特許第5834441号(P5834441)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2015.5.11 β版

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特許5834441サーマルヘッドおよびサーマルプリンター
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】5834441
(24)【登録日】2015年11月13日
(45)【発行日】2015年12月24日
(54)【発明の名称】サーマルヘッドおよびサーマルプリンター
(51)【国際特許分類】
   B41J 2/345 20060101AFI20151203BHJP
【FI】
   B41J2/345 K
   B41J2/345 B
【請求項の数】9
【全頁数】12
(21)【出願番号】特願2011-68217(P2011-68217)
(22)【出願日】2011年3月25日
(65)【公開番号】特開2012-201010(P2012-201010A)
(43)【公開日】2012年10月22日
【審査請求日】2014年2月4日
(73)【特許権者】
【識別番号】000002369
【氏名又は名称】セイコーエプソン株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100064908
【弁理士】
【氏名又は名称】志賀 正武
(74)【代理人】
【識別番号】100140774
【弁理士】
【氏名又は名称】大浪 一徳
(72)【発明者】
【氏名】今枝 千明
【審査官】 嵯峨根 多美
(56)【参考文献】
【文献】 特開2009−234260(JP,A)
【文献】 特開平06−011683(JP,A)
【文献】 特開2009−279803(JP,A)
【文献】 特開2009−279804(JP,A)
【文献】 特開平04−080051(JP,A)
【文献】 特開平05−031934(JP,A)
【文献】 特開昭59−164158(JP,A)
【文献】 実開平01−175830(JP,U)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B41J 2/345
B41J 2/335
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1のライン幅及び前記第1のライン幅よりも狭い第2のライン幅を有する第1のバスラインが形成されたヘッド基板と、
第2のバスラインが形成され、前記ヘッド基板上に実装されたドライバーICと、
前記第1のバスラインと前記第2のバスラインとを接続する接続部材と、を備え、
前記ヘッド基板には、前記第1のバスラインと平行に配列された複数の第1の電極パッドからなる第1の電極パッド列と、前記第1のバスラインと平行に配列された複数の第2の電極パッドからなる第2の電極パッド列と、が前記第1のバスラインを挟んで対向配置され、
前記第1のバスラインは、前記ドライバーICの実装領域の外側が前記第1のライン幅を有し、前記第1の電極パッド列及び前記第2の電極パッド列に挟まれる部分が前記第2のライン幅を有しており、前記複数の第1の電極パッドのうち前記第1の電極パッド列の両端部に設けられた2つの電極パッドと接続されているサーマルヘッド。
【請求項2】
前記ドライバーICには、前記第2のバスラインと平行に配列された複数の第1のバンプ電極からなる第1のバンプ電極列と、前記第2のバスラインと平行に配列された複数の第2のバンプ電極からなる第2のバンプ電極列と、が設けられ、前記第1のバンプ電極列と前記第2のバンプ電極列とが前記第2のバスラインを挟んで対向配置されている請求項1に記載のサーマルヘッド。
【請求項3】
前記第1の電極パッド列と前記第1のバンプ電極列とが接続され、前記第2の電極パッド列と前記第2のバンプ電極列とが接続されている請求項2に記載のサーマルヘッド。
【請求項4】
前記接続部材は、前記複数の第1のバンプ電極のうち前記第1のバンプ電極列の両端部に設けられた2つのバンプ電極から構成されている
請求項2または3に記載のサーマルヘッド。
【請求項5】
