特許第5834860号(P5834860)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2015.5.11 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】5834860
(24)【登録日】2015年11月13日
(45)【発行日】2015年12月24日
(54)【発明の名称】車両の電源制御装置
(51)【国際特許分類】
   B60R 16/02 20060101AFI20151203BHJP
   B60R 16/033 20060101ALI20151203BHJP
【FI】
   B60R16/02 645C
   B60R16/033 C
【請求項の数】5
【全頁数】16
(21)【出願番号】特願2011-268518(P2011-268518)
(22)【出願日】2011年12月8日
(65)【公開番号】特開2013-119331(P2013-119331A)
(43)【公開日】2013年6月17日
【審査請求日】2014年10月21日
(73)【特許権者】
【識別番号】000003137
【氏名又は名称】マツダ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001427
【氏名又は名称】特許業務法人前田特許事務所
(74)【代理人】
【識別番号】100077931
【弁理士】
【氏名又は名称】前田 弘
(74)【代理人】
【識別番号】100110939
【弁理士】
【氏名又は名称】竹内 宏
(74)【代理人】
【識別番号】100110940
【弁理士】
【氏名又は名称】嶋田 高久
(74)【代理人】
【識別番号】100113262
【弁理士】
【氏名又は名称】竹内 祐二
(74)【代理人】
【識別番号】100115059
【弁理士】
【氏名又は名称】今江 克実
(74)【代理人】
【識別番号】100117581
【弁理士】
【氏名又は名称】二宮 克也
(74)【代理人】
【識別番号】100117710
【弁理士】
【氏名又は名称】原田 智雄
(74)【代理人】
【識別番号】100124671
【弁理士】
【氏名又は名称】関 啓
(74)【代理人】
【識別番号】100131060
【弁理士】
【氏名又は名称】杉浦 靖也
(74)【代理人】
【識別番号】100131200
【弁理士】
【氏名又は名称】河部 大輔
(74)【代理人】
【識別番号】100131901
【弁理士】
【氏名又は名称】長谷川 雅典
(74)【代理人】
【識別番号】100132012
【弁理士】
【氏名又は名称】岩下 嗣也
(74)【代理人】
【識別番号】100141276
【弁理士】
【氏名又は名称】福本 康二
(74)【代理人】
【識別番号】100143409
【弁理士】
【氏名又は名称】前田 亮
(74)【代理人】
【識別番号】100157093
【弁理士】
【氏名又は名称】間脇 八蔵
(74)【代理人】
【識別番号】100163186
【弁理士】
【氏名又は名称】松永 裕吉
(74)【代理人】
【識別番号】100163197
【弁理士】
【氏名又は名称】川北 憲司
(74)【代理人】
【識別番号】100163588
【弁理士】
【氏名又は名称】岡澤 祥平
(72)【発明者】
【氏名】山下 丈晴
(72)【発明者】
【氏名】西田 史彦
(72)【発明者】
【氏名】高橋 正好
【審査官】 前田 浩
(56)【参考文献】
【文献】 特開2012−240593(JP,A)
【文献】 特開2006−060947(JP,A)
【文献】 特開2001−186687(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B60R 16/02
B60R 16/033
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
エンジンにより駆動されて発電するとともに、少なくとも車両の減速時に運動エネルギーを発電電力に変換する発電機と、該発電機に接続されて該発電機による発電電力を蓄えるとともに、車両電気負荷に対して電力を供給する蓄電装置とを備えた車両の電源制御装置であって、
上記蓄電装置と第1の車両電気負荷とをDC/DCコンバータを介して接続する第1の給電回路と、
上記蓄電装置と上記第1の車両電気負荷とを、上記DC/DCコンバータと並列に配設されたバイパススイッチを介して接続する第2の給電回路と、
上記蓄電装置と第2の車両電気負荷とを、上記DC/DCコンバータを介して接続する第3の給電回路と、
上記DC/DCコンバータ及び上記バイパススイッチの作動を制御する制御手段とを備え、
上記制御手段は、上記第1の車両電気負荷の消費電流が所定値以下であるときには、上記第1の給電回路による上記第1の車両電気負荷への電力供給を行う一方、上記第1の車両電気負荷の消費電流が上記所定値よりも多いときには、上記第2の給電回路による上記第1の車両電気負荷への電力供給を行うとともに、上記第2の給電回路による上記第1の車両電気負荷への電力供給の際には、上記DC/DCコンバータを作動させながら上記第3の給電回路による上記第2の車両電気負荷への電力供給を行いつつ、上記バイパススイッチをオン状態に設定するように構成されていることを特徴とする車両の電源制御装置。
【請求項2】
請求項1記載の車両の電源制御装置において、
上記第1の給電回路におけるDC/DCコンバータの出力側に、上記バイパススイッチと並列でかつ上記DC/DCコンバータと直列に補助スイッチが配設されており、
上記制御手段は、更に上記補助スイッチの作動を制御するものであって、上記第2の給電回路による上記第1の車両電気負荷への電力供給の際には、上記補助スイッチをオフ状態に設定するように構成されていることを特徴とする車両の電源制御装置。
【請求項3】
請求項1又は2記載の車両の電源制御装置において、
上記第2の車両電気負荷は、その必要電圧が上記DC/DCコンバータの出力電圧よりも低いものであり、
上記第3の給電回路における上記DC/DCコンバータと上記第2の車両電気負荷との間に、上記DC/DCコンバータの出力電圧を降圧する降圧手段が配設されていることを特徴とする車両の電源制御装置。
