ接続されており、液圧供給源40には作動液タンク30内の作動液が供給され、切換バルブ回路50から作動液タンク30内に作動液が戻されるようになっている。
【0034】
液圧供給源40は、作動液を増圧して吐出する複数の液圧ポンプ41を備えている。これら複数の液圧ポンプ41は、一つの主ポンプ41aと複数の副ポンプ41bとで構成され、互いに並列接続されている。主ポンプ41aおよび副ポンプ41bは、制御部60の制御指令に従って駆動するサーボモータ42により回転駆動される。この液圧供給源40の出力ポートは、切換バルブ回路50の入力ポート51に接続されている。ここで、液圧供給源40が複数の液圧ポンプ41を並列に備えていることで、液圧ポンプ41の大型化するのを抑制することが可能になるとともに、大きな流量を必要としないときに副ポンプ41bを停止させることでエネルギーロスを低減することが可能となっている。なお、本実施形態においては、副ポンプ41bを2台設けているが、副ポンプ41bの台数は2台に限られず、3台以上設けるようにしても良い。また、液圧ポンプ41としては、種々のポンプを用いることが可能であり、例えば、代表的なものとしては、可変容量式のポンプ、固定容量式のポンプ、サーボモータ駆動ポンプが挙げられる。なお、高応答で作動油を増量させるには、固定容量式のポンプあるいはサーボモータ駆動ポンプが好ましい。高応答の作動油増量において更に好ましくは固定容量ポンプをサーボモータで駆動する液圧ポンプが好ましい。
【0035】
切換バルブ回路50は、液圧供給源40に接続される1つの入力ポート51と、シリンダー室27a,27bにそれぞれ接続される2つの出力ポート52,53と、作動液タンク30に接続される一つのドレンポート54と、を有している。切換バルブ回路50は、制御部60の制御指令に従い、1つの入力ポートと2つの出力ポート52,53との間で連通状態を方向切換弁等により切り換える。具体的には、入力ポート51がシリンダー室27a側の出力ポート52に連通される状態と、入力ポート51がシリンダー室27b側の出力ポート53に連通される状態とを切り換える。
【0036】
また、切換バルブ回路50は、出力ポート52,53のうち、入力ポート51に接続されていない側の出力ポートとドレンポート54とを連通状態にする。つまり、上記入力ポート51と出力ポート52,53との連通状態を切り換えると同時に、出力ポート52,53とドレンポート54との連通状態も切り換える。これにより、液圧供給源40から供給される作動液を、シリンダー室27a,27bに対して何れか一方に選択的に供給することができると共に、何れか他方を大気開放して、シリンダー室27a,27b間に差圧を生じさせることが可能になる。なお、何れか他方を大気開放するのではなく、絞りバルブや抵抗の大きい配管に接続して背圧を負荷したり、あるいは作動油を供給する側のシリンダー室に連通させる、いわゆるランアラウンド回路としてもよい。また、作動液が供給されるシリンダー室27a,27bを選択的に切り換えることでピストンヘッド18の進行方向を切り換えることが可能となる。また、切換バルブ回路50は、入力ポート51、出力ポート52,53、および、ドレンポート54を、互いに連通させずに全て遮断する機能も備えている。
【0037】
切換バルブ回路50と型開閉シリンダー23のシリンダー室27a,27bとの間の各液圧回路には、これらシリンダー室27a,27bに供給される作動液の液圧を検出するための液圧センサー(液圧検出部)S1,S2が取り付けられている。これら液圧センサーS1,S2の検出結果は、制御部60へ入力される。なお、シリンダー室27a、27bの液圧を精度良く検知するためには、液圧センサーはシリンダー室27a、27bの近傍に備えることが好ましいが、油圧配管設計および制御の簡略化のために、液圧センサーを液圧供給源40と切換バルブ回路50の入力ポート51の間に設けても良い。
【0038】
