特許第5834858号(P5834858)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2015.5.11 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】5834858
(24)【登録日】2015年11月13日
(45)【発行日】2015年12月24日
(54)【発明の名称】流体フィルタ
(51)【国際特許分類】
   F16H 57/04 20100101AFI20151203BHJP
   F02M 35/024 20060101ALI20151203BHJP
【FI】
   F16H57/04 F
   F02M35/024 511E
【請求項の数】8
【全頁数】17
(21)【出願番号】特願2011-268379(P2011-268379)
(22)【出願日】2011年12月7日
(65)【公開番号】特開2013-47564(P2013-47564A)
(43)【公開日】2013年3月7日
【審査請求日】2014年6月30日
(31)【優先権主張番号】特願2011-164789(P2011-164789)
(32)【優先日】2011年7月27日
(33)【優先権主張国】JP
(73)【特許権者】
【識別番号】000241500
【氏名又は名称】トヨタ紡織株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100094190
【弁理士】
【氏名又は名称】小島 清路
(74)【代理人】
【識別番号】100151644
【弁理士】
【氏名又は名称】平岩 康幸
(72)【発明者】
【氏名】斉藤 泰啓
(72)【発明者】
【氏名】坂田 晴昭
(72)【発明者】
【氏名】森 敏明
【審査官】 稲葉 大紀
(56)【参考文献】
【文献】 特開2006−316902(JP,A)
【文献】 特開2000−279718(JP,A)
【文献】 特開2004−353783(JP,A)
【文献】 特開平11−319436(JP,A)
【文献】 特開平10−272312(JP,A)
【文献】 特開2006−205133(JP,A)
【文献】 特開2003−42272(JP,A)
【文献】 実開昭57−26661(JP,U)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F16H 57/04
F02M 35/024
B01D 29/01
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
流出孔が設けられた上側ケースと、流入孔が設けられた下側ケースと、該上側ケース及び該下側ケースの間に挟持されるフィルタエレメントと、を備え、該流出孔及び該流入孔が対向して配置される流体フィルタにおいて、
前記フィルタエレメントは、前記流出孔及び前記流入孔を結ぶ連絡部に配置されるひだ折りされた第1ろ材と、該連絡部から離間して配置されるひだ折りされた第2ろ材と、を備え、
前記第1ろ材は、前記第1ろ材のひだの稜線方向と交差する方向に延びた第1リブによって複数に分割されており、
前記第1ろ材のひだの稜線方向の保持間隔(L1)は、前記第2ろ材のひだの稜線方向の保持間隔(L2)より小さいことを特徴とする流体フィルタ。
【請求項2】
前記第2ろ材は、前記第2ろ材のひだの稜線方向と交差する方向に延びた第2リブによって複数に分割されている請求項1記載の流体フィルタ。
【請求項3】
前記第1ろ材のひだの稜線方向の保持間隔(L1)と前記第2ろ材のひだの稜線方向の保持間隔(L2)との比(L2/L1)は、1.5〜2.5である請求項1又は2に記載の流体フィルタ。
【請求項4】
前記第1リブの長手方向の一端側と前記第2リブの長手方向の一端側とが連なったリブを備える請求項2又は3に記載の流体フィルタ。
【請求項5】
前記第1ろ材のひだ高さ(H1)は、前記第2ろ材のひだ高さ(H2)より小さい請求項1乃至4のいずれか一項に記載の流体フィルタ。
【請求項6】
前記第2ろ材の下流側表面には、該第2ろ材の隣り合うひだの間に差し込まされる差込部を有する補強部材が設けられている請求項1乃至5のいずれか一項に記載の流体フィルタ。
【請求項7】
前記第2ろ材は、前記第1ろ材に比べて圧力損失が小さい請求項1乃至のいずれか一項に記載の流体フィルタ。
【請求項8】
前記流体フィルタは、自動変速機用オイルフィルタである請求項1乃至のいずれか一項に記載の流体フィルタ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、流体フィルタに関し、さらに詳しくは、流出孔及び流入孔が対向して配置される流体フィルタであっても、ろ材のひだ密着を抑制して圧力損失の増加を防止できるとともに、必要なろ過面積を確保してろ過効率を向上させることができる流体フィルタに関する。
【背景技術】
【0002】
従来の自動変速機用オイルフィルタとして、流出孔が設けられた上側ケースと、流入孔が設けられた下側ケースと、これら上側ケース及び下側ケースの間に挟持されるフィルタエレメントと、を備えるものが一般に知られている(例えば、特許文献1参照)。この特許文献1には、流出孔及び流入孔が上下方向に対向して配置されることが開示されている。この流出孔及び流入孔のレイアウトによると、ろ過面におけるオイルの流通に偏りが発生してろ過効率が低下してしまう問題があるが、搭載要件などからこのレイアウトを採用せざるを得ない場合がある。
【0003】
