(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
検体の測定に用いられる液体を収容した複数の液体容器がセットされる容器セット部と、前記容器セット部にセットされた液体容器に吸引管を挿入して液体を吸引する液体吸引部と、を備え、前記液体を用いて検体を測定する検体分析装置に着脱可能な蓋置きトレイであって、
複数の液体容器の蓋を載置可能な載置部と、
前記載置部の載置領域を複数の液体容器に対応して複数の区画に分割する区画部材と、を有し、
前記区画部材は、前記トレイ上で前記トレイに開閉可能に接続されており、
前記蓋載置部は、前記トレイと前記区画部材との間に吸液部材を配置した状態で前記区画部材が閉じられることにより、前記吸液部材を保持可能に構成されている、蓋置きトレイ。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ここで、上記特許文献1に開示されたような従来の検体分析装置では、測定終了後に装置が使用されない場合には、試薬容器が試薬容器セット部から取り出され、蒸発や試薬の劣化を防ぐために試薬容器に蓋がされて、施設内の冷蔵庫内に保管されることがある。その場合、ユーザは、使用の際に外した試薬容器の蓋を、1日の測定作業終了後などに再び閉めなければならない。しかしながら、一度試薬容器から蓋が外されると、収納時にユーザが蓋をどこに置いたかを失念してしまう場合や、ユーザが蓋を紛失してしまう場合があった。なお、検体分析装置には、試薬以外にも洗浄液や希釈液、精度管理のためのキャリブレータ(校正物質)およびコントロール(標準検体)などの液体が用いられ、試薬容器と同様の取り扱いがなされる場合がある。このため、試薬容器を含む各種の液体容器の蓋を紛失しないようにすることが求められている。
【0006】
この発明は、上記のような課題を解決するためになされたものであり、この発明の1つの目的は、検体分析装置において使用される液体容器の蓋を紛失しないようにすることが可能な検体分析装置およびそのような検体分析装置に用いる搬送装置および蓋置きトレイを提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記目的を達成するために、この発明の第1の局面における検体分析装置は、液体を用いて検体の測定動作を行う検体分析装置であって、液体を吸引するための吸引管を備えた液体吸引部と、液体を収容し、吸引管が挿入される複数の液体容器がセットされる容器セット部と、液体容器の蓋が載置される
第1蓋載置部とを備え
、第1蓋載置部は、複数の蓋を載置可能な載置領域を有するトレイと、トレイに設けられ、載置領域を区画する区画部材とを有し、区画部材は、トレイ上でトレイに開閉可能に接続されており、第1蓋載置部は、トレイと区画部材との間に吸液部材を配置した状態で区画部材が閉じられることにより、吸液部材を保持可能に構成されている。
【0008】
この発明の第1の局面による検体分析装置では、上記のように、液体容器の蓋が載置される
第1蓋載置部を設けることによって、ユーザは、容器セット部にセットした液体容器の蓋を
第1蓋載置部に載置することができるので、液体容器の蓋を紛失しないように保管することができる。
また、第1蓋載置部は、複数の蓋を載置可能な載置領域を有するトレイと、トレイに設けられ、載置領域を区画する区画部材とを有することによって、トレイ上に種類の異なる複数の液体容器の蓋を載置する場合にも、区画された載置領域に蓋を分類して整理した状態で載置することができるので、蓋を含む液体容器の管理や整理を容易に行うことができる。また、区画部材は、トレイ上でトレイに開閉可能に接続されており、第1蓋載置部は、トレイと区画部材との間に吸液部材を配置した状態で区画部材が閉じられることにより、吸液部材を保持可能に構成されていることによって、蓋をトレイに載置した際、吸液部材によって蓋に付着した液体(液体容器内の試薬などの液体や、結露した水滴など)を吸収することができるので、トレイ上で液体が他の液体容器の蓋に付着したり、ユーザに付着したりすることを抑制することができる。
【0009】
上記第1の局面による検体分析装置において、好ましくは、検体を収容した検体容器を搬送する搬送装置と、搬送装置によって搬送された検体容器内の検体を吸引する検体吸引部と、をさらに備え、
第1蓋載置部は、搬送装置に設けられている。このように構成すれば、ユーザが検体容器を搬送装置にセットするのと同じ場所(搬送装置)で、液体容器の蓋を載置することができるので、蓋の載置や整理を容易に行うことができるとともに、蓋の載置し忘れも抑制することができる。
【0010】
この場合において、好ましくは、搬送装置は、検体容器を搬送する搬送路を含み、
第1蓋載置部は、搬送路が設けられた領域とは異なる領域に配置されている。このように構成すれば、搬送路上に検体容器が設置されている場合や検体容器の搬送中の場合にも、蓋の載置や整理を容易に行うことができる。
【0011】
この場合に、好ましくは、
第1蓋載置部は、搬送路の長手方向両端側にそれぞれ設けられている。このように構成すれば、搬送路のどちら側の位置にも液体容器の蓋を載置することができる。このため、検体分析装置において使用される液体容器の数(すなわち、蓋の数)が多い場合にも、蓋の載置場所をより多く確保することができる。また、両側の
第1蓋載置部の内から載置しやすい方の
第1蓋載置部を選んで蓋を載置することができる。
【0012】
また、
第1蓋載置部は、容器セット部の近傍または容器セット部よりも手前側に配置されていてもよい。このように構成すれば、ユーザは、容器セット部に液体容器をセットして蓋を取り外した際に、容器セット部の近傍または手前側のユーザが視認しやすく、かつ、アクセスしやすい位置に配置された
第1蓋載置部に蓋を載置することができる。そのため、蓋の載置し忘れを抑制することができるとともに、ユーザの作業負担を抑制して装置の利便性を向上させることができる。
【0013】
また、
第1蓋載置部は、蓋が載置可能に凹んだ形状を有してもよい。このように構成すれば、
