(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
赤外領域に光吸収ピークを有する赤外線吸収剤、及び発色状態において可視領域に光吸収ピークを有し且つ物理的処理又は化学的処理により消色する消色性組成物を含む画像形成材料を用いて画像保持媒体上に形成された潜像画像と当該潜像画像に重畳された可視画像のうち可視画像を読み取って検査画像情報を取得する取得手段と、
前記取得手段が前記検査画像情報を取得した後に、前記画像保持媒体上に前記赤外線吸収剤による潜像画像を残し、前記画像保持媒体上の前記消色性組成物による可視画像を物理的処理又は化学的処理により消色する消色手段と、
を含む画像検査装置。
赤外領域に光吸収ピークを有する赤外線吸収剤、及び発色状態において可視領域に光吸収ピークを有し且つ物理的処理又は化学的処理により消色する消色性組成物を含む画像形成材料を用いて画像保持媒体上に形成された潜像画像と当該潜像画像に重畳された可視画像のうち可視画像を読み取って第1の検査画像情報を取得する第1の取得手段と、
前記第1の取得手段が前記第1の検査画像情報を取得した後に、前記画像保持媒体上に前記赤外線吸収剤による潜像画像を残し、前記画像保持媒体上の前記消色性組成物による可視画像を物理的処理又は化学的処理により消色する消色手段と、
消色後の画像保持媒体上の前記潜像画像を読み取って第2の検査画像情報を取得する第2の取得手段と、
を含む画像検査装置。
赤外領域に光吸収ピークを有する赤外線吸収剤、及び発色状態において可視領域に光吸収ピークを有し且つ物理的処理又は化学的処理により消色する消色性組成物を含む画像形成材料を用いて、画像保持媒体上に潜像画像と当該潜像画像に重畳された可視画像を形成する画像形成手段と、
前記画像形成手段により前記画像保持媒体上に形成された前記可視画像を読み取って検査画像情報を取得する取得手段と、
前記取得手段が前記検査画像情報を取得した後に、前記画像保持媒体上に前記赤外線吸収剤による潜像画像を残し、前記画像保持媒体上の前記消色性組成物による可視画像を物理的処理又は化学的処理により消色する消色手段と、
を含む画像形成装置。
赤外領域に光吸収ピークを有する赤外線吸収剤、及び発色状態において可視領域に光吸収ピークを有し且つ物理的処理又は化学的処理により消色する消色性組成物を含む画像形成材料を用いて、画像保持媒体上に潜像画像と当該潜像画像に重畳された可視画像を形成する画像形成手段と、
前記画像形成手段により前記画像保持媒体上に形成された前記可視画像を読み取って第1の検査画像情報を取得する第1の取得手段と、
前記取得手段が前記第1の検査画像情報を取得した後に、前記画像保持媒体上に前記赤外線吸収剤による潜像画像を残し、前記画像保持媒体上の前記消色性組成物による可視画像を物理的処理又は化学的処理により消色する消色手段と、
消色後の画像保持媒体上の前記潜像画像を読み取って第2の検査画像情報を取得する第2の取得手段と、
を含む画像形成装置。
【発明を実施するための形態】
【0034】
以下、図面を参照して本発明の実施の形態の一例を詳細に説明する。
【0035】
<画像保持媒体>
まず、本実施の形態に係る画像保持媒体について説明する。
本実施の形態に係る画像保持媒体は、画像検査時には、媒体上に可視画像と潜像画像とが重畳された重畳画像を保持している。換言すれば、重畳画像は、可視である以外は、潜像画像と同じ画像である。ここで「潜像画像」とは、通常の画像形成材料(CMYK各色トナーなど)で作成した画像に比べて、自然光又は白色光の下では肉眼により視認することが困難であり、赤外線を照射して反射された赤外線を検出することにより読み取られる画像である。
【0036】
本実施の形態では、画像検査時には、媒体上に保持された重畳画像が可視画像として読み取られる。重畳画像は、画像検査後に消色されて潜像画像とされる。従って、本実施の形態に係る画像保持媒体は、消色処理後には、媒体上に潜像画像を保持している。この変色機能を発揮する重畳画像の形成には、赤外領域に光吸収ピークを有する赤外線吸収剤、及び発色状態において可視領域に光吸収ピークを有し且つ物理的処理又は化学的処理により消色する消色性組成物を含む画像形成材料が用いられる。なお、本実施の形態に係る画像形成材料の詳細については後述する。
【0037】
画像保持媒体は、画像形成材料により画像が形成され、形成された画像が保持される媒体である。肉眼により視認することが困難な潜像画像を形成するためには、潜像画像と画像保持媒体との色差ΔEを6未満とする等、画像形成材料に応じて画像保持媒体を選択すればよい。或いは、画像保持媒体に応じて画像形成材料を調整すればよい。画像保持媒体としては、一般に、白色用紙、再生紙等のシート状の紙媒体や、高分子フィルム等のシート状の樹脂媒体が用いられる。色差ΔEとは、CIE1976L*a*b*表色系において、L*、a*、b*の各値を用いて表される色差である。
【0038】
潜像画像は、文字、符号、図形等、任意の種類の画像としてもよい。潜像画像は、バーコード等の一次元コード、QRコードやグリフコード等の複数の画素(ドット)で表された二次元コード等、符号化された情報を含んでいてもよい。符号化された情報は、潜像画像を読み取って復号(デコード)される。例えば、各符号の位置座標を表す位置情報、画像保持媒体を識別する識別情報等が符号化されて、潜像画像に埋め込まれていてもよい。また、潜像画像は、画像保持媒体の片面又は両面、平面視した場合の全領域又は一部の領域等、画像保持媒体の任意の位置に保持されていてもよい。例えば、画像保持媒体の片面の全領域に、予め定めた情報を表す二次元コードを複数配置してもよい。
【0039】
図1(A)〜(C)は潜像画像又は重畳画像を保持する画像保持媒体の一例を示す模式図である。本実施の形態に係る画像形成材料には、発色状態において可視領域に光吸収ピークを有する消色性組成物が含まれており、画像形成時には消色性組成物は発色状態にある。即ち、消色性組成物により可視画像が形成される。また、本実施の形態に係る画像形成材料には、赤外領域に光吸収ピークを有する赤外線吸収剤が含まれており、赤外線吸収剤により可視画像と重畳するように潜像画像が形成される。
【0040】
上記の通り、潜像画像は、自然光又は白色光の下では、肉眼により視認することができない。本実施の形態では、画像検査時には、可視画像と潜像画像とが重畳された重畳画像12が画像保持媒体10上に形成されている。重畳画像12は可視画像であり、自然光又は白色光の下で肉眼により視認される。また、重畳画像12は、可視画像を読み取る通常の画像読み取り装置により、可視画像として読み取られる。
【0041】
図1に示す例では、重畳画像12は、第1の領域12A、第2の領域12B及び第3の領域12Cから構成されている。また、重畳画像12に対応する潜像画像は、二次元コードが複数配列された画像である。潜像画像には、各符号の位置座標を表す位置情報、画像保持媒体10を識別する識別情報が埋め込まれている。第1の領域12A、第2の領域12B及び第3の領域12Cの各々に、異なる情報が埋め込まれていてもよい。
【0042】
上記の消色性組成物は、物理的処理又は化学的処理により消色する。本実施の形態では、画像検査が終了した後に、消色性組成物を物理的又は化学的な消色処理により消色させる。一方、赤外線吸収剤は、消色処理による影響を受けない。従って、
図1(B)に示すように、重畳画像12を構成する可視画像が消色されて潜像画像が残される。即ち、消色処理により重畳画像12が消色されて潜像画像となり、自然光又は白色光の下では肉眼により視認することができなくなる。
【0043】
図1(C)に示すように、画像保持媒体10上に残された潜像画像は、赤外線を照射して反射された赤外線を検出することにより読み取られる。画像保持媒体10に赤外線が照射されると、赤外線吸収剤により赤外線が吸収され、吸収されなかった赤外線は反射される。可視画像を読み取る通常の画像読み取り装置では、赤外線は検出されず潜像画像を読み取ることはできない。赤外線カメラ、赤外線イメージセンサ等、赤外線専用の画像読み取り装置を用いなければ、潜像画像を読み取ることはできなくなる。
【0044】
画像検査を行うために潜像画像の位置を示す可視画像(▲印等のベタ画像)を形成すると、肉眼で視認できないという潜像画像の機能が損なわれ、利用用途が制限される。本実施の形態では、画像検査時には、重畳画像12が可視画像として読み取られるので、潜像画像の位置を示す可視画像を別途形成する必要がない。
【0045】
<画像形成材料>
次に、本実施の形態に係る画像形成材料について説明する。
本実施の形態に係る画像形成材料は、赤外領域に光吸収ピークを有する赤外線吸収剤、及び発色状態において可視領域に光吸収ピークを有し且つ物理的処理又は化学的処理により消色する消色性組成物を含み、画像保持媒体に上記の重畳画像を形成する材料である。画像形成方法としては、電子写真方式、インクジェット印刷、活版印刷、オフセット印刷、フレキソ印刷、グラビア印刷、シルク印刷等、従来公知の方法を用いてもよい。従って、本実施の形態に係る画像形成材料は、画像形成方法に応じて、電子写真用現像剤、各種印刷用インク等、種々の形態で使用される。また、筆記具用のインクとしてもよい。
【0046】
(赤外線吸収剤)
赤外線吸収剤は、波長780nmから波長1000nmまでの赤外領域に光吸収ピークを有するものであればよい。赤外線吸収剤としては、シアニン化合物、メロシアニン化合物、ベンゼンチオール系金属錯体、メルカプトフェノール系金属錯体、芳香族ジアミン系金属錯体、ジイモニウム化合物、アミニウム化合物、ニッケル錯体化合物、フタロシアニン系化合物、アントラキノン系化合物、ナフタロシアニン系化合物等、従来公知の赤外線吸収剤を用いてもよい。