そこで、上記特許文献1のオイルフィルタに、ひだ折りされたろ材を備えるフィルタエレメントを適用し、限られたスペースでろ過面積を大きく確保してろ過効率を高めることが考えられる。しかしながら、このひだ折り状のろ材111では、図14(a)(b)に示すように、隣り合うひだ111a同士が密着して圧力損失が増加してしまう恐れがある。特に、上記特許文献1のオイルフィルタでは、流出孔102及び流入孔104が上下方向に対向して配置されるので、ろ過室Sの流出孔102及び流入孔104を結ぶ連絡部109には比較的高圧な流体が流通することとなり、その連絡部109でのろ材111のひだ密着が発生し易い。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2003−42272号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明は、上記現状に鑑みてなされたものであり、流出孔及び流入孔が対向して配置される流体フィルタであっても、ろ材のひだ密着を抑制して圧力損失の増加を防止できるとともに、必要なろ過面積を確保してろ過効率を向上させることができる流体フィルタを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記問題点を解決するために、請求項1に記載の発明は、流出孔が設けられた上側ケースと、流入孔が設けられた下側ケースと、該上側ケース及び該下側ケースの間に挟持されるフィルタエレメントと、を備え、該流出孔及び該流入孔が対向して配置される流体フィルタにおいて、前記フィルタエレメントは、前記流出孔及び前記流入孔を結ぶ連絡部に配置されるひだ折りされた第1ろ材と、該連絡部から離間して配置されるひだ折りされた第2ろ材と、を備え、前記第1ろ材は、前記第1ろ材のひだの稜線方向と交差する方向に延びた第1リブによって複数に分割されており、前記第1ろ材のひだの稜線方向の保持間隔(L1)は、前記第2ろ材のひだの稜線方向の保持間隔(L2)より小さいことを要旨とする。
請求項2に記載の発明は、請求項1において、前記第2ろ材は、前記第2ろ材のひだの稜線方向と交差する方向に延びた第2リブによって複数に分割されていることを要旨とする。
請求項3に記載の発明は、請求項1又は2において、前記第1ろ材のひだの稜線方向の保持間隔(L1)と前記第2ろ材のひだの稜線方向の保持間隔(L2)との比(L2/L1)は、1.5〜2.5であることを要旨とする。
請求項4に記載の発明は、請求項2又は3において、前記第1リブの長手方向の一端側と前記第2リブの長手方向の一端側とが連なったリブを備えることを要旨とする。
請求項に記載の発明は、請求項1乃至4のいずれか一項において、前記第1ろ材のひだ高さ(H1)は、前記第2ろ材のひだ高さ(H2)より小さいことを要旨とする。
請求項に記載の発明は、請求項1乃至5のいずれか一項において、前記第2ろ材の下流側表面には、該第2ろ材の隣り合うひだの間に差し込まされる差込部を有する補強部材が設けられていることを要旨とする。
請求項に記載の発明は、請求項1乃至のいずれかにおいて、前記第2ろ材が、前記第1ろ材に比べて圧力損失が小さいことを要旨とする。
請求項に記載の発明は、請求項1乃至のいずれかにおいて、前記流体フィルタは、自動変速機用オイルフィルタであることを要旨とする。
【発明の効果】
【0007】
本発明の流体フィルタによると、フィルタエレメントは、流出孔及び流入孔を結ぶ連絡部に配置されるひだ折りされた第1ろ材と、連絡部から離間して配置されるひだ折りされいた第2ろ材と、を備え、第1ろ材のひだの稜線方向の保持間隔(L1)は、第2ろ材のひだの稜線方向の保持間隔(L2)より小さいので、ろ過室内の連絡部を流通する流体を主にろ過する第1ろ材は、ろ過室内の連絡部から離間した部位を流通する流体を主にろ過する第2ろ材に比べて、高い保持力で保持される。よって、高保持側の第1ろ材でのひだ密着を抑制して圧力損失の増加を防止でき、ろ材の寿命、即ちダスト保持量を高めることができる。また、高保持側の第1ろ材に加えて低保持側の第2ろ材で必要なろ過面積を確保し易く、ろ過効率を向上させることができる。
また、前記第1ろ材のひだ高さ(H1)が、前記第2ろ材のひだ高さ(H2)より小さい場合は、高保持側の第1ろ材でのひだ密着をより効果的に抑制できるとともに、低保持側の第2ろ材で必要なろ過面積をより効果的に確保できる。
また、前記第2ろ材の下流側表面に補強部材が設けられている場合は、補強部材の差込部が第2ろ材の隣り合うひだの間に差し込まれるため、低保持側の第2ろ材のひだ密着が抑制される。
また、前記第2ろ材が、前記第1ろ材に比べて圧力損失が小さい場合には、フィルタ内におけるろ過流体の流通の偏りを防止して、フィルタ全体のろ過効率を向上させることができる。
さらに、前記流体フィルタが、自動変速機用オイルフィルタである場合は、好適にオイルをろ過する自動変速機を実現できる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
本発明について、本発明による典型的な実施形態の非限定的な例を挙げ、言及された複数の図面を参照しつつ以下の詳細な記述にて更に説明するが、同様の参照符号は図面のいくつかの図を通して同様の部品を示す。
図1】実施例に係る自動変速機用オイルフィルタの平面図である。
図2図1のII−II線断面図である。
図3図2のIII−III線断面拡大図である。
図4】上記自動変速機用オイルフィルタの分解状態を示す縦断面図である。
図5】実施例に係るフィルタエレメントの平面図である。
図6】上記フィルタエレメントの要部斜視図である。
図7図2の要部拡大図である。
図8】実施例に係る補強部材の変形例を説明するための説明図である。
図9図3の要部拡大図である。
図10】実施例に係る凸状壁部の作用を説明するための説明図である。
図11】他の形態の凸状壁部を説明するための説明図である。
図12】上記凸状壁部を作用を説明するための説明図である。
図13】圧力損失が小さい第2ろ材を使用した場合の流量を説明する説明図である。
図14】従来のフィルタエレメントを説明するための説明図であり、(a)は縦断面図、(b)は(a)のb−b線断面図をそれぞれ示す。
