(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記ラジカル重合型の多官能(メタ)アクリレートがジペンタエリスリトールヘキサアクリレート及び/又はジペンタエリスリトールペンタアクリレートであることを特徴とする請求項1に記載の離型フィルム。
前記ラジカル重合型の多官能(メタ)アクリレートがエトキシ化イソシアヌル酸トリアクリレート、又はエトキシ化イソシアヌル酸トリアクリレート及びエトキシ化イソシアヌル酸ジアクリレートの混合物であることを特徴とする請求項1に記載の離型フィルム。
前記基材層がポリプロピレン、ポリエチレン、及びポリエステルよりなる群から選ばれる何れかを主成分とすることを特徴とする請求項1〜3のいずれかに記載の離型フィルム。
【発明を実施するための形態】
【0021】
アクリル系樹脂層
本発明の離型フィルムのアクリル系樹脂層に用いられる(メタ)アクリル酸エステル類は、アクリル当量が200以下のラジカル重合型多官能(メタ)アクリレートである。
【0022】
ここで(メタ)アクリル酸エステル類とは、アクリル酸エステル類とメタクリル酸エステル類の両方をそれぞれ示す表記であり、(メタ)アクリレートとは、アクリレートの場合とメタクリレートの場合の両方の場合をそれぞれ示す表記である。
【0023】
ラジカル重合型の多官能(メタ)アクリレートは、分子中に少なくとも1個のラジカル重合型の反応基を有する化合物であり、この反応基が水酸基であるラジカル重合型水酸基の含有多官能(メタ)アクリレートであってもよい。
【0024】
本発明の離型フィルムのアクリル系樹脂層に用いられる(メタ)アクリル酸エステル類であるラジカル重合型の多官能(メタ)アクリレートには、分子中に3個以上、特に3〜10個、中でも3〜6個の(メタ)アクリロイル基を有する化合物が含まれていることを特徴としている。
【0025】
用いられるラジカル重合型の多官能(メタ)アクリレートの中の分子中に3個以上の(メタ)アクリロイル基を有する化合物の割合は、50質量%以上、中でも70質量%以上、さらには90質量%以上が好適である。
用いられるラジカル重合型の多官能(メタ)アクリレートの全てが(メタ)アクリロイル基が3個未満の場合には、離型層にシリコーン樹脂を用いる場合にシリコーンの移行が過大となり、被着体の汚染の原因となることがある。
【0026】
ここで、(メタ)アクリロイル基とは、アクリロイル基、アクリロイルオキシ基、メタクロイルオキシ基のうちから選ばれる少なくとも1種以上をいうものとする。
【0027】
本発明に使用される多官能(メタ)アクリレートの具体例としては、トリメチロールプロパントリアクリレート、トリメチロールエタントリアクリレート、テトラメチロールメタントリアクリレート、テトラメチロールメタンテトラアクリレート、ペンタグリセロールトリアクリレート、ペンタエリスリトールトリアクリレート、ペンタエリスリトールテトラアクリレート、グリセリントリアクリレート、ジペンタエリスリトールトリアクリレート、ジペンタエリスリトールテトラアクリレート、ジペンタエリスリトールペンタアクリレート、ジペンタエリスリトールヘキサアクリレート、ジペンタエリスリトールペンタアクリレート、トリス(2−アクリロイルオキシエチル)イソシアヌレート(別名:エトキシ化イソシアヌル酸トリアクリレート)、トリメチロールプロパントリメタクリレート、トリメチロールエタントリメタクリレート、テトラメチロールメタントリメタクリレート、テトラメチロールメタンテトラメタクリレート、ペンタグリセロールトリメタクリレート、ペンタエリスリトールトリメタクリレート、ペンタエリスリトールテトラメタクリレート、グリセリントリメタクリレート、ジペンタエリスリトールトリメタクリレート、ジペンタエリスリトールテトラメタクリレート、ジペンタエリスリトールペンタメタクリレート、ジペンタエリスリトールヘキサメタクリレート、イソボロニルトリアクリレート、多官能ウレタン(メタ)アクリレート等が好ましく挙げられ、巻き出し帯電の防止の観点から、及び剥離層にシリコーン樹脂、特に付加反応型シリコーン樹脂を用いる場合の硬化阻害防止の観点から、特に好ましくは、ジペンタエリスリトールヘキサアクリレート、ジペンタエリスリトールペンタアクリレートが挙げられる。
