特許第5834845号(P5834845)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2015.5.11 β版

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特許5834845シート体保持装置、シート体加工装置、シート体保持方法、シート体加工方法および表示器用部品製造方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】5834845
(24)【登録日】2015年11月13日
(45)【発行日】2015年12月24日
(54)【発明の名称】シート体保持装置、シート体加工装置、シート体保持方法、シート体加工方法および表示器用部品製造方法
(51)【国際特許分類】
   B23K 26/10 20060101AFI20151203BHJP
   B23K 26/38 20140101ALI20151203BHJP
   B23K 26/16 20060101ALI20151203BHJP
【FI】
   B23K26/10
   B23K26/38 Z
   B23K26/16
【請求項の数】6
【全頁数】24
(21)【出願番号】特願2011-263192(P2011-263192)
(22)【出願日】2011年12月1日
(65)【公開番号】特開2013-111644(P2013-111644A)
(43)【公開日】2013年6月10日
【審査請求日】2014年9月30日
(73)【特許権者】
【識別番号】000003067
【氏名又は名称】TDK株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100104787
【弁理士】
【氏名又は名称】酒井 伸司
(72)【発明者】
【氏名】鑓水 誠治
(72)【発明者】
【氏名】岩田 昭雄
(72)【発明者】
【氏名】田中 裕司
(72)【発明者】
【氏名】疋田 功一
【審査官】 篠原 将之
(56)【参考文献】
【文献】 特開2002−047025(JP,A)
【文献】 特開2010−155278(JP,A)
【文献】 特開2011−031555(JP,A)
【文献】 特開2001−232486(JP,A)
【文献】 特開2003−341006(JP,A)
【文献】 特開平10−296473(JP,A)
【文献】 特開2006−159264(JP,A)
【文献】 特開2005−118849(JP,A)
【文献】 特開2000−164535(JP,A)
【文献】 特開2007−054877(JP,A)
【文献】 特開2012−200784(JP,A)
【文献】 特開2008−137016(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B23K 26/10
B23K 26/16
B23K 26/38
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
シート体における第1の領域の端に沿って当該シート体にレーザービームを照射して当該第1の領域の周囲の第2の領域から当該第1の領域を切り離す切断処理に際して当該シート体の裏面に接して当該シート体を吸着する吸着ステージを備えて当該シート体を保持可能に構成されたシート体保持装置であって、
前記吸着ステージは、突端面が前記第1の領域の前記裏面に接するように配設された第1の凸状部と、突端面が前記第2の領域の前記裏面に接するように配設された第2の凸状部とを備えると共に、前記第1の凸状部と前記第2の凸状部との間に溝部が設けられて構成され、
前記第1の凸状部には、負圧供給源に接続されて前記シート体の前記裏面と当該第1の凸状部の前記突端面との間の気体を吸気して前記第1の領域の前記裏面を当該第1の凸状部に吸着させるための第1の吸気孔が形成され、
前記第2の凸状部には、前記負圧供給源に接続されて前記シート体の前記裏面と当該第2の凸状部の前記突端面との間の気体を吸気して前記第2の領域の前記裏面を当該第2の凸状部に吸着させるための第2の吸気孔が形成され、
前記溝部には、前記負圧供給源に接続されて当該溝部内の気体を吸気する第3の吸気孔と、正圧供給源に接続されて当該溝部内に気体を噴出する噴出孔とが形成され、
前記噴出孔から前記溝部内に気体を噴出させつつ、前記第1の吸気孔、前記第2の吸気孔および前記第3の吸気孔から前記気体を吸気して前記シート体を吸着して保持するシート体保持装置。
【請求項2】
請求項1記載のシート体保持装置と、前記シート体に前記レーザービームを照射するレーザー装置とを備えて、前記切断処理に際して、前記シート体保持装置によって吸着して保持した状態の前記シート体に前記レーザー装置によって前記レーザービームを照射して当該レーザービームの照射部位において当該シート体を切断して前記第1領域を前記第2領域から切り離すシート体加工装置。
【請求項3】
シート体における第1の領域の端に沿って当該シート体にレーザービームを照射して当該第1の領域の周囲の第2の領域から当該第1の領域を切り離す切断処理に際して当該シート体の裏面に接して当該シート体を吸着する吸着ステージによって当該シート体を保持するシート体保持方法であって、
突端面が前記第1の領域の前記裏面に接するように配設された第1の凸状部と、突端面が前記第2の領域の前記裏面に接するように配設された第2の凸状部とを備えると共に、前記第1の凸状部と前記第2の凸状部との間に溝部が設けられ、かつ前記第1の凸状部には、負圧供給源に接続されて前記シート体の前記裏面と当該第1の凸状部の前記突端面との間の気体を吸気して前記第1の領域の前記裏面を当該第1の凸状部に吸着させるための第1の吸気孔が形成され、前記第2の凸状部には、前記負圧供給源に接続されて前記シート体の前記裏面と当該第2の凸状部の前記突端面との間の気体を吸気して前記第2の領域の前記裏面を当該第2の凸状部に吸着させるための第2の吸気孔が形成され、前記溝部には、前記負圧供給源に接続されて当該溝部内の気体を吸気する第3の吸気孔と、正圧供給源に接続されて当該溝部内に気体を噴出する噴出孔とが形成された前記吸着ステージを使用して、前記噴出孔から前記溝部内に気体を噴出させつつ、前記第1の吸気孔、前記第2の吸気孔および前記第3の吸気孔から前記気体を吸気して前記シート体を吸着して保持するシート体保持方法。
【請求項4】
前記溝部内の気圧が前記シート体における前記レーザービームの照射面側の気圧以下となるように、前記噴出孔からの前記気体の噴出量および前記第3の吸気孔からの前記気体吸気量の少なくとも一方を調整する請求項3記載のシート体保持方法。
【請求項5】
請求項4または5記載のシート体保持方法に従って前記シート体を保持した状態で前記切断処理を実行するシート体加工方法。
【請求項6】
少なくともタッチパネル本体を備えて構成された表示器用部品の製造に際して、請求項5記載のシート体加工方法に従って前記切断処理を実行して製造した前記第1領域からなる前記シート体を前記タッチパネル本体の表面に貼付して前記表示器用部品を製造する表示器用部品製造方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、シート体を所望の形状に切断処理する際にシート体を吸着して保持するシート体保持装置およびシート体保持方法、そのような装置・方法によって保持した状態のシート体を切断処理するシート体加工装置およびシート体加工方法、並びに、加工したシート体を用いて表示器用部品を製造する表示器用部品製造方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
例えば、特開2010−053310号公報には、粘着剤層、難加工性材料層および基材シートがセパレータの上にこの順で積層されたシート体(粘着シート)を対象としてハーフカット加工を行う方法(シート体加工方法)が開示されている。この場合、この公開公報に開示されているシート体加工方法では、シート体のハーフカット対象部位にレーザービーム(レーザー光)を照射することにより、レーザービームの照射部位において、粘着剤層、難加工性材料層および基材シートを切断する。これにより、粘着剤層、難加工性材料層および基材シートの積層体が、レーザービームの照射部位によって囲まれた内側部位と、その周囲の外側部位とに分離可能な状態に加工される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2010−053310号公報(第3−5頁、第1図)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところが、上記したシート体加工方法には、以下の改善すべき課題が存在する。すなわち、従来のシート体加工方法では、シート体にレーザービームを照射することにより、レーザービームの照射部位において、粘着剤層、難加工性材料層および基材シートを切断している。この場合、レーザービームの照射によるシート体加工方法では、シート体に対するレーザービームの照射に伴ってシート体の構成材料が気化して煙となり、この煙(煙を構成する微粒子)がシート体に付着して汚れが生じることがある。したがって、レーザービームの照射による切断処理に際しては、シート体の周囲の空気を排煙装置によって除去するのが好ましい。