【0047】
赤外線吸収剤としては、例えば、有機系又は無機系の近赤外線吸収剤を用いてもよい。有機系近赤外線吸収剤としては、ジイモニウム系色素、フタロシアニン系色素、ジチオール金属錯体系色素、置換ベンゼンジチオール金属錯体系色素、シアニン系色素、スクアリリウム系色素等が挙げられる。無機系近赤外線吸収剤としては、ATO(アンチモンドープ酸化錫)またはITO(錫ドープ酸化インジウム)等が挙げられる。
【0048】
スクアリリウム系色素としては、下記構造式(I)で表されるペリミジン系スクアリリウム色素が挙げられる。
【0050】
ここで、構造式(I)で表されるペリミジン系スクアリリウム色素は、ナフタロシアニン系の材料など他の潜像画像に用いられる色素に比べて耐光性が高い。この理由としては、構造式(I)で表されるペリミジン系スクアリリウム色素は、結晶性が高く、樹脂への溶解性が低い。このため、光の照射によって光エネルギーを吸収することによる分子内の結合の切断が抑制されると考えられる。
【0051】
構造式(I)で表されるペリミジン系スクアリリウム色素は、結晶性が高いが、具体的には、Cuターゲットで波長1.5405ÅのX線照射により測定される粉末X線回折スペクトルにおけるブラッグ角(2θ±0.2°)が、少なくとも9.9°,13.2°,19.9°,20.8°,23.0°に回折ピークを示すものや、少なくとも17.7°、19.9°、22.1°、23.2°、24.9°に回折ピーク示すもの、8.9,17.1,18.4,22.6,24.2に回折ピークを示すもの等が挙げられる。中でも、上記17.7°、19.9°、22.1°、23.2°、24.9°に回折ピーク示すものが、耐光性の観点からよい。
【0052】
なお、構造式(I)で表されるペリミジン系スクアリリウム色素は、400nm以上750nm以下の可視光波長領域における吸光能力が十分に低く、かつ、750nm以上1000nm以下の近赤外光波長領域における吸光能力が十分に高いものである。
【0053】
この「吸光能力が十分に低い」とは、400nm以上450nmまでの可視光波長領域における溶液のモル吸光係数が少なくとも8100M
−1cm
−1以下であり、450nm以上650nmまでの可視光波長領域における溶液のモル吸光係数が少なくとも3400M
−1cm
−1以下であり、650nm以上690nmまでの可視光波長領域における溶液のモル吸光係数が少なくとも8800M
−1cm
−1以下であり、690nm以上750nmまでの可視光波長領域における溶液のモル吸光係数が少なくとも37000M
−1cm
−1以下であることを示している。
【0054】
また、「吸光能力が十分に高い」とは、750nm以上1000nm以下の近赤外光波長領域の全領域における溶液のモル吸光係数の極大値が少なくとも1.5×10
5M
−1cm
−1以上であることを示している。
【0055】
このため、構造式(I)で表されるペリミジン系スクアリリウム色素を含む画像形成材料により形成された潜像画像は、可視光による非視認性と赤外読み取り性とが両立され易い。
【0056】
構造式(I)で表されるペリミジン系スクアリリウム色素は、例えば以下の反応スキームに従って得られる。
【0058】
より具体的には、触媒の存在下で、1,8−ジアミノナフタレンと、3,5−ジメチルシクロヘキサノンとを、溶媒中で共沸還流の条件で反応させることにより、ペリミジン中間体(a)が得られる((A−1)工程)。
【0059】
(A−1)工程に使用する触媒としては、p−トルエンスルホン酸一水和物、ベンゼンスルホン酸一水和物、4−クロロベンゼンスルホン酸水和物、ピリジン−3−スルホン酸、エタンスルホン酸、硫酸、硝酸、酢酸などが挙げられる。また、(A−1)工程に使用する溶媒としては、アルコール、芳香族炭化水素などが挙げられる。ペリミジン中間体(a)は高速カラムクロマトグラフィーまたは再結晶により精製される。
【0060】
次に、ペリミジン中間体(a)と、3,4−ジヒドロキシシクロブタ−3−エン−1,2−ジオン(「スクアリン酸」又は「四角酸」とも呼ばれる)と、を、溶媒中で共沸還流の条件で反応させることにより、構造式(I)で表されるペリミジン系スクアリリウム色素が得られる((A−2)工程)。該(A−2)工程は、窒素ガス雰囲気下で行うことがよい。
【0061】
(A−2)工程に使用する溶媒としては、1−プロパノ−ル、1−ブタノール、1−ペンタノール等のアルコール類、ベンゼン、トルエン、キシレン、モノクロロベンゼン等の芳香族炭化水素、テトラヒドロフラン、ジオキサン等のエーテル類、クロロホルム、ジクロロエタン、トリクロロエタン、ジクロロプロパン等のハロゲン化炭化水素、N,N−ジメチルホルムアミド、N,N−ジメチルアセトアミド等のアミド類が用いられる。また、アルコール類は単独で使用してもよいが、芳香族炭化水素、エーテル類、ハロゲン化炭化水素またはアミド類などの溶媒はアルコール類溶媒と混合して使用することがよい。
【0062】
溶媒としては、具体的には、1−プロパノ−ル、2−プロパノ−ル、1−ブタノール、2−ブタノール、1−プロパノ−ルとベンゼンの混合溶媒、1−プロパノ−ルとトルエンの混合溶媒、1−プロパノ−ルとN,N−ジメチルホルムアミドの混合溶媒、2−プロパノ−ルとベンゼンの混合溶媒、2−プロパノ−ルとトルエンの混合溶媒、2−プロパノ−ルとN,N−ジメチルホルムアミドの混合溶媒、1−ブタノールとベンゼンの混合溶媒、1−ブタノールとトルエンの混合溶媒、1−ブタノ−ルとN,N−ジメチルホルムアミドの混合溶媒、2−ブタノールとベンゼンの混合溶媒、2−ブタノールとトルエンの混合溶媒、2−ブタノ−ルとN,N−ジメチルホルムアミドの混合溶媒が挙げられる。混合溶媒を使う場合、アルコール類溶媒の濃度は、1容量%以上、または5容量%以上75容量%以下がよい。
【0063】
また、(A−2)工程において、3,4−ジヒドロキシシクロブタ−3−エン−1,2−ジオンに対するペリミジン誘導体(a)のモル比(ペリミジン誘導体(a)のモル数/3,4−ジヒドロキシシクロブタ−3−エン−1,2−ジオンのモル数)は、1以上4以下、または1.5以上3以下が挙げられる。当該モル比が1未満の場合には構造式(I)で表されるペリミジン系スクアリリウム色素の収率が低下する場合があり、また、4を超えるとペリミジン誘導体(a)の利用効率が悪くなって、構造式(I)で表されるペリミジン系スクアリリウム色素の分離・精製が困難となる場合がある。
【0064】
更に、(A−2)工程は、脱水剤を用いると反応時間が短縮し、また、構造式(I)で表されるペリミジン系スクアリリウム色素の収率が向上する傾向にある。脱水剤としては、ペリミジン中間体(a)及び3,4−ジヒドロキシシクロブタ−3−エン−1,2−ジオンと反応しないものであれば特に制限されないが、オルト蟻酸トリメチル、オルト蟻酸トリエチル、オルト蟻酸トリプロピル、オルト蟻酸トリブチルなどのオルト蟻酸エステル、モレキュラーシーブ等が挙げられる。
【0065】
(A−2)工程における反応温度は使用する溶媒の種類によって異なるが、反応液の温度としては60℃以上、または75℃以上である。例えば、1−ブタノールとトルエンの混合溶媒を用いる場合には、反応液の温度が75℃以上105℃であることがよい。
【0066】
また、(A−2)工程における反応時間は、溶媒の種類又は反応液の温度によって異なるが、例えば1−ブタノールとトルエンの混合溶媒を用いて反応液の温度を90℃以上105℃以下として反応させる場合、反応時間は2時間以上4時間以下が挙げられる。
【0067】
(A−2)工程で生成した構造式(I)で表されるペリミジン系スクアリリウム色素は、溶媒洗浄、高速カラムクロマトグラフィーまたは再結晶により精製される。
【0068】
また、構造式(I)で表されるペリミジン系スクアリリウム色素は、顔料化処理を行うことがよいが、顔料化処理を行うと結晶系が変化しやすいと考えられる。そのため、顔料化処理の方法及び処理条件は、顔料化処理前のペリミジン系スクアリリウム色素粒子(原料)の結晶系の変換が抑制されるように調整することがよい。即ち、ペリミジン系スクアリリウム色素粒子のX線回折ピークを示すように調整されることがよい。具体的には、ペリミジン系スクアリリウム色素では、Cuターゲットで波長1.5405ÅのX線照射により測定される粉末X線回折スペクトルにおけるブラッグ角(2θ±0.2°)が、少なくとも17.7°、19.9°、22.1°、23.2°、24.9°に回折ピークを示すものがよいため、顔料化処理後のペリミジン系スクアリリウム色素が、該回折ピークを示すように調整されることが、耐光性向上の観点からよい。
【0069】
顔料化方法としては、例えば、構造式(I)で表されるペリミジン系スクアリリウム色素と、ドデシルベンゼンスルホン酸ナトリウム水溶液とを混合し、その混合液について顔料化処理を行う方法が挙げられる。混合液には、必要に応じて水を加えて濃度を調節してもよい。また、顔料化処理に使用する装置としては、ビーズミル加工装置が挙げられる。
【0070】
構造式(I)で表されるペリミジン系スクアリリウム色素を、粒子として含有することがよい。構造式(I)で表されるペリミジン系スクアリリウム色素は、分子間相互作用が大きく、また、それらの粒子は結晶性が高い。このため、粒子状の構造式(I)で表されるペリミジン系スクアリリウム色素を画像形成材料に含有させることで、赤外吸収能力及び耐光性がより高められると考えられる。
【0071】