これらの化合物は、それぞれ単独または混合して用いられる。これらの中では、エトキシ化イソシアヌル酸トリアクリレートが特に好適であり、また、エトキシ化イソシアヌル酸トリアクリレート及びエトキシ化イソシアヌル酸ジアクリレートの混合物であることが特に好適であり、アクリル系樹脂層の重合反応の促進の観点からより好ましい。尚、上記モノマーの2量体、3量体等のオリゴマーであってもよい。
【0028】
ラジカル重合型の多官能(メタ)アクリレートとしては、ジペンタエリスリトール多官能(メタ)アクリレート、アルコキシ化イソシアヌル酸多官能(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトール多官能(メタ)アクリレートトリペンタエリスリトール多官能(メタ)アクリレートよりなる群から選ばれることが好ましい。
【0029】
このうち、ジペンタエリスリトール多官能(メタ)アクリレートとしては、ジペンタエリスリトール多官能アクリレートが好適であり、アルコキシ化イソシアヌル酸多官能(メタ)アクリレートとしては、エトキシ化イソシアヌル酸他官能(メタ)アクリレートが好適であり、さらにエトキシ化イソシアヌル酸多官能アクリレートが好適である。
【0030】
ペンタエリスリトール多官能(メタ)アクリレートとしては、ペンタエリスリトール多官能アクリレートが好適である。その中でも、ジペンタエリスリトールヘキサアクリレート、又はジペンタエリスリトールペンタアクリレートであることが特に好適である。
【0031】
また、好適な態様の1つとして、ジペンタエリスリトールヘキサアクリレート及びジペンタエリスリトールペンタアクリレートを併用することが好適である。
【0032】
また、本発明の他の好適な態様においては、上記のラジカル重合型の多官能(メタ)アクリレートがエトキシ化イソシアヌル酸トリアクリレートであることが好適であり、さらに、エトキシ化イソシアヌル酸トリアクリレートと共に、エトキシ化イソシアヌル酸ジアクリレートを併用することが特に好適である。
【0033】
また、本発明に用いられるラジカル重合型の多官能(メタ)アクリレートは、用いられる(メタ)アクリル酸エステル類の合計に対するアクリル当量が200以下となるようにして使用する必要がある。このアクリル当量が200を超えると多官能(メタ)アクリル酸エステル類の重合反応が不十分となる。
【0034】
そして、離型層として。シリコーン樹脂、特に付加反応型のシリコーン樹脂を用いた場合に、その付加反応型のシリコーン樹脂の付加反応を阻害するという問題が生じることがある。その結果、離型層の表面の所望の表面粗さ(SRa)が得られず、被着体の破損等の原因となったり、さらには巻き出し帯電圧の低減効果が得られないことがある。
ラジカル重合型の多官能(メタ)アクリレート等の(メタ)アクリル酸エステル類のアクリル当量は、次のように計算する。
〔(メタ)アクリル酸エステル類の分子量 〕÷〔(メタ)アクリロイル基数 〕をMxとし、ただし、(メタ)アクリロイル基数とは、アクリル酸エステルに含まれているアクリロイル基の数の場合と、メタクリル酸エステルに含まれているメタクリロイル基の数の場合のそれぞれを共に表記したものである。
〔 (メタ)アクリル酸エステル類の重量の合計量総和 〕をA(重量部)、
〔 (メタ)アクリル酸エステルの重量 〕をAx(重量部)
として、アクリル当量は、
(メタ)アクリル酸エステル類の中のそれぞれの(メタ)アクリル酸エステルについてMx×Ax÷Aの値を求め、その値がアクリル当量である。なお、2種以上の化合物を用いる場合は、個々のアクリル当量を求め、それらの総和として求めることができる。
【0035】
本発明において用いるラジカル重合型の多官能(メタ)アクリレートのアクリル当量は、200以下であり、好ましくは180以下、さらに好ましくは150以下である。
【0036】
この範囲内であれば、アクリル系樹脂層における重合反応を円滑に進めることができる。更には離型層にシリコーン樹脂を用いる場合には、シリコーン樹脂の付加反応の円滑化及び離型層の表面平滑性を改良することができる。
光重合開始剤
