特許第5834435号(P5834435)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2015.5.11 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】5834435
(24)【登録日】2015年11月13日
(45)【発行日】2015年12月24日
(54)【発明の名称】記録装置
(51)【国際特許分類】
   B41J 19/20 20060101AFI20151203BHJP
【FI】
   B41J19/20 L
【請求項の数】3
【全頁数】14
(21)【出願番号】特願2011-62536(P2011-62536)
(22)【出願日】2011年3月22日
(65)【公開番号】特開2012-196885(P2012-196885A)
(43)【公開日】2012年10月18日
【審査請求日】2014年1月30日
(73)【特許権者】
【識別番号】000002369
【氏名又は名称】セイコーエプソン株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100095728
【弁理士】
【氏名又は名称】上柳 雅誉
(74)【代理人】
【識別番号】100107261
【弁理士】
【氏名又は名称】須澤 修
(72)【発明者】
【氏名】澤田 京樹
(72)【発明者】
【氏名】河端 聖司
【審査官】 大浜 登世子
(56)【参考文献】
【文献】 特開2006−205537(JP,A)
【文献】 特開2004−017314(JP,A)
【文献】 実開平05−024368(JP,U)
【文献】 特開昭56−015383(JP,A)
【文献】 特開2005−193432(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B41J 19/20
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
インクジェットヘッドを搭載したキャリッジと、
丸棒状の主ガイド部材、および前記ガイド部材の上側に配設される副ガイド部材を有し、前記キャリッジの往復動をガイドするガイド機構と、を備え、
前記キャリッジは、一方の端部に設けられ、前記主ガイド部材に摺動自在に支持された主スライド部と、他方の端部に設けられ、前記副ガイド部材に摺動自在に支持された副スライド部と、を有し、
前記主スライド部は、前記主ガイド部材に摺接すると共に、前記主ガイド部材に向かって付勢する回動付勢機構を有し、
前記回動付勢機構は、前記主ガイド部材の下半部に摺接する摺動部材と、
前記摺動部材を前記主ガイド部材に向って付勢する付勢部材と、を有し、
前記摺動部材は、前記付勢部材の付勢方向に対し傾斜した傾斜面で前記主ガイド部材に摺接し、
前記摺動部材および前記付勢部材は、前記主ガイド部材の下端よりも上方に位置する
ことを特徴とする記録装置。
【請求項2】
前記主スライド部は、前記主ガイド部材の上半部に摺接すると共に前記主ガイド部材の軸方向に延在する第1摺接係合部および第2摺接係合部を、更に有していることを特徴とする請求項1に記載の記録装置。
【請求項3】
前記副ガイド部材は、板状に形成されており、
前記副スライド部は、
前記副ガイド部材の一方の面に摺接するスライド受け部と、
前記副ガイド部材の他方の面に摺接する押圧部本体、および前記押圧部本体を前記副ガイド部材に向かって付勢する付勢部を含むスライド押圧部と、を有していることを特徴とする請求項1または2のいずれかに記載の記録装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、インクジェットヘッドを搭載したキャリッジの往復動を2箇所でガイドするガイド機構を有する記録装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、インクジェットヘッドを搭載したキャリッジと、キャリッジの後方に配設された主スライド部が摺動自在に保持される主ガイド部材(メインガイドロッド)と、キャリッジの前方に配設された副スライド部が摺動自在に保持される副ガイド部材(フロントガイドロッド)と、主ガイド部材に沿って設けられ、キャリッジを主走査方向に往復動させる移動機構と、を備えた記録装置が知られている(特許文献1参照)。