制御部60は、液圧供給源40の各サーボモータ42と、切換バルブ回路50とに対して制御指令を出力して、型開閉シリンダー23の伸縮動作を制御する。制御部60には、可動型盤14の速度パターンが、操作盤(図示せず)等を介してユーザーにより設定入力可能となっている。制御部60は、この可動型盤14の速度パターンに応じて、液圧供給源40の吐出流量を設定して、サーボモータ42の駆動制御を行う。
【0039】
また、制御部60は、主ポンプ41aから吐出することが可能な流量の上限値よりも多い作動液を液圧供給源40から吐出させる際には、主ポンプ41aの上限値を上回った流量分に応じた台数の副ポンプ41bを駆動するように制御する。これにより、副ポンプ41bを駆動する台数分だけ作動液の流量を増加することができ、型開閉シリンダー23の高速動作が可能となる。一方、制御部60は、型開閉シリンダー23を伸長方向又は短縮方向に変位させる際、例えばストロークエンド付近等において、ピストンヘッド18の変位速度を高速から低速に切り換える減速制御を行う。ここで、減速制御とは、背圧の負荷や機械的にピストンヘッド18や可動型盤14の変位を積極的にブレーキ機構などによって制動する制御をすることなく、あるいは該ブレーキ機構による制動制御と共に、液圧供給源40から供給される作動液の流量を減少させて、可動型盤14の速度を減少させる制御である。
【0040】
制御部60は、減速時流量減少制御部(減速時流量減少制御手段)61と、流量増加制御部(流量増加制御手段)62とを備えている。
減速時流量減少制御部61は、上述した減速制御を行っている際に、予め設定された可動型盤14の減速勾配に応じて、主ポンプ41aまたは副ポンプ41bを駆動するサーボモータ42の回転数を低下させる、あるいは、順次、副ポンプ41bを停止させて、液圧供給源40から吐出される作動液の流量を上記減速勾配に応じて減少させる。これにより、無駄な液圧ポンプ41の駆動を防止してエネルギーロスを低減可能となっている。なお、上記減速勾配は、可動型盤14の質量や、可動型盤14とガイド16との摺動抵抗やブレーキ機構による制動力などの各種条件よってその限界が決まり、通常は、この限界を超えない減速勾配を予め設定する。
【0041】
流量増加制御部62は、減速時流量減少制御部61によって上述した減速制御が行われているときに、液圧供給源40から吐出される作動液の流量を、予め設定された減速勾配に応じた流量よりも増加させる制御を行う。より具体的には、作動液の流量減少に伴い駆動停止されている副ポンプ41bを利用して、作動液の流量を増加する制御を行う。流量増加制御部62には、上述した液圧センサーS1,S2の検出情報がそれぞれ入力されるようになっており、液圧センサーS1,S2の検出情報に基づいて、シリンダー室27a,27bの内、作動液が供給されている側(以下、単に供給側と称す)の内部が予め設定された正の所定圧力を下回るか否かを判定する。
【0042】
ここで、予め設定された正の所定圧力とは、供給側のシリンダー室27a又はシリンダー室27bが負圧になりそうなことを検知するための閾値であって、可動型盤14を変位させるために必要な最も低い圧力である最低駆動圧力よりも低く、この最低駆動圧力に近い微少な正の圧力に設定される。供給側のシリンダー室27a又はシリンダー室27bが最低駆動圧力よりも高い液圧があれば可動型盤14は停止することがないため、最低駆動圧力よりも高い圧力を可動型盤14が停止する閾値とすることは、予め設定された減速勾配に沿った動作に必要な作動油の流量に対し過剰な流量の作動油を供給してしまい、供給側のシリンダー室27a又はシリンダー室27bの負圧が解消された際に、可動型盤14が予め設定された減速勾配以上の速度で動作してしまう虞がある為である。また最低駆動圧力よりも過剰に低い圧力を閾値とした場合は、所定の圧力を検知した時点から供給する作動油が増量させるまでの間に、供給側のシリンダー室27a又はシリンダー室27bが負圧になってしまい、作動液の増量が間に合わない虞がある為である。なお、最低駆動圧力は、可動型盤14の質量、負荷、および、ガイド16の摺動抵抗などに応じて決まる圧力であり、予め、成形運転とは別の型開閉動作の実験や、成形運転中の手動または自動の型開閉動作中に測定により求めたり、可動金型12を含む可動型盤14の慣性を考慮した動作シミュレーションによって得たりすることができる。
