特許第5832895号(P5832895)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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特許5832895自動車の開閉パネルの自動的ロック解除装置
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】5832895
(24)【登録日】2015年11月6日
(45)【発行日】2015年12月16日
(54)【発明の名称】自動車の開閉パネルの自動的ロック解除装置
(51)【国際特許分類】
   E05B 49/00 20060101AFI20151126BHJP
   B60R 25/01 20130101ALI20151126BHJP
   B60J 5/00 20060101ALN20151126BHJP
【FI】
   E05B49/00 R
   B60R25/01
   E05B49/00 K
   !B60J5/00 N
【請求項の数】14
【全頁数】11
(21)【出願番号】特願2011-529532(P2011-529532)
(86)(22)【出願日】2009年9月29日
(65)【公表番号】特表2012-504716(P2012-504716A)
(43)【公表日】2012年2月23日
(86)【国際出願番号】EP2009062604
(87)【国際公開番号】WO2010037738
(87)【国際公開日】20100408
【審査請求日】2012年9月4日
(31)【優先権主張番号】0805456
(32)【優先日】2008年10月1日
(33)【優先権主張国】FR
(73)【特許権者】
【識別番号】506415218
【氏名又は名称】ヴァレオ セキュリテ アビタクル
(74)【代理人】
【識別番号】100060759
【弁理士】
【氏名又は名称】竹沢 荘一
(74)【代理人】
【識別番号】100087893
【弁理士】
【氏名又は名称】中馬 典嗣
(74)【代理人】
【識別番号】100086726
【弁理士】
【氏名又は名称】森 浩之
(72)【発明者】
【氏名】フレデリック グアン
【審査官】 佐藤 美紗子
(56)【参考文献】
【文献】 特開2008−138440(JP,A)
【文献】 特開2008−002095(JP,A)
【文献】 特開2005−307692(JP,A)
【文献】 特開2005−135271(JP,A)
【文献】 特開2008−143220(JP,A)
【文献】 特開2006−124943(JP,A)
【文献】 特開2002−047839(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
E05B 1/00−85/28
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
自動車(1)の開閉部材(3)を自動的にロック及び/又はロック解除する装置であって、前記自動車内に設置されるように構成される中央処理装置(5)と、携帯型識別部材(17)とを含む遠隔操作開閉システム(4)を備え、
前記中央処理装置(5)は、無線周波数を利用して、前記携帯型識別部材(17)の認証を行なうことができ、
前記装置は、更に前記開閉部材の前面の身体の一部の所定の動きを離れた場所から認識して、前記動きが行なわれた箇所の前面の少なくとも1つの前記開閉部材を、前記動きが登録者の動きであると認識される場合に、ロック及び/又はロック解除する遠隔操作光学認識手段(13)を備えており、
かつ前記中央処理装置(5)は、前記遠隔操作光学認識手段(13)を、前記携帯型識別部材(17)が自動車(1)の周りの所定の周囲領域(19)内に位置するときに作動させる作動手段(11)を含み、
身体の一部の所定の動きを離れた場所から認識する前記遠隔操作光学認識手段(13)はカメラを備え、それぞれの前記カメラは対応する前記開閉部材に取り付けられており、
前記中央処理装置(5)は画像処理コンピュータ(24)を備えることを特徴とする装置。
【請求項2】
前記作動手段(11)は、前記携帯型識別部材(17)の認証に応答して制御されることを特徴とする、請求項1に記載の自動車(1)における開閉部材(3)を自動的にロック及び/又はロック解除する装置。
【請求項3】
前記遠隔操作開閉システム(4)は、ハンズフリーアクセスシステム(4)であることを特徴とする、請求項1又は2に記載の自動車における開閉部材(3)を自動的にロック及び/又はロック解除する装置。
【請求項4】
