(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】5833335
(24)【登録日】2015年11月6日
(45)【発行日】2015年12月16日
(54)【発明の名称】測設点指示装置
(51)【国際特許分類】
G01C 15/10 20060101AFI20151126BHJP
G01C 15/02 20060101ALI20151126BHJP
【FI】
G01C15/10
G01C15/02
【請求項の数】6
【全頁数】11
(21)【出願番号】特願2011-101911(P2011-101911)
(22)【出願日】2011年4月28日
(65)【公開番号】特開2012-233769(P2012-233769A)
(43)【公開日】2012年11月29日
【審査請求日】2014年4月14日
(73)【特許権者】
【識別番号】000220343
【氏名又は名称】株式会社トプコン
(74)【代理人】
【識別番号】100083563
【弁理士】
【氏名又は名称】三好 祥二
(72)【発明者】
【氏名】西田 信幸
【審査官】
▲うし▼田 真悟
(56)【参考文献】
【文献】
特開2001−227950(JP,A)
【文献】
特開平11−083485(JP,A)
【文献】
特開平07−270164(JP,A)
【文献】
特開2009−236663(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G01C 15/00−15/10
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
鉛直に対して下端を中心に傾斜可能であり且つ軸心を中心に回転可能な棒状部材である支持体と、該支持体の上端から水平方向に延出するプリズム支持部と、該プリズム支持部に取付けられ、中心部に形成された空間に回転自在に球体が収納される全周プリズムと、前記球体を中心に前記プリズム支持部に対して傾動自在であり、重力により鉛直下方に垂下し、軸心が前記全周プリズムの中心を通過する連結部材と、該連結部材の下端に設けられ、該連結部材の軸心と同心で鉛直下方にレーザ光線を射出するレーザポインタとを具備することを特徴とする測設点指示装置。
【請求項2】
前記球体の頂部に、前記連結部材の傾斜限度に対応した反射部又は非反射部が設けられ、該反射部又は非反射部に対向してフォトセンサが設けられ、該フォトセンサが前記反射部又は非反射部の境界を検出することで、前記連結部材の傾斜限度を検出する請求項1の測設点指示装置。
【請求項3】
前記連結部材に第1接点を設け、前記全周プリズムの前記第1接点に対峙する部分に第2接点を設け、前記連結部材が傾斜して前記第1接点が前記第2接点に接触した場合に、前記連結部材の傾斜限度であることを検出する請求項1の測設点指示装置。
【請求項4】
前記全周プリズムの下端にフードを設け、該フードにより前記レーザポインタを囲んだ請求項1〜請求項3のいずれかの測設点指示装置。
【請求項5】
鉛直に対して下端を中心に傾斜可能であり且つ軸心を中心に回転可能な棒状部材である支持体と、該支持体の上端から水平方向に延出するプリズム支持部と、該プリズム支持部に回転自在に設けられた球体と、該球体を中心に前記プリズム支持部に対して傾動自在であり、重力により鉛直下方に垂下する連結部材と、該連結部材の下部に固定された全周プリズムと、前記連結部材の下端に設けられ、該連結部材の軸心と同心で鉛直下方にレーザ光線を射出するレーザポインタとを具備し、前記全周プリズムは中心部に空間を有し、前記連結部材は軸心が前記全周プリズムの中心を通過する様前記空間を貫通することを特徴とする測設点指示装置。
【請求項6】
前記連結部材の上端に他のレーザポインタを設け、該レーザポインタから上方にレーザ光線が照射される様にした請求項5の測設点指示装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は測量作業、例えば測設点の決定等の作業に用いられる測設点指示装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
測量作業、例えば測設点に杭打ちを行う測設作業では、既知点に測量装置が設けられ、測量装置から測設点(座標)を指示し、測設点に杭打ちを行う作業者(以下杭打ち作業者)に測設点の情報を伝達する。
【0003】
杭打ち作業者は測設点指示装置を支持し、測量装置から測設点指示装置の位置を測定し、測設点指示装置の現在位置と測設点とのずれを杭打ち作業者に伝達する。杭打ち作業者は、ずれがなくなる位置に測設点指示装置を支持して、該測設点指示装置が示す点を測設点として決定している。
