(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記封止部は、アルミニウム(Al)、アルミニウムシリコン(Al−Si)、アルミニウムシリコン銅(Al−Si−Cu)およびアルミニウム銅(Al−Cu)のいずれかによって形成された部分を含む、請求項1〜4のいずれか1項に記載の半導体圧力センサ。
半導体基板の表面に、圧力センサが形成される第1領域、メモリセルトランジスタが形成される第2領域および電界効果型トランジスタが形成される第3領域を規定する工程と、
前記第1領域に固定電極を形成する工程と、
前記固定電極を覆うように、第1導電膜を形成する工程と、
前記第1導電膜をパターニングすることにより、前記第1領域では、空隙となる第1導電膜パターンを形成し、前記第2領域では、前記メモリセルトランジスタのゲート電極としての第1電極を形成する工程と、
前記空隙となる第1導電膜パターンおよび前記第1電極を覆うように、第2導電膜を形成する工程と、
前記第2導電膜をパターニングすることにより、前記第1領域では、前記空隙となる第1導電膜パターンの上に可動電極を形成し、前記第2領域では、前記第1電極の上に第2電極を形成し、前記第3領域では、前記電界効果型トランジスタのゲート電極としての第3電極を形成する工程と、
前記可動電極、前記第1電極、前記第2電極および前記第3電極を覆うように、層間絶縁膜を形成する工程と、
前記第1領域に位置する前記層間絶縁膜の部分に、前記空隙となる第1導電膜パターンに達するホールを形成する工程と、
前記空隙となる第1導電膜パターンを除去することにより空隙を形成する工程と、
前記空隙に連通する前記ホールを塞ぐ工程と、
前記第1領域に位置する前記層間絶縁膜の部分に、前記可動電極に向かって開口部を形成する工程と
を備えた、半導体圧力センサの製造方法。
前記固定電極を形成する工程と前記第1導電膜を形成する工程との間に、前記固定電極を覆う態様で、前記メモリセルトランジスタのゲート絶縁膜となる第1絶縁膜を形成する工程を備え、
前記第1導電膜を形成する工程と前記第2導電膜を形成する工程との間に、前記空隙となる第1導電膜パターンを覆う態様で、前記第1電極と前記第2電極との間に介在することになる第2絶縁膜を形成する工程を備え、
前記第1領域に位置する前記第1絶縁膜の部分は、前記固定電極の上面を保護する第1保護膜とされ、
前記第1領域に位置する前記第2絶縁膜の部分は、前記可動電極の下面を覆う第2保護膜とされた、請求項13記載の半導体圧力センサの製造方法。
前記空隙を形成する工程では、前記固定電極が前記第1保護膜によって覆われ、前記可動電極が前記第2保護膜によって覆われた状態で、前記ホールを介してウェットエッチング処理およびドライエッチング処理の少なくともいずれかのエッチング処理を施すことによって、前記空隙となる第1導電膜パターンが除去される、請求項14記載の半導体圧力センサの製造方法。
【発明を実施するための形態】
【0013】
実施の形態1
実施の形態1に係る半導体圧力センサとその製造方法について説明する。はじめに、製造方法について説明する。
【0014】
まず、
図1に示すように、シリコン基板11では、圧力センサが形成される圧力センサ領域16と、CMOS回路が形成されるCMOS領域17とに、それぞれ所定の導電型のウェル領域12、13、14が形成されることから形成工程がスタートする。その形成工程として、たとえばp型のシリコン基板を用意し、そのシリコン基板を覆うように、シリコン酸化膜およびシリコン窒化膜が順番に形成される。次に、CMOS領域のうち、NMOSトランジスタが形成される領域に位置するシリコン窒化膜を除去するためのレジストマスクが形成される。
【0015】
そして、そのレジストマスクをエッチングマスクとしてエッチング処理を施すことにより、シリコン窒化膜が除去される。続いて、エッチングマスクとして用いられたレジストマスクを、次は、注入マスクとして用い、第3ウェル領域14(
図1参照)を形成するためのp型の不純物(たとえばボロン)が注入される。その後、レジストマスクが除去される。
【0016】
次に、熱酸化処理を施すことによって、シリコン窒化膜が除去された部分にシリコン酸化膜が形成される。これにより、第3ウェル領域14の表面に比較的厚いシリコン酸化膜が形成され、続いて、シリコン窒化膜が除去される。次に、比較的厚いシリコン酸化膜を注入マスクとして、圧力センサ領域の第1ウェル領域12(
図1参照)およびCMOS領域の第2ウェル領域13(
図1参照)を形成するためのn型の不純物(たとえばリン)が注入される。
【0017】
その後、所定の条件のもとでアニール処理を施すことによって、注入されたp型の不純物とn型の不純物とが活性化されて拡散する。その後、シリコン基板の表面に残されたシリコン酸化膜が除去される。こうして、
図1に示すように、圧力センサ領域16では、n型の第1ウェル領域12が形成される。CMOS領域17では、n型の第2ウェル領域13とp型の第3ウェル領域14とが形成される。
【0018】
次に、たとえば、LOCOS(Local Oxidation of Silicon)法を使用して、
図2に示されているフィールド酸化膜15、19が形成される工程へと進む。まず、シリコン基板の表面に、下敷酸化膜、ポリシリコン膜およびシリコン窒化膜(いずれも図示せず)が順番に形成される。次に、所定の写真製版処理を施すことにより、フィールド酸化膜を形成するためのレジストマスク(図示せず)が形成される。そして、レジストマスクをエッチングマスクとしてエッチング処理を施すことにより、フィールド酸化膜が形成されている部分においてシリコン窒化膜が除去される。その後、レジストマスクが除去される。続いて、再び写真製版処理を施すことにより、チャネルストッパを形成するためのレジストマスク(図示せず)が形成される。次に、そのレジストマスクを注入マスクとして、チャネルストッパとなる部分にp型の不純物(たとえばボロン)が注入される。その後、レジストマスクが除去される。
【0019】
次に、所定の条件のもとで酸化処理を施すことにより、シリコン窒化膜が除去された部分が局所的に酸化されて、フィールド酸化膜15、19(
図2参照)が形成される。このとき、注入されたp型の不純物が活性化されてチャネルストッパ20(
図2参照)が形成される。その後、残されたシリコン窒化膜が除去される。
【0020】
こうして、
図2に示すように、圧力センサ領域16ではフィールド酸化膜19が形成され、CMOS領域17ではフィールド酸化膜15、19が形成される。フィールド酸化膜15、19の膜厚は、0.2〜1.0μm程度である。第1ウェル領域12、第2ウェル領域13および第3ウェル領域14の表面には下敷酸化膜21が位置している。フィールド酸化膜15、19によって規定された領域内に形成されるMOSトランジスタ等の半導体素子が、フィールド酸化膜15、19とその直下に形成されたチャネルストッパ20によって電気的に絶縁されることになる。
【0021】
次に、写真製版処理を施すことにより、圧力センサ領域16に、固定電極を形成するためのレジストマスク91が形成される。そして、レジストマスク91を注入マスクとして、n型の不純物(たとえばリン)を注入することによって、圧力センサ領域16に固定電極18aが形成される。なお、
図2は、このときの工程に対応するものである。その後、レジストマスク91と下敷酸化膜21が除去される。ただし、圧力センサの形成専用工程となる固定電極18aの形成は実施せず、第1ウェル
領域12を固定電極としてもよい。これにより、製造工程の追加を防止することができる。
【0022】
次に、
