特許第5832444号(P5832444)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2015.5.11 β版

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特許5832444樹脂組成物、それを用いたプリプレグ及び積層板
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】5832444
(24)【登録日】2015年11月6日
(45)【発行日】2015年12月16日
(54)【発明の名称】樹脂組成物、それを用いたプリプレグ及び積層板
(51)【国際特許分類】
   C08L 63/00 20060101AFI20151126BHJP
   C08G 59/20 20060101ALI20151126BHJP
   C08G 59/40 20060101ALI20151126BHJP
   C08K 5/16 20060101ALI20151126BHJP
   C08J 5/24 20060101ALI20151126BHJP
   C08G 65/40 20060101ALI20151126BHJP
   B32B 15/08 20060101ALI20151126BHJP
【FI】
   C08L63/00 B
   C08G59/20
   C08G59/40
   C08K5/16
   C08J5/24CFG
   C08G65/40
   B32B15/08
【請求項の数】6
【全頁数】22
(21)【出願番号】特願2012-540896(P2012-540896)
(86)(22)【出願日】2011年10月19日
(86)【国際出願番号】JP2011074598
(87)【国際公開番号】WO2012057171
(87)【国際公開日】20120503
【審査請求日】2013年6月18日
(31)【優先権主張番号】特願2010-243048(P2010-243048)
(32)【優先日】2010年10月29日
(33)【優先権主張国】JP
(73)【特許権者】
【識別番号】000126115
【氏名又は名称】エア・ウォーター株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100075177
【弁理士】
【氏名又は名称】小野 尚純
(74)【代理人】
【識別番号】100075524
【弁理士】
【氏名又は名称】中嶋 重光
(72)【発明者】
【氏名】新山 哲朗
(72)【発明者】
【氏名】曽根 嘉久
【審査官】 大▲わき▼ 弘子
(56)【参考文献】
【文献】 特開2010−090238(JP,A)
【文献】 特開2010−053334(JP,A)
【文献】 特開2009−001783(JP,A)
【文献】 特開2010−275497(JP,A)
【文献】 国際公開第2011/126070(WO,A1)
【文献】 特開平09−003167(JP,A)
【文献】 特開2005−154739(JP,A)
【文献】 特開2003−073459(JP,A)
【文献】 特開2003−335925(JP,A)
【文献】 特開2011−219674(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C08L 63/00
B32B 15/08
C08G 59/20
C08G 59/40
C08G 65/40
C08J 5/24
C08K 5/16
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
(A)下記一般式[1]で示されるポリマレイミド化合物、
(B)下記一般式[2]で示される分子中に少なくとも2個のグリシジル基を有するエポキシ樹脂および
(C)分子中に少なくとも2個のOH基を有するフェノール化合物と、さらに
(D)下記一般式[10]で示されるグリシジルエーテル化合物および/または
(E)フェノール類(ただし(C)の化合物を除く)、アミン類、グリシドール、グリセリンジグリシジルエーテル、エチレングリコールモノグリシジルエーテル、レゾルシノールモノグリシジルエーテル、ナフトレゾルシノールモノグリシジルエーテル及びプロパギルアルコールから選ばれた少なくとも一つの活性水素を有する化合物を含有することを特徴とする変性ポリイミド樹脂組成物。
【化1】
(式中、Rはk価の有機基を表わし、X、Xは、同一であっても異なっていてもよく、水素原子および有機基から選ばれた一価の原子または基を表し、kは2以上の整数である。)
【化2】
(式中、nは、平均値を示し、1〜15の値であり、Gはグリシジル基を表し、Rは互いに同一であっても異なっていてもよく、水素原子、炭素数1〜8のアルキル基またはアルケン基を表し、Pは水素原子、アルキル基、アルケン基または芳香族炭化水素基を表す。)
【化3】
(式中、Rはアルキル基、アルケン基および芳香族炭化水素基から選ばれる1価の基を表す。)
【請求項2】
請求項1に記載の樹脂組成物を熱処理して反応させることにより得られる変性ポリイミド樹脂。
【請求項3】
請求項1に記載の樹脂組成物の成分を熱処理し、少なくとも(A)と(C)の間で反応させることにより得られる変性ポリイミド樹脂。
【請求項4】
請求項1に記載の樹脂組成物を基材に含浸して得られるプリプレグ。
【請求項5】
請求項に記載のプリプレグの一枚または複数枚を積層したものを加熱加圧して得られる複合体。
【請求項6】
