特許第5834635号(P5834635)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2015.5.11 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】5834635
(24)【登録日】2015年11月13日
(45)【発行日】2015年12月24日
(54)【発明の名称】自動車用エンジンの制御装置
(51)【国際特許分類】
   F02D 45/00 20060101AFI20151203BHJP
   F02D 9/02 20060101ALI20151203BHJP
   F02D 13/02 20060101ALI20151203BHJP
   F01M 13/00 20060101ALI20151203BHJP
   F02M 25/08 20060101ALI20151203BHJP
【FI】
   F02D45/00 312G
   F02D9/02 325Z
   F02D13/02 K
   F01M13/00 K
   F01M13/00 J
   F02M25/08 301L
【請求項の数】6
【全頁数】13
(21)【出願番号】特願2011-189393(P2011-189393)
(22)【出願日】2011年8月31日
(65)【公開番号】特開2013-50093(P2013-50093A)
(43)【公開日】2013年3月14日
【審査請求日】2014年3月26日
(73)【特許権者】
【識別番号】000003137
【氏名又は名称】マツダ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100067828
【弁理士】
【氏名又は名称】小谷 悦司
(74)【代理人】
【識別番号】100115381
【弁理士】
【氏名又は名称】小谷 昌崇
(74)【代理人】
【識別番号】100133916
【弁理士】
【氏名又は名称】佐藤 興
(72)【発明者】
【氏名】拜崎 幸雄
(72)【発明者】
【氏名】小森 賢
(72)【発明者】
【氏名】三吉 拓郎
(72)【発明者】
【氏名】寺岡 陽一
(72)【発明者】
【氏名】杉谷 洋祐
(72)【発明者】
【氏名】彌生 啓介
(72)【発明者】
【氏名】吉武 慎介
【審査官】 藤村 泰智
(56)【参考文献】
【文献】 特開平10−252629(JP,A)
【文献】 特開2004−339952(JP,A)
【文献】 特開2006−057529(JP,A)
【文献】 特開2004−176709(JP,A)
【文献】 特開2005−155507(JP,A)
【文献】 特開平10−213022(JP,A)
【文献】 特開2010−106661(JP,A)
【文献】 特開2007−270792(JP,A)
【文献】 特開2004−293381(JP,A)
【文献】 特開2003−120246(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F02D 41/00 〜 45/00
F02D 9/00 〜 9/02
F02D 13/00 〜 13/02
F01M 13/00
F02M 25/08
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
クラッチ付き変速機を備えるとともに、吸気経路のスロットルバルブ下流部に外部通路が接続された自動車用エンジンの制御装置において、
エンジンの燃焼停止後に上記クラッチが締結された状態でエンジンの逆回転が発生したか否かを判別する逆回転判別手段と、
該逆回転判別手段によりエンジンの逆回転が発生したと判別された場合に上記吸気経路内の圧力が上昇するのを抑制する圧力調整手段とを備え
エンジンのスロットルバルブが所定開度開いた状態から該スロットルバルブが閉作動されるアイドル運転への移行時に、スロットルバルブの開度を一時的にアイドル運転時の開度よりも低開度に設定して吸気の応答遅れを抑制する制御を上記圧力調整手段により実行するように構成されたことを特徴とする自動車用エンジンの制御装置。
【請求項2】
吸気経路内の圧力を検出する圧力検出手段を備えるとともに、エンジンの燃焼停止後に該圧力検出手段により検出された吸気経路内の圧力が予め設定された基準値以上であると判定された場合に、上記圧力調整手段により吸気経路内の圧力上昇を抑制するように構成したことを特徴とする請求項1に記載の自動車用エンジンの制御装置。
【請求項3】
上記圧力調整手段は、エンジンの燃焼停止後に逆回転判別手段によりエンジンの逆回転が発生したと判別された場合に、スロットルバルブの開度を増大することにより、吸気経路内の圧力を低下させるように構成されたことを特徴とする請求項1または2に記載の自動車用エンジンの制御装置。