【0005】
一方、この種のシート体加工方法に従ってシート体を加工してシート状の製品を製造する際には、上記の公開公報に開示されているようなハーフカット加工だけでなく、加工対象のシート体における厚み方向の全体を切断するフルカット加工を実施する必要が生じることがある。ここで、出願人は、レーザービームの照射によるシート体のフルカット加工を試みたところ、排煙装置の稼働に伴ってシート体の周囲に生じる風に起因して、切断処理中にシート体が移動してレーザービームの照射位置(すなわち、切断位置)にずれが生じたり、切断された小片(シート体から切り出された製品)が、次に切断処理を実行すべき位置に飛ばされて、この小片(製品)にレーザービームが照射されて製品に傷付きが生じると共に、切断すべき部位にレーザービームが十分に照射されずにシート体を正常に切断することができない事態を招いたりすることがあるのを見いだした。
【0006】
したがって、出願人は、排煙装置の稼働時に生じる風に起因する上記の問題点を克服するために、シート体の裏面に接してシート体を吸着する吸着ステージを備えたシート体保持装置によってシート体を保持した状態で切断処理を実行するシート体加工方法を開発した。この場合、レーザービームの照射による切断処理に際して、加工対象のシート体における裏面の全域に接する吸着ステージによってシート体を吸着して保持した場合には、シート体においてレーザービームの照射によって溶融した部位(すなわち、切断部位)が吸着ステージの表面に貼り付いてしまうことがある。そこで、出願人は、シート体におけるレーザービームの照射部位の裏面に対して吸着ステージを非接触状態とするために、切断処理時におけるレーザービームの走査ラインに沿って溝部を形成した吸着ステージを使用してシート体を吸着して保持する方法を開発した。
【0007】
しかしながら、そのような吸着ステージを使用してシート体を保持しつつ、レーザービームの照射によってシート体を切断したときには、シート体の表面側については、レーザービームの照射に伴って生じた煙を排煙装置によって除去することができるものの、シート体の裏面側については、上記の溝部内に煙が停滞することとなり、この煙がシート体に付着して、シート体の裏面における切断部位の近傍に汚れが生じるおそれがある。このため、レーザービームの照射によるシート体のフルカット加工に際しては、溝部内の空気を吸引して煙を除去するのが好ましい。
【0008】
一方、排煙を目的として溝部内の空気を吸引したときには、シート体の表面側の気圧よりも、シート体の裏面側(溝部内)の気圧の方が低い状態となる。したがって、溝部上のシート体が溝部内に引き込まれるようにしてシート体に撓みが生じることとなる。この場合、好適な排煙を実現するために、シート体の裏面側(溝部内)の空気を大量に吸引するほど、シート体が溝部内に引き込まれる度合い、すなわち、シート体に生じる撓みの度合いが大きくなる。したがって、排煙を目的として溝部内の空気を吸引しつつレーザービームを照射する加工方法では、切断された小片(製品)における外縁部に反りが生じて、製品の商品的価値を低下させるおそれがあるため、この点を改善するのが好ましい。
【0009】
本発明は、かかる課題に鑑みてなされたものであり、製品の商品的価値を低下させる要因となる外観不良や変形の発生を回避し得るシート体保持装置、シート体加工装置、シート体保持方法およびシート体加工方法、並びに、そのようなシート体加工方法に従って加工されたシート体を用いて表示器用部品を製造する表示器用部品製造方法を提供することを主目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
上記目的を達成すべく本発明に係るシート体保持装置は、シート体における第1の領域の端に沿って当該シート体にレーザービームを照射して当該第1の領域の周囲の第2の領域から当該第1の領域を切り離す切断処理に際して当該シート体の裏面に接して当該シート体を吸着する吸着ステージを備えて当該シート体を保持可能に構成されたシート体保持装置であって、前記吸着ステージは、突端面が前記第1の領域の前記裏面に接するように配設された第1の凸状部と、突端面が前記第2の領域の前記裏面に接するように配設された第2の凸状部とを備えると共に、前記第1の凸状部と前記第2の凸状部との間に溝部が設けられて構成され、前記第1の凸状部には、負圧供給源に接続されて前記シート体の前記裏面と当該第1の凸状部の前記突端面との間の気体を吸気して前記第1の領域の前記裏面を当該第1の凸状部に吸着させるための第1の吸気孔が形成され、前記第2の凸状部には、前記負圧供給源に接続されて前記シート体の前記裏面と当該第2の凸状部の前記突端面との間の気体を吸気して前記第2の領域の前記裏面を当該第2の凸状部に吸着させるための第2の吸気孔が形成され、前記溝部には、前記負圧供給源に接続されて当該溝部内の気体を吸気する第3の吸気孔と、正圧供給源に接続されて当該溝部内に気体を噴出する噴出孔とが形成され、前記噴出孔から前記溝部内に気体を噴出させつつ、前記第1の吸気孔、前記第2の吸気孔および前記第3の吸気孔から前記気体を吸気して前記シート体を吸着して保持する。
【0011】
また、本発明に係るシート体加工装置は、上記のシート体保持装置と、前記シート体に前記レーザービームを照射するレーザー装置とを備えて、前記切断処理に際して、前記シート体保持装置によって吸着して保持した状態の前記シート体に前記レーザー装置によって前記レーザービームを照射して当該レーザービームの照射部位において当該シート体を切断して前記第1領域を前記第2領域から切り離す。
【0012】
また、本発明に係るシート体保持方法は、シート体における第1の領域の端に沿って当該シート体にレーザービームを照射して当該第1の領域の周囲の第2の領域から当該第1の領域を切り離す切断処理に際して当該シート体の裏面に接して当該シート体を吸着する吸着ステージによって当該シート体を保持するシート体保持方法であって、突端面が前記第1の領域の前記裏面に接するように配設された第1の凸状部と、突端面が前記第2の領域の前記裏面に接するように配設された第2の凸状部とを備えると共に、前記第1の凸状部と前記第2の凸状部との間に溝部が設けられ、かつ前記第1の凸状部には、負圧供給源に接続されて前記シート体の前記裏面と当該第1の凸状部の前記突端面との間の気体を吸気して前記第1の領域の前記裏面を当該第1の凸状部に吸着させるための第1の吸気孔が形成され、前記第2の凸状部には、前記負圧供給源に接続されて前記シート体の前記裏面と当該第2の凸状部の前記突端面との間の気体を吸気して前記第2の領域の前記裏面を当該第2の凸状部に吸着させるための第2の吸気孔が形成され、前記溝部には、前記負圧供給源に接続されて当該溝部内の気体を吸気する第3の吸気孔と、正圧供給源に接続されて当該溝部内に気体を噴出する噴出孔とが形成された前記吸着ステージを使用して、前記噴出孔から前記溝部内に気体を噴出させつつ、前記第1の吸気孔、前記第2の吸気孔および前記第3の吸気孔から前記気体を吸気して前記シート体を吸着して保持する。
【0013】
さらに、本発明に係るシート体保持方法は、前記溝部内の気圧が前記シート体における前記レーザービームの照射面側の気圧以下となるように、前記噴出孔からの前記気体の噴出量および前記第3の吸気孔からの前記気体吸気量の少なくとも一方を調整する。
【0014】
また、本発明に係るシート体加工方法は、上記のシート体保持方法に従って前記シート体を保持した状態で前記切断処理を実行する。
【0015】
また、本発明に係る表示器用部品製造方法は、少なくともタッチパネル本体を備えて構成された表示器用部品の製造に際して、上記のシート体加工方法に従って前記切断処理を実行して製造した前記第1領域からなる前記シート体を前記タッチパネル本体の表面に貼付して前記表示器用部品を製造する。
【発明の効果】
【0016】