前記中央処理装置(5)は、無線周波数信号を繰り返し発信して、前記携帯型識別部材(17)の存在を検出するように構成されることを特徴とする、請求項1〜3のいずれか1項に記載の自動車における開閉部材(3)を自動的にロック及び/又はロック解除する装置。
【請求項5】
前記無線周波数信号は、50〜500kHzの低周波数信号であることを特徴とする、請求項4に記載の自動車における開閉部材(3)を自動的にロック及び/又はロック解除する装置。
【請求項6】
前記無線周波数信号は、50〜500MHzの高周波数信号であることを特徴とする、請求項4に記載の自動車(1)における開閉部材(3)を自動的にロック及び/又はロック解除する装置。
【請求項7】
前記中央処理装置(5)は、前記自動車(1)と前記携帯型識別部材(17)との距離を推定する手段を含むことを特徴とする、請求項1〜6のいずれか1項に記載の自動車(1)における開閉部材(3)を、自動的にロック及び/又はロック解除する装置。
【請求項8】
前記自動車(1)と前記携帯型識別部材(17)との距離を推定する前記手段は、前記携帯型識別部材(17)から発信され、かつ前記中央処理装置(5)により受信される無線周波数信号の電力の推定値を利用することを特徴とする、請求項7に記載の自動車の開閉部材(3)を自動的にロック及び/又はロック解除する装置。
【請求項9】
前記自動車(1)と前記携帯型識別部材(17)との距離を推定する前記手段は、超音波トランスデューサを含み、前記携帯型識別部材(17)が前記自動車(1)の周りに検出されることにより作動することを特徴とする、請求項7に記載の自動車(1)の開閉部材(3)を自動的にロック及び/又はロック解除する装置。
【請求項10】
前記中央処理装置(5)の前記作動手段は、前記遠隔操作光学認識手段(13)を、前記携帯型識別部材(17)が一方において、前記自動車(1)の周りの所定の周囲領域(19)内に位置し、かつ他方において、前記自動車(1)に近付いているときに作動させるように構成されていることを特徴とする、請求項8又は9に記載の自動車(1)の開閉部材(3)を自動的にロック及び/又はロック解除する装置。
【請求項11】
前記中央処理装置(5)は、前記遠隔操作光学認識手段(13)の作動を、所定時間が経過した後に解除する作動解除手段を含むことを特徴とする、請求項1〜10のいずれか1項に記載の自動車の開閉部材(3)を、自動的にロック及び/又はロック解除する装置。
【請求項12】
前記中央処理装置(5)は、前記遠隔操作光学認識手段(13)の作動を、前記自動車(1)の開閉部材(3)をロック及び/又はロック解除してから所定時間が経過した後に解除する作動解除手段を含むことを特徴とする、請求項1〜11のいずれか1項に記載の自動車(1)の開閉部材(3)を自動的にロック及び/又はロック解除する装置。
【請求項13】
前記携帯型識別部材(17)は、再充電可能なバッテリを含むことを特徴とする、請求項1〜12のいずれか1項に記載の自動車(1)の開閉部材(3)を自動的にロック及び/又はロック解除する装置。
【請求項14】
前記携帯型識別部材(17)は、前記バッテリの充電レベルを測定する手段と、前記遠隔操作光学認識手段を作動させるために用いられる無線周波数信号の発信を、前記バッテリの充電レベルが所定のレベルを下回る場合に無効化する無効化手段とを含むことを特徴とする、請求項13に記載の自動車(1)の開閉部材(3)を自動的にロック及び/又はロック解除する装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、自動車の開閉部材を、自動的にロック解除する装置に関する。
【背景技術】
【0002】
本発明による装置は、例えば自動車のユーザが、キーまたはリモートコントロールを操作する必要なく、自動車の中に入ることができるようになっているハンズフリーアクセスシステムを備える自動車に適用することができる。
【0003】
多くのハンズフリーアクセスシステムが、現在、開発中であり、これらのハンズフリーアクセスシステムによって、自動車の開閉部材を、識別バッジを着用したユーザが、自動車の周囲の所定の周囲領域に近づくと直ぐに、確実にロック解除即ち解錠し、自動的に開くことができる。この場合、所定の周囲領域は、自動車を取り囲む外部スペース、例えば2.3mから、場合によっては約10m位の外部スペースから成っている。これらの所定の周囲領域の全てをカバーするために、多数のアンテナを、普通、自動車の周縁部の周りの種々の箇所に分布するように所定の位置に配置して、識別子の存在を検出する。このようなアンテナは、例えばバックミラー、ドアハンドル、及びドアピラーに配置されている。識別子がこの所定の周囲領域から離れているとき、システムは、確実に、自動車の開閉部材を自動的に閉塞する。
