特許第5832785号(P5832785)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2015.5.11 β版

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特許5832785アンモ酸化用触媒、その製造方法及びアクリロニトリル又はメタクリロニトリルの製造方法
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  • 特許5832785-アンモ酸化用触媒、その製造方法及びアクリロニトリル又はメタクリロニトリルの製造方法 図000004
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】5832785
(24)【登録日】2015年11月6日
(45)【発行日】2015年12月16日
(54)【発明の名称】アンモ酸化用触媒、その製造方法及びアクリロニトリル又はメタクリロニトリルの製造方法
(51)【国際特許分類】
   B01J 23/88 20060101AFI20151126BHJP
   C07C 255/08 20060101ALI20151126BHJP
   C07C 253/26 20060101ALI20151126BHJP
   C07B 61/00 20060101ALN20151126BHJP
【FI】
   B01J23/88 Z
   C07C255/08
   C07C253/26
   !C07B61/00 300
【請求項の数】4
【全頁数】20
(21)【出願番号】特願2011-120406(P2011-120406)
(22)【出願日】2011年5月30日
(65)【公開番号】特開2012-245484(P2012-245484A)
(43)【公開日】2012年12月13日
【審査請求日】2014年5月27日
(73)【特許権者】
【識別番号】303046314
【氏名又は名称】旭化成ケミカルズ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100079108
【弁理士】
【氏名又は名称】稲葉 良幸
(74)【代理人】
【識別番号】100109346
【弁理士】
【氏名又は名称】大貫 敏史
(74)【代理人】
【識別番号】100134120
【弁理士】
【氏名又は名称】内藤 和彦
(72)【発明者】
【氏名】藤井 雄一
【審査官】 延平 修一
(56)【参考文献】
【文献】 特表2012−501838(JP,A)
【文献】 特開平07−328441(JP,A)
【文献】 国際公開第2004/078344(WO,A1)
【文献】 特開2004−105951(JP,A)
【文献】 特開2004−313869(JP,A)
【文献】 特開2008−212779(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B01J 21/00 − 38/74
JSTPlus/JMEDPlus/JST7580(JDreamIII)
CAplus/REGISTRY(STN)
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
プロピレン、イソブテン又は3級ブタノールのアンモ酸化に用いられる触媒であって、
下記一般式(1)で表される組成を有し、
X線回折分析における2θ=26.6±0.2°のピークの半値幅が0.10〜0.25°であり、2θ=26.6±0.2°のピーク強度をA、2θ=23.0±0.2°のピーク強度をBとした時のB/A比が0.13〜0.25であり、
シリカを更に含有する、アンモ酸化用触媒。
Mo12(Bi1-aCeabFecNidefg (1)
(式(1)中、Xはマグネシウムを示し、Yはカリウム、ルビジウム及びセシウムから選ばれる1種以上の元素を示し、aはビスマスとセリウムの合計に対するセリウムの相対原子比を示し、a=0.6〜0.8であり、b、c、d、e、f及びgは、それぞれモリブデン12原子に対するビスマスとセリウムの合計、鉄、ニッケル、X、Y及び酸素の原子比を示し、b=0.5〜2、c=0.1〜3、d=4〜10、e=0.1〜3、f=0.01〜2、gは存在する他の元素の原子価要求を満足させるのに必要な酸素の原子数である。)
【請求項2】
全シリカに対して、一次粒子の平均粒子直径が3〜30nmのシリカの比率が10〜90質量%であり、一次粒子の平均粒子直径が35〜100nmのシリカの比率が10〜90質量%である、請求項1記載のアンモ酸化用触媒。
【請求項3】
請求項1又は2記載のアンモ酸化用触媒の製造方法であって、
液相と固相からなる水性スラリーを調製する工程と
前記水性スラリーを乾燥して乾燥体を得る工程と、
前記乾燥体を焼成する工程と、
を含み、
前記水性スラリー中の固相に存在するモリブデンの割合が75〜95モル%、ビスマスの割合が80〜100モル%、ニッケルの割合が1〜10モル%、鉄の割合が85〜99モル%である、製造方法。
【請求項4】
アクリロニトリル又はメタクリロニトリルの製造方法であって、
請求項1又は2記載のアンモ酸化用触媒に、プロピレン、イソブテン又は3級ブタノールと、酸素と、アンモニアとを接触させる工程を含む、製造方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、プロピレン、イソブテン又は3級ブタノールのアンモ酸化に用いられる触媒、その製造方法及びアクリロニトリル又はメタクリロニトリルの製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、プロピレン、イソブテン又は3級ブタノールのアンモ酸化によりアクリロニトリル及びメタクロニトリルを製造する方法については良く知られており、これらの反応に用いる触媒に関する技術も多数提案されている。アンモ酸化用の触媒としては、モリブデン、ビスマス及び鉄を含む酸化物触媒や、アンチモン及び鉄を含む酸化物触媒が利用されており、これらの基本的な組成を有する触媒に対して様々な改良が加えられている。
例えば、モリブデン、ビスマス、鉄を含む触媒系に対する改良として、ニッケル及び/又はコバルトや、アルカリ金属、希土類、タンタル及びニオブから選ばれる1種以上を添加する方法や、セリウム、ランタン、ネオジム、プラセオジム、サマリウム、ヨーロピウム及びガドリウムから選ばれる1種以上の元素等を添加する方法が知られている。
触媒の金属酸化物組成に加え、触媒の担体の改良についても検討が進められており、シリカ含量、平均細孔径、全細孔容量及び比表面積を最適化したり、原料のシリカゾルとしてシリカ一次粒子径の異なる数種のものを組み合わせたりする調製法を採用することで、さらなる触媒の性能向上が図られている。