【請求項4】
上記外部通路は、エンジン本体と上記吸気経路とを接続するPCV通路であって、該PCV通路には、エンジン本体側から上記吸気経路側への気体の流動を許容するとともに、その逆方向の流動を阻止するチェックバルブが設けられたことを特徴とする請求項1〜3のいずれか1項に記載の自動車用エンジンの制御装置。
【請求項5】
上記外部通路は、エンジン本体と上記吸気経路とを接続するパージ通路であって、該パージ通路を開閉するパージバルブを備えたことを特徴とする請求項1〜4のいずれか1項に記載の自動車用エンジンの制御装置。
【請求項6】
上記圧力調整手段は、エンジンの燃焼停止後に逆回転判別手段によりエンジンの逆回転が発生したと判別された場合に、吸気弁の開弁タイミングを吸気上死点よりも遅角側に変位させることにより、エンジンの燃焼停止後にエンジンが逆回転することによる吸気経路内の圧力上昇を抑制するように構成されたことを特徴とする請求項1〜5のいずれか1項に記載の自動車用エンジンの制御装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、クラッチ付き変速機を備えるとともに、吸気経路のスロットルバルブ下流部に外部通路が接続された自動車用エンジンの制御装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、下記特許文献1に示されるように、シリンダーヘッド上部のロッカーカバーの一側とエアインテークホースの間には空気流入管が連結されるとともに、前記ロッカーカバーの他側と吸気マニホールドの一側の間にはPCVバルブを備えたPCVホースが連結され、吸気マニホールドにはスロットルバルブが備えられ、エアダクト上には遮断バルブを設け、前記エアダクト上の一側及び前記エアインテークホース上の一側と各々吸入管を通じて吸入ポンプが連結され、前記吸入ポンプと連結されると同時に、前記エアインテークホースの他側と供給管を通じてガス捕集器が連結され、前記エアダクト及びエアインテークホースを各々連結する吸入管上に第1、第2デューティ制御バルブを各々設け、前記ガス捕集器とエアインテークホースの他側とを連結する供給管上に第3デューティ制御バルブを構成し、前記エアダクトの一側には第1圧力センサを設けるとともに、前記エアインテークホースの一側には第2圧力センサを設けてなる内燃機関のブローバイガス処理装置が知られている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2003−120246号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上記特許文献1に開示されているように、エンジンの燃焼室内に吸気を供給する吸気経路(吸気マニホールド)にPCVバルブを備えたPCVホースが連結されたエンジンでは、変速機のクラッチが締結された状態でエンジンの燃焼が停止した後にクランク軸が逆転駆動される現象が発生すると、燃焼室内に残留した排気ガスが吸気ポートから吸気経路に逆流することにより、吸気経路のスロットルバルブの下流側部における圧力が急上昇し、上記PCVホースと吸気経路との接続部に大きな圧力が作用して該PCVホースがエンジン本体から離脱する可能性があった。
【0005】
例えば、上り坂の走行状態でエンジンストップが発生し、自動車が坂道を自重に応じて後退した場合、あるいは下り坂でエンジンの作動を停止させた後、シフトレバーを誤って後退位置に設置した状態でブレーキを緩めることにより坂道に沿って車両を前進させる操作を行った場合等には、スロットルバルブの閉止状態かつ吸気弁の開放状態で、ピストンがクランクシャフトにより駆動されて上昇するに応じ、燃焼室内の排気ガスが吸気ポートから吸気経路に流入する。この結果、吸気経路内のスロットルバルブ下流側部における圧力が急上昇して、上記PCVホースからなる外部通路がエンジン本体から離脱するという事態が発生し、該PCVホースを利用したブローバイガスを還流して再燃焼させる機能が得られなくなるとともに、上記PCVホースの離脱部から吸気経路内に空気が流入することに起因して適正な吸気量制御を実行できなくなる等の問題があった。
【0006】
本発明は、上記の問題点に鑑みてなされたものであり、エンジンの燃焼停止後にエンジンが逆回転することに起因して、吸気経路のスロットルバルブ下流部に接続された外部通路が吸気経路から離脱するという事態の発生を簡単な構成で効果的に防止できる自動車用エンジンの制御装置を提供することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0007】