前記第1のバンプ電極、前記第2のバンプ電極及び前記接続部材は、樹脂突起と前記樹脂突起の表面を覆う配線膜とを具備して構成されている請求項3または4に記載のサーマルヘッド。
【請求項6】
前記第1のバンプ電極の前記配線膜、前記第2のバンプ電極の前記配線膜及び前記接続部材の前記配線膜は、前記第2のバスラインと同じ導電材料で形成されている請求項5に記載のサーマルヘッド。
【請求項7】
前記第1の電極パッド及び前記第2の電極パッドは、前記第1のバスラインと同じ導電材料で形成されている請求項6に記載のサーマルヘッド。
【請求項8】
前記第2のバスラインは、前記接続部材により前記2つの電極パッドと接続されている 請求項1〜7のいずれか1項に記載のサーマルヘッド。
【請求項9】
請求項1〜8のいずれか1項に記載のサーマルヘッドを備えたサーマルプリンター。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、サーマルヘッドおよびサーマルプリンターに関するものである。
【背景技術】
【0002】
印刷装置の1つとしてサーマルプリンターが知られている。サーマルプリンターは、発熱素子が直線的に配置されたサーマルヘッドを有している(例えば、特許文献1、2参照)。サーマルヘッドに配置された発熱素子は、通電により選択的に発熱する。そして、この熱エネルギーが感熱紙に含まれる発色剤と選択的に反応することにより、感熱紙上に種々の情報を印刷する。この印刷方式は、感熱発色方式と呼ばれている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開平9−39282号公報
【特許文献2】特開平5−261957号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
サーマルヘッドには、ヘッド基板と、ヘッド基板上に配列された複数の発熱素子と、複数の発熱素子を駆動するための複数のドライバーICと、が備えられている。複数のドライバーICは、複数の発熱素子の配列方向に沿って配列されている。ドライバーICを挟んで発熱素子とは反対側には、ドライバーICに駆動信号を供給するためのFPC(フレキシブル回路基板)が接続されている。ドライバーICのFPC側の1辺には、FPCから駆動信号を入力する第1のバンプ電極列が形成されている。ドライバーICの発熱素子側の1辺には、発熱素子に駆動信号を出力する第2のバンプ電極列が形成されている。
【0005】
ヘッド基板上には、データ線などのバスラインが複数のドライバーICの配列方向と平行に延びている。複数のドライバーICは、第1のバンプ電極列と第2のバンプ電極列とがバスラインを跨ぐような形でヘッド基板上にフリップチップ実装されている。そのため、ドライバーICの大きさ(第1のバンプ電極列と第2のバンプ電極列との間隔)は、バスラインよりも小さくすることができず、ドライバーICの小型化、ひいてはサーマルヘッドの小型化が困難になるという課題があった。
【0006】
本発明の目的は、小型のサーマルヘッドおよびサーマルプリンターを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明のサーマルヘッドは、第1のライン幅及び前記第1のライン幅よりも狭い第2のライン幅を有する第1のバスラインが形成されたヘッド基板と、第2のバスラインが形成され、前記ヘッド基板上に実装されたドライバーICと、前記第1のバスラインと前記第2のバスラインとを接続する接続部材と、を備え、前記ヘッド基板には、前記第1のバスラインと平行に配列された複数の第1の電極パッドからなる第1の電極パッド列と、前記第1のバスラインと平行に配列された複数の第2の電極パッドからなる第2の電極パッド列と、が前記第1のバスラインを挟んで対向配置され、前記第1のバスラインは、前記ドライバーICの実装領域の外側が前記第1のライン幅を有し、前記第1の電極パッド列及び前記第2の電極パッド列に挟まれる部分が前記第2のライン幅を有しており、前記複数の第1の電極パッドのうち前記第1の電極パッド列の両端部に設けられた2つの電極パッドと接続されている。
【0008】
この構成によれば、バスラインの一部(第2のバスライン)をドライバーIC上に形成しているため、ヘッド基板上に形成するバスライン(第1のバスライン)の幅を小さくすることができる。よって、第1のバスラインを跨いで配置されるドライバーICの小型化が可能となり、ひいてはサーマルヘッドの小型化が可能となる。
