(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明を実施するための最良の形態】
【0009】
以下、添付図面を参照して本発明に係る実施の形態の一例を詳細に説明する。ただし、発明の範囲は、図示例に限定されない。
【0010】
[構成]
図1は、本実施の形態における学習装置1の概略構成を示すブロック図である。
この図に示すように、本実施の形態における学習装置1は、表示部21と、入力部22と、記憶媒体読取部23と、記憶部24と、CPU25等とを備えて構成されている。
【0011】
表示部21は、ディスプレイ210を備えており、CPU25から入力される表示信号に基づいて各種情報をディスプレイ210に表示するようになっている。なお、本実施の形態におけるディスプレイ210は、いわゆるタッチパネル221と一体的に形成されており、ユーザによるタッチ操作を受け付け可能となっている。
【0012】
入力部22は、キー群220や上述のタッチパネル221を備えており、押下されたキーの種類やタッチパネル221の位置に対応する信号をCPU25に出力するようになっている。
【0013】
記憶媒体読取部23は、SDカード等の外部記憶媒体23aから情報を読み出したり、当該外部記憶媒体23aに情報を記録したりするようになっている。
【0014】
ここで、外部記憶媒体23aには、数式ファイル241等が格納されるようになっている。なお、この数式ファイル241は後述の記憶部24における数式ファイル241と同様のデータ構造を有しているため、ここでは説明を省略する。
【0015】
記憶部24は、学習装置1の各種機能を実現するためのプログラムやデータを記憶するとともに、CPU25の作業領域として機能するメモリである。本実施の形態においては、記憶部24は、本発明に係る数式表示プログラム240と、数式ファイル241と、数式構成部分記憶テーブル242と、式変形可否情報記憶テーブル243等とを記憶している。また。この記憶部24には、数式記憶エリア245が形成されるようになっている。
【0016】
数式表示プログラム240は、後述の数式表示処理(
図3参照)をCPU25に実行させるためのプログラムである。
【0017】
数式ファイル241は、複数の数式を記憶している。なお、数式ファイル241に記憶される数式には、連立方程式の数式など、複数の数式から構成される数式群が含まれる。
【0018】
数式構成部分記憶テーブル242は、
図2に示すように、複数種類の表示態様(本実施の形態においてはマーカ色)の何れかに対し、後述の数式表示処理(
図3参照)において置換式の各辺から検出される数式構成部分と、置換対象の文字とが対応付けて記憶されるようになっている。ここで、数式構成部分とは、数式内に含まれる一纏まりの部分であり、1つの記号(文字や数字を含む)から構成されても良いし、2以上の連続する記号から構成されても良いし、数式全体であっても良い。
【0019】
式変形可否情報記憶テーブル243は、後述の数式表示処理(
図3参照)においてジェスチャー入力により実行を指示される機能と、当該機能に対する許可・不許可の旨とを対応付けて記憶している。ここで、本実施の形態においては、ジェスチャー入力により実行を指示される機能として、数式構成部分を因数分解する機能や、数式構成部分を展開する機能、数式の項を整理して数式を単純化する機能などが用いられている。更に、数式構成部分を展開する機能としては、2項式の二乗を展開する機能や、3項式の二乗を展開する機能などが用いられている。なお、これらの機能に対する許可・不許可の旨は、ユーザ操作によって任意に切り替えて設定されるようになっている。
【0020】
数式記憶エリア245には、後述の数式表示処理(
図3参照)によってディスプレイ210に表示される数式が記憶されるようになっている。
【0021】
CPU25は、学習装置1の各部を中央制御する。具体的には、CPU25は、記憶部24に記憶されているシステムプログラム及び各種アプリケーションプログラムの中から指定されたプログラムを展開し、展開されたプログラムとの協働で、各種処理を実行する。
【0022】
[数式表示処理]
続いて、学習装置1によって実行される数式表示処理について、
図3を参照しつつ説明する。
【0023】
図3は、数式表示処理の動作を説明するためのフローチャートである。なお、この数式表示処理は、ユーザにより入力部22を介して数式表示処理の実行指示が入力されると、記憶部24から数式表示プログラム240が読み出されて適宜展開される結果、当該数式表示プログラム240とCPU25との協働によって実行される。
【0024】