【発明を実施するための形態】
【0009】
ここで示される事項は例示的なものおよび本発明の実施形態を例示的に説明するためのものであり、本発明の原理と概念的な特徴とを最も有効に且つ難なく理解できる説明であると思われるものを提供する目的で述べたものである。この点で、本発明の根本的な理解のために必要である程度以上に本発明の構造的な詳細を示すことを意図してはおらず、図面と合わせた説明によって本発明の幾つかの形態が実際にどのように具現化されるかを当業者に明らかにするものである。
【0010】
1.流体フィルタ
本実施形態1.に係る流体フィルタは、流出孔(2)が設けられた上側ケース(3)と、流入孔(4)が設けられた下側ケース(5)と、上側ケース及び下側ケースの間に挟持されるフィルタエレメント(6)と、を備え、流出孔及び流入孔が対向して配置される流体フィルタ(1)において、フィルタエレメントは、流出孔及び流入孔を結ぶ連絡部(9)に配置されるひだ折りされた第1ろ材(11)と、連絡部から離間して配置されるひだ折りされた第2ろ材(12)と、を備え、第1ろ材(11)は、第1ろ材のひだの稜線方向(P)と交差する方向に延びた第1リブ(17)によって複数に分割されており、第1ろ材のひだの稜線方向(P)の保持間隔(L1)は、第2ろ材のひだの稜線方向の保持間隔(L2)より小さいことを特徴とする(例えば、図2及び図5等参照)。なお、上記「保持間隔」とは、ろ材のひだの稜線方向において一対の保持部(例えば、保持枠、リブ等)で挟まれた間隔を意図する。
【0011】
上述の形態の場合、例えば、上記第1ろ材(11)の保持間隔(L1)と第2ろ材(12)の保持間隔(L2)との比(L2/L1)は1.5〜2.5(好ましくは1.7〜2.3)であることができる(例えば、図5等参照)。これにより、第1ろ材でのひだ密着をより効果的に抑制できるとともに、第1及び第2ろ材で必要なろ過面積をより効果的に確保できる。
【0012】
本実施形態1.に係る流体フィルタとしては、例えば、上記第1ろ材(11)のひだ高さ(H1)は、第2ろ材(12)のひだ高さ(H2)より小さい形態(例えば、図4等参照)を挙げることができる。この場合、例えば、上記第1ろ材のひだ高さ(H1)と第2ろ材のひだ高さ(H2)との比(H2/H1)は1.1〜1.5(特に1.1〜1.3)であることができる。これにより、第1ろ材でのひだ密着をより効果的に抑制できるとともに、第1及び第2ろ材で必要なろ過面積をより効果的に確保できる。
【0013】
上述の形態の場合、例えば、上記下側ケース(5)の底側には、流入孔(4)が形成された段差部(30)が上方に凹んで底上げ形成されていることができる(例えば、図2等参照)。これにより、流入孔からの流体の円滑な流入を図りつつ、第1ろ材及び流入孔の間の必要な流体流通間隔を確保して圧力損失の増加を防止できる。
【0014】
本実施形態1.の流体フィルタとしては、例えば、上記第2ろ材(12)の下流側表面には、第2ろ材の隣り合うひだ(12a)の間に差し込まされる差込部(19a)を有する補強部材(19)が設けられている形態(例えば、図4等参照)を挙げることができる。
【0015】
上述の形態の場合、例えば、上記補強部材(19)は、差込部(19a)の下端がひだ(12a)の上端から下方に向かってひだ高さ(H2)の0.6倍(好ましくは0.55倍、特に0.5倍)の位置よりも上方に位置するように設けられていることができる(例えば、図7等参照)。これにより、ひだと補強部材との接触面積を小さくでき、第2ろ材での必要なろ過面積をより効果的に確保できる。なお、上記補強部材は、差込部の下端がひだの上端から下方に向かってひだ高さ(H2)の0.18倍(好ましくは0.25倍、特に0.32倍)の位置よりも下方に位置するように設けられていることが好ましい。これは、ひだ密着を好適に防止し得るためである。
【0016】
上述の形態の場合、例えば、上記補強部材(19)は、第2ろ材(12)とは別体として設けられるとともに、第2ろ材の上方から差し込まれる櫛形状に形成されていることができる(例えば、図4等参照)。これにより、第2ろ材ひいてはフィルタエレメントを簡易な構成にできる。
【0017】
上述の形態の場合、例えば、上記フィルタエレメント(6)には、第2ろ材(12)のひだの稜線方向(P)の略中央部に、第2ろ材のひだの稜線方向と交差する方向に延びるリブ(18)が設けられ、上記補強部材(19)は、リブの両側であって、リブと第2ろ材のひだの稜線方向の端部との中間の位置に設けられていることができる(例えば、図5等参照)。これにより、ひだの稜線方向において補強部材及びリブにより第2ろ材が所定間隔で支持され、ひだの稜線方向における第2ろ材のひだ密着をより効果的に抑制できる。
【0018】
上述の形態の場合、例えば、上記上側ケース(3)及び/又は下側ケース(5)には、ろ過時の圧力変化によりケースが変形したときにリブ(18)の上端面又は下端面に当接する凸状部(8a、8b)が形成されていることができる(例えば、図3等参照)。これにより、流体フィルタの使用中にろ過室の内圧が外圧よりも低くなる状態で、凸状部がリブに当接することでケースの過度の変形が抑制されてろ過室内の流体流路を確保でき、圧力損失の増加を防止できる。
【0019】
本実施形態1.の流体フィルタとしては、例えば、上記流体フィルタは、自動変速機用オイルフィルタ(1)である形態(例えば、図2等参照)を挙げることができる。この自動変速機用オイルフィルタは、通常、オイルパン内に配置される。
【0020】