このキャリッジの主スライド部は、主ガイド部材に対し、高精度に位置決めされて往復動自在に保持されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2001−030562号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
従来の記録装置は、キャリッジの円滑な往復動を確保し、かつ、往復動方向のブレ(首振れ)を防止するために主ガイド部材と、主スライド部の係合部分と、を高精度の寸法公差に形成する必要があった。
【0005】
また、従来の記録装置は、所謂横置き型のものであり、キャリッジ支持部材がキャリッジの自重により副ガイド部材上に押圧されている。
ここで、所謂縦置き型の記録装置では、重心を低くするために主ガイド部材を下側にして副ガイド部材を上側にすることが好ましい。しかし、縦置き型とした場合、従来の主スライド部材では、キャリッジの自重による副ガイド部材への押圧力が極端に弱くなるため、キャリッジの往復動に伴って、キャリッジの姿勢を適切に維持することができなかった。すなわち、キャリッジの副スライド部が、副ガイド部材上でブレたりバウンドしたりする虞があった。このため、インクジェットヘッドと記録媒体(用紙)との間の平行度が損なわれ、キャリッジを主走査させながら高精度な印刷処理を行うことができないという問題があった。
【0006】
本発明は、主ガイド部材および副ガイド部材により往復動自在に保持したキャリッジの副ガイド部材からのブレや浮き上がりを簡単な構成で、かつ、適切に防止することができる記録装置を提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の記録装置は、インクジェットヘッドを搭載したキャリッジと、上下に離間して配設した丸棒状の主ガイド部材、および副ガイド部材を有し、キャリッジの往復動をガイドするガイド機構と、を備え、キャリッジは、一方の端部に設けられ、主ガイド部材に摺動自在に支持された主スライド部と、他方の端部に設けられ、副ガイド部材に摺動自在に支持された副スライド部と、を有し、主スライド部は、主ガイド部材に摺接すると共に、主ガイド部材に向かって付勢する回動付勢機構を有していることを特徴とする。
【0008】
この構成によれば、キャリッジは、主スライド部およびこれが有する回動付勢機構により、主ガイド部材に対して摺動自在に支持される。また、キャリッジは、回動付勢機構による主ガイド部材に対する付勢力によって、主ガイド部材を確実に挟み込む。そして、キャリッジは、副ガイド部材から浮き上がったり、ブレたりすることなく、その姿勢が維持される。これにより、インクジェットヘッドと記録が行われる媒体との平行度を高精度に維持することができるため、キャリッジを主走査させながら高精度な記録処理を行うことができる。
【0009】
この場合、副ガイド部材は上側に、主ガイド部材は下側に配設されており、回動付勢機構は、主ガイド部材の下半部に摺接する摺接部材と、摺接部材を主ガイド部材に向って付勢する付勢手段と、を有していることが好ましい。
【0010】
一般的に、キャリッジを往復動させるための移動機構は、主ガイド部材側に配設されている。したがって、この構成によれば、主ガイド部材を下側に配設し、副ガイド部材を上側に配設することにより、記録装置の重心を低くすることができる。これにより、記録装置を設置した際の安定性を向上させることができる。
また、付勢手段により摺接部材を、主ガイド部材に向かって付勢することで、キャリッジは、主ガイド部材の軸に沿って、確実に摺接自在に支持される。
【0011】
この場合、主スライド部は、主ガイド部材の上半部に摺接すると共に主ガイド部材の軸方向に延在する第1摺接係合部および第2摺接係合部を、更に有していることが好ましい。
【0012】
この構成によれば、主ガイド部材は、第1摺接係合部と、第2摺接係合部と、摺接部材と、により挟み込まれる。すなわち、キャリッジは、第1摺接係合部、第2摺接係合部および摺接部材の3箇所で主ガイド部材に支持される。したがって、主スライド部は、主ガイド部材に確実に支持され、副スライド部は、副ガイド部材から離れることなく往復動をガイドされる。これにより、主ガイド部を回転中心としてキャリッジが転倒してしまうことを防止することができる。