本発明に係るシート体保持装置およびシート体保持方法によれば、突端面が第1の領域の裏面に接するように配設された第1の凸状部と、突端面が第2の領域の裏面に接するように配設された第2の凸状部との間に設けられた溝部内に、溝部に形成された噴出孔から気体を噴出させつつ、第1の凸状部に形成された第1の吸気孔、第2の凸状部に形成された第2の吸気孔、および溝部に形成された第3の吸気孔から気体を吸気してシート体を吸着ステージによって吸着して保持することにより、溝部内に生じた煙を第3の吸気孔からの吸気によって排煙することができるため、シート体の裏面における切断部位の近傍に煙が付着して外観不良が生じる事態を回避することができると共に、溝部内の気体を第3の吸気孔から吸気するだけの構成・方法とは異なり、噴出孔から溝部内に気体を噴出している分だけ、溝部内の気圧がシート体におけるレーザービームの照射面側の気圧に対して過剰に低くなる事態を回避することができるため、溝部内に引き込まれるような変形がシート体に生じる事態を回避することができる結果、切断処理によって製造されるシート状の製品を全域に亘ってフラットな状態とすることができる。
【0017】
また、本発明に係るシート体保持方法によれば、溝部内の気圧がシート体におけるレーザービームの照射面側の気圧以下となるように、噴出孔からの気体の噴出量および第3の吸気孔からの気体を吸気量の少なくとも一方を調整することにより、例えば、噴出孔からの気体の噴出量が多過ぎて、溝部内の気圧がシート体におけるレーザービームの照射面側の気圧に対して高くなる事態を回避できる結果、保持しているシート体に、溝部から離反する向きで盛り上がるような変形が生じる事態を回避することができる。
【0018】
また、本発明に係るシート体加工装置およびシート体加工方法によれば、上記のいずれかのシート体保持方法に従ってシート体を保持した状態でシート体にレーザービームを照射してレーザービームの照射部位においてシート体を切断して第1領域を第2領域から切り離す切断処理を実行することにより、煙の付着に起因する外観不良や、端部の変形を招くことなく、全域においてフラットで綺麗な製品を製造することができる。
【0019】
また、本発明に係る表示器用部品製造方法によれば、上記のシート体加工方法に従って切断処理を実行して製造した第1領域からなるシート体をタッチパネル本体の表面に貼付して表示器用部品を製造することにより、煙の付着に起因する外観不良や、端部の変形が生じていない綺麗な製品を備えた商品的価値が十分に高い表示器用部品を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0020】
図1】切断処理装置1の構成図である。
図2】切断処理装置1におけるシート体保持部2の構成図である。
図3】携帯電話機200の正面図である。
図4】携帯電話機200におけるタッチパネル220の断面図である。
図5】シート体保持部2における吸着ステージ20の平面図である。
図6図5におけるA−A線断面図である。
図7図5におけるB1−B1線断面図である。
図8図5におけるB2−B2線断面図である。
図9】枠体21の平面図である。
図10】吸着ステージ20および中間体100の拡大平面図である。
図11】カバーシート10の断面図である。
図12】カバーシート10を製造するための中間体100の平面図である。
図13】レーザービームLの照射位置について説明するための吸着ステージ20および中間体100の断面図である。
図14】中間体100に対するレーザービームLの照射処理について説明するための説明図である。
図15】中間体100に対するレーザービームLの照射処理について説明するための他の説明図である。
図16】1回目のレーザービームLの照射処理が完了した状態の中間体100の断面図である。
図17】2回目のレーザービームLの照射処理が完了した状態の中間体100の断面図である。
図18】3回目のレーザービームLの照射処理が完了した状態の中間体100の断面図である。
図19】4回目のレーザービームLの照射処理が完了した状態の中間体100の断面図である。
図20】中間体100に対するレーザービームLの照射処理について説明するためのさらに他の説明図である。
図21】照射開始位置PSから位置P1までのレーザービームLの照射軌跡と、位置P2から照射終了位置PEまでのレーザービームLの照射軌跡との交点PCについて説明するための説明図である。
図22】カバーシート10の平面図である。
【発明を実施するための形態】
【0021】
以下、シート体保持装置、シート体加工装置、シート体保持方法、シート体加工方法および表示器用部品製造方法の実施の形態について、添付図面を参照して説明する。
【0022】
図1に示す切断処理装置1は、「シート体加工装置」の一例であって、図3に示す携帯電話機200における表示器210の構成部品であるタッチパネル220(「表示器用部品」の一例:図4参照)の製造に際して、「シート体加工方法」に従って「切断処理」を実行して、図11,22に示すカバーシート10を製造可能に構成されている。
【0023】
この場合、図3に示すように、携帯電話機200は、バックライト装置およびLCDパネル(図示せず)と、上記のタッチパネル220とが一体化されて構成された表示器210を備えている。また、図4に示すように、タッチパネル220は、透明電極部221、粘着層222、カバーガラス223およびカバーシート10を備えて構成されている。なお、本例では、透明電極部221、粘着層222およびカバーガラス223が相俟って「タッチパネル本体」を構成する。
【0024】
透明電極部221は、一例として、ITO膜等で透明電極が形成された透明電極フィルムの積層体で構成されている。なお、透明電極部221の具体的な構成については周知のため、その層構造についての図示や詳細な説明を省略する。粘着層222は、透明電極部221にカバーガラス223を接着するための粘着剤で構成されている。カバーガラス223は、タッチパネル220の物理的強度を確保するための支持体であって薄厚の強化ガラスで構成されている。
【0025】
カバーシート10は、上記のカバーガラス223の傷付きを阻止するための保護カバーとしての機能、および携帯電話機200の正面パネル(表示器210の前面)に図柄Ma(図3,12,22参照:この例では、表示器210における画面表示エリアの周囲に設けられた「外枠」の図柄)を付与する機能を有するシート体であって、後述するようにして、切断処理装置1によって表示器210の外形と同形に切断されて、図4に示すように、カバーガラス223の表面(「タッチパネル本体」の表面)に貼付される。
【0026】
この場合、図11に示すように、切断処理装置1によって製造されるカバーシート10は、シート本体11の一方の面(同図における下面)にハードコート層12が形成され、かつ、このハードコート層12の表面を覆うようにして保護フィルム13が貼付されると共に、シート本体11の他方の面(同図における上面)に印刷層14、スペーサ層15および粘着層16がこの順で形成され、かつ、粘着層16を覆うようにしてセパレータ17が配設されて、その厚みが280μm程度に形成されている。
【0027】
シート本体11は、一例として、厚み125μm程度のPET(Polyethylene terephthalate)フィルムで構成されている。ハードコート層12は、アクリル樹脂を主成分とするハードコート層形成用の樹脂材料を塗布して硬化させることにより、厚み5μm程度の薄膜状に形成されている。保護フィルム13は、一例として厚み50μm程度のPETフィルム(シート本体11と同じ材料で形成されたフィルム)で構成されている。印刷層14は、前述した図柄Maや、中間体100(「シート体」の一例:図12参照)を対象とする切断処理時に切断する位置を特定するための位置決め用マークMb等を付与するための層であって、酸化チタンやカーボンブラック等の顔料を含んだビニルウレタン樹脂等の有色樹脂材料で厚み10μm程度の薄膜状に形成されている。なお、図3,12,22では、この印刷層14が形成されている部位を網線で塗り潰して図示している。
【0028】
スペーサ層15は、印刷層14の存在に起因してシート本体11の一面に生じた段差を埋めるための機能層であって、一例として、紫外線硬化樹脂を塗布して硬化させることにより、印刷層14が存在する部位の厚みが14μm程度で、印刷層14が存在しない部位の厚みが24μm程度となるように形成されている。粘着層16は、アクリル系接着剤層転写フィルムをスペーサ層15の表面に貼合させてアクリル系接着剤層(粘着剤)をスペーサ層15に転写させることにより、厚み25μm程度の薄膜状に形成されている。セパレータ17は、一例として厚み50μm程度のPETフィルム(シート本体11と同じ材料で形成されたフィルム)で構成されている。
【0029】
この場合、このカバーシート10では、最も厚いシート本体11を構成する材料(この例では、PET)と同じ材料によって形成した保護フィルム13およびセパレータ17を採用している。したがって、例えば、シート本体11とは相違する材料(一例として、PE(Polyethylene))で形成した保護フィルムおよびセパレータを採用した構成とは異なり、後述する「切断処理」に際して、シート本体11の切断に適したレーザービームLを中間体100に照射したときに、レーザービームLの照射部位において保護フィルム13やセパレータ17が過度に消失したり、保護フィルム13やセパレータ17に焦げが生じたり、保護フィルム13やセパレータ17の消失の度合いが小さ過ぎて切断が不完全となったりすることを回避することができる。