【0004】
従来の測設点指示装置としては、プリズムが装着されたポールがあり、ポールの下端が測設点を示し、測量装置はプリズムの位置を測定している。ポールを垂直に支持した状態で、前記測量装置が測定する値が測設点の値と一致した場合に測設点が決定される。
【0005】
従って、ポールには、ポールが垂直であることを確認する為、気泡管等の傾き検出器が設けられている。
【0006】
この為、前記測量装置が測定する値が測設点の値と一致した場合でも、ポールが傾斜していると、ポールを垂直に修正(整準)する必要がある。ポールの傾斜を調整するとプリズムの位置は水平方向に変位し、測設点からずれてしまう。この為、更に測設点指示装置の位置を調整する必要がある。従って、正確な測設点の設定には測設点指示装置の位置調整と、整準とを繰返す面倒な作業となっていた。
【0007】
尚、ポールにプリズムが装着された測設点指示装置として、特許文献1に示されるものがある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0008】
【特許文献1】特開2009−204557号公報
【特許文献2】実開平3−27310号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
本発明は斯かる実情に鑑み、プリズムの位置を決定すれば直ちに測設点のマーキングが可能となる測設点指示装置を提供するものである。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明は、鉛直に対して傾斜可能な支持体と、該支持体に対して傾動自在であり、重力により鉛直下方に垂下する連結部材と、該連結部材の下端に設けられ、該連結部材の軸心と同心で鉛直下方にレーザ光線を射出するレーザポインタと、前記連結部材の軸心が中心を通過する様に設けられた反射体とを具備する測設点指示装置に係るものである。
【0011】
又本発明は、前記支持体は下端を中心に捻転可能な棒状部材であり、前記支持体から水平方向にプリズム支持部が延出し、前記連結部材は前記プリズム支持部に支持された測設点指示装置に係るものである。
【0012】
又本発明は、前記反射体は前記支持体に対して固定され、中心部に空間を有する全周プリズムであり、該空間に回転自在に球体が収納され、前記連結部材は該球体より垂下する測設点指示装置に係るものである。
【0013】
又本発明は、前記球体の頂部に、前記連結部材の傾斜限度に対応した反射部又は非反射部が設けられ、該反射部又は非反射部に対向してフォトセンサが設けられ、該フォトセンサが前記反射部又は非反射部の境界を検出することで、前記連結部材の傾斜限度を検出する測設点指示装置に係るものである。
【0014】
又本発明は、前記連結部材に第1接点を設け、前記全周プリズムの前記第1接点に対峙する部分に第2接点を設け、前記連結部材が傾斜して前記第1接点が前記第2接点に接触した場合に、前記連結部材の傾斜限度であることを検出する測設点指示装置に係るものである。
【0015】
又本発明は、前記全周プリズムの下端にフードを設け、該フードにより前記レーザポインタを囲んだ測設点指示装置に係るものである。
【0016】
又本発明は、前記連結部材は前記支持体に傾動自在に設けられ、前記反射体は中心部に空間を有する全周プリズムであり、前記連結部材は前記空間を貫通し、前記反射体は前記連結部材に固定された測設点指示装置に係るものである。
【0017】
又本発明は、前記連結部材の上端に他のレーザポインタを設け、該レーザポインタから上方にレーザ光線が照射される様にした測設点指示装置に係るものである。
【発明の効果】
【0018】
本発明によれば、鉛直に対して傾斜可能な支持体と、該支持体に対して傾動自在であり、重力により鉛直下方に垂下する連結部材と、該連結部材の下端に設けられ、該連結部材の軸心と同心で鉛直下方にレーザ光線を射出するレーザポインタと、前記連結部材の軸心が中心を通過する様に設けられた反射体とを具備するので、前記支持体の状態に拘らず、前記反射体の中心がレーザ光線により下方に転写され、測設点の決定が容易になる。
【0019】
又本発明によれば、前記支持体は下端を中心に捻転可能な棒状部材であり、前記支持体から水平方向にプリズム支持部が延出し、前記連結部材は前記プリズム支持部に支持されたので、前記支持体の傾斜及び捻転によりレーザ光線の照射位置を容易に調整できる。
【0020】
