(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
シリコン基板と、このシリコン基板上のゲート絶縁膜上に間隔をおいて形成した第1転送電極と、該第1転送電極上に形成した絶縁膜を介して各第1転送電極間に形成した第2転送電極と、上記シリコン基板中に形成した第1仮想電極及び第2仮想電極とを備えた電荷結合素子であって、
当該電荷結合素子に生じた信号電荷を転送する垂直方向において開口部を介して、上記第1転送電極は、一対の第1A転送電極及び第1B転送電極を有し、上記第2転送電極は、一対の第2A転送電極及び第2B転送電極を有し、
当該電荷結合素子の厚み方向から見て、上記第1仮想電極の両端は、上記第1A転送電極及び上記第1B転送電極における第1仮想電極側端にそれぞれ対応して位置し、
当該電荷結合素子の厚み方向から見て、上記第2仮想電極の両端は、上記第2A転送電極及び上記第2B転送電極における第2仮想電極側端にそれぞれ対応して位置し、
上記垂直方向において、第1A転送電極、第1仮想電極、第1B転送電極、第2A転送電極、第2仮想電極、第2B転送電極の順の周期にて各電極を繰り返し配置したことを特徴とする電荷結合素子。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
上述のCCDでは、第1転送電極と第2転送電極との間に仮想電極が形成される。そのため特許文献1では、仮想電極側の第1転送電極端に、第1転送電極と第2転送電極との層間の絶縁膜が存在する。よって、仮想電極へのイオン注入がその絶縁膜によって阻害されるという問題がある。また、写真製版の重ね合わせのずれによって、仮想電極の形成位置が第1又は第2のどちらかの転送電極側に片寄るという問題もある。
また、特許文献2では、第1及び第2の転送電極は、一部分で重なり2層に形成されており、その2層部分を含む領域で第1及び第2の転送電極がエッチング除去される。そのため、除去後の半導体基板表面が均一ではなく、仮想電極形成に支障が生じるという問題がある。
このように特許文献1及び特許文献2の発明では、仮想電極におけるポテンシャルのディップ及びバリアが発生し、電荷結合素子の電荷転送効率が低下するという問題が生じる。
【0007】
本発明は、このような問題を解決するためになされたもので、従来に比べて電荷転送効率を向上可能な電荷結合素子、その製造方法、その駆動方法、及び電荷結合素子を備えた固体撮像装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記目的を達成するため、本発明は以下のように構成する。
即ち、本発明の一態様における電荷結合素子は、シリコン基板と、このシリコン基板上のゲート絶縁膜上に間隔をおいて形成した第1転送電極と、該第1転送電極上に形成した絶縁膜を介して各第1転送電極間に形成した第2転送電極と、上記シリコン基板中に形成した第1仮想電極及び第2仮想電極とを備えた電荷結合素子であって、当該電荷結合素子に生じた信号電荷を転送する垂直方向に直角な方向、つまり水平方向に延在する開口部にて、上記第1転送電極を分離した一対の第1A転送電極及び第1B転送電極と、上記第2転送電極を分離した一対の第2A転送電極及び第2B転送電極とを有し、上記垂直方向において、第1A転送電極、第1仮想電極、第1B転送電極、第2A転送電極、第2仮想電極、第2B転送電極の順の周期にて各電極を繰り返し配置したことを特徴とする。
【発明の効果】
【0009】
本発明の一態様における電荷結合素子によれば、第1転送電極及び第2転送電極は、それぞれ分離され、分離した第1転送電極間の開口部、及び分離した第2転送電極間の開口部を通してイオン注入される。よって分離した第1転送電極間に第1仮想電極が形成され、分離した第2転送電極間に第2仮想電極が形成される。このように、第1仮想電極側の第1転送電極端に絶縁膜が存在するという従来の形態は無くなり、絶縁膜によって仮想電極へのイオン注入が阻害されることはない。
したがって、仮想電極におけるポテンシャルのディップ及びバリアを低減させることができ、従来に比べて電荷転送効率を向上することができる。
また、分離した第1転送電極間、及び分離した第2転送電極間の各開口部によるセルフアラインでイオン注入されることから、仮想電極の形成位置の偏りは無くなる。
さらに、第1及び第2の仮想電極を形成するための各開口部は、それぞれ単層の第1転送電極及び第2転送電極をそれぞれ分離した部分である。このように、各転送電極が2層に重なった部分に開口部を形成する従来の形態ではないことから、転送電極をエッチング除去した表面を均一とすることもできる。この点からも、仮想電極におけるポテンシャルのディップ及びバリアを低減させることができ、従来に比べて電荷転送効率を向上することができる。
【発明を実施するための形態】
【0011】
本発明の実施形態である電荷結合素子、その製造方法、その駆動方法、及びその電荷結合素子を備えた固体撮像装置について、図を参照しながら以下に説明する。尚、各図において、同一又は同様の構成部分については同じ符号を付している。また、以下の説明が不必要に冗長になるのを避け当業者の理解を容易にするため、既によく知られた事項の詳細説明及び実質的に同一の構成に対する重複説明を省略する場合がある。また、以下の説明及び添付図面の内容は、特許請求の範囲に記載の主題を限定することを意図するものではない。
【0012】
実施の形態1.
