特許第5834440号(P5834440)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2015.5.11 β版

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特許5834440レーダ装置及び該レーダ装置に用いられるレーダ信号処理装置
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】5834440
(24)【登録日】2015年11月13日
(45)【発行日】2015年12月24日
(54)【発明の名称】レーダ装置及び該レーダ装置に用いられるレーダ信号処理装置
(51)【国際特許分類】
   G01S 7/292 20060101AFI20151203BHJP
   G01S 7/40 20060101ALI20151203BHJP
   G01S 7/02 20060101ALI20151203BHJP
【FI】
   G01S7/292 200
   G01S7/40 121
   G01S7/02 216
【請求項の数】10
【全頁数】11
(21)【出願番号】特願2011-66772(P2011-66772)
(22)【出願日】2011年3月24日
(65)【公開番号】特開2012-202779(P2012-202779A)
(43)【公開日】2012年10月22日
【審査請求日】2014年2月6日
【前置審査】
(73)【特許権者】
【識別番号】000004237
【氏名又は名称】日本電気株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100099830
【弁理士】
【氏名又は名称】西村 征生
(72)【発明者】
【氏名】服部 吉洋
【審査官】 目黒 大地
(56)【参考文献】
【文献】 特開平11−142511(JP,A)
【文献】 特開2002−156443(JP,A)
【文献】 特開平07−287064(JP,A)
【文献】 特開2005−233723(JP,A)
【文献】 特開2008−026223(JP,A)
【文献】 米国特許第05583506(US,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G01S1/72−1/82
3/80−3/86
5/18−5/30
7/00−7/64
13/00−13/95
15/00−15/96
17/00−17/95
G06F9/46
15/16−15/177
H01Q3/00−3/46
21/00−25/04
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数のビームを同時放射し、放射した各ビームの目標物からの反射波を受信して複数のビーム受信信号を出力する空中線装置と、
該空中線装置から出力される前記複数のビーム受信信号に対して所定の受信処理を行って、複数の受信データを生成する受信装置と、
該受信装置で生成された前記複数の受信データに対して分散してそれぞれ所定の信号処理を行い、目標検出データを生成する信号処理装置とを有するレーダ装置であって、
前記信号処理装置は、複数の受信データに対して同時に分散信号処理を行う、前記信号処理の性能が互いに異なる複数の信号処理手段を有してなる(ただし、前記信号処理手段の配設数≦前記ビームの個数)と共に、
前記各信号処理手段に対して、前記信号処理の性能に応じて、前記複数の受信データの中から、処理すべき単数又は複数の受信データを割り当てて、同時信号処理の負荷を調整する信号処理負荷調整手段が付加されていることを特徴とするレーダ装置。
【請求項2】
前記信号処理負荷調整手段は、
前記各信号処理手段に対して、前記信号処理の性能に応じて、処理する前記受信データを組み合わせる構成とされていることを特徴とする請求項1記載のレーダ装置。
【請求項3】
前記信号処理負荷調整手段は、
処理の対象となる前記受信データを、該当する前記信号処理手段を選択して送出するためのスイッチ手段を有することを特徴とする請求項1又は2記載のレーダ装置。
【請求項4】
前記信号処理負荷調整手段は、