【請求項4】
請求項記載の車両の電源制御装置において、
上記制御手段は、更に上記発電機の作動を制御するものであって、上記第2の給電回路による上記第1の車両電気負荷への電力供給の際には、上記発電機を発電させるように構成されていることを特徴とする車両の電源制御装置。
【請求項5】
請求項1〜のいずれか1つに記載の車両の電源制御装置において、
上記第2の車両電気負荷は、上記蓄電装置の温度を検出するサーミスタを含むことを特徴とする車両の電源制御装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、発電機と、該発電機による発電電力を蓄えるとともに、車両電気負荷に対して電力を供給する蓄電装置とを備えた車両の電源制御装置に関する技術分野に属する。
【背景技術】
【0002】
近年、車両の燃費を向上させるために、車両の減速時にオルタネータ(発電機)により発電することにより、車両減速時の運動エネルギーを回生電力として回収する技術が注目されている。
【0003】
例えば特許文献1では、ランプ類やオーディオ装置等の一般負荷が接続される主電源(鉛バッテリ等からなる)とは別に、発電機による発電電力(回生電力)を蓄える、リチウム電池やキャパシタ等からなる副電源(蓄電装置)が設けられている。上記発電機による発電電力(回生電力)は、DC/DCコンバータを介さずに蓄電装置に蓄えられる。そして、上記副電源と上記主電源及び上記一般負荷とをDC/DCコンバータを介して接続する第1の給電回路と、この第1の給電回路と並列に、上記副電源と上記主電源及び上記一般負荷とをスイッチを介して接続する第2の給電回路とを備えており、上記DC/DCコンバータを起動しかつ上記スイッチを開く第1の制御状態と、上記DC/DCコンバータを停止しかつ上記スイッチを閉じる第2の制御状態とを選択的に切り換えるようにしている。また、特許文献1では、上記副電源の発生電圧が上記一般負荷の許容定格電圧以下でない場合には、上記第1の制御状態とし、上記副電源の発生電圧が上記一般負荷の許容定格電圧以下まで低下した場合には、上記第2の制御状態として、DC/DCコンバータを介さずに上記一般負荷への電力供給を行うことにより、DC/DCコンバータによる降圧の際の損失をなくすようにしている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2004−328988号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
上記特許文献1のように、発電機による発電電力(特に回生電力)をDC/DCコンバータを介さずに蓄電装置に蓄えるようにし、その蓄電装置からDC/DCコンバータを介して車両電気負荷に電力を供給するようにすれば、燃費の向上が期待できる。
【0006】
しかし、車両に搭載可能なDC/DCコンバータの大きさには限界があり、またコスト面からも制約があり、このため、車両に搭載するDC/DCコンバータの最大出力電流を大きくすることができなくなる。この結果、例えば冬場の夜間に、電気式のヒータ(シートヒータ等)やランプ類、オーディオ装置等といった多くの車両電気負荷で同時に消費電流が消費される場合には、車両電気負荷の消費電流(トータル消費電流)がDC/DCコンバータの最大出力電流を超える場合が生じる。
【0007】
そこで、上記特許文献1のように、DC/DCコンバータと並列にスイッチを設けておき、例えば、車両電気負荷の消費電流がDC/DCコンバータの最大出力電流よりも多くなったときに、DC/DCコンバータを介さずに蓄電装置又は発電機から車両電気負荷に電力を供給するようにすることが考えられる。こうすれば、消費電流が多くなっても、それに対応することが可能になる。
【0008】
しかしながら、蓄電装置の電圧や発電機の発電電圧は、DC/DCコンバータの出力電圧のようには安定していないため、DC/DCコンバータを介さない電力供給は、必要電圧が安定していなければならない車両電気負荷に対しては適していない。例えば、温度センサとして使用されるサーミスタでは、供給電圧が安定していないと、検出すべき温度を正確に検出できなくなるという問題が生じる。
【0009】
本発明は、斯かる点に鑑みてなされたものであり、その目的とするところは、車両電気負荷の消費電流がDC/DCコンバータの最大出力電流を超える場合が生じても、各種の車両電気負荷に対して適切な電力供給が行えるようにすることにある。
【課題を解決するための手段】
【0010】
上記の目的を達成するために、本発明では、エンジンにより駆動されて発電するとともに、少なくとも車両の減速時に運動エネルギーを発電電力に変換する発電機と、該発電機に接続されて該発電機による発電電力を蓄えるとともに、車両電気負荷に対して電力を供給する蓄電装置とを備えた車両の電源制御装置を対象として、上記蓄電装置と第1の車両電気負荷とをDC/DCコンバータを介して接続する第1の給電回路と、上記蓄電装置と上記第1の車両電気負荷とを、上記DC/DCコンバータと並列に配設されたバイパススイッチを介して接続する第2の給電回路と、上記蓄電装置と第2の車両電気負荷とを、上記DC/DCコンバータを介して接続する第3の給電回路と、上記DC/DCコンバータ及び上記バイパススイッチの作動を制御する制御手段とを備え、上記制御手段は、上記第1の車両電気負荷の消費電流が所定値以下であるときには、上記第1の給電回路による上記第1の車両電気負荷への電力供給を行う一方、上記第1の車両電気負荷の消費電流が上記所定値よりも多いときには、上記第2の給電回路による上記第1の車両電気負荷への電力供給を行うとともに、上記第2の給電回路による上記第1の車両電気負荷への電力供給の際には、上記DC/DCコンバータを作動させながら上記第3の給電回路による上記第2の車両電気負荷への電力供給を行いつつ、上記バイパススイッチをオン状態に設定するように構成されている、という構成とした。
【0011】
