(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明を実施するための形態】
【0008】
次に記載する好適な実施形態の詳細説明において、本発明を実施する特定の形態を、限定の目的ではなくて、例示の目的で示す図面を参照する。本発明の思想及び範囲を逸脱することなく、他の実施形態も可能であるし、変更もなし得ることは当然である。
【0009】
図1を参照すると、発電機用ステータ10の一部が図示してあり、放射状に延設されたスロット16を画定する多数のステータティース(固定子歯)14を備えたステータコア12が含まれている。ステータコア12は、各スロット16に配置された1以上のステータバー20を含むステータコイル18を備える。図示の実施形態においては、一対のステータバー20が、各スロット16内に積み重ねた状態で配置されている。ステータバー20は、接地壁絶縁を形成する絶縁層(図示せず)で包んでおくことができる。
【0010】
バー20は保持機構24によりその位置を維持可能とされる。保持機構24は、スロット16においてステータバー20の内側のものよりも半径方向内方に位置した、トップスロットフィルタ26などの1以上のフィルタ部材とトップリップル(波形)スプリング28とを備える。保持機構24はさらに、トップリップルスプリング28よりも半径方向内方に配置してスロット16に組み入れたくさび30を備え、予め決められた締め付け力でスロット16内にステータバー20を押さえ込み、ステータコア12に対するバー20の変動をほぼ制限する。ステータバー20の対の位置は保持機構24によりほぼ維持されるが、それでもステータバー20の多少の曲げ変動が発電機内振動に伴い発生し、バー20の素材中にストレスをもたらす。
【0011】
追加して
図2を参照すると、本発明の一実施形態に係る振動センサ50が、ステータバーの中の所定のバー20’に、
図1に示すごとく該選択ステータスバー20’の端部20Aにおいて取り付けられる。ただし、ステータコア12のその他のステータバー20がさらに振動センサ50を含んでいてもよい。また、振動センサ50は、選択ステータセンサ20’に、例えば上部20Bや側部20C(
図1参照)といった端部20A以外の場所で取り付けられていてもよい。
【0012】
本発明によれば、選択ステータバー20’の振動及び振動センサ50の状況、すなわち構造的状況、が振動センサ50により提供される信号を介して監視される。つまり、振動センサ50がセンサデータを含んだ信号を生成し、ここに説明するように、本発明の実施形態に従って、センサデータの監視により選択ステータバー20’の振動が判断され、また振動センサ50の状況も判断される。振動センサ50により提供される信号は、ほぼ周期的に変化する値の動的測定信号を含み、ステータバー20内のストレスレベルを表し得る。特に、この測定信号は、選択ステータバー20’の端部20Aに関し、一度の識別で速度のデータを提供し、二度の識別で加速度のデータを提供する、変位信号を含む。
【0013】
図2〜
図4を参照すると、振動センサ50は、ここに説明する振動センサ50の内部部品を収容したハウジング52(
図2及び
図4)を備える。
図3には振動センサ50の要部のみを示し、該要部をより明確に図示してその機能を効果的に説明し易くしてある。
【0014】
振動センサ50は、光ファイバ導体(FOC)58に形成した屈折率格子により画定される光ファイバブラッググレーティング(FBG)54(
図3及び
図4参照)を備えた光ファイバセンサを含む。FBG54の屈折率格子は、予め決められた間隔で形成され、FOC58を通る光を、格子特有の中心ブラッグ波長λ
0を含む予め決められた波長で反射する。FOC58は、例えば既存のブラッググレーティングセンサにおいて使用されている光ファイバなど、FBG54のどちらかの側に力をかけると伸張及び短縮し得る、弾性的に変形可能な材料を用いて形成される。以下に詳しく説明するように、FOC58は、該FOC58も接続されるフレームに対して変位する変位可能質量体に、接続される。選択ステータバー20’の振動に対応した、フレームに対する該質量体の変位は、FOC58の周期的な弾性伸張及び短縮を招き、その結果、FBG54から反射される光の測定波長λが、中心ブラッグ波長λ
0に対して周期的に変化する。FBG54から反射される光の測定波長λの周期的変化は、周知の方法で監視されて処理され、選択ステータバー20’の領域における発電機の状況が調べられる。
【0015】
広帯域光源などの光照射源56がカプラ60でFOC58と連結され、振動センサ50に光を照射する(
図2〜