【0013】
また、この場合、副ガイド部材は、板状に形成されており、副スライド部は、副ガイド部材の一方の面に摺接するスライド受け部と、副ガイド部材の他方の面に摺接する押圧部本体、および押圧部本体を副ガイド部材に向かって付勢する付勢部を含むスライド押圧部と、を有していることが好ましい。
【0014】
この構成によれば、付勢部によって押圧部本体が副ガイド部材に押し付けられる。すなわち、キャリッジの副スライド部は、スライド受け部とスライド押圧部とにより副ガイド部材を狭持する。これにより、副ガイド部材からの浮き上がりが適切に防止される。
【図面の簡単な説明】
【0015】
図1】記録装置の外観斜視図である。
図2】用紙を給送ローラーから離間させた状態の記録装置の側断面図である。
図3】用紙を給送ローラーに圧接させた状態の記録装置の側断面図である。
図4】筐体を取り外した状態の記録装置の斜視図である。
図5】装置フレームの斜視図(正面方向)である。
図6】装置フレームの斜視図(背面方向)である。
図7】本実施形態に係る印刷部の側断面図である。
図8】本実施形態に係る主スライド部の側断面図である。
図9】本実施形態に係る印刷部の正面断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0016】
以下、添付の図面を参照しながら、本発明の一実施形態に係る記録装置について説明する。この記録装置は、起立姿勢で保持した用紙(記録媒体)を搬送しながら所望の記録を行い、排紙した記録済みの用紙を起立状態で保持(ストック)するものである。なお、各図に示す通り、X軸(左右)方向、Y軸(前後)方向およびZ軸(上下)方向を規定して、以降説明する。
【0017】
図1ないし図4に示すように、記録装置1は、X軸およびY軸方向よりもZ軸方向の寸法が大きく形成された薄型の箱状体を成す筐体2によって外観が構成されている。なお、所謂縦置き型の記録装置1は、X軸およびY軸方向の寸法を小さくすることで設置面積が小さくなるように構成されている。また、X軸方向の寸法は、使用する用紙Pの最大幅により決定されるため、Y軸方向の寸法を抑えることにより、設置面積の抑制を図っている。
【0018】
また、記録装置1は、搬送路上に臨む用紙Pにインクジェット方式で印刷処理を行う印刷部3(図7参照)と、枚葉の用紙Pを搬送路に沿って送る搬送部4と、用紙Pを起立姿勢で収容し、筐体2に対し着脱自在に装着される記録媒体カセット5と、搬送部4や印刷部3などを支持する装置フレーム6(図5および図6参照)と、装置全体を統括制御する制御装置(図示省略)と、を備えている。
【0019】
筐体2の上面には、操作ボタン等が配置された操作パネル21と、PC等に接続するためのケーブルが接続されるケーブル端子22と、複数のインクカートリッジ(図示省略)を着脱可能に装着するカートリッジ装着部(図示省略)を開閉するカートリッジカバー23と、が設けられている。また、筐体2の上面には、記録が行われた用紙P(記録媒体)を排出するための用紙排出口24を開閉する用紙排出口カバー25が設けられている。なお、用紙排出口カバー25は、ユーザーによって開閉されるものであるが、仮に閉じた状態で記録が実行された場合でも、図外の開閉機構によって自動的に開くようになっている。
【0020】
印刷部3は、後述する一対の搬送ローラー42の下流側に配設されており、インクジェットヘッド3aを搭載したキャリッジ31と、キャリッジ31の往復動を上下2箇所でガイドするガイド機構32(図4参照)と、キャリッジ31を往復動させる移動機構(図示省略)と、インクジェットヘッド3aに対向位置に設けられた案内部材33と、を有している。
【0021】
ガイド機構32は、X軸方向に延びる主ガイド部材34と、主ガイド部材34に対しZ軸(上下)方向に離間して配設され、X軸方向に延びる板状の副ガイド部材35と、を有している。
【0022】