上述の触媒の製造方法としては、液相と固相とからなる水性スラリーを調製し、スラリーを乾燥して、得られた乾燥物を焼成する方法が一般的である。特許文献1には、スラリー中のビスマス、モリブデン、鉄の固相及び液相の分配比率をそれぞれ特定の範囲にする触媒の製造方法が記載されている。特許文献2には、スラリー中に含まれる沈殿粒子の粒子径の分布割合を特定の範囲にする触媒の製造方法が記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2004−313869号公報
【特許文献2】特開2010−240593号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
アンモ酸化用触媒の開発に当たっては、これまで、活性と選択率の両面から触媒能の向上を目指して、色々な組成が検討されており、一定の成果を上げてきていることから、更なる改良の余地は年々少なくなっているとも言える。そんな中、本発明者は、プロピレン、イソブテン又は3級ブタノールのアンモ酸化反応において、副反応として不可避的に起こってしまうCO2及びCOの生成反応を抑制することに着目した。何故なら、副生物の中にはアクロレインのように、副生しても、更に反応することで目的とするアンモ酸化物を生成するものもあるのに対し、CO2やCOとなった炭素がアンモ酸化物を生成する可能性はなく、選択率の低下に直結するからである。
従って、本発明は、プロピレン、イソブテン又は3級ブタノールのアンモ酸化反応において、CO2及びCOの生成を抑制した触媒を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明者は、上記課題を解決するために鋭意検討した結果、特定の金属を含み、且つ、X線回折分析において特定のピーク状態を有する触媒が、上記課題を解決し得ることを見出し、本発明を完成させた。
【0006】
すなわち、本発明は以下のとおりである。
[1]
プロピレン、イソブテン又は3級ブタノールのアンモ酸化に用いられる触媒であって、
下記一般式(1)で表される組成を有し、
X線回折分析における2θ=26.6±0.2°のピークの半値幅が0.10〜0.25°であり、2θ=26.6±0.2°のピーク強度をA、2θ=23.0±0.2°のピーク強度をBとした時のB/A比が0.13〜0.25であり、
シリカを更に含有する、アンモ酸化用触媒。
Mo12(Bi1-aCeabFecNidefg (1)
(式(1)中、Xはマグネシウムを示し、Yはカリウム、ルビジウム及びセシウムから選ばれる1種以上の元素を示し、aはビスマスとセリウムの合計に対するセリウムの相対原子比を示し、a=0.6〜0.8であり、b、c、d、e、f及びgは、それぞれモリブデン12原子に対するビスマスとセリウムの合計、鉄、ニッケル、X、Y及び酸素の原子比を示し、b=0.5〜2、c=0.1〜3、d=4〜10、e=0.1〜3、f=0.01〜2、gは存在する他の元素の原子価要求を満足させるのに必要な酸素の原子数である。)
[2]
全シリカに対して、一次粒子の平均粒子直径が3〜30nmのシリカの比率が10〜90質量%であり、一次粒子の平均粒子直径が35〜100nmのシリカの比率が10〜90質量%である、上記[1]記載のアンモ酸化用触媒。
[3]
上記[1]又は[2]記載のアンモ酸化用触媒の製造方法であって、
液相と固相からなる水性スラリーを調製する工程と
前記水性スラリーを乾燥して乾燥体を得る工程と、
前記乾燥体を焼成する工程と、
を含み、
前記水性スラリー中の固相に存在するモリブデンの割合が75〜95モル%、ビスマスの割合が80〜100モル%、ニッケルの割合が1〜10モル%、鉄の割合が85〜99モル%である、製造方法。
[4]
アクリロニトリル又はメタクリロニトリルの製造方法であって、
上記[1]又は[2]記載のアンモ酸化用触媒に、プロピレン、イソブテン又は3級ブタノールと、酸素と、アンモニアとを接触させる工程を含む、製造方法。
【発明の効果】
【0007】
本発明の触媒を用いることにより、プロピレン、イソブテン又は3級ブタノールを原料とするアンモ酸化反応によりアクリロニトリル又はメタクロニトリルを製造する方法において、CO2及びCOの生成量を少なくし、アクリロニトリル又はメタクロニトリルの生産性を高めることができる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
図1】本発明の触媒のX線回折(XRD)の測定例を示す。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、本発明を実施するための形態(以下、「本実施形態」とも言う。)について詳細に説明する。なお、本発明は、以下の実施の形態に限定されるものではなく、その要旨の範囲内で種々変形して実施することができる。
【0010】
本実施形態におけるアンモ酸化用触媒は、
プロピレン、イソブテン又は3級ブタノールのアンモ酸化に用いられる触媒であって、
モリブデン、ビスマス、ニッケル、及び鉄を含み、
X線回折分析における2θ=26.6±0.2°のピークの半値幅が0.10〜0.25°であり、2θ=26.6±0.2°のピーク強度をA、2θ=23.0±0.2°のピーク強度をBとした時のB/A比が0.13〜0.25である。
【0011】
本実施形態について、以下具体的に説明する。
[1]アンモ酸化用触媒
本実施形態におけるアンモ酸化用触媒は、モリブデン、ビスマス、ニッケル、鉄を必須成分として含むが、適宜、他の元素を含んでも構わない。例えば、セリウムを含有するアンモ酸化用触媒は、反応を継続する際の性能低下度合いが小さい点で好ましい。マグネシウムは結晶相の安定化に働き、流動床反応に供した際の性能低下につながる結晶相のα化を抑える点で好ましい。アルカリ金属の添加は、副生成物の生成を抑えたり、触媒の焼成温度を好ましい領域に保ったりする効果を奏する点で好ましい。
【0012】
本実施態様のアンモ酸化用触媒は、X線回折分析において特有のピークを示す。対陰極にCuKα線をX線源として得られるX線回折分析において、2θ値の回折パターンを読み取った場合、2θ=26.6±0.2°のピークの半値幅が0.10〜0.25°である。2θ=26.6±0.2°は、ニッケルを主な構成成分とした2価の金属モリブデート相に由来する回折ピークである。半値幅とは、横軸に2θを表し、縦軸に回折強度を表した回折パターンにおけるベースラインからピーク強度の半分の値でピークを水平に切った際のピーク形状の横幅で示される(図1参照)。ベースラインとしては例えば2θ=10°〜15°付近のピークの無いポイントと2θ=35°〜40°のピークの無いポイントを結んだ線が用いられる。2θ=26.6±0.2°のピークの半値幅は、触媒全体の結晶成長が好ましい状態となる傾向にあるため、0.20°〜0.25°であることがより好ましい。上記半値幅が0.25°を超える場合、アンモ酸化反応においてCO2及び/又はCOが生成し易くなり、0.10°未満であると、触媒の活性が低くなる。
なお、上記「ピークの無いポイント」とは、XRD測定において、縦軸に回折X線強度を取り、横軸に2θを取ったチャートにおけるいわいるベースライン上のポイントを意味し、ピークの存在しないポイントを示す。通常、XRD測定においては、あるレベルのノイズ等を含むので、ピークの無い(回折点が無い)箇所でもあるレベルの回折X線強度を示す。そこで、測定機器の計算(全体の分析結果からノイズ、バックグラウンドを計算)により、回折X線強度がほぼゼロのラインを機械的に求め、これをベースラインとする。