請求項1に係る発明は、クラッチ付き変速機を備えるとともに、吸気経路のスロットルバルブ下流部に外部通路が接続された自動車用エンジンの制御装置において、エンジンの燃焼停止後に上記クラッチが締結された状態でエンジンの逆回転が発生したか否かを判別する逆回転判別手段と、該逆回転判別手段によりエンジンの逆回転が発生したと判別された場合に上記吸気経路内の圧力が上昇するのを抑制する圧力調整手段とを備え、エンジンのスロットルバルブが所定開度開いた状態から該スロットルバルブが閉作動されるアイドル運転への移行時に、スロットルバルブの開度を一時的にアイドル運転時の開度よりも低開度に設定して吸気の応答遅れを抑制する制御を上記圧力調整手段により実行するように構成されたものである。
【0008】
請求項2に係る発明は、上記請求項1に記載の自動車用エンジンの制御装置において、吸気経路内の圧力を検出する圧力検出手段を備えるとともに、該圧力検出手段によりエンジンの燃焼停止後に吸気経路内の圧力が予め設定された基準値以上に上昇したことが検出された場合に、上記圧力調整手段により吸気経路内の圧力上昇を抑制するように構成したものである。
【0010】
請求項3に係る発明は、上記請求項1または2に記載の自動車用エンジンの制御装置において、エンジンの燃焼停止後に逆回転判別手段によりエンジンの逆回転が発生したと判別された場合に、上記圧力調整手段によってスロットルバルブの開度を増大させることにより、吸気経路内の圧力を低下させるように構成されたものである。
【0011】
請求項4に係る発明は、上記請求項1〜3のいずれか1項に記載の自動車用エンジンの制御装置において、上記外部通路が、エンジン本体と上記吸気経路とを接続するPCV通路であって、該PCV通路には、エンジン本体側から上記吸気経路側への気体の流動を許容するとともに、その逆方向の流動を阻止するチェックバルブが設けられたものである。
【0012】
請求項5に係る発明は、上記請求項1〜4のいずれか1項に記載の自動車用エンジンの制御装置において、上記外部通路が、エンジン本体と上記吸気経路とを接続するパージ通路であって、該パージ通路を開閉するパージバルブを備えたものである。
【0013】
請求項6に係る発明は、上記請求項1〜5のいずれか1項に記載の自動車用エンジンの制御装置において、エンジンの燃焼停止後に逆回転判別手段によりエンジンの逆回転が発生したと判別された場合に、上記圧力調整手段によって吸気弁の開弁開始タイミングを吸気上死点よりも遅角側に変位させることにより、エンジンの燃焼停止後にエンジンが逆回転することによる吸気経路内の圧力上昇を抑制するように構成されたものである。
【発明の効果】
【0014】
請求項1に係る発明では、エンジンの燃焼停止後に上記クラッチが締結された状態でエンジンの逆回転が発生したと判別された場合に、上記圧力調整手段により吸気経路内の圧力上昇を抑制する制御を実行するように構成したため、例えば上り坂の走行状態でエンジンストップが発生し、自動車が坂道を自重に応じて後退した場合等においても、多量の排気ガス等が上記スロットルバルブの下流側において吸気経路内に充満した状態となることによる圧力の急上昇を効果的に抑制し、エンジンの燃焼停止後に吸気経路内の圧力が急上昇することに起因して上記外部通路が吸気経路から離脱するという事態の発生を確実に防止できるという利点がある。
また、スロットルバルブが所定開度開いた状態から該スロットルバルブが閉作動されるアイドル運転状態にエンジンが移行した時に、スロットルバルブの開度を一時的にアイドル運転時の開度よりも低開度に設定して吸気の応答遅れを抑制する制御を上記圧力調整手段により実行するように構成したため、エンジンの燃焼停止時にスロットルバルブの開度が略0となって吸気経路が全閉状態となる等により、スロットルバルブの下流側における吸気経路内の圧力が急上昇し易い傾向があるが、このような場合に、上記圧力調整手段において吸気経路内の圧力上昇を抑制する制御を実行することにより、上記外部通路が吸気経路から離脱するのを効果的に防止できるという利点がある。
【0015】
請求項2に係る発明では、上記吸気経路内の圧力を検出する圧力検出手段を設けるとともに、該圧力検出手段によりエンジンの燃焼停止後に吸気経路内の圧力が予め設定された基準値以上に上昇したことが検出された場合に、上記圧力調整手段により吸気経路内の圧力上昇を抑制するように構成したため、エンジンが停止状態となる際にクランク軸が瞬間的に逆回転する現象が生じた場合等に、上記圧力調整手段により吸気経路内の圧力上昇を抑制する必要がないにも拘わらず、当該制御が実行されることを効果的に防止し、上記圧力調整手段により吸気経路内の圧力上昇を抑制する制御を必要時にのみ適正に実行することができる。
【0017】
