特許第5834743号(P5834743)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2015.5.11 β版

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特許5834743照明装置、ディスプレイ装置、液晶ディスプレイ装置
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】5834743
(24)【登録日】2015年11月13日
(45)【発行日】2015年12月24日
(54)【発明の名称】照明装置、ディスプレイ装置、液晶ディスプレイ装置
(51)【国際特許分類】
   H05B 33/02 20060101AFI20151203BHJP
   H01L 51/50 20060101ALI20151203BHJP
   G02B 5/02 20060101ALI20151203BHJP
   G02B 3/00 20060101ALI20151203BHJP
【FI】
   H05B33/02
   H05B33/14 A
   G02B5/02 C
   G02B3/00 A
【請求項の数】6
【全頁数】23
(21)【出願番号】特願2011-221919(P2011-221919)
(22)【出願日】2011年10月6日
(65)【公開番号】特開2013-84375(P2013-84375A)
(43)【公開日】2013年5月9日
【審査請求日】2014年9月18日
(73)【特許権者】
【識別番号】000003193
【氏名又は名称】凸版印刷株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100139686
【弁理士】
【氏名又は名称】鈴木 史朗
(74)【代理人】
【識別番号】100064908
【弁理士】
【氏名又は名称】志賀 正武
(74)【代理人】
【識別番号】100108578
【弁理士】
【氏名又は名称】高橋 詔男
(74)【代理人】
【識別番号】100152146
【弁理士】
【氏名又は名称】伏見 俊介
(72)【発明者】
【氏名】佐藤 隼也
【審査官】 中村 博之
(56)【参考文献】
【文献】 特開2006−318886(JP,A)
【文献】 特開2010−153203(JP,A)
【文献】 特開2003−100444(JP,A)
【文献】 特開2004−265851(JP,A)
【文献】 特開2007−264393(JP,A)
【文献】 特開2007−148385(JP,A)
【文献】 特開2009−252569(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H05B 33/02
G02B 3/00
G02B 5/02
H01L 51/50
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
光源と、
前記光源から入射された光を予め定められた方向に導く導光体と、を備え、
前記導光体は、
前記光源からの光が入射される入射面と、
前記入射面から入射した前記光を出射する出射面と、
前記出射面上に、前記入射面から入射した前記光が前記出射面から外部に出射されるよう導く光取出しシートとを有し、
前記光取出しシートは、
前記出射面上において、断面凸状で第一の方向に連続し、前記第一の方向に直交する方向に略等間隔に複数配列された第一の単位レンズと、
前記出射面上において、断面凸状で前記第一の方向と直交する第二の方向に連続し、前記第一の方向に略等間隔に複数配列され、前記出射面からの高さが前記第一の単位レンズと等しく、前記第一の単位レンズと格子状に交差する第二の単位レンズとを有し、
前記第一の単位レンズおよび前記第二の単位レンズの配列方向に沿った変位をxとし、
前記第一の単位レンズおよび前記第二の単位レンズにおける変位xの中点をx=0、
前記第一の単位レンズおよび前記第二の単位レンズのレンズ幅をLとして、
前記第一の単位レンズおよび前記第二の単位レンズの凸状面の前記出射面からの高さを表す関数をf(x)、g(x)としたとき、
前記第一の単位レンズおよび前記第二の単位レンズにおいて前記凸状面の前記出射面を基準とした断面形状L(x)が、[数1]、[数2]、[数3]を満たし、
前記関数f(x)が、[数4]、[数5]、[数6]を満たし、
前記関数g(x)が、[数7]、[数8]、[数9]、[数10]を満たすことを特徴とする照明装置。
【数1】
【数2】
【数3】
【数4】
【数5】
【数6】
【数7】
【数8】
【数9】
【数10】
【請求項2】
前記第一の単位レンズおよび前記第二の単位レンズのレンズ幅をL、レンズ高さをHとして、[数11]を満たすことを特徴とする請求項1に記載の照明装置。
【数11】
【請求項3】
前記第一の単位レンズおよび前記第二の単位レンズの最大傾斜角をθとして、[数12]を満たすことを特徴とする請求項1または2に記載の照明装置。
【数12】
【請求項4】
前記光源がEL素子であることを特徴とする請求項1からのいずれか一項に記載の照明装置。
【請求項5】
請求項に記載の照明装置を具備してなるディスプレイ装置であって、
前記EL素子が画素駆動されるよう構成されてなることを特徴とするディスプレイ装置。
【請求項6】
画像表示素子を具備してなる液晶ディスプレイ装置であって、
前記画像表示素子の背面に、請求項1からのいずれか一項に記載の照明装置を配置したことを特徴とする液晶ディスプレイ装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、フラットパネルディスプレイ、液晶用バックライト、照明用光源、電飾、サイン用光源等に用いられるEL素子(エレクトロ・ルミネッセンス素子)、及びEL素子を用いた照明装置、ディスプレイ装置、液晶ディスプレイ装置に関する。
【背景技術】
【0002】
一般に、図11に示すように、有機EL素子201は、透光性の基板206A、206B間に、蛍光有機化合物を含む発光層202を、陽極204と陰極205とで挟んだ構造を有する。そして、陽極と陰極に直流電圧を印加し、発光層202に電子および正孔を注入して再結合させることにより励起子を生成し、この励起子が失活する際の光の放出を利用して発光に至る。
【0003】
