特許第5834651号(P5834651)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2015.5.11 β版

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  • 特許5834651-ギア付きシャフト 図000002
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】5834651
(24)【登録日】2015年11月13日
(45)【発行日】2015年12月24日
(54)【発明の名称】ギア付きシャフト
(51)【国際特許分類】
   F16C 35/073 20060101AFI20151203BHJP
【FI】
   F16C35/073
【請求項の数】3
【全頁数】9
(21)【出願番号】特願2011-195796(P2011-195796)
(22)【出願日】2011年9月8日
(65)【公開番号】特開2013-57359(P2013-57359A)
(43)【公開日】2013年3月28日
【審査請求日】2014年8月20日
(73)【特許権者】
【識別番号】000001247
【氏名又は名称】株式会社ジェイテクト
(74)【代理人】
【識別番号】110000394
【氏名又は名称】特許業務法人岡田国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】尾野 賢一
(72)【発明者】
【氏名】鈴木 章之
【審査官】 北中 忠
(56)【参考文献】
【文献】 特開2004−203212(JP,A)
【文献】 特開2008−057589(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F16D 1/00−9/00
F16H 1/00−55/30
F16C 19/00−19/56、33/30−33/66、
35/00−39/06、43/00−43/08
F16B 7/00−7/22
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
シャフトと、
前記シャフトの一方端から前記シャフトの軸方向に沿って嵌め込まれる貫通孔を有するギア部材と、
前記ギア部材が嵌め込まれたシャフトの一方端から前記軸方向に沿って嵌め込まれる軸受装置の内輪部材と、を備えたギア付きシャフトにおいて、
前記ギア部材は、外周面にギア歯を有するギア部と、前記ギア部の内径よりも小さな内径を有する軸受保持部と、を前記軸方向に沿って有しており、
前記シャフトにおける前記ギア部材が嵌め込まれる一方端である挿通部は、前記軸方向に沿って、前記ギア部が嵌め込まれて保持されるギア挿通部と、前記軸受保持部が嵌め込まれて保持される軸受挿通部と、嵌め込まれた前記ギア部材が一方端の側に抜けないように係止するギアロック部と、に形成され、前記軸受挿通部の外径は前記ギア挿通部の外径よりも小さな径に形成され、前記ギアロック部の外径は前記ギア部材の前記軸受保持部の内径よりも大きな径であり且つ前記ギア部の内径よりも小さな径に形成されており、
前記ギア部材における前記軸受保持部は、一方端の側が開口した円筒状に形成されているとともに前記軸方向に平行な複数のスリットによって複数に分割されて、前記軸受挿通部へ嵌め込まれる際には径方向に弾性変形可能とされており、前記軸受保持部が前記シャフトの前記軸受挿通部へ嵌め込まれた状態では前記軸受保持部の一方端は前記ギアロック部により係止された状態とされており、
前記内輪部材は、前記ギアロック部により係止された前記軸受保持部の一方側から前記軸受保持部の外周面に嵌め込まれている、
ギア付きシャフト。
【請求項2】
請求項1に記載のギア付きシャフトであって、
前記軸受挿通部の前記ギアロック部の側における前記軸方向の所定範囲には、前記ギアロック部に近づくにつれて徐々に前記軸受挿通部の外径が小さくなる傾斜部が形成されている、
ギア付きシャフト。
【請求項3】
請求項1または2に記載のギア付きシャフトであって、
前記ギアロック部の外周面における一方端の側であって一方端に向かって外径が徐々に小さくなる外周テーパ面、
あるいは、前記軸受保持部の内周面における他方端の側であって他方端に向かって内径が徐々に大きくなる内周テーパ面、
の少なくとも一方のテーパ面が形成されている、