【0009】
前記ドライバーICには、前記第2のバスラインと平行に配列された複数の第1のバンプ電極からなる第1のバンプ電極列と、前記第2のバスラインと平行に配列された複数の第2のバンプ電極からなる第2のバンプ電極列と、が設けられ、前記第1のバンプ電極列と前記第2のバンプ電極列とが前記第2のバスラインを挟んで対向配置されていてもよい。
【0010】
この構成によれば、第1のバンプ電極列と第2のバンプ電極列との間の広い面積に第2のバスラインを形成することができる。
【0011】
前記ヘッド基板には、前記第1のバスラインと平行に配列された複数の第1の電極パッドからなる第1の電極パッド列と、前記第1のバスラインと平行に配列された複数の第2の電極パッドからなる第2の電極パッド列と、が設けられ、前記第1の電極パッド列と前記第2の電極パッド列とが前記第1のバスラインを挟んで対向配置され、前記第1の電極パッド列と前記第1のバンプ電極列とが接続され、前記第2の電極パッド列と前記第2のバンプ電極列とが接続されていてもよい。
【0012】
この構成によれば、第1の電極パッド列と第2の電極パッド列との間の広い面積に第1のバスラインを形成することができる。
【0013】
前記第1のバンプ電極、前記第2のバンプ電極及び前記接続部材は、樹脂突起と前記樹脂突起の表面を覆う配線膜とを具備して構成されていてもよい。
【0014】
この構成によれば、第1のバンプ電極、第2のバンプ電極及び接続部材を共通のプロセスで形成することができる。
【0015】
前記第1のバンプ電極の前記配線膜、前記第2のバンプ電極の前記配線膜及び前記接続部材の前記配線膜は、前記第2のバスラインと同じ導電材料で形成されていてもよい。
【0016】
この構成によれば、第2のバスラインと、第1のバンプ電極、第2のバンプ電極及び接続部材とを共通のプロセスで形成することができる。
【0017】
前記第1の電極パッド及び前記第2の電極パッドは、前記第1のバスラインと同じ導電材料で形成されていてもよい。
【0018】
この構成によれば、前記第1のバスラインと、第1の電極パッド及び第2の電極パッドとを共通のプロセスで形成することができる。
【0019】
本発明のサーマルプリンターは、本発明のサーマルヘッドを備えている。
【0020】
この構成によれば、小型のサーマルヘッドを備えた小型のサーマルプリンターを提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0021】
図1】サーマルプリンターの主要部であるプリンター機構部の側断面図である。
図2】プリンター機構部が有する印刷部の拡大図である。
図3】サーマルヘッドの外観斜視図である。
図4】サーマルヘッドのヘッド基板の平面図である。
図5】ドライバーICの構造を説明する図である。
図6】ドライバーICの底面図である。
【発明を実施するための形態】
【0022】
以下、図1図6を参照しながら、本実施形態のサーマルヘッド、および該サーマルヘッドを備えたサーマルプリンターについて説明する。なお、以下の全ての図面においては、図面を見やすくするため、各構成要素の寸法や比率などは適宜異ならせてある。なお、図1図6において、X方向は、印刷される感熱紙の幅方向であり、Z方向は、サーマルヘッド部での感熱紙の紙送り方向であり、Y方向は、X方向及びZ方向と直交する方向である。
【0023】
図1は、本実施形態のサーマルプリンター100を示す説明図であり、サーマルプリンター100の主要部であるプリンター機構部300の側断面を示す側断面図である。図2は、プリンター機構部300が有する印刷部70の拡大図である。
【0024】
図1に示すように、プリンター機構部300は、ロール紙Rを収容する本体フレーム60と、カバーフレーム10と、ロール紙ホルダー30と、本発明のサーマルヘッド1が設けられ、ロール紙ホルダー30から引き出された感熱紙Sに印刷する印刷部70と、印刷部70の紙送り方向後方に設けられ、印刷された感熱紙Sを所定の印刷単位毎に切断する紙カット部20と、を備えている。
【0025】