第1蓋載置部に載置された蓋が水平方向に移動して測定の妨げになることを抑制できる。
【0014】
また、
区画部材は、
第1蓋載置部の載置領域を複数の区画に分割
し、各区画に蓋が一つずつ載置されるように構成されていてもよい。このように構成すれば、液体容器とその蓋との対応関係を明確にすることができ、蓋の整理をより容易に行うことができる。
【0015】
この場合に、
第1蓋載置部は、蓋のサイズごとに複数の区画に分割されていてもよい。このように構成すれば、液体容器と蓋の対応関係がより明確になるとともに、装置内のスペースを有効に活用することができる。
【0016】
また、好ましくは、
第1蓋載置部は
、トレイが着脱可能に設置されるトレイ設置
部を含み、トレイ設置部は、上面に凹状または孔状の第1係合部を有し、トレイは、トレイがトレイ設置部に設置されることにより第1係合部に嵌り込み係合する凸状の第2係合部を有する。このように構成すれば、液体容器の蓋をトレイごと移動させることができるので、蓋を液体容器に装着する際、トレイ上の蓋を作業机の上などに運んでまとめて作業を行うことができる。さらに、単純にトレイをトレイ設置部に設置するだけで、第1係合部と第2係合部とを係合させることができる。これにより、着脱可能なトレイに蓋を載置する構成でも、ユーザが誤ってトレイを落下させたりすることを抑制することができる。
【0017】
また、好ましくは、
第1蓋載置部は
、トレイが着脱可能に設置されるトレイ設置
部を含み、トレイ設置部の下側に配置され、上部が開放された収納室をさらに備え、収納室は、トレイ設置部に設置されたトレイにより、内部が閉じられるように構成されている。このように構成すれば、
第1蓋載置部が設けられた領域を利用して、検体分析装置にさらに収納室を設けることができる。これにより、液体容器の蓋以外の他の付属物なども収納室に保管しておくことができるので、紛失のおそれがなくなりユーザに対する装置の利便性を向上させることができる。
【0018】
この場合に、好ましくは、トレイは、トレイを持ち運ぶための取手部を有する。このように構成すれば、ユーザがトレイを持ち運ぶ際、取手部を把持して持ち運ぶことができるので、トレイによる蓋の持ち運びを容易にすることができる。
【0019】
また、好ましくは、
第1蓋載置部を覆うカバーをさらに備える。このように構成すれば、カバーによって
第1蓋載置部を覆うことにより、液体容器の蓋への埃の付着や、検体などの付着を防止することができるので、液体容器に蓋を装着し直す際の液体容器内への異物の混入を防ぐことができる。
【0020】
この場合、好ましくは、
第1蓋載置部は、カバーの上面上にも設けられている。このように構成すれば、
第1蓋載置部をカバーによって覆った上で、さらに蓋をカバー上の
第1蓋載置部に載置することができるので、蓋の載置場所をより多く確保することができる。
【0022】
上記第1の局面による検体分析装置において、好ましくは、容器セット部は、検体に混和される複数種類の試薬を収容した複数の試薬容器がセットされるように構成され、区画部材には、蓋が装着される試薬容器に収容された試薬の種類を表示するための表示領域が設けられている。このように構成すれば、区画部材によって区画された載置領域の各々と、各載置領域に載置される蓋に対応する試薬の種類とを対応付けることができる。これにより、検体分析装置に用いられる試薬容器と蓋との管理および整理が容易になるとともに、ユーザが試薬容器の蓋を間違えて別の液体容器に装着することを抑制することができる。
【0024】
上記第1の局面による検体分析装置において、好ましくは、液体吸引部および容器セット部を内部に収容する筐体をさらに備え、
第1蓋載置部は、筐体の外部で容器セット部よりも手前側に設けられ
、筐体の内部で容器セット部の近傍に設けられた第2蓋載置
部をさらに備える。このように構成すれば、筐体の外部の第1蓋載置部と筐体の内部の第2蓋載置部とにそれぞれ蓋を載置することができるので、検体分析装置において使用される液体容器の数(すなわち、蓋の数)が多い場合にも、蓋の載置場所をより多く確保することができる。
【0025】
この場合において、好ましくは、第1蓋載置部は、複数の液体容器の蓋のうち、相対的に小型の蓋を載置可能に構成され、第2蓋載置部は、複数の液体容器の蓋のうち、相対的に大型の蓋を載置可能に構成されている。このように構成すれば、大型の蓋については、筐体内部に載置しても他の容器などに紛れて紛失するおそれもないため、筐体内部の第2蓋載置部において容易に保管することができる。また、小型の蓋については、各種の試薬などが該当し、容器数も種類も多くなる傾向にあるため、ユーザが筐体外部の第1蓋載置部に一括して載置し、それらの蓋を筐体外部で整理することができる。
【0026】
この場合において、好ましくは、容器セット部は、検体に混和される試薬を収容した試薬容器と、吸引管の洗浄に用いられる洗浄液を収容した洗浄液容器がセットされるように構成され、第1蓋載置部は、試薬容器の蓋を載置可能に構成され、第2蓋載置部は、洗浄液容器の蓋を載置可能に構成されている。
【0027】
上記第2蓋載置部をさらに備える構成において、好ましくは、
第2蓋載置部は、容器セット部に設置される液体容器の位置に対応した位置に設けられている。このように構成すれば、容器セット部にセットされた液体容器の蓋をその液体容器の位置に対応付けて載置することができるので、筐体内に蓋を載置する場合でも、液体容器とその液体容器の蓋との管理を容易に行うことができる。
【0028】
上記第1の局面による検体分析装置において、好ましくは、液体吸引部および容器セット部を内部に収容する筐体をさらに備え、筐体は、装置の手前側から見て、容器セット部が配置される側と同じ側に配置され、筐体内部を開閉して容器セット部の液体容器を出し入れするための扉部を有し、
第1蓋載置部は、容器セット部よりも手前側であって、かつ、装置の手前側から見て、扉部および容器セット部が配置される側と同じ側に配置されている。このように構成すれば、ユーザは、同じ位置に立った状態で、扉部を開いて容器セット部の液体容器を出し入れし、
