特許第5834463号(P5834463)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2015.5.11 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ 日産自動車株式会社の特許一覧
<>
  • 特許5834463-トルク制御装置及び非接触充電システム 図000002
  • 特許5834463-トルク制御装置及び非接触充電システム 図000003
  • 特許5834463-トルク制御装置及び非接触充電システム 図000004
  • 特許5834463-トルク制御装置及び非接触充電システム 図000005
  • 特許5834463-トルク制御装置及び非接触充電システム 図000006
  • 特許5834463-トルク制御装置及び非接触充電システム 図000007
  • 特許5834463-トルク制御装置及び非接触充電システム 図000008
  • 特許5834463-トルク制御装置及び非接触充電システム 図000009
  • 特許5834463-トルク制御装置及び非接触充電システム 図000010
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】5834463
(24)【登録日】2015年11月13日
(45)【発行日】2015年12月24日
(54)【発明の名称】トルク制御装置及び非接触充電システム
(51)【国際特許分類】
   B60L 11/18 20060101AFI20151203BHJP
   H02J 17/00 20060101ALI20151203BHJP
   H02J 7/00 20060101ALI20151203BHJP
   H01M 10/46 20060101ALI20151203BHJP
   B60L 15/20 20060101ALI20151203BHJP
   B60L 5/00 20060101ALI20151203BHJP
【FI】
   B60L11/18 CZHV
   H02J17/00 B
   H02J7/00 P
   H02J7/00 301D
   H01M10/46
   B60L15/20 J
   B60L5/00 B
【請求項の数】5
【全頁数】15
(21)【出願番号】特願2011-95331(P2011-95331)
(22)【出願日】2011年4月21日
(65)【公開番号】特開2012-228119(P2012-228119A)
(43)【公開日】2012年11月15日
【審査請求日】2014年2月25日
(73)【特許権者】
【識別番号】000003997
【氏名又は名称】日産自動車株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000486
【氏名又は名称】とこしえ特許業務法人
(72)【発明者】
【氏名】今津 知也
(72)【発明者】
【氏名】田中 広志
【審査官】 久保田 創
(56)【参考文献】
【文献】 特開平10−272913(JP,A)
【文献】 特開2005−178626(JP,A)
【文献】 特開2010−144667(JP,A)
【文献】 特開2010−183813(JP,A)
【文献】 特開2010−246348(JP,A)
【文献】 特開平09−215211(JP,A)
【文献】 特開2008−288889(JP,A)
【文献】 特開平09−242579(JP,A)
【文献】 特開2005−057962(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B60L 1/00−3/12
B60L 5/00
B60L 7/00−13/00
B60L 15/00−15/42
H01M 10/46
H02J 7/00
H02J 17/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
少なくとも磁気的結合によって送電コイルからの電力を非接触で受電する受電コイルと、
アクセル開度を検出するアクセル開度検出手段と、
前記アクセル開度検出手段により検出されたアクセル開度に基づいて車両を駆動させるトルクを設定するトルク設定手段と、
前記車両の位置が所定の駐車位置に近づくと、アクセルの踏み込み量に対する車両の駆動トルクが相対的に小さくなるように、前記トルク設定手段により設定されたトルクを補正し、補正されたトルクにより車両を駆動させるトルク制御手段とを備え、
前記所定の駐車位置は前記送電コイルの位置に対応し、
前記車両の位置は前記受電コイルの位置に対応する
ことを特徴とするトルク制御装置。
【請求項2】
アクセル開度を検出するアクセル開度検出手段と、
前記アクセル開度検出手段により検出されたアクセル開度に基づいて車両を駆動させるトルクを設定するトルク設定手段と、