【0013】
本実施態様のアンモ酸化用触媒は、2θ=26.6±0.2°のピーク強度をA、2θ=23.0±0.2°のピーク強度をBとした時のB/A比が0.13〜0.25の範囲にある。ここで、2θ=23.0±0.2°のピークは、3価の鉄モリブデートに由来するピークを示す。ピーク強度はX線回折パターンのベースラインと2θ=26.6±0.2°のピーク及び2θ=23.0±0.2°のピークの各ピークトップから垂線をベースラインへ下した際の交点とピークトップの線分の長さで示される(図1参照)。B/A比は、触媒金属酸化物全体に対する3価の鉄モリブデート結晶相の成長度合いを示す指標であり、好ましくは0.15〜0.25である。B/A比が0.13未満であると、アンモ酸化反応において気相からの酸素取り込み効率が悪くなるため、アクリロニトリル又はメタクロニトリルの選択性が低くなり、0.25を超えると、副生成物であるCO及びCO2の生成量が多くなる。本発明者は、ニッケルを主な構成成分とした2価の金属モリブデート相と3価の鉄モリブデート相の結晶の状態が特定の関係にある時に、CO2及びCOの生成が低減することを、実験の結果初めて見出した。
【0014】
本実施形態におけるアンモ酸化用触媒は、長時間の運転においても反応の安定性が良好となる傾向にあるため、下記一般式(1)で表される組成を有することが好ましい。
Mo12(Bi1-aCeabFecNidefg (1)
(式(1)中、Xは、マグネシウム及び亜鉛から選ばれる1種以上の元素、Yはカリウム、ルビジウム及びセシウムから選ばれる1種以上の元素を示し、aはビスマスとセリウムの合計に対するセリウムの相対原子比を示し、a=0.6〜0.8であり、b、c、d、e、f及びgは、それぞれモリブデン12原子に対するビスマスとセリウムの合計、鉄、ニッケル、X、Y及び酸素の原子比を示し、b=0.5〜2、c=0.1〜3、d=4〜10、e=0〜3、f=0.01〜2、gは存在する他の元素の原子価要求を満足させるのに必要な酸素の原子数である。)
【0015】
モリブデン12原子に対するビスマスとセリウムの合計の原子比bは0.5〜2、好ましくは0.7〜1.8であり、かつビスマスとセリウムの合計に対するセリウムの相対原子比aは0.6〜0.8であり、好ましくは0.65〜0.75である。bが0.5未満又は2を超えると、アクリロニトリル又はメタクロニトリルを製造する反応初期の収率が低くなり、また、反応の安定性も悪くなる。aが0.6未満であると、アクリロニトリル又はメタクロニトリルの反応初期の収率は良好であるが、反応の安定性は悪くなり反応時間の経過とともに収率が低下する。aが0.8を超えると、反応初期の収率が低くなる。
【0016】
モリブデン12原子に対する鉄の原子比cは0.1〜3、好ましくは0.5〜2.5であり、ニッケルの原子比dは4〜10、好ましくは5〜8であり、マグネシウム及び亜鉛から選ばれる1種以上の元素Xの原子比eは0〜3、好ましくは0.1〜2.5であり、カリウム、ルビジウム及びセシウムから選ばれる1種以上の元素Yの原子比fは0.01〜2、好ましくは0.02〜1である。モリブデン12原子に対する各元素の原子比が上記範囲であると、アクリロニトリル又はメタクロニトリルの選択性が高くなる傾向にある。
【0017】
本実施形態におけるアンモ酸化用触媒は、金属酸化物が担体に担持されてものであってもよい。アンモ酸化用触媒の担体としては、シリカ、アルミナ、チタニア、ジルコニア等の酸化物が用いられるが、目的物の選択性の低下が小さく、形成した触媒粒子の耐摩耗性、粒子強度が良好となる観点から、シリカが好適である。シリカ担体の量はシリカ担体と金属酸化物の合計質量に対して20〜80質量%、好ましくは30〜70質量%、さらに好ましくは40〜60質量%の範囲で用いられる。
【0018】
シリカの原料としては特に限定されないが、シリカゾルが好ましく用いられる。シリカゾルに含まれるシリカの一次粒子の平均粒子直径(以下、「一次粒子径」ともいう。)に制限はないが、シリカの一次粒子径が3〜100nmであるシリカが好ましく用いられる。シリカゾルとしては単一の一次粒子径のシリカを含むシリカゾルを用いることもできるが、好ましくは2種以上の大小異なる一次粒子径のシリカを含むシリカゾルを混合して用いることができる。例えば相対的に小さな一次粒子径を有するシリカ(A)と相対的に大きな一次粒子径を有するシリカ(B)を組み合わせて用いることができる。シリカ(A)、シリカ(B)単独で用いても構わないが、粒子強度、アクリロニトリル及びメタクロニトリルの選択性向上の観点からシリカ(A)、シリカ(B)混合して用いるのが好ましい。シリカ(A)の一次粒子径は、好ましくは3〜30nmであり、より好ましくは5〜20nmである。シリカ(B)の一次粒子径は、好ましくは35〜100nmであり、より好ましくは35〜50nmである。触媒中に含まれる全シリカに対して、シリカ(A)の比率は、好ましくは10〜90質量%であり、より好ましくは20〜60質量%である。また、全シリカに対して、シリカ(B)の比率は、好ましくは10〜90質量%であり、より好ましくは20〜60質量%である。
シリカの一次粒子径は、以下のとおりに測定することができる。
本実施形態におけるシリカの一次粒子径は、BET法、即ちBET吸着等温式(Brunauer-Emmett-Telleradsorption isotherm)で求めたシリカ一次粒子の平均直径のことを言う。具体的には、シリカゾルの場合は、100〜200℃の温度でゾルの分散媒である水を蒸発させ、紛体とした後に、液体窒素温度で窒素を飽和吸着させ、室温に戻した時の窒素の脱離量により、紛体の比表面積S(m2/g)を算出する。
そして、シリカの一次粒子を全て同一直径D(nm)の球体と仮定し、シリカゾル中のシリカ粒子(アモルファスシリカ)の比重(ρ)を2.2とし、1g当たりのシリカ一次粒子の個数をnとすると、直径D(nm)は下記式により求めることができる。
1/ρ=4/3×π×(D×10-7/2)3×n
S=4×π×(D×10-9/2)2×n
従って、D=6000/(ρ×S)となり、これをシリカの一次粒子径とする。
【0019】
ニッケルを主な構成成分とした2価の金属モリブデート相と3価の鉄モリブデート相の状態が特定の関係にある金属構成を有するアンモ酸化用触媒において、触媒担体として、相対的に小さな一次粒子径を有するシリカ(A)と、相対的に大きな一次粒子径を有するシリカ(B)を特定粒径及び特定比率で組み合わせると、CO2及びCOの生成が一層低減し、アンモ酸化反応においてアクリロニトリル又はメタクロニトリルが効率よく生成することが分かった。これははっきりとした理由は不明であるが、シリカ(A)とシリカ(B)を組み合わせることで、反応原料及び生成物の分解に関係する、シリカ表面のシラノール基の相対的な数と状態が反応原料及び生成物の分解を抑制するための好ましい状態になり、CO2及びCOの生成の少ない金属構成との相乗効果で、アクリロニトリル又はメタクロニトリルの生成効率が大幅に高まるものと考えている。
