(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記電力蓄積ユニットは、前記受電部に冷却風を吹きつける送風器と、前記受電部で暖められた前記冷却風を前記触媒装置に案内する第1案内構造とを含む、請求項1に記載の車両。
前記受電部は、前記受電部と前記送電部の間に形成され、かつ特定の周波数で振動する磁界と、前記受電部と前記送電部の間に形成され、かつ特定の周波数で振動する電界との少なくとも一方を通じて前記送電部から電力を受電する、請求項1から請求項9のいずれかに記載の車両。
【発明を実施するための形態】
【0023】
図1から
図17を用いて、本発明の実施の形態に係る車両と、この車両および送電装置を含む電力伝送システムとについて説明する。
図1は、本実施の形態に係る車両と、送電装置と、電力伝送システムとを模式的に示す模式図である。
【0024】
(実施の形態1)
本実施の形態1に係る電力伝送システムは、受電装置40を含む電動車両10と、送電装置41を含む外部給電装置20とを有する。電動車両10の受電装置は、送電装置41が設けられた駐車スペース42の所定位置に停車して、主に、送電装置41から電力を受電する。
【0025】
駐車スペース42には、電動車両10を所定の位置に停車させるように、輪止や駐車位置および駐車範囲を示すラインが設けられている。
【0026】
外部給電装置20は、交流電源21に接続された高周波電力ドライバ22と、高周波電力ドライバ22などの駆動を制御する制御部26と、この高周波電力ドライバ22に接続された送電装置41とを含む。送電装置41は、送電部28と、電磁誘導コイル23とを含む。送電部28は、共鳴コイル24と、共鳴コイル24に接続されたキャパシタ25とを含む。電磁誘導コイル23は、高周波電力ドライバ22に電気的に接続されている。なお、この
図1に示す例においては、キャパシタ25が設けられているが、キャパシタ25は必ずしも必須の構成ではない。
【0027】
送電部28は、共鳴コイル24のインダクタンスと、共鳴コイル24の浮遊容量およびキャパシタ25のキャパシタンスとから形成された電気回路を含む。
【0028】
電動車両10は、電力蓄積ユニット9と、エンジン(内燃機関)31およびモータユニット17を含む駆動ユニット30と、エンジン31に接続された排気ガスユニット32と、パワーコントロールユニット(PCU(Power Control Unit))16と、車両ECU(Electronic Control Unit)18とを備える。電力蓄積ユニット9は、受電装置40と、受電装置40に接続された整流器13と、この整流器13に接続されたDC/DCコンバータ14と、このDC/DCコンバータ14に接続された蓄電器15とを含む。車両ECU18は、コンバータ14やパワーコントロールユニット16などの駆動を制御する。
【0029】
整流器13は、電磁誘導コイル12に接続されており、電磁誘導コイル12から供給される交流電流を直流電流に変換して、DC/DCコンバータ14に供給する。
【0030】
DC/DCコンバータ14は、整流器13から供給された直流電流の電圧を調整して、蓄電器15に供給する。なお、DC/DCコンバータ14は必須の構成ではなく省略してもよい。この場合には、外部給電装置20にインピーダンスを整合するための整合器を送電装置41と高周波電力ドライバ22との間に設けることで、DC/DCコンバータ14の代用をすることができる。
【0031】
パワーコントロールユニット16は、蓄電器15に接続されたコンバータと、このコンバータに接続されたインバータとを含み、コンバータは、蓄電器15から供給される直流電流を調整(昇圧)して、インバータに供給する。インバータは、コンバータから供給される直流電流を交流電流に変換して、モータユニット17に供給する。
【0032】
モータユニット17は、パワーコントロールユニット16に接続されている。モータユニット17は、たとえば、三相交流モータなどが採用されており、パワーコントロールユニット16のインバータから供給される交流電流によって駆動する。モータユニット17は、発電機として主に機能するモータジェネレータと、電動機として主に機能するモータジェネレータとを含む。
【0033】
エンジン31は、ガソリンなどの燃料を燃焼することで車輪を駆動する動力やモータユニット17を駆動する動力を発生する。
【0034】
排気ガスユニット32は、エンジン31に接続された排気管35と、この排気管35に接続された触媒装置33と、触媒装置33に接続された排気管36と、この排気管36に接続されたマフラ34とを含む。
【0035】
エンジン31から排気ガスが排出され、当該排気ガスが排気管35内を流れる。その後、排気ガスは、触媒装置33内に入り込み、触媒装置33内でパーティキュレート(微粒子)などが除去される。
【0036】
触媒装置33によって、パーティキュレートが除去された排気ガスは、マフラ34に供給され、その後、マフラ34から外部に排気される。
【0037】
排気ガスユニット32としては、上記の構成のユニットに限られない。たとえば、サブマフラなどの構成要素をさらに備えてもよい。
【0038】
受電装置40は、受電部27と、電磁誘導コイル12とを含む。受電部27は、共鳴コイル11とキャパシタ19とを含む。共鳴コイル11は浮遊容量を有する。このため、受電部27は、共鳴コイル11のインダクタンスと、共鳴コイル11およびキャパシタ19のキャパシタンスとによって形成された電気回路を有する。なお、キャパシタ19は、必須の構成ではなく、省略することができる。