【0004】
接近センサをハンズフリーアクセスシステムに接続して、認証処理を、当該接近センサがユーザの存在を検出するときにのみ開始する。従って、認証処理が成功した場合、認識装置が自動車の1つ以上の開閉部材のロック解除を開始する。
【0005】
しかしながら、相互作用システムでは、開閉部材の不所望のロック解除の問題が生じる場合がある。単に、バッジ着用者が自動車の周囲に居るだけで、実際にドアをロック解除するために十分であるということであり、また、バッジと自動車の送信/受信ユニットとの間で信号授受することにより、ドアのロック解除を、ユーザがロック解除を希望することなく、またはユーザがロック解除に気付くことなく指令するという状況が発生する。
【0006】
そこで、システムが、自動車の開閉部材の全てをロック解除すると、悪意を持った人物が自動車に近づいて、例えば物品を自動車から盗む危険が生じる。
【0007】
トランスポンダ機能を利用して動作する第1世代のハンズフリーシステムは、本出願人の名前で出願された特許文献1に記載されている。
【0008】
特許文献1に記載されているシステムを使用して、所定の開閉部材を、手で直接触れることなくロック解除することができる。しかしながら、このシステムでは、ユーザがトランスポンダを手に持ち、このトランスポンダを、例えばトランクに設置されている受信アンテナの前面に提示して、トランクのロック解除を開始する必要がある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0009】
【特許文献1】ヨーロッパ特許公開第0770749号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
このように、かご等を両手で持っている場合には、手をトランスポンダアンテナに近づけるのは、非常に難しい。トランスポンダと受信アンテナとの間での信号授受が、短い距離で行なわれるとすると、これが必ずしも当てはまる訳ではないが、特にレンタル自動車の場合には、ユーザは、アンテナの位置をかなり正確に知る必要がある。
【0011】
従来最先端の自動ロック解除装置に関連するエネルギー消費量は、多くの場合、非常に大きく、そのため、自動車が、モータが停止して停車すると、自動車のバッテリが早期に放電してしまって、自動車が発進できない虞がある。
【課題を解決するための手段】
【0012】
従って、本発明の目的は、従来技術における上述の不具合を解決し、更には自動車の開閉部材を自動的にロック解除する装置を提供することにあり、この装置は、エネルギー需給を最適化し、高い安全レベルを維持して悪意を持った人物による操作を防止するとともに、能動型識別部材を自動車の明確に認めうる箇所に提示して、開閉部材のロック解除を開始する必要があるという問題を、包括的に解決することを可能にするものである。
【0013】
本発明の別の目的は、光学認識手段によるバッテリ消費量を、光学認識手段により起動条件を改善して抑制することにある。
【0014】
これらの目的のために、本発明は、ハンズフリーアクセスシステムタイプのシステムに関するだけではなく、携帯型識別部材から、自動車内に設けられている中央処理装置のようなコンピュータへの単方向無線周波数送信を利用するドア開閉装置にも関するものである。
【0015】
この目的のために、本発明は、自動車の少なくとも1つの開閉部材を自動的にロック及び/又はロック解除する装置であって、この装置は、自動車内に設置されるように構成されている中央処理装置と、携帯型識別部材とを含む遠隔操作開閉システムを備え、前記中央処理装置は、無線周波数を利用して、前記携帯型識別部材の認証を行なうことができ、かつ前記装置は、更に、身体の一部の所定の動きを離れた場所から認識して、前記動きが行なわれた箇所の前面にある少なくとも1つの開閉部材を、前記動きが登録者の動きであると認識される場合に、ロック及び/又はロック解除する遠隔操作光学認識手段を備えることを特徴としており、かつ前記中央処理装置は、無線周波数信号を繰り返し発信して、前記携帯型識別部材の存在を検出するように構成され、前記遠隔操作光学認識手段を、前記携帯型識別部材が自動車の周りの所定の周囲領域内に位置するときに作動させる作動手段を含むことを特徴とする。
【0016】
第1の実施形態によれば、前記作動手段は、前記携帯型識別部材の認証に応答して制御される。
【0017】
別の実施形態によれば、前記遠隔操作開閉システムは、ハンズフリーアクセスシステムである。
【0019】
別の実施形態によれば、前記無線周波数信号は、50〜500kHzの低周波数信号である。
【0020】
