(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明を実施するための形態】
【0018】
以下、図面を参照して本発明の実施形態について説明する。なお、以下に説明する実施の形態は、画像生成システムに対して本発明を適用した場合の実施形態である。
【0019】
[1.画像生成システムの構成および機能の概要]
(1.1 画像生成システム1の構成および機能)
【0020】
まず、本発明の一実施形態に係る画像生成システムの構成および概要機能について、
図1を用いて説明する。
【0021】
図1は、本実施形態に係る画像生成システム1の概要構成例を示すブロック図である。
【0022】
図1に示すように、画像生成システム1は、所定の位置で撮像された被写体5の画像から仮想位置から撮像した場合の画像を生成する画像生成装置10と、所定の位置で被写体5を撮像する撮像装置(撮像手段の一例)20と、を備えている。
【0023】
画像生成装置10は、撮像装置20により撮像された複数の画像の画像データの入力を受け付ける画像入力手段10aと、RGB信号の画像データから各画素の色相を求める変換を行う色相変換手段10bと、色相変換された画像データから、画像の特徴点を抽出する特徴点抽出手段10cと、画像間で対応する特徴点を求める対応点探索手段10dと、対応する特徴点の間の距離を有する視差ベクトルを算出する視差ベクトル算出手段10eと、仮想位置を設定する位置設定手段10fと、仮想位置で撮像された画像を生成する画像生成手段10gと、生成された画像を表示する表示部13と、を有する。
【0024】
撮像装置20は、撮像手段の一例である左目用の撮像装置20aと、右目用の撮像装置20bとを有し、ステレオカメラを構成する。被写体5に対して、例えば、水平方向に、撮像装置20aと、撮像装置20bとは、所定の距離を置いて設置される。撮像装置20aが設置される位置が、第1位置の一例であり、撮像装置20bが設置される位置が、第2位置の一例である。撮像装置20a、20bは、静止画を撮像するスチルカメラ、または、動画を撮像するビデオカメラであり、解像度や、色の階調等に関して同一の性能を有する。撮像装置20a、20bの出力は、デジタル出力であるが、アナログ出力の撮像装置の場合は、A/D変換器を有し、デジタル信号を出力する。
【0025】
撮像装置20aは、被写体5を左寄りから撮影し、左目用の画像(第1位置で撮像された第1画像の一例)を出力する。撮像装置20bは、被写体5を右寄りから撮影し、右目用の画像(第2位置で撮像された第2画像の一例)を出力する。
【0026】
撮像装置20aおよび撮像装置20bは、画像生成装置10の画像入力手段10aに接続される。
【0027】
(1.2 画像生成装置10の構成および機能)
次に、画像生成装置10の構成および機能について、
図2を用いて説明する。
図2は、画像生成装置10の概要構成の一例を示すブロック図である。
【0028】
図2に示すように、画像生成装置10は、例えば、パーソナルコンピュータやサーバ装置等であり、通信部11と、記憶部12と、表示部13と、操作部14と、入出力インターフェース部15と、システム制御部16とを備えている。そして、システム制御部16と入出力インターフェース部15とは、システムバス17を介して接続されている。
【0029】
通信部11は、画像生成装置10の外部等とのデータや信号の送受信を行う。例えば、ネットワーク接続に使用される。
【0030】
記憶部12は、例えば、ハードディスクドライブ等からなり、オペレーティングシステム、制御用のプログラムや画像処理用のプログラム等を記憶する。
【0031】
表示部13は、例えば、液晶表示素子またはEL(Electro Luminescence)素子等によって構成されている。表示部13には、撮像装置20により撮像された被写体5の画像や、生成された画像が表示される。
【0032】
操作部14は、例えば、キーボードおよびマウス等によって構成されている。
【0033】