図1は、本発明の実施の形態1にかかる固体撮像装置300を示す。この固体撮像装置300は、大きく分けて、シリコン基板301上に複数個の光検出器502を複数列に配列した検出器アレイ501と、この検出器アレイ501の光検出器502を順次選択して、光検出器502にて生じた信号電荷を外部に読み出す信号処理回路520とを備える。尚、
図1では、シリコン基板301に信号処理回路520を形成した場合を図示するが、これに限定されず、信号処理回路520は別設してもよい。
【0013】
検出器アレイ501は、内部光電効果によって光検出器502で発生した信号電荷を検出器アレイ501の垂直方向521に転送する垂直CCD509と、該垂直CCD509で転送した信号電荷をさらに検出器アレイ501の水平方向522に転送する水平CCD510と、転送されてきた信号電荷を電圧に変換する出力アンプ508とを備えている。CCDを用いる場合、出力アンプ508がFDA(Floating Diffusion Amplifier)であることが多い。
【0014】
上述の光検出器502について、
図2A、
図2B及び
図2Cを参照して説明する。
光検出器502は、各電極と、シリコン基板301内に形成され入射した光を信号電荷に変換する光電変換部503と、水平方向522に沿って隣接する光検出器502間の混信を防止する検出器分離504とを有する。このような光検出器502を垂直方向521に一列に配置して垂直CCD509を構成している。よって垂直CCD509では、例えば
図2Cに示すように、第1A転送電極511A、第1仮想電極513、第1B転送電極511B、第2A転送電極512A、第2仮想電極514、第2B転送電極512Bを周期として、これらの電極を繰り返し配置して構成される。尚、第1A転送電極511A及び第1B転送電極511Bを総称して第1転送電極511と記し、第2A転送電極512A及び第2B転送電極512Bを総称して第2転送電極512と記す場合もある。また、第1転送電極511、第2転送電極512、第1仮想電極513、及び第2仮想電極514の延在方向は、垂直方向521に直角な方向、つまり水平方向522に相当する。
一つの光検出器502は、第1転送電極511及び第2転送電極512を必ず含み、さらに第1仮想電極513または第2仮想電極514のどちらか一方を含む。
【0015】
光検出器502の光検出原理について述べる。
固体撮像装置300の撮像対象となる被写体が発した光が、検出器アレイ501内の光検出器502に入射すると、シリコン基板301では、内部光電効果によって、光の入射量に応じた数の電子正孔対(上述の信号電荷)が発生する。ここで、シリコン基板301のうち、光が入射して電子正孔対が発生している領域を光電変換部503とする。光検出器502ごとに、この信号電荷(多くの場合は、電子)を垂直CCD509及び水平CCD510を通して転送し、出力アンプ508で電圧に変換して、被写体の撮像画を得る。
【0016】
ここで、光検出器502としては、光領域全体を検出するパンクロマティック検出器と、カラーフィルタを上方に配置することで光領域をいくつかに分割して検出するマルチバンド検出器の2種類がある。本実施の形態においては、パンクロマティック検出器とマルチバンド検出器の両方を対象とする。また、信号電荷の読出し方式によっても、光検出器502は2種類に分類できる。1つは、垂直CCD509と光電変換部503とを並列に配置したエリアセンサであって、読出し方式がフレーム転送及びインターライン転送の場合に用いる検出器である。他の1つは、垂直CCD509が光電変換部503を含んでおり、ラインセンサであって、読出し方式がTDI(Time Delay Integration)の場合に用いる検出器である。本実施の形態においては、TDI読み出し方式のラインセンサを対象とする。
【0017】
本実施の形態にかかる固体撮像装置300における垂直CCD509は、互いに位相が90度異なる2相クロックパルスφ1及びφ2を用いて駆動することができる。この場合、2相クロックパターンは、
図3に示すパターンとなる。また、クロックパルスφ1及びφ2は、