図4参照)。光照射源56は、振動センサ50の中心ブラッグ波長λ
0の反射応答に対応して予め決められた範囲の光波長(又は周波数)を提供する。ここに説明するように、振動センサ50からの反射光は、FOC58を伝って戻り、カプラ60を介してプロセッサ62又はスペクトルアナライザで受光される。
【0016】
図2を参照すると、FOC58は、ハウジング52の壁に形成された孔64を通ってハウジング52へ入る。
図3に示すように、FOC58の第1部分58Aは、振動センサ50のアンカー(錨)部材66を貫通するボア66Aを通り延伸する。FOC58の第1部分58Aは、例えば、ボア66A内でアンカー部材66にFOC58の第1部分58Aを接着剤接合やセメンティングするなどによる適切な付着処理を使用して、ボア66A内の第1位置L
1(
図3参照)でアンカー部材66に固着させてある。アンカー部材66は、アンカープレート構造体68に形成されている孔68Aを通って延伸し、コアサポート70へ螺着される(
図4参照)。アンカープレート構造体68は、該アンカープレート構造体68の脚69の溝69Aとアンカー部材66との間におけるFOC58の湾曲部を画定するためと、FOC58の第1部分58Aの位置を維持するために、使用される。アンカープレート構造体68は、複数のボルト72でコアサポート70へ取り付けられ、コアサポート70は、複数のボルト74でハウジング52の下側部品52Aへ連結される(
図2参照)。コアサポート70は、ハウジング52の下側部品52A内において、アンカープレート構造体68、アンカー部材66、及び第1位置L
1にあるFOC58の第1部分58Aを構造的に支持し、これらの部品をハウジング52に対し固定とする。
【0017】
図4に示すように、アンカー部材66の螺合端部66Bは、コアサポート70を貫通する螺合孔70Aへ螺合する。FOC58は、アンカー部材端部66Bでボア66Aから出て延伸し、ここに説明するポインター(指標)部材80を通り延伸するボア80Aへ受け入れられる(
図3参照)。アンカー部材66とポインター部材80との間に延びるFOC58の第2部分58Bが伸張及び短縮させられ、ここに、上述のFBG54を有するFOC58の検知部分が含まれる。
【0018】
図4に示すように、ポインター部材80の螺合第1端部80Bは、第1質量体82の螺合孔82Aへ螺合して該第1質量体82を支持する。ポインター部材80の螺合第2端部80Cは、第2質量体84の螺合孔84Aへ螺合して該第2質量体84を支持する。第1及び第2質量体82,84のそれぞれは本発明の一実施形態によれば20〜30グラムの重さであるが、質量体82,84は、振動センサ50及び該センサを用いる発電機の構成に応じたその他の重さであってよい。質量体82,84に関するさらなる詳細がここに説明される。
【0019】
FOC58の第3部分58C(
図3参照)は、例えば、ボア80A内でポインター部材80にFOC58の第3部分58Cを接着剤接合やセメンティングするなどによる適切な付着処理を使用して、ボア80A内の第2位置L
2でポインター部材80の第2端部80Cに固着させてある。ここに説明するように、第2位置L
2にあるFOC58の第3部分58Cは、ハウジング52に対し可動である。
【0020】
図2〜
図4を参照すると、メンブレンスプリングアセンブリ90がポインター部材80とつながっている。
図4に最も明示されているように、メンブレンスプリングアセンブリ90は、第1メンブレンストッパ92、第1高さディスク94、メンブレンディスク96、第2高さディスク98、及び第2メンブレンストッパ100を備える。メンブレンスプリングアセンブリ90のこれらの部品は、好ましくは、ステンレス鋼により形成し、複数のボルト102で互いに連結する。
【0021】
ボルト102はスペーサ部材104のねじ穴104Aへ締め込まれ、メンブレンスプリングアセンブリ90をスペーサ部材104へ連結する(
図2及び
図4参照)。スペーサ部材104は、複数のボルト105でコアサポート70へ連結される。コアサポート70及びスペーサ部材104により質量スプリングサポート構造体107が構成され、メンブレンディスク96の外周縁部分がハウジング52へ事実上連結される。したがって、メンブレンディスク96の外周縁部分は選択ステータバー20’へ事実上連結される。すなわち、メンブレンディスク96の外周縁部分は、コアサポート70によってハウジング52内で構造的に支持され、ハウジング52及び選択ステータバー20’に対し固定とされる。スペーサ部材104がメンブレンスプリングアセンブリ90とコアサポート70との好適な間隔を維持するために設けられるが、メンブレンディスク96は、ここに説明するように、発電機運転中、振動センサ50に伝わる振動に応じて、振動センサ50の中心軸CA(