前記各信号処理手段の1つが故障した場合、より高性能な信号処理手段に、故障した信号処理手段の処理すべき受信データを引き継いで処理させるフォルトトレーランスの機能を有することを特徴とする請求項1、2又は3記載のレーダ装置。
【請求項5】
前記目標検出データに基づいて描画処理を行い、前記目標物を表示する表示処理装置を有することを特徴とする請求項1、2、3又は4記載のレーダ装置。
【請求項6】
前記空中線装置は、
DBF(Digital Beam Forming)により、前記複数ビームを同時放射し、目標物の反射波を受信してビーム受信信号を出力するフェーズドアレイ空中線で構成されていることを特徴とする請求項1、2、3、4又は5記載のレーダ装置。
【請求項7】
複数のビームを同時放射し、放射した各ビームの目標物からの反射波を受信して複数のビーム受信信号を出力する空中線装置を有するレーダ装置に用いられるレーダ信号処理装置であって、
前記空中線装置から出力される前記複数のビーム受信信号に対して所定の受信処理を行って、複数の受信データを生成する受信装置と、
該受信装置で生成された前記複数の受信データに対して分散してそれぞれ所定の信号処理を行い、目標検出データを生成する信号処理装置とを有し、
前記信号処理装置が、複数の受信データに対して同時に分散信号処理を行う、前記信号処理の性能が互いに異なる複数の信号処理手段を有してなる(ただし、前記信号処理手段の配設数≦前記ビームの個数)と共に、
前記各信号処理手段に対して、前記信号処理の性能に応じて、前記複数の受信データの中から、同時に処理すべき単数又は複数の受信データを割り当てて、同時信号処理の負荷を調整する信号処理負荷調整手段が付加されていることを特徴とするレーダ信号処理装置。
【請求項8】
前記信号処理負荷調整手段は、
前記各信号処理手段に対して、前記信号処理の性能に応じて、処理する前記受信データを組み合わせる構成とされていることを特徴とする請求項7記載のレーダ信号処理装置。
【請求項9】
前記信号処理負荷調整手段は、
処理の対象となる前記受信データを、該当する前記信号処理手段を選択して送出するためのスイッチ手段を有することを特徴とする請求項7又は8記載のレーダ信号処理装置。
【請求項10】
前記信号処理負荷調整手段は、
前記各信号処理手段の1つが故障した場合、より高性能な信号処理手段に、故障した信号処理手段の処理すべき受信データを引き継いで処理させるフォルトトレーランスの機能を有することを特徴とする請求項7、8又は9記載のレーダ信号処理装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、レーダ装置及び該レーダ装置に用いられるレーダ信号処理装置に係り、特に、複数のアンテナ素子で構成されるフェーズドアレイ空中線でDBF(Digital Beam Forming)により複数ビームを同時放射するレーダ装置にて、放射した同時複数ビームの反射波を受信し、得られた複数ビームの受信データ(IQデータ)に対して分散して信号処理する場合に用いて好適なレーダ装置及び該レーダ装置に用いられるレーダ信号処理装置に関する。
【背景技術】
【0002】
レーダ装置は、空間に電波を放射し、目標や雨雲などからの反射信号を受信して対象物の状況を監視及び観測する装置である。このようなレーダ装置には、フェーズドアレイ方式のものがあり、複数のアンテナ素子が平面状に配列されて構成されたアンテナアレイが設けられ、複数ビームを同時放射し、放射した同時複数ビームの反射波を受信して得られた複数ビームのIQデータに対して分散して信号処理する構成のものがある。
【0003】
この種のレーダ装置は、たとえば図5に示すように、空中線装置1と、受信装置2と、信号処理装置3と、表示処理装置4とから構成されている。空中線装置1は、フェーズドアレイ空中線1aを有している。受信装置2は、受信処理部21 ,22 ,…,2N を有している。信号処理装置3は、信号処理部31 ,32 ,…,3N を有している。表示処理装置4は、描画処理部4aと、表示部4bとを有している。
【0004】