第1蓋載置部にその液体容器の蓋を保管したり、取り出した液体容器に蓋を装着したりすることができる。そのため、液体容器をセットする際の作業性や、液体容器を施設内の冷蔵庫に保管する際の作業性を向上させることができる。
【0029】
この発明の第2の局面における搬送装置は、液体を用いて検体の測定動作を行う測定装置に、検体を収容した検体容器を搬送する搬送装置であって、測定装置に検体容器を搬送する搬送路と、液体を収容した液体容器の蓋が載置される蓋載置部とを備え
、蓋載置部は、複数の蓋を載置可能な載置領域を有するトレイと、トレイに設けられ、載置領域を区画する区画部材とを有し、区画部材は、トレイ上でトレイに開閉可能に接続されており、蓋載置部は、トレイと区画部材との間に吸液部材を配置した状態で区画部材が閉じられることにより、吸液部材を保持可能に構成されている。
【0030】
この発明の第2の局面による搬送装置では、上記のように、液体容器の蓋が載置される蓋載置部を設けることによって、ユーザは、測定装置にセットした液体容器の蓋を搬送装置の蓋載置部に載置することができるので、液体容器の蓋を紛失しないように保管することができる。また、検体分析に先立って検体容器の設置作業が行われる搬送装置に蓋載置部があることにより、ユーザが視認しやすく、かつ、アクセスしやすい位置に配置された蓋載置部に蓋を載置することができる。これにより、ユーザは、蓋載置部への蓋の載置し忘れを抑制することができるとともに、検体容器の設置作業と液体容器の蓋の保管(載置)とを同じ搬送装置に集約することができるので、ユーザの作業負担を抑制して装置の利便性を向上させることもできる。
また、蓋載置部は、複数の蓋を載置可能な載置領域を有するトレイと、トレイに設けられ、載置領域を区画する区画部材とを有することによって、トレイ上に種類の異なる複数の液体容器の蓋を載置する場合にも、区画された載置領域に蓋を分類して整理した状態で載置することができるので、蓋を含む液体容器の管理や整理を容易に行うことができる。また、区画部材は、トレイ上でトレイに開閉可能に接続されており、蓋載置部は、トレイと区画部材との間に吸液部材を配置した状態で区画部材が閉じられることにより、吸液部材を保持可能に構成されていることによって、蓋をトレイに載置した際、吸液部材によって蓋に付着した液体(液体容器内の試薬などの液体や、結露した水滴など)を吸収することができるので、トレイ上で液体が他の液体容器の蓋に付着したり、ユーザに付着したりすることを抑制することができる。
【0031】
この発明の第3の局面による蓋置きトレイは、検体の測定に用いられる液体を収容した複数の液体容器がセットされる容器セット部と、容器セット部にセットされた液体容器に吸引管を挿入して液体を吸引する液体吸引部と、を備え、液体を用いて検体を測定する検体分析装置に着脱可能な蓋置きトレイであって、複数の液体容器の蓋を載置可能な載置部と、載置部の載置領域を複数の液体容器に対応して複数の区画に分割する区画部材と、を有
し、区画部材は、トレイ上でトレイに開閉可能に接続されており、蓋載置部は、トレイと区画部材との間に吸液部材を配置した状態で区画部材が閉じられることにより、吸液部材を保持可能に構成されている。
【0032】
この発明の第3の局面による蓋置きトレイでは、上記のように、検体分析装置に着脱可能な蓋置きトレイによって、ユーザは、検体分析装置において使用される液体容器の蓋を紛失しないようにすることができる。トレイ上に種類の異なる複数の液体容器の蓋を載置する場合にも、区画された載置領域に蓋を分類して整理した状態で載置することができるので、液体容器の蓋の管理や整理を容易に行うことができる。
また、区画部材は、トレイ上でトレイに開閉可能に接続されており、蓋載置部は、トレイと区画部材との間に吸液部材を配置した状態で区画部材が閉じられることにより、吸液部材を保持可能に構成されているので、蓋をトレイに載置した際、吸液部材によって蓋に付着した液体(液体容器内の試薬などの液体や、結露した水滴など)を吸収することができるので、トレイ上で液体が他の液体容器の蓋に付着したり、ユーザに付着したりすることを抑制することができる。
【発明の効果】
【0033】
本発明によれば、検体分析装置において使用される液体容器の蓋を紛失しないようにすることができる。
【発明を実施するための形態】
【0035】
以下、本発明の実施形態を図面に基づいて説明する。
【0036】
まず、
図1〜
図9を参照して、本発明の一実施形態による検体分析装置1の全体構成について説明する。
【0037】
本発明の一実施形態による検体分析装置1は、
図1に示すように、測定装置2と、測定装置2の前面側に配置された搬送装置3とにより構成されている。測定装置2は、装置本体の筐体4内に収容されている。本実施形態では、
図1および
図2に示すように、測定装置2による検体の測定動作において用いられる液体(試薬、洗浄液および希釈液など)を収容した複数の液体容器(5〜8)の蓋(5a〜8a)が載置される蓋載置部が、筐体4の内外に設けられており、具体的には、検体分析装置1は、筐体4の内部に設けられた蓋載置部16a〜16cと、筐体4の外部の搬送装置3に設けられた蓋載置部32〜34とを備えている。
【0038】
測定装置2は、検体と試薬とを混和して調製された試料を測定し検体の成分を分析する機能を有する。測定装置2は、
図2に示すように、キュベット供給部10と、検体分注部11と、検体プレート設置部12と、容器セット部13〜15と、蓋載置部16a〜16cと、試薬分注部17と、キュベット移送部18と、検出部19と、制御部20と、表示部21とを含んでいる。
【0039】
測定装置2は、搬送装置3から供給された検体から調製された試料に対して光学的な測定を行うことにより、検体に関する光学的情報を取得することが可能なように構成されている。本実施形態による検体分析装置1では、搬送装置3の検体容器Tから測定装置2のキュベット(反応容器)9内に分注された検体に対して光学的な測定が行われる。
【0040】