前記車両の位置が所定の駐車位置に近づいて前記車両を駐車する操作に基づいて、アクセルの踏み込み量に対する車両の駆動トルクが相対的に小さくなるように、前記トルク設定手段により設定されたトルクを補正し、補正されたトルクにより車両を駆動させるトルク制御手段とを備える
ことを特徴とするトルク制御装置。
【請求項3】
アクセル開度を検出するアクセル開度検出手段と、
前記アクセル開度検出手段により検出されたアクセル開度に基づいて車両を駆動させるトルクを設定するトルク設定手段と、
前記車両の位置が所定の駐車位置に近づくと、アクセルの踏み込み量に対する車両の駆動トルクが相対的に小さくなるように、前記トルク設定手段により設定されたトルクを補正し、補正されたトルクにより車両を駆動させるトルク制御手段とを備え、
前記トルク制御手段は、
前記所定の駐車位置と前記車両の位置の距離が所定の距離より短くなるほど、前記トルク設定手段により設定されたトルクが小さくなるよう補正する
ことを特徴とするトルク制御装置。
【請求項4】
前記所定の駐車位置と前記車両の位置との相対的な位置とを検出する位置検出手段をさらに備える
ことを特徴とする請求項1〜のいずれか一項に記載のトルク制御装置。
【請求項5】
車両に設けられた受電コイルと、地上側の充電装置に設けられた送電コイルとの間で、少なくとも磁気的結合によって非接触で給電する非接触充電システムにおいて、
前記充電装置は、
前記送電コイルへ電力を供給する充電器と、
前記送電コイルと前記受電コイルとの相対的な位置とを検出する位置検出手段と、
前記位置検出手段により検出された位置を含む信号を送信する送信手段とを備え、
前記車両は、
前記受電コイルにより受電した電力により充電されるバッテリと、
アクセル開度を検出するアクセル開度検出手段と、
前記アクセル開度検出手段により検出されたアクセル開度に基づいて前記車両を駆動させるトルクを設定するトルク設定手段と、
前記送信手段から送信される信号を受信する受信手段と、
前記受信手段により受信された信号から、前記送電コイルの位置と前記受電コイルの位置との相対的な位置を検出し、前記受電コイルの位置が前記送電コイルの位置に近づくと、アクセルの踏み込み量に対する車両の駆動トルクが相対的に小さくなるように、前記トルク設定手段により設定されたトルクを補正し、補正されたトルクにより前記車両を駆動させるトルク制御手段とを備える
ことを特徴とする非接触充電システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、トルク制御装置及び非接触充電システムに関するものである。
【背景技術】
【0002】
所定の距離を隔てて形成される空隙を介して、互いに対向して配置され、且つそれぞれ所定の口径と形状であり、給電時に上下等で対称の同一構造をなす給電コイルと受電コイルとを有する非接触給電装置において、受電側である電気自動車に、充電用コントローラと、バッテリーとを備え、当該給電コイルから受電コイルへの給電よりバッテリーを充電するものが知られている(特許文献1)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2008−288889号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、車両を、充電のための駐車スペースに駐車する際に、車両側の受電コイルと地上側の送電コイルとを位置合わせすることが難しいという問題があった。
【0005】
本発明が解決しようとする課題は、車両を駐車する際に、車両の位置と、所定の駐車位置との位置合わせを容易にするトルク制御装置を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明は、所定の駐車位置と車両の位置との相対的な位置に応じてトルクを補正し、補正されたトルクにより当該車両を駆動させることによって上記課題を解決する。
【発明の効果】
【0007】
本発明によれば、車両が所定の駐車位置に近づくと、トルクが補正されるため、運転操作による車両の細かな移動が容易になり、その結果として所定の駐車位置と車両の位置との位置合わせを容易にすることができる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
図1】本発明の実施形態に係る非接触充電システムのブロック図である。
図2a図1の一次巻線及び二次巻線が対向した状態を示す平面図及び斜視図である。
図2b図1の一次巻線及び二次巻線が対向した状態を示す平面図及び斜視図であり、X軸方向にずれた場合を示す図である。
図3図1の非接触充電システムの車両に含まれるトルク制御装置のブロック図である。
図4図3のトルク制御装置のトルクマップであり、車速(Vsp)に対するトルク(T)の特性を示すグラフである。
