特許第5833905号(P5833905)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2015.5.11 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】5833905
(24)【登録日】2015年11月6日
(45)【発行日】2015年12月16日
(54)【発明の名称】車両用ドアトリム
(51)【国際特許分類】
   B60R 13/02 20060101AFI20151126BHJP
   B60J 5/00 20060101ALI20151126BHJP
   B60R 21/04 20060101ALI20151126BHJP
【FI】
   B60R13/02 B
   B60J5/00 501Z
   B60R21/04 B
【請求項の数】5
【全頁数】13
(21)【出願番号】特願2011-270334(P2011-270334)
(22)【出願日】2011年12月9日
(65)【公開番号】特開2013-121746(P2013-121746A)
(43)【公開日】2013年6月20日
【審査請求日】2014年6月30日
(73)【特許権者】
【識別番号】000241500
【氏名又は名称】トヨタ紡織株式会社
(73)【特許権者】
【識別番号】000157083
【氏名又は名称】トヨタ自動車東日本株式会社
(73)【特許権者】
【識別番号】000003207
【氏名又は名称】トヨタ自動車株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001036
【氏名又は名称】特許業務法人暁合同特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】廣瀬 史尚
(72)【発明者】
【氏名】前岨 芳明
(72)【発明者】
【氏名】山中 功
【審査官】 岸 智章
(56)【参考文献】
【文献】 特開昭60−143161(JP,A)
【文献】 特開2005−329743(JP,A)
【文献】 特開2008−174045(JP,A)
【文献】 特開2008−094235(JP,A)
【文献】 特開平05−065045(JP,A)
【文献】 特開2011−121485(JP,A)
【文献】 特開2010−013016(JP,A)
【文献】 独国特許出願公開第102004031782(DE,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B60R 13/02,21/04
B60J 5/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
衝撃吸収体が車室外側面に取り付けられたトリムボードを備えた車両用ドアトリムであって、
前記衝撃吸収体は、発泡体からなる第1衝撃吸収部材と、発泡体からなり前記第1衝撃吸収部材より硬度が高い第2衝撃吸収部材と、を備え、
前記第1衝撃吸収部材及び前記第2衝撃吸収部材の各々は、前記トリムボードに対して、それぞれ隣り合うように配置され、
前記第2衝撃吸収部材の一部が前記第1衝撃吸収部材の一部によって周囲から覆われており、
前記第2衝撃吸収部材の前記一部の外縁においては、その外方にむけて延び、前記第1衝撃吸収部材の前記一部に形成された凹部に嵌合される延設部が設けられており、
前記第2衝撃吸収部材の前記一部のうち前記延設部以外の箇所における車室内側面は、その一部分が前記第1衝撃吸収部材に覆われていない露出面とされる一方、その露出面の周端部は前記第1衝撃吸収部材の前記一部によって覆われており、
前記第2衝撃吸収部材の前記一部と前記第1衝撃吸収部材の前記一部とが接合されることで前記第1衝撃吸収部材及び前記第2衝撃吸収部材が一体化されていることを特徴とする車両用ドアトリム
【請求項2】
前記延設部には、前記凹部の内面に形成された係合部と係合される被係合部が形成されており、
前記係合部と前記被係合部とが互いに係合することで、前記凹部に対して前記延設部が抜け止めされている構成であることを特徴とする請求項1に記載の車両用ドアトリム
【請求項3】
前記第1衝撃吸収部材は、前記トリムボードに取り付け可能な第1取付部を有し、
前記第2衝撃吸収部材は、前記トリムボードに取り付け可能な第2取付部を有していることを特徴とする請求項1又は請求項2に記載の車両用ドアトリム