構造式(I)で表されるペリミジン系スクアリリウム色素の粒子は、例えば(A−2)工程後の精製物をテトラヒドロフランに溶かして、その溶液を、注射器等を用いて、氷冷した蒸留水に撹拌しながら注入して沈殿物を生成させ、その沈殿物を吸引濾過により濾取し、蒸留水で洗浄した後、真空乾燥することによって得られる。このとき、溶液中における構造式(I)で表されるペリミジン系スクアリリウム色素の濃度、溶液の注入速度、蒸留水の量又は温度、撹拌速度等を調整することにより、得られる沈殿物の粒子径が調整される。
【0072】
構造式(I)で表されるペリミジン系スクアリリウム色素の粒子のメジアン径d50としては、10nm以上300nm以下や、20nm以上200nm以下が挙げられる。構造式(I)で表されるペリミジン系スクアリリウム色素の粒子のメジアン径d50が上記範囲内であると、耐光性の低下が抑制され、且つ赤外吸収能力が向上すると考えられる。
【0073】
なお、赤外線吸収剤は、1種単独で用いてもよいし、2種以上併用してもよい。
【0074】
本実施の形態では、赤外線吸収剤としてフタロシアニン系色素やペリミジン系スクアリリウム色素を用いてもよい。これらの色素は、加熱や有機溶媒と接触させたりする消色処理において劣化し難いという利点を有する。フタロシアニン系色素の中では、ナフタロシアニン系色素が、上記の消色処理において特に劣化し難く好適である。
【0075】
赤外線吸収剤の含有量は、画像読取り時における画像検出感度の観点から、画像形成材料100質量部に対し、0.1質量部以上20質量部以下が望ましい。
【0076】
(消色性組成物)
消色性組成物は、発色状態において可視領域に光吸収ピークを有し且つ物理的処理又は化学的処理により消色する組成物であればよい。ここで「可視領域」とは、波長380nmから波長780nmまでの波長域である。物理的処理又は化学的処理としては、加熱、光照射、有機溶媒との接触が挙げられる。「発色状態」とは、自然光又は白色光の下で肉眼により視認することができる状態を意味する。「消色」とは、「発色状態」から、自然光又は白色光の下では肉眼により視認することができない状態に移行することを意味する。
【0077】
上記の消色性組成物として、(1)電子供与性基を有する呈色性化合物及び電子受容性基を有する顕色剤を含む第1の組成物、(2)電子供与性基を有する呈色性化合物、電子受容性基を有する顕色剤及び電子供与性基を有する消色剤を含む第2の組成物を用いてもよい。上記の第1の組成物と第2の組成物とは、発色機構は同じであるが、消色機構が異なるものと推測される。発色時には、例えば、発色温度以上に加熱される等、一定の条件が満たされた場合に、呈色性化合物と顕色剤との電子的な相互作用が増大して発色状態となる。
【0078】
第1の組成物では、消色時には、例えば、発色温度より高い消色温度以上に加熱される等、一定の条件が満たされた場合に、呈色性化合物と顕色剤との電子的な相互作用が減少して消色状態となる。この場合には、消色温度と発色温度との温度差を大きくする、ヒステリシス温度制御剤を添加する等により、予め定めた温度範囲で発色と消色は付加逆とされる。
【0079】
これに対し、第2の組成物では、消色時には、例えば、発色温度より高い消色温度以上に加熱される等、一定の条件が満たされた場合に、顕色剤と消色剤との電子的な相互作用が、呈色性化合物と顕色剤との電子的な相互作用よりも大きくなって、顕色剤が呈色性化合物から離されることで消色状態となる。
【0080】
(第1の組成物)
電子供与性基を有する呈色性化合物及び電子受容性基を有する顕色剤を含む「第1の組成物」について説明する。
【0081】
−呈色性化合物−
第1の組成物を構成する呈色性化合物としては、いわゆる「ロイコ色素」が用いられる。ロイコ色素としては、例えば、トリフェニルメタンフタリド系化合物、フルオラン系化合物、フェノチアジン系化合物、インドリルフタリド系化合物、ロイコオーラミン系化合物、ローダミンラクタム系化合物、トリフェニルメタン系化合物、トリアゼン系化合物、スピロピラン系化合物、フルオレン系化合物などが挙げられる。
【0082】
前記フタリド類の具体例は、米国再発行特許第23,024号明細書、米国特許第3,491,111号明細書、同第3,491,112号明細書、同第3,491,116号明細書および同第3,509,174号明細書、フルオラン類の具体例は、米国特許第3,624,107号明細書、同第3,627,787号明細書、同第3,641,011号明細書、同第3,462,828号明細書、同第3,681,390号明細書、同第3,920,510号明細書、同第3,959,571号明細書、スピロジピラン類の具体例は、米国特許第3,971,808号明細書、ピリジン系およびピラジン系化合物類の具体例は、米国特許第3,775,424号明細書、同第3,853,869号明細書、同第4,246,318号明細書、フルオレン系化合物の具体例は、特開昭63−94878号公報等に各々記載されている。
【0083】
これらの具体例を開示すれば、トリアリールメタン系化合物としては、3,3−ビス(p−ジメチルアミノフェニル)−6−ジメチルアミノフタリド、3,3−ビス(p−ジメチルアミノフェニル)フタリド、3−(p−ジメチルアミノフェニル)−3−(l,3−ジメチルインドール−3−イル)フタリド、3−(p−ジメチルアミノフェニル)−3−(2−メチルインドール−3−イル)フタリド、等が挙げられる。
またジフェニルメタン系化合物としては、4,4’−ビス−ジメチルアミノベンズヒドリンベンジルエーテル、N−ハロフェニルロイコオーラミン、N−2,4,5−トリクロロフェニルロイコオーラミン等が挙げられる。
【0084】
またキサンテン系化合物としては、ローダミン−B−アニリノラクタム、ローダミン−(p−ニトリノ)ラクタム、2−(ジベンジルアミノ)フルオラン、2−アニリノ−3−メチル−6−ジエチルアミノフルオラン、2−アニリノ−3−メチル−6−ジブチルアミノフルオラン、2−アニリノ−3−メチル−6−N−エチル−N−イソアミルアミノフルオラン、2−アニリノ−3−メチル−6−N−メチル−N−シクロヘキシルアミノフルオラン、2−アニリノ−3−クロル−6−ジエチルアミノフルオラン、2−アニリノ−3−メチル−6−N−エチル−N−イソブチルアミノフルオラン、2−アニリノ−6−ジブチルアミノフルオラン、2−アニリノ−3−メチル−6−N−メチル−N−テトラヒドロフルフリルアミノフルオラン、2−アニリノ−3−メチル−6−ピペリジノアミノフルオラン、2−(o−クロロアニリノ)−6−ジエチルアミノフルオラン、2−(3,4−ジクロルアニリノ)−6−ジエチルアミノフルオラン、等が挙げられる。
【0085】
チアジン系化合物としては、ベンゾイルロイコメチレンブルー、p−ニトロベンジルロイコメチレンブルー等が挙げられる。スピロ系化合物としては3−メチル−スピロ−ジナフトピラン、3−エチル−スピロ−ジナフトピラン3,3’−ジクロロ−スピロ−ジナフトピラン、3−ベンジルスピロ−ジナフトピラン、3−メチル−ナフト−(3−メトキシ−ベンゾ)−スピロピラン、3−プロピル−スピロ−ジベンゾピラン等が挙げられる。
【0086】
上記ロイコ色素は単独で用いてもよいが、2種以上混合して用いてもよい。ロイコ色素の添加量としては、結着樹脂100質量部に対し、0.5質量部以上20質量部以下が望ましく、2質量部以上10質量部以下がより望ましい。
【0087】
−顕色剤−
第1の組成物を構成する顕色剤としては、フェノール誘導体、含硫フェノール誘導体、有機のカルボン酸誘導体(例えば、サリチル酸、ステアリン酸、レゾルシン酸等)、及びそれらの金属塩等、スルホン酸誘導体、尿素もしくはチオ尿素誘導体等、酸性白土、ベントナイト、ノボラック樹脂、金属処理ノボラック樹脂、金属錯体等が挙げられる。
【0088】
これらの例は、紙パルプ技術タイムス(1985年)49から54頁及び65から70頁に記載の他、特公昭40−9309号公報、同45−14039号公報、特開昭52−140483号公報、同48−51510号公報、同57−210886号公報、同58−87089号公報、同59−11286号公報、同60−176795号公報、同61−95988号公報等に記載されている。
【0089】
これらの具体例としては、p−(ドデシルチオ)フェノール、p−(テトラデシルチオ)フェノール、p−(ヘキサデシルチオ)フェノール、p−(オクタデシルチオ)フェノール、p−(エイコシルチオ)フェノール、p−(ドコシルチオ)フェノール、p−(テトラコシルチオ)フェノール、p−(ドデシルオキシ)フェノール、p−(テトラデシルオキシ)フェノール、p−(ヘキサデシルオキシ)フェノール、p−(オクタデシルオキシ)フェノール、p−(エイコシルオキシ)フェノール、p−(ドコシルオキシ)フェノール、p−(テトラコシルオキシ)フェノール、p−ドデシルカルバモイルフェノール、p−テトラデシルカルバモイルフェノール、p−ヘキサデシルカルバモイルフェノール、p−オクタデシルカルバモイルフェノール、p−エイコシルカルバモイルフェノール、p−ドコシルカルバモイルフェノール、p−テトラコシルカルバモイルフェノール、没食子酸ヘキサデシルエステル、没食子酸オクタデシルエステル、没食子酸エイコシルエステル、没食子酸ドコシルエステル、没食子酸テトラコシルエステル等のフェノール、フェノール金属塩類;
【0090】