図5図3のトルク制御装置のトルク補正部における、受電コイルと送電コイル16との間の距離(L)に対する補正係数(K)の特性を示すグラフである。
図6図3のトルク制御装置の制御手順を示すフローチャートである。
図7】本発明の他の実施形態に係る非接触充電システムにおいて、車両の駐車スペースの説明図である。
図8】本発明の他の実施形態に係るトルク制御装置のトルク補正部における、受電コイルと送電コイル16との間の距離(L)に対する補正係数(K)の特性を示すグラフである。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、本発明の実施形態を図面に基づいて説明する。
【0010】
《第1実施形態》
図1は、本発明の一実施形態に係るトルク制御装置を含む車両及び充電装置100を備えた非接触充電システムのブロック図である。なお、本例のトルク制御装置は電気自動車に搭載されるが、ハイブリッド車両等の車両でもよい。
【0011】
図1に示すように、本例の非接触充電システムは、車両側のユニットである車両200と、地上側ユニットである充電装置100とを備え、給電スタンドなどに設置される充電装置100から、非接触で電力を供給し、車両200に設けられるバッテリ21を充電するシステムである。
【0012】
充電装置100は、交流電源11と、コンバータ12と、充電制御部13と、位置検出部14と、通信部15と、送電コイル16とを備えている。充電装置100は、車両200を駐車する駐車スペースに設けられており、車両200が所定の駐車位置に駐車されるとコイル間の非接触給電により電力を供給する地上側のユニットである。
【0013】
コンバータ12は、交流電源11から送電される交流電力を、高周波の交流電力に変換し、送電コイル16に送電するための電力変換装置である。通信部15は、車両200側の通信部25との間で、無線により通信を行い、情報の送受信を行う。通信部15は、例えば、充電装置100からの電力供給を開始する旨の信号を通信部25に送信したり、あるいは、車両200側から充電装置100から電力を受給したい旨の信号を通信部25から受信したりする。位置検出部14は、充電装置100に設けられる送電コイル16の設置位置に対して、所定の駐車位置に駐車しようとする車両200の受電コイル26の位置を周期的に検出する。位置検出部14は、例えば、赤外線信号又は超音波信号等の信号を発信し、当該信号の変化から位置を検出する。
【0014】
充電制御部13は、コンバータ12、位置検出部14及び通信部15を制御することで、充電装置100を制御する。充電制御部13は、コンバータ12を制御して、送電コイル16から受電コイル26に出力される電力等を制御する。充電制御部13は、充電に関する制御信号を、通信部15から通信部25に送信し、位置検出部14を制御して、送電コイル16に対する受電コイル26の相対的な位置を検出する。
【0015】
送電コイル16は、本例の非接触充電システムを有する駐車スペースに設けられる。非接触充電システムのうち車両200側ユニットを備えた車両200が所定の駐車位置に駐車されると、送電コイル16は、受電コイル26の下部であり、受電コイル26と距離を保って、位置づけられる。送電コイル16は、駐車スペースの表面と平行な円形形状のコイルである。
【0016】
車両200は、バッテリ21と、コンバータ22と、充電制御部23と、整流回路24と、通信部25と、受電コイル26と、インバータ27と、モータ28と、EVコントローラ30とを備えている。受電コイル26は、車両200の底面(シャシ)等で、後方の車輪の間に設けられる。そして当該車両200が、所定の駐車位置に駐車されると、受電コイル26は、送電コイル16の上部であり、送電コイル16と距離を保って、位置づけられる。受電コイル26は、駐車スペースの表面と平行な円形形状のコイルである。整流回路24は受電コイル26により受電された交流電力を直流電力に整流する。コンバータ22は、整流回路24で整流された直流電力を、バッテリ21の充電に適した直流電力に変換するDC−DCコンバータである。またコンバータ22には、バッテリ21と、充電回路となるコンバータ22、整流回路24及び受電コイル26とを切り離すためのスイッチを有するジャンクションボックス(図示しない)が含まれており、当該ジャンクションボックスは、充電制御部23により制御される。
【0017】
バッテリ21は、複数の二次電池を接続することで構成され、車両200の電力源となる。インバータ27は、EVコントローラ30によるスイッチング制御及び運転手のアクセル操作に基づくトルク指令値により、バッテリ21から出力される直流電力を交流電力にし、モータ28に供給する制御回路である。モータ28は、例えば三相の交流電動機により構成され、車両200を駆動させるための駆動源となる。
【0018】