又本発明によれば、前記反射体は前記支持体に対して固定され、中心部に空間を有する全周プリズムであり、該空間に回転自在に球体が収納され、前記連結部材は該球体より垂下するので、コンパクトな構成とすることができると共に前記全周プリズムの姿勢に拘らず、該全周プリズムの中心を鉛直下方に転写することができる。
【0021】
又本発明によれば、前記球体の頂部に、前記連結部材の傾斜限度に対応した反射部又は非反射部が設けられ、該反射部又は非反射部に対向してフォトセンサが設けられ、該フォトセンサが前記反射部又は非反射部の境界を検出することで、前記連結部材の傾斜限度を検出するので、該連結部材の傾斜限度を超えてレーザ光線の転写位置を調整することが防止される。
【0022】
又本発明によれば、前記連結部材に第1接点を設け、前記全周プリズムの前記第1接点に対峙する部分に第2接点を設け、前記連結部材が傾斜して前記第1接点が前記第2接点に接触した場合に、前記連結部材の傾斜限度であることを検出するので、該連結部材の傾斜限度を超えてレーザ光線の転写位置を調整することが防止される。
【0023】
又本発明によれば、前記全周プリズムの下端にフードを設け、該フードにより前記レーザポインタを囲んだので、風の影響で前記レーザポインタが揺れることが抑止され、安定した測設作業が行える。
【0024】
又本発明によれば、前記連結部材は前記支持体に傾動自在に設けられ、前記反射体は中心部に空間を有する全周プリズムであり、前記連結部材は前記空間を貫通し、前記反射体は前記連結部材に固定されたので、該連結部材の軸心は前記全周プリズムの中心を通過し、前記連結部材を鉛直に支持することで、レーザ光線は確実に前記全周プリズムの中心を転写する。
【0025】
又本発明によれば、前記連結部材の上端に他のレーザポインタを設け、該レーザポインタから上方にレーザ光線が照射される様にしたので、延長上にも測設点の転写が可能となる等の優れた効果を発揮する。
【図面の簡単な説明】
【0026】
【
図1】測設点指示装置を具備した測量システムの概略図である。
【
図2】本発明の第1の実施例に係る測設点指示装置の立面図である。
【
図4】第1の実施例に係る測設点指示装置を具備した測量システムの概略ブロック図である。
【
図7】測設点指示装置の支持体の傾斜限度を検出する第1の検出手段の要部説明図であり、(A)は傾斜限度内の状態を示し、(B)は傾斜限度を超えた状態を示す。
【発明を実施するための形態】
【0027】
以下、図面を参照しつつ本発明の実施例を説明する。
【0028】
図1は、本発明の本実施例に係る測設点指示装置を具備した測量システムを示しており、図中、1は測設点指示装置、2は既知の点に設置される測量機を示し、前記測設点指示装置1と前記測量機2とは、測設作業を実行するに必要な情報を授受できる通信部を具備している。
【0029】
該測量機2が前記測設点指示装置1の位置(測定座標)を測定し、測定座標と杭打ちする位置(杭打ち座標)とを比較し、測定座標が杭打ち座標に合致する様、誘導の情報を前記測設点指示装置1側に通信する。
【0030】
以下、
図2、
図3を参照して本発明に係る測設点指示装置1の第1の実施例を説明する。
【0031】
3は棒状の支持体であり、該支持体3の上端から水平方向にプリズム支持部4が延出し、該プリズム支持部4の先端に全周プリズム5が取付けられている。
【0032】
該全周プリズム5は、複数の3角錐状のプリズム5aが放射状に組合わされて構成され、前記プリズム5aはプリズムホルダ6に保持され、該プリズムホルダ6が前記プリズム支持部4に固定されている。
【0033】
前記全周プリズム5の中心部には空間が形成され、該空間よりレーザポインタ7が垂設される。
【0034】
図3に示される様に、前記空間には球体8が収納され、該球体8は前記空間に設けられた球面座部9に載置され、前記球体8の中心は、前記全周プリズム5の中心と合致するか、或は測定に問題とならない程度のずれ量で略合致している。前記球体8より棒状の連結部材11が垂下され、該連結部材11の下端に前記レーザポインタ7が取付けられている。前記連結部材11は、真直状態を維持できる剛性を有している。
【0035】
前記レーザポインタ7の軸心と前記レーザポインタ7から発せられるレーザ光線12の光軸13とは合致しており、該光軸13は前記球体8の中心を通過する様に設定されている。又、該球体8が前記球面座部9に支持された状態では、前記球体8の中心が、前記全周プリズム5の中心に合致する様になっている。
【0036】
前記球体8、前記球面座部9は摩擦抵抗の少ない部材とし、又前記球面座部9には粘度の小さいシリコングリス等を塗布する。
【0037】