図3に示されている、圧力センサ領域16における犠牲膜23bと、CMOS領域17におけるEPROM(Erasable Programmable Read Only Memory)のフローティングゲート電極となるポリシリコン膜23とが、同じ材料によって形成される工程へと進む。まず、下敷酸化膜が除去されたシリコン基板に、熱酸化処理を施すことにより、CMOS領域17では、露出したシリコン基板11の表面に第1ゲート酸化膜22a(膜厚5〜30nm程度)が形成されると同時に、圧力センサ領域16では、露出したシリコン基板11の表面に、第1ゲート酸化膜となる膜と同じ膜からなる固定電極保護膜22bが形成される。要するに、固定電極保護膜22bは、後述する犠牲膜をエッチングによって除去する際の固定電極18aの保護膜として機能するものとなり、第1ゲート酸化膜22aは、CMOS領域17に形成されるEPROMのゲート酸化膜として機能するもの
となる。
【0023】
次に、第1ゲート酸化膜22aおよび固定電極保護膜22bを覆うように、CVD(Chemical Vapor Deposition)法により、ポリシリコン膜(図示せず)が形成される。この際に、そのポリシリコン膜の形成中、または、ポリシリコン膜の形成直後に、周知の方法によってリンを導入することにより、n型のポリシリコン膜として導電性が得られるようにする。次に、写真製版処理を施すことにより、犠牲膜とフローティングゲート
とをパターニングするためのレジストマスクが形成される。そして、そのレジストマスクをエッチングマスクとして、所定のエッチング処理を施すことにより、圧力センサ領域16では、パターニングされたポリシリコン膜からなる犠牲膜23bが形成される。後述するように、この犠牲膜23bを除去することによって、真空室が形成されることになる。また、一方のCMOS領域17では、EPROMのフローティングゲート電極となるポリシリコン膜23のパターン(膜厚50〜300nm程度)が形成される。その後、レジストマスクは除去される。
【0024】
次に、たとえば、熱酸化法により、CMOS領域17では、ポリシリコン膜23を覆うように第2ゲート酸化膜25a(膜厚5〜30nm程度)が形成されると同時に、圧力センサ領域16では、犠牲膜23bを覆うように、第2ゲート酸化膜となる膜と同じ膜からなる第1可動電極保護膜25bが形成される。次に、CVD法により、CMOS領域17では、第2ゲート酸化膜25aを覆うように第1シリコン窒化膜27a(膜厚5〜30nm程度)が形成されると同時に、圧力センサ領域16では、第1シリコン窒化膜となる膜と同じ膜からなる第2可動電極保護膜27bが形成される。第1可動電極保護膜25bおよび第2可動電極保護膜27bは、犠牲膜をエッチング処理によって除去する際の可動電極の保護膜となる。可動電極については後述する。
【0025】
このように、固定電極18aを保護する固定電極保護膜22bが、第1ゲート酸化膜22aを形成する工程において同時に形成される。真空室となる犠牲膜23bが、EPROMのフローティングゲート電極となるポリシリコン膜を形成する工程において同時に形成される。可動電極を保護する第1可動電極保護膜25bが、第2ゲート酸化膜25aを形成する工程において同時に形成される。さらに、可動電極を保護する第2可動電極保護膜27bが、第1シリコン窒化膜27aを形成する工程において同時に形成される。そのため、ここに示した関係は、いずれも圧力センサを形成するための専用工程が不要であることを意味している。
【0026】
次に、pチャネル型のMOSトランジスタが形成される第2ウェル領域13を露出し、他の領域を覆うレジストマスク(図示せず)が形成される。そして、そのレジストマスクを注入マスクとして、pチャネル型のMOSトランジスタのしきい値電圧を制御するための所定の不純物(たとえば、リンおよび二フッ化ボロン(BF
2))が注入される。その後、レジストマスクが除去される。また、nチャネル型のMOSトランジスタが形成される第3ウェル領域14を露出し、他の領域を覆うレジストマスク(図示せず)が形成される。そして、そのレジストマスクを注入マスクとして、nチャネル型のMOSトランジスタのしきい値電圧を制御するための所定の不純物(たとえばボロン)が注入される。その後、レジストマスクが除去される。
【0027】
次に、CMOS領域17の第2ウェル領域13においてpチャネル型のMOSトランジスタが形成される領域と、第3ウェル領域14において、nチャネル型のMOSトランジスタが形成される領域とを露出し、他の領域を覆うレジストマスク(図示せず)が形成される。そして、そのレジストマスクをエッチングマスクとして、エッチング処理を施すことにより、第1ゲート酸化膜22aの部分、第2ゲート酸化膜25aの部分および第1シリコン窒化膜27aの部分が除去されて、シリコン基板11の表面が露出する。その後、レジストマスクは除去される。
【0028】
次に、熱酸化処理を施すことにより、
図4に示すように、第2ウェル領域13においてpチャネル型のMOSトランジスタが形成される領域の表面に第3ゲート酸化膜29b(膜厚5〜30nm程度)が形成され、第3ウェル領域14において、nチャネル型のMOSトランジスタが形成される領域の表面に第3ゲート酸化膜29a(膜厚5〜30nm程度)が形成される。
【0029】
次に、
図5に示されている、圧力センサ領域16における可動電極30dとなる導電膜30と、CMOS領域17におけるpチャネル型とnチャネル型のMOSトランジスタのゲート電極30a、30bとなる導電膜30と、EPROMのゲート電極30bとが、同じ材料によって形成される工程へと進む。まず、第1シリコン窒化膜27a、第2可動電極保護膜27bおよび第3ゲート酸化膜29a、29bを覆うように、所定の導電膜30(
図5参照)が形成される。この導電膜30として、ポリシリコン膜(膜厚50〜300nm程度)とタングステンシリサイド(WSi
2)膜(膜厚50〜300nm程度)の2層構造の積層膜、いわゆるポリサイド膜として構成される。ポリシリコン膜は、CVD法によって形成され、その形成中、または、形成直後に、リンを導入することによってn型のポリシリコン膜とされる。タングステンシリサイド膜は、スパッタ法、または、CVD法によって、ポリシリコン膜を覆うように形成される。
【0030】
次に、EPROMのゲート電極をパターニングするためのレジストマスク(図示せず)が形成される。そして、そのレジストマスクをエッチングマスクとして、エッチング処理を施すことによりEPROMのゲート電極がパターニングされる。
図5に示すように、CMOS領域17におけるEPROM(メモリセルトランジスタ)形成領域では、導電膜30、第1シリコン窒化膜27a、第2ゲート酸化膜25a、ポリシリコン膜23のパターンおよび第1ゲート酸化膜22aにエッチング処理が施されて、フローティングゲート電極23aおよびゲート電極30cを含む、EPROMのゲート電極が形成される。レジストマスクが除去された後、そのゲート電極を注入マスクとして、n型の不純物(たとえばヒ素)を注入することにより、第1ソース・ドレイン領域33が形成される。第1ソース・ドレイン領域33は、
図6に示されるEPROMに対応する。
【0031】
後述するように、圧力センサ領域16では、導電膜30によって、ダイヤフラムとしての可動電極が形成されることになる。また、CMOS領域17では、導電膜30によって、pチャネル型のMOSトランジスタのゲート電極と、nチャネル型のMOSトランジスタのゲート電極とが形成されることになる。なお、導電膜としては、ポリシリコン膜とタングステンシリサイド膜との積層膜の他に、たとえば、ポリシリコン膜とチタンシリサイド(TiSi
2)膜との積層膜でもよい。
【0032】
次に、pチャネル型のMOSトランジスタのゲート電極、nチャネル型のMOSトランジスタのゲート電極および可動電極をパターニングするためのレジストマスク(図示せず)が形成される。そして、そのレジストマスクをエッチングマスクとして導電膜30にエッチング処理を施すことにより、