通信部25は、地上側の通信部15と、無線により通信を行い、情報の送受信を行う。充電制御部23は、充電時に、バッテリ21、コンバータ22、整流回路24、通信部25を制御する。また充電制御部23は、EVコントローラ30とCAN通信網で接続され、制御信号の送受信を行う。また充電制御部23は、通信部15及び通信部25を介して、充電制御部13と充電に関する制御信号の送受信を行い、本例の非接触充電システムを制御する。充電制御部23は、充電する際には、コンバータ22に含まれるジャンクションボックスを制御し、受電コイル26から整流回路24、コンバータ22を通りバッテリ21まで導通させて、送電コイル16から送電される電力をバッテリ21に供給することで、バッテリ21を充電する。EVコントローラ30は、車両200全体を制御する制御部であり、車両200を駆動させるためにトルクを設定したり、充電を開始するための信号を充電制御部23に送信したりする。
【0019】
次に、図2A及び図2Bを用いて、送電コイル16の位置と受電コイル26の位置との位置ずれと、本例の非接触充電システムにおける給電効率との関係について説明する。図2A及び図2Bは、送電コイル16及び受電コイル26が対向した状態を示す平面図a)と、斜視図b),c)である。図2A及び図2Bにおいて、X軸及びY軸は、送電コイル16及び受電コイル26の平面方向を示し、Z軸は高さ方向を示す。
【0020】
本例の非接触充電システムでは、送電コイル16と受電コイル26との間で、電磁誘導作用により非接触状態で高周波電力の送電及び受電を行う。言い換えると、送電コイル16に電圧が加わると、送電コイル16と受電コイル26との間には磁気的な結合が生じ、送電コイル16から受電コイル26へ電力が供給される。このような非接触充電において、送電コイル16から受電コイル26へ給電される効率(給電効率)は、送電コイル16と受電コイル26との間の結合係数に依存する。
【0021】
いま、図2Aに示すように、平面方向であるX軸、Y軸方向において、受電コイル26が送電コイル16に合致するように車両200が駐車スペースに駐車された場合には、受電コイル26と受電コイル26との相対的な位置は、平面方向において同位置になり、受電コイル26から送電コイル16ための距離は最も短くなる。かかる場合には、受電コイル26と送電コイル16との間の距離が短く、結合係数が最も高くなるため、給電効率は高くなる。
【0022】
一方、運転者の技量により、図2Bに示すように、送電コイル16と受電コイル26との相対的な位置が、平面方向において、ずれた状態で、車両200が駐車されることがある。図2Bに示す例では、送電コイル16の位置に対する受電コイル26の位置は、X軸方向にX分、Y軸方向にY分ずれており、平面方向における送電コイル16と受電コイル26との距離はLとなる。かかる場合には、受電コイル26の位置は、送電コイル16の位置に対して、距離L分、ずれているため、結合係数が図2Aの結合係数と比べて小さくなり、給電効率が低くなる。
【0023】
すなわち、本例の非接触充電システムにおいて、車両200を駐車させる際に、受電コイル26と送電コイル16との位置ズレを小さくすることは、給電効率の面で重要であるため、以下に詳述するように、車両200を駐車する際に、受電コイル26と送電コイル16との位置あわせを容易にするトルク制御装置が車両200に搭載されている。
【0024】
次に、図3図5を用いて、本例のトルク制御装置を説明する。図3は本例のトルク制御装置のブロック図であり、図4はトルクマップ31であり、車速(Vsp)に対するトルク(T)の特性である。図5は、受電コイル26と送電コイル16との間の距離(L)に対する補正係数(K)の特性を示す。
【0025】
図3に示すように、トルク制御装置は、トルクマップ31と、トルク補正部32と、アクセル開度センサ33と、車速センサ34と、バッテリ21と、インバータ27と、モータ28とを備えている。アクセル開度センサ33は、運転手により操作させるアクセルの開度(AP)を検出するためのセンサである。車速センサ34は、車両200の走行速度(Vsp)を検出するためのセンサである。
【0026】
トルクマップ31及びトルク補正部32は、EVコントローラ30の一部であり、アクセル開度(AP)及び車速(Vsp)に基づいて、インバータ27へのトルク指令値(T)を設定する。トルクマップ31には、図4に示すような、アクセル開度(AP)及び車速(Vsp)と、トルク(T)との対応関係がマップとして予め格納されている。EVコントローラ30は、アクセル開度センサ33により検出されたアクセル開度(AP)及び車速センサ34に検出された車速(Vsp)と、当該マップとを参照して、トルク(T)を設定する。なお、図4において、アクセル開度(AP)が最も小さい時のトルク特性が、クリープのトルク特性を示す。
【0027】