別の実施形態によれば、前記無線周波数信号は、50〜500MHzの高周波数信号である。
【0021】
別の実施形態によれば、前記中央処理装置は、前記自動車と携帯型識別部材との距離を推定する手段を含んでいる。
【0022】
別の実施形態によれば、前記自動車と携帯型識別部材との距離を推定する前記手段は、前記携帯型識別部材から発信され、かつ前記中央処理装置により受信される前記無線周波数信号の電力の見積もり値を利用している。
【0023】
別の実施形態によれば、自動車と携帯型識別部材との距離を推定する前記手段は、超音波トランスデューサを含み、かつ前記携帯型識別部材が、前記自動車の周りに検出されることにより作動する。
【0024】
別の実施形態によれば、前記中央処理装置の作動手段は、前記遠隔操作光学認識手段を、前記携帯型識別部材が、一方において、前記自動車の周りの所定の周囲領域内に位置し、かつ他方において、前記自動車に近付いているときに作動させるように構成されている。
【0025】
別の実施形態によれば、前記中央処理装置は、前記遠隔操作光学認識手段の作動を、所定時間が経過した後に解除する作動解除手段を含んでいる。
【0026】
別の実施形態によれば、前記中央処理装置は、前記遠隔操作光学認識手段の作動を、前記自動車の少なくとも1つの開閉部材を、ロック及び/又はロック解除してから、所定時間が経過した後に解除する作動解除手段を含んでいる。
【0027】
別の実施形態においては、前記携帯型識別部材は、再充電可能なバッテリを含んでいる。
【0028】
別の実施形態においては、前記携帯型識別部材は、前記バッテリの充電レベルを測定する手段と、前記遠隔操作光学認識手段を作動させるために用いられる無線周波数信号の発信を、前記バッテリの充電レベルが所定のレベルを下回る場合に無効化する無効化手段とを含んでいる。
【0029】
他の利点及び特徴は、本発明の非限定的な実施形態に関する説明を一読することにより、かつ添付の図面により明らかになると思う。
【図面の簡単な説明】
【0030】
図1】本発明の装置を備える自動車の平面図である。
図2】本発明の装置のブロック図である。
図3】ユーザが自動車のトランクを開けようとしている状態における図1の自動車の側面図である。
【発明を実施するための形態】
【0031】
次に、本発明の1つの実施形態について、図1図3を参照しながら説明する。これらの図の全てにおいて、同じ構成要素には同じ符号を付してある。
【0032】
図1は、自動車1の1つ以上の開閉部材3を、自動的にロックしたり、又はロック解除する本発明による装置2を備える自動車1を示している。
【0033】
「開閉部材」という用語は、自動車のヒンジ開閉方式またはスライド開閉式のサイドドア、及びトランクまたはテールゲートを含んでいる。
【0034】
本発明による装置2は、例えばハンズフリーアクセスシステムとすることができる遠隔操作開閉システム4を備え、前記開閉システムは、例えば自動車1の内部に設置されるように構成されている中央処理装置5を備え、この中央処理装置5は、例えば各ハンドル9に、または各ハンドル9内に設置される周辺装置7に接続されている。「ハンドル」という用語は、ドアハンドルだけでなく、テールゲートのハンドル、及びトランクのハンドルも含んでいる。
【0035】
周辺装置7は、例えばユーザ21の身体の一部の所定の動き、具体的には、足の動きの認識を可能にする、特に足の回転、または足の回転方向の認識を可能にするカメラ13のような遠隔操作光学認識手段と、自動車1のユーザ21が着用する携帯型識別部材17との遠隔通信を可能にする送信機/受信機15とを含んでいる。
【0036】
図示しない別の実施形態として、米国特許公開第2006/044800号に記載されているような赤外線センサを使用して、ユーザ21の動きを追跡したり、そして認識する構成であってもよい。
【0037】
送信機/受信機15は、これらのハンドルとは別箇所に、例えば自動車のルーフ、ピラーまたはバンパーに配置することもできる。
【0038】
カメラ13に関しては、これを、白黒カメラまたはカラーカメラとすることができる。これらのカメラは、中央処理装置5内に位置する作動手段11によって作動し、かつ光軸18が自動車1の横断面または後部面と直交しており、開閉部材に相対するときに、カメラが遮蔽物の影響を絶対に受けることがないように配置されているとよい。
【0039】
携帯型識別部材17は、例えばバッジの形状とされ、中央処理装置5に接続されている送信機/受信機15と無線通信して、携帯型識別部材17との無線周波数による遠隔通信を可能にする手段を備えている。選択する機器によって変わるが、この通信は、高周波数を、すなわち50〜500MHzを利用することにより行なうことができる。また低周波数を、すなわち50〜500kHzを利用することにより行なうこともできる。一般的に使用される値は、低周波の場合には125kHzであり、高周波の場合には、343または423MHzである。