本実施形態1.の流体フィルタとしては、例えば、上記フィルタエレメント(6)は、平面方向に並設される第1ろ材(11)及び第2ろ材(12)のそれぞれの周縁部を保持し且つ上側ケース(3)及び下側ケース(5)の間に挟持される保持枠(13)を有する形態(例えば、図5及び図6等参照)を挙げることができる。これにより、組付性に優れたフィルタエレメントひいては流体フィルタを提供できる。この場合、例えば、上記保持枠と第1及び第2ろ材とは一体成形されていることができる。これにより、生産性に優れたフィルタエレメントひいては流体フィルタを提供できる。
【0021】
上述の形態の場合としては、例えば、〔A〕上記保持枠(13)は、第1ろ材(11)のひだの稜線方向(P)と交差する方向に延びる1又は2以上の第1リブ(17)を有し、上記保持間隔(L1)は、第1リブにより第1ろ材のひだの稜線方向の長さを略等間隔で複数に分割した間隔である形態(例えば、図5等参照)、〔B〕上記保持枠(13)は、第2ろ材(12)のひだの稜線方向と交差する方向に延びる1又は2以上の第2リブ(18)を有し、上記保持間隔(L2)は、第2リブにより第2ろ材のひだの稜線方向の長さを略等間隔で複数に分割した間隔である形態(例えば、図5等参照)等のうちの1種又は2種以上の組み合わせを挙げることができる。これらにより、ろ材でのひだ密着をより効果的に抑制できるとともに、ろ材で必要なろ過面積をより効果的に確保できる。
【0022】
上述の形態の場合、例えば、上記上側ケース(3)及び下側ケース(5)は、溶着により保持枠(13)にそれぞれ接合されることによりろ過室(S)が形成され、上記流出孔(4)には、ろ過対象となる流体をろ過室から吸入するポンプ(7)が直接又は配管を介して接続され、上側ケース及び下側ケースのうちの少なくとも一方のケースには、保持枠との接合部(20、21)からろ過室の内側方向へ所定の間隔離れた位置に、フィルタエレメント(6)側に突出するように形成された凸状壁部(23、25)が設けられ、凸状壁部は、ろ過時の圧力変化により上側ケース及び下側ケースが変形したときに、保持枠と当接するように設けられていることができる(例えば、図9及び図10等参照)。これにより、流体がろ過室内を流通するろ過時には、凸状壁部が保持枠と当接することにより、接合部と凸状壁部との間の溶着バリが収容される空間はろ過室から隔離され、溶着バリのろ過室内への侵入が防止される。また、ケースと保持枠との溶着時には、凸状壁部は保持枠に当接しないので、接合部の溶け込みが阻害されず、接合部は設定された溶着量(溶け込み量)をもって溶着される。このため、溶着による部材同士の接合を確実なものとすることができる。なお、上記「所定の間隔」は特に限定されないが、通常、溶着時に生じるバリの大きさを考慮して、バリを収容するのに十分な空間が確保できる間隔に設定される。
【0023】
上述の形態の場合、例えば、上記凸状壁部(23、25)と当接する保持枠(13)の当接面は、上下方向に延びるように形成された壁面であって、接合部から離れた位置の壁面ほどろ過室(S)の内側方向へ向かうように傾斜する傾斜面(36)とされていることができる(例えば、図11及び図12等参照)。これにより、ケース部材の変形が進行するほど、凸状壁部と保持枠とが強固に圧接される。このため、より確実に溶着バリのろ過室内への侵入を防止することができる。
【0024】
上述の形態の場合、例えば、上側ケース(3)及び下側ケース(5)のうちの少なくとも一方のケースには、保持枠(13)との接合部(20、21)からろ過室(S)の外側方向へ所定の間隔離れた位置に、フィルタエレメント(6)側に突出するように形成された外側凸状壁部(24、26)が設けられていることができる(例えば、図9図12等参照)。これにより、溶着の際に接合部に発生する溶着バリのうち、濾過室の外側に発生した溶着バリが覆われて外部に露出しないため、意匠性を高めることができる。
【0025】
本発明の流体フィルタにおける第1ろ材及び第2ろ材は、互いにどのようなろ過特性と、その相関を有してもよい。即ち、第1ろ材と第2ろ材とを比較した場合に同じろ過特性を有してもよく、異なるろ過特性を示してもよい。しかし、第1ろ材と第2ろ材とで異なるろ過特性をする場合においては、第2ろ材は、第1ろ材に比べて圧力損失が小さいろ材であることが好ましい。即ち、第1ろ材と第2ろ材の形態、材質及び厚さ等に関わらず、第2ろ材は、第1ろ材に比べて流体を通し易いろ材であることが好ましい。
【0026】
第2ろ材が第1ろ材よりも圧力損失が小さい形態の流体フィルタでは、流体の粘度の変化に応じて流量を変化させてフィルタ全体のろ過効率を向上させることができる。即ち、例えば、変速機用オイルを流体として利用する場合、流体の粘度が第1ろ材を通過するのに十分に低い場合には、主として流入孔2に近い位置に配置された第1ろ材11によってろ過されることとなる{図13(a)参照、矢印が太いほど流量が多いことを意味する}。しかし、変速機の始動時や、特に低温始動時などの流体の粘度が大きい場合には、第1ろ材11でろ過し切れない流体は流路に沿って第2ろ材12の方向へと自然に迂回され、第2ろ材12でろ過量が増加することとなる{図13(b)参照、矢印が太いほど流量が多いことを意味する}。第2ろ材12は、第1ろ材11に比べて低圧力損失であるために、第1ろ材11よりもろ過速度が速く、結果としてフィルタ全体のろ過効率を向上させることができる。即ち、流体の粘度が高い場合の圧力損失をフィルタ全体として抑制できる。特に、本流体フィルタでは、第1ろ材11の保持間隔L1に対して、第2ろ材12の保持間隔L2がより大きく設定されていることで、第2ろ材12によるろ過面積を確保し易くされている。このため、第2ろ材12のろ過面積が、第1ろ材11のろ過面積に比べて大きい場合には、第2ろ材12をとりわけ有効に活用できる。
【0027】