【0039】
本実施の形態に係る電力伝送システムにおいては、送電部28の固有周波数と、受電部27の固有周波数との差は、受電部27または送電部28の固有周波数の10%以下である。このような範囲に各送電部28および受電部27の固有周波数を設定することで、電力伝送効率を高めることができる。その一方で、固有周波数の差が受電部27または送電部28の固有周波数の10%よりも大きくなると、電力伝送効率が10%より小さくなり、蓄電器15の充電時間が長くなるなどの弊害が生じる。
【0040】
ここで、送電部28の固有周波数とは、キャパシタ25が設けられていない場合には、共鳴コイル24のインダクタンスと、共鳴コイル24のキャパシタンスとから形成された電気回路が自由振動する場合の振動周波数を意味する。キャパシタ25が設けられた場合には、送電部28の固有周波数とは、共鳴コイル24およびキャパシタ25のキャパシタンスと、共鳴コイル24のインダクタンスとによって形成された電気回路が自由振動する場合の振動周波数を意味する。上記電気回路において、制動力および電気抵抗をゼロもしくは実質的にゼロとしたときの固有周波数は、送電部28の共振周波数とも呼ばれる。
【0041】
同様に、受電部27の固有周波数とは、キャパシタ19が設けられていない場合には、共鳴コイル11のインダクタンスと、共鳴コイル11のキャパシタンスとから形成された電気回路が自由振動する場合の振動周波数を意味する。キャパシタ19が設けられた場合には、受電部27の固有周波数とは、共鳴コイル11およびキャパシタ19のキャパシタンスと、共鳴コイル11のインダクタンスとによって形成された電気回路が自由振動する場合の振動周波数を意味する。上記電気回路において、制動力および電気抵抗をゼロもしくは実質的にゼロとしたときの固有周波数は、受電部27の共振周波数とも呼ばれる。
【0042】
図2および
図3を用いて、固有周波数の差と電力伝送効率との関係とを解析したシミュレーション結果について説明する。
図2は、電力伝送システムのシミュレーションモデルを示す。電力伝送システム89は、送電装置90と、受電装置91とを備え、送電装置90は、電磁誘導コイル92と、送電部93とを含む。送電部93は、共鳴コイル94と、共鳴コイル94に設けられたキャパシタ95とを含む。
【0043】
受電装置91は、受電部96と、電磁誘導コイル97とを備える。受電部96は、共鳴コイル99とこの共鳴コイル99に接続されたキャパシタ98とを含む。
【0044】
共鳴コイル94のインダクタンスをインダクタンスLtとし、キャパシタ95のキャパシタンスをキャパシタンスC1とする。共鳴コイル99のインダクタンスをインダクタンスLrとし、キャパシタ98のキャパシタンスをキャパシタンスC2とする。このように各パラメータを設定すると、送電部93の固有周波数f1は、下記の式(1)によって示され、受電部96の固有周波数f2は、下記の式(2)によって示される。
【0045】
f1=1/{2π(Lt×C1)
1/2}・・・(1)
f2=1/{2π(Lr×C2)
1/2}・・・(2)
ここで、インダクタンスLrおよびキャパシタンスC1,C2を固定して、インダクタンスLtのみを変化させた場合において、送電部93および受電部96の固有周波数のズレと、電力伝送効率との関係を
図3に示す。なお、このシミュレーションにおいては、共鳴コイル94および共鳴コイル99の相対的な位置関係は固定した状態であって、さらに、送電部93に供給される電流の周波数は一定である。
【0046】
図3に示すグラフのうち、横軸は、固有周波数のズレ(%)を示し、縦軸は、一定周波数での伝送効率(%)を示す。固有周波数のズレ(%)は、下記式(3)によって示される。
【0047】
(固有周波数のズレ)={(f1−f2)/f2}×100(%)・・・(3)
図3からも明らかなように、固有周波数のズレ(%)が±0%の場合には、電力伝送効率は、100%近くとなる。固有周波数のズレ(%)が±5%の場合には、電力伝送効率は、40%となる。固有周波数のズレ(%)が±10%の場合には、電力伝送効率は、10%となる。固有周波数のズレ(%)が±15%の場合には、電力伝送効率は、5%となる。すなわち、固有周波数のズレ(%)の絶対値(固有周波数の差)が、受電部96の固有周波数の10%以下の範囲となるように各送電部および受電部の固有周波数を設定することで電力伝送効率を高めることができることがわかる。さらに、固有周波数のズレ(%)の絶対値が受電部96の固有周波数の5%以下となるように、各送電部および受電部の固有周波数を設定することで電力伝送効率をより高めることができることがわかる。なお、シミュレーションソフトしては、電磁界解析ソフトウェア(JMAG(登録商標):株式会社JSOL製)を採用している。
【0048】
次に、本実施の形態に係る電力伝送システムの動作について説明する。
図1において、電磁誘導コイル23には、高周波電力ドライバ22から交流電力が供給される。電磁誘導コイル23に所定の交流電流が流れると、電磁誘導によって共鳴コイル24にも交流電流が流れる。この際、共鳴コイル24を流れる交流電流の周波数が特定の周波数となるように、電磁誘導コイル23に電力が供給されている。
【0049】
共鳴コイル24に特定の周波数の電流が流れると、共鳴コイル24の周囲には特定の周波数で振動する電磁界が形成される。
【0050】
共鳴コイル11は、共鳴コイル24から所定範囲内に配置されており、共鳴コイル11は共鳴コイル24の周囲に形成された電磁界から電力を受け取る。