キュベット供給部10は、複数のキュベット9を収容しており、キュベット9を1つずつ順次所定位置に供給することが可能なように構成されている。
【0041】
検体分注部11は、検体を吸引および吐出するピペット(吸引管)11aを備え、図示しない移動機構によって検体吸引位置P1と検体分注位置P2とを含む所定領域を移動可能に構成されている。検体分注部11は、搬送装置3の搬送路31上の検体吸引位置P1に搬送された検体容器Tから、検体容器T内に収容された検体を吸引する。そして、検体分注位置P2に配置されたキュベット9に検体を分注(吐出)するように構成されている。また、検体分注部11は、容器セット部13にセットされた洗浄液容器5および容器セット部14にセットされた希釈液容器6から、それぞれ洗浄液および希釈液を吸引するように構成されている。
【0042】
検体プレート設置部12には、複数の穴部をする検体プレートが並べて設置されている。同一の検体について複数の分析項目が存在する場合(分析項目に応じて複数の試料を調製する場合)などには、検体分注部11は、検体プレート設置部12において各分析項目分の検体分注をまとめて行うことが可能なように構成されている。
【0043】
容器セット部13および14は、装置の幅方向(X方向)中央部に配置されており、容器セット部15は、検体分析装置1の正面(扉部4a側)に向かって左側(X2方向側)部分にまとめて配置されている。これらの容器セット部13〜15にセットされる各種液体容器は、それぞれ蓋を取り外した状態でセットされる。また、これらの液体容器は、容器上部の開口を介して試薬分注部17又は検体分注部11のピペット(17aまたは11a)が内部に挿入され、内部に収容された液体が吸引される。本実施形態では、これらの容器セット部13、14および15の近傍に、それぞれ、液体容器(洗浄液容器5、希釈液容器6、洗浄液容器7)の蓋が載置される蓋載置部16a、16bおよび16cが設けられている。これらの蓋載置部16a、16bおよび16cは、それぞれ、筐体4の内部(内底面)に形成された載置領域であり、容器セット部13、14および15にセットされる液体容器(洗浄液容器5、希釈液容器6、洗浄液容器7)に対応させて液体容器と隣接するように設けられている。なお、本実施形態では、洗浄液容器5、希釈液容器6、洗浄液容器7および後述する試薬容器8を総称して、「液体容器」という。
【0044】
容器セット部13は、洗浄液容器5を挿入してセット可能な2つの大型の設置口13aを含む。洗浄液容器5内の洗浄液は、検体分注部11のピペット11aの洗浄に用いられる。設置口13aは、装置の前後方向(Y方向)に沿って並ぶように設けられている。蓋載置部16aは、洗浄液容器5の蓋5aが載置される矩形形状の載置領域であり、2つの設置口13aに対応して2つ設けられ、それぞれの設置口13aとX1方向に隣接するように配置されている。蓋載置部16aは、蓋5aのサイズに合わせて形成され、蓋5aの水平方向の移動が制限されるよう凹状に形成されている。
【0045】
また、容器セット部14は、希釈液容器6を挿入してセット可能な3つの設置口14aを含んでいる。3つの設置口14aは、2つの設置口13aの手前側(Y2方向側)で、Y方向に沿って並ぶように配置されている。蓋載置部16bは、希釈液容器6の蓋6aが載置される矩形形状の載置領域であり、3つの設置口14aに対応して3つ設けられ、それぞれの設置口14aとX1方向に隣接するように配置されている。このため、容器セット部13および14と、蓋載置部16aおよび16bとが、それぞれY方向に2列になって並んで設けられている。なお、蓋載置部16bは、蓋6aのサイズに合わせて形成され、蓋6aの水平方向の移動が制限されるよう凹状に形成されている。
【0046】
容器セット部15は、大型の洗浄液容器7と、検体から分析用試料を調製する際に添加される種々の試薬を収容した複数の試薬容器8とをセット可能に構成されている。具体的には、容器セット部15には、2つの洗浄液容器7用の大型の設置口15aと、他の小型または中型の試薬容器8用の設置口15b(2つの設置口15a以外の設置口)とが設けられている。洗浄液容器7内の洗浄液は、試薬分注部17のピペット17aの洗浄に用いられる。設置口15bは、合計で26個設けられ、様々な種類の試薬容器8がセットされる。設置口15aは、容器セット部15のX2方向側端部に、Y方向に並ぶように配置されている。また、蓋載置部16cは、大型の洗浄液容器7の蓋7aが載置される矩形形状の載置領域であり、Y方向に並んだ2つの設置口15aに対応して2つ設けられ、それぞれの設置口15aとX2方向に隣接するように配置されている。蓋載置部16cは、蓋7aのサイズに合わせて形成され、蓋7aの水平方向の移動が制限されるよう凹状に形成されている。設置口15bにセットされる小型または中型の試薬容器8の蓋8aについては、後述するように、筐体4の外部に設けられた蓋載置部32〜34に載置される。
【0047】
これらの容器セット部13〜15は、図示しない冷却器により、容器セット部13〜15にセットされた各液体容器(5〜8)内の液体を、所定温度に冷却して保持する保冷機能を有している。
【0048】
試薬分注部17は、試薬を分注するピペット(吸引管)17aを備え、図示しない移動機構によって容器セット部15の上方(Z1方向)および試薬分注位置P3を含む領域を移動可能に構成されている。試薬分注部17は、ピペット17aを用いて分注対象の試薬容器8から試薬を吸引し、試薬分注位置P3に配置されたキュベット9に試薬を分注(吐出)するように構成されている。また、検体分注部11は、容器セット部15にセットされた洗浄液容器7から、洗浄液を吸引するように構成されている。
【0049】
キュベット移送部18は、キュベット供給部10によって供給されたキュベット9を取り出し、検体分注位置P2、試薬分注位置P3および検出部19などの各部へキュベット9を移送する機能を有する。キュベット移送部18は、キュベット9を把持して移送可能なキャッチャ18aを備え、図示しない移動機構によってキャッチャ18aを移動させることにより、キュベット9の取り出しおよび設置を行うほか、キュベット9内の検体と試薬との攪拌なども行う。