第1ろ材及び第2ろ材の構成は特に限定されないが、通常、ろ紙、不織布及び織布などを用いることができる。これらは1種のみを用いてもよく2種以上を併用してもよい。本発明の流体フィルタでは、これらのなかでもろ紙を用いることが好ましい。ろ紙は、ろ紙を構成するろ紙材料(繊維材料)を抄紙して得られる材料である。ろ紙を構成するろ紙材料としては、セルロース繊維(例えば、パルプ繊維、リンター繊維、レーヨン繊維等)、ポリエチレンテレフタレート(PET)繊維、アクリル繊維、ポリビニルアルコール繊維、ポリアミド系合成繊維等が挙げられる。これらは1種のみを用いてもよく2種以上を併用してもよい。これらのなかでも、融点又は分解温度が170℃以上(好ましくは180〜300℃)であるものが好ましい。具体的には、セルロース繊維、PET繊維及びポリアミド繊維が好ましい。
【0028】
また、ろ紙は単層のろ紙であってもよく、複層のろ紙であってもよい。更には、樹脂加工されたろ紙であってもよい。複層のろ紙としては、性質の異なるろ紙が2層以上積層されたろ紙や、補強層を備えたろ紙などが挙げられる。このうち、補強層を備えたろ紙としては、樹脂繊維ネットが積層されたろ紙が挙げられる。樹脂繊維ネットが積層されたろ紙では、樹脂繊維ネットによって強度及び保形性が向上される。特に樹脂繊維ネットによる層(樹脂繊維ネット層)を備える場合には、樹脂繊維ネットはろ材の下流側表面に配置されることが好ましい。これによって流体の流れを阻害することなく、強度及び保形性を向上させることができる。
【0029】
より具体的には、第1ろ材の坪量をB(g/m)とし、その厚さをT(m)とするとともに、第2ろ材の坪量をB(g/m)とし、その厚さをT(m)とした場合に、(B/T)>(B/T)の関係を満たす第1ろ材及び第2ろ材を用いることが好ましい。尚、坪量はJIS P8124、厚さはJIS P8118による値である。
【実施例】
【0030】
以下、図面を用いて実施例により本発明を具体的に説明する。なお、本実施例では、本発明に係る「流体フィルタ」として自動変速機用オイルフィルタを例示する。
【0031】
(1)自動変速機用オイルフィルタ
本実施例に係る自動変速機用オイルフィルタ1は、図1図3に示すように、流出孔2が設けられた縦断面凹形状の上側ケース3と、流入孔4が設けられた縦断面凹形状の下側ケース5と、これら上側及び下側ケース3、5の間に挟持されるフィルタエレメント6と、を備えている。そして、上側及び下側ケース3、5の間にフィルタエレメント6を挟持することでろ過室Sが形成されている。
【0032】
上記流出孔2及び流入孔4は、フィルタエレメント6を介して上下方向に対向して配置されている。すなわち、流出孔2及び流入孔4は、それぞれの流通軸方向が一直線上に並んで配置されている。また、流出孔2には、ろ過対象となる流体をろ過室Sから吸入するオイルポンプ7が配管接続されている(図2参照)。
【0033】
上記上側ケース3は、レーザ透過性樹脂からなる。この上側ケース3の外周部の下面側には、図3に示すように、後述する保持枠と接合するための縦断面凹形状の凹縁部3aが全周にわたって形成されている。また、上側ケース3には、ろ過時の圧力変化により上側ケース3が変形したときに後述する第2リブの上端面に当接する凸状部8aが形成されている。
【0034】
上記下側ケース5は、レーザ透過性樹脂からなる。この下側ケース5の外周部の上面側には、図3に示すように、後述する保持枠と接合するための縦断面凹形状の凹縁部5aが全周にわたって形成されている。また、下側ケース5には、ろ過時の圧力変化により上側ケース5が変形したときに後述する第2リブの下端面に当接する凸状部8bが形成されている。さらに、下側ケース5の底側には、流入孔4が形成された段差部30が上方に凹んで底上げ形成されている(図2参照)。
【0035】
上記フィルタエレメント6は、図4図6に示すように、平面方向に並設されるひだ折りされた不織布製の第1ろ材11及び第2ろ材12と、これら第1及び第2ろ材11、12のそれぞれの周縁部を保持し且つ上側及び下側ケース3、5の間に挟持される保持枠13と、を備えている。これら第1及び第2ろ材11、12のそれぞれは、平面略矩形状に形成されている。また、第1ろ材11は、流出孔2及び流入孔4を結ぶ連絡部9に配置され、第2ろ材12は、連絡部9から離間して配置されている(図2参照)。なお、上記保持枠13と第1及び第2ろ材11、12とは一体的にインサート成形されている。
【0036】
上記保持枠13は、レーザ吸収性樹脂からなる。この保持枠13は、図5及び図6に示すように、第1ろ材11のひだの稜線方向Pの両端側及び第1ろ材11のひだの稜線方向Pと略直交する方向の一端側を保持する平面略U字状の第1保持部14と、第2ろ材12のひだの稜線方向Pの両端側及び第2ろ材12のひだの稜線方向Pと略直交する方向の一端側を保持する平面略U字状の第2保持部15と、第1ろ材11及び第2ろ材12のそれぞれのひだの稜線方向Pと略直交する方向の他端側を保持する長尺状の第3保持部16と、を備えている。
【0037】
さらに、上記保持枠13は、第1ろ材11のひだの稜線方向Pと略直交する方向に延びて第1保持部14と第3保持部16との間に架け渡される複数(図中2本)の第1リブ17と、第2ろ材12のひだの稜線方向Pと略直交する方向に延びて第2保持部15と第3保持部16との間に架け渡される単一の第2リブ18と、を備えている。
【0038】
上記各第1リブ17は、第1ろ材11のひだの稜線方向の長さを略3等分する位置に配置されている。また、上記第2リブ18は、第2ろ材12のひだの稜線方向Pの長さを略2等分する位置に配置されている。また、第2リブ18の長手方向の一端側は、一方の第1リブ17の長手方向の一端側に連なっている。
【0039】
上記第1ろ材11のひだの稜線方向Pの保持間隔L1は、図5に示すように、第1リブ17により第1ろ材11のひだの稜線方向Pの長さを略等間隔で複数(図5中で3つ)に分割した間隔であり、約13mmとされている。また、上記第2ろ材12のひだの稜線方向Pの保持間隔L2は、第2リブ18により第2ろ材12のひだの稜線方向Pの長さを略等間隔で複数(図5中で2つ)に分割した間隔であり、約26mmとされている。よって、上記保持間隔L1は、保持間隔L2より小さな値とされ、両者の比(L2/L1)は約2とされている。