図6に示すように、CMOS領域17では、nチャネル型のMOSトランジスタのゲート電極30bと、pチャネル型のMOSトランジスタのゲート電極30aとが形成される。また、圧力センサ領域16では、ダイヤフラムとしての可動電極30dが形成される。レジストマスクが除去された後、所定の条件のもとで熱処理を施すことにより、第1ソース・ドレイン領域33の活性化が行われる。
【0033】
このように、可動電極30dが、ゲート電極30a、30b、30cとなる導電膜30を形成する工程と、その導電膜にエッチング処理を施すことによってゲート電極30a、30b、30cを形成する工程とにおいて同時に形成される。
【0034】
次に、nチャネル型MOSトランジスタが位置する部分のみを露出し、他の領域を覆うレジストマスク(図示せず)が形成される。そして、そのレジストマスクおよびゲート電極30bを注入マスクとして、n型の不純物(たとえばリン)を注入することにより、LDD領域(
図7参照)が形成される。その後、レジストマスクが除去される。次に、ゲート電極30a、30b、30c、可動電極30dを覆うように、たとえばTEOS(Tetra Ethyl Ortho Silicate glass)膜(図示せず)が形成される。そして、そのTEOS膜の全面に異方性のドライエッチング処理を施すことにより、
図7に示すように、ゲート電極30a、30b、30cおよび可動電極30dのそれぞれの側壁面にサイドウォール酸化膜34が形成される。特に、可動電極30dの側壁面にもサイドウォール酸化膜34が形成されることによって、可動電極30d周辺の段差が軽減されることになる。
【0035】
次に、第3ウェル領域14において、nチャネル型のMOSトランジスタが配置されている部分を露出し、他の領域を覆うレジストマスク(図示せず)が形成される。そして、そのレジストマスクおよびゲート電極30bを注入マスクとして、n型の不純物(たとえばヒ素)を注入することにより、第2ソース・ドレイン領域37が形成される。その後、そのレジストマスクが除去される。次に、第2ウェル領域13においてpチャネル型のMOSトランジスタが形成される領域を露出し、他の領域を覆うレジストマスク(図示せず)が形成される。そして、そのレジストマスクおよびゲート電極30aを注入マスクとして、p型の不純物(たとえば二フッ化ボロン)を注入することにより、第3ソース・ドレイン領域36が形成される。
【0036】
次に、そのレジストマスクが除去された後、所定の条件のもとでアニール処理を施すことにより、第2ソース・ドレイン領域37および第3ソース・ドレイン領域36が活性化される。次に、ゲート電極30a、30b、30c、可動電極30dを覆うように、たとえば、CVD法により、シリコン酸化膜35が形成される。なお、
図7は、このときの工程に対応するものである。
【0037】
次に、
図8に示すように、シリコン酸化膜35を覆うようにTEOS系の酸化膜38が形成される。続いて、その酸化膜38を覆うように、シールド膜となる導電性のポリシリコン膜(図示せず)が形成される。次に、写真製版処理を施すことにより、可動電極30dを覆い、他の領域を露出するレジストマスク(図示せず)が形成される。そして、そのレジストマスクをエッチングマスクとして、エッチング処理を施すことにより、露出しているポリシリコン膜が除去され、
図8に示すように、可動電極30dを覆うシールド膜39が形成される。その後、レジストマスクが除去される。このとき、可動電極30d周辺の段差がサイドウォール酸化膜34によって軽減されていることで、クラックまたはカバレッジの不足によるシールド膜39の断線が防止されて、シールド膜39の膜厚設定の自由度を上げることができる。
【0038】
圧力センサ領域16では、第1可動電極保護膜25b、第2可動電極保護膜27b、可動電極30d、酸化膜35、38およびシールド膜39のそれぞれの膜厚を合計した値が、圧力センサのダイヤフラムの膜厚になり、この厚みによって圧力に対する感度特性が決まることになる。
【0039】
また、圧力センサ領域16では、第1可動電極保護膜25b、第2可動電極保護膜27bおよび可動電極30dは、それぞれCMOS領域17における第2ゲート酸化膜25a、第1シリコン窒化膜27aおよびゲート電極30a、30b、30cを形成する工程と同時に形成される。さらに、熱処理条件もCMOS領域17に形成されるMOSトランジスタ等の条件が適用される。このため、圧力センサとしては、大幅な変更には制約があるものの、CMOS領域に形成されるMOSトランジスタ等の半導体素子の仕様に合わせた変更が可能である。
【0040】
また、シールド膜39および酸化膜38のそれぞれの膜厚を調整することによって、可動電極30dの初期の容量値(可動電極のそり量)に対する感度特性を制御することができる。さらに、圧力に対する感度特性を制御することができる。シールド膜39の膜厚は50〜1000nm程度である。
【0041】
また、シールド膜39は、可動電極30dとの間に酸化膜38を介在させる態様で可動電極30dを覆っていることにより、可動電極30dが外部と直接接触するのを防止することができる。加えて、シールド膜39を接地電位に接続することによって、外界からの電荷等の影響を遮断することができ、圧力センサの特性変動を抑制することができる。なお、高い精度が要求されない圧力センサの場合には、シールド膜を備えていない構造としてもよい。この場合には、圧力センサ領域の専用工程を省くことができる。
【0042】
次に、
図9に示すように、酸化膜38およびシールド膜39を覆うように、第1層間絶縁膜40が形成される。第1層間絶縁膜40は、TEOS膜40a、BPSG(Boro Phospho Silicate Glass)膜40bおよびTEOS膜40cの積層構造とされる。なお、第1層間絶縁膜としては、これらの膜に限られず、他の酸化膜を適用してもよい。また、第1層間絶縁膜40に平坦化処理として、BPSG膜にエッチバック処理を施してもよい。また、CMP(Chemical Mechanical Polishing)処理を施してもよい。
【0043】
次に、写真製版処理を施すことにより、コンタクトホールを形成するためのレジストマスク(図示せず)が形成される。そして、そのレジストマスクをエッチングマスクとして、CMOS領域17に形成される半導体素子の仕様に合わせた条件のもとでエッチング処理が施される。これにより、CMOS領域17では、第1層間絶縁膜40等を貫通して第1ソース・ドレイン領域33、第2ソース・ドレイン領域37、第3ソース・ドレイン領域36をそれぞれ露出するコンタクトホール41aが形成される。一方、圧力センサ領域16では、シールド膜39を露出するコンタクトホール41bが形成される。その後、レジストマスクが除去される。なお、
図9は、このときの工程に対応するものである。
【0044】
この場合のエッチング処理については、ウェットエッチングとドライエッチングを組み合わせたエッチング処理を施すことによって、コンタクトホール41a、41bを形成するようにしてもよい。この場合、コンタクトホール41a、41bは、
図9に示されるような開口部の上部において広がりを有するコンタクトホールとなる。また、ドライエッチングのみによるエッチング処理によってコンタクトホール41a、41bを形成するようにしてもよい。
【0045】
次に、
図10に示される、第1配線43と、その上部を覆う第2層間絶縁膜45が形成される工程へと進む。まず、金属膜を用いた第1配線等が形成される。第1層間絶縁膜40を覆うように、バリアメタル膜とアルミニウムシリコン銅(AlSiCu)膜(いずれも図示せず)が形成される。バリアメタル膜として、たとえば、チタンナイトライド(TiN)膜が適用される。次に、そのアルミニウムシリコン銅膜等をパターニングすることにより、CMOS領域17では第1配線43aが形成され、圧力センサ領域16では配線43bが形成される。より具体的には、アルミニウムシリコン銅膜上にレジストマスクを形成し、そのレジストマスクをエッチングマスクとして、アルミニウムシリコン銅膜およびバリアメタル膜にエッチング処理を施し、その後、レジストマスクを除去することによって、第1配線43aと配線43bが形成される。第1配線43aは、第1ソース・ドレイン領域33、第2ソース・ドレイン領域37および第3ソース・ドレイン領域36のそれぞれと電気的に接続される。配線43bは、シールド膜39に電気的に接続される。