【0030】
なお、後述するように、タッチパネル220の製造に際してカバーガラス223にカバーシート10を貼付する際には、粘着層16からセパレータ17が剥がされる。また、カバーガラス223に対する貼付を完了した状態においては、必要に応じてハードコート層12から保護フィルム13が剥がされる。このため、図4に示すように、カバーガラス223に貼付された状態のカバーシート10では、上記の保護フィルム13やセパレータ17が存在しない状態となる。また、図12に示すように、本例では、横3列×縦2行の6枚のカバーシート10を製造可能に印刷層14が形成された中間体100を対象として「切断処理」を実行する例について説明する。この場合、中間体100の層構造は、上記のカバーシート10の層構造と同様のため、詳細な説明を省略する。
【0031】
一方、図1に示すように、切断処理装置1は、シート体保持部2、レーザー装置3、移動機構4、排煙装置5、カメラ6、操作部7および制御部8を備え、後述するようにして、中間体100を対象とする切断処理を実行して上記のカバーシート10を製造する。シート体保持部2は、「シート体保持装置」の一例であって、図2に示すように、負圧供給源30Lおよび正圧供給源30Hに接続された吸着ステージ20を備えて、加工対象物(この例では、中間体100)を吸着して保持することができるように構成されている。また、吸着ステージ20は、図5〜8に示すように、枠体21および本体部22,22を備えて構成されている。
【0032】
枠体21は、図9に示すように、その一面(図6〜8における上面)に本体部22を取り付けるための2つの取付け用凹部42が形成されると共に、両取付け用凹部42の周囲に枠部41が形成されている。この場合、図5〜9に示すように、枠部41には、その突端面41aに通気溝43が形成されると共に、通気溝43の底部には、複数の吸気孔44(図5,7参照)が形成されている。また、図6,7,9に示すように、両取付け用凹部42の底部には、後述する枠体21の各凸状部51の位置に合わせてそれぞれ3つの吸気孔45が形成されている。さらに、図5,8,9に示すように、両取付け用凹部42の底部には、後述するように取付け用凹部42に取り付けられた状態の本体部22における各通気溝55の位置に合わせて、それぞれ4つの吸気孔46(「第3の吸気孔」の一例)と4つの噴出孔47(「噴出孔」の一例)とが形成されている。また、図9に示すように、両取付け用凹部42の底部には、それぞれ4つのねじ孔48(本体部22を取付けるための固定用ねじをねじ込むための孔)が形成されている。
【0033】
本体部22,22は、互いに等しい形状に形成されている。この場合、図5,6に示すように、両本体部22は、枠体21に取り付けるための固定用ねじを挿通可能な挿通孔54が設けられた各一対の固定部53と、中間体100においてカバーシート10として切り出す領域の位置に応じて両固定部53,53の間に配置されたそれぞれ3つの凸状部51とを備えて形成されている。また、各凸状部51には、その突端面51aにそれぞれ9つの吸気孔52が形成されている。さらに、固定部53と凸状部51との間、および隣接する凸状部51,51の間には、「溝部」の一部を構成する通気溝55がそれぞれ形成されている。
【0034】
また、本例の吸着ステージ20では、図6,7に示すように、枠体21の取付け用凹部42に本体部22を取り付けた状態において、取付け用凹部42の底面と本体部22における各凸状部51の裏面との間に空間61が形成されて、各凸状部51に形成された9つの吸気孔52が、この空間61を介して吸気孔45にそれぞれ連通させられる構成が採用されている。さらに、本例の吸着ステージ20では、図5〜8に示すように、枠体21の取付け用凹部42に本体部22を取り付けた状態において、枠体21の枠部41と、本体部22の各凸状部51や固定部53との間に「溝部」の他の一部を構成する通気溝62が形成される構成が採用されている。
【0035】
また、本例の吸着ステージ20では、図5,8に示すように、取付け用凹部42に取り付けた状態の本体部22における各通気溝55の両端部の一方に吸気孔46が位置すると共に各通気溝55の両端部の他方に噴出孔47が位置するように吸気孔46および噴出孔47の形成位置が規定されている。この場合、上記の各吸気孔44、各吸気孔45および各吸気孔46は、図示しない負圧供給ラインを介して負圧供給源30Lに接続され、上記の各噴出孔47は、図示しない正圧供給ラインを介して正圧供給源30Hに接続されている。
【0036】
なお、本例とは相違するが、各吸気孔44、各吸気孔45および各吸気孔46を接続する「負圧供給源」については、単一の(共通の)「負圧供給源」ではなくてもよい。具体的には、一例として、各吸気孔44,45を接続する「負圧供給源」(「シート体」の吸着保持を主目的とする負圧を供給する「負圧供給源」)と、各吸気孔46を接続する「負圧供給源」(排煙を主目的とする負圧を供給する「負圧供給源」)とを別個に設けて、各吸気孔44,45,46をそれぞれ接続する構成を採用することができる。また、各吸気孔44,45,46を任意にグループ分けして、各グループ毎に別個の「負圧供給源」にそれぞれ接続する構成を採用することもできる。
【0037】
また、本例では、後述するように、中間体100に設けられた平面視長方形状の6つの領域を順次切断することで1枚の中間体100から6枚のカバーシート10を製造する製造方法(6つの領域を同時に切断しない製造方法)を採用している。したがって、6つの領域のうちの1つを「第1の領域」としてその周囲の領域から切り離す「切断処理」においては、その1つの領域の周囲の全域が「第2の領域」に相当する。このため、本例の吸着ステージ20では、6つの凸状部51のうちの「切断対象の領域」の裏面に接してこれを吸着している凸状部51の突端面51aが「第1の凸状部の突端面」に相当し、かつ、この凸状部51に形成されている吸気孔52が「第1の吸気孔」に相当すると共に、他の5つの凸状部51における突端面51aおよび枠部41の突端面41aが相まって「第2の凸状部の突端面」を構成し、かつ、この5つの凸状部51に形成されている吸気孔52、および枠部41に形成されている吸気孔44(通気溝43)が「第2の吸気孔」に相当する。
【0038】
また、図2に示すように、本例のシート体保持部2では、上記の負圧供給ラインを介して負圧供給源30Lに接続される接続用配管25Lに制御弁23Lおよび調整弁24Lが配設されると共に、上記の正圧供給ラインを介して正圧供給源30Hに接続される接続用配管25Hに制御弁23Hおよび調整弁24Hが配設されている。制御弁23Lは、制御部8の制御に従って接続用配管25Lを開放または閉塞し、制御弁23Hは、制御部8の制御に従って接続用配管25Hを開放または閉塞する。調整弁24L,24Hは、一例として、手動操作式の流量調整バルブで構成されて、調整弁24Lは、吸気孔44(通気溝43)、吸気孔52(吸気孔45)および吸気孔46を介しての空気(「気体」の一例)の吸気量を調整する際に操作され、調整弁24Hは、噴出孔47からの空気(「気体」の一例)の噴出量を調整する際に操作される。
【0039】
レーザー装置3は、加工対象物を切断するためのレーザービームLを出射可能に構成されている。この場合、本例の切断処理装置1では、一例として、炭酸ガスレーザー装置(PETで形成された対象物の加工に適したレーザービームLを照射可能な装置の一例)でレーザー装置3が構成されている。このレーザー装置3は、レーザービーム発生部において発生させたレーザービームL(一例として、波長9.3μmのレーザービーム)を制御部8の制御に従って偏向することによって、加工対象物の任意の部位にレーザービームLを照射できるように構成されている。移動機構4は、制御部8の制御に従ってシート体保持部2の吸着ステージ20をレーザー装置3に対して移動させることで、各凸状部51のうちのいずれか(切断処理を実行する対象の領域の裏面を吸着している凸状部51)をレーザー装置3の下方に位置させる。
【0040】
排煙装置5は、加工対象物(中間体100)におけるレーザービームLの照射面側に配設されて、レーザー装置3によるレーザービームLの照射によって加工対象物から発生した煙(レーザービームLの照射によって気化した中間体100の構成物)を吸引して、図示しないダクトの排気口から排出する排煙処理を実行する。カメラ6は、レーザー装置3によるレーザービームLの照射位置を位置決めするために加工対象物に付されたマーク(一例として、後述する位置決め用マークMb(図12参照)など)を撮像して、その撮像データを制御部8に出力する。