上記の構成により、第1の車両電気負荷の消費電流(トータル消費電流)が所定値(例えばDC/DCコンバータの最大出力電流から第2の車両電気負荷の消費電流を引いた値又はそれに近い値)以下であるときには、第1の給電回路により蓄電装置又は発電機からDC/DCコンバータを介して第1の車両電気負荷に電力を供給し、これにより、発電機で比較的高い電圧を発生させてその電圧で充電装置を充電することができ、発電及び充電の効率を向上させることができる。一方、第1の車両電気負荷の消費電流(トータル消費電流)が上記所定値よりも多いときには、第2の給電回路により蓄電装置又は発電機から第1の車両電気負荷に電力を供給することで、多くの消費電流に対応することが可能になる。すなわち、発電機の発電電圧及び蓄電装置の電圧を第1の車両電気負荷の必要電圧と略同じにすれば、第2の給電回路により蓄電装置又は発電機から第1の車両電気負荷に電力を供給することができるとともに、蓄電装置又は発電機からの供給電流は多くすることが可能であり、多くの消費電流に対応することが可能になる。そして、第2の給電回路による第1の車両電気負荷への電力供給時には、第3の給電回路により、DC/DCコンバータを介して第2の車両電気負荷への電力供給が行われるので、供給電圧が安定していなければならない車両電気負荷を第2の車両電気負荷として、その第2の車両電気負荷には、DC/DCコンバータによる安定した電圧を供給できるようになる。
【0012】
上記車両の電源制御装置において、上記第1の給電回路におけるDC/DCコンバータの出力側に、上記バイパススイッチと並列でかつ上記DC/DCコンバータと直列に補助スイッチが配設されており、上記制御手段は、更に上記補助スイッチの作動を制御するものであって、上記第2の給電回路による上記第1の車両電気負荷への電力供給の際には、上記補助スイッチをオフ状態に設定するように構成されている、ことが好ましい。
【0013】
このことにより、第2の給電回路による第1の車両電気負荷への電力供給時には、DC/DCコンバータと第1の車両電気負荷とが遮断されるので、第1の車両電気負荷側での不安定な電圧の影響が、DC/DCコンバータを含む第3の給電回路に及ぶようなことはない。したがって、第2の車両電気負荷に対してより一層安定した電圧を供給することができる。
【0014】
上記車両の電源制御装置において、上記第2の車両電気負荷は、その必要電圧が上記DC/DCコンバータの出力電圧よりも低いものであり、上記第3の給電回路における上記DC/DCコンバータと上記第2の車両電気負荷との間に、上記DC/DCコンバータの出力電圧を降圧する降圧手段が配設されている、ことが好ましい。
【0015】
このことで、第2の車両電気負荷の必要電圧がDC/DCコンバータの出力電圧(第1の車両電気負荷の必要電圧)よりも低くても、DC/DCコンバータの構成を複雑にすることなく、容易に対応することができる。また、降圧手段により第2の車両電気負荷への供給電圧をより一層安定させるようにすることができる。
【0016】
上記車両の電源制御装置において、上記第2の車両電気負荷は、上記蓄電装置の温度を検出するサーミスタを含むものであってもよい。
【0017】
このことで、サーミスタへの供給電圧を安定させて、蓄電装置の温度を常に正確に検出することができる。ここで、蓄電装置の温度が高い状態で、蓄電装置に高い電圧をかけると、蓄電装置が劣化し易くなるので、この劣化を防止するために、蓄電装置の温度を検出して、その温度に応じて、蓄電装置に印加する電圧(発電機による発電電圧)を制限する。この場合、蓄電装置の温度を正確に検出できなければ、蓄えた電気を無駄に放電する可能性があるが、本発明では、供給電圧の安定により蓄電装置の温度を正確に検出して、無駄な放電を防止することができる。
【発明の効果】
【0018】
以上説明したように、本発明の車両の電源制御装置によると、第1の車両電気負荷の消費電流が所定値以下であるときには、第1の給電回路による上記第1の車両電気負荷への電力供給を行う一方、上記第1の車両電気負荷の消費電流が上記所定値よりも多いときには、第2の給電回路による上記第1の車両電気負荷への電力供給を行うとともに、上記第2の給電回路による上記第1の車両電気負荷への電力供給の際には、DC/DCコンバータを作動させながら第3の給電回路による第2の車両電気負荷への電力供給を行いつつ、上記第2の給電回路のバイパススイッチをオン状態に設定するようにしたことにより、第1の車両電気負荷の消費電流が所定値以下であるときには、第1の給電回路により蓄電装置又は発電機からDC/DCコンバータを介して第1の車両電気負荷に電力を供給することにより、発電機で比較的高い電圧を発生させてその電圧で充電装置を充電することができ、発電及び充電の効率を向上させることができる一方、第1の車両電気負荷の消費電流が上記所定値よりも多いときには、第2の給電回路により蓄電装置又は発電機から第1の車両電気負荷に電力を供給することで、多くの消費電流に対応することができるとともに、第2の給電回路による第1の車両電気負荷への電力供給時には、第3の給電回路により、DC/DCコンバータを介して第2の車両電気負荷への電力供給が行われるので、供給電圧が安定していなければならない第2の車両電気負荷には、DC/DCコンバータによる安定した電圧を供給できるようになる。
【図面の簡単な説明】
【0019】
図1】本発明の実施形態に係る電源制御装置が搭載された車両の車体の構造を示す平面図である。
図2】上記電源制御装置の構成を示す概略図である。
図3】第1及び第2グループの車両電気負荷のトータル消費電流が所定値よりも多くなった場合のコントローラの制御を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0020】
以下、本発明の実施形態を図面に基づいて詳細に説明する。
【0021】
図1は、本発明の実施形態に係る電源制御装置が搭載された車両1の構造を示す。図1の左側がこの車両1の前側に相当する。以下、この車両1についての前、後、左、右、上及び下を、それぞれ単に前、後、左、右、上及び下という。
【0022】