キャリッジ31は、主ガイド部材34に摺動自在に支持された主スライド部36と、副ガイド部材35を挟持した状態で、副ガイド部材35に摺動自在に支持された副スライド部37と、を有している。したがって、キャリッジ31は、Z軸方向に離間した主ガイド部材34および副ガイド部材35の一対により、X軸方向に摺動自在(往復動)に支持されている。
【0023】
キャリッジ31は、X軸方向に延びる主ガイド部材34に沿って、移動機構(モーター)により往復動可能に設けられている。なお、図2に示すように、キャリッジ31は、傾斜姿勢(起立姿勢)で設けられるため、主ガイド部材34を中心として回動しようとする力が生じる。そこで、キャリッジ31の上方に設けられた副スライド部37が、X軸方向に延びる副ガイド部材35を挟み込むことで、キャリッジ31の姿勢を一定に保持している。なお、キャリッジ31およびガイド機構32についての詳細は後述する。
【0024】
図示は省略するが、移動機構は、主ガイド部材34側に設けられた駆動プーリーおよび従動プーリーに対し、主スライド部36に係合したベルトを掛けたものである。詳細は後述するが、主ガイド部材34は、副ガイド部材35よりもZ軸方向下側に配設されている。また、移動機構も下側の主ガイド部材34の近傍に設けられているため、記録装置1の重心を低くすることができる。これにより、記録装置1を設置した際の安定性を向上させることができる。
【0025】
案内部材33は、搬送経路の一部を構成すると共に、用紙Pの記録面とインクジェットヘッド3aとの間のギャップ(ワークギャップ)を規定する。また、案内部材33には、インクジェットヘッド3aと対向する位置に縁無し印刷の際、用紙P端から外れた領域に吐出されるインクを受ける凹部が形成されている。この凹部の中には、インクを吸収するインク吸収材(図示省略)が設けられている。そして更に、案内部材33の下方には、打ち捨てられたインクを貯留する廃液タンク(図示省略)が配置されている。
【0026】
なお、本実施形態は、インクカートリッジがキャリッジ31から独立して設けられたいわゆるオフキャリッジ型であるが、インクカートリッジがキャリッジ31に搭載された、いわゆるオンキャリッジ型であってもよい。また、本実施形態では、キャリッジ31がX軸方向に移動しながら記録を行ういわゆるシリアルプリンターであるが、用紙P幅をカバーする固定式のインクジェットヘッド3aを用いてもよい。さらに、インクジェット方式に限らず、その他の記録方式であってもよい。
【0027】
搬送部4は、上流側から、装着された記録媒体カセット5の先端に対向する位置に設けられ、記録媒体カセット5から供給された用紙Pを下流側へと送り出す給送ローラー41と、用紙Pを印刷部3へと搬送する一対の搬送ローラー42と、印刷部3の案内部材33から用紙Pの浮き上がりを防止する案内ローラー43と、記録の行われた用紙Pを印刷部3から排出する一対の排紙ローラー44と、を有している。
【0028】
給送ローラー41は、用紙Pの先端と接した状態で、図外のモーターにより回転することにより用紙Pを下方へと送り出す。給送ローラー41の外周面に対向位置には、用紙Pが湾曲反転する略U字状の搬送経路を形成するガイド部材45が配設されている。なお、符号46は、給送ローラー41による用紙Pの送り出しを補助する補助従動ローラーである。すなわち、給送ローラー41と補助従動ローラー46とでニップローラーの形態を為している。
【0029】
一対の搬送ローラー42は、図外の駆動モーターにより回転駆動される搬送駆動ローラー42aと、図外の付勢手段により搬送駆動ローラー42aに向かって付勢されている搬送従動ローラー42bと、を有し、ニップローラーの形態を為している。搬送従動ローラー42bは、搬送駆動ローラー42aとの間で用紙Pを挟圧することで従動回転する。
【0030】
一対の排紙ローラー44は、図外の駆動モーターにより回転駆動される排紙駆動ローラー44aと、図外の付勢手段により排紙駆動ローラー44aに向かって付勢されている排紙従動ローラー44bと、を有し、ニップローラーの形態を為している。排紙駆動ローラー44aは、その表面がゴム等により形成されている。排紙従動ローラー44bは、拍車状(スターホイール)に形成され、排紙駆動ローラー44aとの間で用紙Pを挟圧することで従動回転する。なお、排紙従動ローラー44bおよび案内ローラー43は、ローラーホルダー47に回転自在に保持されている。