入出力インターフェース部15は、撮像装置20aおよび撮像装置20bの出力端に直接接続される部分で、画像入力手段10aの機能を実現するインターフェースである。撮像装置20(20a、20b)、通信部11および記憶部12とシステム制御部16とのインターフェースである。
【0034】
システム制御部16は、例えば、CPU16aと、ROM16bと、RAM16cとを有する。システム制御部16は、CPU16aが、ROM16bや、RAM16cや、記憶部12に記憶された各種プログラムを読み出して実行する。例えば、システム制御部16は、画像処理のプログラムを実行し、色相変換手段10b、特徴点抽出手段10c、対応点探索手段10d、視差ベクトル算出手段10e、位置設定手段10f、画像生成手段10g等の機能を実現する。
【0035】
(1.3 仮想的な撮像装置の位置)
次に、仮想的な撮像装置の位置(仮想位置)について
図3を用いて説明する。
図3は、撮像装置20a、20bの位置と、仮想的な撮像装置の位置との位置関係の一例を示す模式図である。
【0036】
図3に示すように、撮像装置20aと撮像装置20bとは、x方向(例えば水平方向)に距離Lで設置されている。撮像装置20aと撮像装置20bと間に、仮想的な撮像装置25が3台設定される。撮像装置25a、撮像装置25b、および、撮像装置25cは等間隔に設定される。撮像装置20aの設置位置の第1位置0を基準として、撮像装置20bの設置位置の第2位置Lとすると、第3位置の一例として、撮像装置25aの場合、位置L/4、撮像装置25bの場合、位置L/2、撮像装置25cの場合、位置3L/4が設定される。ここで、仮想的な撮像装置25により撮像された場合の画像を中間視差画像(第3画像の一例)とする。
【0037】
[2.画像生成システムの動作]
次に、本発明の1実施形態に係る画像生成システムの動作について
図4から
図12を用いて説明する。
図4は、画像生成装置10の動作例を示すフローチャートである。
図5は、撮像装置20により撮像された画像の一例を示す模式図である。
図6は、撮像された画像に対するスキャン方向の一例を示す模式図である。
図7は、クラスタリングされインデックス化されたラインデータの一例を示す模式図である。
図8は、色相変換された画像の一例を示す模式図である。
図9は、撮像された画像の特徴点(基準点)および視差ベクトルの一例を示す模式図である。
図10は、撮像された画像の基準点、および、仮想的な撮像装置から撮像された場合の画像の基準点の一例を示す模式図である。
図11および
図12は、基準点周りの画素値の関係性の一例を示す模式図である。
【0038】
ここで、中間視差画像を生成方法の原理について簡単に説明する。
本提案手法では中間視差画像を生成する上で、画素値を算出して補間をするのでは無く、視点の移動による物体の移動距離を用いることにより、画像間の動きの軌跡を逆にたどり、2枚の元画像30a、30bに存在する画素のみを用いて中間視差画像を生成する。
【0039】
また、2枚の元画像30a、30bから互いに対応する特徴点を抽出し、特徴点から視差ベクトルを算出する。そして、生成される中間視差画像において、元画像の特徴点と近似した値の画素は、必ず特徴点間に存在すると考えられる。例えば、
図3に示すように等間隔で仮想的な撮像装置25a、25b、25cが設置されているとすると、移動距離(視差ベクトルの長さ)を4で割ることにより位置関係が求まり、中間視差画像における特徴点と等しい値の画素がどのような間隔で配置されているかがわかる。そのため、中間視差画像において元画像30a、30bの特徴点に対応する基準点が、位置関係と視差ベクトルとに従い求まる。この基準点の周りに画素配置をしていくことにより、中間視差画像を生成することができる。なお、基準点は、第3画像における対応する特徴点の一例である。
【0040】
まず、画像生成システムの動作として、画像生成装置10のシステム制御部16は、
図3に示すように、第3位置の一例として、仮想的な撮像装置25a、25b、25cの位置(例えば、L/4、L/2、3L/4)を予め設定しておく。このように画像生成装置10のシステム制御部16は、第1位置と第2位置との間に第3位置を設定する位置設定手段10fの一例として機能する。
【0041】