【0050】
検出部19は、検体に試薬を添加して調製された分析用試料の加温を行うとともに、分析用試料の光学的な測定を行うための機能を有している。この検出部19は、キュベット9を挿入して設置可能な複数のキュベット載置穴19aを有する。キュベット載置穴19aに設置されたキュベット9内の試料は、図示しない加温機構によって所定温度に加温され、検体と試薬との反応が進行する。また、検出部19は、光源部19bから光ファイバなどを介して導入される測定光がキュベット載置穴19a内で試料に照射されるように構成されている。検出部19は、試料に照射された光を受光する受光素子(図示せず)を内蔵し、受光素子により受光された光を検出することにより、受光量に応じた検出信号を出力する。
【0051】
得られた検出信号は、制御部20に出力される。制御部20は、得られた検出信号に基づき、検体中の特定の物質の量や活性の度合いを分析するように構成されている。また、制御部20は、筐体4の前面においてX1方向側に配置された表示部21に分析結果を含む各種の画面表示を行うとともに、測定装置2の各部および搬送装置3の動作制御を行う機能を有している。
【0052】
搬送装置3は、検体を収容した複数(本実施形態では、最大で10本)の検体容器Tが載置されたラックRを測定装置2の検体吸引位置P1まで搬送することにより、測定装置2に検体を供給するように構成されている。搬送装置3は、ラックRを測定装置2に搬送する搬送路31と、複数(3箇所)の蓋載置部32〜34とを含んでいる。
【0053】
搬送路31は、横方向(X方向)に延びるように設けられ、X1方向側のラック供給部31aと、X2方向側のラック貯留部31bとを接続している。検体容器Tを収容したラックRはラック供給部31aにセットされる。ラック供給部31aは、セットされたラックRを順次搬送路31に供給する機能を有する。搬送路31は、ラック供給部31aから供給されたラックRを検体吸引位置P1に搬送する機能を有する。ラック貯留部31bは、検体吸引済みの検体容器Tを収容したラックRを搬送路31から受け入れて貯留する機能を有する。
【0054】
図1および
図2に示すように、蓋載置部32〜34は、いずれも、筐体4の外部で容器セット部13よりも手前側(Y2方向側)の搬送装置3に設けられている。また、蓋載置部32〜34は、搬送路31が設けられた領域とは異なる領域に設けられている。具体的には、蓋載置部32〜34は、
図3および
図4に示すように、搬送装置3の搬送路31に沿った搬送路31のX方向外側位置に、搬送路31とX方向に並んで配置されている。蓋載置部32〜34は、搬送路31のX方向外側位置で、搬送路31を挟むように両側にそれぞれ設けられており、搬送装置3のX方向(搬送路31の長手方向)の両端部に配置されている。また、蓋載置部33(
図4参照)は、蓋載置部33を覆うカバー35を備えており、蓋載置部32は、カバー35の上面上に設けられている。このため、本実施形態では、搬送装置3には、X2方向側において、カバー35上面上の蓋載置部32と、カバー35内の蓋載置部33との2つの蓋載置部が配置されており、X1方向側には、蓋載置部34が1つ配置されている。なお、X1方向側の蓋載置部34は、光源部19b(
図2参照)を覆う光源カバー36の上面上に配置されている。
【0055】
なお、
図1に示すように、検体分析装置1の筐体4は、筐体4の内部を開閉して容器セット部13〜15の液体容器(5〜8)を出し入れするための扉部4aを有している。扉部4aは、
図2に示す平面視において、容器セット部15が配置される側と同じX2方向側に配置されている。そのため、搬送装置3のX2方向側の蓋載置部32および33は、
図2に示す平面視において、容器セット部15よりも手前側(Y2方向側)であって、かつ、扉部4aおよび容器セット部15が配置される側と同じ側(X2方向側)に配置されている。
【0056】
3カ所の蓋載置部32〜34は、それぞれ、複数の蓋8aを載置可能な載置領域を有するトレイ40と、トレイ40が着脱可能に設置されるトレイ設置部(32a〜34a)(
図3および
図9参照)とを含む。そのため、搬送装置3には、合計3つのトレイ40を同時に設置することが可能となっている。それぞれの蓋載置部32〜34において、トレイ40は同一であり、相互に交換可能である。これらの蓋載置部32〜34(トレイ40)は、複数の液体容器の蓋のうち、相対的に小型(小型〜中型)の蓋である試薬容器8の蓋8aを載置するために設けられている。
【0057】
トレイ40は、
図5および
図6に示すように、矩形形状を有するとともに、蓋8aの載置領域である底の浅い底面41(
図6参照)を有する。このため、トレイ40は、底面41において蓋8aが載置可能に凹んだ形状を有している。また、トレイ40には、底面41上の載置領域を区画する区画部材42と、トレイ40を持ち運ぶための取手部43と、底面41の下面から下方に向かう凸状の脚部44(
図7参照)とが設けられている。
【0058】
図6に示すように、底面41は周囲を側壁で囲まれているため、蓋8aに残っていた試薬が底面41にこぼれた場合であっても、試薬を受け止めることができ、トレイ40の外に流出することを防止することができる。そのため、試薬が搬送装置3にこぼれて故障等が発生することを抑制することができる。なお、試薬が底面41に付着した場合にトレイ40は洗浄可能である。
【0059】
区画部材42は、トレイ40上でトレイ40に開閉可能に接続されている。具体的には、区画部材42は、トレイ40の短辺に沿った回動軸42aを介してトレイ40に接続され、回動軸42aを中心に上下に回動することにより開閉可能となっている。トレイ40の載置領域を複数領域に区画するように、格子状に形成されている。本実施形態では、区画部材42は、載置領域を3×3の9領域に区画する格子形状に形成されており、1つのトレイ40について、合計9個の蓋8aを分類して各区画領域に載置可能である。なお、