感熱紙Sは、発色剤がバインダ等により保持されている発色層からなる印刷面を有している。サーマルプリンター100では、感熱紙Sが印刷面を外面にしてロール状に巻き取られたロール紙Rとして内部に収納されるとともに、順次引き出されながら印刷部70(サーマルヘッド1)へ送られ印刷される。
以下、感熱紙Sの紙送り方向に沿って、プリンター機構部300の各構成について説明する。
【0026】
本体フレーム60は、上方に開口部を有する箱型に形成されており、本体フレーム60上方には、本体フレーム60の開口部を覆うようにカバーフレーム10が設けられている。また、本体フレーム60の内部には、ロール紙ホルダー30が設けられている。
【0027】
カバーフレーム10は、本体フレーム60の上方の一端部に設けられた支軸68を中心として開閉自在に取り付けられている。カバーフレーム10には、カバーフレーム10を閉じた際にロール紙Rとの接触を避けるための円弧状の蓋部15が設けられている。この蓋部15は、サーマルプリンター100の設置角度を変える場合、すなわち、例えば縦置きにする場合、ロール紙Rを受ける保持部材としても機能する。
【0028】
ロール紙ホルダー30は、樹脂等により形成されている。ロール紙ホルダー30は、中央部にロール紙Rの最大径に相当する略円弧状のくぼみを有しており、本体フレーム60の底部に、略円弧状のくぼみが下に凸となるように取り付けられている。
【0029】
このように設けられたロール紙ホルダー30にロール紙Rを配置すると、ロール紙ホルダー30がロール紙Rを回転自在に保持する。同時に、本体フレーム60の内側の両側面が、ロール紙Rの側面ガイド部として機能して、ロール紙Rの幅方向の動きを規制する。
【0030】
図2に示すように、印刷部70は、サーマルヘッド1と、サーマルヘッド1に対向して設けられサーマルヘッド1に感熱紙Sを密着させるプラテン71と、サーマルヘッド1を保持するとともに、サーマルヘッド1をプラテン71方向へ付勢するヘッド保持機構77と、を備えている。
【0031】
サーマルヘッド1は、感熱紙Sに印刷するための複数の発熱素子が設けられたヘッド基板(基板)110と、ヘッド基板110と密着して設けられヘッド基板110に溜まる熱を放熱する放熱板106と、放熱板106の側面に設けられたヘッド支持軸102と、ヘッド基板110に接続され信号を入力するFPC108と、を有している。サーマルヘッド1の詳細については後述する。
【0032】
プラテン71は、ゴム等の弾性部材により円筒形のローラ状に形成され、プラテン軸受73を介してカバーフレーム10に回転可能に支持されている。また、本体フレーム60の側面には、プラテン71を回転駆動させるための紙送り機構(不図示)が設けられており、カバーフレーム10を閉じた状態で、プラテン軸受け73と接続され、プラテン71を回転駆動させる。これにより、プラテン71が回転すると、感熱紙Sは搬送経路Dの下流へ搬送される。
【0033】
ヘッド保持機構77は、ヘッド押圧板72と、一端がヘッド押圧板72に固定されるとともに他端がサーマルヘッド1の背面に当接したバネ75と、を有しており、本体フレーム60に形成された切り欠き部62に着脱可能に設けられている。
【0034】
ヘッド押圧板72に固定されるバネ75は、サーマルヘッド1の背面に当接し、サーマルヘッド1をプラテン71方向に付勢する。これにより、サーマルヘッド1は、感熱紙Sを印刷面S1の側からプラテン71の方向に押圧する。一方、プラテン71は、感熱紙Sを裏面S2の側からサーマルヘッド1の方向に押圧する。これにより、感熱紙Sはサーマルヘッド1およびプラテン71の間に挟持される。感熱紙Sは、サーマルヘッド1により印刷され、印刷後の感熱紙Sは、プラテン71が回転することにより、搬送経路Dの下流に搬送される。
【0035】
図1に戻って、紙カット部20は、可動刃21と、この可動刃21と対向して設けられた固定刃24と、固定刃24を覆う固定刃カバー25と、を有しており、印刷後の感熱紙Sが通過する紙出口Gに設けられている。紙カット部20では、可動刃21と固定刃24とがハサミ状に交叉することにより、感熱紙Sを切断する。
本実施形態のサーマルプリンター100は、以上のような概略構成を有している。
【0036】
(サーマルヘッドについて)
次いで、サーマルヘッド1について、図3および図4を参照して説明する。図3は、サーマルヘッドの外観斜視図である。図4は、サーマルヘッドのヘッド基板の平面図であり、(a)はヘッド基板全体図、(b)は(a)の部分拡大図である。