本発明の離型フィルムのアクリル系樹脂層を形成する際、(メタ)アクリレート等の(メタ)アクリル酸エステル類の重合の促進による生産効率も向上の観点から、光重合開始剤を添加することが好ましい。本発明において使用可能な光重合開始剤としては、ベンゾフェノン、ヒドロキシベンゾフェノン、ビス−N,N−ジメチルアミノベンゾフェノン、ビス−N,N−ジエチルアミノベンゾフェノン、4−メトキシ−4′−ジメチルアミノベンゾフェノン等のベンゾフェノン類;チオキサトン、2、4−ジエチルチオキサントン、イソプロピルチオキサントン、クロロチオキサントン、イソプロポキシクロロチオキサントン等のチオキサントン類;エチルアントラキノン、ベンズアントラキノン、アミノアントラキノン、クロロアントラキノン等のアントラキノン類;アセトフェノン、アセトフェノンベンジルケタール等のアセトフェノン類;ベンゾインメチルエーテル等のベンゾインエーテル類;2,4,6−トリハロメチルトリアジン類;1−ヒドロキシシクロヘキシルフェニルケトン、2−(o−クロロフェニル)−4,5−ジフェニルイミダゾール2量体、2−(o−クロロフェニル)−4,5−ジ(m−メトキシフェニル)イミダゾール2量体、2−(o−フルオロフェニル)−4,5−フェニルイミダゾール2量体、2−(o−メトキシフェニル)−4,5−フェニルイミダゾール2量体、2−(p−メトキシフェニル)−4,5−ジフェニルイミダゾール2量体、2−ジ(p−メトキシフェニル)−5−フェニルイミダゾール2量体、2−(2,4−ジメトキシフェニル)−4,5−ジフェニルイミダゾール2量体の2,4,5−トリアリールイミダゾール2量体、ベンジルジメチルケタール、2−ベンジル−2−ジメチルアミノ−1−(4−モルホリノフェニル)−ブタン−1−オン、2−メチル−1−[4−(メチルチオ)フェニル]−2−モルホリノ−1−プロパノン、2−ヒドロキシ−2−メチル−1−フェニル−プロパン−1−オン、1−[4−(2−ヒドロキシエトキシ)−フェニル]−2−ヒドロキシ−2−メチル−1−プロパン−1−オン、フェナントレンキノン、9,10−フェナンスレンキノン、メチルベンゾイン、エチルベンゾイン等のベンゾイン類、9−フェニルアクリジン、1,7−ビス(9,9′−アクリジニル)ヘプタン等のアクリジン誘導体、ビスアシルフォスフィンオキサイド、及びこれらの混合物等が挙げられ、上記は単独で使用しても混合して使用してもよい。尚、上記化合物のうち、ラジカル生成効率が良好である点において、アセトフェノン、アセトフェノンベンジルケタールに代表されるアセトフェノン類が好ましい。
【0037】
光重合開始剤は色素増感剤と組合せて用いてもよい。色素増感剤としては、例えば、キサンテン、チオキサンテン、クマリン、ケトクマリンなどが挙げられる。光重合開始剤と色素増感剤との組合せとしては、例えばBTTBとキサンテンとの組合せ、BTTBとチオキサンテンとの組合せ、BTTBとクマリンとの組合せ、BTTBとケトクマリンとの組合せなどが挙げられる。
【0038】
光重合開始剤の市販品としては、例えば、それぞれチバ・スペシャルティ・ケミカルズから販売されているIRGACURE651、IRGACURE184、IRGACURE127、IRGACURE500、IRGACURE1000、IRGACURE2959、DAROCUR1173、Lamberti社から販売されているESACURE ONE、ESACURE KIP150などを挙げることができる。これらの開始剤、色素増感剤は、シリコーン樹脂層を形成する際の硬化阻害する物質は避けることが望ましい。例えば、白金触媒を用いる場合、窒素、リン、硫黄、鉛、錫などを含む化合物は避けることが望ましい。
シリコーン樹脂
本発明の離型フィルムの離型層にはシリコーン樹脂を用いることが好適である。用いられるシリコーン樹脂は、従来公知の種々のシリコーン樹脂が種々の用途に応じて選ばれる。例えば、離型フィルムの被着体への密着性、離型工程の際の剥離強度の安定性、及びシリコーン樹脂成分の非移行性の観点から、熱、紫外線、電子線等による硬化反応にて得られるシリコーン樹脂であることが好ましい。その中でも、好適な態様は、1分子中に珪素原子に直結するアルケニル基を少なくとも2個有するオルガノポリシロキサンと、1分子中に珪素原子に直結する水素原子を少なくとも2個有するオルガノハイドロジエンポリシロキサンとの付加反応にて得られるシリコーン樹脂であり、即ち、付加反応型シリコーン樹脂であることが特に好ましい。
具体的なオルガノポリシロキサンの例としては、ジメチルアルケニルシロキシ基末端封鎖ジメチルポリシロキサン、トリメチルシロキシ基末端封鎖メチルアルケニルシロキサン・ジメチルシロキサン共重合体、シラノール基末端封鎖メチルアルケニルシロキサン・ジメチルシロキサン共重合体、ジメチルアルケニルシロキシ基末端封鎖メチルフェニルシロキサン・ジメチルシロキサン共重合体、ジメチルアルケニルシロキシ基末端封鎖ジフェニルシロキサン・ジメチルシロキサン共重合体等が挙げられる。
