特許第5833084号(P5833084)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2015.5.11 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】5833084
(24)【登録日】2015年11月6日
(45)【発行日】2015年12月16日
(54)【発明の名称】ストッパ付きピン碍子
(51)【国際特許分類】
   H01B 17/20 20060101AFI20151126BHJP
   H02G 1/02 20060101ALI20151126BHJP
   H02G 7/00 20060101ALI20151126BHJP
【FI】
   H01B17/20 Z
   H02G1/02
   H02G7/00
【請求項の数】3
【全頁数】11
(21)【出願番号】特願2013-228082(P2013-228082)
(22)【出願日】2013年11月1日
(65)【公開番号】特開2015-88404(P2015-88404A)
(43)【公開日】2015年5月7日
【審査請求日】2014年12月3日
(73)【特許権者】
【識別番号】000211307
【氏名又は名称】中国電力株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100074332
【弁理士】
【氏名又は名称】藤本 昇
(74)【代理人】
【識別番号】100114432
【弁理士】
【氏名又は名称】中谷 寛昭
(74)【代理人】
【識別番号】100138416
【弁理士】
【氏名又は名称】北田 明
(72)【発明者】
【氏名】奥原 哲也
(72)【発明者】
【氏名】畑山 悟
(72)【発明者】
【氏名】錦織 幸司
(72)【発明者】
【氏名】大西 宏司
(72)【発明者】
【氏名】長岡 充
(72)【発明者】
【氏名】南波 一樹
【審査官】 神野 将志
(56)【参考文献】
【文献】 登録実用新案第361590(JP,Z2)
【文献】 実公昭41−003851(JP,Y1)
【文献】 米国特許第01829354(US,A)
【文献】 実公昭40−032616(JP,Y1)
【文献】 米国特許第01361948(US,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01B 17/20
H02G 1/02、7/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
収容する電線の軸方向に沿って表面の一部を開口し、且つ開口から底面にかけて少なくとも一部で屈曲した壁面で形成され、開口から挿入される電線を底面に当接して収容可能な溝部を有する碍子本体と、溝部に挿入されて溝部から脱落しようとする電線の脱落方向に存在する壁面に当接して溝部を封鎖するストッパとを備え、ストッパは、弾性材料で形成されて溝部への挿入により壁面に当接する面から膨出し、溝部への挿入とともに壁面に当接することで弾性変形する膨出部を有することを特徴とするストッパ付きピン碍子。
【請求項2】
溝部は、屈曲位置から垂直方向に延びる壁面に隣接する底面を有することを特徴とする請求項1に記載のストッパ付きピン碍子。
【請求項3】
ストッパは、挿入方向の後端縁から挿入方向に交差する方向に突出し、碍子本体の表面に当接することでストッパの挿入方向への移動を規制する突片を有することを特徴とする請求項1又は2に記載のストッパ付きピン碍子。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、バインド線を用いずに電線を固定するストッパ付きピン碍子に関する。
【背景技術】
【0002】
一般的に、電柱の上に張り巡らされている高圧配電線(以下、「電線」という)は、電柱の腕金に取り付けられた高圧ピン碍子(以下、「ピン碍子」という)によって支持されている。
【0003】
電線張設時には、まず、ピン碍子の下部に設けられたボルト状のピンを電柱の腕金の穴に差し込み、ピン碍子を腕金に取り付ける。次に、ピン碍子の上部に設けられた凹みに電線を水平に沿わせ、絶縁体で被覆されている被覆巻付バインド線(以下、「バインド線」という)を電線と凹みとに巻き付けることにより、電線をピン碍子に堅固に支持している。
【0004】
しかしながら、バインド線が、通常、金属線の周方向を絶縁材で被覆して形成されていることから、径年劣化によって内部の金属線が露出することがあり得る。すると、露出した金属線が風雨に晒されるため、金属線に錆が発生し、バインド線が断線することがあった。断線したバインド線が腕金等に落ちると、短絡等の事故に繋がることがあった。