従来、EL素子201において、発光層202から出射した光B1は、一部が出射光B2となって出射面201fから出射されるが、大部分は出射面201fで反射し、発光層202に再度入射する光B12となる。光B12は照射方向Fに偏向されないため、光B12は損失してしまう。このときの光の外部取り出し効率は、一般に20%程度と言われている。そのため、高輝度が必要となればなるほど、より多くの投入電力が必要となるという問題があり、また、この場合、素子に及ぼす負荷が増大し、素子自体の信頼性を低下させる。
また、EL素子201において、発光層202から出射した光B1は、出射角度により色度が変化するため、出射光の出射角度による色度変化を抑制するのが好ましい。
【0004】
ここで、光の外部取り出し効率やEL素子の色差を改善する従来の方法として、プリズムなどの構造を形成する方法や、透明基材にフィラーを塗布して凹凸面を形成した拡散フィルムを設置する方法、基板に微細なマイクロレンズエレメントを形成し、全反射によりロスしている光線を外部に取り出すという方法がある(例えば特許文献1参照。)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2002−260845号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかし、プリズムなどの構造を形成する方法では、以下の問題がある。
プリズムなどの直線形状が大部分を形成する構造では、直線形状により傾斜角度が一定となるため、特定の角度領域の光を効率良く外部へ取り出すことが可能となる。しかし、上述の角度領域以外の光は、光の外部取り出し効率が小さくなり、総合的には、外部取り出し効率が小さくなる問題が生じる。また、EL素子201の出射角度による色度座標の変化は、プリズム形状だと傾斜角度が一定であるため、特定の角度の入射光を特定の角度の出射光へと偏向するため、色度の角度による変化への改善効果は低い。
【0007】
また、透明基材にフィラーを塗布して凹凸面を形成した拡散フィルムを設置する方法では、以下の問題がある。
フィラーを塗布して、凹凸面を形成する場合、凹凸面の形状はフィラーの隆起の度合いにより決定されるため、高精度な凹凸面の形成ができない。そのため、凹凸面に光を制御する充分な形状を形成することが出来ない問題が生じる。例えば、フィラーを隆起することで略半円形状を形成しようとした場合、フィラーの隆起が不十分となり略半球形状の一部分のみ形成される。すなわち、略半球形状の高さと、幅の比をアスペクト比(高さ/幅)とした場合、アスペクト比が小さくなってしまうため、結果として外部取り出し効率小さくなる問題が生じる。
【0008】
さらに、マイクロレンズを形成する方法では以下の問題がある。
マイクロレンズは、上述の拡散フィラーと比較して、高精度に成形することが可能であり、アスペクト比を大きくして、略半球形状を成形することが可能である。しかし、EL素子201の発光層202からの光は等方的であるため、マイクロレンズは略半球型が好ましいが、略半球型のマイクロレンズでは、基板面全体を埋めることは出来ず、平坦面が発生する。平坦面が発生すると、図11に示す光B12が発生し、照射方向Fに出射しないため、光の利用効率が低下する。
また、六方配置のような最密構造が最も面全体を埋めることが可能であるが、このような形状を作成する場合、さらに高精度な成形が要求され、マイクロレンズの重なりなどの不具合が発生しやすい。また、隙間が少ない状態でマイクロレンズを成形すると、各マイクロレンズ間のわずかな隙間の距離のズレがマクロなムラとして見えてしまうので、好ましくない。そのため、実質的な面積率は76%前後となる。結果として、約24%は平坦面があるため、光の外部取り出し効率が不十分となる問題が発生する。
以上のように、従来の技術は、光取り出し効率の向上を図る上でも、射出光の射出角度による色度変化を抑制する上でも、十分なものとはいえなかった。
本発明はこのような事情を鑑みてなされたものであり、光取り出し効率の最適化を行い光取り出し効率の向上を図るとともに、出射光の出射角度による色度座標の変化を改善することのできる照明装置、ディスプレイ装置、液晶ディスプレイ装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明は、上記課題を解決するため、以下の手段を採用する。
すなわち、本発明の第一の態様である照明装置は、光源と、光源から入射された光を予め定められた方向に導く導光体と、を備え、導光体は、光源からの光が入射される入射面と、入射面から入射した光を出射する出射面と、出射面上に、入射面から入射した光が出射面から外部に出射されるよう導く光取出しシートと、を備え、光取出しシートは、前記出射面上において、断面凸状で第一の方向に連続し、第一の方向に直交する方向に略等間隔に複数配列された第一の単位レンズと、前記出射面上において、断面凸状で第一の方向と直交する第二の方向に連続し、第一の方向に略等間隔に複数配列され、前記出射面からの高さが前記第一の単位レンズと等しく、前記第一の単位レンズと格子状に交差する第二の単位レンズとを有し、前記第一の単位レンズおよび前記第二の単位レンズの配列方向に沿った変位をxとし、前記第一の単位レンズおよび前記第二の単位レンズにおける変位xの中点をx=0、前記第一の単位レンズおよび前記第二の単位レンズのレンズ幅をLとして、前記第一の単位レンズおよび前記第二の単位レンズの凸状面の前記出射面からの高さを表す関数をf(x)、g(x)としたとき、前記第一の単位レンズおよび前記第二の単位レンズにおいて前記凸状面の前記出射面を基準とした断面形状L(x)が、[数1]、[数2]、[数3]を満たし、前記関数f(x)が、[数4]、[数5]、[数6]を満たし、前記関数g(x)が、[数7]、[数8]、[数9]、[数10]を満たすことを特徴とする。
【数1】
【数2】
【数3】
【数4】
【数5】
【数6】
【数7】
【数8】
【数9】
【数10】
このような構成において、互いに直交する第一の単位レンズと第二の単位レンズを備えた光取出しシートにより、導光体の出射面からの光の出射方向を変化させることで、光の取出し効率を高めるとともに、出射角度による色度の変化を抑制することが可能となる。
【0014】
本発明の照明装置において、第一の単位レンズおよび第二の単位レンズのレンズ幅をL、レンズ高さをHとして、[数11]を満たすようにしてもよい。