そして、画像生成装置10のシステム制御部16は、仮想的な撮像装置25a、25b、25cの位置に応じた中間視差画像を生成するための記憶領域を、記憶部12に予め設定しておく。
【0042】
次に、
図4に示すように、画像生成装置10は、左右の画像の入力を受け付ける(ステップS1)。具体的には、画像生成装置10のシステム制御部16は、
図5に示すように、被写体5を左側から撮像した画像30a(第1画像の一例)を、撮像装置20aから受け付け、右側から撮像した画像30b(第2画像の一例)を、撮像装置20bから受け付ける。画像30aは、撮像装置20aの位置(第1位置の一例)から撮像した画像であり、画像30bは、撮像装置20bの位置(第2位置の一例)から撮像した画像である。なお、画像のデータは、RGB信号のデータである。このように、画像生成装置10のシステム制御部は、複数の撮像手段により第1位置から撮像された第1画像と、第2位置から撮像された第2画像との入力を受け付ける画像入力手段10aの一例として機能する。
【0043】
次に、画像生成装置10は、各画像の1ライン分の画像データを取得する(ステップS2)。具体的には、画像生成装置10のシステム制御部16は、
図6に示すよう、撮像された各画像30a、30bをx方向にスキャンして1ライン分の画像データを取得する。なお、スキャン方向のx方向は、第1位置と第2位置とを結ぶ方向の一例である。
【0044】
次に、画像生成装置10は、RGB信号に対してHSV変換を行う(ステップS3)。具体的には、画像生成装置10のシステム制御部16は、下記の式に従い、RGB信号の各画像のデータの1ライン分の各画素に対して、各画素の色相Mxyを求める。
【数1】
【0045】
ここで、RGB信号の画像のデータにおけるR、G、Bの各値は、0.0を最小量、1.0を最大値とする0.0から1.0の範囲とする。R、G、Bの三つの値の内、最大のものをMAX、最小のものをMINをとする。なお、R=G=B(黒、白、グレー)の時は、Mxyは計算せず、特定の値を割り当てる。このように画像生成装置10のシステム制御部16は、第1画像および第2画像の各画素の色相を求める色相変換を行う色相変換手段10bの一例として機能する。
【0046】
次に、画像生成装置10は、色相のグルーピングを行う(ステップS4)。具体的には、画像生成装置10のシステム制御部16は、色相Mxyの値をグループ化することによりセグメント化して、各点におけるMxyを求め、色相のグルーピングを行う。MxyをグルーピングしたものをAxyと定義する。
【数2】
【0047】
この例では、色相のグルーピングのグループ数は6としている。加えて、R=G=B(黒、白、グレー)のように、色以外のグループがあるので、合計で7グループとなる。そして、
図7に示すように、各画像30a、30bにおいて、HSV変換されたラインデータには、クラスタのインデックス情報が入力される。インデックスは、0〜6までの数値とする。R=G=Bのように色以外に対して”0”を、グループHYに対して”1”を、グループHGに対して”2”を、グループHCに対して”3”を、グループHBに対して”4”を、グループHMに対して”5”を、グループHRに対して”6”を各画素に割り当てる。このように画像生成装置10のシステム制御部16は、色相を当該色相の値の範囲に応じてグループに分類し、グループに対するインデックスを色相の値とした色相の画像に変換する色相変換手段の一例として機能する。なお、グループ数は、更に細分化することも可能である。
【0048】
ここで、全ラインに対して色相を求め、色相のグルーピングした場合、
図8に示すように、各画像30a、30bに対して色相の画像32a、32bが得られる。
【0049】
次に、画像生成装置10は、色相のグループの境界探索を行う(ステップS5)。具体的には、画像生成装置10のシステム制御部は、
図7に示すように、各画像30a、30bにおいて、矢印の方向に、インデックスの値が変化する境界の位置の探索を行う。これにより各画像30a、30bのエッジ情報が得られる。
【0050】
次に、画像生成装置10は、特徴点の位置を特定する(ステップS6)。具体的には、画像生成装置10のシステム制御部16は、