【0005】
そこで、ピン碍子に凹溝と凹溝に連続する貫通孔とを設け、凹溝に挿入された電線が、ピン碍子をよじることで貫通孔の位置に移動されて、保持手段により移動不可能に支持されるピン碍子が知られている(例えば、特許文献1参照)。特許文献1に記載のピン碍子では、バインド線を用いることなく電線をピン碍子で支持することが可能になっている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開2007−214023号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
特許文献1におけるピン碍子は、バインド線を用いることなく電線をピン碍子に固定できる点で有用である。さらに、線路に並設される複数のピン碍子のそれぞれの高低差や、線路の角度により、ピン碍子から脱落する方向へ電線に力が加わったとしても、電線が脱落することを十分に防止できれば非常に有用である。
【0008】
本発明は、斯かる事情に鑑み、バインド線を用いることなく電線を固定でき、且つ電線が脱落することを十分に防止可能なストッパ付きピン碍子を提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明に係るストッパ付きピン碍子は、収容する電線の軸方向に沿って表面の一部を開口し、且つ開口から底面にかけて少なくとも一部で屈曲した壁面で形成され、開口から挿入される電線を底面に当接して収容可能な溝部を有する碍子本体と、溝部に挿入されて溝部から脱落しようとする電線の脱落方向に存在する壁面に当接して溝部を封鎖するストッパとを備え、ストッパは、弾性材料で形成されて溝部への挿入により壁面に当接する面から膨出し、溝部への挿入とともに壁面に当接することで弾性変形する膨出部を有することを特徴とする。
【0010】
本発明に係るストッパ付きピン碍子によれば、碍子本体は、収容する電線の軸方向に、溝部の開口を合わせて設置される。電線は、このように設置された碍子本体の開口から、径方向を挿入方向として溝部に収容される。このとき、電線は、開口から底部にかけて屈曲する壁面に沿って底面に当接するように移動されることで溝部に収容される。また、本発明に係るストッパ付きピン碍子は、ストッパが溝部に挿入されることで、膨出部は、溝部の表面に当接することで弾性変形して押しつぶされる。これにより、溝部に挿入されたストッパと壁面との間の摩擦係数を高くすることができ、ストッパが溝部から脱落することをより防止することができる。
【0011】
溝部に収容された電線は、線路の角度や、線路に沿って並設されるピン碍子の高低差等を要因として、壁面に沿って碍子本体から脱落しようとする。具体的に、脱落しようとする電線は、底面に隣接する壁面に沿って移動しようとする。このとき、壁面が開口から底面にかけて少なくとも一部で屈曲しているので、移動しようとする電線は、移動方向(脱落方向)に存在し、且つ屈曲位置に隣接する壁面に衝突する。これにより、電線は、移動方向に存在し、且つ屈曲位置に隣接する壁面に脱落しようとする力を作用させる。ここで、電線が衝突する壁面に当接しつつ、開口を封鎖するストッパが溝部に挿入されていると、電線の離脱しようとする力は、電線の衝突によりストッパに作用する。すると、ストッパは電線の衝突した方向に向けて移動しようとするが、ストッパが移動方向に存在する(当接する)壁面により支持されるので、ストッパは、挿入された位置から動くことはない。したがって、ストッパが溝部から脱落することを防止できる。すなわち、バインド線を用いることなく電線を固定でき、電線がピン碍子から脱落することを十分に防止できる。
【0012】
このようなストッパ付きピン碍子の一態様として、溝部は、屈曲位置から垂直方向に延びる壁面に隣接する底面を有してもよい。
【0013】
かかる構成によれば、電線は、屈曲位置から垂直方向に延びる壁面に沿って移動し、底面に当接することで、底面に隣接する壁面により水平方向への移動を規制される。また、電線は、自重により、底面に当接する状態に維持される。このように、電線が底面に当接する状態で位置決めされることで、ストッパの挿入において、ストッパの挿入位置に電線が移動することがない。したがって、電線を碍子本体に固定する作業の作業性が向上する。
【0014】
また、このようなストッパ付きピン碍子の一態様として、ストッパは、挿入方向の後端縁から挿入方向に交差する方向に突出し、碍子本体の表面に当接することでストッパの挿入方向への移動を規制する突片を有してもよい。
【0015】
かかる構成によれば、突片が碍子本体の表面に当接することで、ストッパは、挿入方向に移動することを規制される。これにより、ストッパを挿入しすぎることを防止でき、作業性が向上する。