図4に示すように第1転送電極511及び第2転送電極512にそれぞれ供給される。
この駆動方法により、垂直CCD509を構成する各光検出器502に発生した信号電荷は、垂直方向521へ順次転送され、水平CCD510を介して出力アンプ508から外部へ出力される。
【0018】
次に、
図5を用いて、本実施の形態における電荷結合素子、つまり垂直CCD509あるいは検出器アレイ501の製造方法を説明する。
図5で示したのは、固体撮像装置300の垂直方向521に沿った断面構造である。
【0019】
初めに、シリコン基板301を準備する(
図5の(a))。次に、シリコン基板301の表面であって、シリコン基板301上に垂直CCD509及び水平CCD510を形成する領域に、不純物拡散法もしくはイオン注入法を用いて、不純物拡散層を形成し、光電変換部503及び検出器分離504とする。次に、LOCOS(Local Oxidation of Silicon)分離法もしくはトレンチ分離法によって、規定位置に分離酸化膜を形成する(図示せず)。次に、シリコン基板301上にゲート絶縁膜304を形成する(
図5の(b))。
【0020】
次に、ゲート絶縁膜304上に、垂直方向521において間隔をあけて第1転送電極511を形成する(
図5の(b))。第1転送電極511は、垂直方向521に直角な方向、つまり水平方向522に沿って延在する。次に、第1転送電極511を覆うように第1絶縁膜305を形成する(
図5の(c))。
次に、第1絶縁膜305上に、垂直方向521において第1転送電極511と交互の配置にて第2転送電極512を形成する(
図5の(c))。第2転送電極512も垂直方向521に直角な方向、つまり水平方向522に沿って延在する。次に、第2転送電極512等を覆いシリコン基板301の全面にレジストマスク530を形成する。
さらに、垂直方向521における第1転送電極511及び第2転送電極512のほぼ中央部分に対応した、レジストマスク530、第1転送電極511、及び第2転送電極512における各領域をエッチングする。これにより上記各領域が除去され、開口部531が形成される(
図5の(d))。このような開口部531も第1転送電極511及び第2転送電極512と同様に、垂直方向521に直角な方向、つまり水平方向522に沿って延在する。
【0021】
上記エッチングにより、第1転送電極511及び第2転送電極512は、垂直方向521におけるほぼ中央部分にて分断され、第1転送電極511は、一対の第1A転送電極511Aと第1B転送電極511Bとなり、第2転送電極512は、一対の第2A転送電極512Aと第2B転送電極512Bとなる。
このように本実施形態では、第1転送電極511及び第2転送電極512を、その延在方向に沿ってエッチングによって分断してそれぞれ一対の電極を形成することから、分断された各電極の分断面には、絶縁膜は存在しない。また、各転送電極が重なり合った部分をエッチングするのではなく、それぞれ単層の第1転送電極511及び第2転送電極512をエッチングすることから、エッチング後の露出面を均一な平坦面とすることができる。
【0022】
次に、開口部531のエッチングで用いたレジストマスク530を残して、セルフアラインで開口部531を通してイオン注入することにより、シリコン基板301に第1仮想電極513及び第2仮想電極514を形成する(
図5の(d))。これにより、第1A転送電極511Aと第1B転送電極511Bとの間に第1仮想電極513が形成され、第2A転送電極512Aと第2B転送電極512Bとの間に第2仮想電極514が形成される。このとき、上述したように各電極の分断面には絶縁膜が存在しないことから、第1仮想電極513及び第2仮想電極514形成用のイオン注入が阻害されることはない。よって第1仮想電極513及び第2仮想電極514におけるポテンシャルのディップ及びバリアを低減することができ、従来に比べて電荷転送効率を向上させることができる。また、第1仮想電極513及び第2仮想電極514の形成位置の偏りも無くなる。
【0023】
次に、レジストマスク530を除去した後、第2転送電極512を覆うように第2絶縁膜306を形成する(