【0020】
[2]アンモ酸化用触媒の製造方法
次に、本実施形態におけるアンモ酸化触媒を製造する方法の好適な一例について説明する。
本実施形態におけるアンモ酸化用触媒の製造方法は、固相と液相からなる水性スラリーを調製する工程(工程1)と、前記水性スラリーを乾燥して乾燥体を得る工程(工程2)と、前記乾燥体を焼成する工程(工程3)と、を含み、前記水性スラリー中の固相に存在するモリブデンの割合が75〜95モル%、ビスマスの割合が80〜100モル%、ニッケルの割合が1〜10モル%、鉄の割合が85〜99モル%である。
【0021】
モリブデン、ビスマス、鉄のような複数の金属を含む酸化物は、複合金属酸化物と呼ばれ、金属が複合化して生成する結晶が触媒として作用するので、通常、より複合化した状態になり金属間の相互作用が大きくなるように、均一なスラリーを調製する。特許文献1及び2に記載の方法においても、加温したり、ホモジナイザーを使ったりして金属塩の溶解を進め、均質なスラリーを作ることで均質な酸化物を形成するような調製法が採用されている。
ここで、確かに同一の組成を有する酸化物であっても、形成する結晶相の違いによって触媒性能には相違があるので、調製法の条件の設定によって結晶相を変えることは触媒開発の手法として有意義である。しかしながら、CO2及びCOを生成し難い結晶相について本発明者が検討を進めたところ、必ずしも均一なスラリーから均一な結晶相を形成することが好ましい訳ではなく、特に鉄とモリブデンから形成される相については、固形分を多く含み、より不均一な水性スラリーにすることで、CO2及びCOを生成し難い結晶相が生成し易いことが分かった。
複数の金属を複合化し、金属間の相互作用を利用して触媒作用を高めている以上、均一なスラリーから均一な結晶相を作ろうとするのが自然な発想であって、複数の金属を配合しつつもスラリーを不均一な状態にすることで好ましい結晶相が形成するというのは意外な結果であったものの、CO2及びCOの生成抑制に対しては有効であることが実験的に突き止められた。
【0022】
(工程1)
工程1は、固相と液相からなる水性スラリーを調製する工程である。本工程においては、触媒原料と水を混合して水性スラリーを得るが、水性スラリー中の固相に存在するモリブデンの割合が75〜95モル%、ビスマスの割合が80〜100モル%、ニッケルの割合が5〜10モル%、鉄の割合が85〜99モル%になるように調整する。担体にシリカを用いる場合は、シリカを含んだ水溶液に対してモリブデンを含んだ水溶液を混合撹拌し、その後、ビスマス及び他の金属を含んだ溶液を混合撹拌する調製法が好ましく用いられる。
【0023】
ここで、水性スラリーの液相及び固相に存在する金属の比率は以下の測定方法によって求める。
水性スラリーを10,000回転で15分間の条件又はこれに準ずる条件で遠心分離を行い、上澄み液を目開き1μmのフィルターでろ過した際のろ液を、液相と定義し、遠心分離により沈降した固形物(沈降物)及びろ液を得る際にフィルターを通過しなかった固形物(ろ液残渣)を、固相と定義する。
ここで沈降物及びろ液残渣を含む液状物は液相(付着液相)とみなし、この付着液相は沈降物及びろ液残渣を100℃で18時間乾燥させた後の質量の減少から割り出す。この時、付着液相の組成はろ過した際のろ液の組成と同一とする。
液相及び固相に存在する金属の定量はICP発光分析法により行う。
【0024】
モリブデン、ビスマス、ニッケル、鉄が1種でも上記範囲の固相中のモル比率(以下、「固相比率」ともいう。)を満足しない場合、最終的に得られる触媒を用いてアンモ酸化を実施した際に十分なアクリロニトリル及びメタクロニトリルの選択性が得られない傾向にある。特に、鉄が固相に85モル%未満で存在する場合、XRDの測定により、得られる触媒は好ましい結晶状態とはなっていないことが分かった。そのため、上記鉄のモル比率を満足しない場合、アンモ酸化反応においてCO2及びCOの生成量が多くなり、アクリロニトリル又はメタクロニトリルの選択性が低くなる傾向にあった。
【0025】
スラリーを調製するためのモリブデン、ビスマス、セリウム、鉄、ニッケル、マグネシウム、亜鉛、カリウム、ルビジウム及びセシウム等の各元素の原料は、水又は硝酸に可溶な塩であればよく、各金属のアンモニウム塩、硝酸塩、塩酸塩、硫酸塩、有機酸塩等が挙げられる。モリブデンについてはアンモニウム塩が、ビスマス、セリウム、鉄、ニッケル、マグネシウム、亜鉛、カリウム、ルビジウム及びセシウムについては硝酸塩が特に好適に用いられる。
【0026】
ニッケルを主な構成成分とした2価の金属モリブデート相と、3価の鉄モリブデート相の状態が特定の関係にある金属酸化物を得るために、水性スラリーにおける特に鉄の固相比率を精密に制御するのは好ましい態様である。
【0027】
水性スラリーを調製するに際し、ホモジナイザー等を用いて溶解性を高めてもよいが、金属によっては溶解度が上がり過ぎてモリブデン、ビスマス、ニッケル、鉄の固相比率が好ましい比率にならない場合がある。従って、ホモジナイザーを用いず撹拌条件等を適当に設定することで固相比率を調整する方法が好ましい。各金属の固相比率を調整する目的で、水性スラリーを調製する際に硝酸等の酸性物質を添加し、溶解の程度を調整する方法が好ましく用いられる。具体的には、硝酸を用いて、スラリー中の原料から持ち込まれた硝酸を除いた分の余剰硝酸濃度を0.2〜5質量%に調整することがより好ましく、さらに好ましくは0.5〜2.5質量%に調整する。スラリー中の硝酸濃度を好ましい範囲に調整にするには、ビスマス及び他の金属を溶解した溶液にあらかじめ硝酸を含ませておく方法が好ましく用いられる。
【0028】
次に、水性スラリーを調製する際の好ましい液温制御について説明する。水性スラリーの調製工程において、(1)シリカ水溶液とモリブデン水溶液を混合し、(2)その混合液とビスマス及び他の金属の溶液を混合し、(3)攪拌する場合、上記(1)及び(2)の工程においては、原料の直接の析出により、目的とする金属モリブデートがうまく形成されないことを防ぐために40〜70℃程度の温度に保つことが好ましく、上記(3)の工程においては、好ましい各金属の固相比率を満たすために、液の温度を余剰硝酸濃度との兼ね合いで調整することが好ましい。原料の組成に応じて高い余剰硝酸濃度を選択した場合は、撹拌の際の液の温度をより下げることが好ましく、低い余剰硝酸濃度を選択した場合は、撹拌の際の液の温度を高めることが好ましい。適切な液温は余剰硝酸濃度によって変化するが、調製するスラリーについて室温付近と氷温付近を含む2〜3点の温度で固形分濃度を測定してみることで、適切な温度を知ることができる。一般的には室温より低い温度で撹拌を継続することが好ましく、−5℃〜20℃の範囲に保つことが好ましく、0℃〜10℃の範囲に保つことがより好ましい。各金属の溶液を混合した後の撹拌時間としては、特に制限はないが、各金属の固相比率が下がりすぎるのを防ぐ観点から、5時間以内が好ましく、30分以上3時間以内がより好ましい。