図7に示すように、各画像30aにおいて、色相のインデックスが”0”から”2”に変化した境界の位置の画素40a、”2”から”4”に変化した境界の位置の画素41a、”4”から”1”に変化した境界の位置の画素を、特徴点の画素として特定する。同様に、画像生成装置10のシステム制御部16は、各画像30bにおいて、色相のインデックスが”0”から”2”に変化した境界の位置の画素40b、”2”から”4”に変化した境界の位置の画素41bを、特徴点の画素として特定する。このように、色相の値にある一定の差がある箇所が特徴点として選択される。また、画像生成装置10のシステム制御部16は、色相変換された第1画像および第2画像から、第1画像および第2画像の特徴点を抽出する特徴点抽出手段10cの一例として機能する。また、画像生成装置10のシステム制御部16は、色相の変化が生じた箇所を特徴点として抽出する特徴点抽出手段の一例として機能する。
【0051】
次に、画像生成装置10は、対応する特徴点の探索を行う(ステップS7)。具体的には、画像生成装置10のシステム制御部16は、画像30aのラインデータと、画像30bのラインデータとにおいて、スキャン方向に従って、順に出現する特徴点を各々順序付けし、特徴点位置の(色相変換前の)元画像のパターンマッチングを行うことで順次対応する特徴点を探索する。例えば、画素40aの特徴点と、画素40bの特徴点とは対応し、画素41aの特徴点と、画素41bの特徴点とは対応するとする。また、
図9に示すように、画素42aの特徴点と、画素42bの特徴点とは対応するとする。このように画像生成装置10のシステム制御部16は、第1画像と第2画像とにおいて対応する特徴点を求める対応点探索手段10dの一例として機能する。なお、対応する点が存在しない場合は、その特徴点は、特徴点の扱いをしないようにする。
【0052】
次に、画像生成装置10は、視差ベクトルを算出する(ステップS8)。具体的には、画像生成装置10のシステム制御部16は、
図9に示すように、スキャン方向(x方向)の視差ベクトル50を算出する。視差ベクトル50は、画像30aの特徴点の画素42aと、画像30bの対応する特徴点の画素42bとすると、(左目)画像30aを基準、例えば、画像30aの特徴点の画素42aのx方向の位置”4”を基準に、(右目)画像30bの特徴点の画素42bのx方向の位置”16”までの距離(12画素の分)(視差ベクトルの長さ)を有する。画像生成装置10のシステム制御部16は、視差ベクトル50を算出するする過程で、抽出した特徴点により対応する特徴点の間の距離(12画素の分の長さ)を算出している。このように画像生成装置10のシステム制御部16は、対応する特徴点の間の距離を有する視差ベクトルを算出する視差ベクトル算出手段10eの一例として機能する。
【0053】
なお、
図9において、便宜上、画像30aおよび画像30bの1〜4ラインのラインデータのみが示されていて、第2ラインがデータ処理されているとする。さらに、仮想的な撮像装置25aから撮像した場合の中間視差画像35a、仮想的な撮像装置25bから撮像した場合の中間視差画像35b、仮想的な撮像装置25cから撮像した場合の中間視差画像35cにおいても、1〜4ラインのラインデータのみが示されている。また、
図9において、矢印は、視点が左側から右側、または、右側から左側に移動した場合の特徴点の移動方向を表す。
【0054】
次に、画像生成装置10は、視差ベクトルと視差との関係から、中間視差画像の基準点の位置を決定する(ステップS9)。画像生成装置10のシステム制御部16は、
図10に示すように、仮想的な撮像装置25a、25b、25cの位置(例えば、L/4、L/2、3L/4)と、撮像装置20aと撮像装置20bとの距離Lとの比(第1位置および第2位置に対する第3位置の位置関係)と、視差ベクトル50の長さ(12画素)とに従い、第2ラインにおける基準点の画素45a、45b、45cを求める。このように画像生成装置10のシステム制御部16は、視差ベクトル50を用いて、左右の画像の特徴点の位置を線形計算することにより、中間視差画像の特徴点の位置、すなわち、基準点の位置を割り出す。