ギア付きシャフト。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、回転駆動源からの回転動力を、複数のギア等を介して出力軸に伝達するギア付きシャフトに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、例えば無段変速機を内部に備えた車両のトランスミッションでは、エンジン(回転駆動源)の回転動力を、出力軸である車軸に、減速用ギアを介して伝達している。
例えば図3に示す従来のトランスミッションの例では、回転駆動源からの回転動力はシャフト210(入力軸)に取り付けられた入力ギア歯222Aから第2ギア歯122Aに伝達され、更に第2ギア歯122Aと一体となって回転する第1ギア歯111Aからシャフト310(出力軸)の出力ギア歯311Aに伝達される。
図3の例では、第1ギア歯111Aを有する第1ギアはシャフト110に形成されており、第2ギア歯122Aを有する第2ギアはシャフト110の一方端から軸方向に(スプライン嵌合にて)嵌め込まれている。更にシャフト110の一方端から軸受装置130が嵌め込まれた後、シャフト110の一方端の端部にナットNTが締め付けられ、嵌め込まれた第2ギア(第2ギア歯122Aを有するギア)と軸受装置130が抜けないように固定している。
なお、第1ギア歯111A及び第2ギア歯122Aは周知のように傾斜した形状に設定されており、エンジンの側(シャフト210の側)から車輪の側(シャフト310の側)に回転動力を伝達する場合は第1ギアと第2ギアが互いに近接する方向のスラスト荷重を受けるように設定されている。しかし、エンジンブレーキ利用時等、車輪の側からエンジンの側に回転動力を伝達する状態となった場合は、前記ギア歯の傾斜によって第1ギアと第2ギアが互いに離間する方向のスラスト荷重を受けるため、ナットNTを用いて第2ギアが抜けないように固定する必要がある(ナットNTで固定しないと軸受装置130、140へのスラスト荷重の負荷により、軸受装置130、140の寿命が短くなる可能性がある)。
【0003】
例えば特許文献1に記載された従来技術では、特許文献1の図12において、第2軸心CL2回りに回転する軸の右端部に、ギアや軸受装置等の抜けを防止するナットが締め付けられている。
また例えば特許文献2に記載された従来技術では、シャフトに嵌め込んだ軸受装置が抜けることを防止する構造が開示されており、シャフトに嵌め込む軸受装置と、シャフトに嵌め込む円筒状の歯部材と、前記歯部材の外周を覆う円筒状の締め付け部材(ナットに相当)と、を有している。軸受装置の内輪は軸方向に延長されて当該延長部の外周面にはねじ溝が形成されている。そして締め付け部材の内周面には前記延長部のねじ溝に対応するねじ溝が形成されている。また歯部材の一方端にはスリットが形成されて縮径可能に構成されている。そして軸受装置に隣接させて歯部材を嵌め込み、歯部材を覆うように締め付け部材を取り付け、締め付け部材をねじ込んで歯部材に内径方向の荷重を付与して縮径させてシャフトに食い込ませている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2007−1483号公報
【特許文献2】特開2009−138765号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
特許文献1及び特許文献2に記載された従来技術では、嵌め込んだギアや軸受装置が抜けないようにするためのナット(締め付け部材)を必要としているので、ナットの締め付け作業が必要であり、非常に手間がかかる。
本発明は、このような点に鑑みて創案されたものであり、シャフトの一方端の側から嵌め込んだギア及び軸受装置が抜けることを防止するナットが不要な構造にするとともに、より効率良く組み付けることができるギア付きシャフトを提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記課題を解決するため、本発明に係るギア付きシャフトは次の手段をとる。
まず、本発明の第1の発明は、シャフトと、前記シャフトの一方端から前記シャフトの軸方向に沿って嵌め込まれる貫通孔を有するギア部材と、前記ギア部材が嵌め込まれたシャフトの一方端から前記軸方向に沿って嵌め込まれる軸受装置の内輪部材と、を備えたギア付きシャフトである。
前記ギア部材は、外周面にギア歯を有するギア部と、前記ギア部の内径よりも小さな内径を有する軸受保持部と、を前記軸方向に沿って有している。
また、前記シャフトにおける前記ギア部材が嵌め込まれる一方端である挿通部は、前記軸方向に沿って、前記ギア部が嵌め込まれて保持されるギア挿通部と、前記軸受保持部が嵌め込まれて保持される軸受挿通部と、嵌め込まれた前記ギア部材が一方端の側に抜けないように係止するギアロック部と、に形成され、前記軸受挿通部の外径は前記ギア挿通部の外径よりも小さな径に形成され、前記ギアロック部の外径は前記ギア部材の前記軸受保持部の内径よりも大きな径であり且つ前記ギア部の内径よりも小さな径に形成されている。