【0037】
図3に示すように、サーマルヘッド1は、放熱板106とヘッド支持軸102と基板としてのヘッド基板110とドライバーIC120とFPC108とを有している。ヘッド基板110は、長矩形形状を呈しており、複数の発熱素子145からなる発熱素子列145aが長手方向に沿って図中Z方向上方に形成されている。また、発熱素子列145aと平行して、発熱素子145を駆動する複数のドライバーIC120が配設されている。放熱板106は、アルミニウム等の引き抜き材で形成され、ヘッド基板110が放熱板106の係止面106aに両面粘着テープ等で貼り付けられている。
【0038】
放熱板106のヘッド基板110のZ方向上方には、案内斜面部104が放熱板106の長手方向にわたって形成されている。この案内斜面部104は、図1に示すカバーフレーム10を閉じる際に、プラテン71を滑動させて所定の位置まで案内する。この際、案内斜面部104の傾斜は、プラテン71がヘッド基板110と衝突しないような所定の角度を有している。また、案内斜面部104の斜面は、この案内斜面部104に近接して付設されたヘッド基板110と略同じ高さになるように設定されている。ヘッド支持軸102は円柱状の丸ピンであり、放熱板106の左右の側面部に設けられた穴部に圧入されている。
【0039】
ここでヘッド基板について、図4を参照して説明する。図4(a)に示すように、ヘッド基板110は、アルミナセラミック等からなり、一側縁110aに近い位置に長手方向に沿って、通電された電流を熱に変換する線状の発熱体140が保護膜に保護された状態で直線状に設けられている。ヘッド基板110の他側縁110bには、外部との電気的接続に供せられる複数の外部接続端子112が設けられている。発熱体140とヘッド基板110の一側縁110aとの間の帯状領域には、コモン配線パターン114が形成されている。このコモン配線パターン114の両端部は、外部接続端子112にいたるまでに延ばされている。ヘッド基板110の略中央には、ドライバーIC120を実装するIC実装部120aが各ドライバーIC120ごとに設けられ、線状の発熱体140と並列した列状に配置されている。
【0040】
図4(b)に示すように、上記コモン配線パターン114から、櫛歯状のコモン電極114aが延ばされており、一方、この櫛歯状のコモン電極114aの間に入り込むようにして、個別電極118の一端が延出されている。各個別電極118の他端部は、ヘッド基板110上に設けられたIC実装部120aまで延びており、その端部には、実装端子としての第1の電極パッド115が形成されている。電極パッド115は、後述する発熱素子145の1つ1つに対応する。本実施形態では、実装されるドライバーIC120は、例えば、1個あたり128ビット分の発熱素子145に対応する個別電極118に電流を流すことができる。そのため、電極パッド115は、少なくとも128個以上形成されている。128個以上の電極パッド115は、直線状に形成され第1の実装端子列としての第1の電極パッド列115aを構成している。
【0041】
IC実装部120aのヘッド基板110の他側縁110b側には、実装端子としての第2の電極パッド116が形成されている。この電極パッド116は、図4(a)に示す外部接続端子112に導通されている。なお、この外部接続端子112は、FPC108(図3参照)が取り付けられ、FPC108を介してサーマルプリンター100を制御する制御部を構成する主回路基板(図示せず)と接続されている。サーマルプリンター100の制御部からは、印刷データ等の入力信号や駆動電流等が入力される。そのため、この電極パッド116は、例えば十数個形成されている。十数個の電極パッド116は、直線状に形成され第2の実装端子列としての第2の電極パッド列116aを構成している。
【0042】
上記発熱体140は、図4(b)に二点鎖線で示すように、上記櫛歯状のコモン電極114aおよびこれらの間に入り込む個別電極118に重なるようにして形成されている。そのため、隣合う櫛歯状のコモン電極114aと個別電極118とによって、発熱素子145が規定される。すなわち、選択された個別電極118が、後述するドライバーIC120によってオン駆動されると、この個別電極118と櫛歯状のコモン電極114aとに囲まれる領域の発熱体140に電流が流れ、その部分が発熱素子145として機能する。