【請求項4】
前記第2衝撃吸収部材は、前記第2衝撃吸収部材の前記一部以外の部分において前記トリムボードに取り付け可能とされることを特徴とする請求項1から請求項3のいずれか一項に記載の車両用ドアトリム
【請求項5】
前記衝撃吸収体は、前記トリムボードにおいて、乗員の大腿部と対向する箇所に配置され、
前記第1衝撃吸収部材は、相対的に車両後側に配置され、
前記第2衝撃吸収部材は、前記第1衝撃吸収部材に対して車両前側に配置されることを特徴とする請求項1から請求項4のいずれか一項に記載の車両用ドアトリム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、衝撃吸収体、及び衝撃吸収体を備えた車両用ドアトリムに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、車両用ドアトリムなどの取付部材に取り付けられる衝撃吸収体(衝撃吸収パッド)が知られている。このような衝撃吸収体は、車両衝突時に取付部材が乗員に対して当接することに起因して変形する(潰される)ことで、車両衝突時の乗員への衝撃を吸収することができる構成とされる。そして、車両衝突時の衝撃が作用し得る乗員の部位が複数存在する場合、乗員の部位毎に異なる衝撃吸収特性が求められることがある。この場合、乗員の各部位に対して異なる衝撃吸収特性を有する各衝撃吸収体が個々に取付部材に取り付けられる。具体的には、乗員の部位毎に対して、異なる硬度からなる各衝撃吸収体が個々に取付部材に取り付けられる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2008−174045号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかし、上記構成では、各衝撃吸収体をそれぞれ取付部材に取り付ける必要があり、取り付け作業性が低下する。このため、特許文献1には、硬度の異なる2種類の衝撃吸収体を接合することで一体部品とした構成が開示されている。このような構成とすれば、ドアトリム基材に2種類の衝撃吸収体を一括して取り付けることができる。しかしながら、このような異なる硬度の衝撃吸収体において、互いに隣り合う(対向する)対向面同士を接合する構成では、接合箇所における接合力が弱くなりやすいため、この接合箇所における接合力の向上が求められる。
【0005】
本発明は上記のような事情に基づいて完成されたものであって、硬度の異なる複数の衝撃吸収部材を接合して一体化することで、取り付け作業性を向上させるとともに、取付部材に対して隣り合う各衝撃吸収部材間の接合力をより高くすることが可能な衝撃吸収体を提供することを目的とする。また、このような衝撃吸収体を備えた車両用ドアトリムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記課題を解決するために、本発明の衝撃吸収体は、発泡体からなる第1衝撃吸収部材と、発泡体からなり、前記第1衝撃吸収部材より硬度が高い第2衝撃吸収部材を備えた衝撃吸収体であって、前記第1衝撃吸収部材及び前記第2衝撃吸収部材の各々は、当該衝撃吸収体が取り付けられる取付部材に対して、それぞれ隣り合うように配置可能な構成とされ、前記第1衝撃吸収部材または前記第2衝撃吸収部材のうち、いずれか一方の衝撃吸収部材の一部が他方の衝撃吸収部材の一部によって周囲から覆われており、前記一方の衝撃吸収部材の前記一部と前記他方の衝撃吸収部材の前記一部とが接合されることで前記第1衝撃吸収部材及び前記第2衝撃吸収部材が一体化されていることに特徴を有する。
【0007】
本発明においては、硬度の異なる第1衝撃吸収部材及び第2衝撃吸収部材が一体化されている。これにより、硬度の異なる複数の衝撃吸収体を取付部材に個々に取り付ける構成と比べて、取付作業性が向上する。そして、第1衝撃吸収部材または第2衝撃吸収部材のうち、いずれか一方の衝撃吸収部材の一部が他方の衝撃吸収部材の一部によって周囲から覆われている。これにより、両部材(第1衝撃吸収部材及び第2衝撃吸収部材)の接合面積が大きくなり、両部材間の接合力をより高くすることができる。このため、衝撃吸収体に荷重が作用した場合に、取付部材に対して隣り合う両部材が、接合箇所において分裂する事態をより確実に抑制することができる。
