(54)【発明の名称】デュアルLCDディスプレイ、デュアルLCDディスプレイのための制御装置、デュアルLCDディスプレイのカラーLCDパネルおよび無彩色LCDパネルのための駆動信号を生成する方法、およびデュアルLCDディスプレイのカラーLCDパネルのための複数のカラーパネル駆動値を決定する方法
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記カラーLCDパネル及び前記無彩色LCDパネルは、前記バックライトからの光が前記無彩色LCDパネルを照明するように配置され、前記無彩色LCDパネルを透過された光が、前記カラーLCDパネルを照明する、請求項1に記載のデュアルLCDディスプレイ。
前記制御装置が、入力画像ピクセルに対応して、無彩色パネル駆動値の組およびカラーパネル駆動値の組を決定するように構成され、前記制御装置が、ルックアップテーブルを含み、前記制御装置が、前記入力画像ピクセルと、前記無彩色パネル駆動値の組を決定する少なくとも1つの色値とに応答して、前記ルックアップテーブルから前記カラーパネル駆動値の組を読み取るように構成されている、請求項1に記載のデュアルLCDディスプレイ。
前記無彩色パネル駆動値の組が、前記無彩色LCDパネルのピクセルの3つのセルを駆動するための三つ組の無彩色パネル駆動値P1、P2、およびP3である、請求項3に記載のデュアルLCDディスプレイ。
前記制御装置が、入力画像ピクセルに対応して、無彩色パネル駆動値の組およびカラーパネル駆動値の組を決定するように構成され、前記入力画像ピクセルと、前記無彩色パネル駆動値の組を決定する少なくとも1つの色値とに対応して、前記カラーパネル駆動値の組を決定するデータを生成するように構成されている、請求項1に記載のデュアルLCDディスプレイ。
前記制御装置が、入力画像ピクセルに対応して、カラーパネル駆動値を生成するためのカラーLCDパネル及び無彩色LCDパネルの光学的な乗算における非線形性に対処すべく色回転を実施するように構成されている、請求項7に記載のデュアルLCDディスプレイ。
前記カラー駆動ルックアップテーブルは、前記入力画像信号および前記複数の無彩色パネル駆動値に応答して、前記複数のカラーパネル駆動値を出力するように構成されている、請求項12に記載のデュアルLCDディスプレイ。
前記カラー駆動ルックアップテーブルは、前記入力画像信号と、前記複数の無彩色パネル駆動値の生成中に前記制御装置によって生成される中間値とに応答して、前記複数のカラーパネル駆動値を出力するように構成されている、請求項12に記載のデュアルLCDディスプレイ。
前記無彩色駆動ルックアップテーブルは、前記入力画像信号に応答して前記制御装置によって生成された複数の輝度値に応答して、前記複数の無彩色パネル駆動値を出力するように構成されている、請求項12に記載のデュアルLCDディスプレイ。
前記無彩色パネル駆動サブシステムは、入力画像ピクセルに対応して無彩色パネル駆動値の組を決定するように構成され、前記カラーパネル駆動サブシステムは、前記入力画像ピクセルに対応してカラーパネル駆動値の組を決定するように構成され、前記カラーパネル駆動サブシステムは、ルックアップテーブルを含み、前記入力画像ピクセルと、前記無彩色パネル駆動値の組を決定する少なくとも1つの色値とに対応して、前記ルックアップテーブルから前記カラーパネル駆動値の組を読み取るように構成されている、請求項17に記載の制御装置。
前記無彩色パネル駆動値の組が、前記無彩色LCDパネルのピクセルの3つのセルを駆動するための三つ組の無彩色パネル駆動値P1、P2、およびP3である、請求項18に記載の制御装置。
前記無彩色パネル駆動サブシステムが、入力画像ピクセルに対応して無彩色パネル駆動値の組を決定するように構成され、前記カラーパネル駆動サブシステムが、前記入力画像ピクセルと、前記無彩色パネル駆動値の組を決定する少なくとも1つの色値とに対応して、カラーパネル駆動の組を決定するデータを生成するように構成されている、請求項17に記載の制御装置。
前記カラーパネル駆動サブシステムは、前記入力画像ピクセルに対応して、カラーパネル駆動値を生成するための前記カラーLCDパネル及び前記無彩色LCDパネルの光学的な乗算における非線形性に対処すべく、色回転を実施するように構成されている、請求項22に記載の制御装置。
前記無彩色パネル駆動サブシステムは、前記入力画像信号に応答して前記無彩色パネル駆動サブシステムによって生成される複数の値に応答して前記複数の無彩色パネル駆動値を出力するように構成された無彩色駆動ルックアップテーブルを含み、前記カラーパネル駆動サブシステムは、前記入力画像信号に応答して前記複数のカラーパネル駆動値を出力するように構成されたカラー駆動ルックアップテーブルを含む、請求項17に記載の制御装置。
前記カラー駆動ルックアップテーブルは、前記入力画像信号および前記複数の無彩色パネル駆動値に応答して、前記複数のカラーパネル駆動値を出力するように構成されている、請求項26に記載の制御装置。
前記カラー駆動ルックアップテーブルは、前記入力画像信号と、前記複数の無彩色パネル駆動値の生成中に前記無彩色パネル駆動サブシステムによって生成される複数の中間値とに応答して、前記複数のカラーパネル駆動値を出力するように構成されている、請求項26に記載の制御装置。
前記無彩色駆動ルックアップテーブルは、前記入力画像信号に応答して前記無彩色パネル駆動サブシステムによって生成される複数の輝度値に応答して、前記複数の無彩色パネル駆動値を出力するように構成されている、請求項26に記載の制御装置。
前記無彩色パネル駆動値の組が、前記無彩色LCDパネルのピクセルの3つのセルを駆動するための三つ組の無彩色パネル駆動値P1、P2、およびP3である、請求項32に記載の方法。
前記色回転が、前記入力画像ピクセルに対応して、カラーパネル駆動値の組を決定するデータ生成するための前記カラーLCDパネル及び前記無彩色LCDパネルの光学的な乗算における非線形性に対処すべく行われる、請求項36に記載の方法。
前記入力画像信号に応答して生成される値に応答して第1のルックアップテーブルから前記無彩色パネル駆動値を読み取るステップと、前記入力画像信号に応答して第2のルックアップテーブルから前記複数のカラーパネル駆動値を読み取るステップとを含む、請求項31に記載の方法。
前記複数の無彩色パネル駆動値が、前記入力画像信号に応答して生成される複数の輝度値に応答して前記第1のルックアップテーブルから読み出される、請求項40に記載の方法。
前記複数のカラーパネル駆動値が、前記入力画像信号および前記複数の無彩色パネル駆動値に応答して前記第2のルックアップテーブルから読み出される、請求項40に記載の方法。
前記複数のカラーパネル駆動値が、前記入力画像信号と、前記入力画像信号に応答して生成される複数の中間値とに応答して前記第2のルックアップテーブルから読み出される、請求項40に記載の方法。
デュアルLCDディスプレイのカラーLCDパネルのための複数のカラーパネル駆動値を決定する方法であって、前記デュアルLCDディスプレイが、無彩色LCDパネルも含み、前記方法が、
入力ピクセルの組に対応して前記デュアルLCDディスプレイによって表示される色を測定すると共に、前記入力ピクセルの組から決定される複数のカラーパネル駆動値を用いて前記カラーLCDパネルを駆動し、前記入力ピクセルの組から決定される複数の無彩色パネル駆動値を用いて前記無彩色LCDパネルを駆動するステップと、
前記入力ピクセルの各組に対応して前記デュアルLCDディスプレイによって表示された表示色を、入力ピクセルの前記各組によって決定される目標の色と比較するステップと、
前記入力ピクセルの各組に対して、1組の補正されたカラーパネル駆動値を決定して、前記デュアルLCDディスプレイが、前記補正されたカラーパネル駆動値と、入力ピクセルの前記各組から決定された前記複数の無彩色パネル駆動値とに応答して前記目標の色を表示し、前記補正された複数のカラーパネル駆動値に対して補間を行って、全部の補正されたカラーパネル駆動値が決定され、前記入力ピクセルによって決定される前記無彩色LCDパネルの変化する駆動状態による前記無彩色LCDパネルによって透過される光の色の変化を動的に補償すべく、入力ピクセルに対応して前記全部の補正されたカラーパネル駆動値から選択される前記補正されたカラーパネル駆動値により、前記カラーLCDパネルを駆動するための駆動信号が決定されるようにするステップとを含む、方法。
【発明を実施するための形態】
【0023】
本発明による制御方法の実施形態によれば、
図1、
図2、
図3B、
図4A、
図4B、
図4C、
図4D、および
図6を参照して説明するデュアルLCDパネルディスプレイ実施形態を含めた様々なデュアルLCDパネルディスプレイを制御することができる。(デュアルLCDパネルディスプレイのカラーLCDパネルおよび
無彩色LCDパネル用の駆動信号を生成するための)本発明による制御装置の例示的実施形態を、
図4A、
図4B、
図4C、
図4D、および
図5〜9を参照して説明する。
【0024】
(
図1の)ハイダイナミックレンジのデュアルLCDパネルディスプレイ200は、バックライト110を含み、バックライト110は、標準のCCFLまたは他の広帯域発光源(例えば、LEDやOLEDなど)でよい。バックライト110は、(下流のパネル240および250を直接照明する(1つまたは複数の)光源を備えることがある)直下式でも、(多くの薄型画面LCDディスプレイ設計でよく用いられているような)エッジライト式でもよく、一定のバックライト、全体的に減光されたバックライト、または局所的に減光されたバックライトを放出することができる。バックライトは、白色にすることができ、輝度を制御可能にすることができ、または多原色源、例えばRGB LEDによって駆動することもできる。
【0025】
バックライト110は、2つの下流の変調器、すなわちカラーLCDパネル250と、(パネル250の上流に配置された)
無彩色LCDパネル240とを照明する。バックライト210は、光218で
無彩色LCDパネル240を照明する。
無彩色パネル240は、変調光248を生成し、変調光248は、バックライト218の局所的に減光されたバージョンである。変調光248は、カラーLCDパネル250によって、色および明るさに関してさらに変調され、最終的な画像光258を生成する。(本発明に従って構成することができる)制御装置251は、入力画像データ(例えば、入力ビデオ)に応答して、パネル240および250の能動要素に駆動信号をアサートする。
【0026】
図示されるように、
無彩色パネル240は、初期偏光子242と、能動要素パネル244(典型的には、カラーフィルタのないねじれネマティック液晶(「TN」)セルの層)とを含む。カラーパネル250は、カラーパネル用の初期偏光子としても能動要素パネル244用の検光子としても働く偏光子246(例えば吸光偏光子)と、偏光子246を透過された光を偏光および色に関して変調するカラー能動層254(典型的には、TNセルの層と、その上のカラーフィルタの層)と、偏光ベースのフィルタリングによって強度変調を行う受動偏光子256とを備える。