このレーダ装置では、空中線装置1において、フェーズドアレイ空中線1aにより、DBFにより複数ビームbm1 ,bm2 ,…,bmN を同時放射し、目標物の反射波が受信されてビーム受信信号r1 ,r2 ,…,rN が受信装置2へ送出される。受信装置2において、受信処理部21 ,22 ,…,2N により、ビーム受信信号r1 ,r2 ,…,rN に対して受信処理(電力増幅a、周波数変換b、A/D(アナログ/ディジタル)変換c及び位相検波d)が行われ、振幅及び位相をデジタルで表したIQデータu1 ,u2 ,…,uN が生成され、信号処理装置3へ送出される。信号処理装置3において、信号処理部31 ,32 ,…,3N により、IQデータu1 ,u2 ,…,uN に対して分散してそれぞれ信号処理(すなわち、クラッタ抑圧e及び目標検出f)が行われ、目標検出データv1 ,v2 ,…,vN が生成され、表示処理装置4へ送出される。表示処理装置4において、描画処理部4aにより、目標検出データv1 ,v2 ,…,vN に基づいて描画処理が行われ、表示部4bにより表示される。
【0005】
上記のレーダ装置の他、この種の関連技術としては、たとえば、特許文献1に記載されたレーダ信号処理装置がある。
このレーダ信号処理装置では、信号処理制御部により、信号処理モードが制御される。掲示板には、信号処理モードに応じた信号処理負荷コストが掲載されている。複数の信号処理プロセッサノードは、ディジタルビデオの配信を受けた場合、そのディジタルビデオの信号処理を行う。配信プロセッサノードにより、掲示板を参照して、信号処理負荷コストが任意の閾値以下である信号処理プロセッサノードがリストアップされ、上記信号処理負荷コストをキーとしてソートされ、ソートされた順に各信号処理プロセッサノードにバッファメモリにバッファされたディジタルビデオが動的に振り分けられて配信される。
【0006】
また、特許文献2に記載された分散処理システムでは、冗長管理部、故障判定部、ネットワーク制御部、故障分離部、及びデータ転送制御部によって、分散処理目的に3つあるプロセッサエレメントのみを使用して3重多数決による冗長処理でプロセッサエレメントの故障検出及び分離が行われる。さらに、故障プロセッサエレメントの装置に対し、他のプロセッサエレメントにより、代行処理が行われる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】特開2002−196068号公報
【特許文献2】特開2002−342300号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
しかしながら、上記関連技術では、次のような課題があった。
すなわち、図5のレーダ装置では、受信装置2のIQデータu1 ,u2 ,…,uN を信号処理する信号処理部31 ,32 ,…,3N は、各IQデータに対して信号処理部が1つの1対構成となっている。このため、信号処理部が複数のIQデータを同時に処理可能なものである場合、非効率的な構成となるという課題がある。
【0009】
また、特許文献1に記載されたレーダ信号処理装置では、信号処理毎に処理時間が異なる場合でも、信号処理プロセッサノードを効率良く使い回して一度に信号処理を行うことができるが、この発明とはハード構成や処理方法が異なる。
【0010】
特許文献2に記載された分散処理システムでは、コンピュータモジュールなどのハードウェア量が低減されるが、この発明とはハード構成や処理方法が異なり、上記の問題点を改善するものではない。
【0011】
この発明は、上述の事情に鑑みてなされたもので、複数の受信データ(IQデータ)を同時に処理可能な信号処理部を有する場合の信号処理の効率が改善されるレーダ装置及び該レーダ装置に用いられるレーダ信号処理装置を提供することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0012】