この図に示すように、数式表示処理においては、まずCPU25は、数式記憶エリア245をリセットし、当該数式記憶エリア245に記憶されている数式を消去する(ステップS1)。
【0025】
次に、CPU25は、数式ファイル241内の何れかの数式を表示させる旨の操作が行われるか否かを判定し(ステップS2)、行われたと判定した場合(ステップS2;Yes)には、数式ファイル241内の何れかの数式に対する指定操作をユーザから受けた後(ステップS3)、指定された数式をディスプレイ210に表示させた後(ステップS4)、後述のステップS61に移行する。
【0026】
また、上述のステップS2において数式ファイル241内の数式を表示させる旨の操作が行われないと判定した場合(ステップS2;No)には、CPU25は、数式を入力する旨の操作が行われるか否かを判定する(ステップS11)。
【0027】
このステップS11において数式を入力する旨の操作が行われたと判定した場合(ステップS11;Yes)には、CPU25は、入力された数式をディスプレイ210に表示させた後(ステップS12)、後述のステップS61に移行する。
【0028】
また、ステップS11において数式を入力する旨の操作が行われないと判定した場合(ステップS11;No)には、CPU25は、表示中の数式における何れかの数式構成部分を範囲指定してドラッグする旨の操作が行われるか否かを判定する(ステップS21)。
【0029】
このステップS21において表示中の数式における何れかの数式構成部分を範囲指定してドラッグする旨の操作が行われたと判定した場合(ステップS21;Yes)には、CPU25は、範囲指定された数式構成部分をドラッグ先の位置にペースト入力して表示させた後(ステップS22)、後述のステップS61に移行する。なお、このステップS22においてCPU25は、数式構成部分が範囲指定されて下方にドラッグされた場合には、当該数式構成部分をドラッグ先の位置にペースト入力させる一方、数詞構成部分が範囲指定されて左右にドラッグされた場合には、当該数式構成部分を数式内で移項させたり、数式全体を当該数式構成部分で除算したりするようになっている。
【0030】
また、ステップS21において表示中の数式における何れかの数式構成部分を範囲指定してドラッグする旨の操作が行われないと判定した場合(ステップS21;No)には、CPU25は、後述のステップS66、S68により識別表示された文字または数式構成部分に対してクリック操作が行われるか否かを判定する(ステップS23)。
【0031】
このステップS23において識別表示された文字または数式構成部分に対してクリック操作が行われたと判定した場合(ステップS23;Yes)には、CPU25は、数式構成部分記憶テーブル242を参照し、クリック操作の行われた文字(または数式構成部分)を、当該文字(または数式構成部分)に対応する数式構成部分(または文字)に置換して表示させた後(ステップS24)、後述のステップS61に移行する。
【0032】
また、ステップS23において識別表示された文字または数式構成部分に対してクリック操作が行われないと判定した場合(ステップS23;No)には、CPU25は、表示中の数式における何れかの数式構成部分にタッチして右になぞるジェスチャー入力が行われるか否かを判定する(ステップS25)。
【0033】
このステップS25において表示中の数式における何れかの数式構成部分にタッチして右になぞるジェスチャー入力が行われたと判定した場合(ステップS25;Yes)には、CPU25は、式変形可否情報記憶テーブル243を参照し、タッチ対象の数式構成部分を展開する機能が許可されているか否かを判定する(ステップS26)。
【0034】
このステップS26においてタッチ対象の数式構成部分を展開する機能が許可されていないと判定した場合(ステップS26;No)には、CPU25は、ステップS11に移行する。
【0035】
また、ステップS26においてタッチ対象の数式構成部分を展開する機能が許可されていると判定した場合(ステップS26;Yes)には、CPU25は、当該数式構成部分を展開公式に従って展開して表示させた後(ステップS27)、後述のステップS61に移行する。
【0036】
また、ステップS25において表示中の数式における何れかの数式構成部分にタッチして右になぞるジェスチャー入力が行われないと判定した場合(ステップS25;No)には、CPU25は、入力済みの何れかの数式から、当該数式の一行下の数式までを下方になぞるジェスチャー入力が行われるか否かを判定する(ステップS31)。
【0037】