【数11】
【0015】
本発明の照明装置において、第一の単位レンズおよび第二の単位レンズの最大傾斜角をθとして、[数12]を満たすようにしてもよい。
【数12】
【0016】
本発明の照明装置において、光源がEL素子であってもよい。
【0017】
本発明の第二の態様であるディスプレイ装置は、本発明の照明装置を具備し、EL素子が画素駆動されるよう構成されていることを特徴とする。
【0018】
また、本発明の第三の態様は、画像表示素子を具備してなる液晶ディスプレイ装置であって、画像表示素子の背面に、本発明の照明装置を配置したことを特徴とする。
【発明の効果】
【0019】
本発明によれば、互いに直交する第一の単位レンズと第二の単位レンズを備えた光取出しシートにより、導光体の出射面からの光の出射方向を変化させることで、光の取出し効率を高めるとともに、出射角度による色度の変化を抑制することが可能となる。これにより、光取り出し効率の最適化を行い、光取り出し効率の向上を図るとともに、出射光の出射角度による色度座標の変化を改善することができる。
【0020】
また、第一の単位レンズおよび第二の単位レンズにおいて凸状面の出射面を基準とした高さが、f(x)、g(x)で定義される異なる二種類の関数で表されるハイブリッド形状とすることで、光の外部取出し効率、出射角度による色度座標の変化を改善することが可能となる。
【0021】
さらに、上記の照明装置を組み込んだディスプレイ装置、液晶ディスプレイ装置においては、光の利用効率および表示性能に優れる製品を提供することが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0022】
図1】本発明の照明装置の概略を示す説明図である。
図2】本発明の光取出しシートの一実施形態を示す説明図である。
図3】本発明の光取出しシートの単位レンズの凸状面の高さ形状を示す説明図である。
図4】本発明の光取出しシートの単位レンズの凸状面の高さ形状を変更したときの相対光量と相対色差を説明する図である。
図5】本発明の光取出しシートの単位レンズの凸状面の高さ形状を示す説明図である。
図6】本発明の光取出しシートの単位レンズの凸状面の高さ形状を変更したときの相対光量と相対色差を説明する図である。
図7】本発明の光取出しシートの単位レンズの凸状面の高さ形状を示す説明図である。
図8】本発明の光取出しシートの単位レンズの凸状面の高さ形状を変更したときの相対光量と相対色差を説明する図である。
図9】本発明の光取出しシートのレンズ幅に対するレンズ高さを変更したときの相対光量と相対色差を説明する図である。
図10】本発明の光取出しシートの最大傾斜角度を変更したときの相対色差を説明する図である。
図11】従来のEL素子の概略を示す説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0023】
以下、添付図面を参照して、本発明を実施するための最良の形態を説明する。しかし、本発明はこれらの実施例のみに限定されるものではない。
【0024】
図1は本実施形態に係る照明装置10の構成を示す図である。
照明装置10は、EL素子(エレクトロ・ルミネッセンス素子)101と、EL素子101に積層された光取出しシート7、とを備えて構成されている。
【0025】
図1に示すように、EL素子101は、第一の基板1Aと、第二の基板1Bと、発光層2と、陽極3と、陰極4となどを含んで構成されている。なお、光取出しシート7において、EL素子101に対向する面から反対側の面に向かう方向を照射方向Fとする。
【0026】
発光層2の一方の面には陽極3が形成され、他方の面には陰極4が形成されている。発光層2は、陽極3と陰極4に電圧を印加することにより発光するものである。これら発光層2と陽極3と陰極4を含んで発光構造体(光源)100が構成されている。発光構造体100としては、従来公知のさまざまな構成が採用可能である。
【0027】
発光層2は、白色発光層とすることもあり、或いは、青色、赤色、黄色、緑色などの発光層とすることもある。白色発光層とする場合には、この発光層2の構成を、例えば、ITO/CuPc(銅フタロシアニン)/α−NPDにルブレン1%ドープ/ジナクチルアントラセンにペリレン1%ドープ/Alq3/フッ化リチウム/陰極としてAl、という構成とすればよい。
【0028】
ただし、この構成に限定されるものではなく、発光層2から出射する光線の波長をR(赤色)、G(緑色)、B(青色)とすることのできる適宜材料を用いた任意の構成を採用することが可能である。また、フルカラーディスプレイ用途で使用する場合には、R、G、Bに対応した3種類の発光材料の塗り分けとすることや、白色光にカラーフィルターを重ねることによりフルカラー表示が可能となる。
【0029】
第一の基板1Aは、陽極3において発光層2側の面と反対側の面に形成されている。第二の基板1Bは、陰極4において発光層2側の面と反対側の面に形成されている。
【0030】
第一の基板1A及び第二の基板1Bの材料としては、種々のガラス材料を用いることができる他に、PMMA(ポリメチルメタクリレート:Polymethyl methacrylate)、ポリカーボネート、ポリスチレン等のプラスチック材料、あるいはアルミニウムなどの金属材料を用いることもでき、更にその他の様々な材料を用いることができるが、特に好ましいのは、シクロオレフィン系のポリマーであり、このポリマーは、加工性、及び、耐熱、耐水性、光学透光性等の材料特性のすべてにおいて優れたものである。
【0031】
また、第一の基板1Aは、発光構造体100(発光層2)からの光をできるだけ透過させることができるように、全光線透過率を50%以上とすることのできる材料で形成することが好ましい。
【0032】
光取出しシート7は、第一の基板1Aにおいて陽極3側の面と反対側の面に接着層6を介して設けられている。このような接着層6を構成する粘・接着剤としては、例えば、アクリル系、ウレタン系、ゴム系、シリコーン系の粘・接着剤が挙げられる。いずれの場合も、高温である光源に隣接して使用されるため、100℃で貯蔵弾性率G’が1.0E+04(Pa)以上であることが望ましい。これより値が低いと、使用中に光取出しシート7と第一の基板1Aがずれてしまう可能性がある。光取出しシート7と第一の基板1Aが大きくずれてしまうと、光取出しシート7に発光層2からの光が効率よく入射しないため、光の利用効率が低下してしまう。