請求項に記載のプリプレグの一枚または複数枚を積層したものの最外層の片面または両面に金属箔を一体化させて得られる積層板。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、電子・電気部品、プリント配線板、半導体基板、IC封止材等の電子材料分野において使用され、特にハロゲン含有難燃剤やリン含有難燃剤を含まず優れた難燃性を示し、高い耐熱性と難燃性が要求されるプリント配線板や半導体基板用に好適な樹脂組成物、これを用いたプリプレグ、並びにそれから得られる複合材および積層板に関する。
【背景技術】
【0002】
電子材料分野では、火災に対する安全性を確保するために難燃性が要求されている。プリント配線板用、半導体基板用の積層板材料に関しては、その代表的な規格としてUnderwriters Laboratories Inc.のUL94規格があり、垂直燃焼試験で好ましくはV-1、より好ましくはV-0の条件に合格することが求められる。これまでに当該分野で使用されている樹脂はこの条件に合格するために、含臭素化合物などの含ハロゲン化合物を難燃剤として含有している。これら含ハロゲン化合物は高度な難燃性を有するが、例えば芳香族臭素化合物は熱分解により腐食性を有する臭素、臭化水素を発生するだけでなく、酸素存在下では毒性の高い化合物を形成する可能性がある(非特許文献1参照)。
【0003】
このような理由からハロゲン化合物を含まない材料、所謂「ハロゲンフリー」の材料が開発されている(例えば特許文献1等参照)。その中で含ハロゲン化合物に替わる難燃剤として、赤リン等の含リン化合物が中心的に検討されてきた。しかしながら、含リン難燃剤は燃焼時にホスフィンなどの有毒リン化合物を発生する恐れがある上、含リン化合物難燃剤として代表的なリン酸エステルを使用した場合、組成物の耐湿性が著しく損なわれるという欠点がある。
【0004】
一方、他の難燃剤として金属水酸化物が知られており、例えば水酸化アルミニウムは、加熱時に結晶水を放出する以下のような反応により難燃剤としての効果があることが知られている。
2Al(OH) → Al+3H
しかしながら、水酸化アルミニウム等の金属水酸化物を単独で難燃剤として使用する場合、求められる難燃性能を得るためには多量の添加が必要である。一般的なエポキシ樹脂を使用し、水酸化アルミニウムを難燃剤として添加した積層板の場合では、UL94規格のV-0レベルを達成するのに必要な水酸化アルミニウムの添加量は、樹脂組成物の70wt%〜75wt%程度、燃焼しにくい骨格の樹脂を使用した場合でも50wt%程度の水酸化アルミニウムの添加が必要となる(非特許文献2参照)。水酸化アルミニウムの添加量が多い場合、樹脂組成物およびその樹脂により形成される積層板の性能、特に耐湿性及び吸湿後の耐熱性(ハンダ耐熱性)が著しく低下する(特許文献2参照)。耐湿性や吸湿後の耐熱性は、積層板が半導体用基板などとして使用される場合の実装時の信頼性に大きく影響するため、改善が要求されている。
【0005】
また従来は積層板の難燃性を評価する場合、1.6mmなどの厚いもので評価を行うことが多い。しかし近年の電子機器の軽薄短小化に伴い、半導体基板として使用される積層板の厚さは0.5mm以下、好ましくは0.2mm以下が求められている。厚さが薄くなればなるほど、燃焼時に酸素と接触しやすく、燃えやすいため一般的に難燃剤は多く必要になる。そのため薄い積層板での難燃性を満足し、かつ十分な耐湿性、吸湿後のハンダ耐熱性を持つ積層板材料を得るためには更に難燃性の高い樹脂組成が求められている。
近年またこれら積層板用の樹脂組成物では、鉛フリー半田などによる半導体実装方法では260℃以上もの高温処理が必要になってきており、パッケージの反りの問題が顕著化してきている。また、Cuワイヤボンディングへの移行に伴い高温高弾性率の要求もある。つまり高温処理に耐えるため高耐熱(高Tg)で低熱膨張の材料が求められてきている。
【0006】
一般的に高Tgの材料は、低熱膨張であるため反りが少なく、高温弾性率が高いためCuワイヤボンディング処理にも耐えられると考えられる。しかしこの高Tg材料は耐熱性が高いことに反して、もろく、燃えやすいこと、接着性劣ることが欠点である。接着性が劣る理由としては高架橋のエポキシ樹脂を使用しているためもろいと考えられる。(柔軟なエポキシでは接着はよいがTgが低い。)
【0007】
これまでに、特定のマレイミド基を含有する樹脂組成物とエポキシ樹脂(ナフトール骨格含有のエポキシ硬化剤または/及びエポキシ樹脂)を複合化させることで、高Tg,低熱膨張の樹脂組成物が得られることが報告されている。(特許文献3、4参照)。しかしながら、難燃性を付与するためにブロム化エポキシ樹脂などのハロゲン化難燃材を使用したり(特許文献5参照)、水酸化アルミニウムなどの金属水酸化物を難燃材として多量に使用する必要があった。しかしながらこれらの場合でも0.2mm以下の薄板で行われる厳しい難燃性試験に耐えうる十分な難燃性を得ることは難しかった。一方、基板材料に求められる吸湿条件下での耐熱性の向上にナフタレン環を有する特定のエポキシ樹脂を使用した場合、十分な耐熱性を得られることが分かっている(特許文献6参照)。ただし耐熱性と難燃性は必ずしも一致しないため、十分な耐熱性と難燃性を併せもつ樹脂組成を得ることは難しかった。
【0008】
高Tgと難燃の両立が重要な課題であるが、従来の熱硬化性樹脂は、両特性が背反するため、要求を充分に満足する材料は無く、その登場が望まれている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0009】
【特許文献1】特開2003-231762号公報
【特許文献2】特開2001-226465号公報
【特許文献3】特開2003-119348号公報
【特許文献4】特開2003-147170号公報
【特許文献5】特開2004-307673号公報
【特許文献6】特開2003-335925号公報
【非特許文献】
【0010】