図2参照)の方向において少量撓む。
【0022】
図3及び
図4に示すように、第1及び第2ナット106,108が第1及び第2質量体82,84のそれぞれとメンブレンディスク96との間に位置する。これら質量体82,84及びナット106,108は、それらの間にメンブレンディスク96を事実上挟持し、メンブレンディスク96の可動(対ハウジング52)中央部分を、中央部分の各側へのナット106,108の螺着を通じて、ポインター部材80へ連結する。ポインター部材80は、第2位置L
2においてポインター部材80のボア80A内にFOC58の第3部分58Cが結合されていることにより、FBG54を含むFOC58の第2部分58Bと、事実上接続されている。したがって、メンブレンディスク96の中央部分は、FBG54を含むFOC58の第2部分58Bと事実上連結され、選択ステータバー20’の振動性変動及び振動センサ50とメンブレンディスク96の外周縁部分の対応する変動が、FBG54を含むFOC58の第2部分58Bを変位させる。すなわち、メンブレンディスク96の中央部分と第1及び第2質量体82,84とは互いに対し固定である一方、ハウジング52に対しては可動であり、質量スプリングシステム110(
図2参照)を形成する。質量スプリングシステム110は質量スプリングサポート構造体107へ支持され、選択ステータバー20’からハウジング52へ伝わる振動により生じるメンブレンディスク96の中央部分の撓み変動が、ここに説明するように、FBG54を含むFOC58の第2部分58Bの対応する伸張及び短縮を発生させる。
【0023】
メンブレンディスク96の互いに反対側に配置された第1及び第2高さディスク94,98は、それぞれ中央孔94A,98A(
図4参照)を画定するリング状部材からなる。第1及び第2高さディスク94,98は、メンブレンディスク96の中央部分振動性変動を減衰させ、メンブレンディスク96の最大変位撓みを制限し、これによりFOC58の第2部分58Bの伸張量及び短縮量を制限してFOC58の損壊を防止する。詳細には、第1高さディスク94は、センサ50の放射状で内向きの方向、すなわちセンサ50の中心軸方向CAと平行な方向、のメンブレンディスク96の外周縁部分の変動を規制することにより、メンブレンディスク96の中央部分の最大変位撓みを制限し、FOC58の第2部分58Bの短縮量を事実上制限する。同様に、第2高さディスク98は、放射状で外向きの方向のメンブレンディスク96の外周縁部分の変動を規制することにより、メンブレンディスク96の中央部分の最大変位撓みを制限し、FOC58の第2部分58Bの伸張量を事実上制限する。なお、高さディスク94,98の孔94A,98Aのサイズを変更することで、当該高さディスク94,98により提供されるメンブレンディスク96の中央部分振動性変動に対する減衰量を調節することができる。
【0024】
第1及び第2メンブレンストッパ92,100もまた、メンブレンディスク96の最大変位撓みを制限し、これにより、FOC58の第2部分58Bの伸張量及び短縮量が制限され、FOC58の損壊が防止される。詳細には、第1メンブレンストッパ92が、メンブレンディスク96の中央部分と接触する物理的停止部位として機能し、放射状で内向きの方向のメンブレンディスク96の中央部分の変動が規制されて、FOC58の第2部分58Bの短縮量が事実上制限される。同様に、第2メンブレンストッパ100が、メンブレンディスク96の中央部分と接触する物理的停止部位として機能し、放射状で外向きの方向のメンブレンディスク96の中央部分変動が規制されて、FOC58の第2部分58Bの伸張量が事実上制限される。
【0025】
なお、メンブレンストッパ92,100の孔92A,100A(
図4参照)のサイズ及び高さディスク94,98の厚みの一方又は両方を変更することで、メンブレンストッパ92,100により提供されるメンブレンディスク96の中央部分振動性変動の制限を調節することができる。また、メンブレンディスク96の外周縁部分はハウジング52に対し固定であり且つメンブレンディスク96の中央部分はハウジング52に対し可動であるが、センサ50としては、メンブレンディスク96の外周縁部分がハウジング52に対し可動且つメンブレンディスク96の中央部分がハウジング52に対し固定とする構成とすることも可能である。すなわち、第1及び第2高さディスク94,98がその間にメンブレンディスク96の中央部分を挟持し、外周縁部分が放射状で撓むことを許容する。このような構成において、メンブレンディスク96の外周部分、あるいは少なくともその一部が、直接的又は間接的に、FOC58の第2部分58Bへ構造的に連結される。