図5の(e))。次に、第1A転送電極511A、第1B転送電極511B、第2A転送電極512A、及び第2B転送電極512Bに対応して第2絶縁膜306に開口して、配線層を形成する(図示せず)。最後に、保護膜を形成する(図示せず)。このようにして、本実施の形態における固体撮像装置300の電荷結合素子部分が完成する。
【0024】
既に説明したように、従来の電荷結合素子の製造では、第1転送電極と第2転送電極との間に仮想電極を形成する。そのため、仮想電極側の第1転送電極端では、仮想電極へのイオン注入が、第1転送電極と第2転送電極の層間に設けた絶縁膜で阻害される。また、写真製版の重ね合わせずれによって、仮想電極の形成位置がどちらかの転送電極側に片寄る。さらに、2層に重なり合った転送電極部分をエッチング除去することから、エッチング後の表面が不均一となる。これらの結果、仮想電極におけるポテンシャルのディップ及びバリアが発生し、垂直CCDの電荷転送効率が低かった。
これに対して、本実施の形態における固体撮像装置300の垂直CCD509では、上述のように第1A転送電極511Aと第1B転送電極511Bとの分断面部分、及び、第2A転送電極512Aと第2B転送電極512Bとの分断面部分には、従来のような絶縁膜は存在しない。また、開口部531のエッチングで用いたレジストマスク530を残して、セルフアラインで開口部531にイオン注入する。さらに、単層の転送電極511,512をエッチング除去した個所に仮想電極513,514を形成する。
その結果、上記分断面部分において、仮想電極513,514へのイオン注入が絶縁膜で阻害されることはない。また、仮想電極513,514の形成位置の偏りも無くなる。また、転送電極511,512をエッチング除去した後の表面は均一となっている。
したがって、仮想電極513,514におけるポテンシャルのディップ及びバリアを低減できることから、垂直CCD509の電荷転送効率を向上することができる。即ち、電荷転送効率が高い電荷結合素子を提供できる。そのため、MTF(Modulation Transfer Function)が高い固体撮像装置を提供することができる。
【0025】
また、このように固体撮像装置の性能向上を図ることができることから、歩留りの向上が可能となり、これに伴い、エネルギー消費量の削減、原材料の減量化を図ることも可能となる。
【0026】
既に、
図4を参照して本実施の形態における電荷結合素子の駆動方法について説明したが、さらに、以下のように駆動することもできる。
即ち、固体撮像装置300における垂直CCD509は、
図6に示すような、位相が90度ずつ異なる4相クロックパルスφ1、φ2、φ3、及びφ4を用いて駆動することができる。この場合のポテンシャル形態図は
図7に示すようになる。
図7では、転送電極511,512、及び仮想電極513,514の配列に対して、各電極下におけるポテンシャルの相対的なレベルを示している。
【0027】
図7の(a)では、クロックパルスφ1及びφ2の電圧がLowレベル、クロックパルスφ3及びφ4の電圧がHighレベルである。
図7の(b)では、クロックパルスφ2及びφ3の電圧がLowレベル、クロックパルスφ4及びφ1の電圧がHighレベルである。
図7の(c)では、クロックパルスφ3及びφ4の電圧がLowレベル、クロックパルスφ1及びφ2の電圧がHighレベルである。
図7の(d)では、クロックパルスφ2及びφ3の電圧がHighレベル、クロックパルスφ4及びφ1の電圧がLowレベルである。
クロックパルス電圧がHighレベルとなっている電極の下にある光電変換部503には、入射光によって発生した信号電荷が蓄積される。
図7の(a)→(b)→(c)→(d)→(a)→(b)→・・・の順に、動作を繰り返すことで、左から右へ向かって信号電荷が転送される。
また、
図8に示すように、4相クロックパルスφ1、φ2、φ3、及びφ4は、第1A転送電極511A、第1B転送電極511B、第2A転送電極512A、及び第2B転送電極512Bに供給される。
【0028】
実施の形態2.