α−ヒドロキシドデカン酸、α−ヒドロキシテトラデカン酸、α−ヒドロキシヘキサデカン酸、α−ヒドロキシオクタデカン酸、α−ヒドロキシペンタデカン酸、α−ヒドロキシエイコサン酸、α−ヒドロキシドコサン酸、α−ヒドロキシテトラコサン酸、α−ヒドロキシヘキサコサン酸、α−ヒドロキシオクタコサン酸、2−クロロオクタデカン酸、ヘプタデカフルオロノナデカン酸、2−ブロモヘキサデカン酸、2−ブロモヘプタデカン酸、2−ブロモオクタデカン酸、2−ブロモエイコサン酸、2−ブロモドコサン酸、2−ブロモテトラコサン酸、3−ブロモオクタデカン酸、3−ブロモエイコサン酸、2,3−ジブロモオクタデカン酸、2−フルオロドデカン酸、2−フルオロテトラデカン酸、2−フルオロヘキサデカン酸、2−フルオロオクタデカン酸、2−フルオロエイコサン酸、2−フルオロドコサン酸、2−ヨードヘキサデカン酸、2−ヨードオクタデカン酸、3−ヨードヘキサデカン酸、3−ヨードオクタデカン酸、パーフルオロオクタデカン酸、2−オキソドデカン酸、2−オキソテトラデカン酸、2−オキソヘキサデカン酸、2−オキソオクタデカン酸、2−オキソエイコサン酸、2−オキソテトラコサン酸、3−オキソドデカン酸、3−オキソテトラデカン酸、3−オキソヘキサデカン酸、3−オキソオクタデカン酸、3−オキソエイコサン酸、3−オキソテトラコサン酸、4−オキソヘキサデカン酸、4−オキソヘプタデカン酸、4−オキソオクタデカン酸、4−オキソドコサン酸、ドデシルリンゴ酸、テトラデシルリンゴ酸、ヘキサデシルリンゴ酸、オクタデシルリンゴ酸、エイコシルリンゴ酸、ドコシルリンゴ酸、テトラコシルリンゴ酸、ドデシルチオリンゴ酸、テトラデシルチオリンゴ酸、ヘキサデシルチオリンゴ酸、オクタデシルチオリンゴ酸、エイコシルチオリンゴ酸、ドコシルチオリンゴ酸、テトラコシルチオリンゴ酸、ドデシルジチオリンゴ酸、テトラデシルジチオリンゴ酸、ヘキサデシルジチオリンゴ酸、オクタデシルジチオリンゴ酸、エイコシルジチオリンゴ酸、ドコシルジチオリンゴ酸、テトラコシルジチオリンゴ酸、
【0091】
ドデシルブタン二酸、トリデシルブタン二酸、テトラデシルブタン二酸、ペンタデシルブタン二酸、オクタデシルブタン二酸、エイコシルブタン二酸、ドコシルブタン二酸、2,3−ジヘキサデシルブタン二酸、2,3−ジオクタデシルブタン二酸、2−メチル−3−ドデシルブタン二酸、2−メチル−3−テトラデシルブタン二酸、2−メチル−3−ヘキサデシルブタン二酸、2−エチル−3−ドデシルブタン二酸、2−プロピル−3−デシルブタン二酸、2−オクチル−3−ヘキサデシルブタン二酸、2−テトラデシル−3−オクタデシルブタン二酸、ドデシルマロン酸、テトラデシルマロン酸、ヘキサデシルマロン酸、オクタデシルマロン酸、エイコシルマロン酸、ドコシルマロン酸、テトラコシルマロン酸、ジドデシルマロン酸、ジテトラデシルマロン酸、ジヘキサデシルマロン酸、ジオクタデシルマロン酸、ジエイコシルマロン酸、ジドコシルマロン酸、メチルオクタデシルマロン酸、メチルエイコシルマロン酸、メチルドコシルマロン酸、メチルテトラコシルマロン酸、エチルオクタデシルマロン酸、エチルエイコシルマロン酸、エチルドコシルマロン酸、エチルテトラコシルマロン酸、2−ドデシル−ペンタン二酸、2−ヘキサデシル−ペンタン二酸、2−オクタデシル−ペンタン二酸、2−エイコシル−ペンタン二酸、2−ドコシル−ペンタン二酸、2−ドデシル−ヘキサン二酸、2−ペンタデシル−ヘキサン二酸、2−オクタデシル−ヘキサン二酸、2−エイコシル−ヘキサン二酸、2−ドコシル−ヘキサン二酸等のカルボン酸、カルボン酸金属塩類;
【0092】
ドデシルホスホン酸、テトラデシルホスホン酸、ヘキサデシルホスホン酸、オクタデシルホスホン酸、エイコシルホスホン酸、ドコシルホスホン酸、テトラコシルホスホン酸、ヘキサコシルホスホン酸、オクタコシルホスホン酸等の有機リン酸化合物類、ベンゾフェノン、スルホン酸、スルホン酸塩、などの酸性材料が挙げられ、特に、結晶性に優れたものが好ましく用いられる。
【0093】
これらは単独で用いてもよいが、場合によっては2種以上を混合して用いてもよい。顕色剤の添加量としては、ロイコ色素1質量部に対し、0.4質量部以上5質量部以下が望ましく、0.5質量部以上4.0質量部以下がより好適であり、2.0質量部以上4.0質量部以下がさらに好適である。
【0094】
−ヒステリシス温度制御剤−
第1の組成物は、ヒステリシス温度制御剤を含んでいてもよい。ヒステリシス温度制御剤は、前記ロイコ色素と顕色剤の呈色においてヒステリシス特性をもたらす物質である。この様なヒステリシス温度制御剤としては、例えば、炭素数10以上のアルコール類、炭素数10以上のエステル類、炭素数10以上のエーテル類、炭素数10以上のケトン類等が挙げられ、その中でも上記の通りエステル類が好ましい。
【0095】
その中でも、ヒステリシス温度制御剤としては、上記の通り、下記一般式(1)で示されるエステル類が好ましい。下記一般式(1)で示されるエステル類は、4,4’−(ヘキサフルオロイソプロピリデン)ビスフェノールと、炭素数9から19の飽和又は不飽和脂肪酸とから構成されるエステル化合物である。
【0097】
上記式中、R
1及びR
2は、それぞれ独立に、炭素数1以上18以下のアルキル基又はアルケニル基を示す。アルキル基又はアルケニル基は分岐していてもよく、R
1及びR
2は同じであってもよいし、それぞれ異なる基でもよい。
【0098】
上記一般式(1)で示されるエステル類としては、具体的には、例えば、4,4’−(ヘキサフルオロイソプロピリデン)ビスフェノールジカプレート、4,4’−(ヘキサフルオロイソプロピリデン)ビスフェノールジラウレート、4,4’−(ヘキサフルオロイソプロピリデン)ビスフェノールジミリステート、4,4’−(ヘキサフルオロイソプロピリデン)ビスフェノールジパルミエート、4,4’−(ヘキサフルオロイソプロピリデン)ビスフェノールジウンデカノエート、4,4’−(ヘキサフルオロイソプロピリデン)ビスフェノールジトリデカエート等が挙げられる。
【0099】
本ヒステリシス温度制御剤の添加量としては、特に限定されるものではないが、ロイコ色素1質量部に対し、1質量部以上10質量部以下の範囲内で使用するのが好ましい。なお、ヒステリシス温度制御剤は、1種用いてもよいし、2種以上組み合わせて用いてもよい。
【0100】
(第2の組成物)
電子供与性基を有する呈色性化合物、電子受容性基を有する顕色剤及び電子供与性基を有する消色剤を含む第2の組成物について説明する。
【0101】
−呈色性化合物−
第2の組成物を構成する呈色性化合物としては、ロイコオーラミン類、ジアリールフタリド類、ポリアリールカルビノール類、アシルオーラミン類、アリールオーラミン類、ローダミンBラクタム類、インドリン類、スピロピラン類、フルオラン類などの電子供与性有機物が挙げられる。
【0102】
−顕色剤−
第2の組成物を構成する顕色剤としては、フェノール、フェノール金属塩、カルボン酸、カルボン酸金属塩、ベンゾフェノン、スルホン酸、スルホン酸塩、リン酸、リン酸金属
塩、酸性リン酸エステル、酸性リン酸エステル金属塩、亜リン酸、亜リン酸金属塩などが挙げられる。顕色剤は、1種用いてもよいし、2種以上組み合わせて用いてもよい。上記のうちでも特に好適な顕色剤として、没食子酸エステル、2,3−ジヒドロキシ安息香酸、ジヒドロキシ安息香酸エステル、ヒドロキシアセトフェノン、ヒドロキシベンゾフェノン、ビフェノールが挙げられる。
【0103】
−消色剤−
第2の組成物を構成する消色剤としては、高分子消色剤が用いられる。高分子消色剤としては、顕色剤を物理的または化学的に吸着することが可能な電子供与性基を有する高分子化合物である。電子供与性基は顕色剤を物理的または化学的に吸着する作用を持つものならば特に限定されないが、ヒドロキシル基、アシル基、オキソ基、カルボニル基、オキシカルボニル基、アミノ基、芳香族アミノ基などが好ましい。
【0104】
高分子消色剤を含有する画像形成材料が消去溶剤に接触するか、または軟化点以上の温度に加熱されると、呈色性化合物と結合している顕色剤が、高分子消色剤の電子供与性基に選択的に吸着されて呈色性化合物と作用できなくなる。この結果、画像形成材料は発色
状態から消色状態へと変化する。高分子消色剤は、低分子消色剤よりも単位体積あたりの官能基の濃度が高いため顕色剤を効率よく吸着し、高分子鎖中に顕色剤を囲い込んで安定に保持する。高分子消色剤は、マトリックス剤とからみあうため、画像形成材料に溶媒を接触させて画像を消去する場合にも消去溶媒とともに流出することがない。このため、高分子消色剤に吸着された顕色剤を安定に保持することができ、発色した色素成分の流れや
部分的なにじみによる消去不良を起こすことがない。
【0105】
好適な高分子消色剤は、糖骨格を有する高分子化合物、ポリアミノ酸、ヒドロキシル基を有する高分子化合物、アミノ基を有する高分子化合物、ポリビニルアセタール、ポリアクリロニトリルおよびこれらの共重合体からなる群より選択される。高分子消色剤の平均
分子量は800以上、より好ましくは10000以上である。糖骨格を有する高分子化合物に関しては、800以上の平均分子量は三糖類以上に相当する。
【0106】
糖骨格を有する高分子化合物としては、デンプン、例えばα−デンプン、β−デンプン、コーンスターチ、馬鈴薯スターチ、片栗粉など;デンプンを主成分とする穀物粉体、たとえば小麦粉、大麦粉、らい麦粉、米粉など;デンプンの誘導体、たとえばメチル化スターチ、エチル化スターチ、アセチル化スターチ、ニトロ化スターチなど;セルロース;セルロース誘導体、たとえば酢酸セルロース、メチル化セルロース、エチル化セルロース、ニトロ化セルロース;多糖類およびその誘導体、たとえばデキストリン(糊精)、デキストラン、マンナン、アミロペクチン、アミロース、キシラン、グリコーゲン、イヌリン、リケニン、キチン、ヘミセルロース、ペクチン、植物ゴム、アガロース、カラゲニン、サポニンなどが挙げられる。
【0107】
(電子写真用現像剤)