図5に示すように、各区画領域には蓋8aが引っ繰り返った状態で載置可能であるため、その場合には蓋8a内に付着していた試薬がこぼれることを抑制することができる。
【0060】
また、区画部材42の上面には、
図5に示すように、各区画領域に対応して、蓋8aが装着される液体容器(試薬容器8)に収容された試薬の種類(名称)を表示するための表示領域42bがそれぞれ設けられている。すなわち、区画部材42は、縦向きの格子部42cの幅W1よりも横向きの格子部42dの幅W2が大きくなるように形成されており、幅広の格子部42dの上面部分が表示領域42bとされている。ユーザは、この表示領域42bに、それぞれ試薬容器8の試薬名称が印字されたシール部材を貼付したり、試薬名称を直接記入したりすることにより、各区画領域と、その区画領域に載置する蓋8aの種類とを対応付けて管理(整理)することが可能である。なお、区画部材42は、試薬名称がペンで直接記入された場合であっても、記入された文字を削除可能に構成されている。これにより、例えば検体分析装置1のユーザが別の人に変わった場合であっても、その変更後のユーザの運用に応じて試薬名称をすぐに書き換えることができる。
【0061】
また、トレイ40は、
図6に示すように、区画部材42を開き、トレイ40と区画部材42との間(底面41上)に吸液部材45を配置した状態で区画部材42が閉じられることにより、吸液部材45を保持可能に構成されている。吸液部材45は、蓋8aに付着した液体(試薬)や、結露した水滴などを吸収するために設けられる。吸液部材45としては、吸液性を有するシート状部材であれば特に限定されず、紙製のウエス(清掃布)や、不織布、フェルトなどを用いることができる。なお、
図5では、理解の容易化のため、吸液部材45にハッチングを付して図示している。
【0062】
取手部43は、トレイ40の端部から外側に突出するように形成されている。取手部43は、矩形状のトレイ40の一辺(短辺)の略全長に渡る幅広形状に形成されている。取手部43は、トレイ40を持ち運ぶ際のユーザの把持領域として機能する。
【0063】
凸状の脚部44は、
図7および
図8に示すように、トレイ40の下面において、矩形形状をなすように4カ所に形成されている。個々の脚部44は、下面側から見て円形状に形成されている。後述するように、脚部44は、3カ所の蓋載置部32〜34にそれぞれ設けられたトレイ設置部32a〜34aにトレイ40が設置されることにより、トレイ設置部32a〜34aの凹状または孔状の係合部(32b〜34b)と係合するように構成されている。
【0064】
図3、
図4および
図9に示すように、トレイ設置部32a〜34aは、それぞれの蓋載置部32〜34においてトレイ40を保持するために設けられている。
図3に示すように、蓋載置部32に設けられたトレイ設置部32aおよび蓋載置部34に設けられたトレイ設置部34aは、それぞれ、カバー35上および光源カバー36上に同一形状で形成されている。また、
図9に示すように、蓋載置部33に設けられたトレイ設置部33aは、カバー35(
図4参照)内の所定位置に配置されている。それぞれのトレイ設置部32a〜34aは、凹状または孔状の係合部を有している。なお、カバー35は、トレイ設置部33aにトレイ40を設置した状態で、トレイ40を含む蓋載置部33を覆うことが可能なように構成されている。
【0065】
具体的には、カバー35上のトレイ設置部32aおよび光源カバー36上のトレイ設置部34aは、
図3に示すように、それぞれ、上面に矩形凹状の係合部32b(34b)を有している。また、カバー35内のトレイ設置部33aは、
図9に示すように、矩形孔状の係合部33bを有している、これらの係合部32b〜34bには、
図8に示すように、トレイ40の下面に矩形状に配置された脚部44が嵌り込み、係合部32b〜34bの内側面と脚部44の外側面とが水平方向に互いに係合するように構成されている。トレイ40の取手部43を把持して上方(Z1方向)に引き抜くようにトレイ40を移動させれば、トレイ設置部32a〜34aとトレイ40との係合を解除してトレイ40を取り外すことができる。
【0066】
また、
図9に示すように、カバー35の内部に設けられたトレイ設置部33aの下側には、上部が開放された矩形箱状の収納室37が設けられている。収納室37は、孔状の係合部33bと連続しており、係合部33bが収納室37の入口部となっている。このため、収納室37は、トレイ設置部33aに設置されたトレイ40により、内部が閉じられる(
図4参照)ように構成されている。収納室37には、たとえば検体分析装置1のメンテナンスの際に用いられる道具や、その他の付属物などを収納して保管しておくことが可能である。
【0067】
このように、3カ所の蓋載置部32〜34は、それぞれ9個の蓋8aを載置可能なトレイ40を有することにより、最大で27個の蓋8aを載置可能となっている。これにより、容器セット部15の26個の設置口15bすべてに試薬容器8がセットされる場合でも、すべての試薬容器8の蓋8aを各蓋載置部32〜34に分類して載置可能である。
【0068】
次に、本実施形態による検体分析装置1の作用を説明する。
【0069】
検体分析装置1の使用時には、ユーザは、
図1に示すように筐体4の扉部4aを開放し、容器セット部13〜15(
図2参照)にそれぞれ液体容器(洗浄液容器5、希釈液容器6、洗浄液容器7、試薬容器8)をセットする。この際、各容器の蓋5a〜8aが取り外される。
図2に示すように、大型の洗浄液容器5、希釈液容器6、洗浄液容器7については、それぞれ、設置口13a、14aおよび15aに設置する際に、各設置口13a、14aおよび15aとX方向に隣接する蓋載置部16a、16bおよび16cに蓋5a、6aおよび7aが載置される。これにより、容器と蓋との対応関係が一見して把握可能な状態で蓋5a、6aおよび7aを保管しておくことが可能となる。
【0070】