本実施の形態2に係る固体撮像装置300−2の構成(外観)は、
図1に示す実施の形態1の固体撮像装置300の構成と同じであり、本実施の形態2における光検出器502の構成及び光検出原理も実施の形態1の場合と同じである。さらに、本実施の形態2に係る固体撮像装置300−2の垂直CCD509の駆動方法についても、
図3あるいは
図6に示すクロックパルスを用いた実施の形態1の場合と同じである。
一方、本実施の形態2に係る固体撮像装置300−2は、その製造方法において、以下に説明するように、実施の形態1の場合と相違する。
【0029】
即ち、実施の形態1では、上述したように、上記開口部531を介してイオン注入が行われシリコン基板301に仮想電極513、514が形成されるが、仮想電極513、514において、イオン注入回数及びイオン濃度は同じである。
これに対して、本実施の形態2では、仮想電極513、514においてイオン注入回数及びイオン濃度を異ならせる。この点で実施の形態2は実施の形態1と相違する。よって、本実施の形態2に係る固体撮像装置300−2の製造方法を説明する
図9において、(a)から(d)までの工程は、
図5における(a)から(d)までの工程に同じであるので、ここでの説明は省略する。以下では、
図9の主に(e)及び(f)の工程について詳しく説明する。
【0030】
図9の(d)では、上記レジストマスク530を残して、セルフアラインで開口部531を通してイオン注入することにより、シリコン基板301に第1仮想電極513及び第2仮想電極514が形成される。これにより、第1A転送電極511Aと第1B転送電極511Bとの間に第1仮想電極513が形成され、第2A転送電極512Aと第2B転送電極512Bとの間に第2仮想電極514が形成される。
次に、
図9の(e)に示すように、第1仮想電極513及び第2仮想電極514のいずれか一方にのみに、本実施の形態2では第1仮想電極513に対して、イオン注入する。これを実行するために、レジストマスク530上にさらにレジストマスク532を形成した後、第1仮想電極513に対応する部分のみ、レジストマスク532を除去して開口部531を形成する。そして、第1仮想電極513に対応する開口部531を通して、再度イオン注入を行う。
【0031】
次に、レジストマスク530、532を除去した後、
図9の(f)に示すように、第2A転送電極512A及び第2B転送電極512B、等を覆うように、第2絶縁膜306を形成する。次に、第1A転送電極511A、第1B転送電極511B、第2A転送電極512A、及び第2B転送電極512Bに対応して第2絶縁膜306に開口して、配線層を形成する(図示せず)。最後に、保護膜を形成する(図示せず)。
このようにして、本実施の形態2における固体撮像装置300−2が完成する。
【0032】
このように本実施の形態2では、垂直CCD509における第1仮想電極513と第2仮想電極514とでは、実施の形態1とは異なり、イオン注入の回数及び濃度が両者で相違する。本実施の形態2では、第1仮想電極513の方が第2仮想電極514よりも多くイオン注入されている。
このように本実施の形態2では、例えば、第1仮想電極513と第2仮想電極514とのポテンシャルに差が生じている場合であっても、その差を小さくするようにイオン注入で調整することが可能である。
【0033】
以上説明した本実施の形態2の固体撮像装置300−2の垂直CCD509によれば、イオン注入動作を除いて、実施の形態1の固体撮像装置300と同じ構成を採ることから、実施の形態1の固体撮像装置300が奏する効果と同じ効果を得ることができる。即ち、仮想電極513,514へのイオン注入が阻害されない、仮想電極513,514の形成位置の偏りが無くなる、及び、転送電極511,512をエッチング除去した表面が均一となる、ことに起因して、本実施の形態2の固体撮像装置300−2も、仮想電極513,514におけるポテンシャルのディップ及びバリアを低減でき、垂直CCD509の電荷転送効率を向上することが可能である。
【0034】
さらに本実施の形態2の固体撮像装置300−2では、第1仮想電極513と第2仮想電極514のポテンシャル差を低減することができるので、垂直CCD509の電荷転送効率をさらに向上することができるとともに、垂直方向521に沿って隣接する光検出器502の光感度差を低減することができる。即ち、実施の形態1における電荷結合素子に比べて、本実施の形態2では、より電荷転送効率が高く、かつ、光感度ムラが少ない電荷結合素子を提供することができる。その結果、実施の形態1の固体撮像装置に比べて、よりMTFが高く、かつ、光感度ムラが少ない固体撮像装置を提供することが可能となる。
【0035】
また、このような固体撮像装置の性能向上を図ることができることから、歩留りの向上が可能となり、これに伴い、エネルギー消費量の削減、原材料の減量化を図ることも可能となる。
【符号の説明】
【0036】
300、300−2 固体撮像装置、301 シリコン基板、304 ゲート絶縁膜、 305 第1絶縁膜、306 第2絶縁膜、
501 検出器アレイ、502 光検出器、504 検出器分離、
508 出力アンプ、509 垂直CCD、510 水平CCD、
511 第1転送電極、511A 第1A転送電極、511B 第1B転送電極、
512 第2転送電極、512A 第2A転送電極、512B 第2B転送電極、
513 第1仮想電極、514 第2仮想電極、521 垂直方向、
522 水平方向、530 レジストマスク、531 開口部。