【0039】
また、具体的なオルガノハイドロジエンポリシロキサンの例としては、ジメチルハイドロジエンシロキシ基末端封鎖ジメチルシロキサン・メチルハイドロジエンシロキサン共重合体、トリメチルシロキシ基末端封鎖ジメチルシロキサン・メチルハイドロジエンシロキサン共重合体、ジメチルフェニルシロキシ基末端封鎖ジメチルシロキサン・メチルハイドロジエンシロキサン共重合体、トリメチルシロキシ基末端封鎖メチルハイドロジエンポリシロキサン、環状メチルハイドロジエンポリシロキサン等が挙げられる。
【0040】
さらに、離型層を形成するに当たって、前記のオルガノポリシロキサン成分100重量部に対して、前記のオルガノハイドロジエンポリシロキサン成分は通常0.2〜40重量部であり、これらを熱による付加反応を促進させるためには白金系触媒等を共存させることにより、比較的速やかに硬化反応を達成できる。
熱可塑性樹脂
本発明の離型フィルムの基材層を構成する熱可塑性樹脂は特に限定はされず、1種類又は2種類以上の異なる熱可塑性樹脂をブレンドして用いてもよい。また、熱可塑性樹脂はポリエチレン樹脂、ポリプロピレン樹脂、ポリエステル樹脂、第3級炭素を側鎖に有するα−オレフィン系重合体、ナイロン樹脂ポリ塩化ビニル樹脂、ポリ塩化ビニリデン樹脂、エチレンビニルアルコール樹脂が好ましく、ポリエチレン樹脂、ポリプロピレン樹脂、ポリエステル樹脂の何れかを主成分とすることがより好ましい。
【0041】
さらに、離型フィルムの素材としての耐熱性等の観点から、ポリエステル樹脂であることが最も好ましい。
【0042】
前記ポリエステル樹脂に有機や無機の微粒子を滑剤として、例えば0.001〜5重量%の配合割合で含有させることにより、フィルムの滑り性を良好なものとし加工性を向上させることができる。
【0043】
このような微粒子として、炭酸カルシウム、酸化カルシウム、酸化チタン、グラファイト、カオリンシリカ、アルミナ、酸化珪素、酸化亜鉛、カーボンブラック、炭化珪素、酸化錫、アクリル樹脂粒子、架橋ポリスチレン樹脂粒子、メラミン樹脂粒子、架橋シリコーン樹脂粒子などが好適な例として挙げることができる。
【0044】
また、その他の配合剤として、帯電防止剤、酸化防止剤、有機滑剤、触媒、着色剤、顔料、蛍光増白剤、可塑剤、架橋剤、潤滑剤、紫外線吸収剤、他の樹脂などを必要に応じて添加することができる。
ポリエステル樹脂
本発明において基材層に好適に用いられるポリエステル系樹脂は、結晶性ポリエステル樹脂、非晶性ポリエステル樹脂の何れであってもよい。結晶性ポリエステル樹脂としてはポリエチレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレート、ポリエチレンナフタレート、ポリブチレンナフタレートがフィルムの加工性及び機械的強度の観点から好ましく、ポリエチレンテレフタレート、ポリエチレンナフタレートがさらに好ましい。
ポリエチレン樹脂
本発明において基材層に好適に用いられるポリエチレン樹脂は、エチレンを主体とする重合体であり、密度が895kg/m
3以上、好ましくは900〜970kg/m
3の範囲にある超低密度ポリエチレン、高圧法低密度ポリエチレン、線状低密度ポリエチレン、中密度ポリエチレン、高密度ポリエチレン等のエチレン単独重合体もしくはエチレンと他のα−オレフィンとのブロック共重合体及び/又はランダム共重合体をいい、鏡面ロールの表面状態のフィルムへの転写性等の観点から高圧法低密度ポリエチレンが好ましい。尚、ポリエチレン系樹脂は、前記の樹脂のうち何れか一種又は二種以上から構成されていてもよい。
【0045】
また、前記エチレンの共重合体を形成するエチレンとエチレン以外のα−オレフィンの具体例としては、好ましくは炭素数3〜20のα−オレフィンとの共重合体等を挙げることができる。ここでα−オレフィンとしては、プロピレン、1−ブテン、1−ペンテン、4−メチル−1−ペンテン、1−ヘキセン、1−ヘプテン、1−オクテン、1−デセン等を例示することができる。
ポリプロピレン系樹脂
本発明において基材層に好適に用いられるポリプロピレン系樹脂は、プロピレン単独重合体、プロピレン共重合体、及びこれらの混合物をいう。プロピレン単独重合体としては一般にポリプロピレンの名称で製造・販売されているプロピレンを主体とした重合体で、通常、密度が0.890〜0.930g/cm