【0043】
サーマルヘッド1は、それぞれの領域の発熱体140が選択的に通電されることで、通電された領域の発熱体140のみが瞬時に発熱するとともに、通電が休止された場合は、速やかに放熱板106に放熱されるように構成されている。さらに、発熱体140は、感熱紙Sを挟持搬送するプラテン71とサーマルヘッド1との接点近傍に配置されている。そのため、発熱体140から発熱された熱エネルギーは感熱紙Sの発熱素子145に対応する領域に伝わる。
【0044】
(ドライバーICについて)
ここで、ドライバーICについて、図5および図6を参照して説明する。図5は、ドライバーICの構造を説明する図であり、(a)は接続端子部の断面図であり、(b)は接続端子部をドライバーICの底面から見た図であり、(c)は接続端子部を図5(b)の斜め上方から見た斜視図である。図6は、ドライバーICの底面図である。
【0045】
ドライバーIC120は、例えば半導体チップとしてのシリコン基板120b上に適宜サーマルヘッド1の駆動回路等を形成してなるICチップである。ドライバーIC120の能動面120c上には、アルミニウムなどで構成された電極124が形成されている。この電極124は、ドライバーIC120の長辺部に沿って配列形成されている。電極124の表面には、SiNなどの絶縁材料からなるパッシペーション膜などの保護膜126が形成されている。そして、その保護膜126に形成された開口127により、電極124と後述する配線膜130とを接続する電気的接続部132が構成されている。
【0046】
また、保護膜126の表面には、樹脂突起131が形成されている。この樹脂突起131は、ポリイミドなどの弾性樹脂材料を保護膜126の表面にコーティングし、フォトリソグラフィなどのパターニング処理を行うことによって、電極124の配列方向(矢印X方向)に沿って連続して形成される。また、樹脂突起131は、配線膜130が形成される領域と、形成されない領域との間に段差を有している。さらに、樹脂突起131は、電極124の配列方向と直交する図5(b)のf−f線での断面形状が略半円形形状になるように形成されている。
【0047】
なお、樹脂突起131の材料としては、ポリイミド樹脂以外に、シリコーン変性ポリイミド樹脂、エポキシ樹脂、シリコーン変性エポキシ樹脂、アクリル樹脂、フェノール樹脂、シリコーン樹脂、変性ポリイミド樹脂、ベンゾシクロブテン、ポリベンゾオキサゾールなどの樹脂を用いてもよい。
【0048】
さらに、樹脂突起131の表面には、配線膜130が形成されている。この配線膜130は、Au、TiW、Cu、Ni、Pd、Al、Cr、Ti、W、NiV、鉛フリーはんだなどの導電性金属を蒸着、スパッタリングなどによって成膜し、適宜のパターニング処理を適用することによって形成される。また、Cu、Ni、Alなどで構成された下地の配線膜130の表面をさらにAuメッキなどで被覆し、導電接触性を高めることも可能である。配線膜130は、平面視における形状が、略矩形形状であり、電気的接続部132から樹脂突起131を乗り越えて反対側の保護膜126の表面上まで配設されている。
【0049】
上記のように構成された樹脂突起131と配線膜130とによって、ドライバーIC120の保護膜126上に断面が略半円形形状の接続端子としてのバンプ電極135が形成される。
【0050】
図6に示すように、このバンプ電極135は、ドライバーIC120の能動面120cの長辺に沿って、列状に形成され第1の接続端子列としての第1のバンプ電極列137aおよび第2の接続端子列としての第2のバンプ電極列137bを構成する。第1のバンプ電極列137aは、図4に示す128個の発熱素子145に導通される電極パッド115と電気的に接続される少なくとも128個の接続端子としての第1のバンプ電極135aを含む多数のバンプ電極135から構成されている。
【0051】
第2のバンプ電極列137bは、印刷データ等の入力信号や駆動電流等が入力される図4に示す外部接続端子112と導通する電極パッド116に電気的に接続される例えば十数個の接続端子としての第2のバンプ電極135bから構成されている。換言すると、ドライバーIC120の能動面120cには、構成するバンプ電極135a,135bの数が極端に異なる第1のバンプ電極列137aおよび第2のバンプ電極列137bが形成されている。