【発明の効果】
【0018】
以上の如く、本発明に係るストッパ付きピン碍子によれば、バインド線を用いることなく電線を固定でき、且つ電線が脱落することを十分に防止できるというすぐれた効果を奏する。
【図面の簡単な説明】
【0019】
図1】本発明の一実施形態に係る電線が固定されたストッパ付きピン碍子の概略斜視図を示す。
図2】同実施形態に係るピン碍子を示し、図2(a)は、ピン碍子の概略斜視図を示し、図2(b)は、図2(a)におけるA矢示図を示す。
図3】同実施形態に係るストッパを示し、図3(a)は、ストッパの概略斜視図を示し、図3(b)は、図3(a)におけるB矢示図を示す。
図4】同実施形態に係る電線に取り付けられたスペーサの概略斜視図を示す。
図5】同実施形態に係る電線が固定されたストッパ付きピン碍子を示し、図5(a)は、電線が固定されたストッパ付きピン碍子の概略斜視図を示し、図5(b)は、図5(a)のC矢示図を示す。
【発明を実施するための形態】
【0020】
以下、本発明に係るストッパ付きピン碍子における一実施形態について、図1乃至図4を参照して説明する。
【0021】
図1に示すように、本実施形態に係るストッパ付きピン碍子1は、収容する電線2の軸方向に沿って表面の一部を開口し、且つ開口から底面103にかけて少なくとも一部で屈曲した壁面101,102で形成され、開口から挿入される電線2を底面103に当接して収容可能な溝部100を有する碍子本体10と、碍子本体10を電柱の腕金に取り付ける棒状部11と、溝部100に挿入されて溝部100から脱落しようとする電線2の脱落方向に存在する壁面102に当接して溝部を封鎖するストッパ30と、電線2の周方向の一部を被覆するように取り付けられるスペーサ20とを備える。なお、碍子本体10及び棒状部11で、ピン碍子を構成する。
【0022】
碍子本体10は、剛性を有する絶縁材料で形成され、例えば、陶器製で円柱状に形成される。碍子本体10は、懸架される電線2を貫通した状態で固定可能に設けられる。
【0023】
ここで、図2(a)及び図2(b)を参照して、碍子本体10に電線2を貫通した状態で収容する溝部100について詳述する。溝部100は、収容する電線2の軸方向に沿って形成される壁面101,102と、壁面101及び壁面102のそれぞれの端縁に隣接して設けられる底面103とを有する。壁面101及び壁面102は、碍子本体10の上面及び側面で溝部100の開口を形成する。特に、碍子本体10の上面に形成された開口は、電線2の径方向から壁面101及び壁面102の間に挿入可能な挿入口として機能する。本実施形態において、溝部100は、屈曲位置から垂直方向に延びる壁面101,102に隣接する底面103を有する。
【0024】
壁面101は、全体として、収容する電線2の軸方向に沿って、碍子本体10を貫通して形成される。そして、壁面101は、段状に形成される。具体的に、壁面101は、碍子本体10の上面から垂下し、垂下した先端で上方を向く面を形成するように水平方向に屈曲し、さらに水平方向に延びた先端で垂直方向に屈曲し、その先端で底面103の幅方向一端縁に接続される。
【0025】
壁面102もまた、壁面101と同様に、全体として収容する電線2の軸方向に沿って、碍子本体10を貫通して形成され、且つ段状に形成される。具体的に、底面103は、碍子本体10の上面から垂下し、垂下した先端で下方を向く面を形成するように水平方向に屈曲し、さらに水平方向に延びた先端で垂直方向に屈曲し、その先端で底面103の幅方向他端縁に接続される。壁面102は、壁面101との間で、スペーサ20を挿通した状態で、開口から底面までスペーサ20を移動可能な幅をもって位置される。
【0026】
底面103は、碍子本体10を貫通して、水平方向に延びる面として形成される。また、底面103は、電線2を挿通する方向を挿通方向、収容した電線2の径方向を幅方向として、幅方向一端で壁面101に接続される。そして、底面103は、幅方向他端で壁面102に接続される。さらに、底面103は、幅方向で、電線2(筒状に形成されたスペーサ20の軸方向中央の径)よりも大きな幅で形成される。
【0027】
棒状部11は、剛性材料で形成され、例えば、金属で形成される。棒状部11は、碍子本体10の下面に長手方向一端を接続され、他端で電柱の腕金に取り付けられることで、碍子本体10を電柱に固定する。棒状部11は、例えば、ボルトであり、他端を電柱の腕金に貫通した状態でナットにより締結されることにより、電柱の腕金に固定される。
【0028】