【0026】
さらに、メンブレンストッパ92,100の孔92A,100Aのサイズは本実施形態においては固定であるが、当該孔92A,100Aのサイズは、発電機運転中に手動又は自動でアジャストしてメンブレンディスク96の最大変位撓みを変化させられるように、可変とすることもできる。これは、いわゆる当業者には自明であるように、カメラの絞り機構のような方式で実施可能である。
【0027】
本実施形態の場合、第1及び第2メンブレンストッパ92,100は、高さディスク94,98とは別部品としてある。しかしながら、高さディスク94,98は、各メンブレンストッパ92,100と一体として、すなわちストップ部品として形成することもできる。
【0028】
発電機運転中、選択ステータバー20’の端部20Aに対するセンサハウジング52の取り付け部を経て、ステータバー20’の振動(振動性変動)がセンサハウジング52の対応する振動性変動を引き起こす。センサハウジング52の振動性変動は、センサハウジング52の下側部品52Aにコアサポート70が連結されているので、質量スプリングサポート構造体107へ伝達される。メンブレンディスク96の外周縁部分が質量スプリングサポート構造体107へ固着しているので、ハウジング52の振動性変動は、メンブレンディスク96の外周縁部分へ伝達される。メンブレンディスク96の中央部分においては、質量体82,84の慣性がメンブレンディスク96の中央部分の変動に事実上抵抗し、固定であるメンブレンディスク96の外周縁部分に伝達された振動性変動に応じてメンブレンディスク96を撓ませる。したがって、メンブレンディスク96は、選択ステータバー20’の駆動周波数に応じた周波数で振動し得る。
【0029】
FOC58の第3部分58Cがポインター部材80、すなわち第2位置L
2、を通じてメンブレンディスク96の中央部分と連結され、そして、FOC58の第1部分58Aがアンカー部材66、すなわち第1位置L
1、を通じてサポート70と連結されているので、質量スプリングサポート構造体107によりメンブレンディスク96へ伝達される振動による、メンブレンディスク96の中央部分の変位は、FOC58の第2部分58Bの対応する伸張及び短縮を、選択ステータバー20’における振動の周波数に対応する周波数で、引き起こす。なお、好ましくは、FOC58は、予め緊張させた状態でアンカー部材66及びポインター部材80に取り付ける。この場合、メンブレンディスク96に伝達される振動性変動は、FOC58のさらなる伸張と短縮をもたらす。このFOC58の伸張及び短縮は非常に小さく、すなわち、マイクロメーターのオーダーである。巨視的(肉眼的)スケールでみると、メンブレンディスク96の変動及び対応するFOC58の変動はほとんど感知できないが、その結果生じるFBG54の伸張及び短縮は、FBG54により反射される波長λに検知可能な変化を引き起こす。反射波長λの変化は、ハウジング52の振動性変動により生じるメンブレンディスク96の変位に直接関係する、FOC58の伸張及び短縮の大きさの直接測定値である。この方法により、メンブレンディスク96の撓み変動を、選択ステータバー20’の端部20Aの振動に関連した変位を判断するために、測定して使用し得る。
【0030】
FBG54で生成された反射波長λの形式でのデータは、FOC58を通り、カプラ60を経てプロセッサ62へ伝送される。プロセッサ62は、データすなわち波長λの変化を時間軸で処理し、データに関わる加速度を判断する。さらに、プロセッサ62は、時間に伴う波長変化に基づいて変化の周波数を判断する。とりわけ、選択ステータバー20’上のセンサ50の変位及び加速度の一方又は両方に対応したデータの受信に加え、プロセッサ62は、データを処理して、注目すべき周波数を、その周波数での変位及び加速度の一方又は両方の大きさを含めて、識別する。このような注目すべき周波数の一つが、メンブレンディスク96及び質量体82,84により形成される質量スプリングシステム110の固有周波数に相当する。
【0031】
既存の加速度計センサの設計の場合、質量スプリングシステムは、その固有周波数が、センサにより監視すべきシステムにおける振動周波数と実質的に異なっているように設計することが望まれる。殊に、既存のセンサ設計においては、センサの固有周波数が測定対象のシステムの周波数よりも実質的に高くなるように設計することが、常識である。センサの固有周波数と監視すべきシステムで収集されるデータの周波数との間に実質的差異を設定することで、センサからの固有周波数入力に関連した歪みが収集データにおけるノイズとして干渉する可能性はまずない。