【0027】
一定のバックライトの場合、バックライト110は、一定または一様な初期光218を生成する。他の実施形態では、初期光218を変調することができる(例えば、空間変調された光、事前変調された光、全体的に減光された光、RGBごとに減光された光、一時的に変調された光、またはこれらのタイプの光の組合せでよい)。光218は、パネル240を照明する(拡散器、コリメータ、明るさ向上フィルム(BEF)、およびデュアル明るさ向上フィルム(DBEF)などの任意のものを含めた様々な追加の光学要素を、光/画像チェーン内の実質的に任意の点に配置することができることに留意されたい)。ディスプレイ設計に応じて、反射器を含む他の光学要素を(例えばバックライト110とパネル240の間で)利用することもできる。
【0028】
図2は、ハイダイナミックレンジのデュアルLCDパネルディスプレイ260の概略図である。ディスプレイ260は、適切に設計された拡散器、すなわちアップストリーム拡散器272とミッドストリーム拡散器274とを追加することによって、
図1のディスプレイの性能を改良する。拡散器272および274以外の
図2におけるすべての要素は、
図1における同一の番号を付された要素と同じであり、それらの説明は
図2を参照して繰り返さない。アップストリーム拡散器272は、バックライトを、一様に分散された光源に拡散するように設計された「粗い」拡散器である。局所的に減光されたバックライトの場合、アップストリーム拡散器272は、アップストリーム変調器(
無彩色パネル240)のピクセルにわたってバックライトを滑らかに変化させるように設計される。
【0029】
ミッドストリーム拡散器274は、特に、
無彩色パネル240から放出された光を滑らかにするように設計される。好ましくは、ミッドストリーム拡散器274は、パネル240の各ピクセルから放出された光の粗い縁部を除去して滑らかにするように動作する。これを行うために、ミッドストリーム拡散器274は、アップストリーム拡散器272よりも高い拡散解像度を有する(例えば、より小さなフィーチャを拡散することが可能である)ことがあり、また、パネル240から放出された光の変調された解像度を維持することが可能であることもある。例えば、
図2Aは、
無彩色パネル240から放出されることがあるオンオフパターンでの変調光280の近似の解像度を示すグラフを提供する。ミッドストリーム拡散器274は、(例えば、
図2Aに示される拡散光285を生成するために)好ましくはピークの明るさおよび暗さをできるだけ維持しながら、鋭い縁部を除去して放出光を滑らかにするように機能する。
【0030】
拡散器274からパネル250に伝送される拡散光は、その鋭い縁部(例えば、より高い周波数)を除去されており、この拡散は、好ましくは、モアレパターンを「破壊」する、またはモアレパターンの生成を防止するのに十分である。モアレパターンは、典型的には、格子状パネルおよび/または他の光学要素の様々な組合せを備えるディスプレイにおいてアーチファクトとして生じる。ミッドストリーム拡散器274から伝送される拡散光285は、好ましくは、アップストリーム拡散器272から伝送される拡散光とは全く異なる拡散レベルである。アップストリーム拡散器は、例えば、バックライトが、バックライト内の1つの発光素子の位置から次の発光素子の位置に滑らかに変化させることができる。対照的に、ミッドストリーム拡散器は、例えば、単一のピクセル内の発光の滑らかな変化を提供し、直接隣接するピクセルからのみ光を混合することができる。一実施形態では、アップストリーム拡散器とミッドストリーム拡散器は、例えば1桁以上、拡散の粗さが異なる。実際、アップストリーム拡散器とミッドストリーム拡散器との解像度の差がはるかに大きいと、最良の結果が得られることがある。
【0031】
図2の一実装形態では、アップストリーム拡散器272は、バックライト内の複数の光源からの光を混合して滑らかにし、一方、ミッドストリーム拡散器274は、
無彩色パネル240の単一のピクセルからの光を滑らかにする。別の実装形態では、アップストリーム拡散器272は、アップストリーム拡散器272の単一のピクセルがバックライト内の複数の光源によって照明されるように光を混合するものとして表すことができ、ミッドストリーム拡散器274は、サブピクセルレベルでの
無彩色パネル240からの光(
無彩色パネルの個々のピクセルからの光。以下に説明するように、これらのピクセルは、本明細書では時として「サブピクセル」と呼ぶ)を混合するものとして表すことができる。一実施形態では、アップストリーム拡散器は、比較的細かいミッドストリーム拡散器に比べて粗い拡散器である。一実施形態では、ミッドストリーム拡散器は、サブピクセル解像度未満での拡散を提供する。別の実施形態では、ミッドストリーム拡散器は、通常であれば放出される光の高周波数成分をカットオフ、除去、位置変更、または消去する空間伝達関数を有する拡散器を備える。別の実施形態では、ミッドストリーム拡散器は、アップストリームピクセルの非矩形性を補償するために、ある方向で別の方向よりも大きく光を拡散する材料からなることがある。
【0032】
別の実施形態では、ミッドストリーム拡散器274は、変調光の解像度が変えられないように十分なディテールを保つ(例えば、解像度は変えられないが、より高い周波数のディテールはもはや存在しない)。ミッドストリーム拡散器は、
無彩色パネルによって変調された光の高周波数ディテールをマスクするように設計することができる。例えば、ミッドストリーム拡散器は、4つの最低高調波(例えば、
図2Aでは、画像280の4つの最低高調波が画像285を近似的に再生する)、または別の1組の最低高調波(例えば、基本周波数の2、3、5、6、7、または8個の最低高調波)を通過させる光学ローパスフィルタを備えることができる。ミッドストリーム拡散器は、例えば、
無彩色パネルによって光ストリーム中に配置されたサブピクセルレベルのフィーチャを除去する。ほとんどの実施形態において、
無彩色パネルでのピクセルのサイズは、
無彩色パネルと画像生成パネルとの間の距離よりも小さい。
【0033】
ミッドストリーム拡散器の粗さは、例えば、一因子として、
無彩色パネルのセルおよび周囲領域の幾何形状によって決定することができる。例えば、
無彩色パネルが、すべてのサイズに関して等しい量のハードウェア(ワイヤ、セル壁など)を有する正方形のセルを備える場合、ミッドストリーム拡散器の粗さは、すべての方向で概して一様である。
無彩色パネルのセルが長方形である場合、ミッドストリーム拡散器の粗さは、他の因子すべてが等しいと仮定して、長方形の長辺に対応する方向でより粗く、長方形の短辺に対応する方向でより細かい。
【0034】
また、ミッドストリーム拡散器274の粗さは、例えば、スケール、および/または物理的フィーチャまたは他の測定可能な制御されていないフィーチャ、および/または
無彩色パネルのセルの不完全性によって決定されることもある。粗さは、制御不可能なフィーチャをマスクするが、それでも(変調光の形での)パネルの解像光がほとんど変化せずに通ることができる解像度で決定することができる。例えば、
無彩色パネルのセル間の空間は、光を阻止することも、いくらかの量の非変調光を通すこともある。
無彩色パネルによって阻止された光または通過された非変調光は、画像内に制御されていないフィーチャまたは制御不可能なフィーチャを生成する。
【0035】
他の制御不可能なフィーチャは、例えば、通電レベルに起因しないセルの変調の差、および/またはセルの内部での不均一性を含むことがある。これらの任意のものは、例えば、製造または構成要素の品質のばらつきによることがある。一実施形態では、ミッドストリーム変調器の粗さは、制御不可能なフィーチャの1つまたは複数が、除去、マスク、または拡散による最小化の少なくとも1つを行われるように選択される。一実施形態では、制御不可能なフィーチャは、方向(例えば水平および垂直)に応じて異なり、各方向(単一の拡散器で少なくとも2方向)が、それらの方向で見られる異なる量の制御不可能なフィーチャに関連付けられる異なる拡散性質を有する。
【0036】
図1および
図2の実施形態において、偏光子246は、パネル240用の検光子としても、ダウンストリームパネル250用の初期方位偏光子としても使用される。ミッドストリーム拡散器274は、偏光を含むように、または既存の偏光を維持するように特別に構成することができる。ミッドストリーム拡散器274が偏光を維持する(例えば、拡散された光の偏光を実質的に変えない)場合、偏光子246は、上述したように、検光子としても初期方向偏光子としても働く。しかし、拡散器は、典型的には、望まれるよりも大きい偏光変化を与え、したがって、拡散要素274への偏光子の追加が望ましいことがあり、それにより、拡散および関連の偏光変化の前に検光することができる。この追加の偏光子は、明るさを犠牲にしてコントラストを高めることができる。
【0037】
図1および
図2の実施形態は、典型的には、変調器(
無彩色パネル240と画像生成パネル250)が互いに近接するように構成され、これは、1つの利点として、パネル同士の離隔によって引き起こされる視差を減少させる。変調器は、直接挟み合わせることができ、または薄膜、空気ギャップ、もしくは光学スタック要素などによって離隔して挟み合わせることができる。そのような光学スタック要素は、例えば、拡散器、コリメータ、または他の光学要素であり、これらは、LCDパネルのガラスおよび他の層よりも比較的薄い。パネルが近接している場合でさえ、特に複雑な画像またはパターンが垂直ではない角度で表示されて視聴されるときには、視差が生じることがある。本発明者らは、パネルの特定の構成が、
無彩色パネルと画像生成パネルとの能動層を互いにより近付け、視差の影響をさらに減少させると理解している。
【0038】
図3Aに、典型的な従来のLCDパネル310の構成が示されている。視聴側からの第1の層は、偏光(検光)層312である。次に、比較的厚い透明基板314(例えばガラス)が示されている。ガラスの非視聴側に、例えば、液晶層316を制御するためのワイヤおよび/または電子回路がエッチングされる。基板および(1つまたは複数の)液晶層と共に、カラーフィルタ層318および初期偏光層320が積層される。動作時、バックライトがパネル310を照明し、偏光層320が、初期偏光を設定し、カラーフィルタ318が、原色(赤色、緑色、および青色)を提供し、液晶層316が、R、G、B光それぞれの偏光を、各光を減衰すべき量だけ回転させる。次いで、検光層が、液晶層によって与えられたそれぞれの偏光に基づいた量のR、G、およびB光を吸収する。
【0039】
図3Bは、
無彩色LCDパネル350と、カラーLCDパネル370と、制御装置379とを含むデュアルLCDパネルディスプレイの一部の図であって、各LCDパネルにおける層の構成を示す図である。この構成は、カラーLCDパネル370の能動層のできるだけ近くに
無彩色LCDパネル350の能動層を配置するように特別に設計される。