【0055】
例えば、画像生成装置10のシステム制御部16は、視差ベクトル50に、長さL/4と長さLとの比を掛けた視差ベクトル51(長さ3画素)と、特徴点の画素42aの位置とにより、中間視差画像35aの基準点の画素45aの位置を求める。また、画像生成装置10のシステム制御部16は、視差ベクトル50に、長さL/2と長さLとの比を掛けた視差ベクトル52(長さ6画素)と、特徴点の画素42aの位置とにより、中間視差画像35bの基準点の画素45bの位置を求める。また、画像生成装置10のシステム制御部16は、視差ベクトル50に、長さ3L/4と長さLとの比を掛けて向きを逆にした視差ベクトル53(長さ3画素)と、特徴点の画素42bの位置と、により、中間視差画像35cの基準点の画素45cの位置を求める。このように画像生成装置10のシステム制御部16は、第3画像における対応する特徴点の位置を、第3位置の位置関係に対応する比率と視差ベクトルとから決定する画像生成手段の一例として機能する。
【0056】
次に、画像生成装置10は、1ラインの中間視差画像を生成する(ステップS10)。画像生成装置10のシステム制御部16は、基本的に、視点の移動による特徴点のシフト量が少ない方の画像、すなわち、仮想的な撮像装置25、25b、25cが近い撮像装置20a、20bの画素値を利用して、中間視差画像35a、35b、35cを生成していく。例えば、画像生成装置10のシステム制御部16は、
図10に示すように、左目の画像30aの画素値”p”を利用して、中間視差画像35aの第2ラインの画素45aの画素値、および、中間視差画像35bの第2ラインの画素45bの画素値を求め、レンダリングする。一方、画像生成装置10のシステム制御部16は、右目の画像30bの画素値”p’”を利用して、中間視差画像35cの第2ラインの画素45cの画素値を求め、レンダリングする。なお、画素45aは、左目の画像30aの画素42aからのシフト量が3画素分であり、右目の画像30bの画素42bからのシフト量が9画素分であり、左目の画像30aからの方が、シフト量が少ない。
【0057】
そして、画像生成装置10のシステム制御部16は、基準点の画素45a、45b、45c以外の画素値を求める。画像生成装置10のシステム制御部16は、求めた画素値を、中間視差画像35a、35b、35cを生成するための記憶領域の対応する画素の箇所に記憶して行き、中間視差画像35a、35b、35cの画素を生成する。
【0058】
ここで、ステレオ画像の性質として、右画像と左画像はお互いに同じ画像が平行移動したものである。これは、基準点周りの画素において考えると、基準点は特徴点であるため、特徴点に隣り合う画素は左目の画像30a、右目の画像30bと共に近似的な関係であると考えられる。
図11に示すように、左目の画像30aの基準点の画素42a(画素値”p”)に隣り合う画素43a(画素値”o”)について着目した時、右目の画像30bの基準点の画素42b(画素値”p’”)に隣り合う画素43b(画素値”o’”)は、画素43aに対して近似的な画素値となる。
【0059】
この関係を利用することにより、中間視差画像35a、35b、35cにおける基準点の画素の隣の画素については、画素値”o”、および、画素値”o’”のいずれか一方を利用することで、基準点周りの画素の画素値を補間することができる。画素値”o”、および、画素値”o’”のいずれか一方を利用するかは、左目の画像30a、右目の画像30bのどちらの特徴点のシフト量が少ないかにより決定する。
【0060】
従って、画像生成装置10のシステム制御部16は、
図11に示すように、中間視差画像35aの画素46aの画素値を、視差ベクトル53に従い、左目の画像30aの画素43aの画素値”o”から求める。そして、画像生成装置10のシステム制御部16は、中間視差画像35bの画素46bの画素値を、左目の画像30aの画素43aの画素値”o”から求め、中間視差画像35cの画素46cの画素値を、右目の画像30bの画素43bの画素値”o’”から求める。さらに
図12に示すように、画像生成装置10のシステム制御部16は、画素46a、46b、46cの隣の画素においても適用することにより、ラインの画素を補間する。