このステップS31において入力済みの何れかの数式から、当該数式の一行下の数式までを下方になぞるジェスチャー入力が行われたと判定した場合(ステップS31;Yes)には、CPU25は、これら2つの数式の間で省略されている計算過程を検出し、当該2つの数式の間に、検出された計算過程を挿入して表示させた後(ステップS32)、後述のステップS61に移行する。
【0038】
また、ステップS31において入力済みの何れかの数式から、当該数式の一行下の数式までを下方になぞるジェスチャー入力が行われないと判定した場合(ステップS31;No)には、CPU25は、実行操作(例えばEXEキー(図示せず)の押下操作)が行われるか否かを判定する(ステップS33)。
【0039】
このステップS33において実行操作が行われたと判定した場合(ステップS33;Yes)には、CPU25は、式変形可否情報記憶テーブル243を参照し、数式を単純化する機能が許可されているか否かを判定する(ステップS34)。
【0040】
このステップS34において数式を単純化する機能が許可されていないと判定した場合(ステップS34;No)には、CPU25は、ステップS11に移行する。
【0041】
また、ステップS34において数式を単純化する機能が許可されていると判定した場合(ステップS34;Yes)には、CPU25は、入力済みの末尾の数式の項を整理して当該数式を単純化して表示させた後(ステップS35)、後述のステップS61に移行する。なお、本実施の形態においては、ステップS35の処理においてCPU25は、同じ種類の項を1つに纏めるとともに、項の並び順を整理するようになっている。
【0042】
また、ステップS33において実行操作が行われないと判定した場合(ステップS33;No)には、CPU25は、他の操作が行われるか否かを判定し(ステップS36)、行われたと判定した場合(ステップS36;Yes)には他の処理へ移行する一方、行われないと判定した場合(ステップS36;No)にはステップS11に移行する。
【0043】
そして、上述のステップS4,S12,S22,S24,S27,S32またはS35の処理が終了したら、CPU25は、当該処理によって新たに入力・変形された数式が文字と数式構成部分との置換式であるか否かを判定し(ステップS61)、置換式でないと判定した場合(ステップS61;No)には後述のステップS65に移行する。ここで、文字と数式構成部分との置換式とは、文字と数式構成部分とを等号で結んだ数式であり、例えば「a+b=A」や、「y=8−2x」などである。
【0044】
また、ステップS61において数式が文字と数式構成部分との置換式であると判定した場合(ステップS61;Yes)には、CPU25は、この数式構成部分と同値の数式構成部分が数式構成部分記憶テーブル242に記憶されているか否かを判定し(ステップS62)、記憶されていると判定した場合(ステップS62;Yes)には後述のステップS65に移行する。なお、本実施の形態において、同値の数式構成部分とは、例えば「a+b」と「(a+b)」の他、因数分解などの変形前後の数式構成部分をいう。
【0045】
また、ステップS62において置換式内の数式構成部分と同値の数式構成部分が数式構成部分記憶テーブル242に記憶されていないと判定した場合(ステップS62;No)には、CPU25は、当該置換式の両辺の数式構成部分と文字とを何れかのマーカ色に対応付けて数式構成部分記憶テーブル242に記憶させる(ステップS63)。
【0046】
次に、CPU25は、数式構成部分記憶テーブル242に記憶された文字(以下、登録文字とする)を参照し、表示中の数式に何れかの登録文字が存在するか否かを判定し(ステップS65)、存在しないと判定した場合(ステップS65;No)には後述のステップS67に移行する。
【0047】
また、ステップS65において表示中の数式に何れかの登録文字が存在すると判定した場合(ステップS65;Yes)には、CPU25は、数式構成部分記憶テーブル242において当該登録文字に対応付けられたマーカ色を検出し、各登録文字を該当のマーカ色で識別表示させる(ステップS66)。
【0048】
次に、CPU25は、数式構成部分記憶テーブル242に記憶された数式構成部分(以下、登録数式構成部分とする)を参照し、表示中の数式に何れかの登録数式構成部分が存在するか否かを判定し(ステップS67)、存在しないと判定した場合(ステップS67;No)にはステップS11に移行する。なお、本実施の形態におけるステップS67の処理では、CPU25は、表示中の数式に、登録数式構成部分と同値の数式構成部分が存在するか否かも判定し、登録数式構成部分も同値の数式構成部分も存在しないと判定した場合には、ステップS11に移行するようになっている。