【0008】
上記構成において、前記一方の衝撃吸収部材の前記一部または前記他方の衝撃吸収部材の前記一部のうち、いずれか一方からは、他方に形成された凹部に嵌合される延設部が延設され、前記延設部には、前記他方における前記凹部の内面に形成された係合部と係合される被係合部が形成されており、前記係合部と前記被係合部とが互いに係合することで、前記凹部に対して前記延設部が抜け止めされている構成であるものとすることができる。
【0009】
延設部を凹部に嵌合させるとともに、凹部に対して延設部が抜け止めされる構成とすることで、第1衝撃吸収部材及び第2衝撃吸収部材の接合力をより高くすることができる。
【0010】
また、前記第1衝撃吸収部材は、前記取付部材に取り付け可能な第1取付部を有し、前記第2衝撃吸収部材は、前記取付部材に取り付け可能な第2取付部を有しているものとすることができる。
【0011】
第1取付部及び第2取付部によって、第1衝撃吸収部材及び第2衝撃吸収部材の各々を、衝撃吸収体の取付対象である取付部材にそれぞれ取り付けることが可能となる。これにより、第1衝撃吸収部材又は第2衝撃吸収部材のうちいずれか一方のみで取付部材に取り付ける構成と比較して、衝撃吸収体の取付強度をより高くすることができる。
【0012】
また、前記一方の衝撃吸収部材が前記第2衝撃吸収部材とされ、前記一方の衝撃吸収部材は、前記一方の衝撃吸収部材の前記一部以外の部分において前記取付部材に取り付け可能とされるものとすることができる。
【0013】
相対的に硬度の高い第2衝撃吸収部材を衝撃吸収体の取付対象である取付部材に取り付けることで、衝撃吸収体の取付強度をより高くすることができる。
【0014】
次に、上記課題を解決するために、本発明の車両用ドアトリムは、上記衝撃吸収体と、前記衝撃吸収体が車室外側面に取り付けられたトリムボードを備え、前記一方の衝撃吸収部材が前記第2衝撃吸収部材とされ、前記一方の衝撃吸収部材の前記一部における前記車室外側面との対向面のうち、少なくとも一部は、前記第1衝撃吸収部材に覆われていない露出面とされるものとすることができる。
【0015】
衝撃吸収体においてトリムボードの車室外側面との対向面は、車両の乗員と対向する面となる。本発明では、第2衝撃吸収部材(一方の衝撃吸収部材)の一部は、第1衝撃吸収部材の一部に取り囲まれる部分とされる。ここで、仮に、第2衝撃吸収部材の一部における乗員との対向面(トリムボードの車室外側面と対向する面)の全面が、第1衝撃吸収部材に覆われていると、第2衝撃吸収部材の一部は、第1衝撃吸収部材を介して、乗員と当接することとなる。これにより、第2衝撃吸収部材の本来の衝撃吸収性能を発揮させづらい。
【0016】
本発明においては、第2衝撃吸収部材の一部における対向面(トリムボードの車室外側面との対向面)のうち少なくとも一部が、第1衝撃吸収部材に覆われていない露出面とされる。これにより、第2衝撃吸収部材の一部と乗員との間に、第1衝撃吸収部材が介在する事態を抑制でき、第2衝撃吸収部材の衝撃吸収性能を確保することができる。
【0017】
また、前記衝撃吸収体は、前記トリムボードにおいて、乗員の大腿部と対向する箇所に配置され、前記第1衝撃吸収部材は、相対的に車両後側に配置され、前記第2衝撃吸収部材は、前記第1衝撃吸収部材に対して車両前側に配置されるものとすることができる。
【0018】
乗員の大腿部と対向する箇所に設けられた衝撃吸収体において、相対的に硬度の低い第1衝撃吸収部材を車両後側へ配置することで、側突時には、大腿部よりも車両後側に配される乗員の腰部付近を確実に保護することができる。また、相対的に硬度の高い第2衝撃吸収部材を車両前側へ配置することで、側突時には、硬度の高い第2衝撃吸収部材によって、乗員の大腿部を確実に車室内側に押し出すことができる。これによって、側突時において乗員をより確実に保護することができる。
【発明の効果】
【0019】
本発明によれば、硬度の異なる複数の衝撃吸収部材を接合して一体化することで、取り付け作業性を向上させるとともに、取付部材に対して隣り合う各衝撃吸収部材間の接合力をより高くすることが可能な衝撃吸収体を提供することができる。また、このような衝撃吸収体を備えた車両用ドアトリムを提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0020】