【0051】
本実施の形態においては、共鳴コイル11および共鳴コイル24は、所謂、ヘリカルコイルが採用されている。このため、共鳴コイル24の周囲には、特定の周波数で振動する磁界が主に形成され、共鳴コイル11は当該磁界から電力を受け取る。
【0052】
ここで、共鳴コイル24の周囲に形成される特定の周波数の磁界について説明する。「特定の周波数の磁界」は、典型的には、電力伝送効率と共鳴コイル24に供給される電流の周波数と関連性を有する。そこで、まず、電力伝送効率と、共鳴コイル24に供給される電流の周波数との関係について説明する。共鳴コイル24から共鳴コイル11に電力を伝送するときの電力伝送効率は、共鳴コイル24および共鳴コイル11の間の距離などの様々な要因よって変化する。たとえば、送電部28および受電部27の固有周波数(共振周波数)を固有周波数f0とし、共鳴コイル24に供給される電流の周波数を周波数f3とし、共鳴コイル11および共鳴コイル24の間のエアギャップをエアギャップAGとする。
【0053】
図4は、固有周波数f0を固定した状態で、エアギャップAGを変化させたときの電力伝送効率と、共鳴コイル24に供給される電流の周波数f3との関係を示すグラフである。
【0054】
図4に示すグラフにおいて、横軸は、共鳴コイル24に供給する電流の周波数f3を示し、縦軸は、電力伝送効率(%)を示す。効率曲線L1は、エアギャップAGが小さいときの電力伝送効率と、共鳴コイル24に供給する電流の周波数f3との関係を模式的に示す。この効率曲線L1に示すように、エアギャップAGが小さい場合には、電力伝送効率のピークは周波数f4,f5(f4<f5)において生じる。エアギャップAGを大きくすると、電力伝送効率が高くなるときの2つのピークは、互いに近づくように変化する。そして、効率曲線L2に示すように、エアギャップAGを所定距離よりも大きくすると、電力伝送効率のピークは1つとなり、共鳴コイル24に供給する電流の周波数が周波数f6のときに電力伝送効率がピークとなる。エアギャップAGを効率曲線L2の状態よりもさらに大きくすると、効率曲線L3に示すように電力伝送効率のピークが小さくなる。
【0055】
たとえば、電力伝送効率の向上を図るため手法として次のような第1の手法が考えられる。第1の手法としては、エアギャップAGにあわせて、
図1に示す共鳴コイル24に供給する電流の周波数を一定として、キャパシタ25やキャパシタ19のキャパシタンスを変化させることで、送電部28と受電部27との間での電力伝送効率の特性を変化させる手法が考えられる。具体的には、共鳴コイル24に供給される電流の周波数を一定とした状態で、電力伝送効率がピークとなるように、キャパシタ25およびキャパシタ19のキャパシタンスを調整する。この手法では、エアギャップAGの大きさに関係なく、共鳴コイル24および共鳴コイル11に流れる電流の周波数は一定である。なお、電力伝送効率の特性を変化させる手法としては、送電装置41と高周波電力ドライバ22との間に設けられた整合器を利用する手法や、コンバータ14を利用する手法などを採用することもできる。
【0056】
また、第2の手法としては、エアギャップAGの大きさに基づいて、共鳴コイル24に供給する電流の周波数を調整する手法である。たとえば、
図4において、電力伝送特性が効率曲線L1となる場合には、共鳴コイル24には周波数が周波数f4または周波数f5の電流を共鳴コイル24に供給する。そして、周波数特性が効率曲線L2,L3となる場合には、周波数が周波数f6の電流を共鳴コイル24に供給する。この場合では、エアギャップAGの大きさに合わせて共鳴コイル24および共鳴コイル11に流れる電流の周波数を変化させることになる。
【0057】
第1の手法では、共鳴コイル24を流れる電流の周波数は、固定された一定の周波数となり、第2の手法では、共鳴コイル24を流れる周波数は、エアギャップAGによって適宜変化する周波数となる。第1の手法や第2の手法などによって、電力伝送効率が高くなるように設定された特定の周波数の電流が共鳴コイル24に供給される。共鳴コイル24に特定の周波数の電流が流れることで、共鳴コイル24の周囲には、特定の周波数で振動する磁界(電磁界)が形成される。受電部27は、受電部27と送電部28の間に形成され、かつ特定の周波数で振動する磁界を通じて送電部28から電力を受電している。したがって、「特定の周波数で振動する磁界」とは、必ずしも固定された周波数の磁界とは限らない。なお、上記の例では、エアギャップAGに着目して、共鳴コイル24に供給する電流の周波数を設定するようにしているが、電力伝送効率は、共鳴コイル24および共鳴コイル11の水平方向のずれ等のように他の要因によっても変化するものであり、当該他の要因に基づいて、共鳴コイル24に供給する電流の周波数を調整する場合がある。
【0058】
なお、本実施の形態では、共鳴コイルとしてヘリカルコイルを採用した例について説明したが、共鳴コイルとして、メアンダラインなどのアンテナなどを採用した場合には、共鳴コイル24に特定の周波数の電流が流れることで、特定の周波数の電界が共鳴コイル24の周囲に形成される。そして、この電界をとおして、送電部28と受電部27との間で電力伝送が行われる。
【0059】
本実施の形態に係る電力伝送システムにおいては、電磁界の「静電界」が支配的な近接場(エバネッセント場)を利用することで、送電および受電効率の向上が図られている。
図5は、電流源(磁流源)からの距離と電磁界の強度との関係を示した図である。