画像形成材料を電子写真用現像剤とした場合の組成について説明する。電子写真用現像剤は、結着樹脂、赤外線吸収剤、及び消色性組成物を含む電子写真用トナーを用いた1成分現像剤としてもよい。また、電子写真用現像剤は、上記の電子写真用トナーとキャリアとを組み合わせた2成分現像剤としてもよい。電子写真用現像剤は、ワックスや帯電制御剤等の各種添加剤を含んでいてもよい。結着樹脂、各種添加剤、キャリアとしては、従来公知の材料を用いればよい。電子写真用現像剤は、混練粉砕法、湿式造粒法等、従来公知の製造方法により製造される。
【0108】
結着樹脂としては、ポリスチレン、スチレン−アクリル酸アルキル共重合体、スチレン−メタクリル酸アルキル共重合体、スチレン−アクリロニトリル共重合体、スチレン−ブタジエン共重合体、スチレン−無水マレイン酸共重合体、ポリエチレン、ポリプロピレン等が挙げられる。帯電制御剤には、正帯電用と負帯電用がある。正帯電用の帯電制御剤としては、第4級アンモニウム系化合物が挙げられる。また、負帯電用の帯電防止剤としては、アルキルサリチル酸の金属錯体、極性基を含有したレジンタイプの帯電制御剤等が挙げられる。オフセット防止剤としては、低分子量ポリエチレン、低分子量ポリプロピレン等が挙げられる。
【0109】
流動性、粉体保存性の向上、摩擦帯電制御、転写性能、クリーニング性能向上等のために、無機粒子あるいは有機粒子を外添剤としてトナー表面に添加してもよい。無機粒子としては、シリカ、アルミナ、チタニア、炭酸カルシウム、炭酸マグネシウム、リン酸カルシウム、酸化セリウム等が挙げられる。また目的に応じて無機粒子に公知の表面処理を施してもよい。また、有機粒子としては、フッ化ビニリデン、メチルメタクリレート、スチレン−メチルメタクリレート等を構成成分とする乳化重合体、ソープフリー重合体等が挙げられる。
【0110】
(印刷用インク)
画像形成材料を印刷用インクとした場合の組成について説明する。印刷用インクは、水、水溶性の有機溶媒、赤外線吸収剤、及び消色性組成物を含む水性インクとしてもよい。また、印刷用インクは、有機溶媒、赤外線吸収剤、及び消色性組成物を含む油性インクとしてもよい。印刷用インクは、樹脂、酸化防止剤、界面活性剤等の各種添加剤を含んでいてもよい。有機溶媒、各種添加剤としては、従来公知の材料を用いればよい。印刷用インクは、従来公知の製造方法により製造される。
【0111】
インクジェット印刷用インクは、水を含有する水性インクとしてもよい。インクの乾燥防止及び浸透性を向上させるために、水溶性の有機溶剤を更に含んでいてもよい。水としては、イオン交換水、限外濾過水、純水等が挙げられる。また、有機溶媒としては、エチレングリコール、ジエチレングリコール、ポリエチレングリコール、グリセリン等の多価アルコール類、N−アルキルピロリドン類、酢酸エチル、酢酸アミル等のエステル類、メタノール、エタノール、プロパノール、ブタノール等の低級アルコール類、メタノール、ブタノール、フェノールのエチレンオキサイドまたはプロピレンオキサイド付加物等のグリコールエーテル類等が挙げられる。使用される有機溶媒は1種類でも2種類以上でもよい。有機溶媒は、赤外線吸収剤及び消色性組成物の溶解度等を考慮して選択される。有機溶媒の含有率は、1質量%以上60質量%以下としてもよい。
【0112】
また、インクジェット印刷用インクは、インクジェットプリンターのシステムに要求される諸条件を満たすために、インクの成分として従来知られている添加物を含んでいてもよい。添加物としては、pH調製剤、比抵抗調製剤、酸化防止剤、防腐剤、防カビ剤、金属封鎖剤等が挙げられる。pH調整剤としては、アルコールアミン類、アンモニウム塩類、金属水酸化物等が挙げられる。比抵抗調製剤としては、有機塩類、無機塩類が挙げられる。金属封鎖剤としては、キレート剤等が挙げられる。
【0113】
また、インクジェット印刷用インクは、噴封ノズル部の閉塞やインク吐出方向の変化等が生じない程度に、ポリビニルアルコール、ポリビニルピロリドン、カルボキシメチルセルロース、スチレン−アクリル酸樹脂、スチレン−マレイン酸樹脂等の水溶性樹脂を含んでいてもよい。
【0114】
他の印刷用インクとしては、ポリマーや有機溶剤を含有する油性インクとしてもよい。ポリマーとしては、一般的には、蛋白質、ゴム、セルロース類、シエラック、コパル、でん粉、ロジン等の天然樹脂、ビニル系樹脂、アクリル系樹脂、スチレン系樹脂、ポリオレフィン系樹脂、ノボラック型フェノール樹脂等の熱可塑性樹脂、レゾール型フェノール樹脂尿素樹脂、メラミン樹脂、ポリウレタン樹脂、エポキシ、不飽和ポリエステル等の熱硬化性樹脂等が挙げられる。有機溶媒としては、上記インクジェット印刷用インクの説明において例示された有機溶媒が挙げられる。
【0115】
また、他の印刷用インクは、印刷皮膜の柔軟性や強度を向上させるための可塑剤、粘度調整、乾燥性向上のための溶剤、乾燥剤、粘度調整剤、分散剤、各種反応剤等の添加剤を更に含んでいてもよい。
【0116】
<画像形成装置>
次に、本実施の形態に係る画像形成装置について説明する。本実施の形態では、上記の電子写真用現像剤(以下では、「赤外線吸収トナー」という。)を用いて、画像保持媒体上に潜像画像を形成する電子写真方式の画像形成装置について説明する。なお、以下では、画像保持媒体が「用紙」である場合について説明する。従って、画像保持媒体10を「用紙10」と言い換える。
【0117】
図2は画像形成装置の構成の一例を示す概略構成図である。
図3は
図2に示す画像形成装置の電気的構成を示すブロック図である。
図2及び
図3に示すように、本実施の形態に係る画像形成装置14は、制御部18、操作表示部20、画像読取部22、画像形成部24、用紙供給部26、用紙排出部28、第1の画像検査部30、消色処理部36、第2の画像検査部31、通信部32、及び記憶部34を備えている。画像形成部24、用紙供給部26、用紙排出部28、第1の画像検査部30、消色処理部36及び第2の画像検査部31は、点線で図示した用紙搬送路に沿って、用紙供給部26、画像形成部24、第1の画像検査部30、消色処理部36、第2の画像検査部31、用紙排出部28の順序で配置されている。
【0118】
制御部18は、装置全体の制御及び各種演算を行うコンピュータとして構成されている。即ち、制御部18は、CPU(中央処理装置; Central Processing Unit)18A、各種プログラムを記憶したROM(Read Only Memory)18B、プログラムの実行時にワークエリアとして使用されるRAM(Random Access Memory)18C、各種情報を記憶する不揮発性メモリ18D、及び入出力インターフェース(I/O)18Eを備えている。CPU18A、ROM18B、RAM18C、不揮発性メモリ18D、及びI/O18Eの各々は、バス18Fを介して接続されている。
【0119】
操作表示部20、画像読取部22、画像形成部24、用紙供給部26、用紙排出部28、第1の画像検査部30、消色処理部36、第2の画像検査部31、通信部32、及び記憶部34の各部は、制御部18のI/O18Eに接続されている。制御部18は、操作表示部20、画像読取部22、画像形成部24、用紙供給部26、用紙排出部28、第1の画像検査部30、消色処理部36、第2の画像検査部31、通信部32、及び記憶部34の各部を制御する。なお、画像形成装置14は、複数の搬送ローラ21を有している。複数の搬送ローラ21は、点線で図示した用紙搬送路に沿って配置されている。複数の搬送ローラ21は、画像形成動作に応じて用紙10を搬送する。
【0120】
操作表示部20は、スタートボタンやテンキー等の各種ボタン、設定画面等の各種画面を表示するためのタッチパネルなどを含んで構成されている。操作表示部20は、上記構成により、ユーザの操作を受け付けると共に、ユーザに各種情報を表示する。画像読取部22は、CCDイメージセンサ等、用紙上に形成された画像を光学的に読み取る画像読み取り装置、用紙を走査するための走査機構等を含んで構成されている。画像読取部22は、上記構成により、画像読取部22に置かれた原稿用紙の画像を読み取り、画像情報を生成する。
【0121】
画像形成部24は、電子写真方式により用紙10上に画像を形成するものである。画像形成部24は、画像形成ユニット50、定着装置52を含んで構成されている。画像形成ユニット50は、感光体ドラム50A、帯電装置50B、露光装置50C、現像装置50D、転写装置50E、クリーニング装置50F等を含んで構成されている。感光体ドラム50Aは、矢印A方向に回転するように構成されている。定着装置52は、用紙10を加熱及び加圧するローラを含んで構成されている。
【0122】
画像形成部24は、具体的には以下の手順で画像を形成する。感光体ドラム50Aが、帯電装置50Bにより帯電される。露光装置50Cは、帯電された感光体ドラム50A上を画像に応じた光で露光する。これにより、感光体ドラム50A上に画像に応じた静電潜像が形成される。現像装置50Dは、感光体ドラム50A上に形成された静電潜像をトナーにより現像する。転写装置50Eは、感光体ドラム50A上に形成されたトナー像を用紙10に転写する。定着装置52は、用紙10上に転写されたトナー像を定着させる。
【0123】
本実施の形態では、電子写真用現像剤として赤外線吸収トナーが用いられる。用紙10上には、赤外線吸収トナーにより可視画像と潜像画像とが重畳された重畳画像12が形成される。なお、赤外線吸収トナーは赤外線を吸収して発熱する。このため、定着装置52は、加熱及び加圧するローラに代えて、フラッシュランプ等の定着用光源を含む光定着器として構成してもよい。
【0124】