車両1の前部における車幅方向(左右方向)両端部には、前後方向に延びる左右一対のフロントサイドフレーム2が配設されている。これら両フロントサイドフレーム2の間の空間が、エンジン40が配設されるエンジンルーム3とされている。各フロントサイドフレーム2の後部は、その高さ位置が後側に向かって徐々に低くなるキック部2aとされている。このキック部2aと略同じ前後位置には、上記エンジンルーム3と車室とを仕切るダッシュパネル5が車幅方向及び上下方向に延びるように設けられている。
【0023】
左右のフロントサイドフレーム2の車幅方向外側には、サスペンションタワー9がそれぞれ設けられている。左右のサスペンションタワー9の上端部は、前後方向に延びる左右一対のエプロンレインメンバー8にそれぞれ固定され、左右のサスペンションタワー9の下端部は、左右のフロントサイドフレーム2にそれぞれ固定されている。
【0024】
左右のフロントサイドフレーム2の前端には、クラッシュカン11がそれぞれ配設されている。各フロントサイドフレーム2の前端にフランジ部2aが形成され、クラッシュカン11の後端にもフランジ部11aが形成されており、これら互いのフランジ部2a,11aが合わされた状態で、不図示の締結部材(ボルト及びナット)によって固定されている。
【0025】
上記左右のクラッシュカン11の前端は、車幅方向に延びるバンパービーム12の左右両端部にそれぞれ締結されている。このバンパービーム12は、車両1の前端部に設けられた不図示のフロントバンパー内に配設されていて、車両1の前面衝突時の衝突荷重を受ける。そして、バンパービーム12が車両1の前面衝突時の衝突荷重を前側から受けたときに、左右のクラッシュカン11が前後方向に潰れることで、その衝撃吸収を行うようになっている。尚、軽衝突時には、クラッシュカン11及びフロントサイドフレーム2のうちクラッシュカンのみが潰れることで衝撃吸収を行えるが、クラッシュカン11のみでは衝撃吸収を行えないような重衝突時には、フロントサイドフレーム2も前後方向に潰れることで衝撃吸収を行う。
【0026】
上記ダッシュパネル5の下端部は、上記車室の底面を形成するフロアパネル15の前端部と接続されている。このフロアパネル15は、フロントフロア部15aと、このフロントフロア部15aの後側に位置し、フロントフロア部15aの後端から立ち上がってフロントフロア部15aよりも上側の高さ位置に位置するリヤフロア部15bとを有している。
【0027】
フロアパネル15のフロントフロア部15a上には、左右2つのフロントシート21(一方が運転席シートであり、他方が助手席シートである)が車幅方向に並んで配設されている。フロアパネル15上におけるフロントシート21の後側(つまり、リヤフロア部5b上)には、リヤシート22が配設されている。フロントフロア部15aにおけるフロントシート21の後側部分(フロントシート21とリヤシート22との間の部分)は、リヤシート22に着座した乗員の足置き場となる部分である。
【0028】
フロアパネル15のフロントフロア部15aの車幅方向中央部(左右2つのフロントシート21間)には、トンネル部15cが形成されている。また、フロントフロア部15aの上面におけるトンネル部15cの左右両側部分には、車幅方向に延びる前側及び後側クロスメンバ16,17が互いに前後方向に間隔をあけて配設されている。
【0029】
上記エンジンルーム3内における上記エンジン40の前部の右側部分には、該エンジン40により駆動されて発電する発電機41(オルタネータ)が設けられている。この発電機41は、エンジン40の運転中は常時、エンジン40のクランク軸によりベルトを介して回転駆動されるが、コントローラ70(図2参照)による制御によって、エンジン40により駆動されて発電する発電状態と、エンジン40により駆動されても発電しない非発電状態とを切換え可能になっている。また、発電機41は、コントローラ70による制御によって、上記発電状態において、発電電圧を自在に変更可能なものであり、本実施形態では、12V〜25Vの電圧でもって発電する。
【0030】
左側のフロントサイドフレーム2よりも車幅方向外側(左側)の近傍つまりエンジンルーム3の左外側の近傍でかつ前後方向において前輪とクラッシュカン11との間の位置には、蓄電装置43が配設されている。この蓄電装置43は、本実施形態では、キャパシタで構成されている。蓄電装置43は、左側のフロントサイドフレーム2のフランジ部2a、又は、左側のクラッシュカン11のフランジ部11a(左側のフロントサイドフレーム2のフランジ部2aと連結されるフランジ部)に支持される。これにより、蓄電装置43がエンジン40からの熱の影響を受け難くなり、車両走行風によって効率良く冷却することが可能になる。また、上記車両1の前面衝突時(軽衝突時)に、蓄電装置43がクラッシュカン11による衝撃吸収作用を阻害することがなく、フロントサイドフレーム2が潰れるような重衝突時に、フロントサイドフレーム2による衝撃吸収作用を阻害することもない。
【0031】
エンジンルーム3内の左後側部分には、一般的な鉛蓄電池で構成されたバッテリ44が配設されている。このバッテリ44は、該バッテリ44の下側に配設されたバッテリ支持ブラケット48を介して左側のフロントサイドフレーム2に支持されている。
【0032】
左側のフロントシート21(シートクッション)とフロアパネル15(フロントフロア部15a)との間には、DC/DCコンバータ50が配設されている。このDC/DCコンバータ50は、該DC/DCコンバータ50の上側に設けられたブラケット57を介して、フロアパネル15における前側及び後側クロスメンバ16,17間の部分に支持されている。ブラケット57の前端部は、前側クロスメンバ16の上面に取付固定され、ブラケット57の後端部は、フロアパネル15の上面に突出するように設けた不図示の支持部材を介して、フロアパネル15に取付固定されている。こうして、DC/DCコンバータ50は、フロアパネル15(フロントフロア部15a)に対して上側に離間した状態で、フロアパネル15に支持されることになる。これにより、DC/DCコンバータ50の下面に設けた不図示のヒートシンクとフロアパネル15との間に隙間を設けるようにして、ヒートシンクにより、DC/DCコンバータ50に生じた熱の放散を十分に行えるようにしている。尚、ブラケット57は、リヤシート22に着座している乗員の足の先端部がフロントシート21(シートクッション)とフロアパネル15との間に入ってきた場合の該足からDC/DCコンバータ50を保護する役割も有している。