【0043】
流量増加制御部62は、液圧センサーS1,S2の内、供給側に配置されるものの検出結果が、上記正の所定圧力を下回ると判定された場合に、停止している副ポンプ41bを駆動して作動液の流量を増量する増加制御を行う。そして、流量増加制御部62は、上記液圧センサーS1,S2の内、供給側に配置されるものの検出結果が正の所定圧力となるように、フィードバック制御を行い、上記検出結果が所定圧力となった時点で、上記増加制御を停止する。
【0044】
図3(a),(b)は、減速制御を行っているときの作動液の流量変化と圧力変化とを示している。なお、この
図3の説明においては、供給側がシリンダー室27aである場合を一例にして説明する。
図3(a)において、実線は、シリンダー室27aの内部が負圧とならない作動液の流量の下限である。また、
図3(a)において、破線は、シリンダー室27aの内部が負圧となり空隙が生じて一時停止やスティックスリップが生じてしまう虞のある流量勾配の一例であり、一点鎖線は、シリンダー室27aの内部を確実に正圧に保持して一時停止やスティックスリップを防止可能な流量勾配の一例である。この一点鎖線で示す流量勾配のように、実線で示す流量勾配よりも緩い傾きの場合には、実線の流量勾配よりも可動型盤14の移動速度が速くなってしまう。一方で、破線で示す流量勾配のように、実線で示す流量勾配よりも急な勾配の場合には、空隙が生じることによる一時停止等によって可動型盤14の移動が妨げられて移動速度が遅くなってしまう場合がある。
【0045】
ここで、予め設定された減速勾配に応じた作動液の流量勾配になるように液圧供給源40の作動流量を変化させた場合であっても、可動型盤14の質量や負荷の増加や、摺動抵抗の低下などの外乱によって、予め設定された減速勾配と、実際の減速勾配とにずれが生じる場合がある。より具体的には、
図4に示すように、可動型盤14の移動速度が予め設定された減速勾配(破線で示す)よりも、緩やかな減速勾配(実線で示す)となって、減速にかかる時間が延びてしまう。このように減速にかかる時間が延びた場合、
図3(a)の実線の流量勾配を基準にすると、作動液の流量勾配が、
図3(a)に示す一点鎖線で示す流量勾配側に相対的にずれてしまう。これにより、
図3(b)に示す比較例のように、減速が終了するタイミングで作動液の流量不足に起因してシリンダー室27a内の液圧が負圧になってしまう虞がある。これは、予め設定された減速勾配に従った減速制御により作動液の供給液量が低下するが、可動型盤14は慣性により未だ移動を続けることによりシリンダー室27aの容積拡大の速度が、供給量が低下した作動液量よりも大きいためである。つまり、減速制御により供給液量が低下し続けるが、慣性によってシリンダー室27aの容積拡大速度の低下は小さいため負圧がより大きくなり、その結果として、この負圧が解消されるまで可動型盤14が停止しまうのである。
【0046】
一方で、
図3(c)に示すように、本実施形態の型締装置3の場合、最低駆動圧力よりも低い正の所定圧力となったときに、液圧供給源40によって作動液の流量を増加させることができるため、シリンダー室27a内が負圧になる直前で液圧が上昇して、空隙が生じるのを防止することができる。なお、シリンダー室27aに作動液の供給される場合を一例に説明したが、シリンダー室27bに作動液が供給される場合も同様である。
【0047】
次に、流量増加制御部62による作動液の増加制御処理(流量増加工程)について