用紙供給部26は、用紙10が収容される用紙収容部54、用紙収容部54から画像形成部24に用紙10を供給する供給機構等を含んで構成されている。供給機構は、用紙収容部54から用紙10を取り出す取出ローラ56、搬送ローラ21等で構成されている。用紙10の種類やサイズに応じて、複数の用紙収容部54を備えていてもよい。用紙供給部26は、上記構成により、画像形成部24に用紙10を供給する。
【0125】
用紙排出部28は、用紙10が排出される排出部60、不要な用紙10が廃棄される廃棄部62、用紙10を排出部60上に排出させるための排出機構等を含んで構成されている。排出機構は、不要な用紙10が廃棄部62に廃棄されるように、搬送ローラ21の外に、用紙搬送路を切り替える搬送路切替部58を含んで構成されている。用紙排出部28は、上記構成により、第1の画像検査部30による検査結果に応じて、重畳画像12が形成された用紙10を、消色処理部36で消色して排出部60に排出するか、廃棄部62に廃棄する。廃棄部62に廃棄する用紙10は、消色処理部36で消色して廃棄してもよく、消色処理部36で消色せずに廃棄してもよい。
【0126】
第1の画像検査部30は、画像形成部24により用紙10上に形成された画像を検査する。即ち、第1の画像検査部30は、用紙10上に形成された検査対象画像を読み取って、「第1の検査画像情報」を生成する。従って、第1の画像検査部30は、用紙10上に形成された画像を光学的に読み取り、画像情報を生成する画像読み取り装置等を含んで構成されている。第1の画像検査部30の具体的な構成については後述する。
【0127】
消色処理部36は、第1の画像検査部30による検査が終了した可視画像を消色する。用紙10上には、可視画像と潜像画像とが重畳された重畳画像12が形成されている。従って、消色処理部36により可視画像が消色されると、用紙10上の画像は潜像画像となる。消色処理部36は、赤外線吸収トナーに含まれる消色性組成物を物理的処理又は化学的処理により消色させる消色手段を含んで構成されている。例えば、赤外線吸収トナーが加熱により消色する消色性組成物を含む場合には、消色処理部36は用紙10を加熱及び加圧するローラを含んで構成されている。消色処理部36の具体的な構成については後述する。
【0128】
第2の画像検査部31は、消色処理部36により可視画像が消色された用紙10上の画像を検査する。即ち、第2の画像検査部31は、消色処理後に用紙10上の検査対象画像を読み取って、「第2の検査画像情報」を生成する。得られた「第2の検査画像情報」から、潜像画像に重畳された可視画像は消色処理により消色されたか否か、即ち、消色処理部36による消色処理の成否が確認される。第2の画像検査部31は、第1の画像検査部30と同様に、画像読み取り装置等を含んで構成されている。第2の画像検査部31の具体的な構成については後述する。
【0129】
通信部32は、有線又は無線の通信回線を介して外部装置と通信を行うためのインターフェースである。例えば、LAN(Local Area Network)等のネットワークに接続されたコンピュータと通信を行うためのインターフェースとして機能する。通信部32は、コンピュータ等の外部装置から、例えば後述する「第1の基準画像情報」及び「第2の基準画像情報」等の画像情報、画像形成に要する画像形成情報を通信により取得する。
【0130】
記憶部34は、ハードディスク等の記憶装置を備えている。記憶部34には、ログデータ等の各種データ、制御プログラム等が記憶される。本実施の形態では、後述する画像検査処理の制御プログラムが、記憶部34に予め記憶されている場合について説明する。予め記憶された制御プログラムは、CPU18Aにより読み出されて実行される。
【0131】
なお、制御部18には、各種ドライブが接続されていてもよい。各種ドライブは、フレキシブルディスク、光磁気ディスク、CD−ROMなどのコンピュータ読み取り可能な可搬性の記録媒体からデータを読み込んだり、記録媒体に対してデータを書き込んだりする装置である。各種ドライブを備える場合には、可搬性の記録媒体に制御プログラムを記録しておいて、これを対応するドライブで読み込んで実行してもよい。
【0132】
ここで、第1の画像検査部30及び第2の画像検査部31の構成を具体的に説明する。
図4は画像検査部の構成の一例を示す概略図である。
図4に示すように、画像検査部30及び第2の画像検査部31の各々は、供給された用紙10の画像形成面10Aに対向するように配置されている。画像検査部30及び第2の画像検査部31の各々は、用紙10に白色光を照射する白色光源40、結像光学系42、CCDイメージセンサ等の光学的な画像読み取り装置44を含んで構成されている。
【0133】
本実施の形態では、消色性組成物を含む赤外線吸収トナーにより、用紙10上に可視画像と潜像画像とが重畳された重畳画像12が形成される。用紙10上の重畳画像12は可視画像として読み取られる。従って、画像読み取り装置44は、可視画像を読み取る通常のイメージセンサにより構成されている。結像光学系42は、用紙10で反射された反射光が、画像読み取り装置44の検出面に結像するように配置されている。
【0134】
図4に示すように、第1の画像検査部30により潜像画像の検査を行う場合には、白色光源40が点灯して、重畳画像12が形成された用紙10に白色光が照射される。白色光の照射により用紙10で反射された可視光は、画像読み取り装置44の検出面に結像される。画像読み取り装置44は、用紙10上の可視画像を読み取って、第1の検査画像情報を生成する。上記の通り、可視画像と潜像画像とは重畳されているので、潜像画像は可視画像として読み取られる。
【0135】
また、第2の画像検査部31により画像の検査を行う場合には、同様に、白色光源40が点灯して、消色処理後の用紙10に白色光が照射される。白色光の照射により用紙10で反射された可視光は、画像読み取り装置44の検出面に結像される。画像読み取り装置44は、消色処理後の用紙10上の画像を読み取って、第2の検査画像情報を生成する。
【0136】
次に、消色処理部36の構成を具体的に説明する。
図5は消色処理部の構成の一例を示す概略図である。
図5に示すように、消色処理部36は、矢印B方向に回転する加熱ローラ46と、加熱ローラ46と対向して配置され、矢印C方向に回転する加圧ローラ48とを備えている。加熱ロール46は、例えば、熱伝導性の高い金属性コアの内部にハロゲンランプなどのヒータを備えたローラである。
【0137】
重畳画像12が形成された用紙10は、画像形成面10Aが加熱ローラ46と接触するように、消色処理部36に供給される。重畳画像12が形成された用紙10は、加熱ローラ46と加圧ローラ48とにより挟まれて、矢印D方向に搬送される。これにより、用紙10上に形成された重畳画像12が加熱されて消色し、重畳画像12は潜像画像となる。
【0138】
以上説明した通り、本実施の形態に係る画像形成装置14では、画像形成部24により可視画像と潜像画像とが重畳された重畳画像12が形成され、第1の画像検査部30の可視画像用の画像読み取り装置44により重畳画像12が可視画像として読み取られる。これにより、潜像画像の検査が行われる。また、本実施の形態に係る画像形成装置14では、第1の画像検査部30で検査が行われた後に、消色処理部36で重畳画像12が消色されて潜像画像となる。更に、本実施の形態に係る画像形成装置14では、消色処理部36により消色が行われた後に、第2の画像検査部31で消色後の画像が検査されて、消色処理の成否が確認される。
【0139】
なお、上記の画像形成装置の構成は一例であり、不要な機能部を削除したり、新たな機能部を追加したり、各部の構成、配置を変更してもよい。例えば、上記では、画像形成部24が、赤外線吸収トナーにより重畳画像を形成する単一の画像形成ユニット50を備える場合について説明したが、画像形成部24が複数の画像形成ユニット50を備えていてもよい。以下では、赤外線吸収トナー像を形成する画像形成ユニット50を、「画像形成ユニット50IR」と称する。
【0140】
画像形成部24は、画像形成ユニット50IRの外に、黒色のトナー像を形成する画像形成ユニット50Kを備えていてもよい。画像形成ユニット50Kにより、用紙10上に白黒画像が形成される。また、画像形成ユニット50IRの外に、イエローのトナー像を形成する画像形成ユニット50Y、マゼンダのトナー像を形成する画像形成ユニット50M、シアンのトナー像を形成する画像形成ユニット50C、黒色のトナー像を形成する画像形成ユニット50Kを備えていてもよい。画像形成ユニット50Y、50M、50C、50Kの各々により、用紙10上に対応する色画像が形成される。また、中間転写体等を用いて各色画像が重ねられる構成とした場合には、用紙10上に多色画像が形成される。
【0141】
重畳画像12以外に用紙10上に形成された可視画像も、第1の画像検査部30で検査するようにしてもよい。但し、重畳画像以外の可視画像は消色されない。例えば、潜像画像検査モード、可視画像検査モード等、複数のモードを用意し、操作者によるモード設定に応じて画像形成、画像検査、消色処理を行うようにしてもよい。
【0142】
潜像画像検査モードでは、用紙10上に重畳画像12が形成され、第1の画像検査部30で検査対象画像が読み取られた後に、消色処理部36で重畳画像が消色される。また、消色処理部36で用紙10上の重畳画像12が消色された後に、第2の画像検査部31で検査対象画像(消色後の画像)が読み取られる。一方、可視画像検査モードでは、用紙10上に可視画像が形成され、第1の画像検査部30で検査対象画像が読み取られて、可視画像が形成された用紙10がそのまま排出部60に排出される。
【0143】