上記課題を解決するために、この発明の第1の構成は、複数のビームを同時放射し、放射した各ビームの目標物からの反射波を受信して複数のビーム受信信号を出力する空中線装置と、該空中線装置から出力される前記複数のビーム受信信号に対して所定の受信処理を行って、複数の受信データを生成する受信装置と、該受信装置で生成された前記複数の受信データに対して分散してそれぞれ所定の信号処理を行い、目標検出データを生成する信号処理装置とを有するレーダ装置に係り、前記信号処理装置は、複数の受信データに対して同時に分散信号処理を行う、前記信号処理の性能が互いに異なる複数の信号処理手段を有してなる(ただし、前記信号処理手段の配設数≦前記ビームの個数)と共に、前記各信号処理手段に対して、前記信号処理の性能に応じて、前記複数の受信データの中から、処理すべき単数又は複数の受信データを割り当てて、同時信号処理の負荷を調整する信号処理負荷調整手段が付加されていることを特徴としている。
【0013】
この発明の第2の構成は、複数のビームを同時放射し、放射した各ビームの目標物からの反射波を受信して複数のビーム受信信号を出力する空中線装置を有するレーダ装置に用いられるレーダ信号処理装置に係り、前記空中線装置から出力される前記複数のビーム受信信号に対して所定の受信処理を行って、複数の受信データを生成する受信装置と、該受信装置で生成された前記複数の受信データに対して分散してそれぞれ所定の信号処理を行い、目標検出データを生成する信号処理装置とを有し、前記信号処理装置が、複数の受信データに対して同時に分散信号処理を行う、前記信号処理の性能が互いに異なる複数の信号処理手段を有してなる(ただし、前記信号処理手段の配設数≦前記ビームの個数)と共に、前記各信号処理手段に対して、前記信号処理の性能に応じて、前記複数の受信データの中から、同時に処理すべき単数又は複数の受信データを割り当てて、同時信号処理の負荷を調整する信号処理負荷調整手段が付加されていることを特徴としている。
【発明の効果】
【0014】
この発明の構成によれば、複数の受信データに対する同時信号処理の効率を改善することができる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
図1】この発明のレーダ装置の概念を示すブロック図である。
図2図1のレーダ装置の各部の信号の流れを示す図である。
図3】この発明の一実施形態であるレーダ装置の要部の電気的構成を示すブロック図である。
図4図3のレーダ装置の各部の信号の流れを示す図である。
図5】関連技術に係るレーダ装置の電気的構成を示すブロック図である。
【発明を実施するための形態】
【0016】
号処理負荷調整手段(ネットワークスイッチ)に、各信号処理手段(信号処理端末)に対して、信号処理の性能に応じて、同時に処理すべき受信データ(IQデータ)を組み合わせる機能を持たせることで、この発明のレーダ装置を実現する。
【0017】
また、上記信号処理負荷調整手段(ネットワークスイッチ)は、処理の対象となる上記受信データ(IQデータ)を、該当する上記信号処理手段(信号処理端末)を選択して送出するためのスイッチ手段を有する。また、上記信号処理負荷調整手段(ネットワークスイッチ)は、上記各信号処理手段の1つが故障した場合、より高性能な信号処理端末に、故障した信号処理端末の処理すべき受信データを引き継いで処理させるフォルトトレーランスの機能を有する。また、上記目標検出データに基づいて描画処理を行い、上記目標物を表示する表示処理装置を有する。また、上記空中線装置は、DBF(Digital Beam Forming)により、上記複数ビームを同時放射し、目標物の反射波を受信してビーム受信信号を出力するフェーズドアレイ空中線で構成されている。
【0018】
図1は、この発明のレーダ装置の概念を示すブロック図である。
このレーダ装置は、同図に示すように、空中線装置11と、受信装置12と、ネットワークスイッチ13と、信号処理装置14と、表示処理装置4とから構成されている。空中線装置11は、フェーズドアレイ空中線11aを有している。フェーズドアレイ空中線11aは、DBF(Digital Beam Forming)により、複数ビームbm1 ,bm2 ,…,bmN を同時放射し、目標物の反射波を受信してビーム受信信号r1 ,r2 ,…,rN を出力する。受信装置12は、受信処理端末121 ,122 ,…,12N を有している。受信処理端末121 ,122 ,…,12N は、空中線装置11から出力されるビーム受信信号r1 ,r2 ,…,rN に対して、図5中の受信処理部21 ,22 ,…,2N と同様に、電力増幅、周波数変換、A/D変換及び位相検波を行って、振幅及び位相をデジタルで表したIQデータ(受信データ)u1 ,u2 ,…,uN をそれぞれ生成する。