トルク補正部32は、送電コイル16と受電コイル26との相対的な位置に応じて、トルク(T)を補正する。送電コイル16と受電コイル26との相対的な位置は、位置検出部14により検出された受電コイル26の位置情報を、通信部15及び通信部25を介して、EVコントローラ30に送信することで、車両200側で検出される。トルクの補正係数(A)は予め設定されている係数であり、図5に示すように、受電コイル26と送電コイル16との、平面方向における距離(L)に応じて定められている。受電コイル26と送電コイル16との距離(L)が、予め設定されている距離(Lc)より長い場合には、補正係数(K)は1.0に設定され、受電コイル26と送電コイル16との距離(L)が、予め設定されている距離(Lc)以下である場合には、補正係数(K)は0.3に設定されている。そして、トルク補正部32は、EVコントローラ30は、補正係数(K)をトルク(T)に乗ずることで、トルク(T)を補正する。すなわちトルク補正部32は、受電コイル26と送電コイル16との距離(L)が距離(Lc)より長い場合には、トルク(T)を補正せず、受電コイル26と送電コイル16との距離(L)が距離(Lc)以下である場合には、補正する。そして、EVコントローラ30は、トルク補正部32からの出力トルクを、トルク指令値(T)として、インバータ27に入力する。インバータ27は、EVコントローラ30から入力されたトルク指令値と一致するように、モータ28を制御する。
【0028】
次に、図1及び図3図5を用いて、本例のトルク制御装置の制御内容を説明する。まず車両200が、本例の非接触充電システムにより充電するために、所定の駐車位置に近づくと、EVコントローラ30は通信部25を制御し、充電装置100に対して、充電のために駐車する旨の信号を送信する。通信部15により当該信号が受信されると、充電制御部13は、充電のために車両200が所定の駐車位置に近づいていることを認識し、位置検出部14を起動させて、受電コイル26の位置を周期的に検出する。充電制御部23は、位置検出部14により検出された受電コイル26の位置情報を、通信部15により車両200側に送信する。
【0029】
EVコントローラ30は、通信部15から送信される受電コイル26の位置情報から、送電コイル16の設置位置に対する受電コイル26の相対的な位置を検出する。位置情報は、周期的に送信されるため、EVコントローラ30は、車両200の駆動中、受電コイル26と送電コイル16とがどの程度近づいているか、認識することができる。そして、EVコントローラ30は、受電コイル26の位置情報から、平面方向における、受電コイル26と送電コイル16との距離(L)を算出する。
【0030】
車両200駆動中、EVコントローラ30は、車速及びアクセル開度から、トルクマップ31のマップを参照し、トルク(T)を設定する。距離(L)が距離(Lc)より大きい場合には、受電コイル26の位置は送電コイル16の位置から離れた位置にあるため、トルク補正部32はトルク(T)を補正せず、当該トルク(T)をトルク指令値(T)とする。車両200が所定の駐車位置に、さらに近づき、距離(L)が距離(Ls)以下になった場合には、EVコントローラ30は、受電コイル26の位置が送電コイル16の位置に近づいたと判定し、トルク補正部32により、トルク(T)を補正し、補正前のトルクと比べて、小さいトルクをトルク指令値(T)にする。
【0031】
すなわち、距離(L)が距離(Ls)より長い場合と、距離(L)が距離(Ls)以下である場合とで、アクセル開度(AP)が同じとすると、モータ28の駆動トルクは、距離(L)が距離(Ls)以下である場合の方が小さくなる。これにより、受電コイル26が送電コイル16に接近し、距離(L)が距離(Ls)以下になると、アクセルの踏み込み量に対する車両200の駆動トルクが小さくなるため、車両200の操作性を高めることができ、受電コイル26に対する送電コイル16の位置合わせを容易に行うことができる。また、言い換えると、本例は、受電コイル26が送電コイル16に接近し、距離(L)が距離(Ls)以下になると、アクセルの踏み込み量に対してアクセルゲインが小さくなり、アクセルの応答性を鈍くするため、車両200の操作性を高めることができ、受電コイル26に対する送電コイル16の位置あわせを容易に行うことができる。
【0032】
また、クリープを利用して車両200を所定の駐車位置に駐車している場合には、モータ28の駆動トルクは、距離(L)が距離(Ls)以下になると、距離(L)が距離(Ls)より長い場合のクリープのトルクより小さいトルクをトルク指令値(T)にする。これにより、受電コイル26が送電コイル16に接近し、距離(L)が距離(Ls)以下になると、クリープ時のトルクに対する車両200の駆動トルクが小さくなるため、車両200の操作性を高めることができ、受電コイル26に対する送電コイル16の位置あわせを容易に行うことができる。
【0033】
次に、図6を用いて、本例のトルク制御装置の制御手順を説明する。図6は、本例のトルク制御装置の制御手順を示すフローチャートである。なお、図6に示すステップは、所定の周期で繰り返し行われる。