請求項3に係る発明では、エンジンの燃焼停止後に逆回転判別手段によりエンジンの逆回転が発生したと判別された場合に、上記圧力調整手段によってスロットルバルブの開度を増大させることにより、吸気経路内の圧力を低下させるように構成したため、エンジンの燃焼停止後に上記クラッチが締結された状態でエンジンの逆回転が発生した場合に、吸気経路内に逆流した排気ガス等を上記スロットルバルブの上流側に流出させることができ、これによって吸気経路内に充満した状態となることによる圧力の急上昇を効果的に抑制できるという利点がある。
【0018】
請求項4に係る発明では、上記外部通路がエンジン本体と上記吸気経路とを接続するPCV通路であって、該PCV通路にはエンジン本体側から上記吸気経路側への気体の流動を許容するとともに、その逆方向の流動を阻止するチェックバルブが設けられているため、エンジンの燃焼停止後にエンジンの逆回転が発生して吸気経路内に流入することにより吸気経路の圧力が急上昇すると、該圧力が上記PCV通路と吸気経路との接続部に集中して作用して該吸気経路からPCV通路が離脱し易い傾向があるが、上記のようにエンジンの燃焼停止後に上記クラッチが締結された状態でエンジンの逆回転が発生した場合に、吸気経路内の圧力が上昇するのを抑制する制御を上記圧力調整手段において実行するように構成することにより、エンジンの燃焼停止後にエンジンが逆回転することに起因して、上記PCV通路が吸気経路から離脱するのを防止する効果が顕著に得られるという利点がある。
【0019】
請求項5に係る発明では、上記外部通路が、エンジン本体と上記吸気経路とを接続するパージ通路であって、該パージ通路を開閉するパージバルブが設けられているため、該パージバルブの閉止状態でエンジンの燃焼停止後にエンジンの逆回転が発生して吸気経路内に流入することにより吸気経路の圧力が急上昇すると、該圧力が上記パージ通路と吸気経路との接続部に集中して作用して該吸気経路からパージ通路が離脱し易い傾向があるが、上記のようにエンジンの燃焼停止後に上記クラッチが締結された状態でエンジンの逆回転が発生した場合に、吸気経路内の圧力が上昇するのを抑制する制御を上記圧力調整手段において実行するように構成することにより、エンジンの燃焼停止後にエンジンが逆回転することに起因して、上記パージ通路が吸気経路から離脱するのを防止する効果が顕著に得られるという利点がある。
【0020】
請求項6に係る発明では、エンジンの燃焼停止後に逆回転判別手段によりエンジンの逆回転が発生したと判別された場合に、上記圧力調整手段によって吸気弁の開弁タイミングを吸気上死点よりも遅角側に変位させることにより、エンジンの燃焼停止後にエンジンが逆回転することによる吸気経路内の圧力上昇を抑制するように構成したため、簡単な構成でエンジンの燃焼室から吸気経路内へ逆流する排気ガス量を上記通常時よりも低減して、吸気経路内に上記排気ガスが充満した状態となることに起因した圧力の急上昇を効果的に抑制できるという利点がある。
【図面の簡単な説明】
【0021】
図1】本発明に係る自動車用エンジンの制御装置の実施形態を示すブロック図である。
図2】クランク角センサの出力信号を示すタイムチャートである。
図3】上記自動車用エンジンの制御装置の制御動作を示すフローチャートである。
図4】吸排気弁の開放期間を示す特性図である。
【発明を実施するための形態】
【0022】
図1は、本発明の実施形態に係る自動車用エンジンの制御装置を示し、エンジン本体1の吸気ポートには吸気経路2が接続されるとともに、エンジン本体1の排気ポートには排気経路3が接続されている。上記エンジン本体1の吸気ポートには、動弁機構4により開閉駆動される吸気弁5が設けられ、かつ上記排気ポートには、動弁機構6により開閉駆動される排気弁7が設けられている。
【0023】
上記吸気経路2には、その上流側から順に、エアクリーナ8、エアフローメータ9、スロットルバルブ10およびサージタンク11が配設されている。該サージタンク11には、吸気圧力を検出する圧力検出手段12が設けられるとともに、クランクケース内のブローバイガスを吸気経路2に還流させるPCV(psitive crankcase ventilation)ホース14の下流端部が接続されている。該PCVホース14の上流端部とエンジン本体1の接続部には、クランクケース内のブローバイガスがPCVホース14側に流入するのを許容するとともに、その逆方向の流れを阻止するチェックバルブ15が設けられている。
【0024】
また、上記サージタンク11とスロットルバルブ10との間には、燃料タンク16内の蒸発燃料を吸気経路2内に供給するパージホース17の下流端部が接続されている。該パージホース17には、燃料タンク16内において発生した蒸発燃料を吸着するキャニスター18と、上記パージホース17を開閉するパージバルブ19とが設けられている。そして、該パージバルブ19を開放操作することにより、上記キャニスター18に吸着された蒸発燃料が上記パージホース17を介して吸気経路2内に供給されるようになっている。