【0040】
この通信は、具体的には、携帯型識別部材17を認証するために、すなわち、識別部材17が実際に自動車1に関連付けられていることを検証するために使用される。
【0041】
このような認証は、携帯型識別部材17が自動車1の周りの所定の周囲領域19内に検出されたときに開始される。
【0042】
周囲領域19の形状は、本実施形態では楕円形であるが、他の形状であってもよい。
【0043】
携帯型識別部材17は、エネルギー源として、バッテリまたは蓄電池と、好ましくは、このエネルギー源のエネルギー量を判断する手段を備えている。更に、本発明においては、身体の一部の所定の動きを光学的に認識して、自動車1の開閉部材3の自動開放を可能にする機能を、利便機能として考えることもできる。従って、携帯型識別部材17のバッテリのエネルギー量が所定の値を下回る場合、前記利便機能を無効にして、例えば遠隔制御による自動車1の開閉部材3のロック解除のような基本的機能に利用可能なエネルギーを、消費せずに保存しておくことができる。
【0044】
別の実施形態によれば、携帯型識別部材17は、一方において、バックアップバッテリを有し、他方において、再充電可能なバッテリを有する。本発明における開閉部材3の自動ロック解除のようないわゆる「利便」機能は、再充電可能なバッテリによってのみ電力供給される。バックアップバッテリは電力を、再充電可能なバッテリが放電するときに、開閉部材に対する遠隔制御による開放のような基本機能のために供給する。従って、携帯型識別部材17の基本機能は、再充電可能なバッテリの充電レベルと関係なく、常に保証される。
【0045】
また、携帯型識別部材17のバッテリの充電レベルが、所定のレベルを下回る場合、前記識別部材17は、信号を自動車に送信して、識別部材のバッテリの充電レベルが低いことを通知する。次に、このメッセージに応答して、自動車は、識別部材との通信の試みを停止することにより、自動車のバッテリ消費量を最適化することができる。新規の信号は、携帯型識別部材17のバッテリの充電レベルが、再び所定のレベルを上回って、自動車と前記識別部材17との通信が復旧するときに自動車に送信される。
【0046】
好適な実施形態では、自動車は、バッテリの充電レベルを測定する手段を備え、この手段は、充電レベルを、基準レベルと比較することができる。この手段は、例えば中央処理装置5を備えている。バッテリの充電レベルが、基準レベルを下回ると、中央処理装置5は、本カメラの起動機能を停止するように指令する。
【0047】
この目的のために、中央処理装置5は、識別モジュールに問い合わせを行なう機能、及び/又はこの識別モジュールから発信され、かつカメラを起動するために用いられる信号を受信し、認識する機能が停止するように指示する。
【0048】
自動車内で行なわれ、かつカメラを起動するために用いられる処理が、このように無効化される場合、自動車のバッテリの消費量の一部は削減され、バッテリの残りの耐用年数が延びる。
【0049】
次に、図3を詳細に参照して、本発明による装置の動作について説明する。
【0050】
図3は、ユーザ21が、携帯型識別部材17をポケットに入れて運び、かつ自動車1のトランク3に収容しようとしている物品23を所持している様子を示している。
【0051】
まず、携帯型識別部材17は、自動車1の周りの所定の周囲領域19内に存在していることが検出される。
【0052】
部材17を検出すると、中央処理装置5内で、アクセスコンピュータが作動し、このアクセスコンピュータは、無線通信を利用して、携帯型識別部材17の認証を行ない、携帯型識別部材17が実際に自動車1に関連付けられていることをチェックする。
【0053】
認証が失敗した場合、識別部材17が周囲領域19内に存在していることを検出するための走査を継続する。
【0054】
認証が成功した場合、遠隔操作開閉システム4は、これらの開閉部材の全てに関して、「ロック解除準備」状態になる。
【0055】
別の構成として、部材の存在が検出された場合、携帯型識別部材17が自動車から離間する距離を求め、遠隔操作開閉システム4は、この距離が所定の値、例えば5mを下回る場合に、これらの開閉部材3の全てに関して「ロック解除準備」状態になる。
【0056】
好適には、「ロック解除準備」状態の不所望の開始を、携帯型識別部材17が自動車1の近傍に収容されているときに回避するためには、前記部材17が自動車1に向かって近付いている状態が、「ロック解除準備」状態を開始するために必須である。