【0033】
DC/DCコンバータ50は、コントローラ70による制御によって作動状態又は停止状態にすることが可能であるが、本実施形態では、車両1のイグニッションスイッチがオン状態である間は、基本的に作動状態とされる。
【0034】
図2は、発電機41、蓄電装置43、バッテリ44、DC/DCコンバータ50及び車両電気負荷45,46,47の電気接続関係を示す。
【0035】
発電機41は、供給側ライン51を介して蓄電装置43及びDC/DCコンバータ50の入力端子と接続されており、発電機41が発電状態にあるときには、発電機41の発電電力が、蓄電装置43とDC/DCコンバータ50の入力端子とに供給される。また、発電機41が非発電状態にあるときには、蓄電装置43に蓄えられた電力が、DC/DCコンバータ50の入力端子に供給される。供給側ライン51の電圧は、基本的にどの位置でも同じであり、発電機41の電圧、蓄電装置43の電圧及びDC/DCコンバータ50の入力端子の電圧は同じである。この供給側ライン51には、供給側ライン51の電圧を検出するための第1電圧センサ55が設けられている。
【0036】
本実施形態では、蓄電装置43に印加する上限電圧は25Vとされており、これに対応して発電機41の発電電圧の最大値も25Vとされている。このため、蓄電装置43においては、上記上限電圧に相当する充電量よりも多く充電されることはない。
【0037】
発電機41は、基本的には、車両1が減速しているときや坂道を下っているとき等のように回生可能状態にあるときに、発電状態とされて車両1の運動エネルギーを電気エネルギー(発電電力)に変換する。この発電電力(回生電力)が蓄電装置43に蓄えられるとともに、DC/DCコンバータ50を介して車両電気負荷45,46,47に供給される。また、蓄電装置43の充電量(蓄電装置43の電圧)が低下したときには、車両1が回生可能状態になくても、発電機41が発電状態とされて、この発電電力が、蓄電装置43に蓄えられるとともに、DC/DCコンバータ50を介して車両電気負荷に供給される。このときの発電電力は回生電力ではなくて、燃料の一部が、発電機41の発電として消費されることになる。
【0038】
DC/DCコンバータ50の出力端子は、受給側ライン52を介してバッテリ44及び車両電気負荷45,46,47と接続されている。DC/DCコンバータ50は、本実施形態では、降圧タイプのものである。DC/DCコンバータ50の出力端子の電圧(出力電圧)は、車両電気負荷45,46の必要電圧及びバッテリ44の電圧と略同じ電圧であって、12V〜14Vとされている。このDC/DCコンバータ50の出力電圧は、コントローラ70による制御によって調整することができる。
【0039】
ここで、DC/DCコンバータ50が作動しているときには、その入力端子の電圧の方が出力端子の電圧よりも高くなければならない。発電機41が非発電状態にあるときにおいて、蓄電装置43の充電量が十分に多い場合には、上記入力端子の電圧(つまり蓄電装置43の電圧)の方が上記出力端子の電圧よりも高く、このときには、蓄電装置43に蓄えられた電力が、DC/DCコンバータ50の入力端子に供給される。一方、蓄電装置43の充電量が少なくなってDC/DCコンバータ50の入力電圧が出力電圧と略同じになると(コントローラ70が、上記第1電圧センサ55による検出電圧V1と、後述の第2電圧センサ56による検出電圧V2とを比較して判断する)、発電機41が発電状態とされて、その発電電力が、上記出力端子の電圧よりも高い電圧でもって、蓄電装置43とDC/DCコンバータ50の入力端子とに供給される。そして、DC/DCコンバータ50の出力端子から電力が、車両電気負荷45,46,47に対して、降圧された電圧でもって供給される。また、発電機41による発電電力が蓄電装置43に供給されることで、蓄電装置43の充電量が増えていく。
【0040】
本実施形態では、車両電気負荷45,46,47は、第1〜第3グループに分けられており、これに対応して受給側ライン52は、第1〜第3ライン52a,52b,52cを有する。第1グループの車両電気負荷45は、第1ライン52aを介してDC/DCコンバータ50と接続され、第2グループの車両電気負荷46は、第1ライン52aの一部及び第2ライン52bを介してDC/DCコンバータ50と接続され、第3グループの車両電気負荷47は、第1ライン52aの一部及び第3ライン52cを介してDC/DCコンバータ50と接続されている。
【0041】
第1ライン52aには、第1補助スイッチ58が配設されており、これにより、第1グループの車両電気負荷45は、第1補助スイッチ58を介してDC/DCコンバータ50と接続されることになる。第1ライン52aにおける第1補助スイッチ58よりも車両電気負荷45の側には、第1ライン52a(第1補助スイッチ58よりも車両電気負荷45の側)の電圧を検出するための第2電圧センサ56が設けられている。この第2電圧センサ56は、第1ライン52aにおける第1補助スイッチ58よりも車両電気負荷45の側であれば、どこに設けてもよい。
【0042】
第2ライン52bは、第1ライン52aにおける第1補助スイッチ58と第1グループの車両電気負荷45との間で分岐している。この第2ライン52bには、第2補助スイッチ59と2つのヒューズ60とが配設されている。これにより、第2グループの車両電気負荷46は、第1及び第2補助スイッチ58,59並びに2つのヒューズ60を介してDC/DCコンバータ50と接続されることになる。第2ライン52bにおける2つのヒューズ60の間には、バッテリ44のプラス端子が接続されている。バッテリ44のマイナス端子は、車両アースに接続されている。尚、第1及び第2補助スイッチ58,59は、本実施形態では、リレータイプのスイッチであるが、これに限らず、例えば半導体スイッチで構成することも可能である。
【0043】
