特許第5834473号(P5834473)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2015.5.11 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ セイコーエプソン株式会社の特許一覧
<>
  • 特許5834473-ロボット 図000002
  • 特許5834473-ロボット 図000003
  • 特許5834473-ロボット 図000004
  • 特許5834473-ロボット 図000005
  • 特許5834473-ロボット 図000006
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】5834473
(24)【登録日】2015年11月13日
(45)【発行日】2015年12月24日
(54)【発明の名称】ロボット
(51)【国際特許分類】
   B25J 9/06 20060101AFI20151203BHJP
【FI】
   B25J9/06 B
【請求項の数】4
【全頁数】10
(21)【出願番号】特願2011-100814(P2011-100814)
(22)【出願日】2011年4月28日
(65)【公開番号】特開2012-232361(P2012-232361A)
(43)【公開日】2012年11月29日
【審査請求日】2014年3月12日
(73)【特許権者】
【識別番号】000002369
【氏名又は名称】セイコーエプソン株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100068755
【弁理士】
【氏名又は名称】恩田 博宣
(74)【代理人】
【識別番号】100105957
【弁理士】
【氏名又は名称】恩田 誠
(72)【発明者】
【氏名】桐原 大輔
(72)【発明者】
【氏名】星野 真吾
【審査官】 牧 初
(56)【参考文献】
【文献】 特開平2−198778(JP,A)
【文献】 特開2011−101918(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B25J 1/00−21/02
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
基体に対して回転可能に基端部が連結される第1アームと、
前記第1アームの先端部に第1屈伸機構を介して屈伸可能に基端部が連結される第2アームと、
前記第2アームの先端部に第2屈伸機構を介して屈伸可能に基端部が連結される第3アームとを備えた多関節アームを有するロボットであって、
前記第2アームは、該第2アームに対して前記第2屈伸機構を捻る第1捻り機構を有し、
前記第3アームは、前記第2屈伸機構に連結される手首部材と、エンドエフェクターが装着されるハンドと、前記手首部材と前記ハンドとを連結し、前記ハンドを前記手首部材に対して回転させて前記ハンドを前記手首部材に対して捻る第2捻り機構とを有し、
前記第2捻り機構における回転軸は、前記第1捻り機構における回転軸と平行であるときに当該回転軸に対してオフセットされた位置に配置され、
前記第1アームは、該第1アームの延びる方向に延びる第1プレートおよび第2プレートを有し、前記第1プレートおよび前記第2プレートによって断面が屈曲形状に形成され、
前記第1プレートおよび前記第2プレートは、前記第1屈伸機構における回転軸と前記第2屈伸機構における回転軸とが互いに平行である状態において、該第1アームに対し前記第2アームの伸張する方向が開放された形状をなす収容凹部を形成し、
前記収容凹部は、前記第2アームが前記第1アームに対して屈曲し、且つ第3アームが第2アームに対して前記第1アームとは反対側に屈曲する状態で、前記第2アーム、前記第1捻り機構、前記第2屈伸機構の各々の少なくとも一部を収容する
ことを特徴とするロボット。
【請求項2】
前記第2屈伸機構は、
前記第2アームに対して前記第3アームを屈曲させることにより、前記第1捻り機構の回転軸と前記第2捻り機構の回転軸とが平行な状態から該第2捻り機構の回転軸を少なくとも150°回転させる
請求項1に記載のロボット。
【請求項3】
前記第2プレートは、
前記第1アームに対し前記第2アームの伸張する方向に延びるプレートであり、
該第1アームに対し前記第2アームの屈曲する方向に窪んだ形状をなし、前記第2アームとの干渉を回避する逃げ部を有する
請求項1または2に記載のロボット。
【請求項4】