【0052】
ドライバーIC120とヘッド基板110は、次のようにして接続される。まず、ヘッド基板110のIC実装部120aにおいて、第1の電極パッド列115aおよび第2の電極パッド列116aを覆うように絶縁性接着フィルム(図示略)が配置される。次に、ドライバーIC120のバンプ電極135aがヘッド基板110の電極パッド115に、ドライバーIC120のバンプ電極135bがヘッド基板110の電極パッド116に対応するように位置合わせされる。そして、ドライバーIC120をヘッド基板110に向けて押圧し、樹脂突起131を押しつぶして弾性変形させ、樹脂突起131の配線膜130を十分な接触面積を確保してヘッド基板110の電極パッド115,116に接触させる。その後、絶縁性接着フィルムを硬化して、ヘッド基板110とドライバーIC120との接続状態を固定する。
【0053】
ここで、本実施形態のサーマルヘッド1では、図4(b)及び図6に示すように、複数のドライバーIC120にデータを供給するバスラインが第1のバスライン119と第2のバスライン139とに分割して形成されている。第1のバスライン119はヘッド基板110の電極パッド115,116が形成された面上に形成され、第2のバスライン139はドライバーIC120の能動面120c上に形成されている。
【0054】
第1のバスライン119は、複数のドライバーIC120と重なるように、複数のドライバーIC120の配列方向(X方向)と平行に延びている。第1のバスライン119は、第1の電極パッド列115aと第2の電極パッド列116aとの間隙に沿って形成されており、第1のバスライン119の両端部は、外部接続端子112にいたるまでに延ばされている。第1の電極パッド列115aと第2の電極パッド列116aとは、第1のバスライン119を挟んで対向配置されている。第1のバスライン119は、IC実装部120aに設けられた複数の電極パッドのうち第1の電極パッド列115aの両端部に設けられた2つの電極パッド115と接続されている。第1のバスライン119と接続された電極パッド115は発熱体140とは接続されていない。
【0055】
第2のバスライン139は、第1のバンプ電極列137aと第2のバンプ電極列137bとの間隙に沿って形成されている。第2のバスライン139の両端部は、能動面120c上に設けられた複数のバンプ電極135のうち第1のバンプ電極列137aの両端部に設けられた2つのバンプ電極135と接続されている。第1のバンプ電極列137aと第2のバンプ電極列137bとは、第2のバスライン139を挟んで対向配置されている。第2のバスライン139と接続されたバンプ電極135は、第1のバスライン119と接続された電極パッド115と接続されている。第2のバスライン139と接続されたバンプ電極135は、第1のバスライン119と第2のバスライン139とを接続する接続部材として機能する。
【0056】
電極パッド115及び電極パッド116は、第1のバスライン119と同じ導電材料を用いて共通のプロセスで形成されている。バンプ電極135の配線膜130は、第2のバスライン139と同じ導電材料を用いて共通のプロセスで形成されている。
【0057】
上記構成のサーマルヘッド1においては、バスラインの一部(第2のバスライン139)をドライバーIC120上に形成しているため、ヘッド基板110上に形成するバスライン(第1のバスライン119)の幅を小さくすることができる。よって、第1のバスライン119を跨いで配置されるドライバーIC120の小型化が可能となり、ひいてはサーマルヘッド1及びサーマルプリンター100の小型化が可能となる。
【符号の説明】
【0058】
1…サーマルヘッド、100…サーマルプリンター、110…ヘッド基板、115…第1の電極パッド(接続部材)、115a…第1の電極パッド列、116…第2の電極パッド、116a…第2の電極パッド列、119…第1のバスライン、120…ドライバーIC、130…配線膜、131…樹脂突起、135a…第1のバンプ電極、135b…第2のバンプ電極、137a…第1のバンプ電極列、137b…第2のバンプ電極列、139…第2のバスライン
図1
図2
図3
図4
図5
図6