【非特許文献1】エレクトロニクス実装学会誌 5(2)、pp.159〜165(2003)
【非特許文献2】ポリマーの難燃化、大成社、pp.69〜79(1992)、”ハロゲン系難燃剤”
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0011】
本発明は、高Tg(高耐熱)、低熱膨張であって、難燃性にも優れた樹脂組成物を提供することを目的とする。
本発明は、高Tgで難燃性に優れているのでハロゲンフリー化に有利であり、またCuとの接着性にも優れた樹脂組成物を提供するものである。
【課題を解決するための手段】
【0012】
本発明は、
(A)下記一般式[1]で示されるポリマレイミド化合物、
(B)下記一般式[2]で示される分子中に少なくとも2個のグリシジル基を有するエポキシ樹脂、および
(C)分子中に少なくとも2個のOH基を有するフェノール化合物
を含有することを特長とする変性ポリイミド樹脂組成物を提供する。
【0013】
【化1】
(式中、Rはk価の有機基を表わし、X、Xは、同一であっても異なっていてもよく、水素原子および有機基から選ばれた一価の原子または基を表し、kは2以上の整数である。)
【0014】
【化2】
(式中、nは、平均値を示し、1〜15の値であり、Gはグリシジル基を表し、Rは互いに同一であっても異なっていてもよく、水素原子、炭素数1〜8のアルキル基またはアルケン基を表し、Pは水素原子、アルキル基、アルケン基または芳香族炭化水素基を表す。)
【0015】
前記樹脂組成物を熱処理して反応させることにより得られる変性ポリイミド樹脂、特に少なくとも(A)と(C)の間で反応させることにより得られる変性ポリイミド樹脂は本発明の好ましい態様である。
【0016】
本発明は、また前記(A)、(B)および(C)と、さらに(D)グリシジルエーテル化合物および(E)少なくとも一つの活性水素を有する化合物から選ばれた少なくとも一つの化合物を含有する変性ポリイミド樹脂組成物を提供する。
【0017】
本発明はさらに、前記変性ポリイミド樹脂組成物基材に含浸して得られるプリプレグ、該プリプレグの一枚または複数枚を積層したものを加熱加圧して得られる複合材、および該プリプレグの一枚または複数枚を積層したものの最外層の片面または両面に金属箔を一体化させて得られる積層板を提供する。
【発明の効果】
【0018】
本発明により、高Tg(高耐熱)、低熱膨張であって、難燃性にも優れた樹脂組成物が提供される。
本発明の樹脂組成物は高い難燃性を持つため、0.5mm以下という薄い積層板となった場合でも十分な難燃性を得ることができる。また樹脂組成物の難燃性が高いことにより、金属水酸化物等の吸湿特性を劣化させ得る難燃剤の添加が不要/又は添加を通常に比べて少量とすることが可能であり、結果として樹脂組成物、それにより形成される積層板は高い耐湿性、吸湿耐熱性をもつものである。
本発明の樹脂組成物は、高い難燃性を維持したまま、高Tgを示し、高架橋のエポキシ樹脂を使用しなくともCuとの高い接着強度を持つ樹脂組成物が発現するという優れた性能を有する樹脂組成物である。
【図面の簡単な説明】
【0019】
図1は、実施例1で得られた変性ポリイミド樹脂組成物(a)のFD−MS法分子量測定のチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0020】
本発明は、
(A)下記一般式[1]で示されるポリマレイミド化合物、
(B)下記一般式[2]で示される分子中に少なくとも2個のグリシジル基を有するエポキシ樹脂、および
(C)分子中に少なくとも2個のOH基を有するフェノール化合物
を含有することを特長とする変性ポリイミド樹脂組成物を提供するものである。
本発明に係る変性ポリイミド樹脂組成物(以下単に樹脂組成物と呼ぶことがある)について、以下に詳細に説明する。
【0021】
樹脂組成物
本発明で用いられるポリマレイミド化合物(A)は下記一般式[1]で示される1分子中に2個以上のマレイミド基を有する化合物である。
【0022】
【化3】
【0023】
式中、Rはk価の有機基、X、Xは水素原子および有機基から選ばれた同一または異なる一価の原子または基、kは2以上の整数であり、好ましくは2〜10である。
【0024】
好ましいポリマレイミド化合物としては、一般式[1]中のRが下記一般式[3]からなる群より選ばれたものを挙げる事ができる。
【0025】
【化4】
【0026】
式中、Zは−CY−、−CO−、−O−、−、−S−、−SO−を示し、Yは−CH、CHCH−、CHO−、−OH、−NHまたは水素原子を示し、同一であっても異なってもよい。またrは1〜10の整数を表わす。
【0027】
一般式(1)中、有機基としてはメチル基などの炭素数1〜20のアルキル基が例示できる。
このようなポリマレイミド化合物としては、例えば、N,N’−エチレンビスマレイミド、N,N’−ヘキサメチレンビスマレイミド、N,N’−(1,3−フェニレン)ビスマレイミド、N,N’−[1,3−(2−メチルフェニレン)]ビスマレイミド、N,N’−(1,4−フェニレン)ビスマレイミド、ビス(4−マレイミドフェニル)メタン、ビス(3−メチル−4−マレイミドフェニル)メタン、ビス(4−マレイミドフェニル)エーテル、ビス(4−マレイミドフェニル)スルホン、ビス(4−マレイミドフェニル)スルフィド、ビス(4−マレイミドフェニル)ケトン、ビス(4−マレイミドシクロヘキシル)メタン、1,4−ビス(4−マレイミドフェニル)シクロヘキサン、1,4−ビス(4−マレイミドメチル)シクロヘキサン、1,4−ビス(マレイミドメチル)ベンゼン、1,3−ビス(3−マレイミドフェノキシ)ベンゼン、ビス[4−(4−マレイミドフェノキシ)フェニル]メタン、1,1−ビス