【0046】
なお、第1配線等としては、コンタクトホール41a、41bにタングステンプラグを形成し、その後、バリアメタルおよびアルミニウム銅(AlCu)膜を形成してパターニングするようにしてもよい。このような構成の場合において適したバリアメタルとして、チタンシリサイド(TiSi
2)またはコバルトシリサイド(CoSi
2)膜等がある。
【0047】
次に、
図10に示すように、第1配線43aおよび配線43bを覆うように、第2層間絶縁膜45が形成される。第2層間絶縁膜45は、CMOS領域17に形成される半導体素子の仕様に合わせた条件のもとで形成される。第2層間絶縁膜45として、たとえば、LTO(Low Temperature Oxide)膜等が適している。なお、平坦化のために、SOG(Spin on Glass)膜を含む積層構造を採用してもよい。また、第1層間絶縁膜の場合と同様にCMP処理を施してもよい。
【0048】
次に、写真製版処理を施すことにより、エッチングホールとコンタクトホールを形成するためのレジストマスク(図示せず)が形成される。そして、そのレジストマスクをエッチングマスクとして、第2層間絶縁膜等の絶縁膜にエッチング処理を施すことによって、
図11に示すように、圧力センサ領域16では犠牲膜をエッチングするためのエッチングホール46bが形成されると同時に、CMOS領域17では、第1配線43aを露出するコンタクトホール46aが形成される。エッチングホール46bおよびコンタクトホール46aは、CMOS領域17に形成される半導体素子の仕様に合わせた条件のもとで形成される。その後、レジストマスクが除去される。
【0049】
次に、エッチングホール46bを介してウェットエッチング処理を施すことにより、ポリシリコン膜からなる犠牲膜23bが除去される。
図11は、このときの工程に対応するものである。このウェットエッチング処理の薬液として、たとえば、TMAH(Tetra methyl Ammonium Hydroxide)が使用される。このとき、コンタクトホール46aが開口しているため、薬液として使用されるこのTMAHは、アルミニウム銅シリコン膜によって形成された第1配線43aをエッチングしない仕様のものにする必要がある。
【0050】
また、薬液(TMAH)によるエッチング処理では、第2層間絶縁膜45および第1層間絶縁膜40を形成している酸化膜のエッチングレートに対して、犠牲膜23bを形成するポリシリコン膜のエッチングレートが、5000〜30000倍程度(エッチング選択比5000〜30000程度)である。このため、CMOS領域に形成される半導体素子の仕様に合わせた条件のもとで形成された第2層間絶縁膜45および第1層間絶縁膜40によって、CMOS領域17に形成される素子および圧力センサ領域16を保護することが可能である。なお、犠牲膜23bを除去する処理としては、ウェットエッチング処理の他に、二フッ化キセノン(XeF
2)等を適用したドライエッチング処理を施してもよい。
【0051】
このように、エッチングホール46bとコンタクトホール46aとを同時に形成することによって、そして、第2層間絶縁膜45および第1層間絶縁膜40によって、CMOS領域17に形成される素子および圧力センサ領域16を保護することによって、CMOS標準プロセスが積極的に適用されて、工程の増加を抑えて、製造コストの削減に寄与することができる。また、圧力センサを形成するための工程を追加する必要がない。これにより、熱処理に伴うCMOS領域17へのダメージおよびドライエッチング等によるダメージを防止することができる。また、圧力センサの製造が容易になる。さらに、半導体圧力センサとしての特性劣化を防止することができる。
【0052】
なお、ここでは、エッチングホール46bとコンタクトホール46aとを同時に形成している場合について説明したが、エッチングホール46b(
図11参照)とコンタクトホール46aとをそれぞれ別の工程において別個に形成してもよい。この場合には、まず、エッチングホール46bを形成するためのレジストマスク(図示せず)が形成される。次に、そのレジストマスクをエッチングマスクとして、ドライエッチング処理またはドライエッチングとウェットエッチングとを組み合わせたエッチング処理を第2層間絶縁膜等の絶縁膜に施すことにより、エッチングホール46bが形成される。その後、レジストマスクが除去される。
【0053】
次に、薬液としてTMAHを用い、エッチングホール46bを介してウェットエッチングを施して犠牲膜23bを除去することにより、空隙50(
図11参照)が形成される。次に、蒸着法またはスパッタ法により所定の金属膜を形成し、その金属膜をパターニングすることによって、後述するエッチングホール46bを塞ぐ第1封止膜48b(
図12参照)が単独に形成される。金属膜として、アルミニウム(Al)膜、アルミニウムシリコン(Al−Si)膜、アルミニウムシリコン銅(Al−Si−Cu)膜、または、アルミニウム銅(Al−Cu)膜等、CMOSプロセスにおいて適用されているものが使用される。なお、ここでは、エッチングホールを金属膜によって塞ぐことが目的であるため、金属膜を形成する前に前処理を施す工程は不要である。また、バリアメタル膜を形成する工程も不要である。
【0054】
次に、コンタクトホール46aを形成するためのレジストマスク(図示せず)が形成される。次に、そのレジストマスクをエッチングマスクとして、ドライエッチング処理またはドライエッチングとウェットエッチングとを組み合わせたエッチング処理を第2層間絶縁膜45に施すことにより、コンタクトホール46aが形成される。
【0055】
このように、エッチングホール46bとコンタクトホール46aとをそれぞれ別の工程において形成する場合には、工程が増えるものの、犠牲膜23bをエッチングする際には、薬液として、通常のTMAHを使用することができる。また、第1封止膜48bとして、最適な膜厚および膜種を選択することができ、設計の自由度が増えて半導体圧力センサの製造が容易になる。
【0056】
当初の工程に戻って説明を続ける。犠牲膜23bを除去することによって形成された空隙50を真空室とする処理が施される。まず、たとえば、蒸着法またはスパッタ法により、CMOS領域17に形成される半導体素子の仕様に合わせた条件のもとで所定の金属膜(図示せず)が形成される。金属膜として、チタンナイトライド(TiN)等のバリアメタル膜とアルミニウムシリコン銅(Al−Si−Cu)膜との積層膜が形成される。このとき、真空中において積層膜が形成されることで、空隙50が減圧されて真空室51となり、その真空室51が積層膜(第1封止膜48b)によって封止されることになる。
【0057】
次に、その積層膜をパターニングすることによって、
図12に示すように、圧力センサ領域16では、エッチングホール46b(真空室51)を塞いで空隙を封止する第1封止膜48bが形成される。また、CMOS領域17では第2配線48aが形成される。その後、プラズマCVD法によって、CMOS領域17に形成される半導体素子の仕様に合わせた条件(比較的低い温度条件等)のもとで、第1封止膜48bおよび第2配線48aを覆うように、パッシベーション膜となる膜厚0.5〜1.0μm程度のシリコン窒化膜(図示せず)が形成される。
【0058】
次に、圧力センサ領域16において開口部が形成される部分を露出するレジストマスク(図示せず)が形成される。そして、そのレジストマスクをエッチングマスクとしてエッチング処理を施すことによって、開口部が形成される領域に位置するシリコン窒化膜の部分が除去される。これにより、CMOS領域17では、パッシベーション膜52aが形成される。圧力センサ領域16では、エッチングホール46bをさらに塞ぐ第2封止膜52bが形成される。これにより、真空室51が、第1封止膜48bと第2封止膜52bとによって二重に封止されていることになり、信頼性の高い真空封止が可能になる。