【0034】
ステップS1にて、EVコントローラ30は、アクセル開度センサ33によりアクセル開度(AP)を検出し、車速センサ34により車速(Vsp)を検出する。ステップS2にて、EVコントローラ30は、検出されたアクセル開度(AP)及び車速(Vsp)から、トルクマップ31に格納されているマップを参照し、トルク(T)を設定する。
【0035】
ステップS3にて、EVコントローラ30は、本例の非接触充電システムを搭載した駐車スペースに車両200が近づいているか否かを判定する。当該判定は、車両200に搭載されたGPS機能にから車両200の位置情報と当該駐車スペースの位置情報から判定してもよく、あるいは、乗員による、当該駐車スペースに近づいて車両200を駐車する旨の操作に基づいて判定しよい。そして、車両200が当該駐車スペースに接近していると判定された場合には、EVコントローラ30は、通信部25から、車両200が駐車スペースに近づいていることを示す信号を充電装置100に送信し、充電制御部13は当該信号を通信部15により受信し、位置検出部14により受電コイル26の位置を検出し、通信部15から車両200に、受電コイル26の位置情報を送信する。そして、EVコントローラ30は、通信部25により、当該位置情報を含む信号を受信し、送電コイル16と受電コイル26との相対的な位置を検出する(ステップS4)。
【0036】
ステップS5にて、EVコントローラ30は、送電コイル16と受電コイル26との相対的な位置から送電コイル16と受電コイル26との距離(L)を算出し、当該距離(L)と予め設定されている距離(Lc)とを比較する。距離(L)が距離(Lc)以下である場合には、EVコントローラ30は、ステップS2により設定されたトルク(T)を補正する。具体的には、EVコントローラ30は、当該トルク(T)に、図5に示すような、距離(L)に応じて設定されている補正係数(K=0.3)を乗じることで、トルク(T)を補正する。そして、ステップS7にて、EVコントローラ30はステップS6にて補正されたトルクを、トルク指令値(T)として、インバータ27に入力し、モータ28を制御し、車両200を駆動させる。
【0037】
ステップS3に戻り、車両200が当該駐車スペースに接近していないと判定された場合には、EVコントローラ30は、ステップS4〜ステップS6のようなコイルの位置検出やトルク補正を行わずに、ステップS7に遷移する。そして、ステップS7にて、EVコントローラ30はステップS2にて設定されたトルクを、トルク指令値(T)として、インバータ27に入力し、モータ28を制御し、車両200を駆動させる。
【0038】
ステップS5に戻り、距離(L)が距離(Lc)より大きい場合には、ステップS6のようなトルク補正を行わずに、ステップS7に遷移する。そして、ステップS7にて、EVコントローラ30はステップS2にて設定されたトルクを、トルク指令値(T)として、インバータ27に入力し、モータ28を制御し、車両200を駆動させる。
【0039】
上記のように、本例は、送電コイル16の位置と受電コイル26の位置との相対的な位置に応じて、アクセル開度に応じて設定されるトルク(T)を補正し、補正したトルクにより車両200を駆動させる。これにより、受電コイル26の位置と送電コイル16の位置が近づくと、運転者が駐車し易いようにアクセル開度に対するトルクが補正されるため、送電コイル16と受電コイル26との位置あわせを容易にすることができる。
【0040】
また本例は、送電コイル16と受電コイル26との距離(L)が所定の距離(Ls)より短くなった場合に、アクセル開度に応じて設定されるトルク(T)を補正し、補正したトルクにより車両200を駆動させる。これにより、受電コイル26の位置と送電コイル16の位置が近づくと、アクセルの応答性が鈍くなるように、トルクが補正されるため、送電コイル16と受電コイル26との位置ずれが小さくなるように、駐車位置の精度が高まり、送電コイル16と受電コイル26との位置あわせを容易にすることができる。
【0041】
また本例の非接触充電システムにおいて、車両駆動中には、地上側で、送電コイル16と受電コイル26との相対的な位置を検出し、検出された位置を含む信号を車両200側に送信し、車両200側で、当該信号に含まれる当該相対的な位置に応じてトルクを補正して車両200を駆動させ、車両200停車後には、地上側の送電コイル16から電力を非接触で供給し、車両200側の受電コイル26により電力を受電し、車両200に搭載されたバッテリ21を充電する。これにより、受電コイル26の位置と送電コイル16の位置が近づくと、運転者が駐車し易いようにアクセル開度に対するトルクが補正されるため、送電コイル16と受電コイル26との位置あわせを容易にすることができる。また駐車後の充電において、送電コイル16と受電コイル26との位置ズレが小さいため、給電効率を高めることができ、充電時間の短縮化を図ることができる。