図5を参照して、電磁界は3つの成分から成る。曲線k1は、波源からの距離に反比例した成分であり、「輻射電界」と称される。曲線k2は、波源からの距離の2乗に反比例した成分であり、「誘導電界」と称される。また、曲線k3は、波源からの距離の3乗に反比例した成分であり、「静電界」と称される。なお、電磁界の波長を「λ」とすると、「輻射電界」と「誘導電界」と「静電界」との強さが略等しくなる距離は、λ/2πとあらわすことができる。
【0060】
「静電界」は、波源からの距離とともに急激に電磁波の強度が減少する領域であり、本実施の形態に係る電力伝送システムでは、この「静電界」が支配的な近接場(エバネッセント場)を利用してエネルギー(電力)の伝送が行なわれる。すなわち、「静電界」が支配的な近接場において、近接する固有周波数を有する送電部28および受電部27(たとえば一対のLC共振コイル)を共鳴させることにより、送電部28から他方の受電部27へエネルギー(電力)を伝送する。この「静電界」は遠方にエネルギーを伝播しないので、遠方までエネルギーを伝播する「輻射電界」によってエネルギー(電力)を伝送する電磁波に比べて、共鳴法は、より少ないエネルギー損失で送電することができる。
【0061】
このように、本実施の形態に係る電力伝送システムにおいては、送電部28と受電部27とを電磁界によって共振させることで送電装置41から受電装置に電力を送電している。そして、送電部28と受電部27との間の結合係数(κ)は、好ましくは0.1以下である。なお、結合係数(κ)は、この値に限定されるものではなく電力伝送が良好となる種々の値をとりうる。一般的に、電磁誘導を利用した電力伝送では、送電部と受電部と間の結合係数(κ)は1.0に近いものとなっている。
【0062】
本実施の形態の電力伝送における送電部28と受電部27との結合を、たとえば、「磁気共鳴結合」、「磁界(磁場)共鳴結合」、「電磁界(電磁場)共振結合」または「電界(電場)共振結合」という。
【0063】
「電磁界(電磁場)共振結合」は、「磁気共鳴結合」、「磁界(磁場)共鳴結合」、「電界(電場)共振結合」のいずれも含む結合を意味する。
【0064】
本明細書中で説明した送電部28の共鳴コイル24と受電部27の共鳴コイル11とは、コイル形状のアンテナが採用されているため、送電部28と受電部27とは主に、磁界によって結合しており、送電部28と受電部27とは、「磁気共鳴結合」または「磁界(磁場)共鳴結合」している。
【0065】
なお、共鳴コイル24,11として、たとえば、メアンダラインなどのアンテナを採用することも可能であり、この場合には、送電部28と受電部27とは主に、電界によって結合している。このときには、送電部28と受電部27とは、「電界(電場)共振結合」している。
【0066】
図6は、本実施の形態に係る電動車両10の一部と、送電装置41とを示す断面図である。
図7は、
図6に示すVII−VII線における断面図である。
図6において、電動車両10は、フロアパネル50と、このフロアパネル50の下面側に配置された触媒装置33と、この触媒装置33の下面側に配置された受電装置40と、フロアパネル50の上面上に配置された蓄電器15とを含む。
【0067】
フロアパネル50は、車両の外部と、車両の内部とを区画する板状の部材である。
図7に示すように、フロアパネル50のうち、電動車両10の幅方向の中央部に位置する部分には、車両の前後方向に延びるセンタートンネル46が形成されている。センタートンネル46は、上方に膨らむように形成されている。
【0068】
触媒装置33は、センタートンネル46内に配置されており、電動車両10の前後方向に延びるように配置されている。
図6において、触媒装置33は、ケース49と、このケース49内に配置されたフィルタ48とを含む。ケース49は、中空管状に形成されており、ケース49の一端には、排気管35が接続され、他端には、排気管36が接続されている。フィルタ48は、酸化触媒部47aと、パーティキュレートフィルタ47bとを含む。
【0069】
酸化触媒部47aは、パーティキュレートフィルタ47bよりも排気ガスの流通方向Fの上流側に配置されている。酸化触媒部47aは、例えば、コージライトのような多孔質材料から形成されたハニカム構造とされており、このハニカム構造は、流通方向Fに延びる複数の隔壁部によって形成された複数の細管部を含む。この細管部の両端部は、開口している。この細管部の内表面には、Pt等の貴金属酸化触媒が形成されている。
【0070】
パーティキュレートフィルタ47bは、たとえば、コージライトのような多孔質材料から形成されたハニカム構造をなすウォールフロー型である。このハニカム構造も、流通方向Fに延びる複数の細管部を含む。
【0071】
受電装置40は、シールド52および蓋部53を含む筐体51と、この筐体51内に配置されたコイル支持部57と、このコイル支持部57の外周面に装着された共鳴コイル11および電磁誘導コイル12と、筐体51内に冷却風を供給する送風器56と、筐体51内に配置された案内部材54とを含む。
【0072】
シールド52は、下方に向けて開口するように形成されている。シールド52は、銅などの金属材料から形成されており、電磁波を反射したり、吸収したりする。このため、シールド52は、共鳴コイル11の周囲に形成される電磁界の放射領域を規定する。
【0073】
この