図1】本発明の一実施形態に係るドアトリムを示す正面図
図2】衝撃吸収体を示す正面図(車室内側から視た状態)
図3】衝撃吸収体を示す斜視図(車室外側から視た状態)
図4】衝撃吸収体を示す断面図(図2のA−A線で切断した図に対応)
図5】衝撃吸収体を示す断面図(図2のB−B線で切断した図に対応)
図6】衝撃吸収体を示す断面図(図2のC−C線で切断した図に対応)
図7】他の実施形態を示す断面図
【発明を実施するための形態】
【0021】
本発明の一実施形態を図1ないし図6によって説明する。図1は、本実施形態のドアトリム10(車両用ドアトリム)を示す正面図である。ドアトリム10は、車両用ドアパネルを構成するドアインナパネル(図示せず)の車室内側に取り付けられることで車両ドアを構成するものである。
【0022】
ドアトリム10は、図1に示すように、トリムボード12と、トリムボード12に取り付けられるオーナメント15と、を主体に構成されている。トリムボード12は、例えばポリプロピレン等の合成樹脂材料などによって構成されている。なお、トリムボード12の材質は、合成樹脂材料に限定されず、例えば、木質系材料と合成樹脂を混合したものなどを用いてもよい。トリムボード12は、トリムボード12の上部を構成するアッパーボード13と、トリムボード12の下部を構成するロアボード30とを備えている。また、トリムボード12の表面を覆う形で、表皮材(図示せず)が貼り付けられている。
【0023】
ロアボード30には、スピーカグリル16やインサイドハンドル収容部17などが設けられている。オーナメント15は、アッパーボード13とロアボード30との間に介在される形で取り付けられている。また、ドアトリム10は、車室内側に張り出す形状をなすアームレスト部19を備えている。
【0024】
ロアボード30の車室外側面30Aには、図1及び図4に示すように、衝撃吸収体50が取り付けられている。また、ロアボード30の車室外側面30Aにおいて、衝撃吸収体50の下方には、図1に示すように、衝撃吸収体50と隣接する形でスペーサ40が取り付けられている。衝撃吸収体50及びスペーサ40は、ドアインナパネルとロアボード30との間にそれぞれ介在されている。なお、図1においては、衝撃吸収体50及びスペーサ40を破線で図示してある。
【0025】
スペーサ40は、例えば、合成樹脂材料によって構成され、多数の補強リブ(図示せず)を備えた剛性の高い部材とされる。スペーサ40は、車室内に配置された着座シート(図示せず)と対向配置されている。これにより、側突時にスペーサ40が車室内側へ変位した場合には、スペーサ40がロアボード30を介して着座シートに車室外側から当接する構成となっている。
【0026】
この結果、側突時の荷重を着座シートに伝達するとともに、トリムボード12の車室内側への変位を抑制することで、乗員を保護することが可能な構成となっている。なお、着座シートの内部には、例えば、着座シートを構成するパイプ部材(図示せず)など、剛性の高い部材が埋設されており、側突時の荷重を確実に受けることができる。
【0027】
衝撃吸収体50(衝撃吸収パッド)は、図1に示すように、ロアボード30において、乗員14の大腿部14Aに対向する箇所に配置されている。衝撃吸収体50は、側突時(車両用ドアへの側面衝突時)の衝撃エネルギー吸収(Energy Absorption:EA)を目的として装着されるもので、EA材とも呼ばれる。
【0028】
衝撃吸収体50は、図2及び図3に示すように、平面視(図2の状態)において略三角形状をなすとともに、車室内外方向に厚みを有するものとされる。衝撃吸収体50は、硬度の異なる2種類の部材から構成されている。より具体的には、衝撃吸収体50は、相対的に車両後側(図2の右側)に配置される第1衝撃吸収部材51と、第1衝撃吸収部材51に対して車両前側(図2の左側)に配置される第2衝撃吸収部材61とが一体化されることで構成されている。図4に示すように、第1衝撃吸収部材51及び第2衝撃吸収部材61の各々は、ロアボード30(衝撃吸収体が取り付けられる取付部材)に対して、それぞれ隣り合うように配置されている。
【0029】
