【実施例1】
【0015】
図1〜
図2に、本発明の洗浄装置の一実施例を示す。
この洗浄装置は、土砂及び塩分を含んだ瓦礫の洗浄装置であって、周面30をスクリーンで構成し、一端側31の開口を瓦礫投入口3Aとし、他端側32の開口を瓦礫排出口3Bとした筒状の回転筒体3を、回転駆動手段35によって回転可能に、かつ、回転筒体3の一端側31から他端側32に向けて下り傾斜となるように設置し、回転筒体3の他端側32の内部に洗浄水供給源Pから供給される洗浄水を供給する第1洗浄水供給手段33と、回転筒体の他端側の下方に回転筒体3から排出された洗浄水を回収する第1排水槽T1と、回転筒体の一端側の内部に第1排水槽T1から供給される洗浄水を供給する第2洗浄水供給手段34と、回転筒体3の一端側31の下方に回転筒体3から排出された洗浄水を回収する第2排水槽T2とを配設し、回転筒体3の瓦礫投入口3Aの位置にベルトフィーダ20からなる瓦礫投入手段2を設置するようにしている。
【0016】
周面30を構成するスクリーンは、回転筒体3内に供給される洗浄水を、一端側31及び他端側32の下方に配設される第1排水槽T1及び第2排水槽T2に排出することができるように構成するものであれば、特に限定されるものではないが、本実施例においては、
図1〜
図2に示すように、回転筒体3の軸方向に角鋼Bを配設してなるバースクリーンSで構成するようにしている。
なお、バースクリーンSの外側には金網等の網材を付設してもよく、また、角鋼Bに代えて、丸鋼等の棒鋼を用いてバースクリーンSを構成したり、回転筒体3の周面30を構成するバースクリーンSに代えて、金網やパンチングメタル等の表面に多数の穿孔を有する板材を巻回したスクリーンを用いることもできる。
【0017】
ここで、回転筒体3の周面30を、回転筒体3の軸方向に角鋼Bを配設してなるバースクリーンSで構成することにより、角鋼Bと平行に投入される瓦礫Wは、角鋼Bに引っかかることなくスムーズに投入されるとともに、投入後は角鋼Bとの接触抵抗によって回転筒体3内で自転し、洗浄水によって瓦礫Wの全面が確実に洗浄される。
【0018】
回転筒体3を回転駆動させる回転駆動手段35は、
図1〜
図2に示すように、モータ35Aをインバータ制御にて使用し、回転筒体3の下方を受けローラ35B、側面をスラストローラ35Cで保持するようにしている。
また、回転筒体3は、投入される瓦礫Wを自転させつつ、瓦礫排出口3B側に移動させるために、一端側31から他端側32に向けて5〜10°の下り傾斜となるように設置している。
【0019】
瓦礫投入手段2は、所定長さ(特に限定されるものではないが、本実施例においては、2〜4m)に切断した瓦礫Wを投入する上方を開放したホッパHの下方に配設され、本実施例においては、ベルトフィーダ20を使用するようにしている。
なお、ベルトフィーダ20は、瓦礫投入口3A側に向かって上り傾斜となるように1〜5°の傾斜角をもって配設することが好ましい。
また、瓦礫投入手段2はベルトフィーダ20に限られるものではなく、例えば、ホッパHの下方で整列した瓦礫Wの端部を押圧するシリンダによって、回転筒体3の瓦礫投入口3Aに瓦礫Wを押し込むようにして投入することもできる。
【0020】
また、瓦礫Wは、瓦礫投入口3Aの位置に配置されるベルトフィーダ20からなる瓦礫投入手段2によって、回転筒体3の回転数R(rpm)と、瓦礫投入手段2による瓦礫投入速度V(m/min)と、瓦礫Wの最大長さL(m)とが、(R×360°)×(0.5L/V)<90°の関係となるように設定して投入するようにしている。
これにより、回転筒体3に投入中の瓦礫Wがスクリーンの内周面に接触してから投入され終わるまで(瓦礫Wの後端がスクリーンの内周面に接触するまで)の間に、回転筒体3が回転する角度が90°未満(90°を越えると、スクリーンに先に接触した瓦礫Wの先端側が、回転筒体3内で下方に向かって落下することとなり、前後に回転筒体3内に投入される瓦礫Wと交錯することとなる。)となり、回転筒体3に投入中の瓦礫W同士が回転筒体3内で交錯し合うことを防止し、瓦礫Wを回転筒体3内に円滑に投入することができる。
本実施例(特に限定されるものではないが、R=10rpm、L=2m、V=60m/min)においては、2〜4mの大きさに切断した瓦礫Wを、瓦礫投入速度Vを60〜90m/minとして、回転数Rが10〜15rpmで回転する回転筒体3内に投入するようにしており、投入される瓦礫Wの先端がスクリーンの内周面に接触してから瓦礫Wの後端が投入され終わるまでの間に回転筒体3は約60°回転するように設定されている。
【0021】
第1洗浄水供給手段33及び第2洗浄水供給手段34は、回転筒体3の内部の上方位置に回転筒体3の内周面と干渉しないように配設される。
そして、第1洗浄水供給手段33及び第2洗浄水供給手段34は、洗浄水の供給源と給水管を介して接続される供給管33A、34Aにスプレーノズル33B、34Bを複数配備し、洗浄水を回転筒体3内に噴射するようにして供給する。
スプレーノズル33B、34Bは、
図1〜