3、MFR(ASTMD1238荷重2160g、温度230℃)が0.5〜60g/10分、好ましくは0.5〜10g/10分、更に好ましくは1〜5g/10分のプロピレンの単独重合体である。また、プロピレン共重合体としては、プロピレンと他のα−オレフィンとのランダム共重合体、ブロック共重合体を挙げることができる。プロピレン共重合体は、コモノマーであるα-オレフィンから導かれる単位が、1.5モル%以下の量で含まれていることが好ましい。ここでα−オレフィンとしては、炭素原子数2〜20のプロピレン以外のα-オレフィンが好ましく、エチレン、1-ブテン、1-ペンテン、1-ヘキセン、1-ヘプテン、1-オクテン、1-デセン、1-ドデセン、1−ヘキサデセン、4-メチル-1-ペンテンなどを具体的に例示することができ、特にエチレン、1-ブテンが好ましい。
離型フィルム
本発明の離型フィルムは、アクリル系樹脂層を介して離型層及び熱可塑性樹脂からなる基材層が設けられている離型フィルムであって、前記アクリル系樹脂層が3個以上の(メタ)アクリロイル基を有し、アクリル当量が200以下であるラジカル重合型の多官能アクリレートからなる離型フィルムである。本発明の離型フィルムは、好ましくは熱可塑性樹脂からなる基材層の表面にラジカル重合型の多官能アクリレートからなるアクリル系樹脂層を設け、さらにアクリル系樹脂層の表面に離型層を形成したものである。
【0046】
本発明の離型フィルムにおいては、3個以上の(メタ)アクリロイル基を有し、アクリル当量が200以下であるラジカル重合型の多官能アクリレートからなるアクリル系樹脂層を設けることにより、表面平滑性を向上させることができ、かつ、巻き出し帯電圧を低減させることができる。また、離型フィルムのカールや重剥離化の防止、及びセラミックスラリーの塗布性向上による生産効率のアップ等が効果を発現することができる。また、本発明の離型フィルムを構成する基材層となる熱可塑性樹脂から構成されるフィルム(以下、「基材層フィルム」という。)について少なくとも1方向に延伸されたフィルムを使用することが耐熱性の観点から好ましい。前記基材フィルムを延伸するには一軸方向のみの延伸処理でも良いが、二軸方向に延伸処理することが好ましい。基材フィルムの一方向の延伸倍率としては1.5〜12倍、好ましくは2.0〜8倍、より好ましくは2.5〜5倍である。
【0047】
基材層を構成する熱可塑性樹脂は特に限定はされないが、ポリプロピレン樹脂、ポリエチレン樹脂、ポリエステル樹脂の何れかを主成分とすることが好ましく、耐熱性の観点から、ポリエステル樹脂を主成分とすることがさらに好ましく、ポリエチレンテレフタレートであることが最も好ましい。
【0048】
また、離型層として、シリコーン樹脂を用いる場合、その厚さはフィルム表面の特性及び加工性の観点から0.01〜1.5μm(ミクロンメータ)が好ましく、0.04〜0.10μm(ミクロンメータ)がより好ましい。即ち、離型層の厚さを0.04μm(ミクロンメータ)以上にすることにより、加工時にシリコーン樹脂の硬化性が向上し、厚さを0.10μm(ミクロンメータ)以下にすることにより、シリコーン樹脂層表面の汚染性を最小限に抑えることができる。
【0049】
アクリル系樹脂層の厚さは離型層の表面平滑性の観点から、0.1〜3.0μm(ミクロンメータ)が好ましく、0.5〜2.0μm(ミクロンメータ)がさらに好ましい。即ち、厚さを0.1μm(ミクロンメータ)以上にすることによりフィルムの表面平滑性をより向上させることができる。
【0050】
基材層の厚さはフィルムの加工性の観点から、1〜100μm(ミクロンメータ)が好ましく、12〜75μm(ミクロンメータ)がさらに好ましく、25〜38μm(ミクロンメータ)が最も好ましい。即ち、厚さを1μm(ミクロンメータ)以上にすることにより、フィルムの加熱工程で皺が入るのを効果的に防ぐことができ、厚さを100μm(ミクロンメータ)以下にすることにより、フィルムに適度な柔軟性を付与することができる。
離型フィルムの製造方法
本発明の離型フィルムの好適な製造方法は以下の通りである。すなわち、基材層となるフィルムの片面に、3個以上の(メタ)アクリロイル基を有し、アクリル当量が200以下であるラジカル重合型の多官能アクリレートの有機溶剤溶液を塗布した後、活性エネルギー線により硬化させてアクリル系樹脂層を形成する。次いで、当該アクリル系樹脂層の表面上にシリコーン樹脂を塗布した後、硬化させることにより成形する。尚、前記ラジカル重合型の多官能アクリレート有機溶剤溶液の塗布後、活性エネルギー線を照射する前に必要に応じて乾燥させてもよい。