【0042】
なお位置検出部14は、車両200の受電コイル26を撮像し、撮像画像を解析することで、送電コイル16に対する受電コイル26の相対的な位置を検出してもよい。また位置検出部14は、地上側又は車両200側のいずれか一方に電波を送信する送信用アンテナを設け、地上側又は車両200側のいずれか他方に電波を受信する受信用アンテナを設け、これらアンテナ間における電波の送受信信号から、送電コイル16と受電コイル26との相対的な位置を検出してもよい。また位置検出部14は、GPSシステムから車両200の位置情報を入手することで、送電コイル16と受電コイル26との相対的な位置を検出してもよい。また、位置検出部14は、車両200に設けてもよい。
【0043】
また本例のトルク制御装置によるトルク補正は、車両200前進時のトルク補正に限らず、車両200後退時のトルク補正も含まれる。
【0044】
また本例は、送電コイル16と受電コイル26との位置ズレを小さくするために、位置検出部14により、送電コイル16に対する受電コイル26の相対位置を検出するが、所定の駐車位置に対する車両200の位置の相対的な位置を検出してもよい。すなわち、上記の送電コイル16の位置が当該所定の駐車位置に対応し、上記の受電コイル26の位置が当該車両200の位置に対応する。
【0045】
また本例のトルク制御装置は、非接触充電システムを備えた車両200に限らず、車両200の駐車支援システムを備えた車両200に搭載してもよい。この際には、位置検出部14は、所定の駐車位置と車両200の位置との相対的な位置を検出し、EVコントローラ30は、検出された当該相対的な位置に応じて、トルクを補正すればよい。
【0046】
また位置検出部14は車両側に設け、送電コイル16の位置を検出することで、送電コイル16と受電コイル26との相対的な位置を検出してもよい。
【0047】
また本例のトルク制御装置は、車両を駐車させる際にモータ28の駆動トルクを補正するが、エンジンを駆動させて車両を駐車する場合に、エンジンのトルクを上記と同様に補正してもよい。
【0048】
上記のEVコントローラ30のうちトルクマップ31を含む制御部が本発明の「トルク設定手段」に相当し、EVコントローラ30のうちトルクマップ31を含む制御部及びインバータ27が本発明の「トルク制御手段」に相当し、交流電源11、コンバータ12及び充電制御部13が「充電器」に相当し、位置検出部14が「位置検出手段」に相当する。
【0049】
《第2実施形態》
図7は、発明の他の実施形態に係るトルク制御装置を含む車両200の駐車スペースの説明図である。本例では、上述した第1実施形態に対して、受電コイル26と送電コイル16との間の距離(L)に対する補正係数(K)の特性が異なる。これ以外の構成は上述した第1実施形態と同じであるため、その記載を援用する。
【0050】
以下、図7及び図8を用いて、発明の他の実施形態に係るトルク制御装置を説明する。図8は、受電コイル26と送電コイル16との間の距離(L)に対する補正係数(K)の特性を示す。図7に示すように、地上側の充電装置100を設ける駐車スペース300の地上に、送電コイル16が設けられている。本例の車両200は、図7の矢印の方向に進行し、所定の駐車位置に駐車される。ここで、X軸を車両200の車幅方向に、Y軸を車両200の駐車時の進行方向にとり、X軸とY軸との交点を、送電コイル16の中心点とする。またY軸の正負の符号について、送電コイルの中心点に対して、駐車スペース300の入出庫口の方向(図7の上方)に伸びる距離を正の方向とし、送電コイルの中心点に対して、駐車スペース300の入出庫口と逆側の方向(図7の下方)に伸びる距離を負の方向とする。
【0051】
EVコントローラ30は、位置検出部14にから送信される受電コイル26の位置情報から、駐車スペース300の平面方向のうち、車両200の駐車時の進行方向における、受電コイル26と送電コイル16との距離(L)を算出する。そして、EVコントローラ30は、車速及びアクセル開度から、トルクマップ31のマップを参照し、トルク(T)を設定し、トルク補正部32により、補正係数(K)を用いて、設定されたトルク(T)を、距離(L)に応じて補正する。
【0052】
トルク補正部32で設定されている補正係数(K)について、図8に示すように、受電コイル26と送電コイル16との距離(L)が、予め設定されている距離(Y)より長い場合には、又は、予め設定されている距離(−Y)より長い場合には、補正係数(K)は1.0に設定される。また、受電コイル26と送電コイル16との距離(L)が予め設定されている距離(Y)より短い場合には、又は、予め設定されている距離(−Y)より短い場合には、補正係数(K)は0.3に設定されている。また、受電コイル26と送電コイル16との距離(L)が距離(Y)以上で距離(Y)以下である場合には、補正係数(K)は、距離の増加に対して、0.3から1.0の範囲で比例して増加する。受電コイル26と送電コイル16との距離(L)が距離(−Y)以上で距離(−Y)以下である場合には、補正係数(K)は、距離の減少に対して、0.3から1.0の範囲で比例して減少する。