第1衝撃吸収部材51は、例えば、ウレタンを発泡させた発泡材とされる。これに対して、第2衝撃吸収部材61は、例えば、PPビーズを発泡させた発泡材とされ、第1衝撃吸収部材51よりも硬度の高いものとされる。図1に示すように、第2衝撃吸収部材61は、乗員14の大腿部14Aにおける車両前側の部分に対応して配されている。また、第1衝撃吸収部材51は、乗員14の大腿部14Aにおける車両後側(腰部に近い側)の部分に対応して配されている。
【0030】
図2に示すように、第2衝撃吸収部材61における車両後側の後部62(一方の衝撃吸収部材の一部)は、第1衝撃吸収部材51における車両前側の前部52(他方の衝撃吸収部材の一部)によって、その周囲から覆われている。言い換えると、車両前側の前部52が車両後側の後部62を周囲から覆う構成となっている。そして、第2衝撃吸収部材61の後部62の外面と、第1衝撃吸収部材51の前部52の内面とが接合されることで第1衝撃吸収部材51及び第2衝撃吸収部材61が一体化されている。
【0031】
このような第1衝撃吸収部材51及び第2衝撃吸収部材61は、第2衝撃吸収部材61の後部62をインサート部材としたインサート成形によって成形される。具体的には、衝撃吸収体50を成形するための成形型(図示せず)において、第1衝撃吸収部材51を成形する成形空間内に、第2衝撃吸収部材61の後部62をインサートした状態とし、その後、当該成形空間に第1衝撃吸収部材51を成形するためのウレタンを充填した後、発泡させる。これにより、第2衝撃吸収部材61の後部62の周囲を覆う形で第1衝撃吸収部材51が成形される。
【0032】
なお、図2及び図4に示すように、第1衝撃吸収部材51の前部52は、第2衝撃吸収部材61における後部62の上面62A、下面62B(図6参照)、車室外側面62C(図4参照、図4の上側の面)、車両後側面62D(図4の右側の面)の各面を覆うとともに、各面(上面62A、下面62B、車室外側面62C、車両後側面62D)とそれぞれ接合されている。
【0033】
また、図2及び図6に示すように、後部62の車室内側面62Eは、その周端部62E1が第1衝撃吸収部材51に覆われている。つまり、後部62の車室内側面62Eは、その周端部を除いて、第1衝撃吸収部材51に覆われていない露出面とされる。この車室内側面62Eは、ロアボード30における車室外側面30Aと対向する対向面とされる。なお、後部62の車室内側面62Eの少なくとも一部が露出されていればよく、周端部62E1以外の部分が第1衝撃吸収部材51に覆われていてもよい。
【0034】
なお、ここで言う「第2衝撃吸収部材61における後部62が、第1衝撃吸収部材51の前部52に周囲から覆われている」とは、少なくとも後部62の2面以上が前部52によって覆われている構成のことを言う。なお、本実施形態における第2衝撃吸収部材61の後部62とは、第1衝撃吸収部材51に覆われる部分とされる。これに対して、第1衝撃吸収部材51の前部52とは、第2衝撃吸収部材61の後部62を覆う部分とされる。また、図2においては、第2衝撃吸収部材61の後部62の外周面を破線で示してある。
【0035】
また、図2及び図4に示すように、第2衝撃吸収部材61の後部62における車両後側面62Dからは、車両後側に延設部63が延設されている。なお、図2においては、延設部63を破線で示している。この延設部63は、第1衝撃吸収部材51の前部52に形成された凹部53に嵌合されている。そして、延設部63には、車室内外方向(延設部63の突出方向に直交する方向、図4の上下方向)に貫通された貫通孔63A(被係合部)が形成されている。
【0036】
貫通孔63Aは、例えば、円形状をなしている。この貫通孔63Aには、図2に示すように、第1衝撃吸収部材51における凹部53の内面に形成された挿通部54(係合部)が挿通(係合)されている。挿通部54は、貫通孔63Aに嵌合可能な円柱状をなしている。なお、挿通部54の各端部は、図4に示すように、凹部53の内面のうち対向する2つの面とそれぞれ連結されている。
【0037】
このように、貫通孔63Aに対して、挿通部54が挿通される(係合部と被係合部とが互いに係合する)ことで、凹部53に対して延設部63が抜け止めされる構成となっている。なお、挿通部54及び貫通孔63Aは、図2及び図5に示すように、上下方向に複数個(本実施形態では3つ)ずつ形成されている。なお、このような挿通部54は、上述したインサート成形時に、貫通孔63Aに第1衝撃吸収部材51を成形するためのウレタンが充填されることで成形される。
【0038】