【0059】
なお、第1封止膜および第2配線を形成する工程としては、上述した他に、エッチングホール46bとコンタクトホール46aとのそれぞれに、タングステン(W)等のプラグを形成し、その後、チタンシリサイド(TiSi
2)またはコバルトシリサイド(CoSi
2)のバリアメタル膜とアルミニウム銅(Al−Cu)膜との積層膜を形成するようにしてもよい。
【0060】
このように、第1封止膜48bと第2配線48aとを同時に形成し、第2封止膜52bとパッシベーション膜52aとを同時に形成することによって、CMOS標準プロセスが積極的に適用されて、工程の増加を抑えて、製造コストの削減に寄与することができる。
【0061】
次に、圧力センサ領域16に開口部が形成される。まず、圧力センサ領域16に開口部を形成するためのレジストマスク(図示せず)が形成される。次に、そのレジストマスクをエッチングマスクとして、ドライエッチング処理またはドライエッチングとウェットエッチングとを組み合わせたエッチング処理が施される。これにより、
図13および
図14に示すように、第2層間絶縁膜45および第1層間絶縁膜40が除去されて、開口部54が形成される。こうして、半導体圧力センサの主要部分が形成される。
【0062】
開口部54を形成する際には、導電性のポリシリコン膜から形成されたシールド膜39は、開口部54を形成する際のエッチングストッパ膜として機能する。また、シールド膜39は、エッチングのダメージから可動電極30dを保護する膜となる。
【0063】
また、開口部54は、犠牲膜を除去して空隙を形成し、その空隙を真空室として第1封止膜等によって封止した後に、第1層間絶縁膜40および第2層間絶縁膜45を除去することによって形成される。このため、犠牲膜を除去して空隙を形成する工程およびエッチングホール(真空室)を第1封止膜等により塞ぐことで真空室を設ける工程では、可動電極30dの上に第1層間絶縁膜40および第2層間絶縁膜45が積層された状態にあり、可動電極30d上に十分な剛性がある。これにより、空隙を形成する工程および空隙を封止することによって真空室を設ける工程において、可動電極30dのスティッキングを防止することができる。すなわち、可動電極30dが、ウェットエッチング処理の際に表面張力の影響によって固定電極(基板)側に付着する現象を防止することができる。
【0064】
上述した半導体圧力センサでは、圧力センサ領域16における可動電極30dの一方側を、開口部54を介して外部空間に開放させることによって、外部の圧力に対応して可動電極30dが変位し、固定電極18aと可動電極30dとの間隔(ギャップ)が変化する。半導体圧力センサでは、この間隔の変化を容量値の変化として検出することによって、圧力値が測定される。また、可動電極30dの直下に位置する真空室51の圧力を基準圧力とすることで、この半導体圧力センサは絶対圧センサとして機能させることができる。
【0065】
つまり、上述した半導体圧力センサは、容量の変化を圧力値として測定する容量式の半導体圧力センサであり、容量値は、可動電極30dと固定電極18aとの間の間隔の変化を容量値の変化として圧力値が測定される。容量値として、より正確には、固定電極18aと真空室51との間に位置する固定電極保護膜22bの容量値(容量値A)、可動電極30dと真空室51との間に位置する第1可動電極保護膜25bおよび第2可動電極保護膜27bのそれぞれの容量値(容量値Bおよび容量値C)、ならびに、真空室51の容量値(容量値D)を合わせた容量値(合計値)である。
【0066】
このうち、外部の圧力によって容量が変化するのは真空室51の容量値Dだけであるため、圧力値をより精度よく測定するためには、容量値A〜Cのそれぞれの初期の容量値(初期値)を正確に把握する必要がある。
【0067】
ところが、固定電極保護膜22bでは、この固定電極保護膜22bとなる第1ゲート酸化膜22aを形成する際の膜厚のばらつき、および、犠牲膜23bをエッチングにより除去する際の固定電極保護膜22bの膜減り量のばらつきのために、容量値Aの初期値を把握することは難しい。
【0068】
また、第1可動電極保護膜25bでは、この第1可動電極保護膜25bとなる第2ゲート酸化膜25aを形成する際の膜厚のばらつき、および、犠牲膜23bをエッチングにより除去する際の第1可動電極保護膜25bの膜減り量のばらつきのために、容量値Aと同様に、容量値Bの初期値を把握することは難しい。
【0069】
さらに、第2可動電極保護膜27bでは、この第2可動電極保護膜27bとなる第1シリコン窒化膜27aを形成する際の膜厚のばらつきのために、やはり容量値Cの初期値を把握することは難しい。
【0070】
このような初期値のばらつきをキャンセルするために、
図15に示すように、圧力センサ領域16において、開口部54が形成された検出用の圧力センサ領域16aの近傍に、開口部が形成されていない参照用の圧力センサ領域16bを配置させる手法について説明する。
【0071】
参照用の圧力センサ領域16bでは、可動電極30dを覆うように第1層間絶縁膜40および第2層間絶縁膜45が残されている。また、可動電極30dを覆うように、配線43b、第1封止膜48bおよび第2封止膜52bが形成されている。これにより、参照用の圧力センサ領域16bでは、外部の圧力の変化に対して、可動電極30dと固定電極18aとの間隔が容易に変化しない。このため、検出用の圧力センサの容量値の変化から参照用の圧力センサの容量値の変化を差し引くことで、容量値A〜Cの初期値のばらつきをキャンセルすることができ、外部の圧力変化による容量値の変化をより精度よく検知することができる。その結果、精度の高い圧力値を測定することができる。
【0072】
なお、参照用の圧力センサとしては、可動電極の下方に複数のアンカーを形成し、可動電極をシリコン基板に固定することによって、外部の圧力が変化しても可動電極が変動しない構造にしてもよい。また、
図15に示される実施例では、可動電極30d上に、配線43b、第1封止膜48bおよび第2封止膜52bを積層させた構造とされているが、第1層間絶縁膜40および第2層間絶縁膜45だけの積層構造としても、同様の効果が得られる。
【0073】
上述した半導体圧力センサの製造方法では、固定電極18aを保護する固定電極保護膜22bが、第1ゲート酸化膜22aを形成する工程において同時に形成される。除去されることで真空室51となる犠牲膜23bが、EPROMのフローティングゲート電極となるポリシリコン膜を形成する工程において同時に形成される。可動電極を保護する第1可動電極保護膜25bが、第2ゲート酸化膜25aを形成する工程において同時に形成される。可動電極をさらに保護する第2可動電極保護膜27bが、第1シリコン窒化膜27aを形成する工程において同時に形成される。可動電極30dが、ゲート電極30a、30b、30cを形成する工程において同時に形成される。第1封止膜48
bが、第2配線48aを形成する工程において同時に形成される。第2封止膜52bが、パッシベーション膜52aを形成する工程において同時に形成される。
【0074】
これにより、CMOS標準プロセスが積極的に適用されて、製造工程の増加を抑えて、生産コストの削減に寄与することができる。また、半導体圧力センサを形成するための製造工程を追加する必要がない。これにより、熱処理に伴うCMOS領域17へのダメージおよびドライエッチング等によるダメージを防止することができる。また、半導体圧力センサの製造が容易になる。さらに、半導体圧力センサとしての特性劣化を防止することができる。
【0075】