【0029】
(工程2)
工程2は、前記水性スラリーを乾燥して乾燥体を得る工程である。本工程では、水性スラリーを噴霧乾燥して球状の粒子を得る。水性スラリーの噴霧は、工業的に通常用いられる遠心方式、二流体ノズル方式、高圧ノズル方式等の方法により行うことができるが特に遠心方式で行うことが好ましい。乾燥のための熱源としてはスチーム、電気ヒーター等によって加熱された空気を用いることが好ましい。乾燥機の入口温度は100〜400℃、好ましくは150〜300℃である。乾燥機の出口温度は100〜180℃、好ましくは120〜170℃である。
【0030】
(工程3)
工程3は、乾燥体を焼成する工程である。本工程では乾燥工程(工程2)で得られた乾燥体を焼成することで目的とする触媒を得る。乾燥体は、500〜750℃の範囲の温度で焼成され、特に条件の制限はないが、好ましくは前段焼成、後段焼成に分けて焼成が行われる。前段焼成においては、150〜450℃、30分〜10時間の条件で焼成が行われるのが好ましく、後段焼成においては、500〜700℃、1〜20時間の条件で焼成が行われるのが好ましい。焼成の際の雰囲気ガスは、酸素を含んだガスを用いることが好ましいが、窒素等の酸素を含まない不活性ガスを用いることもできる。特に好ましくは空気を用いる。
【0031】
最終的に得られる触媒粒子の形状、粒子の大きさとしては、特に制限はないが、流動床触媒として使用する場合、流動性の観点で、球状が好ましく、10〜150μmの粒子径を有することが好ましい。
【0032】
[3]アクリロニトリル又はメタクロニトリルの製造方法
本実施形態におけるアクリロニトリル又はメタクリロニトリルの製造方法は、上述したアンモ酸化用触媒に、プロピレン、イソブテン又は3級ブタノールと、酸素と、アンモニアとを接触させる工程を含む。プロピレン、イソブテン又は3級ブタノールと酸素及びアンモニアを用いたアンモ酸化反応によるアクリロニトリル又はメタクロニトリルの製造は、固定床反応器又は流動床反応器により実施することができるが、反応の際に発生する熱を効率的に除去し、目的物の収率を高める観点で流動床反応器が好ましく用いられる。原料のプロピレン、イソブテン、3級ブタノール及びアンモニアの純度は特に制限はなく、通常使用される工業グレードのものを使用することができる。酸素としては空気を用いることができるが、爆発限界を外す目的等で、窒素等の不活性ガスで希釈した空気を用いることもできるし、反応効率を高めるため空気を酸素と混合し、酸素濃度を高めたガスを用いることもできる。原料ガスの組成としては、プロピレン、イソブテン又は3級ブタノールに対するアンモニアと酸素のモル比は(プロピレン、イソブテン又は3級ブタノール)/アンモニア/酸素=1/0.8〜1.4/1.4〜2.4、好ましくは1/0.9〜1.3/1.6〜2.2の範囲である。反応温度は350〜550℃、好ましくは400〜500℃の範囲である。反応圧力は常圧〜0.3MPaの範囲で行うことができる。原料ガスと触媒の接触時間は0.5〜20(sec・g/cc)、好ましくは1〜10(sec・g/cc)である。
なお、本実施形態において接触時間は次式で定義される。
接触時間(sec・g/cc)=(W/F)×273/(273+T)×P/0.10
式中、Wは触媒の量(g)、Fは標準状態(0℃、1atm)での原料ガス流量(Ncc/sec)、Tは反応温度(℃)、Pは反応圧力(MPa)を示す。
【実施例】
【0033】
以下に実施例を示して、本実施形態をより詳細に説明するが、本実施形態は以下に記載の実施例によって制限されるものではない。
触媒のXRD分析は下記条件で実施した。
(測定条件)検出器:半導体検出器、管球:Cu、管電圧:40kV、管電流:40mA、発散スリット:0.3°、ステップ幅:0.02°/step、計測時間:3sec
触媒製造後の反応に供する前の触媒粒子を、粉砕せずにそのまま測定した。触媒を粉砕した場合、衝撃によりα型の2価の金属モリブデート結晶相がβ型へ転移し、本来の回折パターンが得られない。
2θ=26.6±0.2°のピークの半値幅は、回折パターンにおける2θでの12°付近及び36°付近のピークの存在しない点を結んだ線をベースラインとして、2θ=26.6±0.2°付近のピークトップから垂線を引きベースラインと交わる線分の長さを2θ=26.6±0.2°付近のピークのピーク強度Aとし、前記、線分を二等分した点において水平線を引き、回折パターンとの交点の長さを半値幅として2θで表した。同様に2θ=23.0±0.2°のピークトップから垂線を引き、前記ベースラインと交わる線分の長さを2θ=23.0±0.2°のピークのピーク強度Bとして、強度比B/Aを求めた。
【0034】
水性スラリー中のモリブデン、ビスマス、ニッケル、鉄の固相比率は以下の方法で測定した。
水性スラリー中の固相におけるモリブデン、ビスマス、ニッケル、鉄の定量
水性スラリー(A)gを10,000回転、15分の条件にて遠心分離器にかけ、上澄み液と沈殿物とに分離し、その上澄み液を1μmのフィルターでろ過した。得られた遠心分離後の沈降物及びろ過したろ過残渣を、乾燥機で100℃、18時間乾燥した。得られた乾燥物の質量は(B)gであり、ろ過により得られたろ液の質量は(C)gであった。
このろ液中に含まれるモリブデン、ビスマス、ニッケル、鉄についてICP発光分析装置で分析したところ、ろ液に含まれるモリブデン、ビスマス、ニッケル、鉄の量はそれぞれ(D)g、(E)g、(F)g、(G)gであった。
遠心分離の沈降物とろ過残渣は乾燥後、300℃で3時間焼成した。得られた固形物は36質量%塩酸5g、57質量%ヨウ化水素酸10g及び47質量%フッ化水素酸2.5gで混合した液と同じ組成の液に完全に溶解させ、ICP発光分析装置で分析したところ、モリブデン、ビスマス、ニッケル、鉄の量はそれぞれ(H)g、(I)g、(J)g、(K)gであった。
以上の結果からスラリー中のモリブデン、ビスマス、ニッケル及び鉄の固相に存在する割合を以下のように算出した。
モリブデンの固相比率(モル%)=[H−D×(A−B−C)/C]/(H+D)×100
ビスマスの固相比率(モル%)=[I−E×(A−B−C)/C]/(I+E)×100
ニッケルの固相比率(モル%)=[J−F×(A−B−C)/C]/(J+F)×100
鉄の固相比率(モル%)=[K−G×(A−B−C)/C]/(K+G)×100
【0035】
シリカの一次粒子径は以下のとおりに測定した。
BET法、即ちBET吸着等温式(Brunauer-Emmett-Telleradsorption isotherm)によりシリカ一次粒子の平均直径を求めた。具体的には、まず、100〜200℃の温度でシリカゾルの分散媒である水を蒸発させ、紛体とした後に、液体窒素温度で窒素を飽和吸着させ、室温に戻した時の窒素の脱離量により、紛体の比表面積S(m2/g)を算出した。
そして、シリカの一次粒子を全て同一直径D(nm)の球体と仮定し、シリカゾル中のシリカ粒子(アモルファスシリカ)の比重(ρ)を2.2とし、1g当たりのシリカ一次粒子の個数をnとして、直径D(nm)を下記式により求めた。