また、第2衝撃吸収部材61の後部62は、図2に示すように、車両後側(第1衝撃吸収部材51側)に向かうにつれて上下方向の長さが大きいものとされ、第1衝撃吸収部材51の前部52は、この後部62の外周面を覆う形状をなしている。
【0039】
このため、第2衝撃吸収部材61の後部62における上面62A、下面62Bは、車両後側(図2の右側)から、第1衝撃吸収部材51の前部52の内面52Aに対して、それぞれ係止される構成となっている。これにより、第2衝撃吸収部材61が、第1衝撃吸収部材51に対して、車両前側(図2の左側)に変位する事態をより確実に抑制でき、第1衝撃吸収部材51と第2衝撃吸収部材61との接合力をより高くすることができる。
【0040】
次に、ロアボード30に対する衝撃吸収体50の取付構造について説明する。本実施形態の衝撃吸収体50は、図4に示すように、ロアボード30の車室外側面30Aから突出された複数本(本実施形態では3本)の取付ボス31に対して取り付けられている。具体的に説明すると、衝撃吸収体50の周端部(角部付近)には、図2に示すように、3つの取付部55,56,64が形成されている。各取付部55,56,64は、衝撃吸収体50における他の部分よりも厚さが小さい部分(取付片)とされる(図3参照)。
【0041】
各取付部55,56,64には、それぞれ挿通孔55A,56A,64Aが貫通形成されている。この挿通孔55A,56A,64Aには、取付ボス31がそれぞれ挿通されている。挿通孔55A,56A,64Aに挿通された各取付ボス31は、超音波溶着などの溶着手段によって、その先端部31Aが溶着(熱カシメ)される。
【0042】
これにより、取付ボス31の先端部31Aが、挿通孔55A,56A,64Aの孔縁に対して車室外側から係止される結果、各取付部55,56,64がロアボード30に対して取り付けられる構成となっている。また、本実施形態では、第1衝撃吸収部材51が取付部55,56(第1取付部)を有しており、第2衝撃吸収部材61が取付部64(第2取付部)を有している。つまり、第1衝撃吸収部材51及び第2衝撃吸収部材61は、ロアボード30(衝撃吸収体が取り付けられる取付部材)に対して、個別に取り付けられている。
【0043】
また、取付部56に形成された挿通孔56Aには、図4に示すようにインサートワッシャ56Bが設けられており、インサートワッシャ56Bを介して、取付部56が取付ボス31に取り付けられている。このようなインサートワッシャ56Bを設けることで、ロアボード30に対する取付強度を高くすることができる。なお、インサートワッシャ56Bを備えていなくてもよい。
【0044】
また、取付部64は、第2衝撃吸収部材61における車両前側の端部に設けられている。つまり、第2衝撃吸収部材61は、第2衝撃吸収部材61の後部62以外の部分(一方の衝撃吸収部材の一部以外の部分)においてロアボード30に取り付けられている。
【0045】
次に、本実施形態の効果について説明する。本実施形態の衝撃吸収体50は、発泡体からなる第1衝撃吸収部材51と、発泡体からなり、第1衝撃吸収部材51より硬度が高い第2衝撃吸収部材61と、を備え、第1衝撃吸収部材51及び第2衝撃吸収部材61の各々は、衝撃吸収体50が取り付けられるロアボード30に対して、それぞれ隣り合うように配置可能な構成とされ、第2衝撃吸収部材61の後部62が第1衝撃吸収部材51の前部52に周囲から覆われており、第2衝撃吸収部材の後部62と第1衝撃吸収部材51の前部52とが接合されることで第1衝撃吸収部材51及び第2衝撃吸収部材61が一体化されている。
【0046】
本実施形態においては、硬度の異なる第1衝撃吸収部材51及び第2衝撃吸収部材61が一体化されている。これにより、硬度の異なる複数の衝撃吸収体をロアボード30(取付部材)に個々に取り付ける構成と比べて、取付作業性が向上する。そして、第2衝撃吸収部材61の後部62が第1衝撃吸収部材51の前部52によって周囲から覆われている。これにより、両部材(第1衝撃吸収部材51及び第2衝撃吸収部材61)の接合面積が大きくなり、両部材間の接合力をより高くすることができる。このため、衝撃吸収体50に荷重が作用した場合に、ロアボード30に対して隣り合う両部材が、接合箇所において分裂する事態をより確実に抑制することができる。
【0047】