図3(a)及び図3(b)に示すように、ストッパ30は、板状のストッパ本体301と、挿入方向の後端縁から挿入方向に交差する方向に突出し、碍子本体10の表面に当接することでストッパ30の挿入方向への移動を規制する突片302と、ストッパ本体301を把持するための把持部303と、弾性材料で形成されて溝部100への挿入により壁面101,102に当接する面から膨出し、溝部100への挿入とともに壁面101,102に当接することで弾性変形する膨出部304とを有する。
【0029】
ストッパ本体301は、弾性材料で形成され、例えばゴムで形成される。ストッパ本体301は、壁面101において上方を向く水平方向に延びる面と、壁面102において下方を向く水平方向に延びる面との間の幅に合わせた厚さを有する。また、ストッパ本体301は、壁面101において碍子本体10の上面から垂下される面から、壁面102において水平方向に延びる面と底面103とに接続される垂直な面までの長さに合わせた幅を有する。そして、ストッパ本体301は、電線2の軸方向に沿う壁面101,102の長さに対して、電線2の脱落を防止するのに十分な長さを有する。例えば、ストッパ本体301は、電線2の軸方向に沿う壁面101の長さと同じ長さを有する。
【0030】
突片302は、ストッパ本体301の挿入方向後端縁から、幅方向に突出する。本実施形態において、突片302は、挿入方向に対して電線2を収容する側(底面103の側)に突出する。そして、突片302は、板状に突出し、ストッパ本体301を溝部100に挿入した状態で碍子本体10の表面に当接する。
【0031】
把持部303は、ストッパ本体301の挿入方向後端縁から挿入方向に沿って突出する。把持部303は、例えば、間接活線工法でストッパ本体301を溝部100に挿入する際に、間接活線工具で把持可能な長さで突出して形成される。
【0032】
膨出部304は、ストッパ本体301の厚さ方向の面の一部を膨出して形成される。本実施形態において、膨出部304は、ストッパ本体301の挿入方向先端に、幅方向に沿って膨出して形成される。膨出部304は、ストッパ本体301の溝部100への挿入により壁面102に押しつぶされることで、壁面101にストッパ本体301を圧着する。これにより、膨出部304は、ストッパ30が溝部100に挿入された状態で、ストッパ本体301の挿入方向に逆の方向へのストッパ30の脱落を防止する。
【0033】
図4に示すように、スペーサ20は、電線2の一部の外面に巻き付けられるスペーサ本体201と、スペーサ201の両端に設けられるつば部202,202とを有する。
【0034】
スペーサ本体201は、筒状に形成され、電線2と同じ径の内径を有し、底面103の幅よりも小さい外径を有する。そして、スペーサ本体201は、底面103の貫通方向の長さに合わせて形成される。このようなスペーサ本体201は、電線2の外面の周方向に巻き付けられることで、電線2の外面に係止される。
【0035】
つば部202,202のそれぞれは、スペーサ本体201と同じ内径で、スペーサ本体201よりも拡径された外径を有する。より具体的に、つば部202,202のそれぞれは、スペーサ本体201と同じ内径で、底面103の幅よりも大きな外径を有する。これにより、電線2が溝部100に収容された状態で、つば部202,202のそれぞれは、碍子本体10の表面に当接する。したがって、つば部202,202のそれぞれは、溝部100に収容された電線2の軸方向への移動を規制する。
【0036】
本実施形態に係るストッパ付きピン碍子1の構成については以上の通りであり、次に、本実施形態に係るストッパ付きピン碍子1の作用について説明する。
【0037】
まず、スペーサ20が、電線2の周面に巻き付けられる。具体的に、スペーサ20は、電線2の軸方向で、溝部100への収容位置に合わせて巻き付けられる。スペーサ20を巻き付けられた電線2は、電線2の軸方向に沿う溝部100の開口から、溝部100内部に収容される。
【0038】
より詳述すると、溝部100の開口から径方向を挿入方向として挿入された電線2(スペーサ20)は、碍子本体10の上面から垂下される壁面101及び壁面102に沿って移動される。次に、電線2(スペーサ20)は、壁面101の上方を向く水平面(水平方向に延びる面)及び壁面102の下方を向く水平面(水平方向に延びる面)の間を通る。そして、電線2は、上方を向く水平面から底面に向けて屈曲する壁面101と、下方を向く水平面から底面に向けて屈曲する壁面102との間を通る。最終的に、スペーサ20は、底面103に当接し、電線2は、スペーサ20を介して底面103に当接する。
【0039】