1/ρ=4/3×π×(D×10-7/2)3×n
S=4×π×(D×10-9/2)2×n
従って、D=6000/(ρ×S)となり、これをシリカの一次粒子径とした。
【0036】
アンモ酸化反応は以下の条件で実施した。
原料混合ガスの組成は、プロピレンのアンモ酸化の場合は、
プロピレン/アンモニア/空気=1/1.25/8.0〜10.0(分子状酸素換算で1.6〜2.0)、
イソブテン又は3級ブタノールのアンモ酸化の場合は、
イソブテン又は3級ブタノール/アンモニア/空気=1/1.2/9.0〜10.5(分子状酸素換算で1.8〜2.1)
で行った。
【0037】
また、反応装置としては、内径25mmのパイレックス(登録商標)ガラス製流動床反応管を用い、反応圧力Pは0.15Mpa、充填触媒量Wは40〜50g、全供給ガス量Fは250〜450Ncc/sec(標準状態(0℃、1atmに換算))、反応温度Tは430℃で行った。
接触時間は次式で定義した。
接触時間(sec・g/cc)=(W/F)×273/(273+T)×P/0.10
式中、Wは触媒の量(g)、Fは標準状態(0℃、1atm)での原料ガス流量(Ncc/sec)、Tは反応温度(℃)、Pは反応圧力(MPa)を示す。
【0038】
なお、実施例及び比較例で示す転化率、選択率及び収率は次式により算出した。
転化率(%)=(反応したプロピレン、イソブテン又は3級ブタノールのモル数)/(供給したプロピレン、イソブテン又は3級ブタノールのモル数)×100
CO2選択率(%)=((生成したCO2のモル数)/3)/(反応したプロピレン、イソブテン又は3級ブタノールのモル数)
CO選択率(%)=((生成したCOのモル数)/3)/(反応したプロピレン、イソブテン又は3級ブタノールのモル数)
アクリロニトリル(AN)又はメタクロニトリル収率(%)=(生成したアクリロニトリル又はメタクロニトリルのモル数)/(供給したプロピレン、イソブテン又は3級ブタノールのモル数)×100
【0039】
[実施例1]
(水性スラリーの調製及び元素の固相存在比率の定量)
触媒組成がMo12Bi0.2Ce0.4Fe2.0Ni5.6Mg2.20.08Cs0.03であり、触媒全体に対するシリカの割合が50質量%である触媒を製造するためのスラリーを以下の手順で調製した。
なお、上記触媒組成については、各元素の仕込みの組成を触媒組成とみなした。
ヘプタモリブデン酸アンモニウム[(NH46Mo724・4H2O]379.2gを40℃に加温した水763.8gに溶解し、SiO2換算で30質量%のシリカを含み、15nmの一次粒子径を持つシリカゾル水溶液1500gと混合し撹拌した。撹拌継続10分後、硝酸ビスマス[Bi(NO33・5H2O]17.4g、硝酸セリウム[Ce(NO33・6H2O]31.1g、硝酸鉄[Fe(NO33・9H2O]144.6g、硝酸ニッケル[Ni(NO33・6H2O]291.5g、硝酸マグネシウム[Mg(NO33・6H2O]100.9g、硝酸カリウム[KNO3]1.45g及び硝酸セシウム[CsNO3]1.05gを16.6質量%の硝酸321.9gに溶解した水溶液を添加した。この時、スラリーの金属硝酸塩から持ち込まれた硝酸成分以外の余剰硝酸濃度は1.5質量%であった。次に120rpmの回転数で5分間撹拌を継続後、撹拌容器を循環式冷却器により冷却し、スラリーを5℃に保ち1時間撹拌を継続した。
得られたスラリーについて直ちに前記方法によりモリブデン、ビスマス、ニッケル、鉄について固相に存在する割合を定量したところ、スラリー中の全モリブデンの内、固相に存在するモリブデンの割合は94モル%であり、スラリー中の全ビスマスの内、固相に存在するビスマスの割合は98モル%であり、スラリー中の全鉄の内、固相に存在する鉄の割合は92%であり、スラリー中の全ニッケルの内、固相に存在するニッケルの割合は7モル%であった。
【0040】
(触媒の製造及びXRD分析、反応の評価)
上記で調製したスラリーを、回転円盤式の噴霧乾燥器を用いて乾燥した。この時の乾燥機の導入口の温度は280℃であり、出口の温度は140℃となるように温度を保った。得られた乾燥体は、400℃、1時間の条件で前段焼成した後、600℃で2時間焼成を行い、触媒を得た。
得られた触媒のXRD分析を上記記載の方法により行った結果、2θ=26.6±0.2°付近のピークの半値幅は0.23°であり、ピーク強度の比B/Aは、0.15であった。
得られた触媒50gを用いて、接触時間5.0secにおいてプロピレンのアンモ酸化反応を実施したところ、反応開始から24時間後の転化率は99.3%であり、アクリロニトリルの収率は81.5%であった。なおこの時のCO2選択率は6.0%、COの選択率は3.2%であった。
【0041】
[実施例2]
(水性スラリーの調製及び元素の固相存在比率の定量)
触媒組成がMo12Bi0.34Ce1.01Fe2.2Ni4.1Mg2.50.06Rb0.05であり、触媒全体に対するシリカの割合が50質量%である触媒を製造するためのスラリーを以下の手順で調製した。
ヘプタモリブデン酸アンモニウム[(NH46Mo724・4H2O]372.1gを40℃に加温した水749.4gに溶解し、SiO2換算で30質量%のシリカを含み、15nmの一次粒子径を持つシリカゾル水溶液1500gと混合し撹拌した。撹拌継続10分後、硝酸ビスマス[Bi(NO33・5H2O]29.0g、硝酸セリウム[Ce(NO33・6H2O]77.0g、硝酸鉄[Fe(NO33・9H2O]156.1g、硝酸ニッケル[Ni(NO33・6H2O]209.4g、硝酸マグネシウム[Mg(NO33・6H2O]112.5g、硝酸カリウム[KNO3]1.07g及び硝酸ルビジウム[RbNO3]1.30gを16.6質量%の硝酸319.6gに溶解した水溶液を添加した。この時、スラリーの金属硝酸塩から持ち込まれた硝酸成分以外の余剰硝酸濃度は1.5質量%であった。次に120rpmの回転数で5分間撹拌を継続後、撹拌容器を循環式冷却器により冷却し、スラリーを3℃に保ち2時間撹拌を継続した。
得られたスラリーについて直ちに前記方法によりモリブデン、ビスマス、ニッケル、鉄について固相に存在する割合を定量したところ、スラリー中の全モリブデンの内、固相に存在するモリブデンの割合は93モル%であり、スラリー中の全ビスマスの内、固相に存在するビスマスの割合は97モル%であり、スラリー中の全鉄の内、固相に存在する鉄の割合は96%であり、スラリー中の全ニッケルの内、固相に存在するニッケルの割合は9モル%であった。
【0042】
(触媒の製造及びXRD分析、反応の評価)
上記で調製したスラリーを用いて、実施例1と同様の方法で乾燥及び前段焼成を実施した後、610℃で2時間焼成を行い、触媒を得た。XRD分析を前記記載の方法により行った結果、2θ=26.6±0.2°付近のピークの半値幅は0.24°であり、ピーク強度の比B/Aは0.16であった。