図6に示す例では、シールド52は、フロアパネル50と対向する天板部52aと、この天板部52aの外周縁部から下方に垂れ下がるように形成された周壁部52bとを含む。さらに、周壁部52bには、送風器56が配置される開口部が形成されている。そして、シールド52の下面には、共鳴コイル11よりも大きい開口部が形成されており、共鳴コイル11の周囲に形成される電磁界は、この開口部から送電装置41に向けて放射される。
【0074】
そして、蓋部53は、シールド52の上記開口部を閉塞するように配置されている。蓋部53は、たとえば、樹脂から形成されており、電磁波は、蓋部53を通過する。なお、天板部52aには、複数の通風穴58が形成されている。
【0075】
図8は、受電装置40の分解斜視図であり、筐体51の天板部52aを取り外したときの斜視図である。
【0076】
この
図8、
図7および
図6に示すように、コイル支持部57は、本実施の形態においては、筒状に形成されており、コイル支持部57の両端部は開口するように形成されている。
【0077】
コイル支持部57の外周面と、シールド52の周壁部52bとは、互いに間隔をあけて設けられており、コイル支持部57とシールド52の内周面との間には、送風器56からの冷却風が流れる通路59が形成されている。なお、コイル支持部57の形状としては、このような形状に限られない。たとえば、コイル支持部57を複数の柱状の支持部を環状に配置して形成するようにしてもよい。
【0078】
ここで、コイル支持部57の周面にはスリット57aが形成されており、このスリット57aによって、コイル支持部57の内部と通路59とが連通している。
【0079】
共鳴コイル11は、コイル支持部57の外周に装着されており、共鳴コイル11の両端部は、コイル支持部57内に引き込まれている。そして、共鳴コイル11の両端部には、キャパシタ19が接続されている。なお、共鳴コイル11をコイル支持部57の内周に装着してもよい。また、この
図6に示す例においては、共鳴コイル11は、略1巻となるように形成されているが、共鳴コイル11の巻数を複数巻としてもよい。キャパシタ19は、コイル支持部57内に配置されている。
【0080】
電磁誘導コイル12も、コイル支持部57の外周に装着されている。電磁誘導コイル12は、共鳴コイル11よりもフロアパネル50側に配置されている。この共鳴コイル11には、図示されない配線によって、
図1に示す整流器13に接続されている。
【0081】
通路59は、周壁部52bに沿って延びるように形成されている。案内部材54は、コイル支持部57から離れるにつれて、触媒装置33に向けて延びるように湾曲するように形成されている。
【0082】
図6および
図7において、送電装置41は、筐体61と、この筐体61内に配置されたコイル支持部67と、コイル支持部67の外周面に装着された共鳴コイル24および電磁誘導コイル23と、キャパシタ25とを含む。
【0083】
筐体61は、上方に開口するように有底円筒状に形成されたシールド62と、シールド62の開口部を閉塞するように配置された蓋部63とを含む。シールド62は、銅などの金属材料によって形成されている。シールド62は、底面部62aと、この底面部62aの外周縁部から上方に立ち上がるように形成された周壁部62bとを含む。そして、蓋部63は、シールド62の開口部を閉塞するように配置されている。
【0084】
コイル支持部67は、筒状に形成されており、コイル支持部67の上下端部は開口するように形成されている。なお、コイル支持部67も、たとえば、複数の棒状の支持部を間隔をあけて環状に配置することで形成してもよい。
【0085】
電磁誘導コイル23は、コイル支持部67の外周面に装着されており、この電磁誘導コイル23には、図示されない配線によって高周波電力ドライバ22に接続されている。
【0086】
なお、本実施の形態1において、電磁誘導コイル23は、略1巻とされているが、複数巻のコイルとしてもよい。
【0087】
共鳴コイル24は、電磁誘導コイル23の上方に配置されており、共鳴コイル24の巻数も略1巻とされている。なお、共鳴コイル24の巻数を複数巻としてもよい。
【0088】
また、共鳴コイル24および電磁誘導コイル23をコイル支持部67の内周面に配置するようにしてもよい。
【0089】
なお、この
図6および
図7に示す例においては、送電装置41は、送電装置41の一部が地面に埋め込まれているが、送電装置41を地面の上に配置するようにしてもよい。
【0090】
図6において、蓄電器15は、複数の二次電池セルを積層して形成された蓄電器本体71と、この蓄電器本体71を収容するケース70と、ケース70に設けられた送風器74と、送風器74によって吸引された空気をケース70に案内する供給ダクト73と、蓄電器本体71に接続され、蓄電器本体71内の空気が排気される排気ダクト72とを含む。排気ダクト72は、フロアパネル50に形成された排気口75に接続されており、排気口75は、触媒装置33の上方に配置されている。なお、蓄電器本体としては、バイポーラ二次電池に限られず、キャパシタなどを採用してもよい。
【0091】
図1において、エンジン31が駆動すると、エンジン31から排気される排気ガスは、排気管35を通って、触媒装置33に流れ込む。
【0092】
図6において、触媒装置33のパーティキュレートフィルタ47bは、排気ガス中のパティキュレートを捕獲する。
【0093】
パーティキュレートフィルタ47bが捕獲したパティキュレートの量が多くなると、パーティキュレートフィルタ47bにおける排気ガスの流通抵抗が高くなる。
【0094】