【0025】
上記PCVホース14およびパージホース17からなる外部通路は、ゴムホース、プラスチックホースまたは金属管等からなり、その端部が吸気経路2に設けられた接続部14a,17aに止着具を介して係止される等により、それぞれ吸気経路2に接続された状態に保持されるようになっている。
【0026】
なお、図1において、符号20は、燃料タンク16内の燃料をエンジン本体1の燃焼室内に燃料を噴射する燃料噴射弁であり、符号21は、シリンダーヘッドカバー22内のブローバイガスを上記スロットルバルブ10の上流側部において吸気経路2に還流させるベンチレーションホースであり、符号23は、エンジンコントロールユニット24から出力される制御信号に応じてスロットルバルブ10を駆動するアクチュエータである。
【0027】
上記エンジンコントロールユニット24には、変速機(図示せず)に設けられたクラッチが締結状態にあるか否かを検出するクラッチ検出手段25およびクランク軸26の回転を検出する回転検出手段27から出力される検出信号等に応じ、エンジンの燃焼停止後に上記クラッチが締結された状態でエンジンの逆回転が発生したか否かを判別する逆回転判別手段28と、上記スロットルバルブ10を開閉駆動することにより吸気経路2内の圧力を調節する圧力調整手段29とが設けられている。
【0028】
上記回転検出手段27は、エンジン本体1のクランク軸26の回転角を検出する2つのクランク角センサ27a,27bを有し、一方のクランク角センサ27aから出力される検出信号に基づいてエンジンの回転速度を検出するとともに、上記両クランク角センサ27a,27bから出力される位相のずれた検出信号を上記逆回転判別手段28に出力するように構成されている。そして、該逆回転判別手段28により、上記両クランク角センサ27a,27bの出力信号に基づいて上記クランク軸26の回転方向が判別されるようになっている。
【0029】
図2は、クランク軸26の回転に応じて上記クランク角センサ27aから出力される第1クランク角信号CA1と、上記クランク角センサ27bから出力される第2クランク角信号CA2とを示している。エンジンの正転時には、図2(a)のように、第1クランク角信号CA1に対して第2クランク角信号CA2が半パルス幅程度の位相遅れを生じることにより、第1クランク角信号CA1の立ち上がり時に第2クランク角信号CA2がLow、第1クランク角信号CA1の立ち下がり時に第2クランク角信号CA2がHighとなる。一方、エンジンの逆転時には、図2(b)のように、第1クランク角信号CA1に対して第2クランク角信号CA2が半パルス幅程度の位相進みを生じることにより、エンジンの正転時とは逆に第1クランク角信号CA1の立ち上がり時に第2クランク角信号CA2がHigh、第1クランク角信号CA1の立ち下がり時に第2クランク角信号CA2がLowとなるため、上記逆回転判別手段28は、この差異を検出することにより、クランク軸26が正転状態にあるか、逆転状態にあるかを判定するように構成されている。
【0030】
上記圧力調整手段29は、エンジンの燃焼停止後に上記圧力検出手段12の出力信号に応じて吸気経路2内の圧力が予め設定された基準値、例えば大気圧よりも10Pa程度高い値に設定された基準値(=大気圧+10Pa)以上であると判定された場合に、スロットルバルブ10の開度を増大させる制御信号を上記アクチュエータ23に出力することにより、吸気経路2内の圧力を低下させるように構成されている。
【0031】
すなわち、エンジンの運転状態に応じて吸気量を増減させる際に、吸気の応答遅れを抑制することを目的として、上記圧力調整手段29によりスロットルバルブ10の開度を一時的に目標値よりも高い値または低い値に設定するように構成された自動車用エンジンの制御装置では、スロットルバルブ10が所定開度開いた状態から該スロットルバルブ10が閉作動されるアイドル運転状態にエンジンが移行した時に、スロットルバルブ10の開度が例えば3%に設定されたアイドル運転時の開度よりも低い値(例えば0%)に一時的に設定されることにより、スロットルバルブ10によって吸気経路2が全閉状態とされる。そして、例えば上り坂の走行状態でエンジンストップが発生し、自動車が自重に応じて坂道を後退する等により、駆動輪から変速機を介してエンジン本体1に伝達される駆動力に応じてクランク軸26が逆転駆動された場合には、エンジン本体1の燃焼室内に残留した排気ガスがピストンにより押し上げられて吸気ポートから吸気経路2に逆流することにより、該吸気経路2のスロットルバルブ10の下流側部における圧力が急上昇することが避けられない。
【0032】