前記多関節アームを複数備えた請求項1〜3のいずれか一項に記載のロボット。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、複数の関節を有する多関節アームを備えたロボットに関する。
【背景技術】
【0002】
近年、製造業においては、多関節アームを備えたロボットを組立ラインに導入することによって、作業対象物に対して作業者によって行われていた作業を自動化する動きが活発になってきている。例えば特許文献1には、上記ロボットとして、基台に支持され該基台に対して回転可能な胴体の左右に、複数のアームが関節機構を介して連結された多関節アームを備えた双腕ロボットが開示されている。こうしたロボットは、該ロボットの作業領域に配置された作業対象物に対して、多関節アームの先端に取り付けられたエンドエフェクターに応じた作業を行う。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2007−118177号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、組立ラインにおいて作業者が行う作業の範囲とは、作業者から300mm以上も離れていないことが少なくない。そして、こうした作業がロボットでも頻繁に行われる以上、多関節アームでは、そのエンドエフェクターがロボット本体に近くなるように折り畳まれることも少なくない。一方、特許文献1に記載のロボットにてエンドエフェクターがロボット本体に近くなるためには、多関節アームにて、各関節機構がロボットの正面側で幾重にも重なる姿勢ではなく、各関節機構がロボット本体の側面側に張り出す姿勢が必要とされる。その結果、上述した動作がロボットにて行われる都度、多関節アームと外部との干渉を回避するために、ロボットの動作する空間をロボット本体の側方で大きくすることが余儀なくされている。
【0005】
本発明は、上記実情を鑑みてなされたものであり、その目的は、折り畳まれた多関節アームが占有する容積を縮小することの可能なロボットを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明のロボットは、基体に対して回転可能に基端部が連結される第1アームと、前記第1アームの先端部に第1屈伸機構を介して屈伸可能に基端部が連結される第2アームと、前記第2アームの先端部に第2屈伸機構を介して屈伸可能に基端部が連結される第3アームとを備えた多関節アームを有するロボットであって、前記第2アームは、該第2アームに対して前記第2屈伸機構を捻る第1捻り機構を有し、前記第3アームは、前記第2屈伸機構に連結される手首部材と、エンドエフェクターが装着されるハンドと、前記手首部材と前記ハンドとを連結し、前記ハンドを前記手首部材に対して回転させて前記ハンドを前記手首部材に対して捻る第2捻り機構とを有し、前記第2捻り機構における回転軸は、前記第1捻り機構における回転軸と平行であるときに当該回転軸に対してオフセットされた位置に配置され、前記第1アームは、該第1アームの延びる方向に延びる第1プレートおよび第2プレートを有し、前記第1プレートおよび前記第2プレートによって断面が屈曲形状に形成され、前記第1プレートおよび前記第2プレートは、前記第1屈伸機構における回転軸と前記第2屈伸機構における回転軸とが互いに平行である状態において、該第1アームに対し前記第2アームの伸張する方向が開放された形状をなす収容凹部を形成し、前記収容凹部は、前記第2アームが前記第1アームに対して屈曲し、且つ第3アームが第2アームに対して前記第1アームとは反対側に屈曲する状態で、前記第2アーム、前記第1捻り機構、前記第2屈伸機構の各々の少なくとも一部を収容する。
【0007】
本発明のロボットによれば、第1アームに対して第2アームが屈曲した状態で、第2アーム、第1捻り機構、第2屈伸機構の各々の少なくとも一部が第1アームの収容凹部に収容される。これにより、第2アーム、第1捻り機構、第2屈伸機構が占有する容積の一部と第1アームが占有する容積の一部とを重畳させることができる。その結果、第1アームが占有する容積と、第2アーム、第1捻り機構、第2屈伸機構の各々が占有する容積とが常に各別に設けられる構成のロボットに比べて、折り畳んだときに多関節アームが占有する容積を上記重畳させた容積の分だけ縮小することができる。また、第1アームの収容凹部に第2アーム等の一部が収容されることで第1アームに対する第2アームの回転範囲が拡大されるとともに、第1捻り機構の回転軸に対して第2捻り機構の回転軸がオフセットされていることで、こうしたオフセットが設けられていない構成に比べて、第2アームに対するエンドエフェクターの位置に関する自由度を向上させることができる。それゆえに、多関節アームが占有する容積を縮小させつつ、目標位置にエンドエフェクターを配置する際に多関節アームが取り得る姿勢の自由度を高めることができる。