図5のフローチャートを参照しながら説明する。
まず、減速時流量減少制御部61による可動型盤14の減速制御を開始したか否かを判定する(ステップS01)。減速制御を開始していないと判定された場合(ステップS01でNo)の場合には、この処理を繰り返す一方で、減速制御を開始したと判定された場合(ステップS01でYes)には、型開閉シリンダー23において作動液が供給されているのが、型開閉シリンダー23を伸長させる伸長側のシリンダー室27aか否かを判定する(ステップS02)。なお、減速制御が開始した時点において、作動液が供給されているのが、型開閉シリンダー23を伸長させる伸長側のシリンダー室27aであるかシリンダー室27bであるかが既に判明している場合は、ステップS02は不要である。シリンダー室27aに作動液が供給されていると判定された場合には(ステップS02でYes)、液圧センサーS1の検出結果を液圧情報として取り扱う
(ステップS03)。一方で、シリンダー室27bに作動液が供給されていると判定された場合には(ステップS02でNo)、液圧センサーS2の検出結果を液圧情報として取り扱う
(ステップS04)。
【0048】
次いで、取得した液圧情報に基づいて、検出された液圧が予め設定された正の所定液圧よりも低いか否かを判定する(ステップS05;判定手段)。この判定の結果、低くないと判定された場合は(ステップS05でNo)、上記一連の処理を一旦終了して、最初の処理に戻る。一方で、低いと判定された場合は(ステップS05でYes)、停止中の空いている副ポンプ41bを駆動して作動液の流量を増加させる(ステップS06)。
【0049】
その後、液圧センサーS1,S2のうち供給側の液圧センサーにより検出される液圧が正の所定液圧まで上昇したか否かを判定する(ステップS07)。この判定の結果、正の所定液圧まで上昇していないと判定された場合は(ステップS07でNo)、当該判定処理を繰り返す。一方で、正の所定液圧まで上昇したと判定された場合には(ステップS07でYes)、作動液の流量を増加させるために駆動していた副ポンプ41bを停止させて、上述した一連の処理を一旦終了する。
【0050】
したがって、上述した実施形態における型締装置3によれば、可動型盤14の移動速度を高速から低速に変位させるなど減速する際に、減速時流量減少制御部61により型開閉シリンダー23に供給する作動液の流量を、予め設定された所定の減速勾配に応じて減少させることができる。また、可動型盤14の質量増加や摺動抵抗の低下などによって可動型盤14の速度が低下し難く、予め設定された所定の減速勾配よりも実際の減速勾配が緩やかになってしまう場合であっても、流量増加制御部62により型開閉シリンダー23に供給する作動液の流量を増加して、液圧が必要以上に低下するのを防止することができる。その結果、エネルギーロスが少ない簡易な構成で、型開閉シリンダー23内の液圧低下に起因する一時停止やスティックスリップの発生を確実に防止して、型開閉時間を短縮することが可能となる。
【0051】
また、液圧センサーS1,S2により検出された実際の液圧に基づいて型開閉シリンダー23の供給側のシリンダー室の液圧低下を検出することができると共に、型開閉シリンダー23の供給側のシリンダー室内が正の所定圧力を下回ったと判定された時点で作動液の流量を増加することができるため、可動型盤14が一時停止したりスティックスリップが発生したりする負圧になるまで液圧が低下する前に作動液の流量を増加させて液圧を上昇させることが可能となり更なる信頼性の向上を図ることができる。
【0052】
さらに、液圧供給源40が、主ポンプ41aと複数の副ポンプ41bを備えることで、可動型盤14の移動速度を減速させている際に、主ポンプ41aの流量を減少させつつ、副ポンプ41bを用いて作動液の流量を増加させることができる。また、複数の液圧ポンプ41を用いて型開閉シリンダー23を駆動する比較的大型の型締装置にあっては、可動型盤14の減速時に停止している副ポンプ41bを作動液の流量を増加させるためのポンプとして有効利用することができる。