【0019】
信号処理装置14は、信号処理に対する性能がそれぞれ異なる信号処理端末141 ,142 ,…,14M (ただし、M≦N)を有している。ネットワークスイッチ13は、上記信号処理装置14の信号処理端末141 ,142 ,…,14M の信号処理に対する性能に応じて信号処理の負荷を調整し、この場合、上記性能に応じて、IQデータu1 ,u2 ,…,uN のうちから、処理するIQデータを組み合わせる。特に、ネットワークスイッチ13は、処理の対象となるIQデータを、信号処理端末141 ,142 ,…,14M から該当する信号処理端末を選択して送出するための図示しないスイッチ手段を有している。信号処理端末141 ,142 ,…,14M は、受信装置12で生成されたIQデータu1 ,u2 ,…,uN をネットワークスイッチ13を介して入力し、分散してそれぞれ信号処理(すなわち、クラッタ抑圧及び目標検出)を行い、目標検出データv1 ,v2 ,…,vN を生成する。表示処理装置4は、図5中と同様のものであり、目標検出データv1 ,v2 ,…,vN に基づいて描画処理を行い、目標物を表示する。また、受信装置12、ネットワークスイッチ13、信号処理装置14及び表示処理装置4により、レーダ信号処理装置が構成されている。
【0020】
図2は、図1のレーダ装置の各部の信号の流れを示す図である。
このレーダ装置では、図2に示すように、ネットワークスイッチ13により、各信号処理端末141 ,142 ,…,14M に対して処理対象のIQデータが設定され、たとえば、信号処理端末141 の信号処理に対する性能が比較的高く、信号処理端末14M の信号処理に対する性能が比較的低い場合、信号処理端末141 はIQデータu1 及びIQデータu2 を処理し、信号処理端末14M がIQデータuN を処理するように設定される。
【0021】
すなわち、空中線装置11から、ビーム受信信号r1 ,r2 ,…,rN が出力される。ビーム受信信号r1 ,r2 ,…,rN は、受信処理端末121 ,122 ,…,12N により、電力増幅、周波数変換、A/D変換及び位相検波がそれぞれ行われ、IQデータu1 ,u2 ,…,uN が生成される。IQデータu1 ,u2 ,…,uN は、ネットワークスイッチ13へブロードキャスト送信され、同IQデータu1 ,u2 ,…,uN のうち、たとえばIQデータu1 ,u2 のみがネットワークスイッチ13を経て信号処理端末141 へ送出されて処理され、目標検出データv1 ,v2 が生成されて表示処理装置4へ送出される。また、たとえばIQデータuN のみがネットワークスイッチ13を経て信号処理端末14M へ送出されて処理され、目標検出データvN が生成されて表示処理装置4へ送出される。表示処理装置4では、目標検出データv1 ,v2 ,…,vN に基づいて描画処理が行われ、目標物が表示される。
【実施形態】
【0022】
図3は、この発明の一実施形態であるレーダ装置の要部の電気的構成を示すブロック図である。
この形態のレーダ装置は、同図に示すように、空中線装置21と、受信装置22と、ネットワークスイッチ23と、信号処理装置24と、表示処理装置4Aとから構成されている。空中線装置21は、フェーズドアレイ空中線21aを有している。フェーズドアレイ空中線21aは、DBF(Digital Beam Forming)により、複数ビームbm1 ,bm2 ,bm3 を同時放射し、目標物の反射波を受信してビーム受信信号r1 ,r2 ,r3 を出力する。受信装置22は、受信処理端末221 ,222 ,223 を有している。受信処理端末221 ,222 ,223 は、空中線装置21から出力されるビーム受信信号r1 ,r2 ,r3 に対して、電力増幅、周波数変換、A/D変換及び位相検波を行って、振幅及び位相をデジタルで表したIQデータu1 ,u2 ,u3 をそれぞれ生成する。
【0023】