【0049】
そして、ステップS67において表示中の数式に何れかの登録数式構成部分、或いは、登録数式構成部分と同値の数式構成部分が存在すると判定した場合(ステップS67;Yes)には、CPU25は、数式構成部分記憶テーブル242において当該登録数式構成部分に対応付けられたマーカ色を検出し、各登録数式構成部分と、同値の各数式構成部分とを該当のマーカ色で識別表示させた後(ステップS68)、ステップS11に移行する。
【0050】
[動作例]
続いて、図面を参照しつつ、上述した学習装置1の動作を具体的に説明する。但し、以下の動作例において、式変形可否情報記憶テーブル243には、数式を単純化する機能に対しては許可の旨が記憶され、2項式の二乗を展開する機能に対しては許可の旨が記憶され、3項式の二乗を展開する機能に対しては不許可の旨が記憶されている。また、以下の動作例で参照する図中、ディスプレイ210の表示画面における網掛け表示は、当該領域内の文字がマーカ表示されていることを示している。また、異なる種類の網掛け表示は、異なるマーカ色で表示されていることを示している。
【0051】
(動作例1)
まず
図4(a)に示すように、数式表示処理が実行された後、ユーザが数式を入力する旨の操作を行い(ステップS11;Yes)、数式「a+b=A」を入力すると、当該数式「a+b=A」がディスプレイ210に表示される(ステップS12)。
【0052】
次に、入力された数式「a+b=A」が文字「A」と数式構成部分「a+b」との置換式であると判定されるとともに(ステップS61;Yes)、置換式内の数式構成部分「a+b」と同値の数式構成部分が数式構成部分記憶テーブル242に記憶されていないと判定された後(ステップS62;No)、
図2(a)の1行目に示すように、当該置換式の両辺の数式構成部分「a+b」と文字「A」とがマーカ色「赤」に対応付けられて数式構成部分記憶テーブル242に記憶される(ステップS63)。
【0053】
次に、
図4(a)に示すように、表示中の数式「a+b=A」に登録文字「A」が存在すると判定され(ステップS65;Yes)、数式構成部分記憶テーブル242において当該登録文字「A」に対応付けられたマーカ色「赤」が検出されて、登録文字「A」が該当のマーカ色「赤」で識別表示される(ステップS66)。
【0054】
次に、表示中の数式に登録数式構成部分「a+b」が存在すると判定され(ステップS67;Yes)、数式構成部分記憶テーブル242において当該登録数式構成部分「a+b」に対応付けられたマーカ色「赤」が検出されて、登録数式構成部分「a+b」が該当のマーカ色「赤」で識別表示される(ステップS68)。
【0055】
次に、
図4(b)に示すように、ユーザが数式「=(a+b+c)
2」を入力すると、当該数式「=(a+b+c)
2」がディスプレイ210に表示される(ステップS12)。
【0056】
次に、表示中「=(a+b+c)
2」の数式に登録数式構成部分「a+b」が存在すると判定され(ステップS67;Yes)、数式構成部分記憶テーブル242において当該登録数式構成部分「a+b」に対応付けられたマーカ色「赤」が検出されて、登録数式構成部分「a+b」が該当のマーカ色「赤」で識別表示される(ステップS68)。
【0057】
次に、識別表示された数式構成部分「a+b」に対してユーザがクリック操作を行うと(ステップS23;Yes)、
図4(c)に示すように、クリック操作の行われた数式構成部分「a+b」が、当該数式構成部分に対応する文字「A」に置換されて表示される(ステップS24)。
【0058】
次に、表示中の数式「=(A+c)
2」に登録文字「A」が存在すると判定され(ステップS65;Yes)、数式構成部分記憶テーブル242において当該登録文字「A」に対応付けられたマーカ色「赤」が検出されて、登録文字「A」が該当のマーカ色「赤」で識別表示される(ステップS66)。
【0059】
次に、表示中の数式「=(A+c)
2」における数式構成部分「(A+c)
2」にタッチして右になぞるジェスチャー入力をユーザが行うと(ステップS25;Yes)、タッチ対象の数式構成部分を展開する機能が許可されていると判定され(ステップS26;Yes)には、
図4(d)に示すように、当該数式構成部分「(A+c)
2」が展開公式に従って展開されて表示される(ステップS27)。
【0060】
次に、表示中の数式「=A
2+2Ac+c
2」に登録文字「A」が存在すると判定され(ステップS65;Yes)、数式構成部分記憶テーブル242において当該登録文字「A」に対応付けられたマーカ色「赤」が検出されて、登録文字「A」が該当のマーカ色「赤」で識別表示される(ステップS66)。