無彩色パネル350の層は、(バックライト側から)透明基板352と、初期偏光層354と、能動層356(例えば制御可能な偏光層)とを備える。偏光子360(個別の構成要素であっても、
無彩色パネル350またはカラーLCDパネル370と共に積層されていてもよい)が、
無彩色パネル350用の検光偏光子として、かつまたカラーLCDパネル370用の初期偏光層として、二重の役割を果たす。
【0040】
バックライト側から続けて、カラーLCDパネル370の層は、カラーフィルタ層372と、能動層374と、基板376と、偏光(検光)層378とを備える。例えば基板376のバックライト側に偏光(検光)層378を配置することを含めた、これらの層の他の構成が利用されることもある。また、偏光(検光)層378を、カラーフィルタ層372のバックライト側に配置することもでき、能動層374を、パネル370のバックライト側に第1の層として配置することもできる(例えば、能動層−カラーフィルタ層−偏光(検光)層)。(本発明に従って構成することができる)制御装置379は、入力画像データ(例えば、入力ビデオ)に応答して、パネル350および370の能動要素に駆動信号をアサートする。
【0041】
本発明のいくつかの実施形態では、
無彩色パネルと画像生成パネルは、同様に構成されたLCDパネルから提供される。
無彩色パネルは、例えば、LCDパネルに対して後ろ向き、または上下逆(裏返しまたは反転)でよい。この構成は、同様に方向付けられた典型的な市販の構成のパネルの場合よりも、
無彩色パネルと画像生成パネルの能動層を互いに近くに配置する。
【0042】
図4Aは、(本発明の一実施形態に従ってモジュール410が実装される場合に)ディスプレイのカラーLCDパネルおよび
無彩色LCDパネル用の駆動信号を生成するために本発明の一実施形態に従って実装することができる制御装置(電子デバイス)のアーキテクチャを示す、デュアルLCDパネルディスプレイ用の制御装置のブロック図である。
無彩色LCDパネルは、ディスプレイのいくつかの典型的な実施形態では、カラーLCDパネルの上流に物理的に位置されるが、ディスプレイの他の実施形態では、カラーLCDパネルの下流に位置される(LCDパネルの相対位置に関わらず、本発明に従ってパネル用の駆動信号を生成することができる)。制御装置400は、カラーLCDパネルおよび
無彩色LCDパネル用の駆動信号を生成する電子システムまたはデバイス(例えば、電子回路、ソフトウェアアーキテクチャ、プログラマブルデバイスアーキテクチャ、プラグインなど、またはそれらの組合せ)である。画像またはビデオソース(例えば、DVD、ケーブル、ブロードキャスト、衛星、ストリーミングビデオ、インターネット、リムーバブルメディア、サム駆動など)から、カラーLCDパネル制御モジュール410および
無彩色パネル制御モジュール420に入力信号(R
in、G
in、およびB
in値を示す)が提供および/または抽出される。
無彩色パネル制御モジュールは、信号P
out(参照番号425で示される)を生成し、この信号P
outは、
無彩色LCDパネルにアサートされる(この
無彩色LCDパネルは、典型的には、デュアルLCDパネルディスプレイにおける対応するカラーLCDパネルの上流に位置される)。本質的に、P
out信号425は、
無彩色パネルのどのピクセルを減衰させるべきか、および(例えば、減衰すべきピクセルの偏光を、そのピクセルに関する所望の減衰の量に比例する量だけ回転させることによって実施される)減衰の量を示す。P
out信号425は、例えば、R
inG
inB
inデータから導出される輝度値でよい。
【0043】
カラーパネル制御モジュール410での処理は、例えば、特徴付けと補正の両方を実施することができ、(例えば、入力RGB値を、それらの所与の輝度に応答して補正する)補正応答曲線と、局所コントラストを増加または減少させる(カラーLCDパネルのピクセルをより暗く、またはより明るくする)非線形伝達関数とを生成する。
無彩色パネル制御モジュール420での処理は補正を実施することができ、この補正は、入力RGB値から求められる輝度値に伝達関数(例えば非線形伝達関数)を適用して、局所コントラストを増加または減少させる(
無彩色LCDパネルのピクセルをより暗く、またはより明るくする)。非線形関数は、例えば、隣接するピクセルの相対明るさを考慮しながら、ピクセルを明るく、または暗くすることができる。図示されるように、P
outは、カラーパネル制御モジュール410にアサートされ、それにより、モジュール410の出力は、入力R
inG
inB
inデータと、P
out信号によって決定される各
無彩色パネル駆動値によって決定される。代替として、(モジュール420で生成された)中間データ424が、排他的または追加的にカラーパネル制御モジュール410に転送されることがある。中間データ424は、例えば、P
outを生成するために実施されるステップの1つまたは複数を行うことによって生成される多少処理されたデータでよい(例えば、非線形関数を適用していない特徴付け)。R
inG
inB
inデータに応答して、カラーパネル制御モジュール410は、R
outG
outB
out駆動信号430を生成し、この駆動信号430は、ディスプレイのカラーLCDパネル(例えば1920×1080ピクセルのパネル)にアサートされて、カラーLCDパネルのピクセルを駆動する。
【0044】
図4Bは、(本発明の一実施形態に従ってモジュール462が実装される場合に)ディスプレイのカラーLCDパネル460用の駆動信号を生成するために本発明の一実施形態に従って実装することができる制御装置450(例えば、電子回路、ソフトウェアアーキテクチャ、プログラマブルデバイスアーキテクチャ、プラグインなど、またはそれらの組合せ)のアーキテクチャを示す、デュアルLCDパネルディスプレイのブロック図である。制御装置450は、バックライト456、
無彩色LCDパネル460、およびカラーLCDパネル464用の駆動信号を生成する電子デバイス450(例えば、プログラムされた処理装置)として実装される。R
inG
inB
in入力ピクセル値を示すソース画像/ビデオ信号は、画像またはビデオソース(例えば、DVD、ケーブル、ブロードキャスト、衛星、ストリーミングビデオ、インターネット、リムーバブルメディア、サム駆動など)からグローバル明るさ計算モジュール452に提供および/または抽出され、グローバル明るさ計算モジュール452は、光を、R、G、およびBの原色成分に分け、これらの成分をバックライト制御装置454に提供する。応答時、制御装置454は、バックライトユニット456を駆動するためのバックライト制御信号を生成する。バックライト制御信号は、バックライトアレイの各ピクセルの各原色成分に関するバックライト駆動値、またはバックライトに関する単一のバックライト駆動値を決定することができる。
【0045】
一実施形態では、バックライトユニット456の局所的に減光可能な実装形態の場合(例えば、局所的に減光される(または局所的に減光可能な)光源を含むバックライト)、バックライトユニット456は、各入力画像の領域内の相対明るさに従って下流の
無彩色パネル460およびカラーLCDパネル464を照明する空間変調されたバックライトを生成することができる。相対明るさは、例えば、対応するバックライトピクセルにおける各原色の相対強度に基づいて計算することができる。また、空間変調されたバックライトの生成は、例えば、隣接するバックライトピクセルまたは近傍のバックライトピクセルの明るさ、および/またはビデオの場合には、先行および/または後続の画像フレームでのピクセルの明るさの考慮を含むこともできる。
【0046】
無彩色LCDパネル制御装置458は、入力ビデオ/画像信号、および任意選択でさらにバックライト制御信号を受信し、それらに応答して、
無彩色パネル制御(駆動)信号を生成する。
無彩色パネル制御信号は、
無彩色パネル460の各ピクセルによって生成される減光の量を指定する。
無彩色パネル460は、カラーLCDパネル464よりも高い(または低い、または等しい)解像度のものでよい。
【0047】
一実施形態では、画像生成(カラーLCD)パネル464は、
無彩色パネル460の下流にあり、(典型的にはパネル464よりも高い解像度の)
無彩色パネル460を利用して、意図的にぼやけさせた照明プロファイルを生成する(
無彩色パネルが低解像度であるためにぼやけるのではなく、
無彩色パネルのより高い解像力を使用してぼやけさせる)。意図的にぼやけさせた画像は、バックライトまたはバックライト中の個々の光の点拡がり関数または他の品質/向きに起因するバックライトの混合により生じるぼやけとは別に、ディスプレイのより高い解像力を使用してぼやけさせる。上述したぼやけは、バックライトのぼやけまたは混合とは別であるが、それにもかかわらず、本発明のいくつかの実施形態は、バックライトの個別の要素の混合またはぼやけの量を含むことがある。
【0048】
カラーLCDパネル制御装置462は、
無彩色パネル制御信号、画像/ビデオ信号、および任意選択でさらにバックライト制御信号を受信し、それらに応答して、(カラーLCDパネル464の各ピクセルを駆動するための)カラーLCDパネル制御信号を生成する。
【0049】
図4Cは、
無彩色パネル制御モジュール472およびLCD色補正モジュール474に提供される入力信号(入力値R
in、G
in、およびB
inのシーケンス)に応答して、(本発明の一実施形態に従ってモジュール474が実装される場合に)ディスプレイのカラーLCDパネルおよび
無彩色LCDパネル用の駆動信号を生成するために本発明の一実施形態に従って実装することができる制御装置(電子デバイス)のアーキテクチャを示す、デュアルLCDパネルディスプレイ用の制御装置(470)のブロック図である。LCD色補正モジュール474は、RGBピクセルの1920×1080LCDアレイを駆動するための出力(カラーLCDパネル駆動値R
out、G
out、およびB
out)を補正および生成するように構成することができる。
無彩色パネル制御モジュール472(モジュール476および478を備える)は、より低い解像度、例えば1680×1050ピクセルのLCDアレイを有する
無彩色LCDパネルを制御するための駆動値を生成するように構成することができる。
無彩色パネル制御モジュール472(モジュール476および478を備える)は、1920×1080ピクセルの解像度を有する
無彩色LCDパネルを制御するための駆動値を生成するように構成することもできる。
【0050】
無彩色パネル制御モジュール472は、各三つ組の入力値R
in、G
in、およびB
inに応答して、1組の駆動値P1’、P2’、およびP3’(これらは、カラーLCDパネルと同じ解像度を有する
無彩色LCDパネルのピクセルの3つのLCDセルを駆動するのに有用である)を出力し、それらの駆動値を、サブピクセル補間および登録モジュール476とフィルタリングモジュール478それぞれにアサートする。実際の
無彩色LCDパネルは、典型的には、カラーLCDパネルよりも高い解像度を有するので、モジュール476は、値P1’、P2’、およびP3’に対する補間を実施して、