[4−(3−マレイミドフェノキシ)フェニル]エタン、1,1−ビス[4−(4−マレイミドフェノキシ)フェニル]エタン、1,2−ビス[4−(3−マレイミドフェノキシ)フェニル]エタン、1,2−ビス[4−(4−マレイミドフェノキシ)フェニル]エタン、2,2−ビス[4−(4−マレイミドフェノキシ)フェニル]プロパン、2,2−ビス[4−(3−マレイミドフェノキシ)フェニル]ブタン、2,2−ビス[4−(4−マレイミドフェノキシ)フェニル]ブタン、4,4’−ビス(3−マレイミドフェノキシ)ビフェニル、4,4’−ビス(4−マレイミドフェノキシ)ビフェニル、ビス[4−(3−マレイミドフェノキシ)フェニル]ケトン、ビス[4−(4−マレイミドフェノキシ)フェニル]ケトン、ビス[4−(3−マレイミドフェノキシ)フェニル]スルフィド、ビス[4−(4−マレイミドフェノキシ)フェニル]スルフィド、ビス[4−(3−マレイミドフェノキシ)フェニル]スルホキシド、ビス[4−(4−マレイミドフェノキシ)フェニル]スルホキシド、ビス[4−(3−マレイミドフェノキシ)フェニル]スルホン、ビス[4−(4−マレイミドフェノキシ)フェニル]スルホン、ビス[4−(3−マレイミドフェノキシ)フェニル]エーテル、ビス[4−(4−マレイミドフェノキシ)フェニル]エーテル、1,4−ビス[4−(4−マレイミドフェノキシ)−α,α−ジメチルベンジル]ベンゼン、1,3−ビス[4−(4−マレイミドフェノキシ)−α,α−ジメチルベンジル]ベンゼン、1,4−ビス[4−(3−マレイミドフェノキシ)−α,α−ジメチルベンジル]ベンゼン、1,3−ビス[4−(3−マレイミドフェノキシ)−α,α−ジメチルベンジル]ベンゼン、1,4−ビス[4−(4−マレイミドフェノキシ)−3,5−ジメチル−α,α−ジメチルベンジル]ベンゼン、1,3−ビス[4−(4−マレイミドフェノキシ)−3,5−ジメチル−α,α−ジメチルベンジル]ベンゼン、1,4−ビス[4−(3−マレイミドフェノキシ)−3,5−ジメチル−α,α−ジメチルベンジル]ベンゼン、1,3−ビス[4−(3−マレイミドフェノキシ)−3,5−ジメチル−α,α−ジメチルベンジル]ベンゼン等を挙げることができる。また下記一般式[4]で表されるポリマレイミド化合物、および一般式[5]で表されるポリマレイミド化合物、および一般式[6]で表されるポリマレイミド化合物等も好適な例として挙げることができる。また、これらのポリマレイミド化合物は、単独で用いても2種以上を混合して用いてもよい。
【0028】
【化5】
(式中、sは平均値で0〜10である)
【0029】
【化6】
(式中、tは平均値で0〜10である)
【0030】
【化7】
(式中、uは平均値で0〜6である)
【0031】
本発明で用いられるエポキシ樹脂(B)は下記一般式[2]で示される分子中に少なくとも2個のグリシジル基を有するエポキシ樹脂である。
【0032】
【化8】
【0033】
式中、nは平均値を示し1〜15の値を取る。Gはグリシジル基を表し、Rは水素原子、炭素数1〜8のアルキル基、アルケン基のいずれかを表し、個々のRは互いに同一であっても異なっていてもよい。アルキル基としては、メチル基、ブチル基、2−エチルヘキシル基、デシル基、ステアリル基等が 挙げられ、アルケン基としては、アリル基等が挙げられ、芳香族炭化水素基としてはフェニル基 、sec−ブチルフェニル基等が挙げられる。Pは水素原子またはアルキル基、アルケン基、芳香族炭化水素基を表す。RおよびPとしては水素原子が好ましい。
【0034】
本発明のエポキシ樹脂(B)は、市販されているものから適宜選択して使用することができる。例えば、上記式[2]中、P=H、R=Hであるものは、日本化薬株式会社からNC−3000として入手可能である。
【0035】
本発明で用いられる(C)分子中に少なくとも2個のOH基を有するフェノール化合物としては、下記一般式[7]で表されるフェノール化合物を挙げることができる。
【0036】
【化9】
(式中、Ar、Arは、それぞれ下記一般式[8]で示されるフェニレン基または下記一般式[9]で示されるナフタレン基であり、
【0037】
【化10】
【0038】
【化11】
【0039】
上記式中、Xは直接結合、炭素数1〜4のアルキレン、芳香環を含む炭素数8〜15のアルキレン、O、SまたはSOのいずれかを示し、アルキレンとしてはメチレン等が挙げられ、芳香環を含む炭素数8〜15のアルキレンとしてはフェニレン、ナフタレン、ビフェニレン構造を含むもの等が挙げられる。R、R、Rはそれぞれ炭化水素基又は水酸基であり、v、w、xはそれぞれ0〜3の整数、mは0以上の整数、但しmが0の場合は、Arは少なくとも1個の水酸基を有するものである)
【0040】
本発明のフェノール化合物(C)の具体的な例として、ヒドロキノン、レゾルシン、カテコール、ピロガロール、フロログルシン;o,m’−ビフェノール、o,p’−ビフェノール、m,m’−ビフェノール、m,p’−ビフェノール、p,p’−ビフェノールなどのビフェノール類;ビスフェノールF、ビスフェノールAなどのビスフェノール類;1,2−ジヒドロキシナフタレン、1,3−ジヒドロキシナフタレン、1,4−ジヒドロキシナフタレン、1,5−ジヒドロキシナフタレン、1,6−ジヒドロキシナフタレン、1,7−ジヒドロキシナフタレン、1,8−ジヒドロキシナフタレン、2,3−ジヒドロキシナフタレン、2,6−ジヒドロキシナフタレン、2,7−ジヒドロキシナフタレンのほか、フェノールノボラック樹脂、クレゾールノボラック樹脂、フェノールアラルキル樹脂、フェノールナフチルアルキル樹脂、トリフェノールメタン型ノボラック樹脂、ジシクロペンタジエン型フェノール樹脂、ナフトールアラルキル樹脂、ビフェニルアラルキル樹脂などの公知のフェノール樹脂系硬化剤を挙げることができる。これらの中では、ビフェニルアラルキル樹脂、フェノールアラルキル樹脂が好ましく、ナフトールアラルキル樹脂がより好ましい。