また、犠牲膜23bを除去する際には、圧力センサ領域16は第1層間絶縁膜40および第2層間絶縁膜45によって保護される。その第1層間絶縁膜40および第2層間絶縁膜45は、CMOS領域17に第1層間絶縁膜40および第2層間絶縁膜45を形成する工程において形成される。これにより、犠牲膜23bを除去する前に、圧力センサ領域を保護する膜を別途形成する必要がなく、さらに、犠牲膜を除去した後に、保護膜を別途除去する必要もなくなる。その結果、製造工程の削減を図り、生産コストを低減することができる。また、第1層間絶縁膜40および第2層間絶縁膜45によって、圧力センサ領域16とCMOS領域17へのプロセスダメージを抑制することができる。
【0076】
また、圧力センサ領域16では、可動電極30dは導電性のポリシリコン膜からなるシールド膜39によって覆われている。これにより、可動電極30dが外部と直接接触するのを防止することができる。また、可動電極30dを覆うシールド膜39を接地電位に接続することで、シールド膜39に対する外部からの電荷等の影響を遮断することができる。これにより、半導体圧力センサとしての特性の変動を抑制することができる。
【0077】
さらに、可動電極30dを覆う第1層間絶縁膜40および第2層間絶縁膜45に開口部54を形成するためのエッチング処理に際に、シールド膜39はエッチングストッパ膜として機能する。これにより、エッチング処理に伴うダメージから可動電極30dを保護することができる。また、シールド膜39の膜厚(導電性のポリシリコン膜の膜厚)を調整することによって、可動電極30dの応力特性および圧力検出感度特性を制御することができる。
【0078】
さらに、参照用の圧力センサ領域16bを形成し、検出用の圧力センサ領域16aの圧力センサの容量値の変化から参照用の圧力センサの容量値の変化を差し引くことで、容量値の初期値のばらつきをキャンセルすることができる。これにより、外部の圧力変化による容量値の変化をより精度よく検知することができて、精度の高い圧力値を測定することができる。
【0079】
また、犠牲膜を除去して空隙を形成する工程およびエッチングホール46bを第1封止膜等によって塞ぐことで真空室51を設ける工程では、可動電極30dの上に第1層間絶縁膜40および第2層間絶縁膜45が積層された状態にある。これにより、可動電極30d上には十分な剛性があり、空隙を形成する工程および真空室を設ける工程において、可動電極30dのスティッキングを防止することができる。
【0080】
実施の形態2
前述した半導体圧力センサでは、固定電極として、不純物を拡散させた拡散領域からなる固定電極を例に挙げて説明した。ここでは、その固定電極として、たとえば、ドープトポリシリコン膜のように、導電性のポリシリコン膜からなる固定電極を備えた半導体圧力センサについて説明する。なお、製造工程における各構成について、実施の形態1と同様の構成については同一符号を付し、必要である場合を除いてその説明を繰り返さないこととする。
【0081】
前述した
図1に示す工程と同様の工程を経た後、
図2において説明したLOCOS法によって、
図16に示すように、圧力センサ領域16ではフィールド酸化膜19が形成され、CMOS領域17ではフィールド酸化膜15、19が形成される。次に、フィールド酸化膜15、19を覆うように、導電性のドープトポリシリコン膜(図示せず)が形成される。そして、写真製版処理を施すことにより、固定電極をパターニングするためのレジストマスク(図示せず)が形成される。次に、そのレジストマスクをエッチングマスクとしてエッチング処理を施すことにより、固定電極18bが形成される。その後、
図3〜
図13に示す工程と同様の工程を経て、
図17に示すように、半導体圧力センサの主要部分が完成する。
【0082】
上述した半導体圧力センサでは、前述した半導体圧力センサによって得られる効果に加えて、次のような効果が得られる。すなわち、フィールド酸化膜19上に、導電性のポリシリコン膜からなる固定電極18bが形成されることで、固定電極18bとシリコン基板11との寄生容量、および、固定電極18bと第1ウェル領域12との寄生容量が減少する。これにより、初期の容量値が減少し、圧力変化によって可動電極30dが変位した際の容量値の変化の割合が相対的に大きくなる。その結果、圧力検出感度を上げることができる。
【0083】
なお、フィールド酸化膜19上に固定電極18bが形成される構造では、そのフィールド酸化膜19が形成される圧力センサ領域16のシリコン基板の上面を、あらかじめエッチング処理等によって下方に後退させるようにしてもよい。これによって、CMOS領域17との段差が軽減されるので、後の工程における写真製版処理を精度よく行うことができる。
【0084】
実施の形態3
ここでは、真空室を形成するためのエッチングホールを塞ぐ第1封止膜とCMOS領域の第2配線とを、それぞれ別の製造工程において形成する場合について説明する。なお、製造工程における各構成について、実施の形態1と同様の構成については同一符号を付し、必要である場合を除いてその説明を繰り返さないこととする。
【0085】
この実施の形態では、まず、実施の形態1において説明した
図1〜
図10に示す工程と同様の工程を経た後、圧力センサ領域にエッチングホールが形成される。このとき、エッチングホール46bを形成するためのレジストマスク(図示せず)が形成される。次に、そのレジストマスクをエッチングマスクとして、ドライエッチング処理またはドライエッチングとウェットエッチングとを組み合わせたエッチング処理を第2層間絶縁膜等に施すことにより、
図18に示すように、エッチングホール46bが形成される。その後、レジストマスクが除去される。
【0086】
次に、薬液としてTMAHを用い、エッチングホール46bを介してウェットエッチングを施し、ポリシリコン膜からなる犠牲膜23bを除去することにより、空隙50が形成される。次に、蒸着法またはスパッタ法により所定の金属膜(図示せず)が形成される。このとき、真空中において金属膜が形成されることで、空隙50が減圧されて真空室51となり、その真空室51が金属膜(第1封止膜48b)によって封止されることになる。
【0087】
次に、その金属膜をパターニングすることによって、
図19に示すように、エッチングホール46bを塞ぐ第1封止膜48bが形成される。金属膜として、アルミニウム(Al)膜、アルミニウムシリコン(Al−Si)膜、アルミニウムシリコン銅(Al−Si−Cu)膜、または、アルミニウム銅(Al−Cu)膜等、CMOSプロセスにおいて適用されているものが使用される。なお、ここでは、エッチングホールを金属膜によって塞ぐことが目的であるため、金属膜を形成する前に前処理を施す工程は不要とされる。また、バリアメタル膜を形成する工程も不要とされる。
【0088】
次に、コンタクトホール46aを形成するためのレジストマスク(図示せず)が形成される。そして、そのレジストマスクをエッチングマスクとして、ドライエッチング処理またはドライエッチングとウェットエッチングとを組み合わせたエッチング処理を第2層間絶縁膜
25に施すことにより、
図20に示すように、CMOS領域17では、コンタクトホール46aが形成される。その後、レジストマスクが除去される。
【0089】
次に、蒸着法またはスパッタ法により、CMOS領域17に形成される素子の仕様に合わせた条件のもとで所定の金属膜が形成される。金属膜として、チタンナイトライド(TiN)等のバリアメタル膜とアルミニウムシリコン銅(Al−Si−Cu)膜との積層膜が形成される。そして、その積層膜にパターニングを施すことによって、
図20に示すように、CMOS領域17では第2配線60aが形成されるとともに、圧力センサ領域16では、第1封止膜48bを覆うように第2封止膜60bが形成される。
【0090】
次に、
図12に示す工程において説明したのと同様にして、