【0008】
このロボットにおいて、前記第2屈伸機構は、前記第2アームに対して前記第3アームを屈曲させることにより、前記第1捻り機構の回転軸と前記第2捻り機構の回転軸とが平行な状態から該第2捻り機構の回転軸を少なくとも150°回転させる。
【0009】
このロボットによれば、第1捻り機構の回転軸と第2捻り機構の回転軸とが平行な状態から少なくとも150°回転することから、第2屈伸機構を用いて第2アームに対して第3アームを回転させることによりハンドの向きを第1捻り機構の回転軸に沿った方向においておおよそ反対にすることができる。その結果、特定の位置にハンドが配置されるときの多関節アームの姿勢の自由度をさらに向上させることができる。
【0010】
このロボットにおいて、前記第2プレートは、前記第1アームに対し前記第2アームの伸張する方向に延びるプレートであり、該第1アームに対し前記第2アームの屈曲する方向に窪んだ形状をなし、前記第2アームとの干渉を回避する逃げ部を有する。
【0011】
ここで、例えば第1アームを基端部から先端部にかけて直線状の部材で構成した場合、第1アームに第2アームが干渉してしまうことで、第1アームに対する第2アームの回転角度が制限されるばかりか、例えば第2屈伸機構を第1アームの収容凹部に収容するために第2アームの形状が複雑化する虞もある。この点、上記構成によれば、第2アームと第1アームとの干渉が逃げ部によって回避されることから、第1アームに対する第2アームの回転角度を拡大することができるとともに第2アームの形状が複雑化することを抑えることもできる。
【0012】
このロボットは、前記多関節アームを複数備えていてもよい。
【0013】
複数の多関節アームを備えたロボットにおいては、1つの多関節アームのみを動作させて作業を行うことも可能であり、その際には、他の多関節アームを動作中の多関節アームの動作範囲から待避させておく必要がある。上記構成によれば、上記他の多関節アームを折り畳むことで待避中の多関節アームが占有する容積が縮小されることから、動作中の多関節アームとの干渉を抑えられるとともに多関節アームの待避位置に関する自由度を向上させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
図1】本発明にかかる一実施形態のロボットの全体構造を示す斜視図。
図2】基本姿勢におけるロボットの側面構造を示す側面図。
図3】手首部材を折り畳んだときの多関節アームの側面構造を示す側面図。
図4】折り畳んだ多関節アームの側面構造を示す側面図。
図5】ロボットの正面図であって、ロボットの正面における手前側で下向きの作業するロボットを示した図。
【発明を実施するための形態】
【0015】
以下、本発明にかかるロボットの一実施の形態について、図1図5を参照して説明する。図1は、ロボットの全体構造を示す斜視図であって、ロボット20の基本姿勢を示した図である。
【0016】
図1に示されるように、ロボット20は、図示しない架台に固設された円筒状のベース部21を有している。ベース部21の上端には、図示しないサーボモーター等を有する関節機構22を介して、該ベース部21に対して回転軸C0を中心にして回転可能な胴体23が連結されている。胴体23には、その左右両側に、胴体23内に配設された図示しない関節機構を介して、回転軸C0に直交する回転軸C1を中心に胴体23に対して回転可能な左右一対の多関節アーム25が連結されている。以下、ロボット20が有する多関節アーム25の構成について説明するが、左右両側に連結された多関節アーム25は、胴体23を挟んでその構造が対称であるため、図1において紙面の手前側に配置される左側の多関節アーム25を説明し、紙面奥側に配置される右側の多関節アーム25についてはその説明を割愛する。
【0017】
図1及び図2に示されるように、胴体23には、上記回転軸C1を中心に該胴体23に対して回転可能な第1肩部材26の基端が、図示されない関節機構を介して連結されている。この関節機構は、回転軸C1を中心に第1肩部材26を回転させて胴体23と第1肩部材26との関節を捻る。
【0018】
第1肩部材26の先端には、回転軸C1に直交する回転軸C2を中心に第1肩部材26に対して回転可能な基体としての第2肩部材28が、関節機構27を介して連結されている。関節機構27は、回転軸C2を中心に第2肩部材28を回転させて第1肩部材26と第2肩部材28との関節を屈曲、及び伸張する。