次に、把持部303が間接活線工具により把持されて、ストッパ本体301が、電線2の軸方向に沿う方向を挿入方向として、溝部100に挿入される。具体的に、スペーサ20は、電線2の軸方向に沿う方向を挿入方向として、壁面101の水平面及び壁面102の水平面の間に挿入される。ストッパ30が溝部100に挿入されると、膨出部304は、壁面102の水平面及びストッパ本体301の間で押しつぶされる。そして、ストッパ本体301は、碍子本体10(壁面102及び碍子本体10の境界位置)に突片302を当接するまで挿入される。
【0040】
この状態で、電線2は、垂直方向に延びる壁面101及び壁面102の間に収容されていることから、水平方向への移動を壁面101及び壁面102により規制される。また、電線2は、底面103に当接することで、下方への移動を規制される。そして、電線2は、上方への移動(碍子本体10から脱落する方向への移動)に対して、ストッパ本体301の表面に当接することで、上方への移動を規制される。具体的に、電線2が上方に移動すると、ストッパ本体301の表面に当接する。ストッパ本体301は、電線2が上方に向けて移動して衝突する。これにより、ストッパ30は、上方に向けて移動しようとするが、移動方向に存在する壁面102の下方を向く水平面により、上方への移動を規制される。すなわち、ストッパ30は、上方への移動を規制されることで、溝部100(碍子本体10)から脱落することを防止される。したがって、電線2が上下左右のいずれの方向に動いたとしても、溝部100及びストッパ30は、碍子本体10からの電線2の脱落を効果的に防止できる。
【0041】
以上より、本実施形態に係るストッパ付きピン碍子1は、収容する電線2の軸方向に沿って表面の一部を開口し、且つ開口から底面103にかけて少なくとも一部で屈曲した壁面101,102で形成され、開口から挿入される電線2を底面103に当接して収容可能な溝部100を有する碍子本体10と、溝部100に挿入されて溝部100から脱落しようとする電線2の脱落方向に存在する壁面101,102に当接して溝部100を封鎖するストッパ30とを備える。
【0042】
本実施形態に係るストッパ付きピン碍子1によれば、碍子本体10は、収容する電線2の軸方向に、溝部100の開口を合わせて設置される。電線2は、このように設置された碍子本体10の開口から、径方向を挿入方向として溝部100に収容される。このとき、電線2は、開口から底面103にかけて屈曲する壁面101,102に沿って底面103に当接するように移動されることで溝部100に収容される。
【0043】
溝部100に収容された電線2は、線路の角度や、線路に沿って並設されるピン碍子の高低差等を要因として、壁面101,102に沿って碍子本体10から脱落しようとする。具体的に、脱落しようとする電線2は、底面103に隣接する壁面101,102に沿って移動しようとする。このとき、壁面101,102が開口から底面103にかけて少なくとも一部で屈曲しているので、移動しようとする電線2は、移動方向(脱落方向)に存在し、且つ屈曲位置に隣接する壁面101,102に衝突する。これにより、電線2は、移動方向に存在し、且つ屈曲位置に隣接する壁面101,102に脱落しようとする力を作用させる。ここで、電線2が衝突する壁面101,102に当接しつつ、開口を封鎖するストッパ30が溝部100に挿入されていると、電線2の離脱しようとする力は、電線2の衝突によりストッパ30に作用する。すると、スペーサ20は電線2の衝突した方向に向けて移動しようとするが、ストッパ30が移動方向に存在する(当接する)壁面101,102により支持されるので、ストッパ30は、挿入された位置から動くことはない。したがって、ストッパ30が溝部100から脱落することを防止できる。すなわち、バインド線を用いることなく電線2を固定でき、電線2がピン碍子から脱落することを十分に防止できる。
【0044】
このようなストッパ付きピン碍子1の一態様として、溝部100は、屈曲位置から垂直方向に延びる壁面101,102に隣接する底面を有する。
【0045】
かかる構成によれば、電線2は、屈曲位置から垂直方向に延びる壁面101,102に沿って移動し、底面103に当接することで、底面103に隣接する壁面101,102により水平方向への移動を規制される。また、電線2は、自重により、底面103に当接する状態に維持される。このように、電線2が底面103に当接する状態で位置決めされることで、ストッパ30の挿入において、ストッパ30の挿入位置に電線2が移動することがない。したがって、電線2を碍子本体10に固定する作業の作業性が向上する。
【0046】
また、このようなストッパ付きピン碍子1の一態様として、ストッパ30は、挿入方向の後端縁から挿入方向に交差する方向に突出し、碍子本体10の表面に当接することでストッパ30の挿入方向への移動を規制する突片302を有する。
【0047】