【0033】
また、安定的に発光層2と光取出しシート7との間隙を確保するために、接・粘着剤の中に透明の微粒子、例えば、ビーズ等を混ぜても良い。また、粘接着剤は両面テープ状のものでもよいし、単層のものでもよい。
【0034】
光取出しシート7は、発光層2からの光を偏向して、照射方向Fに出射して光の外部取り出し効率を向上する機能を有する。光取出しシート7は、第一の基板1Aと反対側に臨む表面7aに、複数並べられた光偏向要素5を有している。
言い換えれば、EL素子101は、第一の基板1Aと、第一の基板1Aの一方の面に設けられ、陽極3と陰極4とに挟まれた発光層2とを備えている。第一の基板1Aの他方の面に光取出しシート7が設けられ、光取出しシート7は、表面7aに並べられた光偏向要素5とを有している。
【0035】
図2に示すように、光取出しシート7の光偏向要素5は、発光層2から出射される光B0を偏向して照射方向Fに偏向するための第一の単位レンズ40と第二の単位レンズ50とから構成されている。これら第一の単位レンズ40と第二の単位レンズ50は、基材8上に別体として配置したものであってもよいし、第一の単位レンズ40と第二の単位レンズ50と基材8を一体成型したものであってもよい。
【0036】
光偏向要素5は、光透過性の基材8の一方の面、即ち照射方向Fの下流側の面(以下、「表面」と称する。)8aに、一方向に沿って互いに平行に配列された第一の単位レンズ40と、第一の単位レンズ40と交差する方向に沿って互いが平行に配列された複数の第二の単位レンズ50とが形成されたレンズアレイ構成を有している。
レンズアレイを構成する第一の単位レンズ40および第二の単位レンズ50としては、例えば、凸状面40a、50aの断面形状が多項式近似曲線で与えられる非円弧形状を有するレンズが挙げられる。図2(a)は、第一の単位レンズ40、第二の単位レンズ50の断面形状が凸状の非円弧状レンズ形状とした場合の斜視図である。図2(b)、(c)は、基材8および光偏向要素5の断面形状の断面を示した図である。
【0037】
図1に示すように、発光層2から出射した光B0は、第一の基板1Aを透過し(光B1)、光偏向要素5に入射する。
光偏向要素5に入射した光B1の一部は、光偏向要素5の出射面から外部へ出射される出射光B2となり、照射方向Fに出射される。このとき、光偏向要素5の形状を変化させて、出射光B2の出射方向を変化させることで、出射角度による色度の変化を抑制することが可能となる。
【0038】
第一の単位レンズ40と第二の単位レンズ50は互いに交差するように配列することが望ましい。もし、第一の単位レンズ40と第二の単位レンズ50が、互いに交差することなく一方向に延在する帯状を呈した場合、延在する一方向に関しては、第一の単位レンズ40および第二の単位レンズ50は傾斜角を有していない、すなわち平面状の効果と同等となり、図11に示す光B12のように、外部に取り出すことが出来ない光となり、光の外部取り出し効率が小さくなる課題を解決できない。
そのため、第一の単位レンズ40および第二の単位レンズ50は、断面を凸状のレンズ形状とし、かつ一方向に延在する帯状を呈し、さらに、互いに交差するように配列することで、2次元方向に対して傾斜角を設けることが可能となる。このようにすると、光の取出し効率が大きくなり、好ましい。
【0039】
さらに、上述のように、第一の単位レンズ40と第二の単位レンズ50とを互いに交差するように配列することで、第一の単位レンズ40および第二の単位レンズ50が照射方向Fに出射する光の配光分布を2次元方向に調整することが可能となる。そのため、第一の単位レンズ40および第二の単位レンズ50を任意の形状に設定することで、出射光を対称な配光分布にし、あるいは、出射角度による色差を改善することが可能となるため好ましい。
【0040】
EL素子101を照明用途として用いる場合は、少なくとも2次元的に配光分布を調整する必要がある。その理由として、例えば照明装置の設置場所によっては、ある特定方向には照射する必要がない、例えば、広い配光分布ではなく正面方向の輝度向上が要求されるようなことがあるからである。また、光偏向要素5に入射する光B1が、非対称な配光分布になる場合で、かつ照明装置から出射される光の配光分布が、対称な配光分布であることが要求される場合、照明装置から出射される光の配光分布を1次元方向のみの調整で対称な配光分布にすることは困難であるため、2次元方向の調整が可能な本発明の構成が好ましい。
【0041】
また、本発明の構成のように、第一の単位レンズ40と第二の単位レンズ50を略直交して配列した形状では、光を2次元的に広げるために、新たにレンズシートを追加することなく、適切な配光分布に調整することが可能となり、照明装置の軽量化、薄型化、低コスト化を図ることも可能である。
【0042】
特に、発光層2から出射される光は、配光分布が広く発散した指向性を有する光である。そのため、第一の単位レンズ40および第二の単位レンズ50は、上述の広い配光分布を照射方向Fに偏向するように設計することが好ましい。
【0043】
図2(b)に示すように、第一の単位レンズ40は、第一の方向Q1に沿って配列され、基材8の表面8aに接触するレンズ部の幅をL1とし、表面8aから凸状面40aの頂部までの高さをH1とし、第一の単位レンズ40の頂部間の距離をP1とし、表面8aに対する最大傾斜角度をθ1とする。
また、図2(c)に示すように、第二の単位レンズ50は、第二の方向Q2に沿って配列され、表面8aに接触する底部の幅をL2とし、表面8aから凸状面50aの頂部までの高さをH2とし、第二の単位レンズ50の頂点間の距離をP2とし、表面8aに対する最大傾斜角をθ2とする。
【0044】
また、第一の単位レンズ40および第二の単位レンズ50の形状は、同じでもよいし、異なっていてもよい。直交する第一の単位レンズ40と第二の単位レンズ50の形状を異なる形状にすることにより、光偏向要素5に入射した光B1が、照射方向Fに出射する際に光の配向分布を2次元に調整することが可能となる。
【0045】
さらに、第一の単位レンズ40および第二の単位レンズ50の凸状面40a、50aの断面形状は、多項式近似曲線で近似される非円弧形状以外にも多角形状、完全な半円形状(円弧状レンズ)、半楕円形(楕円面レンズ)や放物線形(放物面レンズ)などの非半円形状(いわゆる2次の非円弧状形状)のもの、さらには、2次以降の項を有する高次非円弧形状のもの、高次非円弧形状と多角形形状を組み合わせたものでもよく、その組み合わせ方は自由である。