【0031】
なお、図示は省略するが、給送ローラー41、搬送駆動ローラー42aおよび排紙駆動ローラー44aは、それぞれ、用紙Pの幅方向(X軸方向)に延びる回転軸と、回転軸に適宜の間隔で複数軸着したローラー本体と、から構成されている。また、図4に示すように、補助従動ローラー46、搬送従動ローラー42b、案内ローラー43および排紙従動ローラー44bは、それぞれ、回転軸に軸着したローラー本体がX軸方向に適宜の間隔で複数配設されている。
【0032】
下方へと送り出された用紙Pは、給送ローラー41およびガイド部材45によって上向きに反転させられ、一対の搬送ローラー42へと送られる。用紙Pは、一対の搬送ローラー42の間に挟まれて、印刷部3に送られる。印刷部3で記録の行われた用紙Pは、案内ローラー43および一対の排紙ローラー44を介して、記録媒体カセット5の保持面61(後述する。)に摺接しながら上方に移動する(図3の破線参照)。排紙された用紙Pは、その下端が排紙駆動ローラー44aの近傍の装置フレーム6に設けられた受容部62に起立姿勢で支持される。なお、案内ローラー43は、拍車状のローラー(スターホイール)により構成されている。
【0033】
受容部62は、排紙駆動ローラー44a側の先端部分が上方に屈曲しており、支持した用紙Pの下端が脱落したり、排紙駆動ローラー44aに接触しないようになっている。また、受容部62は、適宜の間隔で複数配置された排紙駆動ローラー44aの間に入り込むようにして、X軸方向に適宜の間隔で複数配置されている。つまり、受容部62は、全体として略櫛歯形状に形成されている。
【0034】
続いて、図2および図3を参照して、記録媒体カセット5について説明する。記録媒体カセット5は、筐体2に対してZ軸方向にスライドすることで着脱可能に構成されている。また、記録媒体カセット5を取り外すことで記録装置1の内部が露出するため、搬送経路に用紙Pが詰まった等の不具合を容易に解消することができる。
【0035】
記録媒体カセット5は、装着時に筐体2と面一になり、記録装置1の概観をなすカセット筐体部53と、トレイ状に形成された本体トレイ54と、用紙Pを収容する用紙収容空間Sを開閉する上部外側カバー55と、上部外側カバー55に対し、本体トレイ54の上端から突出するようにスライド可能に設けられた上部内側カバー56と、本体トレイ54に対し、本体トレイ54の上端から突出するようにスライド可能に設けられた上部スライドトレイ57と、上部外側カバー55に対し、X軸方向にスライド可能に設けられたエッジガイド58と、用紙収容空間Sに収容した用紙Pの先端を揺動させる可動トレイ59と、を備えている。
【0036】
本体トレイ54の下端部には、収容した用紙Pの先端を支持する用紙先端支持壁54aが形成されている。記録媒体カセット5が装着された状態において収容された用紙Pは、その先端が用紙先端支持壁54aに当接した状態で支持される。
【0037】
上部外側カバー55は、本体トレイ54の上下方向略中央部に設けられた左右一対の回動支点55aを中心に回動するようになっている。上部外側カバー55を開放することにより、用紙収容空間Sが表れて、用紙Pの収容が可能となる。また、上部外側カバー55の外面(装着時に装置内側に向く面)は、記録済みの用紙Pを保持する(蓄える)ための保持面61として機能している。
【0038】
上部内側カバー56は上部外側カバー55に対し、また、上部スライドトレイ57は本体トレイ54に対し、それぞれスライドすることで、用紙PのZ軸方向の長さに合わせて、用紙収容空間Sを伸縮させることができる。また、上部内側カバー56を延ばした場合は、上部外側カバー55の外面から連なるように上部内側カバー56の外面が延在し、保持面61がZ軸方向に延長される。
【0039】
エッジガイド58は、用紙収容空間Sに収容された用紙Pをガイドする供給側ガイド64と、保持面61に保持された用紙Pをガイドする排出側ガイド65と、上部外側カバー55を貫通しX軸方向に延在して形成された長穴55bに摺動自在に支持され、供給側ガイド64と排出側ガイド65とを連結するガイド連結部66と、を有している。このため、供給側ガイド64または排出側ガイド65のうちどちらか一方を変位させることにより、他方も同時に変位させることができる。