得られた触媒50gを用いて、接触時間4.5secにおいてプロピレンのアンモ酸化反応を実施したところ、反応開始から24時間後の転化率は99.6%であり、アクリロニトリルの収率は83.2%であった。なおこの時のCO2選択率は4.7%、COの選択率は2.5%であった。
【0043】
[実施例3]
(水性スラリーの調製及び元素の固相存在比率の定量)
触媒組成がMo12Bi0.45Ce0.90Fe1.8Ni5.0Mg2.0Rb0.15であり、触媒全体に対するシリカの割合が50質量%である触媒を製造するためのスラリーを以下の手順で調製した。
ヘプタモリブデン酸アンモニウム[(NH46Mo724・4H2O]367.9gを40℃に加温した水740.9gに溶解し、SiO2換算で30質量%のシリカを含み、15nmの一次粒子径を持つシリカゾル水溶液1500gと混合し撹拌した。撹拌継続10分後、硝酸ビスマス[Bi(NO33・5H2O]37.9g、硝酸セリウム[Ce(NO33・6H2O]67.9g、硝酸鉄[Fe(NO33・9H2O]126.3g、硝酸ニッケル[Ni(NO33・6H2O]252.5g、硝酸マグネシウム[Mg(NO33・6H2O]89.0g及び硝酸ルビジウム[RbNO3]3.84gを16.6質量%の硝酸317.5gに溶解した水溶液を添加した。この時、スラリーの金属硝酸塩から持ち込まれた硝酸成分以外の余剰硝酸濃度は1.5質量%であった。次に120rpmの回転数で5分間撹拌を継続後、撹拌容器を循環式冷却器により冷却しスラリーを5℃に保ち、1時間撹拌を継続した。
得られたスラリーについて、直ちに前記方法によりモリブデン、ビスマス、ニッケル、鉄について固相に存在する割合を定量したところ、スラリー中の全モリブデンの内、固相に存在するモリブデンの割合は92モル%であり、スラリー中の全ビスマスの内、固相に存在するビスマスの割合は99モル%であり、スラリー中の全鉄の内、固相に存在する鉄の割合は95%であり、スラリー中の全ニッケルの内、固相に存在するニッケルの割合は8モル%であった。
【0044】
(触媒の製造及びXRD分析、反応の評価)
上記で調製したスラリーを用いて、実施例1と同様の方法で乾燥、前段焼成を実施した後、600℃で2時間焼成を行い、触媒を得た。XRD分析を前記記載の方法により行った結果、2θ=26.6±0.2°付近のピークの半値幅は0.22°であり、ピーク強度の比B/Aは0.15であった。
得られた触媒50gを用いて、接触時間3.8secにおいてプロピレンのアンモ酸化反応を実施したところ、反応開始から24時間後の転化率は99.5%であり、アクリロニトリルの収率は82.4%であった。なおこの時のCO2選択率は5.0%、COの選択率は2.9%であった。
【0045】
[比較例1]
(水性スラリーの調製及び元素の固相存在比率の定量)
ヘプタモリブデン酸アンモニウムを溶解する水の温度を60℃とし、シリカゾル水溶液を添加して撹拌する際、及び各金属を溶解した硝酸液を添加するまでは液温を60℃に保ち、すべての液を混合した後は液温を65℃に保持しながら4時間撹拌を継続したこと以外は、実施例1と同じ手順により水性スラリーを調製した。
得られたスラリーについて直ちに前記方法によりモリブデン、ビスマス、ニッケル、鉄について固相に存在する割合を定量したところ、スラリー中の全モリブデンの内、固相に存在するモリブデンの割合は72モル%であり、スラリー中の全ビスマスの内、固相に存在するビスマスの割合は94モル%であり、スラリー中の全鉄の内、固相に存在する鉄の割合は43%であり、スラリー中の全ニッケルの内、固相に存在するニッケルの割合は4モル%であった。
【0046】
(触媒の製造及びXRD分析、反応の評価)
上記で調製したスラリーを用いて、実施例1と同様の方法で乾燥、前段焼成を実施した後、600℃で2時間焼成を行い、触媒を得た。XRD分析を前記記載の方法により行った結果、2θ=26.6±0.2°付近のピークの半値幅は0.33°であり、ピーク強度の比B/Aは0.12であった。
得られた触媒50gを用いて、接触時間4.2secにおいてプロピレンのアンモ酸化反応を実施したところ、反応開始から24時間後の転化率は99.5%であり、アクリロニトリルの収率は78.3%であった。なおこの時のCO2選択率は8.2%、COの選択率は4.5%であった。
【0047】
[比較例2]
(水性スラリーの調製及び元素の固相存在比率の定量)
スラリーの金属硝酸塩から持ち込まれた硝酸成分以外の余剰硝酸濃度を3.0質量%とし、すべての液を混合した後の撹拌時間を8時間撹拌としたこと以外は実施例1と同じ手順により水性スラリーを調製した。
得られたスラリーについて、直ちに前記方法によりモリブデン、ビスマス、ニッケル、鉄について固相に存在する割合を定量したところ、スラリー中の全モリブデンの内、固相に存在するモリブデンの割合は82モル%であり、スラリー中の全ビスマスの内、固相に存在するビスマスの割合は85モル%であり、スラリー中の全鉄の内、固相に存在する鉄の割合は78%であり、スラリー中の全ニッケルの内、固相に存在するニッケルの割合は5モル%であった。
【0048】
(触媒の製造及びXRD分析、反応の評価)
上記で調製したスラリーを用いて、実施例1と同様の方法で乾燥、前段焼成を実施した後、600℃で2時間焼成を行い、触媒を得た。XRD分析を前記記載の方法により行った結果、2θ=26.6±0.2°付近のピークの半値幅は0.33°であり、ピーク強度の比B/Aは0.11であった。
得られた触媒50gを用いて、接触時間4.4secにおいてプロピレンのアンモ酸化反応を実施したところ、反応開始から24時間後の転化率は99.6%であり、アクリロニトリルの収率は80.2%であった。なおこの時のCO2選択率は7.3%、COの選択率は4.8%であった。
【0049】
[実施例4]
(水性スラリーの調製及び元素の固相存在比率の定量)
触媒組成がMo12Bi0.45Ce0.90Fe1.8Ni5.0Mg2.0Rb0.15であり、触媒全体に対するシリカの割合が50質量%である触媒を製造するためのスラリーを以下の手順で調製した。
ヘプタモリブデン酸アンモニウム[(NH46Mo724・4H2O]367.9gを40℃に加温した水740.9gに溶解し、SiO2換算で30質量%のシリカを含み、15nmの一次粒子径を持つシリカゾルと43nmの一次粒子径を持つシリカゾルをSiO2換算比率で1:1になるように混合した水溶液1500gを混合し撹拌した。撹拌継続10分後、硝酸ビスマス[Bi(NO33・5H2O]37.9g、硝酸セリウム[Ce(NO33・6H2O]67.9g、硝酸鉄[Fe(NO33・9H2O]126.3g、硝酸ニッケル[Ni(NO33・6H2O]252.5g、硝酸マグネシウム[Mg(NO33・6H2O]89.0g及び硝酸ルビジウム[RbNO3]3.84gを16.6質量%の硝酸317.5gに溶解した水溶液を添加した。この時、スラリーの金属硝酸塩から持ち込まれた硝酸成分以外の余剰硝酸濃度は1.5質量%であった。次に120rpmの回転数で5分間撹拌を継続後、撹拌容器を循環式冷却器により冷却し、スラリーを5℃に保ち1時間撹拌を継続した。