【0041】
本発明の変性ポリイミド樹脂組成物にさらに含有されていてよい(D)グリシジルエーテル化合物としては、下記式[10]で表されるグリシジルエーテル化合物を好ましい例として挙げることができる。
【0042】
【化12】
【0043】
式中、Rはアルキル基、アルケン基および芳香族炭化水素基から選ばれる1価の基を表す。アルキル基としては、炭素数1〜20のアルキル基が好ましく、メチル基、ブチル基、2−エチルヘキシル基、デシル基、ステアリル基などが挙げられ、アルケン基としては、炭素数2〜20のアルケン基が好ましく、アリル基等が挙げられ、芳香族炭化水素基としては炭素数6〜20の芳香族炭化水素基が好ましく、フェニル基 、sec−ブチルフェニル基等が挙げられる。
【0044】
これらグリシジルエーテル化合物を含有することにより、アセトン、メチルエチルケトン等の汎用的な溶剤を用いたワニス化反応の際に、樹脂が溶剤中に容易に可溶化するため、プリプレグ化に好適な均一溶液状のワニスを得ることができる。さらに樹脂硬化反応時には、グリシジル基の開環反応により樹脂骨格内に組み込まれることから、樹脂硬化物は機械強度や耐薬品性の低下が生じない。
【0045】
また電子材料用途における重要な特性である高度の耐湿性を達成するためには、Rは親水基を含まないことが好ましく、さらに誘電特性を向上させるためには、アルキル基、アルケン基、芳香族炭化水素基から選ばれる基であることが好ましい。このようなグリシジルエーテル化合物の具体例としては、メチルグリシジルエーテル、ブチルグリシジルエーテル、2−エチルヘキシルグリシジルエーテル、デシルグリシジルエーテル、ステアリルグリシジルエーテル等のアルキルグリシジルエーテル、アリルグリシジルエーテル等のアルケングリシジルエーテル、およびフェニルグリシジルエーテル、sec−ブチルフェニルグリシジルエーテル等の芳香族グリシジルエーテルが挙げられる。
【0046】
本発明の変性ポリイミド樹脂組成物にさらに含有されていてよい(E)少なくとも一つの活性水素を有する化合物としては、分子中に少なくとも一つの活性水素を有する化合物なら全て使用できる。分子中に少なくとも一つの活性水素を有する化合物の好ましい例としては、フェノール、ビスフェノールA、ビスフェノールF、クレゾール、レゾルシノール、ナフトール、ジヒドロキシナフトール等のフェノール類、アニリン、アミノフェノール、フェニレンジアミン、エチレンジアミン、ビス(4−アミノフェニル)メタン等のアミン類、グリシドール、グリセリンジグリシジルエーテル、エチレングリコールモノグリシジルエーテル、レゾルシノールモノグリシジルエーテル、ナフトレゾルシノールモノグリシジルエーテル等、一分子中に一つのアルコール性もしくはフェノール性OH基と、一つ以上のエポキシ基とを含む化合物、プロパギルアルコール等のOH基とアセチレン基を有する化合物等が挙げられる。
【0047】
次に本発明の変性ポリイミド樹脂組成物の樹脂組成について説明する。
(A)成分のポリマレイミド化合物100質量部に対して、(B)成分のエポキシ樹脂と(C)成分のフェノール化合物との合計配合量は、10〜500質量部、好ましくは25〜300質量部であり、(B)成分のエポキシ樹脂のグリシジル基数に対する(C)成分のフェノール化合物のOH基数の比率が0.2〜5.0の範囲、好ましくは0.5〜3.0の範囲である。また(D)成分のグリシジルエーテル化合物の配合量は、3〜100質量部、好ましくは5〜50質量部、更に好ましくは7〜20質量部である。
【0048】
(B)成分のエポキシ樹脂と(C)成分のフェノール化合物の合計配合量が上記範囲にあると良好な金属箔や金属板との接着力が得られる。(B)成分のエポキシ樹脂のグリシジル基数に対する(C)成分のフェノール化合物のOH基数が上記範囲にあると良好な樹脂組成物の硬化が得られる。また(D)成分のグリシジルエーテル化合物の配合量は、変性樹脂ワニス製造時にスラリー状の均一性、プリプレグ製造上膜厚の均一化、ピンホール等の外観上問題などの観点から上記範囲にあることが好ましい。
【0049】
本発明の樹脂組成物は、更に硬化促進剤を含有することが好ましい。硬化促進剤としては例として2−メチルイミダゾール、2−エチル−4−メチルイミダゾール、2−へプタデシルイミダゾール、2−エチル−4−メチルイミダゾールテトラフェニルボレートなどのイミダゾール類;トリエタノールアミン、トリエチレンジアミン、N−メチルモルホリンなどのアミン類;トリエチルアンモニウムテトラフェニルボレート等のテトラフェニルボロン塩類;1,8-ジアザ-ビシクロ(5,4,0)ウンデセン−7およびその誘導体等が挙げられる。これらの硬化促進剤は、単独または2種以上組み合わせて用いることができる。
【0050】
これら硬化促進剤の含有量は、後述するワニスまたはプリプレグの所望するゲル化時間が得られるように配合するのが望ましいが、一般的には、樹脂成分の合計量((A)+(B)+(C)+(D)+(E)成分の合計量)100質量部に対して、0.005〜5質量部の範囲で用いられる。
【0051】