【0051】
前記ラジカル重合型の多官能アクリレートは有機溶剤で希釈して基材層となるフィルムの表面に塗布される。希釈する有機溶剤は特に限定はされないがベンゼン、トルエンなどの芳香族炭化水素、メチルアルコール、エチルアルコール、イソプロピルアルコール、2−エトキシエタノールなどのアルコール類、メチルエチルケトン、ジプロピルケトン、ジイソブチルケトンなどのケトン類、これらの混合溶媒が好適に使用可能である。
【0052】
また、前記ラジカル重合型の多官能アクリレートの有機溶剤の溶液をポリエステルフィルムの表面に塗布する(塗工すると表記することがある。)方法としては、例えば、エアーナイフコーター、ダイレクトグラビアコーター、グラビアオフセットコーター、アークグラビアコーター、グラビアリバースコーター及びジェットノズル方式などのグラビアコーター、トップフィードリバースコーター、ボトムフィードリバースコーター及びノズルフィードリバースコーターなどのリバースロールコーター、5本ロールコーター、リップコーター、バーコーター、バーリバースコーター、ダイコーターなどの種々の公知の塗工機を用いることができる。
【0053】
光重合開始剤を用いる場合には前記ラジカル重合型の多官能アクリレート100重量部に対して1ないし15重量部程度である。この使用量があまり少ないと、光重合開始剤を使用しない場合と比較して硬化速度が大きくならない傾向にある。
【0054】
また、前記ラジカル重合型の多官能アクリレートをラジカル重合させるための活性エネルギー線としては、例えば、電子線、紫外線などが挙げられ、使用する活性エネルギー線や硬化性化合物の種類に応じて適宜選択することができる。照射する活性エネルギー線の強度や照射時間は、用いる硬化性化合物の種類、硬化性化合物を含有する塗膜の厚さなどに応じて適宜選ぶことができる。活性エネルギー線は、不活性ガス雰囲気中で照射してもよく、この不活性ガスとしては、窒素ガス、アルゴンガスなどが例示される。
【0055】
アクリル系樹脂層を形成した後、離型層が形成される。離型層の形成には従来公知の材料を用いることができるが、特にシリコーン樹脂を用いることが望ましい。その中でも好適なシリコーン樹脂は前記した通りである。中でも、前記したように特に、付加反応型シリコーン樹脂であることが好ましい。
【0056】
離型層としてシリコーン樹脂を用いる場合は従来公知の種々の方法で形成される。例えば、溶剤型及びエマルジョン型の形態を有する熱硬化型のシリコーン樹脂をコーティングする場合、コーティングされたシリコーン樹脂の溶液または水分散液は乾燥工程へと移されるが、その際の乾燥温度は50〜120℃の範囲であればよく、60〜110℃の範囲が好ましい。乾燥温度が50℃未満であると、熱硬化時間が長くなり生産性が低下するので好ましくない。一方、120℃を超えると、フィルムに皺が生じるため好ましくない傾向がある。
【0057】
シリコーン樹脂のアクリル系樹脂層への密着性を高めるために、シリコーン樹脂のコーティング前に、アクリル系樹脂層の表面にコロナ放電処理、フレーム処理、オゾン処理等の表面活性化処理、あるいはアンカー処理剤を用いたアンカーコーティング処理を施してもよい。
離型層はコーティング法により設けることができるが、その場合、形態的には、溶剤型、エマルジョン型、無溶剤型のいずれかの方法をとり得る。ただし、シリコーン樹脂の薄膜を均一に形成させるためには、溶剤型またはエマルジョン型が望ましく、硬化型シリコーン樹脂成分のポットライフの点からも、溶剤型またはエマルジョン型が望ましい。
【0058】
シリコーン樹脂の基材層フィルムへのコーティングの方法は、溶剤型、エマルジョン型、無溶剤のいずれの形態をとるかによっても異なるが、例えば、ロールコーティング法、スクリーン印刷法、バーコート法、スプレーコート法等何れの方法も採用することができ、中でも、ロールコーティング法は高速度で均一被膜を成形する方法として適している。
【実施例】
【0059】
(1)サンプルの調製
下記の各サンプル用のアクリル酸エステル(重合性化合物)と光重合開始剤それぞれをメチルエチルケトンの溶液として調製し、フィルム厚みが38μm(ミクロンメータ)、表面粗さ(中心面平均粗さSRa)が16ナノメータ(nm)のPETフィルム(延伸倍率 縦×横 3倍×3倍)の片面に、メイヤーバーNo.4を用いて塗工し、70℃のオーブン中で20秒乾燥させ、さらに紫外線(UV)照射(120W×8m/分)して硬化させて塗工膜を形成しアクリル系樹脂層とした。