【0019】
第2肩部材28には、回転軸C2に直交する回転軸C3を中心に第2肩部材28に対して回転可能な第1アームとしての上腕部材30が、関節機構29を介して連結されている。関節機構29は、回転軸C3を中心に上腕部材30を回転させて第2肩部材28と上腕部材30との関節を捻る。
【0020】
上腕部材30は、該上腕部材30の基端部31が関節機構29に連結され、該関節機構29から回転軸C3に沿って延びる長尺状に形成されている。上腕部材30は、ロボット20の後方に面する第1プレートである板状の後側プレート32と、該後側プレート32のベース部21側に連結されてベース部21に面する第2プレートである板状の内側プレート33とから構成されている。
【0021】
この上腕部材30は、回転軸C3と直交する断面が略L字状をなすかたちに形成されている。すなわち上腕部材30は、上腕部材30に対し第1前腕部材36の伸張する方向であって図2において後側プレート32に対する右側の領域が開放され、且つ図2において内側プレート33に対する紙面手前側の領域も開放されている。内側プレート33には、ロボット20の前側に位置する端辺をロボット20の後側に向けて窪ませた逃げ部33aがその長手方向の中央部分に形成されている。そして、上腕部材30には、該上腕部材30が占有する容積であって、これら後側プレート32及び内側プレート33によって収容凹部34が形成されている。
【0022】
上腕部材30の先端部には、回転軸C3に直交する回転軸C4を中心に上腕部材30に対して回転可能な第2アームとしての第1前腕部材36が、第1屈伸機構35を介して上腕部材30におけるベース部21側で連結されている。第1前腕部材36は、ロボット20の前側へ延びる長尺状をなしており、その基端部が第1屈伸機構35を介して上腕部材30の内側プレート33におけるベース部21側に連結されている。第1屈伸機構35は、回転軸C4を中心に第1前腕部材36を回転させて上腕部材30と第1前腕部材36との関節を屈曲、及び伸張する。第1前腕部材36は、回転軸C4を中心に上腕部材30に向けて回転させられると、その先端部36aが逃げ部33aによって形成された窪みに進入し、該先端部36aと上腕部材30の逃げ部33aとが係合する直前の位置まで回転する。
【0023】
第1前腕部材36の先端部36aには、回転軸C4に直交する回転軸C5を中心に第1前腕部材36に対して回転可能な第2前腕部材38が、第1捻り機構37を介して連結されている。第1捻り機構37は、第1前腕部材36を上腕部材30に向けて回転させたときに、上腕部材30の内側プレート33に干渉しないように設けられている。第2前腕部材38には、回転軸C5に直交する回転軸C6を中心に第2前腕部材38に対して回転可能な手首部材40が、第2屈伸機構39を介して連結されている。第2屈伸機構39は、回転軸C6を中心に手首部材40を回転させて第2前腕部材38と手首部材40との関節を屈曲、及び伸張する。
【0024】
手首部材40の先端部40aには、回転軸C6に直交する方向の回転軸C7を中心に手首部材40に対して回転可能な連結部材42が第2捻り機構41を介して連結されている。連結部材42にはハンド部43が固設されており、そのハンド部43には、ロボット20に実行させる作業に応じたエンドエフェクターが装着される。第2捻り機構41は、回転軸C7を中心に連結部材42を回転させることによって、手首部材40に対するハンド部43の捻り動作を実行する。
【0025】
また、手首部材40は、捻り動作を実行する第1及び第2捻り機構37,41の回転軸C5,C7が平行となるとき、これらの回転軸C5,C7が互いにオフセットされた位置に配置させるように形成されている。本実施形態では、回転軸C5を中心に手首部材40を下方に向けておおよそ180°回転させることによって、図4に示されるように、第1捻り機構37及び第2屈伸機構39の直下に第2捻り機構41及びハンド部43が配置可能となるように手首部材40が形成されている。
【0026】
ここで、オフセットが設けられていない構成、すなわち第1捻り機構37における回転軸C5と第2捻り機構41における回転軸C7とが平行な状態において該回転軸C5,C7が同一直線上に配置される構成においては、その平行な状態から回転軸C7を回転軸C5に対しておおよそ180°回転させようとすると途中で第1前腕部材36にハンド部43等が干渉してしまう。つまり、オフセットを設けることによって、第1捻り機構37の回転軸C5に対して第2捻り機構41の回転軸C7を平行な状態からおおよそ180°回転させることが可能になる。
【0027】