【0041】
操作部7は、切断処理の開始や停止を指示するための複数の操作スイッチを備え(図示せず)、スイッチ操作に応じた操作信号を制御部8に出力する。制御部8は、切断処理装置1を総括的に制御する。具体的には、制御部8は、操作部7からの操作信号に従って「切断処理」を開始して、制御弁23Lを制御して接続用配管25Lを開放させることで各吸気孔44(通気溝43)、各吸気孔45(各吸気孔52)および各吸気孔46からの空気の吸気を開始させると共に、制御弁23Hを制御して接続用配管25Hを開放させることで各噴出孔47から通気溝55,62内への空気の噴出を開始させることで、吸着ステージ20に中間体100を吸着させて保持させる。
【0042】
また、制御部8は、カメラ6を制御して、シート体保持部2によって保持されている中間体100を撮像させると共に、カメラ6から出力された撮像データに基づき、中間体100における切断対象部位を特定する。さらに、制御部8は、レーザー装置3を制御して、中間体100にレーザービームLを照射させることで予め規定された部位を切断させると共に、排煙装置5を制御して、レーザービームLの照射によって発生した煙を除去する排煙処理を実行させる。
【0043】
上記のカバーシート10の製造に際しては、まず、中間体100を製造するための原反(図示せず)を製造する。具体的には、長尺の帯状に形成されてロール状に巻回されたシート本体11(PETフィルム)の一方の面にハードコート層形成用の樹脂材料を塗布して硬化させることにより、シート本体11の一面にハードコート層12を形成する。次いで、形成したハードコート層12の傷付きを回避するために、ハードコート層12の表面に保護フィルム13を貼付する。続いて、ハードコート層12の形成および保護フィルム13の貼付が完了したシート本体11を、予め規定された長さ(この例では、中間体100の長さ)に切断する。
【0044】
次いで、切断したシート本体11の他方の面(ハードコート層12を形成した面の裏面)に印刷装置によって図柄Maおよび位置決め用マークMb(図12参照)を印刷することにより、印刷層14を形成する。続いて、シート本体11における印刷層14の形成面に紫外線硬化型の樹脂材料を塗布して硬化させることにより、スペーサ層15を形成する。次いで、スペーサ層15の表面にアクリル系接着剤層転写フィルムを貼合させてアクリル系接着剤層(粘着剤)をスペーサ層15に転写させることにより、粘着層16を形成する。この後、粘着層16を覆うようにしてセパレータ17を貼付することにより、図12に示すように、中間体100が完成する。
【0045】
次いで、中間体100を対象とする「切断処理」を実行することでカバーシート10を製造する。具体的には、まず、セパレータ17が配設されている面を上向きとし、かつ保護フィルム13がシート体保持部2の吸着ステージ20における枠部41および各凸状部51の突端面41a,51aに接するようにして、図5に破線で示すように、吸着ステージ20の上に中間体100を載置する。続いて、操作部7の処理開始スイッチを操作することで、中間体100に対する「切断処理」を開始させる。この際に、制御部8は、まず、制御弁23L,23Hを制御して、接続用配管25L,25Hをそれぞれ開放させることにより、吸着ステージ20を負圧供給源30Lおよび正圧供給源30Hに連通させる。
【0046】
この際には、吸着ステージ20の枠体21に形成された通気溝43内の空気が吸気孔44から吸気されることで中間体100において枠部41の突端面41aに接している部位が枠部41に吸着される。また、枠体21と本体部22との間に形成された各空間61内の空気が吸気孔45から吸気されることで本体部22の各凸状部51における突端面51aと中間体100との間の空気が各吸気孔52から空間61内に吸気されて、中間体100において各突端面51aに接している部位が各凸状部51にそれぞれ吸着される。これにより、中間体100が吸着ステージ20によって保持される。
【0047】
また、各吸気孔46から通気溝55,62内の空気が吸気されつつ、各噴出孔47から通気溝55,62内に正圧供給源30Hからの空気が噴出されることにより、図10に矢印C1で示すように、各通気溝55内を噴出孔47から吸気孔46に向かう気流が発生する。さらに、この気流の発生に起因して、通気溝55内の空気が通気溝62内に回り込んだり、通気溝62内の空気が通気溝55に向かって移動したりする結果、同図に矢印C2,C3で示す向きの気流が通気溝62内に発生する。
【0048】
この場合、この切断処理装置1(シート体保持部2)では、各吸気孔46から通気溝55,62内の空気を吸気しつつ各噴出孔47から通気溝55,62内に空気を噴出させた状態において、通気溝55,62内の気圧が中間体100におけるレーザービームLの照射面側の気圧以下となるように(一例として、両気圧がほぼ等しくなるように)、調整弁24L,24Hの開度が調整されている。なお、この調整作業を切断処理の開始に先立って予め実施しておく。これにより、図13に示すように、中間体100における通気溝55,62(同図では、通気溝62を図示せず)上の部位に通気溝55,62内に引き込まれるような向きの撓みが生じる事態が回避されて、中間体100がフラットな状態で吸着ステージ20によって保持される。
【0049】
次いで、制御部8は、移動機構4を制御することにより、中間体100においてカバーシート10として切り出される6つの領域のうちの1つの裏面を吸着している凸状部51の上方にレーザー装置3が位置するように吸着ステージ20を移動させる。この場合、例えば、図10に破線で示す領域A1を「第1の領域」として実行する「切断処理」では、この領域A1の周囲の破線で示す領域A2(一点鎖線で示すA1や二点鎖線で示すA1を含む領域)が「第2の領域」に相当し、同図に一点鎖線で示す領域A1を「第1の領域」として実行する「切断処理」では、この領域A1の周囲の一点鎖線で示す領域A2(破線で示すA1や二点鎖線で示すA1を含む領域)が「第2の領域」に相当し、同図に二点鎖線で示す領域A1を「第1の領域」として実行する「切断処理」では、この領域A1の周囲の二点鎖線で示す領域A2(破線で示すA1や一点鎖線で示すA1を含む領域)が「第2の領域」に相当する。本例では、一例として、破線で示す領域A1を「第1の領域」としてその周囲の領域A2から切り離す例について説明する。
【0050】
続いて、制御部8は、カメラ6を制御して、シート体保持部2によって保持されている中間体100を撮像させる。この際に、制御部8は、カメラ6から出力された撮像データを画像解析することによって中間体100における位置決め用マークMbの位置を特定し、特定した位置に基づき、カバーシート10として切り離す領域A1の端の位置(この例では、図10に示す破線の位置)を特定する。次いで、制御部8は、排煙装置5を制御して排煙処理を開始させると共に、レーザー装置3を制御して中間体100に対するレーザービームLの照射処理を開始させる。
【0051】
この際に、レーザー装置3は、領域A1の上方に位置させられた状態においてレーザービーム発生部で発生させたレーザービームLを偏向することにより、図14に示すように、上記の領域A2内に規定された照射開始位置PSから中間体100に対するレーザービームLの照射を開始すると共に、領域A1の端(この例では、位置P1)に向かって走査しつつ中間体100にレーザービームLを照射する。また、排煙装置5は、レーザービームLの照射によって中間体100から発生した煙を吸引して排気口から排出する。
【0052】
次いで、レーザー装置3は、照射を停止することなくレーザービームLを走査することにより、図15に示すように、一例として、領域A1の端(外周)に沿って反時計回りで位置P1から位置P1まで中間体100にレーザービームLを照射する。この際には、レーザービームLの照射によって中間体100の構成材料が気化して消失する結果、図16に示すように、レーザービームLの照射部位(この例では、領域A1の端)における中間体100の厚み方向の一部がレーザービームLの有効ビーム径(照射部位において構成材料が気化して消失し得る照射エネルギーの範囲:一例として、260μm)の範囲において除去されて、スペーサ層15に達する深さの溝H1が中間体100に形成される。以上により、中間体100に対する最初(1回目)のビーム照射処理が完了する。
【0053】
この場合、この切断処理装置1による「切断処理」では、各吸気孔46から通気溝55,62内の空気を吸気しつつ、各噴出孔47から通気溝55,62内に空気を噴出させることで、中間体100におけるレーザービームLの照射面側の気圧に対して、通気溝55,62内の気圧が過剰に低くなる事態が回避されている。これにより、前述したように、中間体100における通気溝55,62上の部位に通気溝55,62内に引き込まれるような向きの撓みが生じる事態が回避されている。