無彩色LCDパネルの各ピクセルに対して1組の補間された駆動値を生成する(1組の3つの補間された駆動値によって駆動される
無彩色パネルの各ピクセルは、カラーLCDパネルのより大きなピクセルよりも小さいので、「サブピクセル」と呼ぶ)。補間および登録モジュール476の動作は、好ましくは、制御装置が、様々な制御解像度およびサイズを有する様々な
無彩色パネルを駆動できるようにする。フィルタモジュール478は、(モジュール476からの)補間された駆動値に対する空間およびレンジフィルタリングを行って、駆動された
無彩色パネルによって生成される単色画像を滑らかにして、より良い視野角性能を実現し、その一方で、縁部を維持し、画像内の高周波数ディテールを残して、局所コントラストを高める。モジュール478でのフィルタリングは、駆動を
無彩色LCDパネルに拡げて、オフ角視野を改良することができる。
【0051】
モジュール478の出力は、
無彩色パネルの各ピクセルの3つのセルを駆動するための
無彩色パネル駆動値P1、P2、およびP3の組(モジュール476からの1組の3つの補間された駆動値に応答して生成された値P1、P2、P3の各組)のシーケンスである。また、
無彩色パネル駆動値P1、P2、およびP3は、それらに応答してカラーLCDパネル駆動値R
out、G
out、およびB
outを生成するためにモジュール474にアサートされる。
【0052】
モジュール474から出力されるカラーLCDパネル制御信号は、カラーLCDパネルの各ピクセルのセルを駆動するためのカラーパネル駆動値R
out、G
out、およびB
outの組(1組の3つの入力値R
in、G
in、およびB
inに応答して生成された値R
out、G
out、およびB
outの各組)のシーケンスである。
【0053】
図4Dは、
図4Dの
無彩色パネル制御モジュールおよびLCD色補正モジュールに提供される入力信号(入力値R
in、G
in、およびB
inのシーケンス)に応答して、本発明によるディスプレイの一実施形態の
無彩色LCDパネルおよびカラーLCDパネル用の駆動信号を生成するための別の制御装置のアーキテクチャである。
図4Dのアーキテクチャは、以下に説明することを除いて、
図4Cのものと同一である。
図4Dの対応する態様と同じ
図4Cの態様の説明は、
図4Dを参照して繰り返さない。
【0054】
図4Dのアーキテクチャは、ハイダイナミックレンジ(HDR)の入力信号、例えば、平均でヒューマンビジュアルシステム(HVS)のダイナミックレンジに相当するダイナミックレンジを有する1つまたは複数の画像(例えば、単位cd/m
2で表されるXYZ三刺激値でピクセル値を符号化する.hdr形式の画像のビデオまたは静止フレームシーケンス)を示すHDR信号を利用するためのフレームワークを提供する。HVSは、ほとんどのディスプレイよりも大きいダイナミックレンジを平均で有するので、(
図4Dのグローバルトーンマッピングモジュール482によって実施される)トーンマッピングアルゴリズムが適用されて、入力信号によって示される(1つまたは複数の)画像の輝度範囲を、それらの画像がディスプレイシステムの輝度範囲内となるように変換する。HDRフレームシーケンス(その各ピクセルが三つ組の三刺激原色値{X
in,Y
in,Z
in}によって定義される)が、
図4Dのグローバルトーンマッピングモジュール482に提供される。モジュール482は、各三つ組のX
inY
inZ
in値を、RGB色空間内のRGB値に変換し、得られたRGB信号を、
図4Dの
無彩色パネル制御モジュールおよびLCD色補正モジュール(これらは、
図4Cの対応する
無彩色パネル制御モジュール472およびLCD色補正モジュール474と同一である)にアサートする。このRGB信号に応答して、
図4Dのシステムの要素(モジュール482以外)は、
図4Cのシステムと同様に動作する。
【0055】
次に、本発明によるディスプレイのいくつかの実施形態の
無彩色LCDパネルおよび画像生成(カラー)LCDパネルを駆動するための方法のさらなる詳細を述べる。(例えば同様の構成の)
無彩色LCDパネルとカラーLCDパネルを含むディスプレイアーキテクチャが、サブピクセル(またはより高い解像度)での局所的な減光の実施を可能にする。変調器の1つは、各次元で、他とは異なる解像度または同じ解像度を有することができる。
【0056】
無彩色LCDパネルのピクセルは、対応する(または関連の)入力ピクセルの輝度に基づいて駆動することができる。
無彩色LCDパネルの出力輝度応答の正確な特徴付けを使用して、入力RGBピクセル値を特定の駆動レベルにマッピングすることができる。
【0057】
1組の入力画像値R
in、G
in、およびB
inに応答する
無彩色パネル用の駆動値は、フルホワイト(最大駆動信号コードワード)に設定されたカラーLCDパネル駆動値を用いた
無彩色パネルの制御の線形変化に応答する複合デュアルパネルシステムの輝度応答の関数と、駆動値の非線形性を表す輝度を有するコードワードの歪みを表す非線形伝達関数とに従って生成することができる。この関数を使用して、暗い領域をより暗くし、明るい領域をより明るくする非線形入出力関係を用いてディスプレイの局所コントラストを改良することができる。駆動値計算を使用して、
無彩色パネルの各ピクセルごとに、または
無彩色パネルの各ピクセルの各セルごとに駆動値を計算することができる。
無彩色LCDパネルの各ピクセルは3つのセルを備えることがあり、例えば
無彩色LCDパネルのセルがカラーLCDパネルの各ピクセルのセルのようにカラーフィルタされないことを除いて、
無彩色LCDパネルがカラーLCDパネルと同様の構成および向きを有する場合には、これらのセルは、同じまたは異なる
無彩色パネル駆動値によって駆動される。
【0058】
画像生成(カラーLCD)パネルと
無彩色パネルの相互作用は、色補正関数として表すことができる。この関数は、(1組の入力色値に応答して生成された)1組の
無彩色パネル駆動値に応答して
無彩色パネルからの光によって照明されるときの画像生成パネルの原色を特徴付け(すなわち測定し)、上記1組の入力色値に応答して(実際に測定される色ではなく)所望の色を実現するように補正関数を決定することによって決定することができる。次いで、カラーLCDパネルは、(例えば、ルックアップテーブルを使用して1組の入力色値に応答して決定される)補正された駆動値によって駆動することができ、一方、
無彩色パネルは、(例えば、別のルックアップテーブルを使用して同じ1組の入力色値に応答して生成される)1組の
無彩色パネル駆動値によって駆動され、入力色値に応答して(デュアルLCDパネルディスプレイによって)所望の色を表示する。
【0059】
カラーLCDパネルに関する得られるRGB駆動値は、例えば、以下の形態のものでよい(ここで、R
out、G
out、およびB
outは、カラーLCDパネルの1つのピクセルの3つのセルに関する駆動値である)。
【0060】
R
out=f
3(R
in,f
4(R
in,Y
out))
G
out=f
5(G
in,f
6(G
in,Y
out))
B
out=f
7(B
in,f
8(B
in,Y
out))
ここで、f
4、f
6、およびf
8は、1組の入力ピクセル値および計算されたY
out値(ここで、Y
outは、入力される原色ピクセル値の組から求められる輝度である)に関する出力される原色をそれぞれ定義する特徴付け関数であり、f
3、f
5、およびf
7はそれぞれ、特徴付け関数の1つによって決定される入力された原色と出力される原色の非線形結合関数である。
【0061】
無彩色LCDパネルのサブピクセル制御(例えば、「サブピクセル」と呼ぶ
無彩色LCDパネルのピクセルは、カラーLCDパネルのピクセルよりも小さい)を使用して、
無彩色LCDパネルの使用によって生じる視差を平滑化することができる。サブピクセル制御は、
無彩色パネルの実効解像度を高めるので、平滑化/ディザリング操作をより洗練させ、正確にすることができる。これは、例えば、以下のような
無彩色パネルへの駆動画像に対する平滑化マスクを使用して実施することができる。
【0062】
[Smoothed drive
achromatic panel]
(i,j)=f
int R([drive
achromatic panel]
(i,j))
ここで、f
int Rは、
無彩色パネルのRサブピクセルの空間半径に対して適用される平滑化演算子である。カラーLCDパネル上の各ピクセルに対応する
無彩色パネルの4つのピクセル(サブピクセルと呼ぶ)を有する構成において、適用されるクワッド設計は、幅方向と高さ方向との両方に沿って、
無彩色パネルの解像度を画像生成(カラーLCD)パネルの解像度の2倍に高める。
【0063】
一実施形態では、ソース画像は、
無彩色パネルを変調するために非線形関数によって処理することができる。これは、認識されるコントラスト拡張効果を生み出すことができる。既存のトーンマッピングアルゴリズムは、コントラストを拡張するために、ソフトウェアアルゴリズムのみに依拠する。
【0064】
本発明のいくつかの実施形態は、RGB個別制御式の三刺激ベースのバックライト(例えば、エッジライト式構成、直下式アレイ、または他の構成で配置されたLED)を使用する。RGB個別制御式の三刺激LEDバックライトに現行駆動値をスケーリングすることにより、表現される色の輝度対色度の3D表面を調節することができる。輝度制御は、主に、減光面、およびLEDバックライトと減光面の組合せからのものであり、LEDへのカラー駆動値のスケーリングは、より高い輝度値でのより広い色域を可能にする。目標ディスプレイ輝度に関して、輝度と現行の特徴付けとの関係を表す曲線を使用して、その目標輝度での色域のより良い制御のために設計された現行駆動値に関する正しいスケーリングパラメータを決定/生成することができる。これは、全域的バックライト制御装置の実施形態に関する基礎となる。
【0065】
全域的バックライト制御装置の実施形態は、例えば、カラーLCDおよび減光面に関連付けてエッジライト式の区域的減光バックライトを形成するように近接して配置された複数のLED上で使用することができる。複数のLEDを一度に作動させることにより、全域的バックライト制御装置の実施形態はまた、ある区域からの光の出力波長のドリフトを輝度に関して補正し、より高い波長でより正確な色特性を保つために使用することもできる。
【0066】
本発明のいくつかの実施形態は、疎らな(sparse)測定データセットからの原色回転行列の計算を含む。ディスプレイシステムへの入力画像として疎らな1組の三刺激原色(R、G、B)を仮定すると、上記の疎らな1組での各三つ組の入力RGB値を、ディスプレイのカラーLCDパネルに関する対応する1組の駆動値(XYZ)に変換するために、色回転行列(例えば、最適色回転行列)が決定される。行列は、予め決定することができ、次いでルックアップテーブル(LUT)として実装され、その後、ディスプレイ駆動値の演算中に使用されて、1組の入力RGB値(および入力RGB値から決定される
無彩色パネル駆動値)に応答して、ディスプレイのカラーLCDパネルに関する1組の駆動値を生成する。例えば、1組の入力RGB値(およびそこから決定される