図2に示すように、長手方向の複数箇所(本実施例においては約30箇所)に、噴射方向の角度を変えて(回転筒体3の回転方向の上流側から、角度θ1(鉛直方向に対する角度):約−10°、角度θ2(θ1に対する角度):30〜45°、角度θ3(θ2に対する角度):30〜45°)順に千鳥状に配設し、瓦礫Wを確実に洗浄することができるようにしている。
瓦礫Wを洗浄した洗浄水は、洗浄排水として、一端側31及び他端側32の下方に配設される第1排水槽T1及び第2排水槽T2に回収される。
洗浄水の供給源は、第1洗浄水供給手段33に対しては、洗浄水供給源Pを、第2洗浄水供給手段34に対しては、第1洗浄水供給手段33から供給された洗浄水が回収される第1排水槽のものを使用するようにしている。
このため、スプレーノズル34Bには、目詰まりを起こしにくい口径の大きなノズルを使用する。
このように、洗浄水供給源Pの洗浄水(清浄な洗浄水)を瓦礫排出口3Bの近傍で使用することで仕上げ洗浄がなされるとともに、瓦礫投入口3Aの近傍では、清浄な洗浄水を回収する第1排水槽T1から供給される再使用水で初期洗浄することができ、洗浄水を有効に活用することができる。
第2排水槽T2に貯まった洗浄排水は、排水ポンプによって排水処理工程に送水され、排水基準以下まで処理した後に放流する。
【0022】
この場合、洗浄水供給源Pから供給される洗浄水の供給量は、処理する瓦礫Wの性状(土砂や塩分の付着量)に応じて調整、設定するようにするが、通常、投入される瓦礫Wに対して、重量比(洗浄水量/瓦礫重量)で、0.5〜5倍程度、好ましくは、1〜2倍に設定して瓦礫Wの洗浄を行うようにする。
洗浄水の供給量は、洗浄後の廃液処理の観点からも可能な限り少量で行うことが望まれるが、この洗浄装置1は、投入される瓦礫Wを軸方向に配設した角鋼BからなるバースクリーンSによって回転筒体3内で自転させながら洗浄するようにしたから、効果的に瓦礫Wの全面を洗浄することを可能にしており、少量の洗浄水であっても十分な洗浄を行うことができる。
【0023】
この洗浄装置1を用いて洗浄した瓦礫の洗浄前後の塩素濃度を表1に示す。
ここで、表1(a)は廃木材を洗浄したときの洗浄前後の塩素濃度を、表1(b)は廃プラスチック類を洗浄したときの洗浄前後の塩素濃度を示す。
【0024】
【表1】
【0025】
表1(a)に示すように、瓦礫Wのうち廃木材を洗浄した場合では、洗浄前7933mg/kgの塩素濃度が、洗浄水の供給量が重量比1.00(ケース3)の洗浄水量で923mg/kgに、洗浄水の供給量が重量比1.20(ケース4)の洗浄水量で787mg/kgに、洗浄水の供給量が重量比2.00(ケース5)の洗浄水量で塩素濃度が590mg/kgになるまで洗浄することができた。ちなみに、塩素濃度に関し、再利用可能な品質基準は、約1000mg/kgとされている。
また、表1(b)に示すように、瓦礫Wのうち廃プラスチック類を洗浄した場合では、洗浄前5633mg/kgの塩素濃度が、洗浄水の供給量が重量比1.12(ケース3)の洗浄水量で2833mg/kgに、洗浄水の供給量が重量比1.83(ケース4)の洗浄水量で2433mg/kgになるまで洗浄することができた。
【0026】
次に、この洗浄装置1を使って、瓦礫Wを洗浄する手順を説明する。
まず、瓦礫Wを所定長さ(2〜4m)になるように、切断機(カッター付油圧ショベル等)で切断する。
このとき、瓦礫Wをチップ化するまで切断する必要はない。瓦礫Wをチップ化した後に洗浄すると、表面積が大きくなり、洗浄水量が多く必要となるからである。
そして、切断した瓦礫WをホッパHに投入し、瓦礫投入速度(ベルト速度)を60〜90m/minで運転するベルトフィーダ20からなる瓦礫投入手段2のベルト面上に落とし、瓦礫Wを、回転筒体3の一端側31の開口である瓦礫投入口3Aから回転筒体3内に投入する。
このとき、例えば、回転筒体3の回転数Rを10〜15rpmとした場合、回転筒体3の回転数R(rpm)と、瓦礫投入手段2による瓦礫投入速度V(m/min)と、瓦礫Wの最大長さL(m)とが、(R×360°)×(0.5L/V)<90°の関係となるように設定して投入することにより、瓦礫W同士が回転筒体3内で交錯し合うことを防止し、瓦礫Wは円滑に投入することができる。
【0027】
投入された瓦礫Wは、回転筒体3の周面を形成する角鋼BからなるバースクリーンSとの接触抵抗によって、回転筒体3内で自転し、瓦礫投入口3A側(回転筒体3の一端側31)で、第2洗浄水供給手段34のスプレーノズル34Bから噴射される、第1排水槽T1から供給される再使用水(洗浄水)によって全面が初期洗浄される。
そして、瓦礫Wは、5〜10°の下り傾斜となっている回転筒体3内で、自転しながら瓦礫排出口3B側(回転筒体3の他端側32)に向かって移動し、瓦礫排出口3B側で、第1洗浄水供給手段33のスプレーノズル33Bから噴射される、洗浄水供給源Pから供給される清浄な洗浄水によって全面が仕上げ洗浄され、表面に付着する土砂及び塩分が確実に除去され、瓦礫排出口3Bから排出される。
排出された瓦礫Wは、その後、乾燥させ、チップ化してボード材料やバイオマス燃料等に再利用される。
【0028】
以上、本発明の洗浄装置について、実施例に基づいて説明したが、本発明は上記実施例に記載した構成に限定されるものではなく、その趣旨を逸脱しない範囲において適宜その構成を変更することができるものである。