【0061】
次に、識別表示された文字「A」に対してユーザがクリック操作を行うと(ステップS23;Yes)、
図4(e)に示すように、クリック操作の行われた文字「A」が、当該文字に対応する数式構成部分「a+b」に置換されて表示される(ステップS24)。
【0062】
次に、表示中の数式「=(a+b)
2+2(a+b)c+c
2」に登録数式構成部分「a+b」が存在すると判定され(ステップS67;Yes)、数式構成部分記憶テーブル242において当該登録数式構成部分「a+b」に対応付けられたマーカ色「赤」が検出されて、登録数式構成部分「a+b」が該当のマーカ色「赤」で識別表示される(ステップS68)。
【0063】
次に、表示中の数式「=(a+b)
2+2(a+b)c+c
2」における数式構成部分「(a+b)
2+2(a+b)c+c
2」にタッチして右になぞるジェスチャー入力をユーザが行うと(ステップS25;Yes)、タッチ対象の数式構成部分を展開する機能が許可されていると判定され(ステップS26;Yes)には、
図4(f)に示すように、当該数式構成部分「(a+b)
2+2(a+b)c+c
2」が展開公式に従って展開されて表示される(ステップS27)。
【0064】
次に、ユーザが実行操作を行うと(ステップS33;Yes)、数式を単純化する機能が許可されていると判定され(ステップS34;Yes)には、
図4(g)に示すように、入力済みの末尾の数式の項が整理されて当該数式が単純化して表示される(ステップS35)。
【0065】
次に、入力済みの数式「a+b=A」から、当該数式の一行下の数式までを下方になぞるジェスチャー入力をユーザが行うと(ステップS31;Yes)、
図4(h)に示すように、これら2つの数式の間で省略されている計算過程が当該2つの数式の間に挿入して表示される(ステップS32)。
【0066】
そして、表示中の数式に登録文字「A」が存在すると判定され(ステップS65;Yes)、数式構成部分記憶テーブル242において当該登録文字「A」に対応付けられたマーカ色「赤」が検出されて、登録文字「A」が該当のマーカ色「赤」で識別表示される(ステップS66)。また、表示中の数式に登録数式構成部分「a+b」が存在すると判定され(ステップS67;Yes)、数式構成部分記憶テーブル242において当該登録数式構成部分「a+b」に対応付けられたマーカ色「赤」が検出されて、登録数式構成部分「a+b」が該当のマーカ色「赤」で識別表示される(ステップS68)。
【0067】
なお、以上の動作例においては、2行目以降の数式をユーザが入力することとして説明したが、改行操作を行うたびに前行の数式がコピーして表示されることとし、当該コピー数式に対してユーザが変形・修正を行うことで2行目以降の数式を入力することとしても良い。
【0068】
(動作例2)
まず
図5(a)に示すように、数式表示処理が実行された後、数式ファイル241内の数式を表示させる操作をユーザが行い(ステップS2;Yes)、数式ファイル241内における連立方程式の数式「2x+y=8、3x−4y=1」に対する指定操作を行うと(ステップS3)、指定された数式がディスプレイ210に表示される(ステップS4)。
【0069】
次に、表示中の数式における数式構成部分「2x+y=8」を範囲指定してディスプレイ210における下方の空白領域にドラッグする旨の操作をユーザが行うと(ステップS21;Yes)、
図5(b)に示すように、範囲指定された数式構成部分「2x+y=8」がドラッグ先の位置にペースト入力されて表示される(ステップS22)。なお、
図5(a)中の数式構成部分「2x+y=8」に対する枠は、当該枠内の数式構成部分が範囲指定されていることを示している。
【0070】
次に、表示中の数式「2x+y=8」における数式構成部分「2x」を範囲指定してディスプレイ210における右側の空白領域にドラッグする旨の操作をユーザが行うと(ステップS21;Yes)、
図5(c)に示すように、範囲指定された数式構成部分「2x」がドラッグ先の位置に移項されて表示される(ステップS22)。
【0071】
次に、入力された数式「y=8−2x」が文字「y」と数式構成部分「8−2x」との置換式であると判定されるとともに(ステップS61;Yes)、置換式内の数式構成部分「8−2x」と同値の数式構成部分が数式構成部分記憶テーブル242に記憶されていないと判定された後(ステップS62;No)、
図2(b)の1行目に示すように、当該置換式の両辺の数式構成部分「8−2x」と文字「y」とがマーカ色「赤」に対応付けられて数式構成部分記憶テーブル242に記憶される(ステップS63)。