【0054】
また、図13に示すように、この中間体100に対する「切断処理」では、領域A1の上方に位置させられたレーザー装置3から領域A1の端に向かってレーザービームLが斜めに照射される。したがって、図16に示すように、領域A1の端に形成された溝H1は、中間体100に対するレーザービームLの照射の向きに応じて、ハードコート層12側(同図における下側)ほど外側に位置するように斜めに形成される。なお、同図に示す矢印L1は、最初のビーム照射処理時に中間体100に照射するレーザービームLのビーム中心線(レーザー装置3から中間体100までの間のビーム中心の軌跡)を表している。
【0055】
次いで、レーザー装置3は、照射を停止することなくレーザービームLを走査することにより、再び領域A1の端(外周)に沿って反時計回りで位置P1から位置P1まで中間体100にレーザービームLを照射する。この際に、レーザー装置3は、中間体100に対するレーザービームLの照射の向きを、上記の最初のビーム照射処理時におけるレーザービームLの照射の向きよりも外向きに傾けることにより、レーザー装置3から照射部位までのレーザービームLのビーム中心線を、領域A1を基準として、最初のビーム照射処理時におけるレーザービームLのビーム中心線よりも外側に位置させる。
【0056】
したがって、図17に示すように、溝H1における領域A1側の側面(内側の側面)には、有効ビーム径の範囲内のレーザービームLが照射されることなく、溝H1における領域A2側の側面(外側の側面)を構成するセパレータ17および粘着層16と、溝H1の下方のスペーサ層15、印刷層14、およびシート本体11におけるスペーサ層15側の一部とがレーザービームLの有効ビーム径の範囲において除去されて、シート本体11における厚み方向の中程に達する深さの溝H2が中間体100に形成される。以上により、中間体100に対する2回目のビーム照射処理が完了する。
【0057】
なお、この切断処理装置1では、上記の2回目のビーム照射処理時や、後に説明する3回目のビーム照射処理時、および4回目のビーム照射処理時においても、各吸気孔46から通気溝55,62内の空気を吸気しつつ、各噴出孔47から通気溝55,62内に空気を噴出させることで、中間体100におけるレーザービームLの照射面側の気圧に対して、通気溝55,62内の気圧が過剰に低くなる事態が回避される。したがって、2回目以降のビーム照射処理時においても、前述した1回目のビーム照射処理時と同様にして、中間体100における通気溝55,62上の部位に通気溝55,62内に引き込まれるような向きの撓みが生じる事態が回避される。
【0058】
また、上記したように、2回目のビーム照射処理時におけるレーザービームLのビーム中心線を、最初のビーム照射処理時におけるレーザービームLのビーム中心線よりも外側に位置させたことにより、図17に示すように、中間体100に形成された溝H2における領域A1側の側面は、最初のビーム照射処理によって形成された溝H1の底部の一部が残ってスペーサ層15の部位に段差が生じた状態となる。この場合、同図に示す矢印L2は、2回目のビーム照射処理時に中間体100に照射するレーザービームLのビーム中心線(レーザー装置3から中間体100までの間のビーム中心の軌跡)を表している。
【0059】
なお、2回目のビーム照射処理時におけるレーザービームLのビーム中心線(矢印L2)は、最初のビーム照射処理時におけるレーザービームLのビーム中心線(矢印L1)よりも外向き(同図における左向き)に傾いた状態となっており、この例では、中間体100の表面部位における両ビーム中心線のずれ量Dは、10μm〜100μmの範囲内(有効ビーム径に対する1/2以下:好ましくは、10μm〜30μmの範囲内:一例として、10μm程度)となる。この場合、上記のずれ量Dが大き過ぎると、切断面に形成される段差が視認され易くなり、その外観が悪化すると共にカバーシート10が貼付対象物から剥がれ易くなるおそれがある。また、上記のずれ量Dが小さ過ぎると、段差を設けることで奏される後述の効果が小さくなる。
【0060】
続いて、レーザー装置3は、照射を停止することなくレーザービームLを走査することにより、再び領域A1の端(外周)に沿って反時計回りで位置P1から位置P1まで中間体100にレーザービームLを照射する。この際に、レーザー装置3は、一例として、中間体100に対するレーザービームLの照射の向きを、上記の「2回目のビーム照射処理」時におけるレーザービームLの照射の向きと同じ向きに揃えて中間体100にレーザービームLを照射する。
【0061】
これにより、図18に示すように、溝H2の下方のシート本体11におけるハードコート層12側の一部とハードコート層12とがレーザービームLの有効ビーム径の範囲において除去されて、保護フィルム13に達する深さの溝H3が中間体100に形成される。以上により、中間体100に対する3回目のビーム照射処理が完了する。なお、同図に示す矢印L3は、3回目のビーム照射処理時に中間体100に照射するレーザービームLのビーム中心線(レーザー装置3から中間体100までの間のビーム中心の軌跡)を表している。
【0062】
次いで、レーザー装置3は、照射を停止することなくレーザービームLを走査することにより、領域A1の端(外周)に沿って反時計回りで位置P1から位置P2まで中間体100にレーザービームLを照射する。この際に、レーザー装置3は、一例として、中間体100に対するレーザービームLの照射の向きを、上記の2回目のビーム照射処理時、および3回目のビーム照射処理時におけるレーザービームLの照射の向きと同じ向きに揃えて中間体100にレーザービームLを照射する。これにより、図19に示すように、溝H3の下方における保護フィルム13がレーザービームLの有効ビーム径の範囲において除去される。なお、同図に示す矢印L4は、4回目のビーム照射処理時に中間体100に照射するレーザービームLのビーム中心線(レーザー装置3から中間体100までの間のビーム中心の軌跡)を表している。
【0063】
この場合、上記の4回目のビーム照射処理時には、3回目のビーム照射処理によって形成された溝H3の底部(保護フィルム13)が除去されて、中間体100におけるセパレータ17側の一面(レーザービームLの照射面側の一面)と保護フィルム13側の一面(レーザービームLの照射面とは反対側の一面)とが連通した状態となる。この結果、レーザービームLの照射によって生じた煙が、中間体100におけるセパレータ17の側だけでなく、中間体100における保護フィルム13の側(通気溝55,62内)にも存在する状態となる。
【0064】
この場合、前述したように、この切断処理装置1による「切断処理」では、各吸気孔46から通気溝55,62内の空気を吸気しつつ各噴出孔47から通気溝55,62内に正圧供給源30Hからの空気を噴出させることにより、図10に矢印C1〜C3で示すような気流が通気溝55,62内に生じている。したがって、中間体100における保護フィルム13の側(通気溝55,62内)の煙は、上記の気流に乗って通気溝55,62内を移動して、各吸気孔46から排煙される。これにより、中間体100における保護フィルム13側の一面に煙が付着してカバーシート10に外観不良が生じる事態が回避される。
【0065】
続いて、レーザー装置3は、図20に示すように、照射を停止することなく、上記の位置P2(領域A1の端)から、領域A2内に規定された照射終了位置PEまでレーザービームLを走査して照射終了位置PEにおいて中間体100に対するレーザービームLの照射を終了する。以上により、中間体100に対する4回目のビーム照射処理が完了し、上記の領域A1がカバーシート10として、その周囲の部位(上記の領域A2に対応する部位)から切り離される。この後、中間体100においてカバーシート10として切り出すべく規定された6つの領域のうちの他の5つの領域についても、上記の切断処理と同様の手順で領域A1を領域A2から切り離す。これにより、6枚のカバーシート10が製造されて、中間体100に対する「切断処理」が完了する。
【0066】
なお、上記の「切断処理」では、照射開始位置PSから位置P1までのレーザービームLの照射軌跡と、位置P2から照射終了位置PEまでのレーザービームLの照射軌跡とが交差している。このため、図21に示すように、両照射軌跡の交点PCにおいては、他の照射部位よりもレーザービームLが同一箇所に1回多く照射されることに起因して、レーザービームLの照射による中間体100の構成材料の消失量(気化して除去される量)が他の照射部位よりも局所的に多くなる。しかしながら、この切断処理装置1による「切断処理」では、領域A1の端から外側方向に離間した位置において上記の両照射軌跡が交差するようにレーザービームLを走査している。したがって、交点PCの近傍において領域A1の内側に向かって凹むように中間体100の構成材料が除去されてカバーシート10の端に目立った凹みが生じる事態が回避されて、カバーシート10として切り離す領域A1の端に沿って中間体100が切断される。