したがって、エンジンの燃焼停止後に上記逆回転判別手段28においてエンジンの逆回転が発生したと判別され、かつ上記圧力検出手段12の出力信号に応じて吸気経路2内の圧力が予め設定された基準値以上であると圧力調整手段29により判定された場合に、該圧力調整手段29から上記アクチュエータ23にスロットルバルブ10の開度を増大させる制御信号を出力し、該スロットルバルブ10を閉止状態から開放状態に移行させることにより吸気経路2内の圧力を低下させる制御を実行するように構成されている。
【0033】
上記自動車用エンジンの制御装置において実行される制御動作を、図3に示すフローチャートに基づいて説明する。上記制御動作がスタートすると、エンジンストップが発生する等によりエンジンの燃焼が停止状態となったか否かを上記回転検出手段27の出力信号等に応じて判定する(ステップS1)。該ステップS1でYESと判定された場合には、上記クラッチ検出手段25の出力信号に応じて変速機のクラッチが締結状態にあるか否かを判定し(ステップS2)、NOと判定された場合には、そのままリターンする。
【0034】
上記ステップS2でYESと判定され、エンジンの燃焼停止後に上記クラッチが締結された状態にあると判定された場合には、上記回転検出手段27の出力信号に応じてエンジンの逆回転が発生したか否かを判定し(ステップS3)、NOと判定された場合には、そのままリターンする。
【0035】
上記ステップS3でYESと判定され、エンジンの燃焼停止後に上記クラッチが締結された状態でエンジンの逆回転が発生したことが確認された場合には、上記圧力検出手段12の出力信号に応じて吸気経路2内の圧力Qが、例えば大気圧よりも10Pa程度高い値に設定された基準値R以上に上昇したか否かを判定し(ステップS4)、NOと判定された場合には、下記ステップS7に移行して、エンジンの運転状態に応じてスロットルバルブ10の開度を調整する通常時の制御を実行する。
【0036】
上記ステップS4でYESと判定され、エンジンの燃焼停止後に上記クラッチが締結された状態でエンジンのクランク軸26が逆転駆動されることにより吸気経路2内の圧力Qが予め設定された基準値R以上に上昇したことが確認された場合には、スロットルバルブ10の開度を目標開度(例えば20%)に増大させる制御信号を出力する(ステップS5)。次いで、エンジンの燃焼が再開したか否かを判定し(ステップS6)、YESと判定された場合には、エンジンの運転状態に応じてスロットルバルブ10の開度を調整する通常制御を実行することにより(ステップS7)、上記ステップS5におけるスロットルバルブ開度の増大制御を終了する。
【0037】
上記ステップS6でNOと判定されてエンジンが再始動していないことが確認された場合には、上記回転検出手段27の出力信号に応じてエンジンの逆回転状態が継続しているか否かを判定する(ステップS8)。該ステップS8でYESと判定され、エンジンの燃焼停止後にクラッチが締結された状態でクランク軸26の逆回転状態が継続していることが確認された場合には、上記ステップS5に戻って上記制御動作を繰り返す。
【0038】
一方、上記ステップS8でNOと判定されてエンジンの逆回転状態が継続していないこと、つまりエンジンの回転が停止状態となり、あるいはエンジンが正転状態となったことが確認された場合には、上記ステップS7に移行し、エンジンの運転状態に応じてスロットルバルブ10の開度を調整する通常時の制御状態に移行した後にリターンする。
【0039】
上記のようにクラッチ付き変速機を備えるとともに、吸気経路2におけるスロットルバルブ10の下流部に、PCVホース14またはパージホース17からなる外部通路が接続された自動車用エンジンの制御装置において、エンジンの燃焼停止後に上記クラッチが締結された状態でエンジンの逆回転が発生したか否かを判別する逆回転判別手段28と、該逆回転判別手段28によりエンジンの逆回転が発生したと判別された場合に上記吸気経路2内の圧力が上昇するのを抑制する圧力調整手段29とを設けたため、エンジンの燃焼停止後にエンジンが逆回転されることにより上記外部通路が吸気経路2から離脱するという事態の発生を簡単な構成で効果的に防止できるという利点がある。
【0040】
すなわち、上記実施形態では、エンジンの燃焼停止後に上記クラッチが締結された状態で逆回転判別手段28によりエンジンの逆回転が発生したと判別された場合に、スロットルバルブ10の開度を増大させる制御を実行して、吸気経路2内に逆流した排気ガス等を上記スロットルバルブ10の上流側に流出させることにより、多量の排気ガス等が上記スロットルバルブ10の下流側において吸気経路2内に充満した状態となることによる圧力の上昇を抑制するように構成している。これにより、例えば上り坂の走行状態でエンジンストップが発生し、自動車が坂道を自重に応じて後退した場合、あるいは下り坂でエンジンの作動を停止させた後、シフトレバーを誤って後退位置に設置した状態でブレーキを緩めることにより坂道に沿って車両を前進させる操作を行った場合等においても、多量の排気ガス等が上記スロットルバルブ10の下流側において吸気経路2内に充満することに起因する圧力の急上昇を効果的に抑制することができる。
