特許5832766IP Force 特許公報全文掲載

技術分野

微生物の代謝経路制御方法に関する。さらに詳述すると、本発明は、ピルビン酸から代謝産物を産生する微生物の代謝経路を制御する方法

発明が解決しようとする課題[発明の詳細な説明]から抜粋

大腸菌の代謝経路において、還元経路におけるピルビン酸の乳酸への還元反応を促進させることができれば、生分解性プラスチックであるポリ乳酸の原料として有用な乳酸の産生量を増加させることが可能となる。逆に、酸化経路におけるピルビン酸のアセチル補酵素Aへの酸化反応を促進させることができれば、バイオ燃料として有用なエタノールの産生量を増加させることが可能となる。 また、加水分解菌は、メタン発酵槽内において、水素資化性メタン菌がメタンを産生する際に必要な水素を生育時に産生する機能を有している微生物である。しかし、その一方で、加水分解菌はピルビン酸のアセチル補酵素Aへの酸化経路を代謝経路として有しており、アセチル補酵素Aが最終的に変換されて生じる酢酸がメタン発酵槽の酸敗の要因となり得る。そこで、酸化経路におけるピルビン酸のアセチル補酵素Aへの酸化反応を減退させることができれば、メタン発酵槽の酸敗を引き起こし得る酢酸の産生量を低下させることが可能となり、メタン発酵槽の長期安定化を実現することも可能となる。 このように、微生物のピルビン酸を起点とする代謝経路を制御することで、種々の利点が生み出され得るものと考えられる。 そこで、本発明は、微生物のピルビン酸を起点とする代謝経路を制御する方法を提供することを目的とする。

課題を解決するための手段[発明の詳細な説明]から抜粋

かかる課題を解決するため、本願発明者等が鋭意研究を行った結果、大腸菌を含む培養環境に電極を接触させ、電極の電位を還元電位に制御することで、乳酸の産生量が増加すると共に酢酸及びエタノールの産生量が減少することを知見した。逆に、電極の電位を酸化電位に制御することで、乳酸の産生量が減少すると共に酢酸及びエタノールの産生量が増加することを知見した。
【発明の効果】
本発明によれば、ピルビン酸を乳酸に還元する還元経路とピルビン酸をアセチル補酵素Aに酸化する酸化経路とを代謝経路として有する微生物について、ピルビン酸を起点とする代謝経路を人為的に制御することが可能となる。したがって、この代謝経路からの代謝産物の産生量を増加させたり減少させたりする制御を所望の条件に応じて実施することが可能となる。 例えば、大腸菌を含む培養環境に電極を接触させ、電極の電位を還元電位に制御することで、還元経路におけるピルビン酸の乳酸への還元反応を促進させて、生分解性プラスチックであるポリ乳酸の原料として有用な乳酸の産生量を増加させることが可能となる。逆に、電極の電位を酸化電位に制御することで、酸化経路におけるピルビン酸のアセチル補酵素Aへの酸化反応を促進させて、バイオ燃料として有用なエタノールの産生量を増加させることが可能となる。 また、加水分解菌を含む培養環境に電極を接触させ、電極の電位を還元電位に制御することで、酸化経路におけるピルビン酸のアセチル補酵素Aへの酸化反応を減退させ、還元経路におけるピルビン酸の乳酸への還元反応を促進させることができるので、例えば培養環境をメタン発酵槽とした場合には、メタン発酵槽の酸敗を引き起こし得る酢酸の産生量を低下させることが可能となり、メタン発酵槽の酸敗を防いで長期安定化を実現することも可能となる。

この発明についての権利主張の範囲[特許請求の範囲]

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この特許公報に記載されている図面[図面の簡単な説明]から抜粋

【図1】大腸菌の代謝経路を示す図である。

【図2】サーモトガ マリティマ(Thermotoga maritima)の代謝経路を示す図である。

【図3】第一の実施形態Aにかかる電気培養装置の一例を示す断面図である。

【図4】第一の実施形態Bにかかる電気培養装置の一例を示す断面図である。

【図5】第一の実施形態Cにかかる電気培養装置の一例を示す断面図である。

【図6】第一の実施形態Dにかかる電気培養装置の一例を示す断面図である。

【図7】第二の実施形態にかかる電気培養装置の一例を示す断面図である。

【図8】本発明を実施するための電気培養装置の他の構成の一例を示す断面図である。

【図9】菌体密度の経時変化を示す図である(実施例1)。

【図10】培養液中のスターチ残存量を示す図である(実施例1)。

【図11】ガス発生量を示す図である(実施例1)。

【図12】培養液のpHの経時変化を示す図である(実施例1)。

【図13】培養液の酢酸濃度の経時変化を示す図である(実施例1)。

【図14】培養試験における培養液の乳酸濃度の経時変化を示す図である(実施例1)。

【図15】培養期間中の電流値の測定結果を示す図である(実施例1)。

【図16】培養液の乳酸濃度を示す図である(実施例2)。

【図17】培養液の酢酸及びエタノール濃度を示す図である(実施例2)。

【図18】実施例において使用した電気培養装置の構成を示す断面図である。

【図19】実施例において使用した電気培養装置の小容器の構成を示す図である。

選択図 図1出願人が指定した本件の代表的な図

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