このため、パーティキュレートフィルタ47bにおける排気ガスの流通抵抗を下げるために、パーティキュレートフィルタ47bが捕獲したパティキュレートを焼失させる必要がある。
【0095】
パティキュレートを焼失させる際には、酸化触媒部47aが排気ガス中の還元物質を酸化するする際の熱を利用する。
【0096】
具体的には、エンジン31の気筒内には、通常時に供給される燃料に加えて、追加燃料が供給される。すなわち、空燃比をリッチとする。これにより、排気管35内を流れる排気ガス中にも燃料が含まれる。排気ガス中の燃料は、酸化触媒部47aの酸化触媒と、排気ガス中の酸素とによって燃焼される。この燃焼熱によって、パーティキュレートフィルタ47bに捕獲されたパティキュレートの一部が燃焼される。パティキュレートの燃焼が始まると、この燃焼熱によって残りのパティキュレートも燃焼温度となり、燃焼する。
【0097】
ここで、酸化触媒部47aに排気ガス中の排気ガス中のSO
Xが付着して酸化触媒部47aの酸化触媒が機能低下することを抑制するために、酸化触媒部47aの温度を高めた後に、排気ガスの空燃比をリッチにする。これにより、酸化触媒部47aの機能低下の解消が図られている。
【0098】
ここで、酸化触媒部47aの機能低下の解消処理に時間を要すると、燃料消費が悪化する。その一方で、本実施の形態に係る電動車両10においては、蓄電器15を充電する際に電力蓄積ユニット9に生じる熱を利用して、酸化触媒部47aを予め暖めることで、酸化触媒部47aの機能低下の解消処理時間の短縮化が図られている。
【0099】
そこで、本実施の形態に係る電動車両10において、電力蓄積ユニット9に生じる熱の利用方式について説明する。
【0100】
蓄電器15を充電する際には、送電装置41から受電装置40に非接触で電力を送電する。この際、共鳴コイル11が共鳴コイル24から電力を受電する。
図6において、共鳴コイル11が共鳴コイル24から電力を受電すると、共鳴コイル11には、高電圧の交流電流が流れる。このため、共鳴コイル11が高温となる。
【0101】
電磁誘導コイル12は、共鳴コイル11から電磁誘導によって電力を受電して、電磁誘導コイル12内にも交流電流が流れる。これに伴い、電磁誘導コイル12の温度も上昇する。なお、一般的に、電力の受電時には、共鳴コイル11の温度の方が電磁誘導コイル12の温度よりも高くなる。
【0102】
その一方で、送風器56が筐体51内に冷却風を供給し、冷却風が通路59内を流れる。冷却風が通路59内を流れると、共鳴コイル11および電磁誘導コイル12が冷却される。これに伴い、通路59内を流れる冷却風の温度が上昇する。
【0103】
なお、筐体51内に入り込んだ冷却風の少なくとも一部は、
図8に示すスリット57aからコイル支持部57内に入り込む。コイル支持部57内に入り込んだ冷却風は、コイル支持部57の内周面を冷却する。コイル支持部57が冷却され、コイル支持部57の温度を低く抑えることで、共鳴コイル11および電磁誘導コイル12の熱が良好にコイル支持部57に放熱される。この結果、コイル支持部57内に入り込んだ冷却風の温度も上昇する。
【0104】
このように、筐体51内に入り込んだ冷却風は、共鳴コイル11および電磁誘導コイル12からの熱によって高温となる。
【0105】
天板部52aには、複数の通風穴58が形成されており、いくつかの通風穴58は通路59と連通しており、残りの通風穴58は、コイル支持部57内と連通している。通路59内を流れ、高温となった冷却風と、コイル支持部57内に入り込み、高温となった冷却風は、各通風穴58から外部に吹き出される。
【0106】
この際、
図6に示すように通路59内には、コイル支持部57から離れるにつれて触媒装置33に向けて湾曲する案内部材54が配置されているため、通路59内を流れる冷却風は、案内部材54に触媒装置33に向けて案内され、通風穴58から良好に触媒装置33に向けて案内される。
【0107】
このように、送風器56によって筐体51内に供給された冷却風は、受電部27を冷却することで、高温の空気となり、この高温の空気は、通風穴58および案内部材54を含む案内構造によって触媒装置33に向けて案内される。
【0108】
図9は、触媒装置33と、受電装置40とを示す斜視図である。この
図9および
図7に示すように、高温の空気が通風穴58から触媒装置33に向けて吹き付けられる。これにより、触媒装置33が暖められ、充電期間中に、酸化触媒部47aが高温となる。
【0109】
そして、蓄電器15の充電が完了した後、エンジン31が駆動する際には、酸化触媒部47aは十分に暖められており、このときに、酸化触媒部47aの機能低下の解消処理を行うことで、機能低下の解消処理時間の短縮を図ることができる。
【0110】
これに伴い、燃料消費の低減を図ることができる。さらに、酸化触媒部47aの機能低下の解消を図ることができるので、酸化触媒部47aが排気ガス中の還元物質を良好に酸化することができ、パーティキュレートフィルタ47bが捕獲したパティキュレートを十分に燃焼させることできる。
【0111】
これにより、パーティキュレートフィルタ47bにおける排気ガスの流通抵抗が高くなることを抑制することができる。
【0112】
さらに、本実施の形態に係る電動車両10においては、蓄電器15からの熱の利用も図られている。
【0113】
図6において、蓄電器15の充電中において、蓄電器15の温度が上昇するため、送風器74は蓄電器15の充電中においても駆動する。
【0114】