ここで、第一の単位レンズ40および第二の単位レンズ50の断面形状を、多角形状と非円弧形状とを組み合わせることにより、レンズ側面の適切な傾きをもった面積を調整することができるため、より高次に出射光の光線方向を調整することが可能となる。また、レンズ側面の傾き(基材8の表面に対する凸状面40a、50aの角度)を複数有する形状にすることにより、光取出しシート7からの出射角度がレンズ側面の傾きにより変化するため、出射光の色の角度依存性を制御することが可能となる。さらには、レンズ頂点に曲面を有するレンズ形状にすることにより、耐擦性の向上が見込まれる。
【0046】
次に、EL素子101の光の外部取り出し効率、出射角度による色度の変化を改善するような第一の単位レンズ40および第二の単位レンズ50の詳細形状について説明する。
【0047】
図3(a)は、第一の単位レンズ40および第二の単位レンズ50におけるレンズ幅をLとし、レンズ高さをHとして、第一の単位レンズ40,第二の単位レンズ50の幅方向の一方の端部E1を−L/2、他方の端部E2をL/2とし、第一の単位レンズ40における方向Q1に沿って測った変位をxおよび第二の単位レンズ50における方向Q2に沿った変位をxとし、さらに第一の単位レンズ40および第二の単位レンズ50において凸状面40a,50aの出射面101aからの高さをf(x)としたときの、第一の単位レンズ40および第二の単位レンズ50の凸状面40a,50aの断面形状を示すグラフである。このグラフに示された単位レンズの断面形状は三角形となっている。
図3(b)は、凸状面40a,50aの断面形状f(x)をxについて微分したdf(x)/dxの絶対値であり、断面形状が三角形であるため、df(x)/dxの絶対値は、一定の値となる。また、図3(c)は、第一の単位レンズ40,第二の単位レンズ50の断面f(x)をxについて2回微分したdf(x)/dxの絶対値であり、断面形状が三角形状であるため、df(x)/dxの絶対値は0となる。
【0048】
図4(a)および図4(b)に、凸状面40a,50aの断面形状f(x)を変位xで微分した絶対値の最大値|df(x)/dx|maxの値を変化させたときの相対光量および相対色差をそれぞれ示す。
図4(a)の横軸は、断面形状f(x)をxで微分した絶対値の最大値|df(x)/dx|max、縦軸は|df(x)/dx|maxを変化させたときの相対光量である。相対光量とは、EL素子101に光取出しシート7を使用しないときの光の積算光量を1.00としたときの値である。図4(b)の横軸は、断面形状f(x)をxで微分した絶対値の最大値|df(x)/dx|max、縦軸は光取出しシート7を使用しないときの、測定視野0度から80度の範囲における色度座標u’、v’の最大変化量ΔEu’v’を1.00としたときの相対色差である。
【0049】
図4(a)において、相対光量は、|df(x)/dx|maxが1.4になるまで増加し、|df(x)/dx|maxが1.4より大きくなると徐々に低下するが、概ね1.3以上に保持されている。
EL素子101から出射した光のうち、出射角度が大きい出射光ほど出射面界面で全反射されてEL素子内部に戻される光量が増加し、EL素子外部への光の取出し効率は低下する。EL素子101の出射面101aに光偏向要素5を設けることにより、出射面界面で全反射されていたEL素子から出射した出射角度が大きい出射光が偏向されEL素子外部へ出射されるようになるため外部取出し効率は向上する。
【0050】
図4(b)において、|df(x)/dx|maxが大きくなるにつれ、つまり、第一の単位レンズ40,第二の単位レンズ50の傾斜角が大きくなるほど、EL素子から出射された出射角度が大きい出射光を正面方向へ偏向し、拡散させる効果が大きくなるため、相対色差は改善する。
しかし、凸状面40a,50aの断面形状f(x)を変位xで微分した絶対値の最大値|df(x)/dx|maxの値が5.67以上になると、第一の単位レンズ40,第二の単位レンズ50における最大傾斜角が80度以上となり、金型の作製やシートの作製が困難となるため、|df(x)/dx|maxの値は5.67以下であることが好ましい。
以上の理由から、凸状面40a,50aの断面形状f(x)を変位xで微分した絶対値の最大値|df(x)/dx|maxの値は、0より大きくなることにより相対光量は増加し、相対色差も改善するが、好ましくは相対光量の増加率が20%以上であり、相対色差の減少率が10%以上である0.35≦|df(x)/dx|max≦5.67の範囲内であることが好ましい。相対色差の減少率は大きい方が好ましいため、より好ましくは、相対色差の減少率が50%以上である1.7≦|df(x)/dx|max≦5.67の範囲内であることが好ましい。
【0051】
図5(a)は、第一の単位レンズ40,第二の単位レンズ50におけるレンズ幅をLとし、レンズ高さをHとして、第一の単位レンズ40,第二の単位レンズ50の幅方向一方の端部E1を−L/2、他方の端部E2をL/2としたときの、凸状面40a,50aの断面形状をg(x)としたとき、凸状面40a,50aの断面形状が、高次多項式g(x)で近似される非円弧形状である場合の断面形状を示すグラフである。
図5(b)は、凸状面40a,50aの断面形状g(x)をxについて微分したdg(x)/dxの絶対値、図5(c)は、第一の単位レンズ40,第二の単位レンズ50の断面g(x)をxについて2回微分したdg(x)/dxの絶対値を示すグラフである。
【0052】
図6(a)および図6(b)に、凸状面40a,50aの断面形状g(x)を変位xで2回微分した絶対値の最大値|dg(x)/dxmaxの値を変化させたときの相対光量および相対色差をそれぞれ示す。
図6(a)の横軸は、断面形状g(x)をxで2回微分した絶対値の最大値|dg(x)/dxmax、縦軸は|dg(x)/dxmaxを変化させたときの相対光量である。相対光量の定義は図4(a)におけるものと同様である。図6(b)の横軸は、断面形状g(x)をxで2回微分した絶対値の最大値|dg(x)/dxmax、縦軸は光取出しシート7を使用しないときの、測定視野0度から80度の範囲における色度座標u’、v’の最大変化量ΔEu’v’を1.00としたときの相対色差である。