また、第1衝撃吸収部材51及び第2衝撃吸収部材61を、第2衝撃吸収部材の後部62をインサート部材としたインサート成形によって成形することで、第2衝撃吸収部材61の後部62が、第1衝撃吸収部材の前部52によって周囲から覆われた構成とされている。
【0048】
第1衝撃吸収部材51及び第2衝撃吸収部材61をインサート成形によって成形することで、第2衝撃吸収部材61の後部62が、第1衝撃吸収部材の前部52によって周囲から覆われた構成を容易に成形することができるとともに、両部材の接合力をより高くすることができる。
【0049】
また、第2衝撃吸収部材61の後部62からは、第1衝撃吸収部材51の前部52に形成された凹部53に嵌合される延設部63が延設され、延設部63には、第1衝撃吸収部材51の前部52における凹部53の内面に形成された挿通部54が挿通される貫通孔63Aが形成されており、貫通孔63Aに挿通部54が挿通されることで、凹部53に対して延設部63が抜け止めされている構成とされる。
【0050】
延設部63を凹部53に嵌合させるとともに、凹部53に対して延設部63が抜け止めされる構成とすることで、第1衝撃吸収部材51及び第2衝撃吸収部材61の接合力をより高くすることができる。
【0051】
また、本実施形態では、衝撃吸収体50の成形方法として、インサート成形を用いており、インサート成形時に、貫通孔63Aにウレタンを充填することで、挿通部54を形成している。これにより、貫通孔63Aに挿通された状態の挿通部54を容易に成形することができる。
【0052】
また、第1衝撃吸収部材51は、衝撃吸収体50が取り付けられるロアボード30に取り付け可能な取付部55,56を有し、第2衝撃吸収部材61は、ロアボード30に取り付け可能な取付部64を有している。
【0053】
取付部55,56及び取付部64によって、第1衝撃吸収部材51及び第2衝撃吸収部材61の各々を、衝撃吸収体50の取付対象であるロアボード30にそれぞれ取り付けることが可能となる。これにより、第1衝撃吸収部材51又は第2衝撃吸収部材61のうち、いずれか一方のみでロアボード30に取り付ける構成と比較して、衝撃吸収体50の取付強度をより高くすることができる。
【0054】
また、第2衝撃吸収部材61は、第2衝撃吸収部材61の後部62以外の部分においてロアボード30に取り付けられている。
【0055】
相対的に硬度の高い第2衝撃吸収部材61をロアボード30に取り付けることで、衝撃吸収体50の取付強度をより高くすることができる。
【0056】
また、本実施形態のドアトリム10は、衝撃吸収体50と、衝撃吸収体50が車室外側面30Aに取り付けられたトリムボード12(ロアボード30)と、を備え、第2衝撃吸収部材61の後部62における車室内側面62E(車室外側面30Aとの対向面)のうち、少なくとも一部は、第1衝撃吸収部材51に覆われていない露出面とされている。
【0057】
図4に示すように、衝撃吸収体50における車室内側面(ロアボード30の車室外側面30Aとの対向面)は、車両の乗員14と対向する面となる。本実施形態では、第2衝撃吸収部材61の後部62は、第1衝撃吸収部材51の前部52に取り囲まれる部分とされる。ここで、仮に、第2衝撃吸収部材61の後部62における車室内側面62E(乗員14との対向面)の全面が、第1衝撃吸収部材51に覆われていると、第2衝撃吸収部材61の後部62は、第1衝撃吸収部材51を介して、乗員14と当接することとなる。これにより、第2衝撃吸収部材61の本来の衝撃吸収性能を発揮させづらい。
【0058】
本実施形態においては、第2衝撃吸収部材の後部62における車室内側面62Eの一部(周端部を除く部分)が、第1衝撃吸収部材51に覆われていない露出面とされる。これにより、第2衝撃吸収部材61の後部62と乗員との間に、第1衝撃吸収部材51が介在する事態を抑制でき、第2衝撃吸収部材61の衝撃吸収性能を確保することができる。
【0059】
なお、後部62の車室内側面62Eの周端部62E1は、第1衝撃吸収部材51に覆われているから、第2衝撃吸収部材61が第1衝撃吸収部材51に対して車室内側に変位する事態をより確実に抑制することができ、第2衝撃吸収部材61と第1衝撃吸収部材51との接合力をより高くすることができる。
【0060】
また、衝撃吸収体50は、ロアボード30において、乗員14の大腿部14Aと対向する箇所に配置され、第1衝撃吸収部材51は、相対的に車両後側に配置され、第2衝撃吸収部材61は、第1衝撃吸収部材51に対して車両前側に配置されている。