その結果、第1前腕部材36に対するハンド部43の相対位置に関する自由度を向上させることができる。言い換えれば、特定の位置にハンド部43を配置するうえで、第1前腕部材36の自由度が向上し、これにともなって多関節アーム25の姿勢の自由度が向上することになる。なお、本実施形態では、回転軸C7をおおよそ180°回転可能に構成されているが、少なくとも150°回転可能であれば上記した効果を得ることができる。
【0028】
すなわち、ロボット20では、基体である第2肩部材28に対して第1アームである上腕部材30が回転可能に連結されている。また、上腕部材30の先端部には、第1前腕部材36及び第2前腕部材38から構成される第2アームが屈伸可能に連結されている。そして、手首部材40、及びハンド部43から構成される第3アームが、第2屈伸機構39を介して屈伸可能に第1前腕部材36に連結されている。
【0029】
ところで、第1屈伸機構35は、回転軸C4を中心として第1前腕部材36を回転させることで、上腕部材30と第1前腕部材36との関節の屈伸動作を実行する。第1捻り機構37は、回転軸C5を中心として第2前腕部材38を回転させることで、第1前腕部材36と第2前腕部材38との関節を捻る。第2屈伸機構39は、回転軸C6を中心として手首部材40を回転させることで、第2前腕部材38と手首部材40との関節の屈伸動作を実行する。こうした構成の下では、回転軸C4と回転軸C6とは、その距離が常に一定に維持される。そして、基本姿勢にあるロボット20において、回転軸C4を中心に第1前腕部材36を上腕部材30に向けて回転させたときに、内側プレート33に干渉することなく上腕部材30の基端部31と第1屈伸機構35との間を通るように第2屈伸機構39が設けられている。
【0030】
次に、上述した構成のロボットシステムの作用として多関節アーム25が折り畳まれる際の動作について図3及び図4を参照して説明する。
【0031】
多関節アーム25が折り畳まれる際には、まず、基本姿勢にあるロボット20において、図3に示されるように、回転軸C6を中心に手首部材40が下方に向けて回転し、第1捻り機構37及び第2屈伸機構39の直下である屈曲位置に第2捻り機構41及びハンド部43が配置される。
【0032】
続いて、図4に示されるように、回転軸C4を中心に第1前腕部材36が上腕部材30に向けて回転する。第1前腕部材36が回転すると、該第1前腕部材36の先端部36aが逃げ部33aに進入し、これにともない、第1捻り機構37、及び第2屈伸機構39が、上腕部材30の収容凹部34に進入する。そして、第1前腕部材36の先端部36aと逃げ部33aとが係合する直前の位置まで、すなわち、第1前腕部材36と上腕部材30とのなす角度が最小となる屈曲位置まで第1前腕部材36が回転すると、第1捻り機構37及び第2屈伸機構39は、上腕部材30の収容凹部34に収容されて、上腕部材30の基端部31と該上腕部材30の先端部に設けられた第1屈伸機構35との間に配置される。
【0033】
しかも、第1捻り機構37の回転軸C5と第2捻り機構41の回転軸C7との間にオフセットが設けられていることで、ロボット20の正面における手前側においてハンド部43を下向きにする多関節アーム25の姿勢に関しその自由度が高められている。そのため、図5に示すように、ロボット20の正面における手前側で作業を実行する際には、多関節アーム25を折り畳んだ状態、すなわち上腕部材30の収容凹部34に第1前腕部材36等を収容した状態で作業を実行することができる。
【0034】
以上説明したように、本実施の形態に係るロボット20によれば、以下に列挙する効果を得ることができる。
【0035】
(1)上記実施形態によれば、多関節アーム25を折り畳んだときに、上腕部材30が占有する容積の一部と、第1前腕部材36、第1捻り機構37、第2屈伸機構39が占有する容積の一部とが重畳する。これにより、上腕部材30が占有する容積と、第1前腕部材36、第1捻り機構37、第2屈伸機構39が占有する容積とが常に各別に設けられている構成に比べて、多関節アーム25を折り畳んだときに該多関節アーム25が占有する容積を縮小することができる。
【0036】
(2)しかも、上腕部材30が占有する容積の一部と、第1前腕部材36、第1捻り機構37、第2屈伸機構39が占有する容積の一部とが重畳する分だけ、第1前腕部材36の回転範囲が拡大することから、その拡大された分だけ、例えば目標位置にエンドエフェクターを移動させる際の軌道や、多関節アーム25の姿勢に関する自由度を向上させることができる。
【0037】