図6(a)において、相対光量は、|dg(x)/dxmaxが増加するにつれ、徐々に増加する。図6(b)において、相対色差は、|dg(x)/dxmaxの値が大きくなるにつれ低下する。
【0053】
凸状面40a,50aの断面形状g(x)を変位xで2回微分した絶対値の最大値|dg(x)/dxmaxは、凸状面40a,50aの断面形状g(x)の傾斜角の変化の割合を表す値であり、下記数13を満足することが望ましい。つまり、xが0より小さい領域では単調増加、xが0より大きい領域では単調減少するような、第一の単位レンズ40,第二の単位レンズ50の中心部における傾きの変化の割合よりも端部における傾きの変化の割合が小さい形状が好ましい。傾きの変化の割合が第一の単位レンズ40,第二の単位レンズ50の中心部より端部において大きくなると、凸状面40a,50aの断面形状は円弧形状に近くなり、EL素子101から出射した光のうち、出射角度が大きい出射光を、正面方向へ拡散させる偏向効果を発現するレンズとしての領域が狭くなるためである。
また、|dg(x)/dxmaxが、変曲点を有することにより、凸状面40a,50aの断面形状は、レンズの頂点部に略平坦となる面を有するため、耐擦性が向上するため好ましい。
【0054】
【数13】
【0055】
さらに、図4(b)において前述したように、凸状面40a,50aの断面形状g(x)を変位xで微分した絶対値の最大値|dg(x)/dx|maxが大きくなるほど、相対色差は改善し、かつ、凸状面40a,50aの断面形状g(x)を変位xで2回微分した絶対値の最大値|dg(x)/dxmaxが、xが0より小さい領域では単調増加、xが0より大きい領域では単調減少することが望ましいことから、|dg(x)/dx|maxは、下記数14を満たすことが好ましい。
【0056】
【数14】
【0057】
以上の理由から、凸状面40a,50aの断面形状g(x)を変位xで2回微分した絶対値の最大値|dg(x)/dxmaxの値は、0より大きくなることにより相対光量は増加し、相対色差も改善するが、好ましくは相対光量の増加率が20%以上であり、相対色差の減少率が10%以上である20≦|dg(x)/dxmax≦160の範囲内であることが望ましい。相対色差の減少率は大きい方が好ましいため、より好ましくは、相対色差の減少率が50%以上であり、相対色差の改善効果が略一定となる50≦|dg(x)/dxmax≦160の範囲内であることが望ましい。
【0058】
図11において、発光層2から出射した光のうち、出射角度が大きい出射光ほど、出射面界面で全反射され、EL素子101内部に戻される光量が増加し、EL素子101外部への光の取り出し効率は低下する。したがって、発光層2から出射する光B2の光量を増加させるためには、発光層2から出射した光B1のうち、第一の基板1Aから出射する角度の大きい光を出射面101aから照射方向F側へ出射光B2として取り出す必要がある。EL素子101の出射面101aに光偏向要素5を設けることにより、出射面界面で全反射されていたEL素子101から出射した出射角度が大きい出射光が偏向されEL素子101の外部へ出射されるようになるため外部取出し効率は向上する。
また、第一の単位レンズ40,第二の単位レンズ50に入射する光のうち、入射角度が大きい光を出射面101aから照射方向F側へ偏向拡散させる効果は、凸状面40a,50aの断面形状における傾斜角が大きくなるほど強くなり、相対色差が改善する。
さらに、第一の単位レンズ40,第二の単位レンズ50の中心部における傾きの変化の割合よりも端部における傾きの変化の割合が小さい断面形状である方が、発光層2から出射した光のうち、出射角度が大きい出射光を、正面方向へ拡散させる偏向効果を発現するレンズとしての領域が多くなるため、相対色差は改善する。
以上の理由から、傾斜角が大きく、レンズ端部での傾斜角の変化の少ない、凸状面40a,50aの断面形状が関数f(x)を満足するような三角形状の断面を有する単位レンズが好ましいが、断面形状が三角形状であると、第一の単位レンズ40,第二の単位レンズ50を占有する傾斜角が一定となるデメリットがある。したがって、より相対色差の改善効果を上昇させるには、凸状面40a,50aの断面形状が関数g(x)を満足するような、高次多項式曲線で表される非円弧形状と三角形状とのハイブリッド形状とされることが好ましい。
【0059】
図7および図8を用いて、上述のハイブリッド形状の断面を有する単位レンズについて説明する。
図7(a)は、第一の単位レンズ40,第二の単位レンズ50におけるレンズ幅をLとし、レンズ高さをHとして、第一の単位レンズ40,第二の単位レンズ50の幅方向一方の端部E1を−L/2、他方の端部E2をL/2とし、第一の単位レンズ40,第二の単位レンズ50の配列方向に沿って測った変位をxとしたときの、凸状面40a,50aの出射面101aを基準とした断面形状L(x)を示すグラフである。
凸状面40a,50aの出射面101aを基準とした断面形状を示す関数L(x)は、−L/2<x<L(p−1)/2,L(1−p)/2<x<L/2の領域においては、三角形状を表す関数f(x)であり、L(p−1)/2<x<L(1−p)/2の領域では、高次多項式曲線を表す関数g(x)とされている。
図7(b)は、断面形状L(x)をxについて微分したdL(x)/dxの絶対値、図7(c)は、断面形状L(x)をxについて2回微分したdL(x)/dxの絶対値をそれぞれ示すグラフである。
【0060】
図8(a)および図8(b)に、断面形状L(x)におけるp(三角形状と非円弧形状との切り替え点を規定する変数)の値を、0<p<1の領域で変化させたときの相対光量および相対色差をそれぞれ示す。
図8(a)の横軸は、関数L(x)における変数pを変化させたときの値、縦軸は相対光量である。相対光量の定義は上述のものと同様である。ここで、p=0のとき、L(x)=g(x)となり、p=1のとき、L(x)=f(x)となる。
図8(b)の横軸は、関数L(x)におけるpを変化させたときの値、縦軸は光取出しシート7を使用しないときの、測定視野0度から80度の範囲における色度座標u’、v’の最大変化量ΔEu’v’を1.00としたときの相対色差である。
図8(a)において、pの値が大きくなるにつれ、すなわち、第一の単位レンズ40,第二の単位レンズ50を占有する関数f(x)の領域が増加するにつれ、相対光量が増加する。