そして、送風器74によって、ケース70内に冷却風が供給され、蓄電器本体71が冷却される。その一方で、蓄電器本体71を冷却した冷却風は、蓄電器本体71からの熱によって暖められ、高温となる。そして、排気ダクト72から蓄電器本体71の外部に排気される。
【0115】
排気ダクト72は、排気口75に接続されており、排気ダクト72内を流れる高温の空気は、排気口75から外部に排気される。
【0116】
触媒装置33は、排気口75の下方に配置されており、触媒装置33は、排気口75から排出される高温の空気によっても暖められる。このように、排気ダクト72と、排気口75とは、蓄電器本体71によって暖められた冷却風を触媒装置33に案内する案内構造として機能している。
【0117】
このように、本実施の形態に係る電動車両10によれば、蓄電器15を充電する際に電力蓄積ユニット9に生じる熱を利用することで、酸化触媒部47aの機能低下の解消処理時間の短縮化が図られている。上記のように本実施の形態に係る電動車両10においては、受電装置40は触媒装置33の下部に配置されている。そこで、
図10を用いて、受電装置40と触媒装置33と配置関係について、詳細に説明する。
図10は、触媒装置33と、受電装置40との配置関係を示す斜視図である。この
図10において、仮想平面86は、水平方向に延び、受電装置40および触媒装置33の下方に位置している。そして、触媒装置33および受電装置40を仮想平面86に投影したときに、触媒装置33の投影部を投影部87とし、受電装置40の投影部を投影部88とする。
【0118】
なお、触媒装置33を仮想平面86に投影するとは、触媒装置33から鉛直方向上方に位置する位置から触媒装置33に平行光をあてて触媒装置33を仮想平面86に投影することを意味する。同様に、受電装置40を仮想平面86に投影するとは、受電装置40から鉛直方向上方に位置する位置から受電装置40に向けて平行光をあてて、受電装置40を仮想平面86に投影することを意味する。
【0119】
この際、
図10からも明らかなように、投影部87は投影部88内に位置している。なお、この
図10に示す例においては、投影部87が投影部88内に位置するように触媒装置33と受電装置40とを配置した例について説明したが、たとえば、受電装置40が触媒装置33の下部に位置しているとは、投影部88と投影部87とが一部重なるように配置されている場合も含む。
【0120】
(実施の形態2)
図11から
図15を用いて、本実施の形態に係る電動車両10について説明する。なお、
図11から
図15に示す構成のうち、上記
図1から
図9に示す構成と同一または相当する構成については、同一の符号を付してその説明を省略する場合がある。
【0121】
図11は、本実施の形態2に係る電動車両に搭載された受電装置40および触媒装置33を示す斜視図である。
図12は、
図11に示す受電装置40および触媒装置33の側断面図であり、
図13は、
図12に示す受電装置40および触媒装置33の断面図である。
【0122】
図11および
図12に示すように、筐体51は、シールド52と、シールド52の開口部を閉塞するように配置された蓋部53とを含み、シールド52には、排気管35と、排気管36とが接続されている。
【0123】
シールド52は、天板部52aと、この天板部52aの周縁部から下方に延びる周壁部52bとを含み、シールド52の下面には開口部が形成されている。蓋部53は、たとえば、耐熱性を有する樹脂材料から形成されており、シールド52の下面に形成された開口部を閉塞する。排気管35および排気管36は、周壁部52bに接続されている。
【0124】
筐体51内には、受電部27と、電磁誘導コイル12と、コイル支持部57と、フィルタ48とが設けられている。
【0125】
コイル支持部57は、筒状に形成されており、コイル支持部57は、耐熱性を有する絶縁材料から形成されている。
【0126】
受電部27は、キャパシタ19と、共鳴コイル11とを含む。キャパシタ19は、コイル支持部57内に配置され、共鳴コイル11は、コイル支持部57の外周面に装着されている。電磁誘導コイル12も、コイル支持部57の外周面に装着されている。
【0127】
フィルタ48は、コイル支持部57の外周面と、シールド52との間に配置されている。そして、フィルタ48と共鳴コイル11とは直接接触し、さらに、フィルタ48と電磁誘導コイル12とは直接接触している。
【0128】
ここで、フィルタ48の少なくとも一部は、共鳴コイル11よりも上方に達している。換言すれば、共鳴コイル11は、フィルタ48の少なくとも一部よりも下方に位置している。なお、受電部27が触媒装置33の下部に位置しているとは、本実施の形態2に係る電動車両10のように、受電部27の共鳴コイル11がフィルタ48の少なくとも一部よりも下方に位置している場合も含む。
【0129】
この
図11から
図13に示す例においては、電力伝送時に共鳴コイル11および電磁誘導コイル12の温度が高くなる。
【0130】
共鳴コイル11および電磁誘導コイル12と、フィルタ48とが直接接触しているため、共鳴コイル11および電磁誘導コイル12からの熱は、フィルタ48に良好に伝達される。このため、フィルタ48を十分に暖めることができる。
【0131】
このように、本実施の形態2に係る電動車両10においても、蓄電器15を充電する際に電力蓄積ユニット9に生じる熱を利用することで、酸化触媒部47aの機能低下の解消処理時間の短縮化が図られている。
【0132】
次に
図14および
図15を用いて、本実施の形態2に係る受電装置40および触媒装置33の変形例について説明する。