【0053】
また、一般にシリンダー室容積の急拡大などにより作動液の圧力が負圧になると、作動液内に気泡が発生するが、この気泡によって液圧アクチュエータの動作不良や、配管内でのキャビテーションを発生させる場合がある。この実施形態における型締装置3は作動液の圧力が負圧になるのを防止できるので、作動液内に気泡が発生するのを防止できる。
【0054】
さらに、正の所定圧力を下回った型開閉シリンダー23の供給側のシリンダー室27a又はシリンダー室27bの液圧を、フィードバック制御によってスムーズ且つ確実に正の所定圧力まで上昇させることができるため、液圧が必要以上に上昇してエネルギーロスが生じるのを防止できる。
【0055】
さらに、型開閉シリンダー23の供給側のシリンダー室27a又はシリンダー室27b内が負圧になりそうな場合に、作動液の流量を増加することができるため、可動型盤14の減速勾配に沿うように、あるいは所定の減速勾配に対し過度な差を発生させないように、作動液を減少させなくとも負圧の発生を防止して一時停止やスティックスリップによりサイクルタイムが長くなるのを抑制できる。また、サーボ弁などの高価な装置を必要とせず、また、速度フィードバックを行う場合よりも簡易な構成にすることができるため、コスト低減を図ることができる。
【0056】
なお、この発明は上述した各実施形態の構成に限られるものではなく、その要旨を逸脱しない範囲で設計変更可能である。
上述した実施形態においては、流量増加制御部62による作動液の流量増加を開始した後、供給側の液圧センサーS1又は液圧センサーS2により検出された液圧が、作動液の流量増加を開始する閾値である正の所定液圧となったタイミングで、作動液の流量増加を停止する場合について説明したが、この構成に限られるものではない。上記実施形態のように、作動液の流量増加を開始する液圧の閾値と作動液の流量増加を停止する液圧の閾値とを、同一の値とした場合、制御が簡素化される点で有利であるが、必ずしも同じである必要は無く、例えば、作動液の流量増加を停止する液圧の閾値と、作動液の流量増加を開始する液圧の閾値とを異なる値に設定しても良い。供給側の液圧供給源40の応答性が高くない場合や、供給側の液圧供給源40から、型開閉シリンダー23までの配管長が長い場合などは、流量増加制御部62から作動液の流量増加指令が発せられても、供給側の液圧供給源40が応答して作動油を液圧供給源40が吐出開始するまでタイムラグが大きかったり、配管抵抗によって液圧ポンプからの吐出圧力がシリンダー室27aあるいは27bに到達するまでのタイムラグが大きかったりする。この場合、作動液の流量増加時にはこのタイムラグの間にシリンダー室27aあるいは27b内の圧力が負圧なってしまったり、作動液の流量増加を停止時にはこのタイムラグによって必要以上の流量を作動油を供給して速度制御のオーバーシュートが発生する虞がある。このような場合は、作動液の流量増加を開始する液圧の閾値を最低駆動圧力の近傍値とし、作動液の流量増加を停止する液圧の閾値を、作動液の流量増加を開始する液圧の閾値よりも低い値とすることが好ましい。
【0057】
また、上述した実施形態においては、作動液の流量増加を停止するタイミングを、液圧センサーS1,S2の検出結果に基づいて決定していたが、例えば、上述した実施形態の第一変形例として、タイマーを用いて、作動液の流量増加を開始してから予め設定された所定時間が経過したタイミングで停止させるようにしても良い。この場合、
図5に示すステップS07の処理を、