無彩色パネル駆動値)に応答してカラーLCDパネル用の1組の駆動値を(LUTから)読み取る操作は、回転行列との(LUTへの入力の)乗算に相当することがある。
【0067】
計算される色回転行列は、
図4Cまたは
図4Dのモジュール474によって、または
図4Aの制御装置モジュール410によって、または
図4Bの制御装置モジュール462によって、または以下に述べる
図5のLUT20によって実装することができ、好ましくは、行列を決定するために測定されているサンプルデータ点の数を前提として、出力される色空間内での最小二乗色歪みに関して最適化される。より均等に間隔を空けられたデータ点を仮定すると、計算される色回転行列は、ディスプレイによる真の回転操作のより正確な表現となる。
【0068】
色回転行列は、ディスプレイでの予備測定の結果として決定することができ、予備測定において、ディスプレイが(例えば一定の既知のバックライトを用いて)背面照明され、疎らな1組の三つ組の入力色値(R
in、G
in、およびB
in)によって駆動され、各三つ組の入力色値から三つ組の
無彩色パネル駆動値(P1、P2、およびP3)が決定され、各三つ組の入力色値(R
in、G
in、B
in)および対応する1組の
無彩色パネル駆動値(P1、P2、P3)に応答するディスプレイによって放出される実際の色が測定され、その1組の入力色値および対応する1組の
無彩色パネル駆動値に応答する目標(所望)の1組の色と比較される。測定の結果、色回転行列は、三つ組の入力色値(R
in、G
in、およびB
in)および対応する三つ組の
無彩色パネル駆動値(P1、P2、およびP3)を係数として有するベクトルと行列乗算されたときに、補正されたカラーLCDパネル駆動値(R
out、G
out、およびB
out)および
無彩色パネル駆動値(P1、P2、およびP3)を決定する行列となるように決定することができ、駆動値は、三つ組の入力色値(R
in、G
in、およびB
in)によって決定される目標の色を表示するようにディスプレイを駆動する。
【0069】
フルセットの三つ組の入力色値(R
in、G
in、およびB
in)と、各三つ組の入力色値によって決定された三つ組の
無彩色パネル駆動値(P1、P2、およびP3)とのそれぞれに応答して色回転行列によって決定された1組のカラーパネル駆動値(R
out、G
out、およびB
out)は、カラー駆動LUTに記憶することができる。カラー駆動LUTは、
図4Cまたは
図4Dのモジュール474において、または
図4Aの制御装置モジュール410によって、または
図4Bの制御装置モジュール462によって、または
図5のLUT20によって実装することができる。カラー駆動LUTを生成するために、(疎らな1組の三つ組の入力画像色値および対応する三つ組の
無彩色パネル駆動値から)疎らな1組の補正されたカラーパネル駆動値を決定することができ、次いで、それに対して補間を行って、(例えば、入力色値R
in、G
in、およびB
inの取り得る各組ごとに、三つ組の出力カラーパネル駆動値R
out、G
out、およびB
outを含む)フルセットの補正されたカラーパネル駆動値を生成することができ、次いで、そのフルセットをカラー駆動LUTにロードすることができる。
【0070】
本発明によるディスプレイの他の実施形態では、カラーパネル駆動値は、カラー駆動LUTから読み取る以外の形で、入力画像ピクセルに
対応して生成または提供される(例えば、行列乗算によってオンザフライで(on the fly)計算される)。
【0071】
図5は、本発明の別の実施形態によるデュアルLCDパネルディスプレイのカラーLCDパネルおよび
無彩色LCDパネル(例えば、
図1、
図2、または
図3BのディスプレイのLCDパネル)用の駆動信号を生成する制御装置のブロック図である。
【0072】
好ましくは、
図5における本発明の制御装置の実施形態は、(
無彩色パネルの各ピクセルがカラーパネルのピクセルと位置合わせされるように)
無彩色LCDパネルとカラーLCDパネルが同じ解像度およびサイズを有すると仮定して、モジュール順モデル(以下に説明する)に従って、入力画像ピクセル(三つ組の色値R
in、G
in、およびB
inによって決定される各入力画像ピクセル)に
対応してデュアルLCDパネルディスプレイの
無彩色LCDパネルおよびカラーLCDパネル用の駆動値を生成するように実装される。
図5の制御装置は、ピクセルごとに操作を行い(順モデルは、ピクセルごとに操作が行われることを前提とする)、
無彩色LCDパネルの各ピクセルごとに、単一の
無彩色駆動値(P1=P2=P3=P)を生成し、それにより、(
無彩色LCDパネルの各ピクセルが3つのセルを備える場合には)
無彩色LCDパネルのピクセルの各セルが同じ
無彩色駆動信号(P1=P2=P3=P)によって駆動される。
無彩色LCDパネルおよびカラーLCDパネル用の駆動値を生成するために
図5の制御装置によって行われる好ましい方法は、時として「4Deep」アルゴリズムと呼ばれる。「4Deep」は、デュアルLCDパネルディスプレイのカラーLCDパネルの各ピクセル(ピクセルの3つの色成分が、3つのカラーパネル駆動値または信号R
out、G
out、およびB
outに応答して変調される)と、それに位置合わせされた
無彩色LCDパネルピクセル(この
無彩色パネルピクセルを変調するために第4の駆動値または信号Pが採用される)とを駆動するのに4つの駆動値が必要であることを表す。4Deepアルゴリズムは、入力画像内のすべてのピクセルに対して同じ操作を行う。これにより、GPUベースの大量並列計算アーキテクチャによく適したものになる。
【0073】
4Deepアルゴリズムによって解かれる基本的な問題は、所定の入力ビデオ信号(表示すべき各画像(フレーム)の各ピクセルに関する赤色、緑色、および青色の値を示すRGB信号)に関して、動画像の正確な再現のために、ディスプレイの
無彩色LCDパネルおよびカラーLCDパネルに対する最適な駆動の組を求めることである。このアルゴリズムによれば、入力ビデオ信号は、ディスプレイのネイティブ[RGB]色空間内のピクセルを示す。したがって、
図5のシステムによって実装されるとき、ダイナミックレンジスプリッタモジュール16への入力信号は、ディスプレイのネイティブ色空間内のピクセル(三つ組の色値R
in、G
in、およびB
inによって決定される各ピクセル)のシーケンスである。
【0074】
図5のシステムの要素10、12、および14で、入力画像信号に対して予備処理が行われる。各要素10、12、および14は、ルックアップテーブル(LUT)として実装される。
図5のシステムに対する変形形態では、要素10、12、および14(または要素12および14)が省かれ、入力画像信号が、モジュール16の入力に直接アサートされる(または、LUT10が存在する場合には、LUT10の出力がモジュール16の入力に直接アサートされる)。
【0075】
入力画像信号によって決定される入力画像ピクセルがガンマ符号化される(例えば、入力画像が2.4のガンマを有する)場合、
図5の逆ガンマLUT10を使用して、入力画像ピクセルの色成分を標準のRec.709 RGBデータに変換する。そのような逆ガンマ補正は、典型的には、
図5のシステムの要素12、14、16、18、および20が線形RGB入力値を要求するように実装されているときに必要である(ガンマ補正は、例えば、値の表示に使用されるCRTモニタでの非線形性を補正するために線形値を非線形値に変換し、逆ガンマ補正は、そのような非線形値を線形値に変換する)。
【0076】
LUT10から出力される線形のRec.709 RGB色値は、LUT12で、正規化された線形のCIE XYZ値(Yは輝度を表す)に変換される。LUT12は、そこにアサートされた各三つ組のRec.709 RGB色値に対する標準の3×3行列変換(3×3行列乗算)を効果的に実施する。
【0077】
LUT12から出力されたCIE XYZ色値は、LUT14で、ディスプレイのネイティブ色空間内のRGB値に変換される。LUT14は、そこにアサートされた各三つ組のCIE XYZ値に対する標準の3×3行列変換(3×3行列乗算)を効果的に実施する。
【0078】
(線形の)Rec.709 RGBからXYZ空間への(LUT12での)変換と、それに続く、XYZから(線形の)ネイティブRGB色空間への(LUT14での)変換との2つの変換は、2つのLUTの必要性をなくすために、単一の変換に組み合わせることができる。そうすることで、LUT12および14は、3×3行列変換を実施する単一のLUTによって置き換えることができるようになる。実装の際、これは、複雑さを減少させるので好ましい。
【0079】
(個別のLUT12と14を備える)
図5の設計の利点は、
図5の制御装置によって駆動されるディスプレイを、そのディスプレイの精度を検証するためにテストできるようになることである。これは、(LUT12で)入力ピクセルから生成される目標CIE XYZ値を計算し、かつ比色計を用いてディスプレイスクリーンの前面での表示光のCIE XYZ値を測定することにより、目標XYZ値をディスプレイの出力と直接付き合わせて比較することによって行われる。ディスプレイのネイティブRGB原色の色度は、標準のRec.709 RGB色空間に関する色度とは異なることがあるので、一般に、LUT12および14(またはそれらの変換を組み合わせた単一のLUT)による線形変換が必要である。しかし、ディスプレイのネイティブRGB原色がRec.709 RGB原色と同じである場合、線形変換は必要ない。
【0080】
(ディスプレイのネイティブRGB色空間内の)入力信号は、RGB値のシーケンスを示し、ディスプレイの各ピクセル(すなわち、カラーLCDパネルの各ピクセルと、それに位置合わせされた
無彩色LCDパネルのピクセル)ごとに1つの赤色(R)値、1つの緑色(G)値、および1つの青色(B)値を含む。
【0081】
図5のダイナミックレンジスプリッタモジュール16において、(入力信号によって示されるRGB値のシーケンスの)各三つ組のRGBに応答して、輝度値P’が、R、G、およびB値の最大値の平方根として生成される。
無彩色LCDパネルの対応するピクセルのための駆動信号は、モジュール16で生成される輝度値P’に応答して(要素17および18内で)生成される。また、ダイナミックレンジスプリッタモジュール16は、そこに入力されたR、G、およびB値それぞれを、P’値で割ることによって正規化し、正規化された値R’=R/P’、G’=G/P’、およびB’=B/P’を生成する(それにより、RGB信号空間のフルダイナミックレンジを使用してR’、G’、およびB’値を生成する)。
【0082】
得られたR’、G’、およびB’値と、(モジュール17で)P’値に応答して生成される補間されてフィルタされた輝度値とが、ルックアップテーブル(LUT)18および20に通され、それらの値を
無彩色パネルおよびカラーパネル駆動値にマッピングして、所望の光出力を生成する。具体的には、ディスプレイ補償LUT18は、モジュール17からの補間されてフィルタされた各輝度値に応答して、