【0061】
なお、
図12に示すように、中間視差画像において、中間視差画像35aの画素47aの場合のように、画像端に注目すると、右目の画像30bには存在する画素でも、左目の画像30aには存在しない画素領域がある。この場合、画像生成装置10のシステム制御部16は、右目の画像30bの画素44bの画素値”l’”を利用して、右目の画像30b側を起点とした視差ベクトル54に従い、中間視差画像35aの画素47aの画素値”l’”を求める。画像生成装置10のシステム制御部16は、中間視差画像35bの画素47b、および、中間視差画像35cの画素47cの画素値も同様に求める。このように、視差ベクトルに従って、距離が近い方の画像30a、30bの画素が無い場合、画像生成装置10のシステム制御部16は、シフト量が多い方の画像30b、30aの画素の画素値を用いて、中間視差画像の画素の画素値を求める。
【0062】
そして、画像生成装置10のシステム制御部16は、中間視差画像35a、35b、35cの所定のラインデータの全ての画素に対して、画素値を求め、記憶部12において、中間視差画像35a、35b、35cを生成するための記憶領域に記憶する。
【0063】
次に、画像生成装置10は、次のラインに移動できるか否かを判定する(ステップS11)。具体的には、画像生成装置10のシステム制御部16は、画像30a、30bの最後のラインか否かを判定する。現在第2ラインの処理が終了した場合は、次の第3ラインに移動できるので(ステップS11;YES)、画像生成装置10のシステム制御部16は、処理対象を次のラインに移動させて、ステップS2に戻る。
【0064】
このように画像生成装置10のシステム制御部16は、第1位置および第2位置に対する第3位置の位置関係と視差ベクトルとに従い、第1画像と第2画像とから、第3位置から撮像された場合の第3画像を生成する画像生成手段10gの一例として機能する。また画像生成装置10のシステム制御部16は、視差ベクトルに従い、第1位置および第2位置のうち第3位置に近い方の位置の第1画像または第2画像の画素の情報を用いて第3画像を生成する画像生成手段の一例として機能する。また画像生成装置10のシステム制御部16は、視差ベクトルに従った画素が無い場合、前記第1位置および第2位置のうち第3位置から遠い方の位置の第1画像または第2画像の画素の情報を用いて第3画像を生成する画像生成手段の一例として機能する。
【0065】
また、最後のラインの処理が終わった場合(ステップS11;NO)、画像生成装置10は、中間視差画像を表示する(ステップS12)。具体的には、画像生成装置10のシステム制御部16は、記憶部12から中間視差画像を読み出し、表示部13に各中間視差画像35a、35b、35cを表示する。
【0066】
以上、本実施形態によれば、複数の撮像手段の一例である撮像装置20a、20bにより、第1位置(x=0)から撮像された第1画像30aと、第2位置(x=L)から撮像された第2画像30bとの入力を受け付け、第1画像および第2画像の各画素の色相を求める色相変換を行い、色相変換された第1画像および第2画像から、第1画像および第2画像の特徴点を抽出し、第1画像と第2画像とにおいて対応する特徴点を求め、対応する特徴点の間の距離を有する視差ベクトル50を算出し、第1位置と第2位置との間に第3位置(位置L/4、位置L/2、位置3L/4)を設定し、第1位置および第2位置に対する第3位置の位置関係と視差ベクトルとに従い、第1画像と第2画像とから、第3位置から撮像された場合の第3画像35a、35b、35cを生成することにより、特殊なカメラは使用せず、奥行き情報無しに、第3位置の位置関係と視差ベクトルとに従い、特徴点間の画像データを描画するので、低コストで、より少ない演算量で画像を生成することができる。
【0067】
また、本実施形態において使用する撮像装置20a、20bは、通常のスチルカメラまたビデオカメラであるので、本実施形態は実現しやすい手法である。本実施形態に置いて撮像装置20a、20bは、動画撮影をする場合には同期撮影であってもよい。