本発明の樹脂組成物には無機充填剤を加えることもできる。無機充填剤の種類の好ましい例としてはシリカ、アルミナ、酸化チタン、タルク、焼成タルク、カオリン、マイカ、クレー、窒化アルミニウム、ガラス、水酸化アルミニウム、オキシ酸化アルミニウムなどが挙げられる。シリカ、アルミナ、酸化チタン、タルク、水酸化アルミニウム、オキシ酸化アルミニウムがより好ましく、特にシリカ、タルク及びオキシ酸化アルミニウムが好ましい。シリカ、アルミナ、酸化チタンは硬度が高いため少量の添加で弾性率向上に寄与することが可能である。形状については球状のものを用いた場合、樹脂組成物のワニス(以下、単に「樹脂ワニス」と呼ぶことがある)となった場合に粘度の極端な上昇がなく、その後の作業性に優れるため好ましい。シリカとして球状のシリカは好ましい無機充填材である。タルクは特に扁平な形状のものの場合曲げ弾性率の向上に寄与することが可能である。無機充填剤含有量は、一般的には樹脂成分の合計量((A)+(B)+(C)+(D)+(E)成分の合計量)100質量部に対して、0〜200質量部の範囲で用いられることが好ましい。
【0052】
本発明の樹脂組成物には用途に応じて他の添加剤を加えることもできる。他の添加剤の好ましい例としては、消泡剤、レベリング剤、表面張力調整剤として一般に使用される添加剤などがあげられる。具体的な例としてはフッ素系、シリコーン系、アクリル系などの消泡剤、レベリング剤が挙げられる。他の添加剤の含有量は、一般的には樹脂成分の合計量((A)+(B)+(C)+(D)+(E)成分の合計量)100質量部に対して、0.0005〜5質量部の範囲で用いられることが好ましい。
【0053】
また本発明の樹脂組成物には、必要に応じて難燃剤を添加してもよい。難燃剤を使用するときは、従来公知の有機難燃剤及び無機難燃剤から適宜選択して使用することができる。
【0054】
樹脂組成物の調整方法
本発明に係る組成物は、
(A)上記一般式[1]で表される少なくとも2価以上のマレイミド化合物、
(B)上記一般式[2]分子中に少なくとも2個以上のグリシジル基を有するエポキシ樹脂、および
(C)分子中に少なくとも2個以上のOH基を有するフェノール化合物を加えて、さらに必要に応じて(D)グリシジルエーテル化合物および/または(E)少なくとも1つの活性水素を有する化合物を加えて、必要な添加成分とともに加熱混合して樹脂組成物とすることができる。加熱混合は80〜200℃の温度で0.1〜10時間程度行うのが好ましい。また、これらの成分を有機溶剤中で加熱混合して、樹脂組成物を製造すると同時に樹脂ワニスを製造することもできる。有機溶剤中で加熱混合する場合には、有機溶剤の沸点にもよるが、一般的には50〜200℃の温度で、0.1〜30時間程度の時間が必要になる。
【0055】
樹脂ワニスは、樹脂組成物を溶剤に溶解させたものである。すなわち本発明の樹脂ワニスは、前記(A)、(B)および(C)成分に、必要に応じて(D)および/または(E)成分を加熱混合して得られる樹脂組成物分を、溶剤に溶解させることにより得られる。また前記したように、これらの成分を有機溶剤中で加熱混合することにより樹脂組成物を製造すると同時に樹脂ワニスを製造することもできる。
【0056】
樹脂ワニスを得るのに用いられる溶剤としては、エチレングリコールモノエチルエーテル、プロピレングリコールモノメチルエーテル、エチレングリコールモノブチルエーテル、N,N−ジメチルホルムアミド、N,N−ジメチルアセトアミド、ジオキサン、アセトン、N−メチル−2−ピロリドン、ジメチルスルホキシド、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン、シクロヘキサノン、2−ヘプタノン等が使用できるが、溶剤としては比較的沸点の低い物がより好ましく、メチルエチルケトン、アセトン、ジオキサンあるいはこれらを主成分とする混合物が好ましく用いられる。
【0057】
樹脂ワニス中には上記樹脂成分が通常40〜80質量%、好ましくは50〜70質量%の範囲で含まれることが望ましい。また樹脂ワニスには、前記したような無機充填剤を添加することもできる。
【0058】
後記実施例で得られた変性ポリイミド樹脂組成物(a)は、後記のポリイミド化合物であるBMI−Sと後記のナフトールアラルキル樹脂であるSN−485の付加物であって、下記一般式[F−1]〜[F−4]で表わされる同一分子内にマレイミド基とフェノール性水酸基を有する化合物(F)であると考えられる。
【0059】
【化13】
【0060】
【化14】
【0061】
式中、Rはk価の有機基、X、X、Xc、Xdは、水素原子および有機基から選ばれた同一または異なる一価の原子または基、kは2以上の整数であり、h、jは1以上の整数で、k≧jである。
一般的にポリマレイミド化合物はエポキシ樹脂との相溶性が悪く、樹脂ワニスにした際、一部樹脂の析出やポリマレイミド硬化体とエポキシ硬化体の層分離が発生し耐熱性の低下などを引き起こすため、各種基板材料の特性を満足させることが困難であったところ、本発明の変性ポリイミド樹脂組成物によって、これらの課題を解決できたのであるが、それにはマレイミド化合物と硬化剤が付加反応した上記のような化合物への変換が寄与しているものと推定される。この化合物がポリマレイミドとエポキシ硬化体を有機結合で結ぶキーマテリアルである可能性があり、この付加反応により樹脂同士の相溶性が改善し、マレイミドが持つ高耐熱性を維持したまま、エポキシ樹脂が有する難燃性や接着性などの基材特性をも満たす性能が発現可能となったことが推定される。
【0062】
プリプレグ
本発明に係るプリプレグは、上記樹脂ワニスを基材に塗布または含浸せしめ、次いで乾燥して溶剤を除去することにより製造することができる。
基材としては、ガラス不織布、ガラスクロス、炭素繊維布、有機繊維布、紙などの従来プリプレグに用いられる公知の基材が全て使用可能である。上記樹脂ワニスを上記基材に塗布または含浸した後、乾燥工程を経てプリプレグを製造するが、塗布方法、含浸方法、乾燥方法は従来公知の方法が用いられ特に限定されるものではない。乾燥条件については、使用する溶剤の沸点により適宜決められるが、あまり高温は好ましくなく、またプリプレグ中の残存溶剤の量が3質量%以下となることが望ましい。
【0063】
複合材