実施例1
アクリル酸エステル(重合性化合物):
エトキシ化イソシアヌイル酸トリアクリレート化合物(*注1)(溶液中の濃度10質量%)
光重合開始剤:
2官能アルファヒドロキシケトン(*注2)(溶液中の濃度1.5質量%)
*注1:NKエステルA−9300(アクリル当量141、アクリロイル基の官能基数3)(新中村化学工業(株)製)
*注2:ESACURE ONE(Lamberti社製)
実施例2
アクリル酸エステル(重合性化合物):
エトキシ化イソシアヌイル酸トリアクリレート化合物(*注1)(溶液中の濃度9.7質量%)、
エトキシ化イソシアヌイル酸ジアクリレート化合物 (*注3)(溶液中の濃度0.3質量%)
光重合開始剤:
2官能アルファヒドロキシケトン(*注2)(溶液中の濃度1.5質量%)
*注1:NKエステルA−9300(アクリル当量141、アクリロイル基の官能基数3)(新中村化学工業(株)製)
*注3:アロニックスM−215(アクリル当量184、アクリロイル基の官能基数2)(東亞合成(株)製)
*注2:ESACURE ONE(Lamberti社製)
実施例3
アクリル酸エステル(重合性化合物):
ジペンタエリスリトールヘキサアクリレート化合物(*注4)(溶液中の濃度10質量%)
光重合開始剤:
2官能アルファヒドロキシケトン(*注2)(溶液中の濃度1.5質量%)
*注4: アロニックスM-406(アクリル当量96〜105、アクリロイル基の官能基数5〜6)(東亜合成(株)製)
実施例4
アクリル酸エステル(重合性化合物):
ジペンタエリスリトールヘキサアクリレート化合物(*注5)(溶液中の濃度10質量%)
光重合開始剤:
2官能アルファヒドロキシケトン(*注2)(溶液中の濃度1.5質量%)
*注5: ライトアクリレートDPE−6A(アクリル当量96、アクリロイル基の官能基数6)(共栄化学(株)製)
比較例1
アクリル酸エステル(重合性化合物):
クレゾールノボラックタイプエポキシアクリレート化合物(*注6)(溶液中の濃度10質量%)
光重合開始剤:
2官能アルファヒドロキシケトン(*注2)(溶液中の濃度1.5質量%)
注6: NKオリゴ EA−7440(アクリル当量370、アクリロイル基の官能基数11)(新中村化学工業(株)製)
比較例2
アクリル酸エステル(重合性化合物):
ビスフェノールAタイプエポキシアクリレート系化合物(*注7)(溶液中の濃度10質量%)
光重合開始剤:
2官能アルファヒドロキシケトン(*注2)(溶液中の濃度1.5質量%)
*注7: NKオリゴ EA−1020(アクリル当量242、アクリロイル基の官能基数2)(新中村化学工業(株)製)
比較例3
アクリル酸エステル(重合性化合物):
デカンジオールジアクリレート化合物(*注8)(溶液中の濃度10質量%)
光重合開始剤:
2官能アルファヒドロキシケトン(*注2)(溶液中の濃度1.5質量%)
*注8: NKエステルA−DOD−N(アクリル当量141、アクリロイル基の官能基数2)(新中村化学工業(株)製)
次に、トルエン/メチルエチルケトン(70/30容量比)混合溶媒にシリコーン樹脂(商品名:KS−3601(信越化学(株)製))及び白金触媒(商品名:PL−50T(信越化学(株)製))を溶解させて塗工液を調製し、実施例1〜3、及び比較例1〜3に記載の原材料によりPETフィルムに形成したアクリル系樹脂層の表面に、メイヤーバーNo.4を用いて前記塗工液を塗工し、100℃のオーブンで20秒乾燥させ、シリコーン樹脂からなる離型層として0.1g/m
2の塗工膜を形成させた後、温度23〜60℃でエージングしてサンプルを作成した。
比較例4
アクリル系樹脂層を形成しないこと以外は、上記実施例及び比較例と同様の方法でサンプルを作成した。
(2)表面粗さ(中心面平均粗さSRa;nm)
上記の各サンプルをフィルム表面に薄く色がつく程度に金(Au)で塗工面にスパッタリングし、Veeco社製の3次元非接触式表面粗さ測定器NT−1100を用いて以下の条件で測定して表面粗さ(SRa)を求めた。
接眼レンズ:0.5倍、対物レンズ:20倍、測定面積:590μm×450μm
(3)剥離力[N/50mm]
上記の各サンプルを水平台の上に塗工膜を上にして載置し、その塗工膜側に粘着テープ「No.31B」(日東電工(株)製)を貼り付けて200mm×50mmの大きさにカットし、さらにその粘着テープの上から20g/cm