第3ライン52cは、第1ライン52aにおけるDC/DCコンバータ50と第1補助スイッチ58との間で分岐している。この第3ライン52cにおける該分岐点と第3グループの車両電気負荷47との間には、DC/DCコンバータ50の出力電圧を所定電圧(本実施形態では、5V)に降圧する降圧手段としての電圧変換器65が配設されている。これにより、第3グループの車両電気負荷47は、電圧変換器65を介してDC/DCコンバータ50と接続されることになる。
【0044】
第1グループの車両電気負荷45は、オーディオ装置、メータ作動装置、照明装置、ワイパー装置等である。第2グループの車両電気負荷46は、エンジン40を始動するためのスタータモータ、空調装置、フロントシート21等に設けられるシートヒータ等である。上記スタータモータの作動時(特にアイドルストップの状態からエンジン40を再始動するとき)に電圧が一時的に低下するため、この一時的な電圧低下があっても問題が殆ど生じないような車両電気負荷は、上記スタータモータと同じ第2グループの車両電気負荷46とされる一方、一時的な電圧低下により何等かの問題が生じるような車両電気負荷は、第1グループの車両電気負荷45とされる。そして、上記スタータモータの作動時には、第2補助スイッチ59がオフ状態にされて、第1グループの車両電気負荷45と第2グループの車両電気負荷46とが電気的に遮断されることで、第1グループの車両電気負荷45には上記一時的な電圧低下の影響が及ばないようになされている。
【0045】
上記スタータモータの作動時においては、上記の如く第2補助スイッチ59がオフ状態とされているため、上記スタータモータを含む第2グループの車両電気負荷46は、バッテリ44から電力供給を受けて作動する。上記スタータモータの作動時以外は、第2補助スイッチ59がオン状態とされて、第2グループの車両電気負荷46は、第1グループの車両電気負荷45と同様に、蓄電装置43又は発電機41から電力供給を受けて作動することになる。このとき、蓄電装置43又は発電機41からの電力によりバッテリ44への充電がなされる。尚、このように第2補助スイッチ59は、上記スタータモータの作動時のみにオフ状態とされるので、以下の説明では、第2補助スイッチ59はオン状態にあるものとする。
【0046】
上記第3グループの車両電気負荷47としては、図2の例では、蓄電装置43の温度を検出するサーミスタである。このサーミスタは、供給電圧が安定していないと、蓄電装置43の温度を正確に検出できなくなる。このように第3グループの車両電気負荷47は、供給電圧が安定している必要がある各種センサ等に好適である。第3グループの車両電気負荷47に対しては、DC/DCコンバータ50から電力が常に供給されるように、第3ライン52cが、上記のように、第1ライン52aにおけるDC/DCコンバータ50と第1補助スイッチ58との間で分岐している。また、本実施形態では、上記サーミスタの必要電圧がDC/DCコンバータ50の出力電圧よりも低いため、第3ライン52cに上記電圧変換器65が配設されている。この電圧変換器65は、第3グループの車両電気負荷47への供給電圧をより一層安定させる役目も果たす。
【0047】
上記DC/DCコンバータ50の小型化及び低コスト化のために、DC/DCコンバータ50の最大出力電流は比較的小さくて、本実施形態では、50Aとされている。この最大出力電流は、車両電気負荷45,46,47のトータル消費電流よりも小さい。このため、特に定格消費電流が多い第1及び第2グループの車両電気負荷45,46(例えば、電気式のヒータやランプ類)で同時に消費電流が消費される場合には、車両電気負荷45,46,47のトータル消費電流がDC/DCコンバータ50の最大出力電流を超える場合が生じる。
【0048】
そこで、本実施形態では、第1及び第2グループの車両電気負荷45,46のトータル消費電流が所定値(DC/DCコンバータ50の最大出力電流から第3グループの車両電気負荷47の消費電流を引いた値又はそれに近い値)よりも多い場合には、DC/DCコンバータ50を介さずに、蓄電装置43又は発電機41(本実施形態では、実質的には、発電機41)から第1及び第2グループの車両電気負荷45,46に電力を供給するようにする。蓄電装置43及び発電機41は、DC/DCコンバータ50とは異なり、その供給電流を、車両電気負荷45,46,47のトータル消費電流の最大値よりも多くすることができるからである。DC/DCコンバータ50を介さずに第1及び第2グループの車両電気負荷45,46への電力供給を行うために、供給側ライン51と受給側ライン52の第1ライン52aにおける第1補助スイッチ58よりも車両電気負荷45,46の側とを、DC/DCコンバータ50及び第1補助スイッチ58をバイパスして接続するバイパスライン68を設け、このバイパスライン68には、バイパススイッチ67を設ける。このバイパスライン68は、DC/DCコンバータ50と並列に配設されたバイパススイッチ67を介して、蓄電装置43と第1及び第2グループの車両電気負荷45,46とを接続することになる。また、第1補助スイッチ58は、DC/DCコンバータ50の出力側(第1ライン52a)において、バイパススイッチ67と並列でかつDC/DCコンバータ50と直列に配設されることになる。尚、バイパススイッチ67は、第1及び第2補助スイッチ58,59と同様のリレータイプのスイッチであるが、これに限らず、例えば半導体スイッチで構成することも可能である。
【0049】
上記のように第1及び第2グループの車両電気負荷45,46のトータル消費電流が上記所定値よりも多い場合、第1及び第2グループの車両電気負荷45,46には、DC/DCコンバータ50を介さずに電力が供給されるが、このDC/DCコンバータ50は作動状態が維持される。これは、第3グループの車両電気負荷47に対して、DC/DCコンバータ50を介して、蓄電装置43又は発電機41(本実施形態では、実質的には、発電機41)から電力を供給するためである。これにより、サーミスタのように供給電圧が安定している必要がある車両電気負荷47に対して、DC/DCコンバータ50により安定した電圧を供給するようにする。
【0050】