【0032】
本発明の一つの側面によると、センサ50の質量スプリングシステム110の固有周波数は、監視すべきシステムの駆動周波数に比較的近いものに設計される。特に、システムが高感度をもつように設計されると、センサ50の質量スプリングシステム110の固有周波数を低める結果となる。例えば、監視周波数の大部分が典型的には約250Hz以下の調波(高調波)周波数を含む発電機の場合、センサ50の設計は、約400Hz以上、例えば約410Hzの固有周波数を含み得る。しかし、振動センサ50の設計は、その固有周波数を、他の監視すべき周波数をもつ他のシステムでの使用に合わせるように、改変することができる。例えば、第1及び第2質量体82,84の重さ及び高さディスク94,98の中央孔94A,98Aのサイズの一方又は両方を、振動センサ50の固有周波数を事実上変更すべく変えることができる。さらに、センサ50の感度は、メンブレンディスク96の厚さ、直径、及び硬さの少なくともいずれかを変更することによりチューニングすることができる。
【0033】
システムの振動を表す、すなわち、選択ステータバー20’で生成される振動性変位に対応するデータを含む、振動センサ50から出力されるセンサデータと、振動センサ50の固有周波数を表すデータとは、FOC58によってカプラ60を通りプロセッサ62へ伝送される。このデータは、リアルタイムでプロセッサ62により監視される。メンブレンディスク96の変位の変化に対応するセンサデータは、振幅(変位)測定値を得るために使用され、センサ50の固有周波数と共にセンサ50の振動が得られる。
【0034】
センサデータを高速フーリエ変換(FFT)で処理した後の、正常運転状況における振動センサ50の周波数の典型的出力スペクトルを示したグラフを、
図5に示す。メンブレンディスク96で測定される、選択ステータバー20’の振動は、符号F
Vでグラフ中に示されている。F
V1及びF
V2は、振動F
Vの調波である。振動センサ50の固有周波数は、符号F
Nでグラフ中に示されている。なお、振動センサ50の固有周波数は、発電機内で起こる振動から独立している。すなわち、センサ50の固有周波数F
Nの逸脱は、ほぼ、選択ステータバー20’の測定振動F
Vの逸脱に影響しない又は逸脱を引き起こしたりしないし、その逆もまた同様である。上述のように、振動センサ50により検知される振動の大部分は、振動センサの固有周波数より低い調波周波数を含む。すなわち、上述の具体例においては、振動センサ50により検知される振動の大部分は250Hz以下の調波周波数を含む一方、例示した振動センサの固有周波数は約410Hzである。
【0035】
プロセッサ62は、センサデータを監視し、発電機部品にダメージを与え得る振動を見張る。監視振動F
Vが予定の振幅範囲又は周波数範囲から外れていると判断される場合、少なくとも1つのシステム運転パラメータを変更して発電機に起こっている振動を変えることができる。例えば、発電機の負荷を減らしたり、発電機冷却用のガス又は水の温度を変えたりすることが可能である。
【0036】
また、プロセッサ62は、振動センサ50の固有周波数F
Nを表すデータの変化、例えば、振動センサ50におけるクラックなどの構造的ダメージを示す変化、を見張る。すなわち、本実施形態によれば、振動センサ50の固有周波数包絡線のピークがおよそ410Hzである。この値が、例えば少なくとも5Hz程度の予め決めた量だけ410Hzから外れる場合、振動センサ50は構造的ダメージをおっており、修理又は交換が必要である。したがって、振動センサ50の固有周波数のピークが少なくとも5Hzほど410Hzから外れる、すなわち、
図6に示すように低くなる、あるいは、
図7に示すように高くなる場合、振動センサ50の修理や交換のために注意が喚起される。この他の要因も、振動センサ50の注意喚起に対する引き金として使用し得る。例えば、振動センサ50の固有周波数の周波数包絡線が
図8と
図9にそれぞれ示すようになだらかになったり急峻になったりする場合である。なお、
図6〜
図9中に示す点線は、
図5に示す正常な運転状況における振動センサ50の周波数包絡線を表し、
図6〜
図9において振動センサ50の周波数逸脱を説明するために提供されている。
【0037】
振動センサ50に注意が喚起されると、選択ステータバー20’から取り外して点検し、例えば、修理や交換が行われる。そして、新しい振動センサ(あるいは修理した振動センサ50)が選択ステータバー20’に配設される。
【0038】
振動センサ50の状況は選択ステータバー20’の振動と同時に監視されるので、振動センサ50のいかなるダメージも、早い段階で検出することができ、振動センサ50に対する物理的点検不要で実行することができる。さらに、振動センサ50の固有周波数F