無彩色パネル駆動値P
Dを出力し、ディスプレイ補償LUT20は、モジュール16からの各三つ組のR’、G’、およびB’値に応答して、(カラーLCDパネルの1つのピクセルのための)三つ組のカラーパネル駆動値R
D、G
D、およびB
Dを出力する。P
D信号は、
無彩色LCDパネルのセルの3つの組すべてに関して複製される(すなわち、各P
D値が、
無彩色LCDパネルの関連のピクセルの3つのセルすべてを駆動する)。
【0083】
LUT18および20に記憶される値は、典型的には、ディスプレイの色および輝度応答を特徴付けることによって生成される。典型的な特徴付けプロセスは、色および強度が変わる入力のシーケンスをディスプレイに流すステップを含む。これらの入力それぞれに関してディスプレイの出力が(例えば分光放射計を使用して)測定され、測定された値が(他の入力に応答する出力値を推定するために)補間され、得られた値が(例えば以下に述べる様式で)処理されて、LUT18に記憶されるフルセットの値およびLUT20に記憶されるフルセットの値が生成される。
【0084】
無彩色LCDパネルは、典型的には、カラーLCDパネルよりも高い解像度を有するので、補間器および空間フィルタモジュール17が、モジュール16から出力された輝度値P’を補間して、
無彩色LCDパネルの各ピクセルに対して1組の補間された輝度値を生成する(
図4Cの実施形態を参照して上述したように、補間された輝度値またはそこから決定される
無彩色パネル駆動値の1つによって駆動される
無彩色LCDパネルの各ピクセルは、カラーLCDパネルのより大きなピクセルよりも小さいので、「サブピクセル」と呼ぶことがある)。モジュール17で行われる補間は、好ましくは、様々な制御解像度およびサイズを有する様々な
無彩色LCDパネルを制御装置が駆動できるようにする。
【0085】
また、補間器および空間フィルタモジュール17は、(モジュール17で生成される補間された輝度値に対する)空間フィルタリングを実施し、駆動値を
無彩色LCDパネルに拡げて、ディスプレイのオフ角視野を改良する。なぜなら、
無彩色LCDピクセルとカラーLCDピクセルの間で完全な1対1の位置合わせは必要ないからである。空間フィルタリングは、
無彩色LCDパネルの通電を滑らかにして、より良い視野角性能を実現することができ、その一方で、縁部を維持し、表示される画像での高周波数ディテールを保存する。モジュール17は、(
無彩色パネルの1つのピクセルでの)補間された輝度値Pを、そのピクセルの周りでの半径方向で対称なピクセルセットの上に(例えばガウス関数を用いて)拡げるという意味合いで、「双方向性」空間フィルタリングを実施することができる。低い強度の入力Pに関する拡散は、典型的には、高い強度の入力Pに関する拡散よりも広い(ゆっくりと減衰する)。
【0086】
LUT20は、ディスプレイの色再現の精度を改良するために、(
無彩色LCDパネルがバックライトとカラーLCDパネルとの間に配置されると仮定して)
無彩色LCDパネルの駆動状態に基づいて、(カラーLCDパネルに)
無彩色LCDパネルによって透過される光の色の変化に対処する(補償する)ために動的色回転を実施する。動的色回転は、様々な輝度値を有する入力画像ピクセルに
対応して
無彩色LCDパネルによって透過される光の色の変化を補償する(入力画像ピクセルの輝度値は、
無彩色LCDパネルの駆動状態を決定する)。動的色回転は、(順モデルの以下の説明から明らかなように)LUT20に記憶されている値が、最小輝度を有する入力画像ピクセルに関する第1のカラーパネル駆動値と、最大輝度を有する入力画像ピクセルに関する第2のカラーパネル駆動値と、最小輝度と最大輝度の間の輝度を有する入力画像ピクセルに関する(第1または第2のカラーパネル駆動値からの補間によって決定される)カラーパネル駆動値とを決定するという意味合いで、「補間された」色回転である。
【0087】
図5の実施形態に対する変形形態では、LUT20は、第1の輝度(例えば最小輝度または最大輝度)を有する入力画像ピクセルに関するカラーパネル駆動値を記憶し、処理モジュールを採用して、モジュール16から出力された各値(またはLUT20から出力された各値)をオンザフライで補正する。この補正は、処理モジュールへの補正されていない入力から得られるカラーパネル駆動値が、関連の入力画像ピクセルの実際の輝度と第1の輝度との差によって(補間を使用して)決定される量だけ補正(色回転)されることを保証すべきである。処理モジュールは、
図5のLUT20によって実施されるのと同じ動的色補正(例えば、補間色回転)を実施すべきである。
【0088】
図5Aの制御装置は、
図5の実施形態に対するそのような変形形態の一例である。
図5Aにおいて、要素16、17、および18は、
図5の同一符号の要素と同じであり、それらの説明は繰り返さない。
図5AのLUT20は、第1の輝度(例えば最小輝度)を有する入力画像ピクセルに関するカラーパネル駆動値を記憶し、処理モジュール19は、モジュール16から出力された各三つ組の正規化された値R’=R/P’、G’=G/P’、およびB’=B/P’に対する色回転をオンザフライで実施するように構成される。色回転は、要素17の出力から(モジュール19に)アサートされる現在の輝度値Pに応答して行われて、(モジュール16からの)各三つ組の補正されていない入力値を、色回転(補正)された三つ組のRGB値で置き換える。色回転された三つ組のRGB値に応答して、
図5AのLUT20は、補正されていない三つ組の入力値に応答して
図5のLUT20が出力するのと同じカラーパネル駆動値を出力する。モジュール19によって行われる色回転は、(以下に論じる)式4、6、7、および8の任意の式の順モデルによって決定することができる。
【0089】
上述したように動的補間色回転を実施する
図5および
図5Aの制御装置の実装形態は、本発明による制御装置の実施形態の一類の例であり、ここで、制御装置は、入力画像ピクセルのシーケンスの各入力画像ピクセルに
対応して、
無彩色パネル駆動値の組およびカラーパネル駆動値の組を決定するように構成され、制御装置は、各入力画像ピクセルと、各入力画像ピクセルに関する
無彩色パネル駆動値の組を決定する少なくとも1つの値(例えば、
図5または
図5Aのモジュール17から出力される輝度値)とに応答して、カラーパネル駆動値の組を決定するデータを生成するために補間色回転を実施するように構成され、上記の補間色回転の実施は、第1の輝度を有する入力画像ピクセルに関する第1のカラーパネル駆動値を決定し、各入力画像ピクセルの実際の輝度と第1の輝度との差によって決定される量だけ各入力画像ピクセルの色成分を色回転することによって補正された色成分を生成し、補正された入力色成分および第1のカラーパネル駆動値から各入力画像ピクセルに関するカラーパネル駆動値の組を決定することを含む。
【0090】
図5のLUT20(または
図5Aのモジュール19)は、任意選択で、それによって実施される動的色回転が、以下に述べる順モデルによって定義される1次線形近似での光学スタックの小さな色変化にも対処するように実装され、また、任意選択で、順モデルによって定義される2次近似での
無彩色LCDパネルとカラーLCDパネル(例えば、グレースケール追跡オフセット)の光学的な乗算の非線形性にも対処するように実装される。
【0091】
図5(または
図5A)の制御装置は、各入力画像でのすべてのピクセルに対して同じ操作を行う。これにより、GPUベースの大量並列計算アーキテクチャを備える実装によく適したものになる。
図5または
図5Aの制御装置によって(または、最小輝度を有する入力画像ピクセルに関するカラーパネル駆動値をLUT20が記憶し、モジュール16から出力された各値またはLUT20から出力された各値をオンザフライで補正するために処理モジュールが採用される、
図5に対する上記の任意の変形形態の典型的な実装形態によって)実施される動的色補正は、メモリ要件、ならびに処理速度および複雑さの要件が低い。典型的な実装形態は、1ピクセル当たりにわずかな操作(乗算、除算、平方根、またはテーブルルックアップ操作)しか必要としない。
【0092】
次に、デュアルLCDディスプレイの光の順モデルを説明する。このモデルは、そのようなディスプレイの重要な色測定的特徴を取り込み、(本発明の実施形態に従う)そのようなディスプレイの構成の色測定制御のためのピクセルレベルアルゴリズムを使用可能にする。
【0093】
モデルは、
図6に示されるタイプのデュアルLCDディスプレイを仮定する。
図6は、バックライト(30)と、バックライト30によって照明されるように配置された
無彩色LCDパネルと、
無彩色LCDパネルから放出された光を透過するように配置されたカラーLCDパネルとを含むデュアルLCDディスプレイの一実施形態の要素の図である。
無彩色LCDパネルは、後側偏光子と、前側偏光子と、偏光子の間のLCDセルのアレイとを備える。
無彩色LCDパネルの各ピクセルが、3つのLCDセル(31、32、および33)を備える。
【0094】
カラーLCDパネルは、後側偏光子と、前側偏光子と、偏光子の間にあるLCDセルのアレイと、LCDセルアレイと前側偏光子との間にある受動カラーフィルタのアレイとを備える。カラーLCDパネルの各ピクセルが、3つのLCDセル(34、35、および36)と、LCDセル34の前にある赤色カラーフィルタ(37)と、LCDセル35の前にある緑色カラーフィルタ(38)と、LCDセル36の前にある青色カラーフィルタ(39)とを備える。
【0095】
このモデルは、2つの偏光子間の各液晶セルの単純な分光透過モデルで始まる。
【0096】
【数1】
ここで、T(λ,D)は、セルが駆動値Dによって駆動されるときにセルによって透過される周波数λの光である(ここで、Dは、セル34に関する赤色駆動値R、セル35に関する緑色駆動値G、セル36に関する青色駆動値B、セル31に関する輝度値P1、セル32に関する輝度値P2、およびセル33に関する輝度値P3である)。
【0097】
任意のセルに関する分光透過モデルが、最小透過項T
min(λ)と、可変透過項とを有する。可変項は、関連の駆動値Dの1次元関数f(D)によって公称透過をスケーリングすることによってモデルされる。
【0098】
各カラーセルは、受動カラーフィルタを有する基本液晶透過セル(34、35、または36)からなる。受動カラーフィルタの効果は、単純な透過モデルに、カラーフィルタに関する静的な分光透過関数を乗算することによって含めることができる。カラーLCDパネルに関して、セルは、以下のようにモデル化することができる。
【0100】
【数3】
は、赤色フィルタ37に関する静的透過関数であり、
【0101】
【数4】
は、緑色フィルタ38に関する静的透過関数であり、
【0102】
【数5】
は、青色フィルタ39に関する静的透過関数である。
【0103】
無彩色LCDパネルでのセルは、同一であると仮定され、カラーフィルタを有さない。サブピクセルチャネルを区別することなく、
無彩色LCDセル応答は、以下のようにモデル化することができる。