得られたスラリーについて、直ちに前記方法によりモリブデン、ビスマス、ニッケル、鉄について固相に存在する割合を定量したところ、スラリー中の全モリブデンの内、固相に存在するモリブデンの割合は93モル%であり、スラリー中の全ビスマスの内、固相に存在するビスマスの割合は99モル%であり、スラリー中の全鉄の内、固相に存在する鉄の割合は97%であり、スラリー中の全ニッケルの内、固相に存在するニッケルの割合は7モル%であった。
【0050】
(触媒の製造及びXRD分析、反応の評価)
上記で調製したスラリーを用いて、実施例1と同様の方法で乾燥、前段焼成を実施した後、580℃で2時間焼成を行い、触媒を得た。XRD分析を前記記載の方法により行った結果、2θ=26.6±0.2°付近のピークの半値幅は0.22°であり、ピーク強度の比B/Aは、0.19であった。
得られた触媒50gを用いて、接触時間4.4secにおいてプロピレンのアンモ酸化反応を実施したところ、反応開始から24時間後の転化率は99.5%であり、アクリロニトリルの収率は84.5%であった。なおこの時のCO2選択率は4.5%、COの選択率は2.1%であった。
【0051】
[比較例3]
(水性スラリーの調製及び元素の固相存在比率の定量)
ヘプタモリブデン酸アンモニウムを溶解する水の温度を60℃とし、シリカゾル水溶液を添加して撹拌する際、及び各金属を溶解した硝酸液を添加するまでは液温を60℃に保ち、すべての液を混合した後は液温を65℃に保持しながら4時間撹拌を継続したこと以外は、実施例4と同一の手順で水性スラリー調製をした。
得られたスラリーについて直ちに前記方法によりモリブデン、ビスマス、ニッケル、鉄について固相に存在する割合を定量したところ、スラリー中の全モリブデンの内、固相に存在するモリブデンの割合は85モル%であり、スラリー中の全ビスマスの内、固相に存在するビスマスの割合は82モル%であり、スラリー中の全鉄の内、固相に存在する鉄の割合は75%であり、スラリー中の全ニッケルの内、固相に存在するニッケルの割合は6モル%であった。
【0052】
(触媒の製造及びXRD分析、反応の評価)
上記で調製したスラリーを用いて、実施例1と同様の方法で乾燥、前段焼成を実施し、580℃で2時間焼成を行い、触媒を得た。XRD分析を前記記載の方法により行った結果、2θ=26.6±0.2°付近のピークの半値幅は0.28°であり、ピーク強度の比B/Aは0.14であった。
得られた触媒50gを用いて、接触時間4.2secにおいてプロピレンのアンモ酸化反応を実施したところ、反応開始から24時間後の転化率は99.5%であり、アクリロニトリルの収率は80.5%であった。なおこの時のCO2選択率は5.5%、COの選択率は3.1%であった。
【0053】
[実施例5]
(水性スラリーの調製及び元素の固相存在比率の定量)
触媒組成がMo12Bi0.34Ce1.01Fe2.2Ni4.1Mg2.50.3であり、触媒全体に対するシリカの割合が50質量%である触媒を製造するためのスラリーを以下の手順で調製した。
ヘプタモリブデン酸アンモニウム[(NH46Mo724・4H2O]371.1gを40℃に加温した水747.5gに溶解し、SiO2換算で30質量%のシリカを含み、15nmの一次粒子径を持つシリカゾル水溶液を1500gと混合し撹拌した。撹拌継続10分後、硝酸ビスマス[Bi(NO33・5H2O]28.9g、硝酸セリウム[Ce(NO33・6H2O]76.8g、硝酸鉄[Fe(NO33・9H2O]155.7g、硝酸ニッケル[Ni(NO33・6H2O]208.9g、硝酸マグネシウム[Mg(NO33・6H2O]112.2g及び硝酸カリウム[KNO3]5.31gを16.6質量%の硝酸319.5gに溶解した水溶液を添加した。この時、スラリーの金属硝酸塩から持ち込まれた硝酸成分以外の余剰硝酸濃度は1.5質量%であった。次に120rpmの回転数で5分間撹拌を継続後、撹拌容器を循環式冷却器により冷却してスラリーを5℃に保ち、1時間撹拌を継続した。
得られたスラリーについて直ちに前記方法によりモリブデン、ビスマス、ニッケル、鉄について固相に存在する割合を定量したところ、スラリー中の全モリブデンの内、固相に存在するモリブデンの割合は88モル%であり、スラリー中の全ビスマスの内、固相に存在するビスマスの割合は95モル%であり、スラリー中の全鉄の内、固相に存在する鉄の割合は88%であり、スラリー中の全ニッケルの内、固相に存在するニッケルの割合は8モル%であった。
【0054】
(触媒の製造及びXRD分析、反応の評価)
上記で調製したスラリーを用いて、実施例1と同様の方法で乾燥、前段焼成を実施した後、615℃で2時間焼成を行い、触媒を得た。XRD分析を前記記載の方法により行った結果、2θ=26.6±0.2°付近のピークの半値幅は0.24°であり、ピーク強度の比B/Aは0.17であった。
得られた触媒50gを用いて、接触時間4.5secにおいてプロピレンのアンモ酸化反応を実施したところ、反応開始から24時間後の転化率は99.6%であり、アクリロニトリルの収率は73.0%であった。なおこの時のCO2選択率は6.2%、COの選択率は3.5%であった。
【0055】
[比較例4]
(水性スラリーの調製及び元素の固相存在比率の定量)
水性スラリーの調製において、ヘプタモリブデン酸アンモニウムを溶解する水の温度を60℃とし、シリカゾル水溶液を添加して撹拌する際、及び各金属を溶解した硝酸液を添加するまでは液温を60℃に保ち、すべての液を混合した後は液温を65℃に保持しながら4時間撹拌を継続したこと以外は実施例5と同一の手順によりスラリーを調製した。
得られたスラリーについて、直ちに前記方法によりモリブデン、ビスマス、ニッケル、鉄について固相に存在する割合を定量したところ、スラリー中の全モリブデンの内、固相に存在するモリブデンの割合は83モル%であり、スラリー中の全ビスマスの内、固相に存在するビスマスの割合は92モル%であり、スラリー中の全鉄の内、固相に存在する鉄の割合は49%であり、スラリー中の全ニッケルの内、固相に存在するニッケルの割合は4モル%であった。
【0056】
(触媒の製造及びXRD分析、反応の評価)
上記で調製したスラリーを用いて、実施例1と同様の方法で乾燥、前段焼成を実施した後、580℃で2時間焼成を行い、触媒を得た。XRD分析を前記記載の方法により行った結果、2θ=26.6±0.2°付近のピークの半値幅は0.31°であり、ピーク強度の比B/Aは0.12であった。
得られた触媒50gを用いて、接触時間4.8secにおいてプロピレンのアンモ酸化反応を実施したところ、反応開始から24時間後の転化率は99.5%であり、アクリロニトリルの収率は70.3%であった。なおこの時のCO2選択率は6.8%、COの選択率は4.1%であった。
【0057】
【表1】
【0058】
【表2】
【産業上の利用可能性】
【0059】
本発明の触媒により、プロピレン、イソブテン又は3級ブタノールのアンモ酸化反応におけるアクリロニトリル又はメタクロニトリルの製造に際して、高い収率でアクリロニトリル又はメタクロニトリルを得る分野で好適に利用できる。
図1