また、上記では、消色処理部36が搬送路切替部58の上流側に配置される例について説明したが、消色処理部36を搬送路切替部58と排出部60との間に配置してもよい。この場合は、排出部60に排出される用紙10に消色処理が行われる。
【0144】
<画像検査処理>
次に、画像形成装置14において実施される「画像検査処理」について説明する。本実施の形態に係る画像検査処理の制御プログラムは、制御部18のCPU18Aにより実行される。以下では、潜像画像検査モードが設定されており、上記の画像形成装置14により用紙10上に潜像画像12が形成され、検査される場合について説明する。
【0145】
まず、画像検査処理の概要について説明する。画像検査処理では、予め定めた基準画像に基づいて、検査対象画像の良否が判定される。また、良否の判定に留まらず、検査対象画像の良否に応じた処理を行ってもよい。
【0146】
この処理において「第1の基準画像」とは、用紙10上に予め定めた重畳画像12を形成するために用意される画像である。重畳画像12と潜像画像とは同じ基準画像に基づいて形成される画像である。この第1の基準画像の画像情報が「第1の基準画像情報」である。また、「第1の検査対象画像」とは、画像形成装置14により用紙10上に重畳画像12が形成され、検査される画像である。この検査対象画像の画像情報が「第1の検査画像情報」である。
【0147】
また、この処理において「第2の基準画像」とは、用紙10上の重畳画像12が消色されたことを確認するために用意される画像である。この第2の基準画像の画像情報が「第2の基準画像情報」である。また、「第2の検査対象画像」とは、消色処理部36により用紙10上の重畳画像12が消色された後に、検査される画像である。この検査対象画像の画像情報が「第2の検査画像情報」である。
【0148】
以下の説明では、「第1の基準画像」と「第2の基準画像」とを区別する必要がない場合には、「基準画像」と総称する。また、「第1の検査対象画像」と「第2の検査対象画像」とを区別する必要がない場合には、「検査対象画像」と総称する。
【0149】
上記の検査対象画像と基準画像とを比較して、両画像の差異が閾値以下の場合には優良画像と判定し、両画像の差異が閾値を超える場合には欠陥画像と判定する。例えば、基準画像情報と検査画像情報との差分を算出し、算出された差分が閾値以下の場合には優良画像と判定し、算出された差分が閾値を超える場合には欠陥画像と判定する。基準画像情報と検査画像情報とを対応する画素毎に比較することで、基準画像情報と検査画像情報との差分が算出される。両画像が二値画像である場合には、各画素の画素値は「0」又は「1」となる。従って、画素値の異なる画素の個数に応じて、両画像の差分が算出される。
【0150】
本実施の形態では、
図1(A)に示すように、F字状の重畳画像12を用紙10上に形成するために用意される二値画像を「第1の基準画像」とする。また、F字状の重畳画像12を用紙10上に形成しない場合の二値画像を「第2の基準画像」とする。例えば、潜像画像以外に他の可視画像が形成される場合には「第2の基準画像」は他の可視画像となり、潜像画像のみ形成される場合には「第2の基準画像」は可視画像を有していない白紙画像(無画像)となる。F字状の重畳画像12は、第1の領域12A、第2の領域12B及び第3の領域12Cから構成されている。
【0151】
例えば、第1の画像検査部30で潜像画像の検査を行う場合には、
図6(A)に示すように、F字状の重畳画像12が回転する等、重畳画像12が第1の基準画像とは異なる位置に形成された第1の検査対象画像は、欠陥画像と判定される。また、
図6(B)に示すように、重畳画像12の第3の領域12Cが欠落する等、第1の基準画像の一部が欠けた第1の検査対象画像は、欠陥画像と判定される。
【0152】
また、第2の画像検査部31で潜像画像の検査を行う場合には、F字状の重畳画像12の一部が消色されずに残る等、可視画像が第2の基準画像とは異なる位置に形成された第2の検査対象画像は、欠陥画像と判定される。
【0153】
なお、本実施の形態では、第1の基準画像情報と第1の検査対象画像情報とを比較し、第2の基準画像情報と第2の検査対象画像情報とを比較して、比較された両画像の差分が閾値以下の場合には優良画像と判定し、両画像の差分が閾値を超える場合には欠陥画像と判定する例について説明するが、判定基準はこれに限定される訳ではない。検査対象画像の良否が精度よく判定されるように、判定基準を設定すればよい。
【0154】
例えば、第2の画像検査部31で消色後の画像の検査を行って、消色処理の成否を確認する合には、「第2の基準画像」は用意せずに、「第1の基準画像情報」と「第2の検査対象画像情報」とを比較してもよい。或いは、「第2の基準画像」は用意せずに、第1の画像検査部30で得られた「第1の検査画像情報」と「第2の検査対象画像情報」とを比較してもよい。これらを比較する際は、両画像の差分が閾値を超える場合には消色処理が良好に行われた優良画像と判定し、両画像の差分が閾値以下の場合には消色処理が不完全な欠陥画像と判定してもよい。
【0155】
図7は画像検査処理の処理ルーチンを示すフローチャートである。この処理は、通信部32を介して情報を受信する等により、潜像画像の形成及び検査に要する画像情報及び画像形成情報が取得されると共に、操作表示部20の操作により潜像画像検査モードが設定される等により、潜像画像の画像検査処理の開始が指示された場合に開始される。
【0156】
まず、ステップ100で、取得された画像情報及び画像形成情報を画像形成部24に供給し、取得された情報に基づいて検査対象画像を形成するように画像形成部24に指示する。画像形成部24では、取得された情報に基づいて用紙10上に重畳画像12が形成される。
【0157】
次に、ステップ102で、第1の画像検査部30から第1の検査画像情報を取得する。第1の画像検査部30では、白色光源40が点灯され、重畳画像12が形成された用紙10に白色光が照射される。画像読み取り装置44は、可視画像である重畳画像12を読み取って、第1の検査画像情報を生成する。生成された第1の検査画像情報は、制御部18に出力される。
【0158】
次に、ステップ104で、第1の基準画像情報と第1の検査画像情報との差分を算出する。ステップ102で取得された第1の検査画像情報を二値化処理する。第1の基準画像情報を記憶部34から読み出す。二値化された第1の検査画像情報と第1の基準画像情報とを画素毎に比較して、第1の基準画像情報と第1の検査画像情報との差分を算出する。
【0159】
次に、ステップ106で、第1の基準画像情報と第1の検査画像情報との差分が閾値以下か否かを判断する。差分の「閾値」は、第1の検査対象画像と第1の基準画像との差異が許容範囲か否かに応じて予め設定されている。ステップ106で差分が閾値以下の場合には、肯定判定してステップ108に進む。ステップ106で差分が閾値を超える場合には、否定判定してステップ112に進む。
【0160】
ステップ108では、消色処理を行うように消色処理部36に指示する。消色処理部36では、用紙10が加熱ローラ46と加圧ローラ48とにより挟まれ、用紙10上に形成された重畳画像12が加熱されて消色し、重畳画像12は潜像画像となる。
【0161】
次に、ステップ110で、第2の画像検査部31から第2の検査画像情報を取得する。第2の画像検査部31では、白色光源40が点灯され、重畳画像12が消色された用紙10に白色光が照射される。画像読み取り装置44は、消色処理後の用紙10上の画像を読み取って、第2の検査画像情報を生成する。生成された第2の検査画像情報は、制御部18に出力される。
【0162】
次に、ステップ116で、第2の基準画像情報と第2の検査画像情報との差分が閾値以下か否かを判断する。差分の「閾値」は、第2の検査対象画像と第2の基準画像との差異が許容範囲か否かに応じて予め設定されている。ステップ116で差分が閾値以下の場合には、肯定判定してステップ118に進む。ステップ116で差分が閾値を超える場合には、否定判定してステップ120に進む。
【0163】
次に、ステップ118で、用紙10を排出部60に排出するように用紙排出部28に指示して、処理ルーチンを終了する。用紙排出部28では、搬送ローラ21が駆動され、潜像画像が形成された用紙10が排出部60に排出される。
【0164】
一方、ステップ106で否定判定されてステップ112に進むと、ステップ112では、消色処理を行うように消色処理部36に指示する。続いて、ステップ114で、用紙10を廃棄部62に廃棄するように用紙排出部28に指示して、処理ルーチンを終了する。用紙排出部28では、搬送路切替部58により用紙搬送路が切り替えられ、搬送ローラ21が駆動されて、消色処理された用紙10が廃棄部62に廃棄される。
【0165】
また、ステップ116で否定判定されてステップ120に進むと、ステップ120では、用紙10を廃棄部62に廃棄するように用紙排出部28に指示して、処理ルーチンを終了する。用紙排出部28では、搬送路切替部58により用紙搬送路が切り替えられ、搬送ローラ21が駆動されて、消色処理された用紙10が廃棄部62に廃棄される。
【0166】
即ち、本実施の形態では、良否の判定に留まらず、検査対象画像の良否に応じた処理が行われる。ステップ106での判定結果に応じて、差分が閾値以下の場合には、優良画像が形成された用紙10として消色処理後に通常通り排出部60に排出される。一方、差分が閾値を超える場合には、欠陥画像が形成された用紙10として消色処理後に抜き取られて廃棄部62に廃棄される。また、ステップ116での判定結果に応じて、差分が閾値以下の場合には、消色処理が良好に行われた用紙10として画像検査後に通常通り排出部60に排出される。一方、差分が閾値を超える場合には、消色処理が不十分な用紙10として画像検査後に抜き取られて廃棄部62に廃棄される。