上記レーザポインタ7では該レーザポインタ7自体が錘となった下げ振り構造となり、該レーザポインタ7から発せられるレーザ光線12は常に鉛直下方となる。又、前記連結部材11の長さは、前記レーザポインタ7が錘としての効果が発揮できる様に設定される。
【0038】
前記プリズム5の下端には、筒状のフード14が設けられ、前記レーザポインタ7を囲っている。該フード14が設けられることで、風により前記レーザポインタ7が揺れることが防止される。又、前記フード14の下端を透明部材、例えば透明ガラス、透明合成樹脂等で閉塞し、密閉構造としてもよい。尚、風の影響がない状態で使用される場合は、前記フード14は省略、或は取外してもよい。
【0039】
前記プリズム支持部4の上面には、誘導装置15が設けられる。尚、該誘導装置15が設けられる位置は、前記プリズム支持部4の上面に限らず、前記支持体3の垂直部分でもよい。又、携帯可能とすると共に、クリップを介して取付けられ、使用状態に応じて適宜、前記支持体3に着脱できる様にしてもよい。
【0040】
図4に示される様に、該誘導装置15は、表示部16、第1制御演算部17、記憶部18、第1通信部19を有している。又、前記測量機2は、測距・測角部21、第2制御演算部22、第2通信部23を具備している。
【0041】
前記第2制御演算部22には、予め測設点の座標が入力されている。前記測距・測角部21で前記全周プリズム5の位置(測定座標)を測定し、測定結果と測設点の座標とを比較し、前記第2通信部23を介して前記誘導装置15に、測定結果、測設点の座標に関する情報をリアルタイムで無線通信する。
【0042】
前記誘導装置15は、前記第1通信部19を介して測定結果、測設点の座標に関する情報を受信する。前記第1制御演算部17は、受信した測設点の座標と、前記支持体3即ち前記全周プリズム5の現在位置を前記表示部16に表示し、或は測設点の座標と現在位置とのずれ量、更にずれ量を0にする為の移動方向等を演算して前記表示部16に表示する。
【0043】
杭打ち作業者は、前記表示部16の表示を確認しつつ、前記測設点指示装置1を測設点に設置し、地面に測設点をマーキングし、更に杭打ちする。
【0044】
又前記測設点指示装置1、例えば誘導装置15が、ブザー等の告知手段を有し、前記全周プリズム5の位置が測設点の座標と合致した場合、或は誤差範囲となった場合、前記告知手段から告知音、或は振動させ、作業者に前記全周プリズム5の位置が測設点に合致したことを知せてもよい。
【0045】
前記測量機2は、追尾機能を有するもの、追尾機能がないもの、いずれでもよいが、追尾機能を有する測量機では、1人作業で杭打ちが行える。
【0046】
次に、
図5を参照して、第1の実施例に係る測設点指示装置1及び追尾機能を有する測量機2、例えばトータルステーションを用いて、測設作業を行う場合について説明する。
【0047】
STEP:01 前記測量機2に、測設点の情報を設定入力する。
【0048】
STEP:02 前記測量機2を測設点の方向に向け、又測設点指示装置1を測設点の方向に保持する。
【0049】
STEP:03 前記測量機2を動作させ、前記全周プリズム5の追尾を開始する。追尾の開始と共に前記全周プリズム5の距離と角度(水平角、鉛直角)を連続測定する。測定結果、及び測設点の座標データが前記測設点指示装置1に送信される。
【0050】
STEP:04 前記測設点指示装置1では、前記測量機2から送信された情報に基づき、現在位置と測設点迄のずれ量が演算され、ずれ量が表示される。尚、ずれ量の表示としては、XYの座標値、或はずれの方向を示す矢印であり、又ずれ量に対応して矢印の長さを変えてもよい。
【0051】
STEP:05,STEP:06 前記全周プリズム5が、測設点に近づき、概略測設点となると、前記支持体3を地面に立てる。
【0052】
STEP:07 前記全周プリズム5の位置を前記測量機2の測定結果で確認し、前記全周プリズム5が測設点の鉛直上にあるかどうかを確認する。
【0053】
STEP:08 前記全周プリズム5が測設点の鉛直上にない場合は、前記支持体3を下端を中心に鉛直に対して傾動させ、或は前記支持体3の軸心を中心に回転(捻転)させ、前記全周プリズム5の位置が測設点の鉛直上となる様に前記全周プリズム5の位置調整を行う。
【0054】
STEP:09 前記全周プリズム5が測設点の鉛直上にあると確認できた状態で、前記レーザポインタ7から射出される前記レーザ光線12は測設点を照射する。
【0055】
STEP:10 測設点をマーキングする(杭を打つ)。1つの測設作業が完了し、次の測設点の決定に移行する。
【0056】