【0041】
したがって、エンジンの燃焼停止後に吸気経路2内の圧力が急上昇することに起因して、上記PCVホース14またはパージホース17からなる外部通路と吸気経路2とを接続する止着具による接続状態が解除され、上記吸気経路2の接続部14a,17aから上記PCVホース14またはパージホース17が離脱するという事態の発生を確実に防止することができる。このため、例えば上記PCVホース14を利用してブローバイガスを還流させる機能が得られなくなったり、上記PCVホース14が離脱した接続部14aから吸気経路2内に空気が流入することに起因して適正な吸気量制御を実行できなくなったりすることを防止できるという利点がある。
【0042】
また、上記実施形態では、吸気経路2内の圧力を検出する圧力検出手段12をサージタンク11に設け、エンジンの燃焼停止後に該圧力検出手段12により検出された吸気経路2内の圧力Qが予め設定された基準値R以上であると判定された場合に、上記圧力調整手段29による吸気経路2内の圧力上昇を抑制する制御を実行するように構成したため、エンジンの燃焼停止後に、上記吸気経路2内の圧力上昇を抑制する制御を必要に応じて適正に実行できるという利点がある。
【0043】
すなわち、エンジンが停止状態となる際にクランク軸26が瞬間的に逆回転する現象が生じるが、該瞬間的な逆回転に応じて吸気経路2内の圧力が急上昇する可能性は極めて低い。このため、上記実施形態では、逆回転判別手段28によりエンジンの逆回転現象が検出され、かつ上記圧力検出手段12により検出された吸気経路2内の圧力が予め設定された基準値以上であると判定された場合にのみ、上記圧力調整手段29によるスロットルバルブ開度の増大させるように構成し、これにより必要がないにも拘わらず上記吸気経路2内の圧力上昇を抑制する制御が実行されるという事態の発生を効果的に防止することができる。
【0044】
なお、エンジンの燃焼停止後に上記回転検出手段27から出力される検出信号に応じ、上記クラッチが締結された状態でエンジンの逆回転が発生したか否かを逆回転判別手段28おいて直接的に判別するように構成した上記実施形態に代え、エンジンの燃焼停止後に上記圧力検出手段12により検出された吸気経路2内の圧力が予め設定された基準値以上であるか否かを逆回転判別手段28おいて判定し、吸気経路2内の圧力が基準値以上であると判定された場合に、上記クラッチが締結された状態でエンジンが逆回転する現象が発生したと判別するように構成してもよい。
【0045】
また、上記実施形態では、エンジンの運転状態に応じて吸気量を減少させる際に、吸気の応答遅れを抑制することを目的として、スロットルバルブ10が所定開度開いた状態から該スロットルバルブ10が閉作動されるアイドル運転状態にエンジンが移行した時に、スロットルバルブ10の開度を例えば3%に設定されたアイドル運転時の開度よりも低い値(例えば0%)に一時的に設定する機能を上記圧力調整手段29が具備している。このため、エンジンの燃焼停止時には、スロットルバルブ10の開度が一時的に設定され、スロットルバルブ10により吸気経路2が全閉状態とされることに起因して吸気経路2内の圧力が急上昇し易い傾向があるが、このような場合に、上記圧力調整手段29において吸気経路2内の圧力を低下させる制御を実行することにより、上記PCVホース14またはパージホース17からなる外部通路が吸気経路2から離脱するのを効果的に防止できるという利点がある。
【0046】
また、上記実施形態に示すようにPCVホース14からなる外部通路とエンジン本体との接続部に、エンジン本体1側からPCVホース14への気体の流動を許容するとともに、その逆方向の流動を阻止するチェックバルブ15が設けられたエンジンでは、エンジンの燃焼停止後に吸気経路2内の圧力が急上昇した場合に、上記PCVホース14が接続された吸気経路2の接続部14aに上記圧力が集中して作用することにより、該吸気経路2からPCVホース14が離脱し易い傾向がある。したがって、上記のようにエンジンの燃焼停止後に上記クラッチが締結された状態でエンジンの逆回転が発生した場合に、吸気経路2内の圧力が上昇するのを抑制する制御を上記圧力調整手段29において実行するように構成することにより、エンジンの燃焼停止後にクランク軸26が逆回転駆動されることに起因して、上記PCVホース14からなる外部通路が吸気経路2に設けられた接続部14aから離脱するのを防止する効果が顕著に得られるという利点がある。