【0067】
また、完成したカバーシート10では、図19に示すように、2回目のビーム照射処理時におけるレーザービームLのビーム中心線を、最初のビーム照射処理時におけるレーザービームLのビーム中心線よりも外側に位置させたことにより、その切断面(周面)におけるスペーサ層15の部位に段差が生じた状態となっている。また、完成したカバーシート10では、上記の4回の各ビーム照射処理時に、レーザー装置3から領域A1の端に向かってレーザービームLを斜めに照射したことにより、その端面(切断面)が、切断処理時におけるレーザービームLの進行方向手前側のセパレータ17から進行方向奥側の保護フィルム13に向かって徐々に外向き(同図における左向き)に迫り出すように斜めになっている。これにより、カバーシート10では、粘着層16およびセパレータ17の端面が、印刷層14、シート本体11、ハードコート層12および保護フィルム13の端面よりも内側(同図における右側)に引っ込んだ状態(奥まった状態)となっている。
【0068】
この場合、上記の切断処理装置1におけるレーザー装置3は、線速度80〜90mm/s以下で走査しつつレーザービームLを照射することで、中間体100や中間体100の所望の部位を1回のビーム照射処理によって切断できる能力を有している。一方、上記の両切断処理時における各ビーム照射処理では、線速度300mm/s程度で走査しつつレーザービームLを照射するビーム照射処理を4回実行することで、中間体100や中間体100の所望の部位を切断している。したがって、上記の両切断処理では、1回のビーム照射処理によって中間体100の所望の部位を切断する切断処理よりも、各ビーム照射処理の1回当りの中間体100に対するレーザービームLの照射エネルギーが十分に小さくなっている。
【0069】
このため、上記の両切断処理では、ビーム照射処理時に中間体100に生じる熱量が十分に小さくなっている。これにより、1回のビーム照射処理によって切断するのと比較して、単位時間当りに中間体100から発生する煙の量が十分に少なくなるため、中間体100における切断処理部位(レーザービームLの照射部位)の近傍に高濃度の煙が存在する事態が回避される結果、煙(煙を構成する微粒子)の中間体100への付着量が十分に少なくなっている。また、中間体100(レーザービームLの照射による切断部位の近傍)に熱変形が生じたり、中間体100の構成材料が炭化して焦げが生じたりする事態が回避されている。
【0070】
なお、出願人は、3回のビーム照射処理によって中間体100の所望の部位を切断する際には、線速度200mm/s程度で走査しつつレーザービームLを照射し、2回のビーム照射処理によって中間体100の所望の部位を切断する際には、線速度150mm/s程度で走査しつつレーザービームLを照射することにより、線速度300mm/s程度で走査しつつレーザービームLを照射するビーム照射処理を4回実行することで中間体100の所望の部位を切断する上記の「切断処理」と同様の効果を奏することができるのを確認している。
【0071】
また、出願人は、中間体100の切断に際して、レーザービームLの走査速度を線速度300mm/sよりも速くしつつ、5回以上のビーム照射処理を実行した場合においても(5回以上のビーム照射処理によって中間体100を切断した場合においても)、4回のビーム照射処理によって中間体100を切断する上記の「切断処理」と同様の効果を奏することができるのを確認している。しかしながら、厚み280μm程度の中間体100の切断に際して、ビーム照射処理の実行回数を過剰に多くしたときには、最初のビーム照射処理や2回目のビーム照射処理に際して形成した溝H1,H2などの側面部分に対して、その後に実行されるビーム照射処理において、有効ビーム径よりも外側のレーザービームLが幾度も照射されることとなる。この結果、中間体100におけるレーザービームLの入射面側(この例では、セパレータ17の側)において、切断面が毛羽立つように小さく変形した状態を招くことがあるため、所望の部位を切断する際に実行するビーム照射処理については過剰に多数回とするのは好ましくない。
【0072】
一方、タッチパネル220の製造に際しては、カバーガラス223の表面(「タッチパネル本体の表面」)にカバーシート10を貼付する。なお、透明電極部221にカバーガラス223を粘着層222によって接着する作業については完了しているものとする。具体的には、まず、カバーシート10からセパレータ17を剥離する。次いで、粘着層16を下向きにしてカバーガラス223の表面にカバーシート10(粘着層16)を載置する。この際には、透明電極部221、粘着層222およびカバーガラス223に形成された音孔やジョグボタン用孔(図示せず)と、カバーシート10のジョグボタン用孔とを一致させるように位置合わせする。次いで、カバーシート10をカバーガラス223に向けて押し付ける。これにより、スペーサ層15、印刷層14シート本体11、シート本体11およびハードコート層12の積層体が粘着層16によってカバーガラス223の表面に接着される。
【0073】
この場合、例えば、その外縁部に反りが生じたカバーシート(図示せず)をカバーガラス223に貼付したときには、カバーシートの外縁部をカバーガラス223に密着させるのが困難となり、カバーシートの外縁部に浮きが生じた状態となる。また、外縁部に反りが生じたカバーシートの全域をカバーガラス223に密着させることができたとしても、カバーシートの外縁部にカバーガラス223から離反する向きでの内部応力が生じた状態となる。このため、そのような変形が生じたカバーシートをカバーガラス223に貼付したときには、外縁部に剥がれが生じてしまう。
【0074】
これに対して、切断処理装置1による切断処理によって製造されたカバーシート10では、「切断処理」時におけるレーザービームLの照射部位の近傍(すなわち、外縁部)に反りが生じる事態が回避されて、その全域がフラットに形成されている。したがって、カバーシート10の外縁部から中央部までの全域をカバーガラス223の表面に隙間なく密着させることが可能となっている。また、カバーガラス223に対して貼付した状態においても、カバーガラス223から離反する向きでの内部応力が生じていないため、カバーガラス223からのカバーシート10の剥がれが生じる事態が回避される。
【0075】
また、前述したように、切断処理装置1による切断処理によって製造されたカバーシート10では、その端面におけるスペーサ層15の部位に段差が形成されると共に、セパレータ17から保護フィルム13に向かって徐々に外向きに迫り出すように端面が斜めに加工されて、粘着層16およびセパレータ17が印刷層14、シート本体11、ハードコート層12および保護フィルム13よりも内側に引っ込んだ状態となっている。したがって、カバーガラス223にカバーシート10が貼付された状態では、カバーガラス223とスペーサ層15との間から粘着層16の端がはみ出す事態(粘着層16を構成する粘着剤がはみ出す事態)が回避されて、これにより、粘着層16の端に異物が付着したり、粘着層16(粘着剤)に手が触れて粘付きが生じたりする事態が回避される。この後、必要に応じて保護フィルム13を剥離することにより、タッチパネル220が完成する。
【0076】
このように、このシート体保持部2、およびシート体保持部2による「シート体保持方法」によれば、各凸状部51と枠部41との間に設けられた通気溝55,62内に、枠体21の取付け用凹部42内に形成された噴出孔47から空気を噴出させつつ、凸状部51に形成された吸気孔52、枠部41に形成された吸気孔44、および枠体21の取付け用凹部42内に形成された吸気孔46から空気を吸気して中間体100を吸着ステージ20によって吸着して保持することにより、通気溝55,62内に生じた煙を吸気孔46からの吸気によって排煙することができるため、中間体100の裏面(保護フィルム13の側の面)における切断部位の近傍に煙が付着して外観不良が生じる事態を回避することができると共に、通気溝55,62内の空気を吸気孔46から吸気するだけの構成・方法とは異なり、噴出孔47から通気溝55,62内に空気を噴出している分だけ、通気溝55,62内の気圧が中間体100におけるレーザービームLの照射面側の気圧に対して過剰に低くなる事態を回避することができるため、通気溝55,62内に引き込まれるような変形が中間体100に生じる事態を回避することができる結果、「切断処理」によって製造されるカバーシート10全域に亘ってフラットな状態とすることができる。
【0077】