【0133】
図14は、受電装置40および触媒装置33の変形例を示す側断面図であり、
図15は、
図14に示す受電装置40および触媒装置33の断面図である。なお、この
図14および
図15に示す構成のうち、上記
図1から
図13に示す構成と同一または相当する構成については、同一の符号を付してその説明を省略する場合がある。
【0134】
図14および
図15においては、共鳴コイル11および電磁誘導コイル12は、フィルタ48によって支持されている。
【0135】
換言すれば、フィルタ48は、シールド52内の空間を埋めるように形成されており、共鳴コイル11および電磁誘導コイル12はフィルタ48内に埋設されている。なお、この
図14に示す例においても、フィルタ48は、共鳴コイル11よりも上方に達するように形成されており、共鳴コイル11は、フィルタ48の少なくとも一部よりも下方に位置している。ここで、受電部27が触媒装置33の下部に位置しているとは、この
図14に示すように、共鳴コイル11がフィルタ48の少なくとも一部よりも下方に位置している場合も含む。
【0136】
このため、この変形例においても、共鳴コイル11および電磁誘導コイル12からの熱は、直接フィルタ48に伝達される。
【0137】
さらに、フィルタ48で共鳴コイル11および電磁誘導コイル12を支持することで、
図13などに示すコイル支持部57を省略することができ、部品点数の低減を図ることができる。
【0138】
(実施の形態3)
図16と
図17とを用いて、本実施の形態3に係る電動車両10などについて説明する。なお、
図16と
図17に示す構成のうち、上記
図1から
図15に示す構成と同一または相当する構成については、同一の符号を付してその説明を省略する場合がある。
【0139】
図16は、本実施の形態3に係る電動車両10を模式的に示す模式図である。この
図16に示すように、電動車両10は、エンジン31およびモータユニット17を含む駆動ユニット30と、エンジン31に供給される燃料を貯留する貯留部80と、貯留部80とエンジン31とを接続する接続管81と備える。
【0140】
なお、貯留部80に貯留される燃料としては、ガソリン、水素、LPガスなど各種の燃料が挙げられる。
【0141】
電動車両10は、蓄電器15と、受電部27を含む受電装置40と、整流器13と、コンバータ14とを含む。受電部27が送電装置41から受電した電力は、電磁誘導コイル12と、整流器13と、コンバータ14とを通して、蓄電器15に供給される。
【0142】
このため、この
図16に示す例においては、電磁誘導コイル12と、整流器13と、コンバータ14とが、受電部27が受電した電力を蓄電器15に伝達する伝達部として機能している。なお、上述のように、電磁誘導コイル12やコンバータ14などは、必須の構成ではない。
【0143】
図17は、貯留部80および受電装置40と、その周囲に位置する部材を模式的に示す斜視図である。
【0144】
この
図17に示すように、電動車両10は、電動車両10の底面に設けられたフロアパネル82を含み、受電装置40と貯留部80とは、フロアパネル82の下面に設けられている。なお、蓄電器15は、フロアパネル82の上面に設けられている。貯留部80と、受電装置40とを上方から平面視すると互いに間隔をあけて配置されており、貯留部80と受電装置40との配置関係について詳細に説明する。
【0145】
ここで、水平方向に延びる仮想平面を仮想平面83とする。仮想平面83は、貯留部80および受電装置40の下方に位置する。
【0146】
貯留部80と受電装置40とを仮想平面83に投影して、貯留部80が仮想平面83に投影される部分を投影部84とし、受電装置40が仮想平面83に投影された部分を投影部85とする。なお、貯留部80を仮想平面83に投影するとは、貯留部80から鉛直方向上方に位置する位置から貯留部80に向けて平行光を当てて、貯留部80を仮想平面83に投影することを意味する。同様に、受電装置40を仮想平面83に投影するとは、受電装置40から鉛直方向上方に位置する位置から受電装置40に向けて平行光を当てて、受電装置40を仮想平面83に投影することを意味する。ここで、投影部84と、投影部85とは互いに間隔があいている。このため、貯留部80と、受電装置40とは互いに間隔をあけて配置されている。
【0147】
受電装置40が送電装置41から電力を受電する際には、受電装置40内の温度が上昇する場合がある。
【0148】
受電装置40と貯留部80とが間隔をあけて配置されているため、電力伝送時に受電装置40が仮に高温となったとしても、受電装置40の熱が貯留部80の伝達されることを抑制することができる。これにより、貯留部80内に貯留された燃料が気化することを抑制することができる。
【0149】
特に、貯留部80は、受電装置40の上方に配置されていないため、受電装置40によって暖められた受電装置40の周囲の空気が上昇したとしても、この暖められた空気が貯留部80に達することが抑制されている。
【0150】
図17に示す例においては、貯留部80は、受電装置40よりも車両前方側に配置されているが、貯留部80は、受電装置40に対して水平方向にずれた位置に配置されておればよい。
【0151】
今回開示された実施の形態は、すべての点で例示であって制限的なものではないと考えられるべきである。本発明の範囲は、上記した実施の形態の説明ではなくて特許請求の範囲によって示され、特許請求の範囲と均等の意味および範囲内でのすべての変更が含まれることが意図される。