【0047】
一方、上記パージバルブ19を備えたパージホース17では、該パージバルブ19が閉止された状態で、エンジンの燃焼停止後に吸気経路2内の圧力が急上昇した場合に、該吸気経路2内のガスが上記パージホース17内に流入することにより、吸気経路2とパージホース17との接続状態を離脱させようとする圧力が作用するが、上記のようにエンジンの燃焼停止後に上記クラッチが締結された状態でエンジンの逆回転が発生した場合に、吸気経路2内の圧力を低下させる制御を上記圧力調整手段29において実行することにより、上記パージホース17からなる外部通路が吸気経路2に設けられた接続部17aから離脱するのを効果的に防止することができる。
【0048】
なお、上記実施形態では、エンジンの燃焼停止後に逆回転判別手段28によりエンジンの逆回転が発生したと判別された場合に、スロットルバルブ10の開度を、例えば0%から20%に増大することにより、吸気経路2内の圧力を低下させるように構成した例について説明したが、当該構成に代え、あるいは当該構成とともに、吸気弁5の開弁タイミングを吸気上死点(TDC)よりも進角側に変位させる制御を上記圧力調整手段29において実行することにより、エンジンの燃焼停止後にエンジンが逆回転することに起因した吸気経路2内の圧力上昇を抑制するように構成してもよい。
【0049】
例えば、上記吸気弁5の動弁機構4に、該吸気弁5の開弁期間を一定としつつ、その開閉時期を可変とする位相式バルブタイミング機構(VVT)が設けられたエンジンにおいて、通常時に図4の実線で示すように、吸気上死点TDCよりも所定角度だけ進角側に設定された吸気弁5の開弁タイミングIVOを、上記圧力調整手段29から動弁機構4に出力される制御信号に応じ、図4の破線で示すように、吸気上死点TDCよりも遅角側に変位させることにより、エンジンの燃焼停止後に上記クラッチが締結された状態でエンジンの逆回転が発生することに起因してエンジンの燃焼室から吸気経路2内へ多量の排気ガス量が逆流するのを防止することができる。
【0050】
すなわち、図4の実線で示すように、吸気弁5の開弁タイミングIVOが吸気上死点TDCよりも所定角度だけ進角側に設定された通常時の制御状態で、例えば上記吸気弁5の閉弁タイミングIVCの近傍等においてエンジンが停止した後に、エンジンのクランク軸26が逆転駆動されると、吸気弁5の開弁期間にピストンが上昇するのに応じてエンジンの燃焼室から吸気経路2内に排気ガスが逆流するとともに、該排気ガスの逆流量が最大となる吸気上死点TDCで吸気弁5が開放状態に保持されているため、多量の排気ガスが吸気経路2内に流入することになる。
【0051】
これに対して図4の実線で示すように、吸気弁5の開弁タイミングIVOを吸気上死点TDCよりも遅角側に変位させた場合には、エンジンの逆転に応じて上昇するピストンが吸気上死点TDCに到達する前に吸気弁5が閉止状態となるため、必ずしも上記スロットルバルブ10の開度を増大させる制御を実行することなく、簡単な構成でエンジンの燃焼室から吸気経路2内へ逆流する排気ガス量を上記通常時よりも低減して、吸気経路2内に上記排気ガスが充満した状態となることに起因した圧力の急上昇を効果的に抑制できるという利点がある。
【0052】
なお、上記のように吸気弁5の開弁期間を一定としつつ、その開閉時期を可変とする位相式バルブタイミング機構(VVT)を用いて吸気弁5の開弁タイミングを変化させるようにした上記実施形態に代え、例えばクランク軸26の回転に関係なく、モータ等の駆動手段によりバルブリフト量を変更するとともに、同時に吸気弁5の開閉時期を変更可能なバルブリフト機構CVVLを上記吸気弁5の動弁機構4に設け、該バルブリフト機構CVVLにより吸気弁5の開弁タイミングを吸気上死点TDCよりも進角側に変位させる制御を上記圧力調整手段29において実行するように構成してもよい。
【0053】
また、上記動弁機構4から吸気弁5に対する駆動力の伝達を遮断して吸気弁5を閉止状態に保持する駆動力遮断機構を設け、エンジンの燃焼停止後に上記クラッチが締結された状態で逆回転判別手段28によりエンジンの逆回転が発生したと判別された場合に、上記吸気弁5を閉止状態に保持する制御信号を上記圧力調整手段29から上記駆動力遮断機構に出力してエンジンの燃焼室から吸気経路2内に対する排気ガスの逆流を阻止することにより吸気経路内の圧力が上昇するのを抑制することも可能である。
【符号の説明】
【0054】
1 エンジン本体
2 吸気経路
3 吸気弁
10 スロットルバルブ
12 圧力検出手段
14 PCVホース(外部通路)
17 パージホース(外部通路)
15 チェックバルブ
28 逆回転判別手段
29 圧力調整手段
図1
図2
図3
図4