信号処理装置24は、信号処理に対する性能がそれぞれ異なる信号処理端末241 ,242 を有している。ネットワークスイッチ23は、上記信号処理装置24の信号処理端末241 ,242 の信号処理に対する性能に応じて信号処理の負荷を調整し、この場合、上記性能に応じて、IQデータu1 ,u2 ,u3 のうちから、処理するIQデータを組み合わせる。特に、この実施形態では、ネットワークスイッチ23は、処理の対象となるIQデータを、信号処理端末241 ,242 から該当する信号処理端末を選択して送出するための図示しないスイッチ手段を有している。信号処理端末241 ,242 は、受信装置22で生成されたIQデータu1 ,u2 ,u3 をネットワークスイッチ23を介して入力し、分散してそれぞれ信号処理(すなわち、クラッタ抑圧及び目標検出)を行い、目標検出データv1 ,v2 ,v3 を生成する。表示処理装置4Aは、図5中の表示処理装置4とほぼ同様のものであり、目標検出データv1 ,v2 ,v3 に基づいて描画処理を行い、目標物を表示する。また、受信装置22、ネットワークスイッチ23、信号処理装置24及び表示処理装置4Aにより、レーダ信号処理装置が構成されている。
【0024】
図4は、図3のレーダ装置の各部の信号の流れを示す図である。
このレーダ装置では、図4に示すように、ネットワークスイッチ23により、各信号処理端末241 ,242 に対して処理対象のIQデータが設定され、たとえば、信号処理端末241 の信号処理に対する性能が比較的高く、信号処理端末242 の信号処理に対する性能が比較的低い場合、信号処理端末241 はIQデータu1 及びIQデータu2 を処理し、信号処理端末242 がIQデータu3 を処理するように設定される。
【0025】
すなわち、空中線装置21から、ビーム受信信号r1 ,r2 ,r3 が出力される。ビーム受信信号r1 ,r2 ,r3 は、受信処理端末221 ,222 ,223 により、電力増幅、周波数変換、A/D変換及び位相検波がそれぞれ行われ、IQデータu1 ,u2 ,u3 が生成される。IQデータu1 ,u2 ,u3 は、ネットワークスイッチ23へブロードキャスト送信され、同IQデータu1 ,u2 ,u3 のうち、たとえばIQデータu1 ,u2 のみがネットワークスイッチ23を経て信号処理端末241 へ送出されて処理され、目標検出データv1 ,v2 が生成されて表示処理装置4へ送出される。また、たとえばIQデータu3 のみがネットワークスイッチ23を経て信号処理端末242 へ送出されて処理され、目標検出データv3 が生成されて表示処理装置4へ送出される。表示処理装置4では、目標検出データv1 ,v2 ,v3 に基づいて描画処理が行われ、目標物が表示される。
【0026】
以上のように、この実施形態では、信号処理端末241 の信号処理に対する性能が比較的高く、信号処理端末242 の信号処理に対する性能が比較的低い場合、ネットワークスイッチ23により、信号処理端末241 はIQデータu1 ,u2 を処理し、かつ信号処理端末242 がIQデータu3 を処理するように設定されるので、信号処理端末の台数が必要最小限となり、効率的な構成のレーダ装置が実現し、信号処理の効率が改善される。
【0027】
以上、この発明の実施形態を図面により詳述してきたが、具体的な構成は同実施形態に限られるものではなく、この発明の要旨を逸脱しない範囲の設計の変更などがあっても、この発明に含まれる。
たとえば、この発明のレーダ装置及びレーダ信号処理装置は、フォルトトレーランス(fault-tolerant)にも用いることができる(請求項4、10に対応)。この場合、図2中の信号処理端末141 ,142 ,…,14M の1つが故障した場合、ネットワークスイッチ23により、より高性能な信号処理端末に、故障した信号処理端末が処理すべきIQデータを引き継いで処理させる。また、信号処理装置14から出力される目標検出データv1 ,v2 ,…,vN を記録するための記録装置を設けても良い。
【0028】
上記の実施形態の一部又は全部は、以下の付記のようにも記載されうるが、以下には限定されない。
【0029】
(付記1)
複数ビームを同時放射し、目標物の反射波を受信してビーム受信信号を出力する空中線装置と、
該空中線装置から出力される前記ビーム受信信号に対して所定の受信処理を行って、受信データを生成する受信装置と、