上記測設点指示装置1の測設点、決定作業では、前記支持体3の姿勢(傾斜、捻転)に拘らず、前記レーザポインタ7は常に、前記全周プリズム5の中心の鉛直下方を照射するので、作業者は、前記支持体3を鉛直姿勢に維持することに注意を払わず、前記レーザポインタ7の照射位置を測設点に合致させることだけに専念すればよいので、作業性が著しく向上する。
【0057】
尚、測設点の情報については、前記誘導装置15の前記記憶部18に予め設定入力しておいてもよい。
【0059】
第2の実施例では、連結部材11の下端にレーザポインタ7を設け、上端にレーザポインタ7′を設け、前記レーザポインタ7より鉛直下方にレーザ光線12を射出させ、前記レーザポインタ7′より鉛直上方にレーザ光線12′を射出させる様にしたものであり、前記連結部材11は全周プリズム5の中心部を貫通している。
【0060】
前記連結部材11の上部、好ましくは上端近傍に球体8を設け、プリズム支持部4には球面座部9を設け、該球面座部9により前記球体8を全方向に傾動自在に支持している。従って、前記連結部材11と前記プリズム支持部4との関係は、前記連結部材11がプリズム支持部4を上下方向に貫通し、又前記連結部材11が全方向に傾動自在に前記プリズム支持部4に支持されている。
【0061】
又、前記全周プリズム5は、前記連結部材11の下部、好ましくは下端近傍に設けられており、該全周プリズム5が前記連結部材11の錘となり、前記連結部材11の軸心は、常に鉛直となる。従って、前記レーザポインタ7,7′から射出される前記レーザ光線12,12′は前記支持体3の傾斜に拘らず、常に鉛直下方、鉛直上方となり、前記全周プリズム5の中心位置を鉛直方向に転写する。
【0062】
尚、第2の実施例に於いて、上方へのレーザ光線12′の射出が必要ない場合は、前記レーザポインタ7′を省略してもよい。
【0063】
又、前記全周プリズム5は前記測量機2からの測距光を反射するものであり、該測距光を反射する機能を有する反射体であれば、全周プリズムに限らない。例えば、再帰反射性のシートに代え、前記レーザ光線12の光軸13が該シート表面に存在する様にしてもよい。
【0064】
上記した様に、本発明では前記支持体3を傾斜して、前記レーザ光線12の照射位置を調整するものであり、前記支持体3の傾斜限度は、前記連結部材11の傾斜限度内であることが要求される。
【0065】
従って、前記連結部材11の傾斜限度を検出する検出手段を設けてもよい。
【0066】
図7は、第1の検出手段を示しており、前記球体8の頂部に円状の反射部25を形成し、前記球体8の頂部に対向させてフォトセンサ26が設けられる(
図7(A)参照)。該フォトセンサ26は検出光を発射すると共に前記反射部25で反射された反射検出光を受光検出する。
【0067】
前記反射部25が設けられる範囲を前記連結部材11の傾斜限度に対応させておくと、前記フォトセンサ26が前記反射部25の境界を検出することで、前記連結部材11の傾斜限度を検出することができる。従って、前記フォトセンサ26が反射検出光を受光検出しない場合は、前記連結部材11が傾斜限度を超えた、即ち前記支持体3が傾斜限度を超えたと判断される(
図7(B)参照)。
【0068】
尚、前記球体8の頂部の所定範囲を、検出光を反射しない非反射部とし、他の部分を検出光反射とし、反射検出光を検出した時点が、傾斜限度を超えたと判断してもよい。
【0069】
図8は、第2の検出手段を示している。
【0070】
第2の検出手段では、連結部材11に第1接点28をリング状に設け、プリズム5aの前記第1接点28と対峙する位置に第2接点29を、前記第1接点28を囲繞する様に設け、前記第1接点28と前記第2接点29とに所定電圧を印加しておき、前記連結部材11が傾斜し、傾斜量が所要量を超えると前記第1接点28と前記第2接点29とが接触し、前記第1接点28と前記第2接点29間で通電して傾斜限度を超えたことが検出される。
【0071】
尚、上記実施例では、支持体3は1本の棒状部材であったが、支持体3を2脚、3脚としてもよい。この場合、各脚を伸縮可能とすると共に、脚の伸縮によって支持体3を傾斜可能とし、前記全周プリズム5の支持点が水平方向に変位可能な構成とする。
【符号の説明】
【0072】
1 測設点指示装置
2 測量機
3 支持体
4 プリズム支持部
5 全周プリズム
6 プリズムホルダ
7 レーザポインタ
8 球体
9 球面座部
11 連結部材
12 レーザ光線
13 光軸
14 フード
15 誘導装置
16 表示部
17 第1制御演算部
18 記憶部
19 第1通信部
21 測距・測角部
22 第2制御演算部
23 第2通信部
25 反射部
26 フォトセンサ