小型または中型の試薬容器8については、設置口15bにセットする際に、蓋8aが蓋載置部32〜34のトレイ40の所定の区画領域に載置される。ユーザは、区画部材42の表示領域42bの表示に従って蓋8aを載置することにより、様々な種類の試薬容器8が用いられる場合にも、容器と蓋との対応関係を間違えることなく、蓋8aを整理することが可能となる。また、トレイ40と区画部材42との間に吸液部材45を配置しておくことにより、蓋8aの内部に試薬が付着している場合に、他の試薬容器8の蓋8aに試薬が付着することが防止される。
【0071】
1日の検体分析作業が終了し、検体分析装置1がシャットダウンされる場合などには、容器セット部13〜15の保冷機能もオフになるので、液体の蒸発や劣化を防ぐために各液体容器(洗浄液容器5、希釈液容器6、洗浄液容器7、試薬容器8)は施設内の冷蔵庫に保管される。そのため、ユーザは、容器セット部13〜15にセットした液体容器(5〜8)を取り出して、それぞれ対応する蓋(5a〜8a)を液体容器に装着して冷蔵庫に収納する。この際、上記の通り液体容器(5〜8)と蓋(5a〜8a)とがそれぞれ対応付けられた状態で、蓋が所定位置(蓋載置部16a〜16cおよび32〜34)に載置されているため、ユーザは、収納作業時に蓋を間違えて装着したり、蓋を紛失したりすることなく、蓋を容器に装着して保管することが可能となる。
【0072】
本実施形態では、上記のように、液体容器(洗浄液容器5、希釈液容器6、洗浄液容器7および試薬容器8)の蓋(5a〜8a)が載置される蓋載置部(16a〜16cおよび32〜34)を設けることによって、ユーザは、容器セット部13〜15にセットした液体容器(5〜8)の蓋(5a〜8a)を蓋載置部(16a〜16cおよび32〜34)に載置することができる。そのため、液体容器(5〜8)の蓋(5a〜8a)を紛失しないように保管することができる。また、蓋載置部(16a〜16cおよび32〜34)を容器セット部13〜15の近傍または容器セット部13〜15よりも手前側に配置することによって、ユーザは、容器セット部13〜15に液体容器(5〜8)をセットして蓋(5a〜8a)を取り外した際に、容器セット部13〜15の近傍または手前側のユーザが視認しやすく、かつ、アクセスしやすい位置に配置された蓋載置部(16a〜16cおよび32〜34)に蓋(5a〜8a)を載置することができる。そのため、蓋(5a〜8a)の載置し忘れを抑制することができるとともに、ユーザの作業負担を抑制して検体分析装置1の利便性を向上させることができる。
【0073】
また、本実施形態では、上記のように、蓋載置部32〜34を、容器セット部15よりも手前側の搬送装置3に設ける。これにより、ユーザが検体容器T(ラックR)を搬送装置3にセットするのと同じ場所(搬送装置3)で、試薬容器8の蓋8aを載置することができるので、蓋8aの載置や整理を容易に行うことができるとともに、蓋8aの載置し忘れも抑制することができる。また、測定装置2の内部(筐体4の内部)に比べてユーザがよりアクセスしやすい手前側(Y2方向側)の搬送装置3に蓋載置部32〜34が設けられるので、ユーザの蓋載置作業および蓋取り出し作業時の作業性をより向上させることができる。
【0074】
また、本実施形態では、上記のように、蓋載置部32〜34を、搬送路31が設けられた領域とは異なる領域に、搬送路31と並んで配置する。これにより、搬送路31上に検体容器T(ラックR)が設置されている場合や検体容器T(ラックR)の搬送中の場合にも、蓋(5a〜8a)の載置や整理を容易に行うことができる。
【0075】
また、本実施形態では、上記のように、蓋載置部32および33と、蓋載置部34とを、搬送路31を挟むようにX方向の両側に設ける。これにより、検体分析装置1において使用される試薬容器8の数(すなわち、蓋8aの数)が多い場合にも、蓋8aの載置場所をより多く確保することができる。また、両側の蓋載置部32〜34の内から載置しやすい方の蓋載置部を選んで蓋8aを載置することができる。
【0076】
また、本実施形態では、上記のように、蓋載置部32〜34に、複数の蓋8aを載置可能なトレイ40と、トレイ設置部32a〜34aとを設ける。そして、トレイ設置部32a〜34aの上面に係合部32b〜34bを設けるとともに、トレイ40には、係合部32b〜34bに嵌り込み係合する脚部44を設ける。これにより、試薬容器8の蓋8aをトレイ40ごと移動させることができるので、蓋8aを試薬容器8に装着する際、トレイ40上の蓋8aを作業机の上などに運んでまとめて作業を行うことができる。さらに、係合部32b〜34bと脚部44との係合によって、ユーザが誤ってトレイ40を落下させたりすることを抑制することができる。また、本実施形態では、上記のように、トレイ40に取手部43を設けることによって、トレイ40による蓋8aの持ち運びを容易にすることができる。
【0077】
また、本実施形態では、上記のように、蓋載置部33のトレイ設置部33aの下側に収納室37を設ける。そして、収納室37を、トレイ設置部33aに設置されたトレイ40により、内部が閉じられるように構成する。これにより、試薬容器8の蓋8a以外の他の付属物なども収納室37に保管しておくことができるので、紛失のおそれがなくなりユーザに対する検体分析装置1の利便性を向上させることができる。
【0078】
また、本実施形態では、上記のように、蓋載置部33を覆うカバー35を設けることによって、試薬容器8に蓋8aを装着し直す際の試薬容器8内への異物の混入を防ぐことができる。また、本実施形態では、上記のように、蓋載置部32を、カバー35の上面上にも設けることによって、蓋8aの載置場所をより多く確保することができる。
【0079】
また、本実施形態では、上記のように、蓋載置部32〜34に、複数の蓋8aを載置可能な載置領域を有するトレイ40と区画部材42とを設ける。これにより、区画された載置領域に蓋8aを分類して整理した状態で載置することができるので、蓋8aを含む試薬容器8の管理や整理を容易に行うことができる。
【0080】
また、本実施形態では、上記のように、筐体4の外部に蓋載置部32〜34を設けるとともに、筐体4の内部に蓋載置部16a〜16cを設ける。これにより、検体分析装置1において使用される液体容器(5〜8)の数(すなわち、蓋の数)が多い場合にも、蓋(5a〜8a)の載置場所をより多く確保することができる。