第1及び第2グループの車両電気負荷45,46は、本発明の第1の車両電気負荷に相当し、第3グループの車両電気負荷47は、本発明の第2の車両電気負荷に相当する。そして、供給側ライン51、DC/DCコンバータ50、並びに、受給側ライン52の第1ライン51a(第1補助スイッチ58)及び第2ライン52b(第2補助スイッチ59)は、蓄電装置43と上記第1の車両電気負荷とをDC/DCコンバータ50を介して接続する第1の給電回路に相当する。また、供給側ライン51、バイパスライン68(バイパススイッチ67)、並びに、受給側ライン52の第1ライン52a(第1補助スイッチ58よりも車両電気負荷45の側)及び第2ライン52b(第2補助スイッチ59)は、蓄電装置43と上記第1の車両電気負荷とを、バイパススイッチ67を介して接続する第2の給電回路に相当する。さらに、供給側ライン51、DC/DCコンバータ50、受給側ライン52の第1ライン52a(第1補助スイッチ58よりもDC/DCコンバータ50の側)及び第3ライン52c(電圧変換器65)は、蓄電装置43と上記第2の車両電気負荷とを、DC/DCコンバータ50を介して接続する第3の給電回路に相当する。
【0051】
上記コントローラ70は、周知のマイクロコンピュータをベースとする制御装置であって、プログラムを実行する中央算出処理装置(CPU)と、例えばRAMやROMにより構成されてプログラムおよびデータを格納するメモリと、種々の信号の入出力を行うための入出力(I/O)バスとを含む。
【0052】
上記コントローラ70には、上記第1及び第2電圧センサ55,56からの検出情報が入力されるとともに、車両1の車速を検出する車速センサ(図示せず)、車両1のアクセルペダルの操作量に対応したアクセル開度を検出するアクセル開度センサ(図示せず)、車両1のブレーキペダルが踏み込まれたことを検出するブレーキセンサ(図示せず)等からの各種検出情報が入力される。また、コントローラ70は、第1及び第2グループの車両電気負荷45,46の制御を行う別の制御装置から、該車両電気負荷45,46の作動状態に応じた消費電流の情報を入力する。尚、コントローラ70が、第1及び第2グループの車両電気負荷45,46の制御を行う制御装置を兼用するものであってもよい。
【0053】
そして、コントローラ70は、上記入力情報に基づいて、発電機41、DC/DCコンバータ50、第1及び第2補助スイッチ58,59並びにバイパススイッチ67の作動を制御する。これにより、コントローラ70は、本発明の、DC/DCコンバータ50、バイパススイッチ67及び第1補助スイッチ58の作動を制御する制御手段を構成することになる。
【0054】
コントローラ70は、第1及び第2グループの車両電気負荷45,46のトータル消費電流が上記所定値以下であるときには、DC/DCコンバータ50を作動状態にするとともに、バイパススイッチ67をオフ状態に設定し、第1補助スイッチ58をオン状態に設定する。このとき、コントローラ70は、第1電圧センサ55による検出電圧V1から第2電圧センサ56による検出電圧V2を引いた値が所定電圧(例えば0.5V)よりも大きいときには、発電機41を非発電状態にする。これにより、蓄電装置43からDC/DCコンバータ50を介して車両電気負荷45,46,47に電力が供給される。尚、コントローラ70は、発電機41が非発電状態とされているときに、回生可能状態にあると判断したときには、発電機41を発電状態とする。
【0055】
また、第1及び第2グループの車両電気負荷45,46のトータル消費電流が上記所定値以下であるときにおいて、V1−V2の値が上記所定電圧以下、つまり、蓄電装置43の充電量が少なくなってDC/DCコンバータ50の入力電圧が出力電圧と略同じになったときには、コントローラ70は、回生可能状態にあるか否かに関係なく、発電機41を発電状態とする。発電機41が発電状態にあるときには、その発電機41による発電電力が、蓄電装置43に供給されるとともに、DC/DCコンバータ50を介して車両電気負荷45,46,47に供給される。
【0056】
次に、第1及び第2グループの車両電気負荷45,46のトータル消費電流が上記所定値よりも多くなった場合のコントローラ70の制御について、図3のフローチャートに基づいて説明する。
【0057】
最初のステップS1で、第1及び第2グループの車両電気負荷45,46のトータル消費電流が上記所定値よりも多い状態が所定時間(例えば5秒)以上継続するか否かを判定する。このステップS1の判定がNOであるときには、そのままリターンする一方、ステップS1の判定がYESであるときには、ステップS2に進む。
【0058】
ステップS2では、発電機41を非発電状態にする。すなわち、発電機41が非発電状態にあれば、そのまま非発電状態とし、発電機41が発電状態にあれば、非発電状態に切り換える。これにより、蓄電装置43の充電量を低下させて、供給側ライン51の電圧と受給側ライン52の電圧とを略同じにする(V1−V2の値を上記所定電圧以下にする)。
【0059】
そして、ステップS3で、V1−V2の値が上記所定電圧以下であるか否かを判定し、このステップS3の判定がNOであるときには、上記ステップS2に戻る一方、ステップS3の判定がYESであるときには、ステップS4に進む。
【0060】
ステップS4では、DC/DCコンバータ50の作動状態を維持しながら、バイパススイッチ67をオン状態に設定するとともに、第1補助スイッチ58をオフ状態に設定する。すなわち、DC/DCコンバータ50を作動させながら第3グループの車両電気負荷47への電力供給を行いつつ、バイパススイッチ67をオン状態に設定する。
【0061】
次のステップS5で、発電機41を発電状態にする。このときの発電機41による発電電圧は、第1及び第2グループの車両電気負荷45,46の必要電圧(DC/DCコンバータ50の出力電圧)と略同じ電圧であるが、DC/DCコンバータ50の出力電圧よりも僅かに(0.5V程度)高い電圧とする。
【0062】
これにより、発電機41による発電電力が、蓄電装置43に供給されるとともに、バイパスライン68(バイパススイッチ67)を介して、第1及び第2グループの車両電気負荷45,46に供給される。また、発電機41による発電電力は、DC/DCコンバータ50及び電圧変換器65を介して第3グループの車両電気負荷47に供給される。
【0063】