【0040】
供給側ガイド64には、上記した左右一対の回動支点55aと同軸にガイド回動支点67が設けられている。したがって、ガイド回動支点67より上側の供給側ガイド64は、上部外側カバー55と共に回動する。また、上記した左右一対の揺動支点59aは、回動支点55aおよびガイド回動支点67よりも僅かに下方かつ後方に位置ずれして設けられている。これにより、ガイド回動支点67より下側の供給側ガイド64は、可動トレイ59と共に回動可能となっている。
【0041】
可動トレイ59は、本体トレイ54の下側に設けられ、左右一対の揺動支点59aを中心に回動し、収容された用紙Pの先端を、給送ローラー41に圧接させる状態(図3参照)と、離間させる状態(図2参照)と、の間を揺動する(いわゆるホッパー)。また、可動トレイ59には、用紙Pの先端に対応する位置に、給送ローラー41が圧接できるように、X軸方向に沿って適宜の間隔で複数の接触開口部59bが形成されている。
【0042】
次に、図5および図6に示すように、装置フレーム6は、ローラーホルダー47を支持すると共に、副ガイド部材35が一体に形成された排出フレーム71と、主ガイド部材34を支持するガイドフレーム72と、ガイドフレーム72および排出フレーム71の両端部をそれぞれ支持する一対の立設フレーム73と、を備えている。すなわち、装置フレーム6は、ラーメン構造をなしている。
【0043】
排出フレーム71は、上記したガイド機構32の副ガイド部材35と、ローラーホルダー47を支持するホルダー支持部74と、副ガイド部材35とホルダー支持部74とを連結する連結部75と、が一体に形成されている。排出フレーム71は、ホルダー支持部74の左右両端部分で、一対の立設フレーム73にネジ止めされている。排出フレーム71は、1の金属板を、側面から見て逆U字状に折り曲げられて形成されている。すなわち、連結部75が、副ガイド部材35およびホルダー支持部74のリブ(補強部)として機能している。このため、副ガイド部材35およびホルダー支持部74が必要とする剛性(強度)を容易に確保することができる。また、副ガイド部材35およびホルダー支持部74を、それぞれを単独で設けた場合に比べて、コンパクトに構成することができる。これにより、記録装置1内における排出フレーム71(副ガイド部材35)の配設スペースを小さくすることができる。
【0044】
排紙従動ローラー44bおよび案内ローラー43を保持したローラーホルダー47は、用紙Pの搬送経路側(案内部材33側)からホルダー支持部74に嵌合して固定されている。他方、キャリッジ31は、ホルダー支持部74に対し、ローラーホルダー47とは反対側の面から臨んでいる。これにより、キャリッジ31と、排紙従動ローラー44bおよび案内ローラー43とが、干渉することがない。また、キャリッジ31とローラーホルダー47とを、排出フレーム71にバランス良く支持させることができる。これにより、キャリッジ31を精度良く往復動させることができる。
【0045】
また、排出フレーム71は、副ガイド部材35および排出フレーム71をアースするための一対のアース片76を有している。各アース片76は、連結部75の一部が切り欠かれ、折り曲げ部分が伸ばされて、副ガイド部材35から上方に延在している。各アース片76には、図外の電子基板がネジにより固定される。これにより、排出フレーム71を利用して、電子基板等から発生する電磁波等のノイズをシールドすることができる。
【0046】
ガイドフレーム72は、金属板を折り曲げて形成されたアングル(L字)状の部材である。ガイドフレーム72は、排出フレーム71の下方に位置し、一対の立設フレーム73に係合し固定されている。
【0047】
一対の立設フレーム73は、左右(X軸方向)に離間して設けられており、側面から見て上端が細く形成された略台形に形成されている。一対の立設フレーム73は、ガイドフレーム72および排出フレーム71の他に、印刷部3、給送ローラー41および搬送駆動ローラー42aなどの両端部分を支持している。また、一対の立設フレーム73は、筐体2の内面に固定されている。
【0048】