【0040】
図4に示すように、上記第1ろ材11のひだ高さH1は約12mmとされ、第2ろ材12のひだ高さH2は約14mmとされている。よって、第1ろ材11のひだ高さH1は、第2ろ材12のひだ高さH2より小さな値とされ、両者の比(H2/H1)は約1.2とされている。また、第1及び第2ろ材11、12は、それぞれの上端面が略面一となるように配置されている。
【0041】
上記上側ケース3には、図1図3に示すように、第2ろ材12のひだの稜線方向Pと略直交する方向に延びる複数(図中2本)の板状の補強部材19(「セパレータ」とも称される)が形成されている。これら各補強部材19は、第2ろ材12のひだの稜線方向Pにおいて第2リブ18の両側であって、第2リブ18と第2ろ材12のひだの稜線方向Pの端部との間隔(すなわち、保持間隔L2)を略2等分する位置に設けられている。また、各補強部材19は、図4に示すように、第2ろ材12の下流側表面の隣り合うひだ12aの間に差し込まされる複数の差込部19aを有して櫛形状に形成されている。また、各補強部材19は、図7に示すように、各差込部19aの下端がひだ12aの上端から下方に向かって第2ろ材12のひだ高さH2の0.6倍の位置よりも上方に位置するように設けられている。
【0042】
上記保持枠13の外周部の上面側には、図3に示すように、上側ケース3の凹縁部3aと係合する縦断面凸形状の凸縁部13aが全周にわたって形成されている。これら凹縁部3a及び凸縁部13aの間には、レーザ溶着による接合部20が形成されている(図9参照)。また、保持枠13の外周部の下面側には、下側ケース5の凹縁部5aと係合する縦断面凸形状の凸縁部13bが全周にわたって形成されている。これら凹縁部5a及び凸縁部13bの間には、レーザ溶着による接合部21が形成されている(図9参照)。
【0043】
上記上側ケース3の凹縁部3aは、図9に示すように、保持枠13との接合部20からろ過室Sの内側方向へ所定の間隔離れた位置に設けられ且つフィルタエレメント6側に突出するように形成された凸状壁部23と、保持枠13との接合部20からろ過室Sの外側方向へ所定の間隔離れた位置に設けられ且つフィルタエレメント6側に突出するように形成された外側凸状壁部24と、を有している。この凸状壁部23は、図10に示すように、ろ過時の圧力変化により上側及び下側ケース3、5が変形したときに、保持枠13と当接するように設けられている。
【0044】
上記下側ケース5の凹縁部5aは、図9に示すように、保持枠13との接合部21からろ過室Sの内側方向へ所定の間隔離れた位置に設けられ且つフィルタエレメント6側に突出するように形成された凸状壁部25と、保持枠13との接合部21からろ過室Sの外側方向へ所定の間隔離れた位置に設けられ且つフィルタエレメント6側に突出するように形成された外側凸状壁部26と、を有している。この凸状壁部25は、ろ過時の圧力変化により上側及び下側ケース3、5が変形したときに、保持枠13と当接するように設けられている。
【0045】
(2)自動変速機用オイルフィルタの作用
次に、上記構成の自動変速機用オイルフィルタ1の作用について説明する。この自動変速機用フィルタ1は、図2に示すように、オイルパン31内でオイルに浸漬された状態でオイルポンプ7を作動して使用される。そして、自動変速機側で使用されたオイルはオイルパン31内に貯留され、その貯留オイルは流入孔4からろ過室S内に流入される。ここで、ろ過室S内の連絡部9及びその近傍を流通する比較的高圧なオイルは主に第1ろ材11でろ過され、ろ過室S内の連絡部9から離間した部位を流通する比較的低圧なオイルは主に第2ろ材12でろ過される。ろ過後のオイルは流出孔2から流出されて自動変速機側に戻される。
【0046】
上記第2ろ材12でオイルをろ過する際には、図7に示すように、オイルが第2ろ材12を通過するときの圧力により第2ろ材12が変形するが、補強部材19の各差込部19aが第2ろ材12の隣り合うひだ12a同士の間に差し込まれているので、ひだ密着が抑制される。また、オイルポンプ7の吸込圧力による上側及び下側ケース3、5の変形は、凸状部8a、8b(図3参照)が第2リブ18と当接することにより抑制される。
【0047】
上記オイルポンプ7が作動していない状態では、上側及び下側ケース3、5の変形は生じておらず、凸状壁部23、25は保持枠13に当接していない(図9参照)。一方、オイルポンプ7が作動した状態では、ろ過室S内の内圧が下がり、この圧力変化により、上側及び下側ケース3、5がろ過室Sの内側方向に変形する(図10参照)。これにより、凸状壁部23、25は保持枠13に当接して、溶着バリBが収容される空間がろ過室Sから隔離される。
【0048】
(3)実施例の効果
以上より、本実施例の自動変速機用オイルフィルタ1によると、フィルタエレメント6は、流出孔2及び流入孔4を結ぶ連絡部9に配置されるひだ折りされた第1ろ材11と、連絡部9から離間して配置されるひだ折りされた第2ろ材12と、を備え、第1ろ材11のひだの稜線方向Pの保持間隔L1は、第2ろ材12のひだの稜線方向Pの保持間隔L2より小さいので、ろ過室S内の連絡部9を流通するオイルを主にろ過する第1ろ材11は、ろ過室S内の連絡部9から離間した部位を流通するオイルを主にろ過する第2ろ材12に比べて、高い保持力で保持される。よって、高保持側の第1ろ材11でのひだ密着を抑制して圧力損失の増加を防止でき、ろ材の寿命、即ちダスト保持量を高めることができる。また、高保持側の第1ろ材11に加えて低保持側の第2ろ材12で必要なろ過面積を確保し易く、ろ過効率を向上させることができる。
【0049】