2となるように荷重を載せ、70℃で20時間エージングした。
【0060】
その後、引張試験機にて引張速度300mm/分で180°剥離を行い、剥離が安定した領域における平均剥離荷重を粘着テープ幅で除した値を剥離力として求めた。
(4)シリコーン移行量[%]
上記の(2)剥離力のテストで得られた粘着テープ「No.31B」(日東電工(株)製)の表面側に付着して移行した珪素元素量を測定し、比較例4の剥離力テストで得られる粘着テープの表面に付着した珪素元素量に対する割合(%)でシリコーン移行量を評価した。
【0061】
珪素元素の測定は、粘着テープ表面に付着した珪素元素の蛍光X線強度(単位:kcps)の値を用いた。なお、測定に用いた蛍光X線装置は、Rigaku社製の蛍光X線分析装置ZSX PrimusIIを使用し、以下の条件で測定した。
スペクトル:Kα
フィルタ:OUT
ダイアフラム:30mm
アッテネータ:1/1
スリット:COARSE
分光結晶:PET
検出器:PC
PHA:100−340
印加電圧・電流:50kV−60mA
(5)巻き出し帯電圧[kV]
上記各サンプルを外径90mmのABS管に約50mロール状に巻き取った製品ロールを23℃、50%Rhの雰囲気下で静置した後、15m/分の速度で巻き出した。この時、製品ロールから離型フィルムが巻き出された部分と、ガイドロールの中間地点(巻き出し部から約30cmの地点)で高さ10cmの位置における巻き出し帯電圧を春日電機(株)製の静電電位測定器KSD−0103を使用して測定した。
(6)フィルムのカール[mm]
上記各製品ロールから幅方向の略中心近辺をA4サイズにサンプルとして切出し(サンプルの長辺がフィルムの流れ方向)、塗工膜側を上にして水平台上に載置した時のフィルムのカールを、台からの浮き高さとして測定した。
実施例及び比較例
上記の実施例1〜4、及び比較例1〜4により得られたサンプルを用いて、上記の(2)から(6)の各試験項目について測定した。
結果を表1に示す。
【0062】
【表1】
【0063】
比較例3は上記サンプル調製法にて重合性化合物が硬化せず、アクリル樹脂層である塗工膜が得られなかった。
【0064】
実施例1〜4及び比較例1〜3より、アクリル系樹脂層のアクリル当量が200以下であり、かつ(メタ)アクリロイル基の官能基数が3以上のサンプルが表面粗さ(SRa)、剥離力が小さく、シリコーンの移行量、巻き出し帯電圧が少ないことに加え、フィルムのカールが問題ないレベル(1.0mm以下)であることがわかる。実施例1〜3は、表面粗さ(SRa)は2.8〜4.1nmで比較例の4.5〜43.5nmより小さく表面平滑性に優れていることがわかる。尚、表面粗さ(SRa)及び剥離力はコンデンサー等の被着体の破損防止の尺度のひとつであり、表面粗さ(SRa)及び剥離力が大きいほど被着体を破損しやすい傾向にある。
【0065】
実施例1では、比較例より特に巻き出し帯電圧及びフィルムのカールに優れている。実施例1では、フィルムのカールに優れていることから、フィルムの硬化収縮を最も効果的に防止していることがわかる。
【0066】
実施例2では、比較例より特に巻き出し帯電圧及びフィルムのカールに優れている。
【0067】
実施例3では、比較例より特に表面粗さ(SRa)が小さく、被着体の破損防止効果に優れている。
【0068】
実施例4では、比較例より特に巻き出し帯電圧が小さく巻き出し非帯電性に優れている。
【0069】
比較例1では、アクリル系樹脂層のアクリル当量が200を大幅に超える370であるため、結果として表面粗さ(SRa)が43.5nm、巻き出し帯電圧も−2.5kVと実施例と比較して非常に大きいことがわかる。
【0070】
比較例2では、アクリル系樹脂層のアクリル当量が200を超える242であり、(メタ)アクリロイル基の官能基数も2、即ち3未満であるため、結果としてシリコーンの移行量が280%、巻き出し帯電圧も−2.5kVと実施例と比較して遙かに大きく、剥離力も大きいことから重剥離化の低減効果も小さいことがわかる。
【0071】
比較例3では、アクリル当量は200以下の141であるが、(メタ)アクリロイル基の官能基数が3未満の2であるため、アクリル系樹脂の硬化不良が発生し、アクリル系樹脂層を形成することができなかった。
【0072】
比較例4では、アクリル系樹脂層が設けられていないため、実施例と比較して表面粗さ(SRa)が16.0nmと大きいことがわかる。