【0057】
携帯型識別部材17と自動車1との距離の測定または推定は、受信信号の電力を測定するか、または推定することにより、そしてこの電力を、携帯型識別部材17から発信し、送信機/受信機15が受信する信号の電力の値を、部材17と自動車1とを隔てる距離に応じて含むデータベースと比較することにより行なわれる。
【0058】
別の実施形態では、携帯型識別部材17と自動車1との距離は、超音波トランスデューサを使用して求めることができる。この超音波トランスデューサは、前記携帯型識別部材17が検出されると作動する。
【0059】
「ロック解除準備」状態になることによって、カメラ13が作動手段11により作動するようになり、これらのカメラ13が画像を記録し始める。従って、身体の一部の所定の動きを離れた場所から認識する光学手段13,24、特にカメラは、 認証が成功した後に、または携帯型識別部材17との距離が、自動車1から短距離である場合に作動するだけであり、これによって、前記自動車1のバッテリのエネルギーの管理を最適化することができる。
【0060】
まず、ユーザ21が位置する箇所の前面の開閉部材を、カメラ13、及び中央処理装置5の画像処理コンピュータ24を介して特定するのが好ましい。
【0061】
一旦、中央処理装置5が、注目する開閉部材を確認すると、他の開閉部材に取り付けたカメラは、画像の記録を中止して、画像処理コンピュータ24の処理能力を確保する。
【0062】
別の構成として、接近センサ26を、更にハンドル9内に、またはハンドル9の近傍に設置して、注目する開閉部材3のカメラのみを作動させる。
【0063】
本例では、注目する開閉部材3は、自動車1のトランクである(図3参照)。
【0064】
次に、身体の一部の所定の動きが、カメラ13によって離れた場所から光学的に認識される。身体の一部の所定の動きを、カメラにより離れた場所から光学的に認識するこのステップは、階調画像に基づいて行なわれ、画像処理コンピュータ24の能力/費用の組み合わせを最適化する。
【0065】
ユーザ21の足25の動き、特に足の回転及び回転方向を認識する能力を備えているとよい。実際、足の動きは、カメラ及び画像処理コンピュータが明確に認識することができるものの不連続な動きである。
【0066】
この動きが登録者の動きであると認識される場合、動きが行なわれた箇所の前面の開閉部材3は、ロック解除される、すなわちロックが解かれる。
【0067】
トランクに適切なバネを設けて、トランクを自動的に開放位置に駆動すると、トランクは開放される。
【0068】
開閉部材3に、開閉部材の開放をアシストするモータ駆動ユニット(図示せず)を設ける場合、開閉部材3の自動開放は、モータ駆動アシストユニットを介して行なわれることになる。
【0069】
従って、本発明の特徴によると、ユーザは、自動車を容易に、かつ安全に操作することができることが理解できると思う。本発明のシステムはまた、装置が、ユーザが自動車のほんのすぐ傍に居るときにのみ作動すると仮定すると、エネルギー消費の管理を最適化することにより、極めて優れた機能を発揮する。
【0070】
自動車の開閉部材の開放について、上に説明してきた例示的な実施形態の1つの変形例として、開閉部材の閉鎖に、例えば同じステップ群及び同じ手段を用いて適用することができる。
【0071】
中央処理装置は、開閉部材の開放/閉鎖状態を同じステップ群が行なわれるときに即座に識別し、開閉部材の閉鎖または開放を、当該開閉部材の該当する開放状態または閉鎖状態に依存して、それぞれ開始するので有利である。
【0072】
上に説明した手段によって制御することができる開閉部材は、自動車のトランクのみに限定されない。この開閉部材は、サイドドア、窓、開閉ルーフ、またはそれ自体が公知のタイプの自動車に適合させた他のいずれかのタイプの開閉部材であってもよい。
【0073】
例えば、本手段は、本発明に関連して、ロック及び/又はロック解除を行なうために、そして/または多数の開閉部材を同時にモータ駆動で開放する、または閉鎖するために用いることができる。
【0074】
本発明は、例えばこの同じ自動車の開閉ルーフを備えた自動車の複数の窓を同時に閉鎖するか、および/または開放するために適用することができる。
【符号の説明】
【0075】
1自動車
2装置
3開閉部材(トランク)
4遠隔操作開閉システム
5中央処理装置
7周辺装置
9ハンドル
11作動手段
13カメラ、光学手段
15送信機/受信機
17携帯型識別部材
18光軸
19周囲領域
21ユーザ
23物品
24画像処理コンピュータ
25足
26接近センサ
図1
図2
図3