(3)また、手首部材40は、第2捻り機構41の回転軸C7と第2屈伸機構39の回転軸C6とが互いにオフセットされた位置に配置されるように形成されている。こうした構成によれば、エンドエフェクターを目標位置に配置させる際に多関節アーム25の姿勢に関する自由度をさらに向上させることができる。
【0038】
(4)上記(1)〜(3)により、ロボット20においては、多関節アーム25が占有する容積を縮小しつつ、目標位置にエンドエフェクターを配置する際に多関節アーム25が取り得る姿勢の自由度を高めることができる。その結果、例えば、ロボット20の正面における手前側、ベース部21に近い領域で作業を行う際に多関節アーム25がロボット20の側方に大きく張り出してしまうことを抑制することができる。
【0039】
(5)上記実施形態の上腕部材30には、上腕部材30と第1前腕部材36とのなす角度が最小となる状態において、第1前腕部材36の先端部36aと上腕部材30との干渉を回避する逃げ部33aが設けられている。こうした構成によれば、上腕部材30の収容凹部34に第1捻り機構37を収容させつつ、第1前腕部材36の回転角度を拡大させることができるとともに第1捻り機構37を収容凹部34に収容させるために第1前腕部材36の形状が複雑化することを抑えることもできる。
【0040】
(6)上記実施形態のロボット20においては、一方の多関節アーム25のみを用いて作業を行うことも可能であり、その際には、他方の多関節アーム25を一方の多関節アーム25の動作範囲から待避させておく必要がある。
【0041】
上記構成によれば、折り畳まれた多関節アーム25が占有する容積が縮小されることから、待機中の多関節アームの待避位置に関する自由度を向上させることができる。
【0042】
なお、上記実施形態は、以下のように適宜変更して実施することも可能である。
【0043】
・上記実施形態のロボット20は、胴体23の左右両側に多関節アーム25を備えたロボットである。これに限らず、ロボットは、上述した構成の多関節アーム25を1つ備えたロボット、3つ以上備えたロボットに具体化してもよい。
【0044】
・上記実施形態の上腕部材30の内側プレート33には、上腕部材30と第1前腕部材36とのなす角度が最小となる状態において、第1前腕部材36の先端部36aと上腕部材30との干渉を回避する逃げ部33aが設けられている。これに限らず、第1捻り機構37を収容凹部34に収容させるうえでは、第1前腕部材36の形状を変更して内側プレート33から逃げ部33aが割愛されてもよい。
【0045】
・上記実施形態では、第1捻り機構37の回転軸C5と第2捻り機構41の回転軸C7は、これらの回転軸C5,C7が平行のとき互いにオフセットされた位置に配置されるが、これを変更して、回転軸C5,C7が同じの直線上に配置されるようにしてもよい。
【0046】
・多関節アームは、上腕部材30を用いて例示した第1アーム、第1前腕部材36及び第2前腕部材38を用いて例示した第2アーム、第2屈伸機構39、手首部材40及びハンド部43を用いて例示した第3アームを有していればよい。すなわち上記実施形態の構成を用いて例示すると、例えば、第2肩部材28及び関節機構29を割愛して、上腕部材30が第1肩部材26に関節機構27を介して連結される態様であってもよい。また例えば、第1肩部材26、第2肩部材28、関節機構27,29を割愛して、胴体23に上腕部材30が連結される態様であってもよい。また多関節アームの軸数も7軸に限られるものではなく、5軸以下であってもよいし、8軸以上であってもよい。
【0047】
・上記実施形態の上腕部材30は、後側プレート32と内側プレート33とによって断面L字状にすることによって収容凹部34を形成している。これに限らず、上腕部材30は、該上腕部材30の基端部31と先端部に設けられた第1屈伸機構35との間に、第1前腕部材36、第2前腕部材38、第2屈伸機構39の各々の一部が収容される凹部が形成されていればよく、その形状は断面L字状に限られるものではない。
【符号の説明】
【0048】
C0,C1,C2,C3,C4,C5,C6,C7…回転軸、20…ロボット、21…ベース部、22…関節機構、23…胴体、25…多関節アーム、26…第1肩部材、27…関節機構、28…第2肩部材、29…関節機構、30…上腕部材、31…基端部、32…後側プレート、33…内側プレート、33a…逃げ部、34…収容凹部、35…第1屈伸機構、36…第1前腕部材、36a…先端部、37…第1捻り機構、38…第2前腕部材、39…第2屈伸機構、40…手首部材、40a…先端部、41…第2捻り機構、42…連結部材、43…ハンド部、50…作業者。
図1
図2
図3
図4
図5