本発明に係る複合材は、プリプレグ1枚を熱プレスして加熱硬化させるか、または複数枚積層されたプリプレグを熱プレスして加熱硬化させることによって一体化させることによって得られる。複合材を製造する時の加熱加圧条件は特に限定されるものではないが、加熱温度は100〜300℃、好ましくは150〜250℃、圧力は10〜100Kg/cm、加熱加圧時間は10〜300分程度である。
【0064】
積層板
本発明に係る積層板は、複合材の片面または両面に金属箔または金属板を積層一体化させたものである。この積層板は、1枚のプリプレグの片面もしくは両面に金属箔もしくは金属板を積層し熱プレスするか、または複数枚積層されたプリプレグの最外層となる片面または両面に金属箔または金属板を積層し熱プレスすることにより、プリプレグを加熱硬化させるとともに金属箔または金属板と一体化させることにより製造することができる。金属箔または金属板としては銅、アルミニウム、鉄、ステンレス等が使用できる。加熱硬化させる際の条件は、複合材を製造する際の条件と同様の条件が好ましい。また、内層コア材を用いて多層プリント配線板用積層板としてもよい。
【実施例】
【0065】
以下に本発明を、実施例及び比較例を用いてより具体的に説明するが、これらの例によって何ら限定されるものではない。
実施例及び比較例における性能の試験方法は次のとおりである。
【0066】
(1)ガラス転移温度:動的粘弾性法
(2)難燃性:UL規格の耐燃性試験方法に準じて測定した。
なお、難燃性の評価についてはプリプレグを2枚重ね合わせ作成した0.2〜0.3mm厚みの銅張積層板を使用して行った。
(3)銅箔ピール試験:JIS C−6481に準じて試験した。
【0067】
(4)半田耐熱性:JIS C−6481に準じて、試験片を120℃、100%RHの条件下で、3時間吸水処理後、300℃の半田浴に120秒フロートし、積層板の銅箔部分に膨れの有無を調べた。
【0068】
(5)ゲルタイム測定
予め170±1℃に調整された熱盤上に、ワニス約0.5ccを滴下し、同時にストップウォッチによる計時を開始する。また直ちに先端を尖らせたフッ素樹脂棒で熱盤面の直径20mmの範囲で試料をかきまぜ、数秒毎に熱盤から30mm程度垂直に持ち上げる。その持ち上げた際に熱盤に落下する試料の粘性を目視で観察し、ゲル化するまでの所要時間を測定する。測定は3回繰り返し、その平均値をゲルタイムとし、結果は小数点以下1桁目を四捨五入する。
【0069】
(6)粘度測定
JIS C2103 5.3およびJIS K7117に準拠して測定する。
恒温水槽中で温度調整し、25℃±1℃になった時点でB型粘度計の装置で測定する。
【0070】
(7)不揮発分測定
JIS C2103 5.4に準拠して測定する。
重量(W)を測定したアルミカップ中に、ワニス約2.0gを量り取り(W)、200±3℃に調整したオーブン中で30分間保持した後オーブンから取り出し、デシケーター内で室温まで冷却する。冷却したサンプルとアルミカップの全重量(W)を測定する。その後、以下の式から不揮発分を計算し、小数点以下2桁目を四捨五入する。
不揮発分(%)={(W-W)/W}×100
【0071】
実施例及び比較例において用いた原料の詳細は以下のとおりである。
(1)ポリマレイミド化合物(A):下記式で示されるBMI−S(商品名、窒素原子含有量:約8%、三井化学(株)社製)
【0072】
【化15】
【0073】
(2)エポキシ樹脂(B):ビフェニルアラルキルエポキシ樹脂、NC3000H(商品名、エポキシ当量290、日本化薬(株)社製)
(3)フェノール樹脂(C):ナフトールアラルキル樹脂、SN485(商品名、OH当量215、新日鉄化学(株)社製)
【0074】
(4)無機充填剤
1)水酸化アルミニウム:平均粒子径;1.1μm
2)オキシ酸化アルミニウム(AlO(OH)):平均粒子径;2μm、
3)焼成タルク:平均粒子径;3μm
4)シリカ:平均粒子径;0.5、1.5μm
(5)硬化促進剤:2−エチル−4−メチルイミダゾールテトラフェニルボレート
(6)反応性希釈剤:アリルグリシジルエーテル(NeoallylG、ダイソー株式会社製)
【0075】
(実施例1)
攪拌機、温度計、冷却管を設置した丸底フラスコにビス(4−マレイミドフェニル)メタン270.0g、ナフトールアラルキル樹脂〔SN−485、新日鉄化学〕82.0g、ビフェニルアラルキルエポキシ樹脂〔NC−3000−H、日本化薬)〕221.0g、メチルエチルケトン(MEK)120.0gを仕込み、内温が80℃に到達後2時間混合攪拌した。その後、反応性希釈剤(アリルグリシジルエーテル)27.0g、N−メチル−2−ピロリドン(NMP)12.0gを添加し、80℃を4時間保持した。
次にNMP28.0gを添加して更に80℃で18時間保持した。MEK200.0g、NMP40.0gを添加して2時間攪拌して、均一に溶解した状態の変性ポリイミド樹脂組成物のワニス(I)を得た。
得られたワニスの170℃ゲルタイムは200秒で、粘度は120m・Pa/s、樹脂固形分は62wt%であった。
【0076】
ここで得られたワニス(I)をFD−MS分析すると、この樹脂ワニス(I)の中に含まれる変性ポリイミド樹脂組成物(a)として分子量748の成分が検出された。この成分はBMI−SとSN−485の付加物であって、下記式[11]もしくは式[12]で表わされる同一分子内にマレイミド基とフェノール性水酸基を有する化合物(F)であった。
この樹脂ワニスの中に含まれる変性ポリイミド樹脂組成物(a)のFD−MS法分子量測定のチャートを図1に示した。
[11]は、前記一般式[F−1]および[F−2]においてk=2、j=1、h=1の化合物であり、[12]は、一般式[F−3]および[F−4]でk=2、j=1、h=1の化合物と同一の化合物を示している。