次に、図4ないし図6を参照して、ガイド機構32の主ガイド部材34および副ガイド部材35について説明する。主ガイド部材34は、断面が円形の棒状の部材(丸棒)であり、Z軸方向下側において、ガイドフレーム72にネジ止めされている。
【0049】
他方、上記したように、副ガイド部材35は、排出フレーム71と一体に形成されている。副ガイド部材35は、主ガイド部材34よりもZ軸方向上側において、排出フレーム71を介して一対の立設フレーム73に支持されている。キャリッジ31は、主ガイド部材34および副ガイド部材35により傾斜姿勢(起立姿勢)に維持される。副ガイド部材35は、排出フレーム71として一体形成されているため、副ガイド部材35の剛性(強度)を容易に確保することができる。したがって、撓みのない副ガイド部材35を構成することができるため、インクジェットヘッド3aと用紙Pとを互いに平行に維持(平行度を維持)することができ、かつ、記録装置1の小型化により設置スペースを抑制することができる。
【0050】
次に、図4図7ないし図9を参照して、キャリッジ31の主スライド部36および副スライド部37について詳細に説明する。
【0051】
図4および図7に示すように、主スライド部36は、キャリッジ31のZ軸方向下端部に設けられている。主スライド部36は、主ガイド部材34に上方から係合する係合部81と、主ガイド部材34に摺接すると共に、主ガイド部材34に向かって付勢力を作用させ回動付勢機構80と、を備えている。
【0052】
係合部81は、全体として、主ガイド部材34の略上半部の周面に添うように、側面から見て半円形に窪んで形成されている。係合部81は、キャリッジ31の自重を主ガイド部材34に伝達する位置に配設された第1摺接係合部81aと、第2摺接係合部81bと、を有している。第1摺接係合部81aおよび第2摺接係合部81bは、それぞれ、主ガイド部材34の軸方向に延在して形成されており、主ガイド部材34の上半部に摺接する。係合部81は、主ガイド部材34に対する接触部分が、第1摺接係合部81aと第2摺接係合部81bとに分散されている。
【0053】
図7および図8に示すように、回動付勢機構80は、係合部81に係合した主ガイド部材34に対して摺接する摺接部材82と、摺接部材82を主ガイド部材34に向かって付勢する主コイルばね84と、主コイルばね84の受けとなる主受け部83と、を有している。
【0054】
摺接部材82は、主ガイド部材34の周面との接触面が斜めに形成されている。摺接部材82は、Z軸方向右斜め下方に位置し、主コイルばね84により、左斜め下方に向って付勢され(図8の破線の矢印方向)、主ガイド部材34に押し当てられる。そして、主コイルばね84による付勢力は、主ガイド部材34の中心に向かう。また、摺接部材82は、主コイルばね84による付勢力の法線方向が第1摺接係合部81aと第2摺接係合部81bの間に位置するように配置されている。このため、第1摺接係合部81aおよび第2摺接係合部81bが、摺接部材82および主ガイド部材34を介して、主コイルばね84の付勢力を受けることとなる。このため、主ガイド部材34は、第1摺接係合部81aと、第2摺接係合部81bと、摺接部材82と、により挟み込まれる。すなわち、キャリッジ31は、第1摺接係合部81a、第2摺接係合部81bおよび摺接部材82の3箇所で主ガイド部材34に支持される。これにより、キャリッジ31は、主ガイド部材34に対して摺動自在に確実に支持される。また、付勢された摺接部材82によりキャリッジ31が主ガイド部材34を強固に挟み込むので、キャリッジ31の自重による押圧力が弱い縦置き型の記録装置の場合、特に副スライド部37側でのブレや浮き上がりを効果的に防止すること可能となる。なお、摺接部材82は、Z軸方向右斜め下方に設けているが、右斜め下方でなくてもZ軸方向の下方に設けてあってもよい。また付勢される摺接部材82は主ガイド部材34に沿って、一つでも構わないが、主ガイド部材34に沿ってキャリッジ31の両端よりにそれぞれ設けておくのが好ましい。
【0055】
次に、図7および図9に示すように、副スライド部37は、副ガイド部材35の一方の面に摺接するスライド受け部85と、副ガイド部材35の他方の面に摺接する一対のスライド押圧部86と、を有している。