また、前記ギア部材における前記軸受保持部は、一方端の側が開口した円筒状に形成されているとともに前記軸方向に平行な複数のスリットによって複数に分割されて、前記軸受挿通部へ嵌め込まれる際には径方向に弾性変形可能とされており、前記軸受保持部が前記シャフトの前記軸受挿通部へ嵌め込まれた状態では前記軸受保持部の一方端は前記ギアロック部により係止された状態とされている。
そして、前記内輪部材は、前記ギアロック部により係止された前記軸受保持部の一方側から前記軸受保持部の外周面に嵌め込まれている。

【0007】
この第1の発明によれば、シャフトの一方端からギア部材の嵌め込みを開始すると、ギアロック部の外周面にて、スリットが形成された軸受保持部を拡径する。そして軸受保持部がギアロック部を通過すると、拡径した軸受保持部が復元し、ギアロック部を係止する。そして軸受保持部の外周に内輪部材を嵌め込む。
このため、ナットが不要な構造であるとともに、手間無く、効率良く組み付けることができる。また、軸受保持部の外周に内輪部材を嵌め込むことで、軸受保持部が拡径することを防止し、より確実に、ギア部材がギアロック部の側に抜けることを防止することができる。
【0008】
次に、本発明の第2の発明は、上記第1の発明に係るギア付きシャフトであって、前記軸受挿通部の前記ギアロック部の側における前記軸方向の所定範囲には、前記ギアロック部に近づくにつれて徐々に前記軸受挿通部の外径が小さくなる傾斜部が形成されている。
【0009】
この第2の発明によれば、軸受保持部におけるギアロック部に対向する端面と、ギアロック部における軸受保持部に対向する端面と、をより確実に接触させて、より確実にギアロック部を軸受保持部に係止させることができる。
【0010】
次に、本発明の第3の発明は、上記第1または第2の発明に係るギア付きシャフトであって、前記ギアロック部の外周面における一方端の側であって一方端に向かって外径が徐々に小さくなる外周テーパ面、あるいは、前記軸受保持部の内周面における他方端の側であって他方端に向かって内径が徐々に大きくなる内周テーパ面、の少なくとも一方のテーパ面が形成されている。
【0011】
この第3の発明によれば、外周テーパ面及び内周テーパ面の少なくとも一方のテーパ面に沿って、軸受保持部をより容易にシャフトに嵌め込むことが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
図1】(A)は第1ギア部11が形成されているシャフト10、第2ギア部21が形成されているギア部材20、内輪部材31を有する軸受装置30、の概略形状を説明する斜視図であり、(B)はシャフト10の断面図であり、(C)はギア部材20の断面図である。
図2】(A)はシャフト10の一方端からギア部材20を嵌め込む様子を説明する断面図であり、(B)はギア部材20を嵌め込んだシャフト10の一方端から軸受装置30(内輪部材31)を嵌め込む様子を説明する断面図であり、(C)はシャフト10にギア部材20と軸受装置30(内輪部材31)を嵌め込んだギア付きシャフト1を説明する断面図である。
図3】従来のトランスミッションにおいて、第1ギア歯111Aを有する第1ギアが形成されたシャフト110、第2ギア歯122Aを有する第2ギア、軸受装置130、140、ナットNTの組み付け状態を説明する図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下に本発明を実施するための形態を図面を用いて説明する。
●[ギア付きシャフト1の全体構成(図1)]
本発明のギア付きシャフト1は、図1(A)の斜視図に示すように、シャフト10、ギア部材20、軸受装置30にて構成されている。なお、図1(B)はシャフト10における回転軸ZS方向に沿った断面図を示しており、図1(C)はギア部材20における回転軸ZS方向に沿った断面図を示している。
なお、軸受装置30の代わりに軸受装置30の内輪部材31のみが嵌め込まれたギア付きシャフト1としても良い。この場合、ギア付きシャフト1をトランスミッション等に組み込む際、ギア付きシャフト1に転動体33と外輪部材32を組み付けてトランスミッション等に組み込む。
【0014】
シャフト10については、図1(A)及び(B)に示すように、回転軸ZS方向における一方端の側にはギア部材20が嵌め込まれる挿通部12が形成されており、回転軸ZS方向における他方端の側には、第1外径の第1ギア歯11Aを有する第1ギア部11が形成されている。