【0104】
【数6】
各パネルのセルが互いに空間的に分離されているので、ピクセルレベルモデルに対するそれらの組合せの寄与は、単純に加算によってモデル化される。
【0105】
【数7】
静的バックライトは、スペクトル放出分布S(λ)によって特徴付けられる。
【0106】
放出される全スペクトルは、バックライトスペクトル放出として、2つのLCDパネルの分光透過との積によってモデル化される。
【0107】
【数8】
特定のモデルの置換によって、以下の明示的な関係が得られる。
【0108】
【数9】
各項を書き換えることによって、
【0110】
LCD駆動値の関数としての合計のスペクトル放出は、以下のようにモデル化される。
【0111】
【数11】
式(1)において、I
min(λ)は、バックライトのみによる光透過であり(
無彩色パネルおよびカラーLCDパネルに対してゼロ駆動を有する)、I
P,RGBmin(λ)・f
P(P)は、非ゼロ
無彩色パネル駆動Pおよびゼロカラーパネル駆動に応答する
無彩色パネルセルによる透過であり、他の項は、カラーパネルのカラーフィルタされた対応するセルによる光透過を示す。
【0112】
1組のLCD駆動値(P、R、G、およびB)に応答して(ディスプレイの1つのピクセルによって)表示されるCIE XYZ値は、以下のよく知られている定義によって表現される。
【0113】
【数12】
スペクトルモデルを上記の定義に置換することによって、式(1)のスペクトルモデルを、以下の1組の式での(「式(2)と呼ぶ」)最後の式によって与えられるCIE XYZモデルに変換する。
【0114】
【数13】
一般に、駆動値の1次元スケーリング関数は、チャネル間で一意である。
【0115】
【数14】
式(2)を行列−ベクトル形式で書き換えることによって、以下の式が得られる。
【0116】
【数15】
上の最後の式を書き換えて、以下の式が得られる(「式(3)」と呼ぶ)。
【0117】
【数16】
式(3)の右側での第1の項
【0118】
【数17】
は、(
無彩色LCDパネルおよびカラーLCDパネルへのゼロ駆動を有する)バックライトの透過による表示出力への寄与を表す。
【0120】
【数18】
は、(
無彩色LCDパネルへの非ゼロ駆動Pと、カラーLCDパネルへのゼロ駆動とを有する)バックライトの透過による表示出力への寄与を表す。
【0121】
(
図6を参照して説明するタイプの)デュアルLCDディスプレイが、カラーLCDパネルに関しては一定の1組の駆動値(RGB)を用いて駆動されるが、
無彩色LCDの各ピクセルの各セルに関しては変化する駆動値(P)を用いて駆動されるとき、得られる表示画像の色度のシフトがあることが観察されている。
図7は、様々な値での
無彩色LCDパネルの駆動に応じた、カラーLCDパネルに関するRGB原色および白色点の色度の観察された色シフトの特徴を示す。
図7において、三角形46の頂点は、低レベル(P=51)での
無彩色LCDパネルの駆動に応答する表示される色のRGB成分を表し、三角形43の頂点は、より高いレベル(P=204)での
無彩色LCDパネルの駆動に応答する表示される色のRGB成分を表し、三角形42の頂点は、さらに高いレベル(P=255)での
無彩色LCDパネルの駆動に応答する表示される色のRGB成分を表し、三角形41の頂点は、(参照として)標準のRec.709RGB値を表し、三角形40の頂点は、(やはり参照として)標準のDCI P3値を表す。点46Wは、高いレベル(P=255)での
無彩色LCDパネルの駆動に応答する表示される色の白色点を表し、点43Wは、中間レベル(P=204)での
無彩色LCDパネルの駆動に応答する表示される色の白色点を表し、点42Wは、低いレベル(P=51)での
無彩色LCDパネルの駆動に応答する表示される色の白色点を表す。矢印Wは、
無彩色LCD駆動レベルの減少を伴う白色点のシフトの方向(白色点追跡の方向)を示す。矢印Rは、
無彩色LCD駆動レベルの減少を伴う赤色原色のシフトの方向を示す。矢印Sは、
無彩色LCD駆動レベルの減少を伴う緑色原色のシフトの方向を示す。矢印Tは、
無彩色LCD駆動レベルの減少を伴う青色原色のシフトの方向を示す。
【0122】
無彩色LCDパネルが高いピクセル値から低いピクセル値に駆動されるとき、ディスプレイが青色に向かう色シフトを示すことが実験で示されている。すなわち、
無彩色LCDパネルは、理想的に仮定されるように真に
無彩色であるわけではない。ディスプレイに対する詳細な分光透過測定から、一定のカラーLCDパネル駆動信号に関して、
無彩色パネルが高いピクセル値から低いピクセル値に駆動されるとき、青色波長に関する透過は、他のスペクトル部分よりもゆっくりと減衰することが分かった。色シフトに対処するために、式(3)によって決定されるモデルを式(4)に示されるように変形することができ、以下の式(5)によって示されるモデルは、色行列を
無彩色パネル駆動値の関数にすることによって(以下の式(6)に示されるように)拡張することができる。
【0123】
(変化する
無彩色LCDパネル駆動による)色シフトの特性を観察し、実験からのデータを分析することにより、式(3)を以下の式(4)で示されるように変形して、式(3)によって表されるモデルの変形バージョンを表すことができる。
【0125】
【数20】
によって示される固定成分を有するが、(式の右側での第2および第3の項によって示されるように)可変である、)可変の黒色レベルを有する色シフトモデルを表す。(式の右側での最初の3つの項を使用して)2つのLCDパネルの光学的な乗算の非線形性に(動的グレースケール追跡オフセットの実施を可能にする様式で)対処する。
【0126】
式(4)は、2つの色行列M
RGB,PとΔM
RGB,Pの間の補間として、(変化する
無彩色LCDパネル駆動による)観察される色シフトの効果を要約する1次近似を表す点で、式(3)とは異なる。原色および白色点に対する色シフトがほぼ完全に直線を辿るという観察に基づいて近似が成される。一方の行列M
RGB,Pは、静的であり、
無彩色パネル駆動範囲の一端(例えば、最小の
無彩色パネル駆動)に関する原色および白色点を表す。補間関数h
P(P)によってスケールされる他方の行列ΔM
RGB,Pは、
無彩色パネル駆動範囲の他端での、静的な行列との原色および白色点の差を表す。
【0127】
式(4)の(可変の黒色レベルを有する)色シフトモデルは、多くの適用例で有用である。動作時、デュアルLCDパネルディスプレイの2つのLCDパネルの(両方ではなく)一方が最小の駆動値で駆動されるとき、黒色レベルは、式(4)の右側で第1の項によって表される静的黒色レベルを超えて上昇する。式(4)の各可変黒色レベル項は、カラーLCD駆動または
無彩色LCD駆動の関数であるが、同時に両方の関数ではない。
【0128】
式(3)の右側の最初の3つの項を無視することによって得られる単純なモデルは、
無彩色LCDパネルおよびカラーLCDパネルを有するデュアルLCD構成での
無彩色パネル応答とカラーパネル応答の基本的な乗算的性質を表す。
【0129】
【数21】
(変化する
無彩色LCDパネル駆動による)色シフトの特性を観察し、実験からのデータを分析することにより、式(5)を以下の式(6)で示されるように変形して、式(5)によって表されるモデルの変形バージョンを表すことができる。
【0130】
【数22】
式(6)は、2つの色行列M
RGB,PとΔM
RGB,Pの間の補間として、(変化する
無彩色LCDパネル駆動による)観察される色シフトの効果を要約する1次近似を表す点で、式(5)とは異なる。原色および白色点に対する色シフトがほぼ完全に直線を辿るという観察に基づいて近似が成される。一方の行列M
RGB,Pは、静的であり、
無彩色パネル駆動範囲の一端(例えば、最小の
無彩色パネル駆動)に関する原色および白色点を表す。補間関数h
P(P)によってスケールされる他方の行列ΔM
RGB,Pは、
無彩色パネル駆動範囲の他端での、静的な行列との原色および白色点の差を表す。
【0131】
式(6)のモデルを修正することによって高次モデルが得られ、以下の式(7)で表される。
【0132】
【数23】
式(7)のモデルは、各原色に関する異なる補間関数に対処し、色度および白色点追跡に対するわずかな湾曲を取り込むことができる。
【0133】
式(6)の色シフトモデルは、式(3)の右側からの最初の項を式(6)の右側に追加することによって、黒色レベル追跡を考慮に入れるように変形することができ、以下の式(8)で表されるモデルを得る。
【0134】
【数24】
式(8)のモデルを用いて使用可能にされるとき、正確な黒色レベル追跡が必要である。LCDパネルの有限のコントラストにより、デュアルLCDパネルディスプレイの
無彩色LCDパネルとカラーLCDパネルの両方が最小の駆動値で駆動されるときでさえ、LCDパネルは、依然としてバックライトの非ゼロ成分を透過する。単純な拡張は、固定オフセット(式(8)の右側の最初の項)を式(6)で記述されるモデルに追加することである。
【0135】
式3、4、6、7、および8の任意の式を、
【0136】
【数25】
の形式で表現することができ、ここで、E、F、およびHは行列であり、Eは、ディスプレイのピクセルで目標の色(例えば入力画像ピクセルR、G、Bによって決定される)を表示するためのカラーパネル駆動値(例えば、XYZ色空間を占めるX、Y、およびZ駆動値。XYZ色空間から、従来の色空間変換によってR、G、およびB駆動値を決定することができる)を決定し、一方、
無彩色パネルは、(例えばやはり入力画像ピクセルによって決定される)
無彩色パネル駆動値Pによって駆動され、Fは、固定(例えば静的バックライト)値および
無彩色パネル駆動値Pに起因する表示出力への寄与を表し、Hは、カラーパネル駆動値に起因する表示出力への寄与を表す。式3、4、6、7および8の任意の式をそのように表現することによって、(固定値および特定の
無彩色パネル駆動値Pを仮定して)目標の色を表示するようにディスプレイを駆動するための1組のカラーパネル駆動値R、G、およびBを、反転によって、すなわち式:H=F
−1・Eを解くことによって求めることができることが明らかである。これは、本発明による制御装置の実施形態において(処理装置によって)オンザフライで行うことができる。代替として、これは、予備ステップ中に行うことができ、次いで、得られたカラーパネル駆動値を、本発明による制御装置の一実施形態のLUT(例えば
図5のLUT20)にロードすることができる。それらのカラーパネル駆動値は、目標の色(すなわち入力画像ピクセルの色成分、または入力画像ピクセルから決定される色成分)と、
無彩色パネル駆動値Pを決定する1組の色値とに応答してLUTから読み取ることができる。本発明による制御装置の別の実施形態では、複数の
無彩色パネル駆動値Pに関する事前計算された逆行列をLUTにロードし、次いで補間して、特定の
無彩色パネル駆動値Pに関する近似逆行列を生成する。オンザフライで行列の反転を計算する必要はない。
【0137】
同様に、式3、4、6、7、および8の任意の式を、形式
【0138】