図8(b)において、相対色差は、pの値が0.6までは低下するが、さらにpの値が大きくなると、相対色差も増加する。
このように、凸状面40a,50aの断面形状を、関数f(x)で表される三角形状と、関数g(x)で表される非円弧形状とのハイブリッド形状にすることにより、傾斜角が大きく、かつレンズの幅方向端部における傾斜角の変化が少ない断面形状となるため、第一の単位レンズ40,第二の単位レンズ50領域内で光の出射方向を制御することが可能となるため、相対色差は改善される。
【0061】
以上の理由から、凸状面40a,50aの出射面101aを基準とした断面形状L(x)における関数f(x)の割合(すなわち変数pの値)を増加させることにより、相対光量は増加し、相対色差も改善するが、好ましくは相対色差の減少率が10%以上である0.2<p<1.0の範囲内であることが望ましい。相対色差の減少率は大きい方が好ましいため、より好ましくは、相対色差の減少率が20%以上である0.3<p<1.0の範囲内であることが望ましい。
【0062】
図9(a)および図9(b)に、第一の単位レンズ40および第二の単位レンズ50におけるレンズの幅Lに対する高さHの比H/Lを変化させたときの相対光量および相対色差の推移をそれぞれ示す。
【0063】
図9(a)の横軸は、レンズの幅Lに対する高さHの比H/L、縦軸は、相対光量である。相対光量の定義は上述のものと同様である。図9(b)の横軸はレンズの幅Lに対する高さHの比H/L、縦軸は、光取出しシート7を使用しないときの、測定視野0度から80度の範囲における色度座標u’、v’の最大変化量を1.00としたときの相対色差である。
【0064】
レンズの幅Lに対する高さHの比H/Lが大きくなるに従い、相対光量は上昇し、相対色差が小さくなるので、レンズの幅Lに対する高さHの比H/Lは大きい方が好ましいが、レンズの幅Lに対する高さHの比H/Lが大きくなると光取出しシート7の作製が困難となるため、色差の変化量が20%以上改善し、かつ作製が困難とならないようにする観点からは、0.30<H/L<2.0の範囲内であることが好ましい。照明装置として用いた場合、色度の視野角度によるズレは小さい方が好ましく、より好ましくは、色差の変化量が50%以上改善する、0.8<H/L<2.0の範囲内であることが好ましい。
【0065】
図10(a)および図10(b)に、に第一の単位レンズ40および第二の単位レンズ50の最大傾斜角度θ1,θ2を変化させたときの相対光量および相対色差の推移をそれぞれ示す。
【0066】
図10(a)の横軸は、第一の単位レンズ40,第二の単位レンズ50における最大傾斜角θ1,θ2、縦軸は、相対光量であり、その定義は上述のものと同様である。図10(b)の横軸は、第一の単位レンズ40,第二の単位レンズ50における最大傾斜角θ1,θ2、縦軸は、光取出しシート7を使用しないときの、測定視野0度から80度の範囲における色度座標u’、v’の最大変化量を1.00としたときの相対色差である。
【0067】
最大傾斜角θ1,θ2が大きくなるに従い、相対色差が小さくなるので、最大傾斜角は大きい方が好ましいが、最大傾斜角が大きくなると光取出しシート7の作製が困難となるため、相対色差の改善率が20%以上であり、かつ作製が困難とならないようにする観点からは、最大傾斜角θ1,θ2は、45度以上80度以下の範囲内であることが好ましい。照明装置として用いた場合、色度の視野角度によるズレは小さい方が好ましく、より好ましくは、色差の変化量が30%以上改善する、60度以上80度以下の範囲内であることが好ましい。
【0068】
また、光取出しシート7の基材表面8aに第一の単位レンズ40および第二の単位レンズ50のレンズ高さHより高いレンズ高さを有するマイクロレンズアレイを形成していてもよく、マイクロレンズアレイを形成することにより、光取出しシート7における最も高さの高い位置がマイクロレンズ形状となり、障害物と接触する際、点接触となるため耐擦性が向上する。
【0069】
光取出しシート7を成型する材料としては、発光層2から出射される光の波長に対して光透過性を有するものが使用され、例えば、光学用部材に使用可能なプラスチック材料を使用することができる。
この材料の例としては、ポリエステル樹脂、アクリル樹脂、ポリカーボネ−ト樹脂、ポリスチレン樹脂、MS(アクリルとスチレンの共重合体)樹脂、ポリメチルペンテン樹脂、シクロオレフィンポリマー等の熱可塑性樹脂、あるいはポリエステルアクリレート、ウレタンアクリレート、エポキシアクリレート等のオリゴマー又はアクリレート系等からなる放射線硬化性樹脂などの透明樹脂が挙げられる。
【0070】
また、用途により、透明樹脂中に微粒子を分散させて使用してもよい。透明樹脂中に微粒子を分散させることにより、光取出しシート7に入射した光が照射方向Fに出射する際、より拡散性が上昇するため、色度の視野角度による変化を改善することが可能であり、また、照明装置として使用した際、欠陥が観測されにくくなる利点が挙げられる。
この微粒子としては無機酸化物からなる粒子又は樹脂からなる粒子が使用できる。例えば、無機酸化物からなる透明粒子としてはシリカやアルミナ、酸化チタン等からなる粒子を挙げることができる。また、樹脂からなる透明粒子としては、アクリル粒子、スチレン粒子、スチレンアクリル粒子及びその架橋体、メラミン一ホルマリン縮合物の粒子、PTFE(ポリテトラフルオロエチレン)、PFA(ペルフルオロアルコキシ樹脂)、FEP(テトラフルオロエチレン一ヘキサフルオロプロピレン共重合体)、PVDF(ポリフルオロビニリデン)、及びETFE(エチレン一テトラフルオロエチレン共重合体)等の含フッ素ポリマー粒子、シリコーン樹脂粒子等を挙げることができる。これら微粒子は、2種類以上を混合して使用してもよい。
【0071】
そして、光取出しシート7は、このような材料を金型に流し込み凝固されることで成型される。この金型の作製方法としては、金型に対して各種レンズ形状を有する切削工具を用いて切削し、断面形状が第一の単位レンズ40および第二の単位レンズ50の凹凸部に対応する部分を作製する。