かかる構成によれば、突片302が碍子本体10の表面に当接することで、ストッパ30は、挿入方向に移動することを規制される。これにより、ストッパ30を挿入しすぎることを防止でき、作業性が向上する。
【0048】
また、このようなストッパ付きピン碍子1の一態様として、ストッパ30は、弾性材料で形成されて溝部100への挿入により壁面101,102に当接する面から膨出し、溝部100への挿入とともに壁面101,102に当接することで弾性変形する膨出部304を有する。
【0049】
かかる構成によれば、ストッパ30が溝部100に挿入されることで、膨出部304は、溝部100の表面(壁面101,102)への当接により弾性変形して押しつぶされる。これにより、溝部100に挿入されたストッパ30と壁面101,102との間の摩擦係数を高くすることができ、ストッパ30が溝部100から脱落することをより防止することができる。
【0050】
なお、本発明に係るストッパ付きピン碍子は、上記した実施の形態に限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲内において種々変更を加え得ることは勿論である。また、下記する各種の変更例に係る構成や方法等を任意に選択して、上記した実施形態に係る構成や方法等に採用してもよいことは勿論である。
【0051】
例えば、本実施形態に係るストッパ付きピン碍子1においては、壁面101及び壁面102は、少なくとも一箇所で屈曲し、ストッパ30が脱落方向で規制される構成であれば、種々の面の構成を有してもよい。
【0052】
一例として、図5(a)及び図5(b)に示すように、溝部100は、垂直方向に形成された底面103を有してもよい。具体的に、壁面101は、水平方向の先端で、底面103の一方の幅方向端縁に接続され、壁面102は、水平方向の先端で、底面103の他方の幅方向端縁に接続されてもよい。すなわち、上記実施形態において、壁面101及び壁面102の水平方向から垂下される部分を除去してもよい。
【0053】
このような構成において、電線2(スペーサ20)は、開口から挿入されて、壁面101の上方を向く水平面に当接するまで移動される。そして、電線2(スペーサ20)は、底面103に当接するまで水平方向に移動される。ストッパ30は、電線2(スペーサ20)及び壁面101の垂直方向の面の間に挿入され、碍子本体10の表面(碍子本体10及び壁面101の境界)に突片302が当接することで、挿入方向への移動を規制される。このような構成で、電線2(スペーサ20)が水平方向(脱落方向)に移動したとしても、電線2(スペーサ20)は、ストッパ30により移動を規制される。ストッパ30は、脱落方向に存在する壁面101の垂直方向の面により移動を規制されるので、電線2(スペーサ20)の溝部100(碍子本体10)からの脱落を防止することができる。また、壁面101及び壁面102は、傾斜する面を有する構成としてもよいことはもちろんである。
【0054】
また、上記実施形態に係るストッパ付きピン碍子1において、膨出部304は、ストッパ本体301の一方の面に形成されることを例示した。これに対して、膨出部304がストッパ30の挿入を阻害しなければ、壁面101及び壁面102に当接する面の全て又は複数の面に形成されていてもよい。これにより、ストッパ30が溝部100に挿入された状態で強固に溝部100に圧着されるので、ストッパ30及び電線2(スペーサ20)の脱落をより効果的に防止できる。
【0055】
また、上記実施形態に係るストッパ付きピン碍子1において、突片302は、ストッパ本体301の挿入方向後端縁で、幅方向一方に突出することを例示した。これに対して、突片302は、幅方向両方のそれぞれから突出するとしてもよい。ただし、図5(a)及び図5(b)に示すように、電線2(スペーサ20)がストッパ本体301の側方に挿入されるような場合には、この限りではない。
【0056】
また、上記実施形態に係るストッパ付きピン碍子1において、ストッパ本体301は、壁面101,102間の水平方向を完全に閉塞する幅で設けられたが、底面103の幅と同じ幅で、底面103の上方に存在する壁面102の壁面に当接するように設けられても良い。このように、少なくとも、電線2が脱落する際に、ストッパ30が電線2に衝突する位置に存在し、且つ電線2の衝突方向に存在する壁面102でストッパ30が支持される構成であれば、ストッパ本体301に種々の形状を採用できる。
【符号の説明】
【0057】
1 ストッパ付きピン碍子
2 電線
10 碍子本体
11 棒状部
20 スペーサ
30 ストッパ
100 溝部
101,102 壁面
103 底面
201 スペーサ本体
202 つば部
301 ストッパ本体
302 突片
303 把持部
304 膨出部
図1
図2
図3
図4
図5