図20に示すように、CMOS領域17では、パッシベーション膜52aが形成される。圧力センサ領域16では、パッシベーション膜52cが形成される。なお、CMOS領域17では、多層配線が形成されない配線構造の場合には、パッド部(図示せず)のみにコンタクトホールを形成し、第2配線を形成することなくパッシベーション膜を形成してパターニングするようにしてもよい。次に、
図13に示す工程と同様の工程を経て、
図21に示すように、圧力センサ領域16に開口部54が形成される。こうして、半導体圧力センサの主要部分が完成する。
【0091】
上述した半導体圧力センサでは、真空室51を形成するためのエッチングホール46bを塞ぐ第1封止膜48bとCMOS領域の第2配線60aとを、それぞれ別の製造工程において形成する他は、実施の形態1において説明した製造工と同様の工程を経て形成される。これにより、実質的に、実施の形態1において説明した効果と同様の効果が得られる。
【0092】
さらに、上述した半導体圧力センサでは、第1封止膜48bと第2配線60aとをそれぞれ別の製造工程において形成することで、封止膜を形成する前の処理(前処理)が不要になる。これにより、第1封止膜48bとして、最適な膜厚および膜種を選択することができる等、設計の自由度が増すことになるので、半導体圧力センサの製造が容易になる。特に、この前処理では、ウェットエッチング処理が施されることから、空隙50部分のスティッキングの原因になっており、第1封止膜48bを形成する工程を、前処理が不要とされる専用工程にすることで、容易に精度の高い半導体圧力センサを得ることができる。また、エッチングホール46bは、第1封止膜48bおよび第2封止膜60bによって塞がれることで、真空室51を確実に封止することができる。
【0093】
実施の形態4
ここでは、固定電極として、ソース・ドレイン領域を備えたFET(Field Effect Transistor)動作型の半導体圧力センサについて説明する。なお、製造工程における各構成について、実施の形態1と同様の構成については同一符号を付し、必要である場合を除いてその説明を繰り返さないこととする。
【0094】
この実施の形態では、まず、前述した
図1に示す工程と同様の工程を経た後、圧力センサ領域16では、n型の第1ウェル領域12aに加えて、p型の第4ウェル領域12b(
図22、
図23参照)が形成される。次に、
図2において説明したLOCOS法によって、圧力センサ領域16ではフィールド酸化膜19(
図22、
図23参照)が形成される。
次に、
図22に示すように、圧力センサ領域16cでは、p型のソース・ドレイン領域を形成するためのレジストマスク92が形成される。そして、そのレジストマスク92を注入マスクとして、p型の不純物(たとえばボロン)を注入することにより、1対のp型のソース・ドレイン領域55が形成される。その後、レジストマスク92が除去される。
【0095】
次に、
図23に示すように、圧力センサ領域16dでは、n型のソース・ドレイン領域を形成するためのレジストマスク93が形成される。そして、そのレジストマスク93を注入マスクとして、n型の不純物(たとえばヒ素)を注入することにより、1対のn型のソース・ドレイン領域56が形成される。その後、レジストマスク93が除去される。続いて、
図3〜
図13に示す工程と同様の工程を経て、
図24に示すように、FET動作型の半導体圧力センサの主要部分が完成する。
【0096】
FET動作型の半導体圧力センサでは、圧力センサ領域16cに、pチャネル型のFET動作型の圧力センサが形成され、圧力センサ領域16dに、nチャネル型のFET動作型の圧力センサが形成されている。pチャネル型のFET動作型の圧力センサには、固定電極として、p型のソース・ドレイン領域55が形成されている。nチャネル型のFET動作型の圧力センサには、固定電極として、n型のソース・ドレイン領域56が形成されている。
【0097】
この半導体圧力センサでは、圧力によって可動電極30dが変位すると、シリコン基板1と可動電極30dとの間隔が変化して容量値が変化する。このため、一対のp型(n型)のソース・ドレイン領域55(56)において、一方のソース・ドレイン領域55(56)から他方のソース・ドレイン領域55(56)へ流れる電流値が変化する。この電流値の変化が圧力値として測定されることになる。
【0098】
上述した半導体圧力センサでは、固定電極として、一対のp型(n型)のソース・ドレイン領域55(56)が形成される他は、実施の形態1において説明した製造工と同様の工程を経て形成される。これにより、実質的に、実施の形態1において説明した効果と同様の効果が得られる。
【0099】
実施の形態5
ここでは、CMOS領域にコンタクトホールを形成する前に、真空室(エッチングホール)を形成する場合について説明する。なお、製造工程における各構成について、実施の形態1と同様の構成については同一符号を付し、必要である場合を除いてその説明を繰り返さないこととする。
【0100】
この実施の形態では、まず、前述した
図1〜
図8に示す工程と同様の工程を経た後、
図25に示すように、第1層間絶縁膜40が形成される。次に、写真製版処理を施すことにより、エッチングホールを形成するためのレジストマスク(図示せず)が形成される。そして、そのレジストマスクをエッチングマスクとしてエッチング処理を施すことによって、
図26に示すように、圧力センサ領域16では犠牲膜をエッチングするためのエッチングホール70が形成される。その後、レジストマスクが除去される。
【0101】
次に、エッチングホール70を介してウェットエッチングを施し犠牲膜23bを除去することによって、空隙50が形成される。なお、
図26はこのときの工程に対応するものである。ウェットエッチング処理の薬液として、たとえば、TMAHが使用される。また、ウェットエッチング処理の他に、二フッ化キセノン(XeF
2)を適用したドライエッチング処理を施してもよい。
【0102】
次に、空隙50を真空室とする処理が施される。たとえば、蒸着法またはスパッタ法により所定の金属膜が形成される。金属膜として、アルミニウム(Al)膜、アルミニウムシリコン(Al−Si)膜、アルミニウムシリコン銅(Al−Si−Cu)膜、または、アルミニウム銅(Al−Cu)膜等、CMOSプロセスにおいて適用されているものが使用される。このとき、真空中において金属膜が形成されることで、空隙50が減圧されて真空室51となり、その真空室51が金属膜(第1封止膜71)によって封止されることになる。
【0103】
次に、その金属膜をパターニングすることによって、
図27に示すように、エッチングホール70(真空室51)を塞いで空隙を封止する第1封止膜71が形成される。なお、ここでは、エッチングホールを金属膜によって塞ぐことが目的であるため、金属膜を形成する前に前処理を施す工程は不要とされる。また、バリアメタル膜を形成する工程も不要とされる。
【0104】
次に、写真製版処理を施すことにより、コンタクトホールを形成するためのレジストマスク(図示せず)が形成される。そして、そのレジストマスクをエッチングマスクとして、CMOS領域17に形成される半導体素子の仕様に合わせた条件のもとでエッチング処理が第1層間絶縁膜等に施される。これにより、
図28に示すように、CMOS領域17ではコンタクトホール41aが形成され、圧力センサ領域16ではコンタクトホール41bが形成される。その後、レジストマスクが除去される。
【0105】
次に、第1配線を形成するに先立ち、その前処理として、希フッ酸(HF)を用いたライトエッチ処理を施すことによって、コンタクトホール41a、41b内の自然酸化膜(図示せず)が除去される。次に、第1層間絶縁膜40を覆うように、バリアメタル膜とアルミニウムシリコン銅(AlSiCu)膜(いずれも図示せず)が形成される。バリアメタル膜として、たとえば、チタンナイトライド(TiN)膜が適用される。そして、そのアルミニウムシリコン銅膜等をパターニングすることにより、