【0081】
また、本実施形態では、上記のように、蓋載置部32および33を、装置の手前側(Y2方向側)から見て、容器セット部15よりも手前側であって、かつ、扉部4aおよび容器セット部15が配置される側(X2方向側)と同じ側に配置する。これにより、ユーザは、検体分析装置1の同じX2方向側の位置で、試薬容器8の出し入れと、蓋8aの保管と、取り出した試薬容器8への蓋8aの装着とを行うことができる。そのため、試薬容器8をセットする際の作業性や、試薬容器8を施設内の冷蔵庫に保管する際の作業性を向上させることができる。
【0082】
なお、今回開示された実施形態は、すべての点で例示であって制限的なものではないと考えられるべきである。本発明の範囲は、上記した実施形態の説明ではなく特許請求の範囲によって示され、さらに特許請求の範囲と均等の意味および範囲内でのすべての変更が含まれる。
【0083】
たとえば、上記実施形態では、筐体4の内部で容器セット部13〜15の近傍の蓋載置部16a〜16cと、筐体4の外部で容器セット部13〜15よりも手前側の蓋載置部32〜34とを設けた例を示したが、本発明はこれに限られない。本発明では、蓋載置部を筐体の内部で容器セット部の近傍の位置だけに設けてもよいし、蓋載置部を筐体の外部で容器セット部よりも手前側の位置だけに設けてもよい。また、蓋載置部を筐体の内部であって、かつ、容器セット部よりも手前側の位置に配置してもよい。
【0084】
また、上記実施形態では、測定装置2および搬送装置3を備える検体分析装置1に蓋載置部を設けた例を示したが、本発明はこれに限られない。本発明では、測定装置のみを有する検体分析装置と接続可能な、独立した搬送装置に蓋載置部を設けてもよい。
【0085】
また、上記実施形態では、搬送装置の搬送路に沿った搬送路のX方向外側位置に、蓋載置部を設けた例を示したが、本発明はこれに限られない。たとえば搬送路の手前側(Y2方向側)の位置に蓋載置部を設けてもよい。また、たとえば、搬送路の下部に引き出し可能な蓋載置部を設けて、蓋載置部を手前側(Y2方向側)に引き出した状態で蓋を載置し、搬送路の下部に戻して収納できるような構造としてもよい。
【0086】
また、上記実施形態では、搬送路のX方向両外側で、搬送路を挟むように蓋載置部を配置した例を示したが、本発明はこれに限られない。たとえば蓋載置部をX1方向側およびX2方向側の一方のみに配置してもよい。
【0087】
また、上記実施形態では、搬送装置に3つの蓋載置部32〜34を設けた例を示したが、本発明はこれに限られない。本発明では、搬送装置に蓋載置部を1、2または4つ以上設けてもよい。
【0088】
また、上記実施形態では、蓋載置部32〜34にトレイ40を設けた例を示したが、本発明はこれに限られない。本発明では、トレイを設けることなく、蓋載置部上にそのまま蓋を載置可能なように蓋載置部を構成してもよい。
【0089】
また、上記実施形態では、トレイ設置部32a〜34aに係合部32b〜34bを設け、トレイ40に脚部44を設けて、係合部32b〜34bと脚部44とを互いに係合するように構成した例を示したが、本発明はこれに限られない。本発明では、トレイとトレイ設置部とが係合せずに、単純にトレイ設置部上にトレイを載せるだけの構成であってもよい。また、トレイとトレイ設置部とを係合させる場合には、たとえば、トレイに脚部を設けずに、トレイ自体がトレイ設置部に嵌り込むような構成としてもよい。
【0090】
また、上記実施形態では、トレイ設置部33aの下側に収納室37を設け、収納室37がトレイ40によって閉じられるように構成した例を示したが、本発明はこれに限られない。本発明では、収納室を設けなくともよい。また、収納室を設ける場合には、収納室をトレイによって閉じる代わりに、入口部を開閉する開閉部材(蓋部)を設けてもよい。
【0091】
また、上記実施形態では、トレイに取手部を設けた例を示したが、本発明はこれに限られず、トレイに取手部を設けなくともよい。
【0092】
また、上記実施形態では、蓋載置部33を覆うカバー35を設け、カバー35の上面上にも蓋載置部32を設けた例を示したが、本発明はこれに限られず、カバーを設けなくともよい。また、カバーを設ける場合に、カバーの上面上に蓋載置部を設けなくともよい。
【0093】
また、上記実施形態では、トレイ40の載置領域を3×3の9領域に区画する区画部材42を設けた例を示したが、本発明はこれに限られない。本発明では、トレイに区画部材を設けなくともよい。また、区画部材を設ける場合には、9領域以外の数の領域に載置領域を区画してもよい。たとえば、2×2の4領域に区画して、大型の蓋5a、6a、7aなどをトレイに載置可能にしてもよい。この場合、区画領域の数を異ならせて、大型の蓋を載置可能なトレイと、小型の蓋を載置可能なトレイとをそれぞれ用意してもよい。
【0094】
また、上記実施形態では、筐体4の内部の蓋載置部16a〜16cを大型の蓋5a〜7aが載置されるように構成し、筐体4の外部の蓋載置部32〜34を小型の蓋8aが載置されるように構成した例を示したが、本発明はこれに限られない。本発明では、筐体の内部の蓋載置部を小型の蓋も載置可能なように構成してもよいし、筐体の外部の蓋載置部を大型の蓋を載置可能なように構成してもよい。
【0095】
また、上記実施形態では、筐体4の内部の蓋載置部16a〜16cを、それぞれ洗浄液容器5、希釈液容器6、洗浄液容器7と対応付けて隣接するように配置した例を示したが、本発明はこれに限られない。本発明では、蓋載置部を各容器から離間させて配置してもよい。この場合、蓋載置部をそれぞれの容器の位置とは別の所定領域にまとめて設けてもよい。
【0096】
また、上記実施形態では、液体容器の一例として、洗浄液容器5および7と、希釈液容器6と、試薬容器8とを示したが、本発明はこれに限られない。本発明では、液体容器は、測定装置において用いられる液体の容器であれば、洗浄液容器、希釈液容器および試薬容器以外のキャリブレータ(校正物質)およびコントロール(標準検体)などの液体の容器であってよい。