挿通部12は、回転軸ZS方向に沿って、ギア部材20の第2ギア部21(ギア部に相当)が嵌め込まれて保持されるギア挿通部12Aと、ギア部材20の軸受保持部22が嵌め込まれて保持される軸受挿通部12Bと、シャフト10に嵌め込まれたギア部材20が一方端の側に抜けないように係止するギアロック部12Cと、を有している。
ギア部20については、図1(A)及び(C)に示すように、シャフト10に嵌め込まれる貫通孔が形成されており、他方端の側には第1外径とは異なる第2外径の第2ギア歯21A(ギア歯に相当)を有する第2ギア部21が形成されている。また、ギア部20の一方端の側には、軸受挿通部12Bに保持される略円筒状の軸受保持部22が形成されている。
【0015】
また、シャフト10におけるギア挿通部12Aの外周面には、第2ギア部21の内周面とスプライン嵌合するための溝が形成されている。また第2ギア部21の内周面にも、同様にスプライン嵌合するための溝が形成されている。これにより、シャフト10の第1ギア部11と、ギア部材20の第2ギア部21と、が一体となって滑ることなく回転する。
そしてギア挿通部12Aの外径φA1は、第2ギア部21の内径φA2に対応する径に設定されており、軸受挿通部12Bの外径φB1は、軸受保持部22の内径φB2に対応する径に設定されている。そして、ギア挿通部12Aの外径φA1>ギアロック部12Cの外径φC1>軸受挿通部12Bの外径φB1に設定されており、第2ギア部21の内径φA2>ギアロック部12Cの外径φC1>軸受保持部22の内径φB2に設定されている。
そしてギア部材20における軸受保持部22は、一方端の側が開口した円筒状に形成され、回転軸ZS方向に平行な複数のスリット22Sが形成されて複数に分割され、弾性力を有する材質にて形成されている。この構成により、軸受保持部22は、拡径および縮径が可能である。
【0016】
また、ギア挿通部12Aにおける回転軸ZS方向の長さは、第2ギア部21における回転軸ZS方向の長さと同等であり、軸受挿通部12Bにおける回転軸ZS方向の長さは、軸受保持部22における回転軸ZS方向の長さと同等である。そして、「ギア挿通部12Aの回転軸ZS方向の長さ+軸受挿通部12Bの回転軸ZS方向の長さ」は、「第2ギア部21の回転軸ZS方向の長さ+軸受保持部22の回転軸ZS方向の長さ」とほぼ同等に設定されている。
また、図1(B)に示すように、軸受挿通部12Bにおけるギアロック部12Cの側(軸受挿通部12Bにおける一方端の側)の回転軸ZS方向の所定範囲12Hには、ギアロック部12Cに近づくにつれて徐々に軸受挿通部12Bの外径が小さくなる傾斜部12Lが形成されている。
また、図1(B)に示すように、ギアロック部12Cの外周面における一方端の側には、ギアロック部材12Cの外径が一方端に向かって徐々に小さくなる外周テーパ面12Mが形成されている。
また、図1(C)に示すように、軸受保持部22の内周面における他方端の側には、軸受保持部22の内径が他方端に向かって徐々に大きくなる内周テーパ面22Mが形成されている。
なお、本実施の形態の説明では、外周テーパ面12Mと内周テーパ面22Mの双方のテーパ面が形成された例を説明するが、外周テーパ面12Mと内周テーパ面22Mは、少なくとも一方のテーパ面が形成されていれば良い。
【0017】
●[ギア付きシャフト1の組み付け手順(図2)]
次に図2(A)〜(C)を用いて、シャフト10に、ギア部材20と軸受装置30とを組み付けてギア付きシャフト1を製造する手順の例を説明する。なお図2(A)〜(C)は回転軸ZS方向に沿った断面図を示している。
また、ギア付きシャフト1において、シャフト10の他方端に嵌め込まれている軸受装置40は省略しても良い。また、シャフト10の一方端には、軸受装置30を嵌め込む代わりに軸受装置30の内輪部材31のみを嵌め込むようにしても良い。図2(A)〜(C)の例では、軸受装置40をシャフト10の他方端に嵌め込み、シャフト10の一方端に軸受装置30を嵌め込んだギア付きシャフト1を例として説明する。
なお図2(A)〜(C)の例では、図2(A)にてシャフト10の他方端に軸受装置40が圧入されている例を記載しているが、軸受装置40は図2(A)〜(C)のいずれのステップで圧入されても良い。
【0018】
最初のステップでは、図2(A)に示すように、他方端の側に軸受装置40が嵌め込まれたシャフト10の一方端の側からギア部材20を嵌め込む。