【0068】
また、色相の変化に応じて特徴点を抽出する場合、色相により特徴点を求めているので、輝度による影響が出ない。
【0069】
また、色相を当該色相の値の範囲に応じてグループに分類し、当該グループに対するインデックスを色相の値とした色相の画像に変換する場合、HSV変換を用いての色相変換を施すことにより、色相によるグルーピング処理が行われ、色相のグループの境界が容易に抽出される。また、ラインごとに処理を行うため、画素マトリックスレベルでのクラスタリングが必要ないため、処理が容易である。画像生成装置10において、必要なメモリ、演算量といったシステム要件を下げることができ、またハード化しやすい。
【0070】
第1画像30aおよび第2画像30bの各画像のスキャン方向(x方向)は、第1位置(x=0)と第2位置(x=L)とを結ぶ方向である場合、スキャン方向と、視差ベクトル50の方向(撮像装置20aと、撮像装置20bとの設置方句)とが平行になり、視差ベクトル50が求めやすくなる。すなわち、画像生成装置10のシステム制御部16は、対応する特徴点の間の距離(視差ベクトルの長さ)を求めるだけで、視差ベクトル50を求めることができる。
【0071】
画像生成装置10のシステム制御部16が、第3画像(各中間視差画像35a、35b、35c)における対応する特徴点の位置を、第3位置の位置関係に対応する比率と視差ベクトルとから決定する場合、中間視差画像35a、35b、35cを描画する基準となる基準点を容易に決めやすくなる。
【0072】
画像生成装置10のシステム制御部16が、視差ベクトル50に従い、第1位置および第2位置のうち第3位置に近い方の位置の第1画像30aまたは第2画像30bの画素から第3画像を生成する場合、中間視差画像に位置的に近い方の画像の画素を利用して描画を行うため、より自然な画像を生成できる。
【0073】
画像生成装置10のシステム制御部16が、視差ベクトル50に従った画素が無い場合、前記第1位置および第2位置のうち前記第3位置から遠い方の位置の第1画像または第2画像の画素の情報を用いて第3画像を生成する場合、一方の撮像装置では、画像の端となり、写らない所の画像も生成できる。
【0074】
画像生成装置10のシステム制御部16が、複数の第3位置を設定し、複数の第3画像(中間視差画像35a、35b、35c)を生成する場合、容易に多眼的に複数の中間視差画像35a、35b、35cを生成できる。
【0075】
なお、画像30aと画像30bが同一の解像度で無い場合、画像生成装置10のシステム制御部16は、画像30aと画像30bとの解像度を合わせてから、ステップS1からの処理を行ってもよい。
【0076】
特徴点を求める際の方向は、スキャン方向のx方向に限らず、y方向でも構わない。
【0077】
また、撮像装置20aおよび撮像装置20bが、水平方向(x方向)以外に設置されていてもよい。例えば、上下方向(y方向)に設置されている場合、スキャン方向はy方向が好ましい。
【0078】
また、画像生成装置10のシステム制御部16が、特徴点を求める際、色相変換された画像に対して、微分マスクを使い、エッジを求めてもよい。
【0079】
また、画像生成装置10のシステム制御部16は、SSD(Sum of Squared Difference)、SAD(Sum of Absolute Difference)等のマッチング手法により、特徴点同士の一致の度合いを評価し、対応する特徴点を求めてもよい。例えば、画像生成装置10のシステム制御部16は、第1画像30aおよび第2画像30bのライン方向における画素の色のマッチングを行う。また、画像生成装置10のシステム制御部16が、第1画像30aの特徴点を含む画像領域とマッチングする第2画像30bの画像領域を求め、対応する特徴点を求めてもよい。色相変換前の元画像についてパターンマッチングを行ってもよい。
【0080】
さらに、本発明は、上記各実施形態に限定されるものではない。上記各実施形態は、例示であり、本発明の特許請求の範囲に記載された技術的思想と実質的に同一な構成を有し、同様な作用効果を奏するものは、いかなるものであっても本発明の技術的範囲に包含される。