発電機41からの供給電流は、DC/DCコンバータ50のような制限はなく、車両電気負荷45,46,47のトータル消費電流の最大値に対応することができるので、発電機41から車両電気負荷45,46,47に対して電流制限されることなく電力が供給される。
【0064】
また、第3グループの車両電気負荷47には、発電機41からDC/DCコンバータ50を介して電力が供給されるので、サーミスタのように供給電圧が安定している必要がある車両電気負荷47に対して、DC/DCコンバータ50により安定した電圧を供給することができる。しかも、電圧変換器65により、第3グループの車両電気負荷47への供給電圧をより一層安定させることができる。
【0065】
尚、蓄電装置43の温度を検出する理由は、以下の通りである。すなわち、蓄電装置43の温度が高い状態で、蓄電装置43に高い電圧をかけると、蓄電装置43が劣化し易くなるので、この劣化を防止するために、蓄電装置43の温度を検出して、その温度に応じて、蓄電装置43に印加する電圧(発電機41による発電電圧)を予め決められた値に制限する(この制御は、上記コントローラ70が、上記サーミスタによる検出温度情報を入力して行う)。この場合、蓄電装置43の温度を正確に検出できなければ、蓄えた電気を無駄に放電する可能性があるが、本実施形態では、供給電圧の安定により蓄電装置43の温度を正確に検出して、無駄な放電を防止しながら、蓄電装置43の劣化を防止することができる。
【0066】
したがって、本実施形態では、蓄電装置43と第1及び第2グループの車両電気負荷45,46とをDC/DCコンバータ50を介して接続する第1の給電回路と、蓄電装置43と第1及び第2グループの車両電気負荷45,46とを、DC/DCコンバータ50と並列に配設されたバイパススイッチ67を介して接続する第2の給電回路と、蓄電装置43と第3グループの車両電気負荷47とを、DC/DCコンバータ50を介して接続する第3の給電回路とを設け、上記第2の給電回路による第1及び第2グループの車両電気負荷45,46への電力供給の際には、DC/DCコンバータ50を作動させながら上記第3の給電回路による第3グループの車両電気負荷47への電力供給を行いつつ、バイパススイッチ67をオン状態に設定するようにしたので、車両電気負荷45,46,47のトータル消費電流がDC/DCコンバータ50の最大出力電流よりも多くなるような場合に、第2の給電回路を利用して、多くの消費電流に対応することが可能になる。また、第2の給電回路による第1及び第2グループの車両電気負荷45,46への電力供給時に、DC/DCコンバータ50を作動させながら、第3の給電回路による第3グループの車両電気負荷47への電力供給を行うので、供給電圧が安定していなければならない第3グループの車両電気負荷47に対して安定した電圧を供給することができる。さらに、DC/DCコンバータ50としては、最大出力電流が比較的少ない小型のものを用いることができ、レイアウトの自由度を向上させることができるとともに、コストを低減することができる。
【0067】
本発明は、上記実施形態に限られるものではなく、請求の範囲の主旨を逸脱しない範囲で代用が可能である。
【0068】
例えば、上記実施形態では、本発明の第1の車両電気負荷を、第1グループの車両電気負荷45と第2グループの車両電気負荷46とに分けて、第2グループの車両電気負荷46には、供給側ライン51の第1ライン5aから分岐する第2ライン5bにより電力供給を行い、その第2ライン5bに第2補助スイッチ59を設けたが、第2ライン5b及び第2補助スイッチ59をなくして、第2グループの車両電気負荷46に対しても、第1ライン5aにより電力供給を行うようにしてもよい。その際、バッテリ44は、第1ライン5aにおける第1補助スイッチ58の車両電気負荷45(46)の側に接続される。
【0069】
また、DC/DCコンバータ50の出力端子を2つ設けて、一方の出力端子に受給側ライン52の第1ライン52aを接続し、他方の出力端子に第3ライン52cを接続するようにして、両方の出力端子から出力する状態と、上記他方の出力端子のみから出力する状態とを切り換えるように構成すれば、第1補助スイッチ58をなくすことが可能になる。そして、一方の出力端子と他方の出力端子との出力電圧を異ならせれば、電圧変換器65をなくすことも可能になる。
【0070】
さらに、上記実施形態では、蓄電装置43がキャパシタで構成されているが、キャパシタ以外のもの(例えば、ニッケル水素二次電池、ニッカド二次電池、リチウムイオン二次電池、鉛蓄電池等の二次電池)で構成してもよい。但し、キャパシタの方が、蓄電装置43に対する電気の入出力が素早く行えて好ましい。
【0071】
上述の実施形態は単なる例示に過ぎず、本発明の範囲を限定的に解釈してはならない。本発明の範囲は請求の範囲によって定義され、請求の範囲の均等範囲に属する変形や変更は、全て本発明の範囲内のものである。
【産業上の利用可能性】
【0072】
本発明は、発電機と、該発電機による発電電力を蓄えるとともに、車両電気負荷に対して電力を供給する蓄電装置とを備えた車両の電源制御装置において、蓄電装置からDC/DCコンバータを介して車両電気負荷に電力を供給する場合に有用である。
【符号の説明】
【0073】
1 車両
40 エンジン
41 発電機
43 蓄電装置
45 第1グループの車両電気負荷(第1の車両電気負荷)
46 第2グループの車両電気負荷(第1の車両電気負荷)
47 第3グループの車両電気負荷(第2の車両電気負荷)
50 DC/DCコンバータ(第1の給電回路)(第3の給電回路)
51 供給側ライン(第1の給電回路)(第2の給電回路)(第3の給電回路)
52 受給側ライン
52a 第1ライン(第1の給電回路)(第2の給電回路)(第3の給電回路)
52b 第2ライン(第1の給電回路)(第2の給電回路)
c 第3ライン(第3の給電回路)
58 第1補助スイッチ(第1の給電回路)
59 第2補助スイッチ(第1の給電回路)(第2の給電回路)
65 電圧変換器(降圧手段)(第3の給電回路)
67 バイパススイッチ(第2の給電回路)
68 バイパスライン(第2の給電回路)
70 コントローラ(制御手段)
図1
図2
図3