また、このような金型で光取出しシート7を作製する方法の他、第一の単位レンズ40や第二の単位レンズ50、基材8の形成法としては熱可塑性樹脂や紫外線硬化性樹脂と上記の形状が賦形した金型を用いて、押出し成型や出射成型、UV成型法などで成型することができる。この際、第一の単位レンズ40、第二の単位レンズ50及び基材8を別体として成型してもよいし、一体品として成型してもよい。また第一の単位レンズ40、第二の単位レンズ50及び基材8を成型する場合には、内部にフィラーなど拡散剤を分散させ、成型することもできる。
【0072】
また帯電防止剤として、導電性微粒子のアンチモン含有酸化スズ(以下、ATO)や、スズ含有酸化インジウム(ITO)等の超微粒子を分散させてもよい。帯電防止剤を分散することで、光取出しシート7の防汚性を向上することが可能となる。
【0073】
UV成型法のような、光偏向要素5が基材8を別体にて成型する場合は、基材8は透明なフィルムであり、セルローストリアセテート、ポリエステル、ポリアミド、ポリイミド、ポリプロピレン、ポリメチルペンテン、ポリ塩化ビニル、ポリビニルアセタール、ポリメタアクリル酸メチル、ポリカーボネート、ポリウレタン等の熱可塑性樹脂の延伸又は未延伸フィルムを使用することができる。
基材8の厚みは、基材8がもつ剛性にもよるが、50〜300μmのものが、加工性等の取扱い面から見て好ましい。
【0074】
また、光偏向要素5が基材8と強固に接着しなかったり、寒熱、吸脱湿等の外的影響で接着力が低下したりするときは、光偏向要素5が基材8との間に、両材料に対して接着性の高いプライマ層を設けてもよいし、光偏向要素5にプライマ層の作用を付加してもよい。あるいは、コロナ放電処理等の易接着処理を施してもよい。
【0075】
なお、光取出しシート7についての代表的な例を説明してきたが、本実施形態の光学特性を達成することができれば上記以外の材料や構造、プロセスなどを使用して作製することも可能である。
【実施例】
【0076】
以下、本発明の実施例について詳細に説明する。尚、本発明はこれらの実施例のみに限定されるものではない。
(比較例1)
EL素子101を、そのガラス表面に光取出しシート7を貼らず、単体のものを比較例とした。
[実施例]
厚さ188μmの透明PET基材上に、光偏向要素5のパターンを形成させる屈折率1.50のUV硬化性アクリル系樹脂を塗布し、光偏向要素5の形状に切削したシリンダー金型を使用して紫外線硬化型樹脂が塗布されたフィルムを搬送しながらUV光を透明PET側から露光することにより、UV硬化型樹脂を硬化させた。硬化後、透明PETフィルムから金型を剥離することにより、光取出しシート7を作製した。得られた光取出しシート7を、粘着剤を介してEL素子101に貼り合わせることにより、測定サンプルとした。
以下、各実施例は下記のパラメータに基づいて作製し、各実施例で作製した各光取出しシート7を、それぞれ本実施形態によるEL素子101に貼り合わせ、積算光量および色度を測定した。結果を各表に示す。ここで相対光量、相対色差とは、比較例1における値を1.00としたときの値である。
(実施例1)
凸状面40a,50aの断面形状f(x)を変位xについて微分した値df(x)/dxの最大値を0.3とした。
(実施例2)
凸状面40a,50aの断面形状f(x)を変位xについて微分した値df(x)/dxの最大値を0.35とした。
(実施例3)
凸状面40a,50aの断面形状f(x)を変位xについて微分した値df(x)/dxの最大値を1.7とした。
(実施例4)
凸状面40a,50aの断面形状f(x)を変位xについて微分した値df(x)/dxの最大値を5.7とした。
【0077】
【表1】
【0078】
表1より、凸状面40a,50aの高さf(x)の変位xにおける微分値df(x)/dxの絶対値の最大値を0.35より大きい値にすることにより、相対光量が上昇し、色差が改善することが明らかである。
【0079】
(実施例5)
凸状面40a,50aの断面形状g(x)を変位xについて2回微分した値dg(x)/dxの最大値を20とした。
(実施例6)
凸状面40a,50aの断面形状g(x)を変位xについて2回微分した値dg(x)/dxの最大値を80とした。
(実施例7)
凸状面40a,50aの断面形状g(x)を変位xについて2回微分した値dg(x)/dxの最大値を160とした。
【0080】
【表2】
【0081】
表2より、凸状面40a,50aの高さg(x)の変位xにおける微分値dg(x)/dxの絶対値の最大値を20より大きい値にすることにより、相対光量が上昇し、色差が改善することが明らかである。
【0082】
(実施例8)
凸状面40a,50aの出射面101aを基準とした高さ形状L(x)において、p=0とした。
(実施例9)
凸状面40a,50aの出射面101aを基準とした高さ形状L(x)において、p=0.3とした。
(実施例10)
凸状面40a,50aの出射面101aを基準とした高さ形状L(x)において、p=0.6とした。
(実施例11)
凸状面40a,50aの出射面101aを基準とした高さ形状L(x)において、p=1.0とした。
【0083】
【表3】
【0084】
表3より、第一の単位レンズ40,第二の単位レンズ50におけるpの値を0よりも大きくすることにより、相対光量が上昇し、色差が改善することが明らかである。
【0085】
(その他の実施形態)
なお、本発明は、図面を参照して説明した上述の実施形態に限定されるものではなく、その技術的範囲において様々な変形例が考えられる。
例えば、上記実施形態では、光源にEL素子101を用いた発光構造体100としたが、これを単なる照明装置とするのではなく、図示しない駆動回路によりEL素子101を画素駆動させ、これによって画像等の情報を表示するディスプレイ装置として構成することもできる。
また、液晶駆動の画像表示素子の背面に上記の照明装置を配置して、液晶ディスプレイ装置を構成することもできる。
これ以外にも、本発明の主旨を逸脱しない限り、上記実施の形態で挙げた構成を取捨選択したり、他の構成に適宜変更したりすることが可能である。
【符号の説明】
【0086】
1A…第一の基板、1B…第二の基板、2…発光層、3…陽極、4…陰極、5…光偏向要素、6…接着層、7…光取出しシート、7a…表面、8…基材、10…照明装置、40…第一の単位レンズ、40a,50a…凸状面、50…第二の単位レンズ、100…発光構造体(光源)、101…EL素子、101a…出射面
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11