【0053】
これにより、EVコントローラ30は、距離(L)が距離(Y)より長い場合には、受電コイル26の位置は送電コイル16の位置から離れた位置にあるため、トルク補正部32によりトルク(T)を補正せず、トルク(T)をトルク指令値(T)とする。車両200が送電コイル16の位置にさらに近づき、距離(L)が距離(Y)以下になると、EVコントローラ30は、距離(L)が短くなるにつれて、補正係数(K)を小さくして、トルク指令値(T)を徐々に小さくするように、トルク(T)を補正する。さらに、受電コイル26の位置が送電コイル16の位置に近づき、距離(L)が距離(Y)以下になると、EVコントローラ30は、補正係数を一定の値(K=0.3)にして、トルク(T)を補正する。
【0054】
また、本例では、受電コイル26が送電コイル16の位置を越えて、車両200が駐車され、受電コイル26の位置を送電コイル16の位置に戻すように車両200を駆動する際にも、上記のようなトルク制御が行われる。すなわち、EVコントローラ30は、距離(L)が距離(−Y)より大きい場合には、受電コイル26の位置は送電コイル16の位置からかなり離れているため、トルク補正部32によりトルク(T)を補正せず、トルク(T)をトルク指令値(T)とする。そして、徐々に受電コイル26が送電コイル16に近づき、距離(L)が距離(−Y)以下になると、EVコントローラ30は、距離(L)が小さくなるにつれて、補正係数(K)を小さくして、トルク指令値(T)を徐々に小さくするように、トルク(T)を補正する。さらに、受電コイル26の位置が送電コイル16の位置に近づき、距離(L)が距離(−Y)以下になると、EVコントローラ30は、補正係数を一定の値(K=0.3)にして、トルク(T)を補正する。
【0055】
上記のように、本例は、送電コイル16の位置と受電コイル26の位置との、車両200の駐車時の進行方向における距離が所定の距離(Y又は−Y)より短くなるほど、トルク(T)が小さくなるように補正する。これにより、受電コイル26の位置と送電コイル16の位置が近づくと、アクセルの応答性が徐々に鈍くなるように、トルクが徐々に補正されるため、送電コイル16と受電コイル26との位置ずれが小さくなり、駐車の位置の精度が高まり、送電コイル16と受電コイル26との位置あわせを容易にすることができる。
【0056】
なお本例のトルク制御装置は、受電コイル26の位置と送電コイル16の位置との間で、車両200の駐車時の進行方向(図7のY軸方向)の成分を距離(L)として算出し上記のトルク制御を行うが、車両200の車幅方向(図7のX軸方向)の成分を距離(L)として算出し上記のトルク制御を行ってもよい。また、EVコントローラ30は、受電コイル26の位置と送電コイル16の位置との間で、駐車スペースの平面方向における距離を、距離(L)として算出し上記のトルク制御を行ってもよい。さらに、EVコントローラ30は、受電コイル26と送電コイル16との距離(L)を、駐車スペースの平面方向の成分だけでなく、駐車スペースの平面方向に対して垂直方向(図2a及び図2bのZ方向)の成分も含めて、距離(L)とし、上記のトルク制御を行ってもよい。
【0057】
また本例のトルク制御装置は、送電コイル16と受電コイル26との距離(L)が所定の距離より短くなった時点からの経過時間に伴い、補正係数(K)を徐々に大きくし、トルク(T)が小さくなるよう補正してもよい。車両200を所定の駐車位置に向けて駆動させている場合には、時間の経過と共に受電コイル26と送電コイル16との距離が短くなるため、本例では、閾値として所定の距離を予め設定し、距離(L)が当該所定の距離より短くなった時点からの経過時間に応じて、トルク(T)を補正する。これにより、受電コイル26の位置と送電コイル16の位置が近づくと、アクセルの応答性が鈍くなるように、トルクが補正されるため、送電コイル16と受電コイル26との位置ずれが小さくなるように、駐車の位置の精度が高まり、送電コイル16と受電コイル26との位置あわせを容易にすることができる。
【符号の説明】
【0058】
100…充電装置
11…交流電源
12…コンバータ
13…充電制御部
14…位置検出部
15…通信部
16…送電コイル
200…車両
21…バッテリ
22…コンバータ
23…充電制御部
24…整流回路
25…通信部
26…受電コイル
27…インバータ(INV)
28…モータ
30…EVコントローラ
31…トルクマップ
32…トルク補正部
33…アクセル開度センサ
34…車速センサ
300…駐車スペース
図1
図2a
図2b
図3
図4
図5
図6
図7
図8