また、本実施例では、第1ろ材11のひだ高さH1が、第2ろ材12のひだ高さH2より小さいので、高保持側の第1ろ材11でのひだ密着をより効果的に抑制できるとともに、低保持側の第2ろ材12で必要なろ過面積をより効果的に確保できる。
【0050】
また、本実施例では、下側ケース5の底側には、流入孔4が形成された段差部30が上方に凹んで底上げ形成されているので、流入孔4からのオイルの円滑な流入を図りつつ、第1ろ材11及び流入孔4の間の必要なオイル流通間隔を確保して圧力損失の増加を防止できる。
【0051】
また、本実施例では、第2ろ材12の下流側表面に補強部材19が設けられているので、補強部材19の差込部19aが第2ろ材12の隣り合うひだ12aの間に差し込まれ、低保持側の第2ろ材12のひだ密着が抑制される。
【0052】
また、本実施例では、補強部材19は、差込部19aの下端がひだ12aの上端から下方に向かってひだ高さH2の0.6倍の位置よりも上方に位置するように設けられているので、ひだ12aと補強部材19との接触面積を小さくでき、第2ろ材12での必要なろ過面積をより効果的に確保できる。
【0053】
また、本実施例では、補強部材19は、第2ろ材12とは別体として設けられるとともに、第2ろ材12の上方から差し込まれる櫛形状に形成されているので、第2ろ材12ひいてはフィルタエレメント6を簡易な構成にできる。
【0054】
また、本実施例では、フィルタエレメント6には、第2ろ材12のひだの稜線方向Pの略中央部に、ひだの稜線方向Pと交差する方向に延びる第2リブ18が設けられ、補強部材19は、第2リブ18の両側であって、第2リブ18と第2ろ材12のひだの稜線方向Pの端部との中間の位置に設けられているので、ひだの稜線方向Pにおいて補強部材19及び第2リブ18により第2ろ材12が所定間隔で支持され、ひだの稜線方向Pにおける第2ろ材12のひだ密着をより効果的に抑制できる。
【0055】
また、本実施例では、上側及び下側ケース3、5には、ろ過時の圧力変化によりケース3、5が変形したときに第2リブ18の上端面又は下端面に当接する凸状部8a、8bが形成されているので、自動変速機用オイルフィルタ1の使用中にろ過室Sの内圧が外圧よりも低くなる状態で、凸状部8a、8bが第2リブ18に当接することで上側及び下側ケース3、5の過度の変形が抑制されてろ過室S内のオイル流路を確保でき、圧力損失の増加を防止できる。
【0056】
また、本実施例では、フィルタエレメント6は、平面方向に並設される第1及び第2ろ材11、12のそれぞれの周縁部を保持し且つ上側及び下側ケース3、5の間に挟持される保持枠13を有しているので、組付性に優れたフィルタエレメント6ひいては自動変速機用オイルフィルタ1を提供できる。特に、本実施例では、上記保持枠13と第1及び第2ろ材11、12とは一体成形されているので、生産性に優れたフィルタエレメント6ひいては自動変速機用オイルフィルタ1を提供できる。
【0057】
また、本実施例では、上記保持枠13は、第1ろ材11のひだの稜線方向Pと略直交する方向に延びる第1リブ17を有し、上記保持間隔L1は、第1リブ17により第1ろ材12のひだの稜線方向Pの長さを略等間隔で複数に分割した間隔であるので、第1ろ材11でのひだ密着をより効果的に抑制できるとともに、第1ろ材11で必要なろ過面積をより効果的に確保できる。
【0058】
また、本実施例では、上記保持枠13は、第2ろ材12のひだの稜線方向Pと略直交する方向に延びる第2リブ18を有し、上記保持間隔L2は、第2リブ18により第2ろ材12のひだの稜線方向Pの長さを略等間隔で複数に分割した間隔であるので、第2ろ材12でのひだ密着をより効果的に抑制できるとともに、第2ろ材12で必要なろ過面積をより効果的に確保できる。
【0059】
また、本実施例では、上側及び下側ケース3、5は、溶着により保持枠13にそれぞれ接合されることによりろ過室Sが形成され、流出孔2には、ろ過対象となるオイルをろ過室Sから吸入するオイルポンプ7が配管接続され、上側及び下側ケース3、5のそれぞれには、保持枠13との接合部20、21からろ過室Sの内側方向へ所定の間隔離れた位置に、フィルタエレメント6側に突出するように形成された凸状壁部23、25が設けられ、凸状壁部23、25は、ろ過時の圧力変化により上側及び下側ケース3、5が変形したときに、保持枠13と当接するように設けられているので、オイルがろ過室S内を流通するろ過時には、凸状壁部23、25が保持枠13と当接することにより、接合部20、21と凸状壁部23、25との間の溶着バリBが収容される空間はろ過室Sから隔離され、溶着バリBのろ過室S内への侵入が防止される。また、ケース3、5と保持枠13との溶着時には、凸状壁部23、25は保持枠13に当接しないので、接合部20、21の溶け込みが阻害されず、接合部20、21は設定された溶着量(溶け込み量)をもって溶着される。このため、溶着による部材同士の接合を確実なものとすることができる。
【0060】
さらに、本実施例では、上側及び下側ケース3、5のそれぞれには、保持枠13との接合部20、21からろ過室Sの外側方向へ所定の間隔離れた位置に、フィルタエレメント6側に突出するように形成された外側凸状壁部24、26が設けられているので、溶着の際に接合部20、21に発生する溶着バリBのうち、ろ過室Sの外側に発生した溶着バリBが覆われて外部に露出しないため、意匠性を高めることができる。
【0061】
尚、本発明においては、上記実施例に限られず、目的、用途に応じて本発明の範囲内で種々変更した実施例とすることができる。即ち、上記実施例では、第1ろ材11の一端側に第2ろ材12を並設してなる形態を例示したが、これに限定されず、例えば、第1ろ材11の両端側のそれぞれに第2ろ材12を並設してなる形態としたり、第1ろ材11の周囲を囲むように第2ろ材12を並設してなる形態としたりしてもよい。
【0062】