図29に示すように、CMOS領域17では第1配線43aが形成される。圧力センサ領域16では、シールド膜39に電気的に接続される配線43bが形成され、エッチングホール70を塞ぐ第2封止膜43cが形成される。
【0106】
次に、CMOS領域17に形成される半導体素子の仕様に合わせた条件のもとで、第2封止膜43cおよび第1配線43aを覆うように、パッシベーション膜となる膜厚0.5〜1.0μm程度のシリコン窒化膜(図示せず)が形成される。
【0107】
次に、圧力センサ領域16において開口部が形成される部分を露出するレジストマスク(図示せず)が形成される。そして、そのレジストマスクをエッチングマスクとしてエッチング処理を施すことによって、開口部が形成される領域に位置するシリコン窒化膜の部分が除去される。これにより、
図29に示すように、CMOS領域17では、パッシベーション膜52aが形成される。圧力センサ領域16では、エッチングホール70をさらに塞ぐパッシベーション膜52cが形成される。
【0108】
次に、圧力センサ領域に開口部を形成するためのレジストマスク(図示せず)が形成される。そして、そのレジストマスクをエッチングマスクとして、ドライエッチング処理またはドライエッチングとウェットエッチングとを組み合わせたエッチング処理が施される。これにより、
図30および
図31に示すように、検出用の圧力センサ領域16aでは、第1層間絶縁膜40が除去されて開口部54が形成される。一方、参照用の圧力センサ領域16bでは、第1層間絶縁膜40が残された状態になる。
図31では、第1層間絶縁膜40の上に、さらに、配線43bが積層されているが、第1層間絶縁膜40だけでもよい。こうして、半導体圧力センサの主要部分が形成される。
【0109】
上述した半導体圧力センサでは、基本的に、第2層間絶縁膜および第2配線が形成されないことを除いて、実施の形態1において説明した製造工と同様の工程を経て形成される。これにより、実質的に、実施の形態1において説明した効果と同様の効果が得られる。
【0110】
実施の形態6
ここでは、第2層間絶縁膜を2回に分割して形成する場合について説明する。この場合、1回目に形成される第1分割膜の部分が、犠牲膜をエッチング処理によって除去する際の保護膜となる、2回目に形成される第2分割膜の部分が、エッチングホールを塞ぐ膜となる。なお、製造工程における各構成について、実施の形態1と同様の構成については同一符号を付し、必要である場合を除いてその説明を繰り返さないこととする。
【0111】
この実施の形態では、まず、前述した
図1〜
図9に示す工程と同様の工程を経た後、
図32に示すように、CMOS領域17では第1配線43aが形成され、圧力センサ領域16では配線43bが形成される。なお、第1配線等としては、バリアメタル膜とアルミニウムシリコン銅(AlSiCu)膜の積層膜が形成される。バリアメタル膜として、たとえば、チタンナイトライド(TiN)膜が適用される。
【0112】
また、第1配線等としては、コンタクトホール41a、41bにタングステンプラグを形成し、その後、バリアメタルおよびアルミニウム銅(AlCu)膜を形成してパターニングするようにしてもよい。この場合、バリアメタルとして、チタンシリサイド(TiSi
2)またはコバルトシリサイド(CoSi
2)膜等がある。
【0113】
次に、
図32に示すように、第1配線43aおよび配線43bを覆うように、第2層間絶縁膜のうち1回目の分割膜として、第1分割膜80が形成される。この第1分割膜80は、後述する犠牲膜23bをエッチング処理によって除去する際に、第1配線43aおよび配線43bを保護する保護膜として形成される。犠牲膜23bは、TMAHを適用したウェットエッチング処理、または、二フッ化キセノン(XeF
2)等を適用したドライエッチング処理によって除去される。このエッチング処理では、酸化膜に対するエッチング選択比が大きいことから、第1分割膜80の膜厚としては、50〜300nm程度の膜厚をもって、第1配線43aおよび配線43bを保護することができる。
【0114】
次に、写真製版処理を施すことにより、エッチングホールを形成するためのレジストマスク(図示せず)が形成される。そして、そのレジストマスクをエッチングマスクとしてエッチング処理を施すことによって、
図33に示すように、犠牲膜をエッチングするためのエッチングホール81が形成される。次に、エッチングホール81を介してウェットエッチング処理を施すことにより、犠牲膜23bが除去される。なお、
図33は、このときの工程に対応するものである。ウェットエッチング処理の薬液として、たとえば、TMAHが使用される。
【0115】
TMAHを適用した犠牲膜23b(ポリシリコン膜)のエッチング処理では、第1分割膜80のエッチングレートに対する犠牲膜23bのエッチングレート(エッチング選択比)が、500〜3000程度である。このため、犠牲膜23bのエッチングレートに対して、第1分割膜80のエッチングレートは十分に低く、膜厚50〜300nm程度の第1分割膜80によって、第1配線43aおよび配線43bを十分に保護することができる。
【0116】
次に、
図34に示すように、第2層間絶縁膜のうち2回目の分割膜として、第2分割膜82が形成される。このとき、真空中において第2分割膜82が形成されることで、空隙50が減圧され、さらに、エッチングホールが第2分割膜82によって塞がれることで、真空室51が設けられる。第2分割膜82の膜厚は、500〜1500nm程度である。
【0117】
第1分割膜80の膜厚と第2分割膜82の膜厚とを合わせた膜厚は、CMOSプロセスにおいて適用されている、膜厚500〜1500nm程度の第2層間絶縁膜の膜厚になるように設定されている。これにより、CMOS標準プロセスが積極的に適用されて、製造工程の増加を抑えることができる。また、半導体圧力センサの製造が容易になる。さらに、半導体圧力センサとしての特性劣化を防止することができる。
【0118】
次に、所定の開口部を形成するためのレジストマスク(図示せず)が形成される。そして、そのレジストマスクをエッチングマスクとして、ドライエッチング処理またはドライエッチングとウェットエッチングとを組み合わせたエッチング処理が施される。これにより、
図35に示すように、圧力センサ領域16では、第2層間絶縁膜45である第1分割膜80および第2分割膜82と、第1層間絶縁膜40とが除去されて、開口部84が形成される。CMOS領域17では、パッド用の開口部83が形成される。その後、レジストマスクが除去される。
【0119】
次に、第2分割膜82を覆うように、パッシベーション膜となるシリコン窒化膜(図示せず)が形成される。次に、そのシリコン窒化膜をパターニングすることにより、
図36に示すように、パッシベーション膜85が形成される。このパターニングによって、圧力センサ領域16では、可動電極30dの直上に位置するシリコン窒化膜の部分が除去される。CMOS領域17では、パッドの直上に位置するシリコン窒化膜の部分が除去される。こうして、半導体圧力センサの主要部分が形成される。
【0120】
上述した半導体圧力センサでは、第2層間絶縁膜が分割されて形成されることを除いて、実施の形態1において説明した製造工と同様の工程を経て形成される。これにより、実質的に、実施の形態1において説明した効果と同様の効果が得られる。
【0121】
また、その第2層間絶縁膜として、保護膜としての第1分割膜80と封止膜としての第2分割膜82とが形成される。この第1分割膜80と第2分割膜82も、CMOS標準プロセスによって形成されることで、半導体圧力センサを容易に製造することができる。また、半導体圧力センサとしての特性劣化を防止することができる。
【0122】
今回開示された実施の形態は例示であってこれに制限されるものではない。本発明は上記で説明した範囲ではなく、特許請求の範囲によって示され、特許請求の範囲と均等の意味および範囲でのすべての変更が含まれることが意図される。