【0167】
以上説明した通り、本実施の形態に係る画像検査処理では、潜像画像検査モードが設定された場合には、用紙10上に可視画像である重畳画像12が検査対象画像として形成され、第1の画像検査部30の可視画像用の画像読み取り装置44により検査対象画像が読み取られる。第1の画像検査部30で検査が行われた後に、消色処理部36で重畳画像12が消色されて潜像画像とされる。ここで、第1の画像検査部30による検査結果に応じて、優良画像が形成された用紙10は消色処理後に通常通り排出され、欠陥画像が形成された用紙10は消色処理後に抜き取られて廃棄される。
【0168】
また、本実施の形態に係る画像検査処理では、潜像画像検査モードが設定された場合には、消色処理部36で重畳画像12が消色された後に、第2の画像検査部31の可視画像用の画像読み取り装置44により、消色処理後の用紙10から検査対象画像が読み取られる。ここで、第2の画像検査部31による検査結果に応じて、消色処理が良好に行われた用紙10は通常通り排出され、消色処理が不十分な用紙10は抜き取られて廃棄される。
【0169】
なお、上記の画像検査処理では、基準画像と検査対象画像の差異が閾値以下か否かで検査対象画像の良否を判定する例について説明したが、予め定めた基準画像に基づいて検査対象画像の良否が判定されればよく、画像検査手法はこれに限定されるものではない。例えば、基準画像と検査対象画像の類似度を算出し、算出された類似度が閾値以上か否かで検査対象画像の良否を判定してもよい。
【0170】
基準画像と検査対象画像の類似度は、例えば、基準画像の特徴量と検査対象画像の特徴量との距離に基づいて算出してもよい。特徴量としては、画像の輝度分布、画像の周波数特性、オブジェクトの形状等がある。特徴量間の距離としては、ユークリッド距離等がある。基準画像と検査対象画像の類似度が閾値以上の場合には優良画像と判定し、両画像の類似度が閾値を下回る場合には欠陥画像と判定する。
【0171】
また、二次元コード等の符号化された情報が潜像画像に埋め込まれている場合には、符号化された情報を復号し、復号して得られた情報が符号化前の情報と一致しているか否かで、検査対象画像の良否を判定してもよい。
【0172】
なお、上記では、画像形成装置で行われる画像検査処理を制御プログラムとして説明したが、各手順に対応する回路を備えたハードウエア構成としてもよい。また、上記制御プログラムの処理ルーチンは一例であり、不要なステップを削除したり、新たなステップを追加したり、処理順序を入れ替えたりしてもよい。
【0173】
<変形例>
なお、本実施の形態では、画像形成装置14の内部に第1の画像検査部30、消色処理部36及び第2の画像検査部31を備える例について説明したが、画像形成装置14の外部に配置され、画像形成装置14とは独立した画像検査装置としてもよい。画像検査装置は、外部の画像形成装置で重畳画像12が形成された用紙10から検査対象画像を読み取り、用紙10に対し消色処理を実施する。画像検査装置は、上記の画像形成装置14の用紙供給部26、第1の画像検査部30、消色処理部36及び第2の画像検査部31と、これら各部を制御する制御部18と、用紙を搬送する搬送機構と、を含んで構成される。例えば、上記の画像形成装置14の各部のうち画像形成部24を省略した構成としてもよい。この場合は、既に重畳画像12が形成された用紙10が、用紙供給部26から第1の画像検査部30に供給される。
【0174】
また、本実施の形態では、画像形成部24により用紙10上に形成された画像を検査する例について説明したが、予め重畳画像12が形成された用紙10から検査対象画像を読み取るようにしてもよい。例えば、予め重畳画像12が形成された用紙10を、用紙供給部26から供給する。画像形成部24では画像形成を行わずに、上記用紙10を第1の画像検査部30に供給する。第1の画像検査部30は、供給された上記用紙10上の画像を検査する。
【0175】
なお、用紙10の両面に重畳画像12が形成されている場合もある。従って、用紙10の両面から検査対象画像を読み取るように、第1の画像検査部30を構成してもよい。第2の画像検査部31についても、第1の画像検査部30と同様の変形例が採用される。
【0176】
例えば、
図2に示したように、第1の画像検査部30を2箇所に配置してもよい。用紙10の一方の面に対向するように1つ目の第1の画像検査部30(実線で図示)を配置すると共に、用紙10の他方の面に対向するように2つ目の第1の画像検査部30(点線で図示)を配置して、用紙10の両面から検査対象画像を読み取るようにしてもよい。なお、2つ目の第1の画像検査部30は、用紙10の他方の面から画像を読み取れるように配置されていればよく、その位置は点線で図示した位置に限定される訳ではない。また、検査対象画像と基準画像とを比較する場合に、検査対象画像の上下を反転させて、反転させた検査対象画像と基準画像とを比較してもよい。
【0177】
或いは、第1の画像検査部30を1箇所に配置して、用紙搬送路において用紙10の表裏を反転させる用紙反転機構(図示せず)を追加してもよい。用紙10の一方の面から検査対象画像を読み取った後に、用紙10の表裏を反転させて同じ第1の画像検査部30に供給し、用紙10の他方の面から検査対象画像を読み取るようにしてもよい。
【0178】
また、用紙10の両面に重畳画像12が形成されている場合には、用紙10の両面に対し消色処理を行うように消色処理部36を構成してもよい。例えば、
図5に示す消色処理部36は、加熱ローラ46と加圧ローラ48とを備えているが、加圧ローラ48を加熱ローラに変更することで、用紙10の両面が加熱される。
【0179】
また、本実施の形態では、第1の画像検査部30で検査対象画像を読み取る例について説明したが、予め重畳画像12が形成された用紙10から検査対象画像を読み取る場合には、画像読取部22で検査対象画像を読み取るようにしてもよい。原稿用紙の画像を読み取りと同様に、検査対象画像が読み取られる。
図8は画像読取部22の構成の一例を示す概略構成図である。
【0180】
図8に示すように、画像読取部22は、筐体70、筐体70の開口部に配置されたプラテンガラス等の光透過部72、移動しながら光透過部72上に置かれた用紙10を光走査する走査ユニット74、用紙10で反射された反射光の光路を変更するミラー等の光路変更部80、CCDイメージセンサ等の光学的な画像読み取り装置82を含んで構成されている。走査ユニット74は、用紙10に白色光を照射する白色光源76、ミラー等の光路調整機構を含んで構成されている。また、画像読み取り装置82は、可視画像を読み取る通常のイメージセンサで構成されている。
【0181】
図8に示すように、潜像画像の検査を行う場合には、走査ユニット74内の白色光源76が点灯して、光透過部72上に置かれた用紙10が白色光で走査される。白色光の照射により用紙10で反射された可視光は、光路変更部80により光路が変更されて、画像読み取り装置82の検出面に結像される。画像読み取り装置82は、可視画像である重畳画像12を読み取って、検査画像情報を生成する。なお、この場合は、潜像画像を得るために、重畳画像12が形成された用紙10に対して、別途、消色処理を行う必要がある。
【0182】
また、本実施の形態では、優良画像が形成された用紙10は通常通り排出され、欠陥画像が形成された用紙10は抜き取られて廃棄される例について説明したが、欠陥画像が形成された用紙と優良画像が形成された用紙とを操作者が識別できればよく、消色前後での検査結果に応じた処理はこの例に限定される訳ではない。
【0183】
例えば、消色処理前に欠陥画像が形成された用紙10は、消色処理を行わずに排出してもよい。また、操作表示部20に、欠陥画像が形成された用紙10である旨を報知する画面を表示してもよい。また、欠陥画像が形成された用紙10を、優良画像が形成された用紙10とは位置をずらして排出する、向きを変えて排出する等の処理を行ってもよい。
【0184】
或いは、排出部60の上流側に後処理装置(図示せず)を配置して、消色前後での検査結果に応じた後処理を行ってもよい。例えば、消色処理前に欠陥画像が形成された用紙10については、消色処理を行ってもよく、消色処理を行わなくてもよい。従って、後処理装置(図示せず)は、消色処理部36の上流側に配置してもよく、消色処理部36の下流側に配置してもよい。
【0185】
図9(A)〜(C)は検査結果に応じた処理の一例を示す模式図である。
図9(A)に示すように、欠陥画像が形成された用紙10に貫通孔16Aを形成する「穴あけ処理」を行ってもよい。また、
図9(B)に示すように、欠陥画像が形成された用紙10の一部を切り取って、切り欠き16Bを形成する「切り取り処理」を行ってもよい。
【0186】
また、
図9(C)に示すように、欠陥画像が形成された用紙10にスタンプを押す等して、欠陥画像であることを表示する画像16Cを形成する「画像形成処理」を行ってもよい。また、欠陥画像が形成された用紙10に付箋を付す等の「添付処理」を行ってもよい。これらの後処理は、上記の後処理装置で行う代わりに、検査結果に応じて操作者が行ってもよい。例えば、操作表示部20により欠陥画像が形成された用紙10である旨が報知された場合に、操作者が上記の後処理を行ってもよい。
【0187】
また、上記各実施形態で説明した画像保持媒体、画像形成材料、画像形成装置、画像検査処理の構成は一例であり、本発明の主旨を逸脱しない範囲内においてその構成を変更してもよいことは言うまでもない。