また、上記実施例では、第1ろ材11のひだ高さH1を第2ろ材12のひだ高さH2より小さくした形態を例示したが、これに限定されず、例えば、第1ろ材11のひだ高さH1を第2ろ材12のひだ高さH2と略同じとしたり、第1ろ材11のひだ高さH1を第2ろ材12のひだ高さH2より大きくしたりしてもよい。
【0063】
また、上記実施例では、フィルタエレメント6として、保持枠13及びろ材11、12を備える形態を例示したが、これに限定されず、例えば、ろ材のみからなるフィルタエレメントとしてもよい。この場合、ろ材の周縁側は上側及び下側ケース3、5に直接挟持される。
【0064】
また、上記実施例では、第1及び第2ろ材11、12を保持する単一の保持枠13を例示したが、これに限定されず、例えば、第1ろ材11を保持する第1保持枠と第2ろ材12を保持する第2保持枠とを別々に備えるようにしてもよい。
【0065】
また、上記実施例において、リブ17、18の形状、本数、使用の有無等は、ろ材の大きさ等に応じて適宜選択できる。さらに、上記実施例では、保持枠13に対してリブ17、18を一体成形してなる形態を例示したが、これに限定されず、例えば、保持枠13に対してリブ17、18を後付けしてなる形態としてもよい。
【0066】
また、上記実施例では、第2ろ材12のひだ密着を抑制する補強部材19を例示したが、これに限定されず、例えば、第2ろ材12のひだ密着を抑制する補強部材19に加えて又は替えて、第1ろ材11のひだ密着を抑制する補強部材を備える形態としてもよい。さらに、上記実施例では、ろ材12の下流表面側に設けられる補強部材19を例示したが、これに限定されず、例えば、ろ材12の下流表面側に設けられる補強部材19に加えて又は替えて、ろ材12の上流表面側に設けられる補強部材を備える形態としてもよい。
【0067】
また、上記実施例では、ろ材12と別体に設けられた補強部材19をろ材12の上方から差し込む形態を例示したが、これに限定されず、例えば、インサート成形等により保持枠13に対して補強部材19を一体化してなる形態としてもよい。さらに、上記実施例では、ケース3、5と一体に設けられた補強部材19を例示したが、これに限定されず、例えば、補強部材19を保持枠13又はケース3、5に後付けしてなる形態としてもよい。
【0068】
また、上記実施例の補強部材19において、例えば、図8に示すように、補強部材19の下端から更に下方に延びる棒状部33を設けてもよい。この棒状部33を設けることにより、ろ材12の変形を更に抑制できるとともに、ろ過面積も確保できる。
【0069】
また、上記実施例では、凸状壁部23、25と当接する保持枠13の当接面を保持枠13の上端面とした形態を例示したが、これに限定されず、例えば、図11及び図12に示すように、凸状壁部23、25と当接する保持枠13の当接面を、上下方向に延びるように形成された壁面であって、接合部20、21から離れた位置の壁面ほどろ過室Sの内側方向へ向かうように傾斜する傾斜面36としてもよい。これにより、ケース3、5の変形が進行するほど、凸状壁部23、25と保持枠13とが強固に圧接され、より確実に溶着バリBのろ過室S内への侵入を防止することができる。
【0070】
また、上記実施例の第1及び第2ろ材11、12の材質としては、例えば、不織布、織物、ろ紙等を挙げることができる。特にろ紙を用いる場合において、第1ろ材11として(B/T)>(B/T)であるろ紙を用いた場合には、とりわけ、本流体フィルタ内におけるろ過流体の流通の偏りを防止して、フィルタ全体のろ過効率を向上させることができる。
また、第1及び第2ろ材11、12の平面形状、大きさ、個数等は、ろ過対象物等に応じて適宜選択できる。さらに、上記実施例では、ケース3、5と保持枠13との接合形態としてレーザ溶着を例示したが、これに限定されず、例えば、振動溶着、超音波溶着、熱板溶着、接着剤等による接着等にて両者を接合するようにしてもよい。
【0071】
さらに、上記実施例では、本発明に係る流体フィルタとして、自動変速機に用いられるオイルフィルタ1を例示したが、これに限定されず、例えば、内燃機関の吸気系統に設けられるエアフィルタなど、濾過室内の圧力が外部圧力よりも低くなる状態で用いられる流体フィルタ全般に適用することができる。
【0072】
前述の例は単に説明を目的とするものでしかなく、本発明を限定するものと解釈されるものではない。本発明を典型的な実施形態の例を挙げて説明したが、本発明の記述および図示において使用された文言は、限定的な文言ではなく説明的および例示的なものであると理解される。ここで詳述したように、その形態において本発明の範囲または精神から逸脱することなく、添付の特許請求の範囲内で変更が可能である。ここでは、本発明の詳述に特定の構造、材料および実施例を参照したが、本発明をここにける開示事項に限定することを意図するものではなく、むしろ、本発明は添付の特許請求の範囲内における、機能的に同等の構造、方法、使用の全てに及ぶものとする。
【0073】
本発明は上記で詳述した実施形態に限定されず、本発明の請求項に示した範囲で様々な変形または変更が可能である。
【産業上の利用可能性】
【0074】
流体をろ過する技術として広く利用される。特に、乗用車、バス、トラック等の他、列車、汽車等の鉄道車両、建設車両、農業車両、産業車両などの車両の自動変速機用流体フィルタとして好適に利用される。
【符号の説明】
【0075】
1;自動変速機用オイルフィルタ、2;流出孔、3;上側ケース、4;流入孔、5;下側ケース、6;フィルタエレメント、9;連絡部、11;第1ろ材、12;第2ろ材、19;補強部材、19a;差込部、L1;第1ろ材のひだの稜線方向の保持間隔、L2;第2ろ材のひだの稜線方向の保持間隔、H1;第1ろ材のひだ高さ、H2;第2ろ材のひだ高さ。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14