シャフト10へのギア部材20の嵌め込みが開始されると、まず第2ギア部21がギアロック部12Cを通過する(内径φA2>外径φC1より)。そして軸受保持部22がギアロック部12Cに達すると、ギアロック部材12Cの外周テーパ面12Mと、軸受保持部22の内周テーパ面22が接触し(内径φB2<外径φC1より)、スリット22Sが形成されている軸受保持部22が弾性力にて外径方向に拡径する。そして軸受保持部22がギアロック部12Cを通過すると、軸受保持部22が拡径した状態から弾性力にて復元し、軸受保持部22の一方端にギアロック部材12Cが係止される。
【0019】
次のステップでは、図2(B)に示すように、ギアロック部材12Cを係止した軸受保持部22の一方端の側から、軸受装置30(または内輪部材31)を、軸受保持部22の外周面に嵌め込む。軸受装置30の内輪部材31の内径φD3は、軸受保持部22の対応個所の外径φD2(図1(C)参照)に対応する径に設定されている。軸受装置30(または内輪部材31)を軸受保持部22の外周面に嵌め込むことで、軸受保持部22が弾性力にて拡径してギアロック部12Cの係止状態が解除されることを適切に防止することができる。
【0020】
なお、図2(C)は、組み付けが終わったギア付きシャフト1を示している。
図2(C)及び図1(B)に示すように、軸受保持部22の一方端の側における回転軸ZS方向の所定範囲12Hには、ギアロック部12Cに近づくにつれて徐々に軸受挿通部12Bの外径が小さくなる傾斜部12Lが形成されて隙間12Kが形成されている。
この隙間12Kにより、図2(C)の拡大図に示すように、軸受保持部22のコーナ部22Rの半径のほうが、ギアロック部12Cと軸受挿通部12Bとの境界部のコーナ部12Rの半径よりも大きい、等の場合であっても、軸受保持部22の軸受保持部端面22Nと、ギアロック部12Cの係止端面12Nと、をより確実に接触させることができる。なお、軸受保持部端面22Nは軸受保持部22における回転軸ZSに直交する面であってギアロック部12Cに対向する面であり、係止端面12Nはギアロック部12Cにおける回転軸ZSに直交する面であって軸受保持部22に対向する面である。
これにより、より確実にギアロック部12Cを軸受保持部22に係止させることができる。なお、軸受保持部22とギアロック部12Cとの接触面の径方向の長さΔLが1[mm]以上であることが好ましく、隙間12Kを形成することで、確実にこの長さを確保することが可能であり、より確実にギアロック部12Cを係止できる。
また、外周テーパ面12Mまたは内周テーパ面22Mの少なくとも一方を形成することで、当該テーパ面に沿って、軸受保持部22をより容易にシャフト10に嵌め込むことができる。
【0021】
以上、本実施の形態にて説明したギア付きシャフト1は、ナットのネジ溝及びナットが不要であるので、ナットの締め付け作業が不要であり、ギア部20と軸受装置30(または内輪部材31)を嵌め込むだけでよいので、組み付け作業が容易であり、且つ作業時間を短縮化することができる。
また、第1ギア部11と第2ギア部21を互いに離間する方向のスラスト荷重が発生しても、当該スラスト荷重を、軸受装置30、40にて受けることなく、軸受保持部22にて係止したギアロック部12Cにて受けることができる。これにより、軸受装置30、40の寿命の低下を適切に防止することができる。
【0022】
本発明のギア付きシャフト1は、本実施の形態で説明した外観、構成、構造、形状等に限定されず、本発明の要旨を変更しない範囲で種々の変更、追加、削除が可能である。
本発明のギア付きシャフト1は、車両のトランスミッションに限定されず、回転駆動源からの回転動力を出力軸に伝達する種々のギア付きシャフトに適用することができる。
また本実施の形態の説明では、軸受装置30、40の例として、円錐ころと外輪部材と内輪部材とを備えた円錐ころ軸受を記載したが、円錐ころを有する転がり軸受に限定されず、円環状の内輪部材を有する軸受装置であれば良い。
また本実施の形態の説明では、4本のスリット22Sにて軸受保持部22を4個に分割する例を示したが、4個に限定されず、2個以上に分割されていれば良い。
また本実施の形態の説明では、隙間12K、外周テーパ面12M、内周テーパ面22Mを形成した例を説明したが、これらは省略しても良い。
【符号の説明】
【0023】
1 ギア付きシャフト
10 シャフト
11 第1ギア部
11A 第1ギア歯
12 挿通部
12A ギア挿通部
12B 軸受挿通部
12C ギアロック部
12H 所定範囲
12L 傾斜部
12K 隙間
12M 外周テーパ面
20 ギア部材
21 第2ギア部(ギア部)
21A 第2ギア歯(ギア歯)
22 軸受保持部
22M 内周テーパ面
22S スリット
30、40 軸受装置
31 内輪部材
32 外輪部材
33 転動体
図1
図2
図3