該受信装置で生成された前記受信データに対して分散してそれぞれ所定の信号処理を行い、目標検出データを生成する信号処理装置とを有するレーダ装置であって、
前記信号処理装置が、前記信号処理に対する性能がそれぞれ異なる複数の信号処理手段を有する場合、前記各信号処理手段の前記信号処理に対する前記性能に応じて信号処理の負荷を調整する信号処理負荷調整手段が付加されているレーダ装置。
【0030】
(付記2)
前記信号処理負荷調整手段は、
前記各信号処理手段の前記信号処理に対する前記性能に応じて、処理する前記受信データを組み合わせる構成とされている付記1記載のレーダ装置。
【0031】
(付記3)
前記信号処理負荷調整手段は、
処理の対象となる前記受信データを、該当する前記信号処理手段を選択して送出するためのスイッチ手段を有する付記1又は2記載のレーダ装置。
【0032】
(付記4)
前記信号処理負荷調整手段は、
前記各信号処理手段の1つが故障した場合、より高性能な信号処理端末に、故障した信号処理端末の処理すべき受信データを引き継いで処理させるフォルトトレーランスの機能を有する付記1、2又は3記載のレーダ装置。
【0033】
(付記5)
前記目標検出データに基づいて描画処理を行い、前記目標物を表示する表示処理装置を有する付記1、2、3又は4記載のレーダ装置。
【0034】
(付記6)
前記空中線装置は、
DBF(Digital Beam Forming)により、前記複数ビームを同時放射し、目標物の反射波を受信してビーム受信信号を出力するフェーズドアレイ空中線で構成されている付記1、2、3、4又は5記載のレーダ装置。
【0035】
(付記7)
複数ビームを同時放射し、目標物の反射波を受信してビーム受信信号を出力する空中線装置を有するレーダ装置に用いられるレーダ信号処理装置であって、
前記空中線装置から出力される前記ビーム受信信号に対して所定の受信処理を行って、受信データを生成する受信装置と、
該受信装置で生成された前記受信データに対して分散してそれぞれ所定の信号処理を行い、目標検出データを生成する信号処理装置とを有し、
前記信号処理装置が、前記信号処理に対する性能がそれぞれ異なる複数の信号処理手段を有する場合、前記各信号処理手段の前記信号処理に対する前記性能に応じて信号処理の負荷を調整する信号処理負荷調整手段が付加されているレーダ信号処理装置。
【0036】
(付記8)
前記信号処理負荷調整手段は、
前記各信号処理手段の前記信号処理に対する前記性能に応じて、処理する前記受信データを組み合わせる構成とされている付記7記載のレーダ信号処理装置。
【0037】
(付記9)
前記信号処理負荷調整手段は、
処理の対象となる前記受信データを、該当する前記信号処理手段を選択して送出するためのスイッチ手段を有する付記7又は8記載のレーダ信号処理装置。
【0038】
(付記10)
前記信号処理負荷調整手段は、
前記各信号処理手段の1つが故障した場合、より高性能な信号処理端末に、故障した信号処理端末の処理すべき受信データを引き継いで処理させるフォルトトレーランスの機能を有する付記7、8又は9記載のレーダ信号処理装置。
【0039】
(付記11)
前記目標検出データに基づいて描画処理を行い、前記目標物を表示する表示処理装置を有する付記7、8、9又は10記載のレーダ信号処理装置。
【0040】
(付記12)
前記空中線装置は、
DBF(Digital Beam Forming)により、前記複数ビームを同時放射し、目標物の反射波を受信して前記ビーム受信信号を出力するフェーズドアレイ空中線で構成されている付記7、8、9、10又は11記載のレーダ信号処理装置。
【産業上の利用可能性】
【0041】
この発明は、複数ビームを同時放射する空中線を有し、得られた複数ビームのIQデータを分散して信号処理するレーダ装置全般に適用できる。
【符号の説明】
【0042】
4,4A 表示処理装置
11、21 空中線装置
11a,21a フェーズドアレイ空中線
12,22 受信装置
121 ,122 ,…,12N ,221 ,222 ,223 受信処理端末
13,23 ネットワークスイッチ(信号処理負荷調整手段)
14,24 信号処理装置
141 ,142 ,…,14M ,241 ,242 信号処理端末(信号処理装置の一部、信号処理手段)
図1
図2
図3
図4
図5