【0061】
乗員14の大腿部14Aと対向する箇所に設けられた衝撃吸収体50において、相対的に硬度の低い第1衝撃吸収部材51を車両後側へ配置することで、側突時には、大腿部14Aよりも車両後側に配される乗員14の腰部付近(例えば、股臼や腸骨など)を確実に保護することができる。また、相対的に硬度の高い第2衝撃吸収部材61を車両前側へ配置することで、側突時には、硬度の高い第2衝撃吸収部材61によって、乗員14の大腿部14Aを確実に車室内側に押し出すことができる。これによって、側突時において乗員14をより確実に保護することができる。
【0062】
<他の実施形態>
本発明は上記記述及び図面によって説明した実施形態に限定されるものではなく、例えば次のような実施形態も本発明の技術的範囲に含まれる。
【0063】
(1)上記実施形態では、衝撃吸収体50が第1衝撃吸収部材51と第2衝撃吸収部材61とから構成されているものを例示したが、これに限定されない。衝撃吸収体は、硬度の異なる第1衝撃吸収部材と第2衝撃吸収部材とを少なくとも備えていればよく、3つ以上の異なる硬度の部材から構成されていてもよい。
【0064】
(2)第1衝撃吸収部材51及び第2衝撃吸収部材61の材質は上記実施形態で例示したものに限定されない。第2衝撃吸収部材61が、第1衝撃吸収部材51よりも硬度の高いものであればよく、その材質は適宜変更可能である。また、第1衝撃吸収部材51及び第2衝撃吸収部材61の発泡率をそれぞれ変えることで硬度差をつけるものでもよい。
【0065】
(3)第1衝撃吸収部材51及び第2衝撃吸収部材61の形状は上記実施形態で例示した形状に限定されず適宜変更可能である。また、上記実施形態では車両前後方向に第1衝撃吸収部材51及び第2衝撃吸収部材61が配列される構成を例示したが、これに限定されない。例えば、衝撃吸収体50の上部を第1衝撃吸収部材51で構成し、下部を第2衝撃吸収部材61で構成してもよい。つまり、第1衝撃吸収部材51及び第2衝撃吸収部材61の位置関係は、乗員の体の部位に対応して適宜変更可能である。
【0066】
(4)上記実施形態では、トリムボード12に取り付けられた衝撃吸収体50を例示したが、これに限定されない。衝撃吸収体50の取付対象は、トリムボード12に限定されず適宜変更可能である。
【0067】
(5)第1衝撃吸収部材51の一部が第2衝撃吸収部材61の一部によって周囲から覆われる構成としてもよい。
【0068】
(6)取付部55,56,64の形成箇所及び形成個数は上記実施形態で例示したものに限定されず適宜変更可能である。また、このような取付部は、第1衝撃吸収部材51及び第2衝撃吸収部材61のうちいずれか一方のみに設けられていてもよい。なお、取付部を第1衝撃吸収部材51及び第2衝撃吸収部材61のうちいずれか一方のみに設ける場合は、例えば、硬度の高い第2衝撃吸収部材61に設けることで取付強度をより高くすることができる。
【0069】
(7)上記実施形態では、係合部及び被係合部として、挿通部54及び貫通孔63Aを例示したが、これに限定されない。例えば、図7の衝撃吸収体150に示すように、延設部63に凹部163A(被係合部)を形成し、凹部53の内面に突部154(係合部)を形成してもよく、凹部163Aに突部154が嵌合することで、凹部53に対して延設部63が抜け止めされる構成としてもよい。また、突部154と凹部163Aの形成箇所を入れ替えてもよい。
【符号の説明】
【0070】
10…ドアトリム(車両用ドアトリム)、12…トリムボード、14…乗員、14A…大腿部、30…ロアボード(衝撃吸収体が取り付けられる取付部材)、30A…車室外側面、50…衝撃吸収体、51…第1衝撃吸収部材、52…第1衝撃吸収部材の前部(他方の衝撃吸収部材の一部)、53…凹部、54…挿通部(凹部の内面に形成された係合部)、55,56…取付部(第1取付部)、61…第2衝撃吸収部材、62…第2衝撃吸収部材の後部(一方の衝撃吸収部材の一部)、62E…後部の車室内側面(第2衝撃吸収部材の一部における車室外側面との対向面)、63…延設部、63A…貫通孔(被係合部)、64…取付部(第2取付部)
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7