Nを表すデータは、選択ステータバー20’の振動F
Vを表すデータと同時にFOC58を通し本質的に伝送されるので、振動センサ50の状況を監視するための専用機器が不要である。
【0039】
図10を参照すると、発電機201の運転状況を監視するシステム200が示されている。このシステム200は、上述の振動センサ50などの振動センサを少なくとも1つ含むが、好ましくは、多数の振動センサ50a〜fを備え、該振動センサ50a〜fのそれぞれが、上述のような対応するステータバーへ取り付けられている。
【0040】
システム200の各振動センサ50a〜fは、プロセッサ202、例えばプラントデータ取得システムと通信し、センサデータを送信する。そのセンサデータは、上述のように、対応する振動センサ50a〜fに伝わる振動を表すデータと対応する振動センサ50a〜fの固有周波数を表すデータとを含んでいる。さらに、システム200の各振動センサ50a〜fは、個々のセンサ50a〜fに対応した固有の中心ブラッグ波長λ
0をもつ固有のFBG54a〜fを有する。広帯域光源などの光照射源56が、振動センサ50a〜fまで延伸する多数のFOC58a〜fに接続され、振動センサ50a〜fへ光を放射する。広帯域光源は、センサ50a〜fのFBG54a〜fにより提供される反射波長に対応した範囲の光を供給する。プロセッサ202は、センサ50a〜fのFBG54a〜fからそれぞれ反射される固有の波長範囲に基づいて、センサ50a〜fから受信されるデータの発信源を同定し得る。
【0041】
プロセッサ202は、振動センサ50a〜fのそれぞれに対応するセンサデータを取得する。その監視センサデータが、予定範囲から外れた振動の発生を示している場合、発電機201の1以上の運転状況が変更されてその中で生じている振動が変えられる。さらに、上述したように、監視センサデータが、振動センサ50a〜fのいずれかの固有周波数が正常周波数から外れている、例えば、低くなっているか又は高くなっていることを示す場合、あるいは、周波数包絡線がなだらか又は急峻になっている場合、当該振動センサ50の修理又は交換のための注意が喚起される。
【0042】
図11及び
図12を参照すると、本発明の他の実施形態に係る振動センサ用のメンブレンディスク300,400が示されている。
図11に示すメンブレンディスク300は、概略円形であり、その外周縁の切り欠き又はその他の切除による丸め又は湾曲凹部302,304,306,308を有する。すなわち、凹部302,304,306,308は外周縁から半径方向内方へ延設されている。
図12に示すメンブレンディスク400は、概略円形であり、その外周縁の切り欠き又はその他の切除による、より広範囲の双曲線状凹部402,404,406,408を有する。すなわち、凹部402,404,406,408は外周縁から半径方向内方へ延設されている。凹部302〜308及び凹部402〜408の切り欠きにより、メンブレンディスク300,400はより撓み易くなり、メンブレンディスク300,400の固有周波数が低くなる。また、当該メンブレンディスク300,400はそり易いので、各振動センサが取り付けられるステータバーの振動におけるより小さな振幅変化に応じてメンブレンディスク300,400が容易に撓み、センサがより高感度になる。加えて、
図12の実施形態の場合、メンブレンディスク400から材料を切り欠いた凹部402〜408を画定する双曲線状が、決められた設計基準に準拠するメンブレンディスク400のチューニングを可能にすると期待される。さらに、切り欠き凹部402〜408の双曲線状は、メンブレンディスク400の構造的ストレスを大幅に低くし、ディスク400にクラックが入る可能性を低くする。
【0043】
ここに説明したセンサデータの監視は、振動センサ50の使用に関連させて説明してきたが、本発明のシステム及び方法は、センサの固有周波数を表すデータを含んだ出力を提供するいずれのセンサでも実行し得る。さらに、発電機内状況が監視されるとしてここに説明しているが、他のタイプのシステムでも、ここに説明するシステム及び方法を使用して監視可能である。すなわち、ここに説明したシステム及び方法は、発電機内状況の監視に限定するように意図されてはいない。
【0044】
本発明の特定の実施形態について図示し説明してきたが、当業者であれば、本発明の思想及び範囲を逸脱することなくその他様々な交換や変更をなし得ることは自明である。したがって、本発明の範囲内にあるそれら交換や変更の全ては特許請求の範囲に含まれるものと意図されている。