また、このシート体保持部2によれば、「第1の凸状部」として機能する凸状部51が形成された本体部22を、「第2の凸状部」として機能する枠体21とは別体に形成して吸着ステージ20を構成したことにより、平面視形状や大きさが相違するカバーシート(図示せず)を製造する際に、そのカバーシートの形状や大きさに合わせて凸状部51を形成した本体部22(図示せず)を用意するだけで、枠体21については共用することができるため、各種のカバーシートを製造する際の「切断処理」に要するコストを十分に低減することができる。
【0078】
また、このシート体保持部2による「シート体保持方法」によれば、通気溝55,62内の気圧が中間体100におけるレーザービームLの照射面側の気圧以下となるように(一例として、両気圧がほぼ等しくなるように)、噴出孔47からの空気の噴出量および吸気孔46からの空気を吸気量を調整することにより、例えば、噴出孔47からの空気の噴出量が多過ぎて、通気溝55,62内の気圧が中間体100におけるレーザービームLの照射面側の気圧に対して高くなる事態を回避できる結果、保持している中間体100に、通気溝55,62から離反する向きで盛り上がるような変形が生じる事態を回避することができる。
【0079】
また、この切断処理装置1、および切断処理装置1による「シート体加工方法」によれば、シート体保持部2によって中間体100を保持した状態で中間体100にレーザービームLを照射してレーザービームLの照射部位において中間体100を切断して領域A1を領域A2から切り離す「切断処理」を実行することにより、煙の付着に起因する外観不良や、端部の変形を招くことなく、全域においてフラットで綺麗なカバーシート10を製造することができる。
【0080】
また、上記のタッチパネル220の製造方法によれば、上記の「シート体加工方法」に従って切断処理を実行して製造したカバーシート10をカバーガラス223の表面に貼付してタッチパネル220を製造することにより、煙の付着に起因する外観不良や、端部の変形が生じていない綺麗なカバーシート10を備えた商品的価値が十分に高いタッチパネル220を提供することができる。
【0081】
なお、「シート体保持装置」および「シート体加工装置」の構成や、「シート体保持方法」、「シート体加工方法」および「表示器用部品製造方法」の手順については、上記の例に限定されない。例えば、吸気孔52,44,46から「気体」の一例である空気を吸気すると共に、噴出孔47から「気体」の一例である空気を噴出する構成・方法を例に挙げて説明したが、例えば、不活性ガス等の気体の中で「切断処理」を実行する構成・方法を採用する場合には、これらの気体を吸気孔52,44,46から吸気しつつ噴出孔47から噴出させることで、「シート体」を吸着して保持することができる。
【0082】
また、枠体21および2つの本体部22,22を一体化して構成した吸着ステージ20によって中間体100を吸着して保持する構成・方法について説明したが、1枚の平板に「溝部」、「第1の吸気孔」、「第2の吸気孔」、「第3の吸気孔」および「噴出孔」を設けることで、上記の吸着ステージ20における枠体21および本体部22に相当する部位を一体形成した「吸着ステージ」(図示せず)を使用して「シート体」を吸着して保持する構成・方法を採用することもできる。このような構成・方法を採用した場合においても、上記のシート体保持部2による中間体100の保持と同様の効果を奏することができる。
【0083】
また、横3列×縦2行の6枚のカバーシート10を製造可能に印刷層14が形成された中間体100を対象として吸着可能に6つの凸状部51を設けた吸着ステージ20によって中間体100を吸着して保持する構成・方法について説明したが、凸状部51の数や形成位置については、1枚の中間体100から切り出すカバーシート10の数や、カバーシート10を切り出すべき領域A1の位置に応じて適宜変更することができる。さらに、「切断処理」に際して通気溝55,62内の気圧が中間体100におけるレーザービームLの照射面側の気圧以下となるように調整弁24L,24Hの双方の開度を調整する例について説明したが、調整弁24L,24Hのいずれか一方だけを調整してもよい。
【0084】
また、レーザービーム発生部において発生させたレーザービームLを偏向することによって、中間体100などの加工対象物の任意の部位にレーザービームLを照射するレーザー装置3を備えた切断処理装置1によってカバーシート10を製造する方法・構成を例に挙げて説明したが、「レーザー装置」、および「加工対象体」の少なくとも一方を他方に対して移動させるタイプの切断処理装置(図示せず)を用いて「第1領域の端」を切断することもできる。
【0085】
具体的には、「加工対象体」を保持する「吸着保持装置」を固定的に設置すると共に、この「吸着保持装置」に対して「レーザー装置」を移動させることによって、「吸着保持装置」によって保持されている「加工対象体」の任意の部位にレーザービームを照射する構成を採用することができる。また、「レーザー装置」を固定的に設置すると共に、この「レーザー装置」に対して「吸着保持装置」を移動させることによって、「吸着保持装置」によって保持されている「加工対象体」の任意の部位にレーザービームを照射する構成を採用することができる。さらに、「レーザー装置」および「吸着保持装置」の双方を移動させることによって、「吸着保持装置」によって保持されている「加工対象体」の任意の部位にレーザービームを照射する構成を採用することもできる。このようなタイプの切断処理装置を使用する場合においても、その「吸着保持装置」を、上記のシート体保持部2と同様に構成することにより、上記の切断処理装置1による「切断処理」によって所望の部位を切断したときと同様の効果を奏することができる。
【0086】
また、「第1の領域(領域A1)の端」に沿ってレーザービームLを複数回照射することでこれを切断する(複数回のビーム照射処理によって所望の部位を切断する)加工方法について説明したが、1回のビーム照射処理によって所望の部位を切断する加工方法においても、対象とする「シート体」を上記のシート体保持部2によって吸着して保持することにより、切断処理装置1による「切断処理」によって所望の部位を切断したときと同様の効果を奏することができる。
【0087】
さらに、加工対象(保持対象)の「シート体」については、上記の中間体100のような層構造の「シート体」に限定されず、「シート本体」および「ハードコート層」を有する各種の「シート体」(例えば、各種表示器の傷付きを回避するための保護シート:一例として、シート本体の一方の面にハードコート層が形成され、かつ、他方の面に粘着層が形成されると共に、ハードコート層の傷付きを回避するための保護フィルムがハードコート層に貼付され、かつ、セパレータが粘着層に貼付されたシート体)を対象として切断処理する際に、上記の「シート体保持方法」に従って保持した状態において「シート加工方法」に従って加工することができる。
【0088】
また、「表示器用部品」に関しても、タッチパネル220に限定されず、一例として、表示器本体の前面側にタッチパネル(例えば、透明電極部221の一面に粘着層222を介してカバーガラス223が貼付されたもの)が配設されて構成された部品に対して「シート加工方法」に従って加工したシート体を貼付して製造した「表示器用部品」などの製造に際して上記の「表示器用部品製造方法」を実施することができる。さらに、「タッチパネル本体」に関しても、上記のタッチパネル220のようにカバーガラス223が配設された「タッチパネル本体」に限定されず、カバーガラス223等が存在しない各種の「タッチパネル本体」に、上記の「シート加工方法」に従って加工した「シート体」を貼付して「表示器用部品」を製造することができる。
【符号の説明】
【0089】
1 切断処理装置
2 シート体保持部
3 レーザー装置
5 排煙装置
8 制御部
10 カバーシート
11 シート本体
12 ハードコート層
13 保護フィルム
14 印刷層
15 スペーサ層
16 粘着層
17 セパレータ
20 吸着ステージ
21 枠体
22 本体部
23L,23H 制御弁
24L,24H 調整弁
25L,25H 接続用配管
30L 負圧供給源
30H 正圧供給源
41 枠部
41a,51a 突端面
42 取付け用凹部
43,55,62 通気溝
44〜46,52 吸気孔
47 噴出孔
51 凸状部
53 固定部
100 中間体
210 表示器
220 タッチパネル
221 透明電極部
222 粘着層
223 カバーガラス
A1,A2 領域
L レーザービーム
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
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図9
図10
図11
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