また、図1で分子量748以外の大きなピークは、原料由来のピークである。分子量479、807、1134、1463、1792は、原料のエポキシ樹脂NC3000−H由来のピークであり、また分子量358は、原料のポリマレイミド化合物BMI−S由来のピークであった。
【0077】
【化16】
【0078】
【化17】
【0079】
(実施例2)
実施例1で得た変性ポリイミド樹脂組成物のワニス(I)に、硬化促進剤、添加剤(レベリング剤)、無機充填剤(水酸化アルミニウム)を加え均一に攪拌し、樹脂ワニスを調製した。これを108g/m2(厚み約100μm)のガラスクロスに含浸し、160℃で6分間乾燥して、約200g/m2(厚み約100μm)のプリプレグを得た。このプリプレグを2枚重ね合わせ、さらにその上下の最外層に18μmの銅箔を配して、2MPaの圧力で、180〜230℃、120分の加熱条件で成形し、0.2〜0.3mm厚みの銅張積層板を得た。このようにして得られた積層板の試験結果も同様に表1中に示した。
得られた積層板の変性ポリイミド樹脂組成硬化物の組成は、樹脂25wt%、水酸化アルミニウムは17wt%、ガラスクロス58wt%であった。
このようにして得られた積層板の試験結果を第1表に示した。Tg(ガラス転移温度)、難燃性、ピール強度、半田耐熱性はすべて良好であった。
【0080】
(実施例3)
実施例2において、水酸化アルミニウムの使用を省略し、ガラスクロス/樹脂の重量比率を上げるほかは、実施例2と同様の操作で積層板を調製した。得られた積層板の変性ポリイミド樹脂組成硬化物の組成は、樹脂29wt%、ガラスクロス71wt%であった。得られた積層板の試験結果を第1表に示した。
Tg(ガラス転移温度)、難燃性、ピール強度、半田耐熱性はすべて良好であった。水酸化アルミニウムを入れなくとも、難燃性が高かった。
【0081】
(実施例4)
実施例2において、水酸化アルミニウムの代わりに、焼成タルクを使用するほかは、実施例2と同様の操作で積層板を調製した。
得られた積層板の変性ポリイミド樹脂組成硬化物の組成は、樹脂30wt%、焼成タルクは15wt%、ガラスクロス55wt%であった。得られた積層板の試験結果を第1表に示した。
Tg(ガラス転移温度)、難燃性、ピール強度、半田耐熱性はすべて良好であった。
【0082】
(実施例5)
実施例2において、水酸化アルミニウムの代わりに、オキシ酸化アルミニウムを使用するほかは、実施例2と同様の操作で積層板を調製した。得られた積層板の変性ポリイミド樹脂組成硬化物の組成は、樹脂25wt%、オキシ酸化アルミニウム17wt%、ガラスクロス58wt%であった。得られた積層板の試験結果を第1表に示した。
Tg(ガラス転移温度)、難燃性、ピール強度、半田耐熱性はすべて良好であった。
【0083】
(実施例6)
実施例2において、水酸化アルミニウムの代わりに、シリカを使用するほかは、実施例2と同様の操作で積層板を調製した。
得られた積層板の変性ポリイミド樹脂組成硬化物の組成は、樹脂25wt%、平均粒子径0.5μmのシリカは7.25wt%、平均粒子径1.5μmのシリカは17.75wt%、ガラスクロス50wt%であった
Tg(ガラス転移温度)、難燃性、ピール強度、半田耐熱性はすべて良好であった。
【0084】
(比較例1)
実施例1において、ビフェニルアラルキルエポキシ樹脂に代えて、下記に示すEXA−4710(DIC株式会社製:2,7-DON型エポキシオリゴマー、エポキシ当量173)を用い、表1の組成比で、実施例1と同様の操作で変性ポリイミド樹脂組成物のワニス(II)を得た。
得られた樹脂ワニス(II)は不均一であった。
【0085】
【化18】
式中、n=1〜5である。
【0086】
(比較例2)
実施例1において、ビフェニルアラルキルエポキシ樹脂に代えて、下記に示すJER1032(三菱化学製:トリフェノールメタン型エポキシ樹脂、エポキシ当量170)を用い、表1の組成比で、実施例1と同様の操作で変性ポリイミド樹脂組成物のワニス(III)を得た。
【0087】
【化19】
式中、n=1〜5である。
【0088】
(比較例3)
実施例1において、ビフェニルアラルキルエポキシ樹脂に代えて、下記に示すJER1001(三菱化学製:ビスフェノールA型エポキシ樹脂、エポキシ当量475)を用い、表1の組成比で、実施例1と同様の操作で変性ポリイミド樹脂組成物のワニス(IV)を得た。
【0089】
【化20】
式中、n=1〜5である。
【0090】
(比較例4)
比較例1で得られたワニス(II)を用い、実施例2と同様の操作で積層板を得ようと試みたが、ワニスが不均一で使用できず、プリプレグ化できなかった。
【0091】
(比較例5)
比較例2で得られた変性ポリイミド樹脂組成物のワニス(III)を用い、表1に示す配合比で実施例2と同様の操作(条件)でプリプレグ、および銅張積層板を得た。この特性評価結果を表1に併せて示す。
この積層板の難燃試験では、試験片は全焼してしまった。
【0092】
(比較例6)
比較例3で得られた変性ポリイミド樹脂組成物のワニス(IV)を用い、表1に示す配合比で実施例2と同様の操作(条件)でプリプレグ、および銅張積層板を得た。この特性評価結果を表1に併せて示す。
この積層板の難燃試験では、試験片は全焼してしまった。
【0093】
(比較例7)
比較例3で得られた変性ポリイミド樹脂組成物のワニス(IV)を用い、表1に示す配合比で実施例2と同様の操作(条件)でプリプレグ、および銅張積層板を得た。この特性評価結果を表1に併せて示す。比較例6と異なる点はガラスクロスの含浸率を変更し、樹脂含浸率を46%から30%に下げたことである。
樹脂組成を下げた積層板の試験片でも、難燃試験で全焼してしまった。
【0094】
【表1】
図1