【数26】
で表現することによって、(固定ディスプレイ状態値および特定の
無彩色パネル駆動値Pを仮定して)目標の色を表示するようにディスプレイを駆動するための1組のカラーパネル駆動値R、G、およびBを、反転によって、すなわち以下の式を解くことによって求めることができることが明らかである。
【0139】
【数27】
これは、本発明による制御装置の一実施形態では、(グラフィックス処理装置または他の処理装置によって)オンザフライで行うことができる。代替として、これは、予備ステップ中に行うことができ、次いで、得られたカラーパネル駆動値を、本発明による制御装置の一実施形態のLUT(例えば
図5のLUT20)にロードすることができる。それらのカラーパネル駆動値は、目標の色(すなわち入力画像ピクセルの色成分、または入力画像ピクセルから決定される色成分)と、
無彩色パネル駆動値Pを決定する1組の色値とに応答してLUTから読み取ることができる。本発明による制御装置の別の実施形態では、複数の
無彩色パネル駆動値Pに関する事前計算された逆行列をLUTにロードし、次いで補間して、特定の
無彩色パネル駆動値Pに関する近似逆行列を生成する。オンザフライで行列の反転を計算する必要はない。前の2つの式において、行列M
RGB(P)は、一般に駆動値Pに依存する。M
RGB(P)=M
RGBであり、行列M
RGBがPから独立している特別な場合には、オンザフライでの静的な行列の反転の計算をなくすように、行列M
RGBの反転を予め計算して記憶すべきである。
【0140】
本発明のいくつかの実施形態は、視野角を広げる。
無彩色LCDパネルとして(赤色、緑色、または青色フィルタを有さない)従来のLCDパネルを使用することは、各
無彩色LCDパネルが、別の(カラーLCD)パネルと共に背面パネルまたは前面パネルとして使用されるときに、コントラスト強調のはるかに大きな解像度を可能にする。このさらなる解像度は、
無彩色LCDパネルが異なる解像度を有するカラーLCDパネルに結合されるときに、視覚アーチファクトを最小限に抑えながらディスプレイにわたる調節可能な視野角を可能にするので、さらに重要になる。
【0141】
無彩色パネルが、正方形状での4つのクラスタ(カラーLCDパネルの1つのピクセルと位置合わせされた
無彩色パネルのサブピクセルの各2×2クラスタ)でのピクセル(同じ画像チェーン内のカラーLCDパネルのピクセルよりも小さいので「サブピクセル」と呼ぶ)を有する場合、これは、水平方向でも垂直方向でも解像度を2倍にするので、より大きな制御が可能である。これらのサブピクセルクラスタが個別の制御点として処理される場合、画像スケーリングに関する既存の画像処理技法をこれらのサブピクセルクラスタに適用することができ、様々な視野角および距離を実現可能にする。視野角を拡げるために(例えば、複数の同時視聴者に対応するために)、(例えば、空間またはレンジフィルタリングを行うように構成された
図4Cの双方向性フィルタリングモジュール478によって)
無彩色パネル駆動値にガウスフィルタまたは同様のローパスフィルタを適用することができる。
【0142】
いくつかの実施形態では、本発明によるディスプレイは、
無彩色LCDパネルおよびカラーLCDパネルに加えて変調器を含む。すべてのそのような変調器に関する駆動信号を生成することが、本発明の範囲内にある。例えば、3つの変調LCDパネル(例えば、2つの
無彩色LCDパネルと1つのカラーLCDパネル)を有するディスプレイを、いくつかの実施形態に従って駆動させることができる。
【0143】
画像生成パネル(またはカラーLCDパネル)およびコントラスト強調パネル(または
無彩色LCDパネル)という用語を使用して本発明を説明してきた。両方のパネルが画像を生成し、両方のパネルが、ディスプレイのための最終的な画像にコントラストを与えることを理解すべきである。画像生成パネルは、典型的な実施形態では、フィルタリングと明るさ変調との組合せによって色およびコントラストを与え、
無彩色LCDパネルは、明るさ変調によってコントラストを与え、またはコントラストを向上させる。また、上述した実施形態に対する変形形態では、
無彩色LCDパネルがカラーフィルタリングも含むことができ、あるいは、
無彩色パネルとカラーパネルの一方または両方における機能の他の変形形態を実装することもできることを理解すべきである。
【0144】
実施形態の一類において、本発明による方法は、デュアルLCDディスプレイのカラーLCDパネル用のカラーパネル駆動値を決定するための方法であって、デュアルLCDパネルディスプレイが、
無彩色LCDパネルも含み、この方法が、
入力ピクセルの組に
対応してディスプレイによって表示される色を測定すると共に、入力ピクセルの組から決定されるカラーパネル駆動値を用いてカラーLCDパネルを駆動し、入力ピクセルの組から決定される
無彩色パネル駆動値を用いて
無彩色LCDパネルを駆動するステップと、
入力ピクセルの各組に
対応してディスプレイによって表示された表示色を、入力ピクセルの各組によって決定される目標の色と比較するステップと、
入力ピクセルの各組に関して、1組の補正されたカラーパネル駆動値を決定するステップとを含み、ディスプレイが、補正されたカラーパネル駆動値と、入力ピクセルの各組から決定された
無彩色パネル駆動値とに応答して目標の色を表示し、補正されたカラーパネル駆動値に対して補間を行って、フルセットの補正されたカラーパネル駆動値を決定することができ、それにより、入力ピクセルによって決定される
無彩色LCDパネルの変化する駆動状態に起因する
無彩色LCDパネルによって透過される光の色の変化を動的に補償するように意図された様式で、入力ピクセルに
対応してフルセットの補正されたカラーパネル駆動値から選択される補正されたカラーパネル駆動値が、カラーLCDパネルを駆動するための駆動信号を決定する方法である。
【0145】
また、この方法は、入力ピクセルの変化に応答する、
無彩色LCDパネルによって透過された光の色の変化に対処する様式で、入力ピクセルのシーケンスに応答してディスプレイを駆動するステップも含むことができ、このステップは、入力ピクセルのシーケンスの各入力ピクセルに
対応して、
無彩色パネル駆動値の組およびカラーパネル駆動値の組を決定することを含み、ここで、各カラーパネル駆動値の組が、補正されたカラーパネル駆動値のフルセットのサブセットである。いくつかの実施形態では、ディスプレイは、入力ピクセルに
対応してカラーLCDパネルと
無彩色LCDパネルの光学的な乗算の非線形性に対処する様式で、入力ピクセルのシーケンスに応答して駆動される。いくつかの実施形態では、ディスプレイは、動的グレースケール追跡オフセットを実施する様式で、入力ピクセルのシーケンスに応答して駆動される。
【0146】
図面に示した本発明の好ましい実施形態の説明では、分かりやすくするために特定の用語が採用されている。しかし、本発明は、そのようにして選択されている特定の用語に限定する意図はなく、各特定の要素が、同様に動作するすべての技術的な均等物を含むことを理解されたい。さらに、説明した部分の代わりに、現在知られていない新規に開発される技術も使用することができ、それでも本発明の範囲から逸脱しないと本発明者は認識している。限定はしないが、パネル、LCD、偏光子、制御可能なパネル、ディスプレイ、フィルタ、ガラス、ソフトウェア、および/またはアルゴリズムなどを含むすべての他の説明した要素も、あらゆる利用可能な均等物に鑑みて考察すべきである。
【0147】
コンピュータ分野の当業者には明らかなように、本発明のいくつかの部分は、本開示の教示に従ってプログラムされた従来の汎用または専用デジタルコンピュータまたはマイクロプロセッサを使用して簡便に実施することができる。
【0148】
ソフトウェア分野の当業者には明らかなように、適切なソフトウェアコーディングは、本開示の教示に基づいて、熟練したプログラマが容易に用意することができる。また、本発明は、本開示に基づいて当業者には容易に明らかなように、特定用途向け集積回路を用意することによって、または従来の構成要素回路の適切なネットワークを相互接続することによって実施することもできる。
【0149】
本発明は、本発明のプロセスの任意のものを行うようにコンピュータを制御するため、またはそれらのプロセスをコンピュータに行わせるために使用することができる命令を記憶された記憶媒体であるコンピュータプログラム製品を含む。記憶媒体は、限定はしないが、フロッピー(登録商標)ディスク、ミニディスク(MD)、光ディスク、DVD、HD−DVD、Blue−ray、CD−ROM、CD、またはDVD RW+/−、マイクロドライブ、および磁気光ディスクを含む任意のタイプのディスク、ROM、RAM、EPROM、EEPROM、DRAM、VRAM、フラッシュメモリデバイス(フラッシュカードやメモリスティックを含む)、磁気または光カード、SIMカード、MEMS、ナノシステム(分子メモリICを含む)、RAIDデバイス、リモートデータストレージ/アーカイブ/ウェアハウジング、あるいは命令および/またはデータを記憶するのに適した任意のタイプの媒体またはデバイスを含むことができる。
【0150】
本発明は、汎用/専用コンピュータまたはマイクロプロセッサのハードウェアを制御するため、および本発明の結果を利用して人間ユーザまたは他のメカニズムとコンピュータまたはマイクロプロセッサが対話できるようにするためのソフトウェアを、コンピュータ可読媒体の任意の1つに記憶して含む。そのようなソフトウェアは、限定はしないが、デバイスドライバ、オペレーティングシステム、およびユーザアプリケーションを含むことがある。最後に、そのようなコンピュータ可読媒体は、上述したように、本発明を実施するためのソフトウェアをさらに含む。
【0151】
汎用/専用コンピュータまたはマイクロプロセッサのプログラミング(ソフトウェア)に、本発明の教示を実施するためのソフトウェアモジュールが含まれ、そのような本発明の教示は、限定はしないが、局所的に減光されるパネルのピクセル/サブピクセルのぼやけを計算すること、色補正または特徴付けを計算すること、画像信号を用意して、それらをドライバおよび/または他の電子回路に適用し、ディスプレイ内のバックライト、パネル、または他のデバイスに通電すること、輝度値を計算すること、表示すべき画像のピクセルまたは領域に関する所望の輝度を含めた本明細書で述べる任意の因子に基づいて輝度を補間、平均化、または調節すること、ならびに、本発明のプロセスによる結果を表示、記憶、または通信することを含む。
【0152】
本発明は、適切には、本明細書で述べたような要素(本発明の様々な部分または特徴)およびそれらの均等物を備える、それらからなる、またはそれらから本質的になることがある。さらに、本明細書で例示的に開示した本発明は、本明細書に具体的に開示したか否かに関わらず、任意の要素がなくても実施することができる。上の教示に鑑みれば、明らかに、本発明の多くの修正形態および変形形態が可能である。したがって、添付の特許請求の範囲内で、本明細書に具体的に記載した以外の形で本発明を実施することもできることを理解されたい。