図6に示すステップS101,S102に置き換えればよい。ここで、上述した所定時間は、作動液の流量増加を開始してから十分に液圧が上昇するまでにかかる時間を予め実験やシミュレーション等により求めることができる。このようにすることで、可動型盤14の速度フィードバック制御のように移動速度を検出したり、作動液の流量増加を停止する液圧の閾値を設定したりする必要が無いため、複雑な制御を行うことなしに実用上使用可能なタイミングで作動液の流量増加を停止することができる。
【0058】
また、上述した実施形態においては、作動液の流量増加を開始するタイミングを、液圧センサーS1,S2の検出結果に基づいて決定していたが、例えば、上述した実施形態の第二変形例として、可動型盤14の移動速度を予め設定された減速勾配に応じて減速する際に、慣性によって実際の可動型盤14の移動速度が予め設定された減速勾配に対し、所定の量あるいは所定の比率だけ高い値となったタイミングで開始しても良い。この第二変形例における型締装置は、
図9に示すように、上述した実施形態の型締装置3の液圧センサーS1,S2の代わりに型開閉シリンダー23のインナーロッド25の移動速度を検知する速度センサー(速度検出部)S3を備え、さらに、制御部60の流量増加制御部62が、速度センサーS3の検出結果による減速勾配と、予め設定された型締シリンダー23の減速勾配とを比較する比較手段63を備えている。流量増加制御部62は、減速時流量減少制御部61によって作動液の流量を減少させているときに比較手段63によって型開閉シリンダー23の速度が、予め設定された所定の速度勾配に対し、所定の量あるいは所定の比率だけ上回ったと判定された場合に、作動液の流量を増加させる。この場合、速度フィードバック制御となるので、可動型盤14の速度または位置を検知する速度センサーまたは位置センサーが必要とはなるが、液圧センサーS1,S2が不要となるため、液圧センサーS1,S2を用いる場合と比較して、配管レイアウト設計の容易化やコストダウンをすることができる点で有利となる。
【0059】
さらに、上述した実施形態においては、型締装置3を射出成形装置1に設ける一例について説明したが、射出成形装置1以外のプレス成形装置など、他の成形装置に適用するようにしても良い。
【0060】
さらに、上述した実施形態においては、液圧ポンプ41をサーボモータ42で駆動する場合について説明したが、液圧ポンプ41を駆動するモータは、サーボモータ42に限られるものではなく、例えば、サーボモータ42に比べ大型モータであっても入手性が良く、価格も比較的安価なインバータモータや3相誘導モータなどのモータであっても良い。好ましくは大容量を吐出する主ポンプ41aを駆動する大型のモータを3相誘導モータとし、吐出量が少なく、且つ作動油を高応答に増量させるための副ポンプ41bを駆動するモータをサーボモータとすることが、コスト的にも機能的にも有効である。
【0061】
また、上述した実施形態の変形例において、作動液の流量増加を開始してから所定時間経過後に作動液の流量増加を停止する場合について説明したが、可動型盤14の減速開始からの経過時間をタイマーによって計時するようにしてもよい。つまり、作動液の流量低下の開始から計時を開始し、作動液の流量増加開始を経て、所定時間経過後に流量の増加を停止させるようにしても良い。
【0062】
さらに、上述した実施形態においては、液圧供給源40に複数の液圧ポンプ41を設ける場合について説明したが、副ポンプ41bを設けずに一つの液圧ポンプ41を用いて作動液を吐出させるようにしても良い。この場合、減速時流量減少制御部61で求めた流量と流量増加制御部62で求めた流量とを加算した流量となるように、一つの液圧ポンプ41による作動液の流量制御を行えばよい。
また、上述した実施形態においては、倍力されることなく液圧が型締力として直接作用する、いわゆる直圧型の型締装置3を射出成形装置1に設ける一例について説明したが、直圧式ではなく、液圧シリンダー23により駆動するトグルリンク式などの倍力リンク機構を設けた型締装置を備えた、他の成形装置に適用するようにしても良い。