【0056】
スライド受け部85は、キャリッジ31の上端面において、X軸方向略中央から突出して設けられている。スライド受け部85は、ホルダー支持部74とは反対側から副ガイド部材35に摺接している。
【0057】
各スライド押圧部86は、キャリッジ31の上端面において、スライド受け部85からX軸方向両外側に外れた位置に、それぞれ突出して設けられている。詳細には、一対のスライド押圧部86のX軸方向略中央に、スライド受け部85が配設されている。このように、一対のスライド押圧部86が互いに離間しているため、移動開始時にキャリッジ31が慣性により傾く(回動する)ことを抑制することができる。したがって、キャリッジ31の移動時の振動を低減することができ、インクジェットヘッド3aと用紙P(案内部材33)とを互いに平行に維持(平行度を維持)することができる。これにより、インクジェットヘッド3aによる記録(印刷)精度を向上させることができる。なお、配設された一対のスライド押圧部86は、互いに往復動方向により大きく離れていた方が、キャリッジ31が往復動する際の安定性が向上する。
【0058】
各スライド押圧部86は、ホルダー支持部74側から副ガイド部材35に摺接する押圧部本体87と、押圧部本体87を副ガイド部材35に向って付勢する副コイルばね94を備えた付勢部88と、を有している。
【0059】
各押圧部本体87は、Y軸方向から見て矩形に形成されたキャップ状の部材である。各押圧部本体87には、副ガイド部材35に摺接する面に、グリス(潤滑材)を貯めておくグリス溝91がZ軸方向に延びて凹設されている。各押圧部本体87が副ガイド部材35を摺動する際の抵抗を低減することができる。また、各押圧部本体87には、後述する本体ホルダー93に当接して副ガイド部材35側への移動を規制する規制突起92が設けられている。なお、グリス溝91を、更にスライド受け部85に設けてもよい。
【0060】
各付勢部88は、押圧部本体87を摺動自在に保持する本体ホルダー93と、押圧部本体87を副ガイド部材35に向って付勢する副コイルばね94と、副コイルばね94の受けとなる副受け部95と、を有している。
【0061】
各本体ホルダー93は、押圧部本体87が摺動自在に保持されるように、Y軸方向に貫通した枠状の部材であり、キャリッジ31の上端面から突設されている。各副受け部95は、キャリッジ31の上端面から突設され、各本体ホルダー93の枠内に臨んでいる。
【0062】
各副コイルばね94は、基端を副受け部95に当接し、先端を押圧部本体87に当接している。すなわち、各副コイルばね94は、副受け部95を受けにして押圧部本体87を押し上げて副ガイド部材35に押し付けている。なお、各副コイルばね94は、キャリッジ31の往復動を妨げない程度の付勢力を有している。
【0063】
なお、本実施形態に係る副スライド部37は、1つのスライド受け部85と、2つのスライド押圧部86と、を備えていたが、スライド受け部85およびスライド押圧部86の配設数はそれぞれ任意である。また、スライド受け部85と、スライド押圧部86と、の配設位置を互いに入れ替えてもよい。
【0064】
以上の構成によれば、回動付勢機構80が発生させた力によって、スライド受け部85は副ガイド部材35に押し付けられる。また、付勢部88によって押圧部本体87が副ガイド部材35に押し付けられる。すなわち、キャリッジ31の副スライド部37は、スライド受け部85および一対のスライド押圧部86により副ガイド部材35を狭持する。これにより、キャリッジ31は、副ガイド部材35からの浮き上がることなく、上下に離間した主ガイド部材34および副ガイド部材35に往復動がガイドされる。
【符号の説明】
【0065】
1:記録装置、3a:インクジェットヘッド、31:キャリッジ、32:ガイド機構、34:主ガイド部材、35:副ガイド部材、36:主スライド部、37:副スライド部、80:回動付勢機構、81a:第1摺接係合部、81b:第2摺接係合部、82:摺接部材、84:主コイルばね、85:スライド受け部、86:スライド押圧部、87:押圧部本体、88:付勢部
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9