【0072】
次に、
図5(c)に示すように、表示中の数式「2x+y=8」、「3x−4y=1」、「y=8−2x」に登録文字「y」が存在すると判定され(ステップS65;Yes)、数式構成部分記憶テーブル242において当該登録文字「y」に対応付けられたマーカ色「赤」が検出されて、登録文字「y」が該当のマーカ色「赤」で識別表示される(ステップS66)。
【0073】
次に、表示中の数式「y=8−2x」に登録数式構成部分「8−2x」が存在すると判定され(ステップS67;Yes)、数式構成部分記憶テーブル242において当該登録数式構成部分「8−2x」に対応付けられたマーカ色「赤」が検出されて、登録数式構成部分「8−2x」が該当のマーカ色「赤」で識別表示される(ステップS68)。
【0074】
次に、表示中の数式における数式構成部分「3x−4y=1」を範囲指定してディスプレイ210における下方の空白領域にドラッグする旨の操作をユーザが行うと(ステップS21;Yes)、
図5(d)に示すように、範囲指定された数式構成部分「3x−4y=1」がドラッグ先の位置にペースト入力されて表示される(ステップS22)。
【0075】
次に、表示中の数式「3x−4y=1」,…に登録文字「y」が存在すると判定され(ステップS65;Yes)、数式構成部分記憶テーブル242において当該登録文字「y」に対応付けられたマーカ色「赤」が検出されて、登録文字「y」が該当のマーカ色「赤」で識別表示される(ステップS66)。
【0076】
次に、識別表示された文字「y」に対してユーザがクリック操作を行うと(ステップS23;Yes)、
図5(e)に示すように、クリック操作の行われた文字「y」が、当該文字に対応する数式構成部分「8−2x」に置換されて表示される(ステップS24)。
【0077】
次に、表示中の数式「3x−4(8−2x)=1」に登録数式構成部分「8−2x」が存在すると判定され(ステップS67;Yes)、数式構成部分記憶テーブル242において当該登録数式構成部分「8−2x」に対応付けられたマーカ色「赤」が検出されて、登録数式構成部分「8−2x」が該当のマーカ色「赤」で識別表示される(ステップS68)。
【0078】
次に、ユーザが実行操作を行うと(ステップS33;Yes)、数式を単純化する機能が許可されていると判定され(ステップS34;Yes)には、
図5(f)に示すように、入力済みの末尾の数式「3x−4(8−2x)=1」の項が整理されて当該数式が「11x−32=1」に単純化して表示される(ステップS35)。
【0079】
次に、表示中の数式「11x−32=1」における数式構成部分「−32」を範囲指定してディスプレイ210における右側の空白領域にドラッグする旨の操作をユーザが行うと(ステップS21;Yes)、
図6(a)に示すように、範囲指定された数式構成部分「−32」がドラッグ先の位置に移項されて表示される(ステップS22)。
【0080】
次に、ユーザが実行操作を行うと(ステップS33;Yes)、数式を単純化する機能が許可されていると判定され(ステップS34;Yes)には、
図6(b)に示すように、入力済みの末尾の数式「11x=1+32」の項が整理されて当該数式が「11x=33」に単純化して表示される(ステップS35)。
【0081】
次に、表示中の数式「11x=33」における数式構成部分「11」を範囲指定してディスプレイ210における右側の空白領域にドラッグする旨の操作をユーザが行うと(ステップS21;Yes)、
図6(c)に示すように、当該数式「11x=33」の全体が数式構成部分「11」で除算されて数式「x=3」が表示される(ステップS22)。
【0082】
次に、数式「x=3」が文字「x」と数式構成部分「3」との置換式であると判定されるとともに(ステップS61;Yes)、置換式内の数式構成部分「3」と同値の数式構成部分が数式構成部分記憶テーブル242に記憶されていないと判定された後(ステップS62;No)、
図2(b)の2行目に示すように、当該置換式の両辺の数式構成部分「3」と文字「x」とがマーカ色「青」に対応付けられて数式構成部分記憶テーブル242に記憶される(ステップS63)。
【0083】
次に、
図6(d)に示すように、表示中の数式「2x+y=8」,…に登録文字「x」が存在すると判定され(ステップS65;Yes)、数式構成部分記憶テーブル242において当該登録文字「x」に対応付けられたマーカ色「赤」が検出されて、登録文字「x」が該当のマーカ色「青」で識別表示される(ステップS66)。
【0084】
次に、表示中の数式における数式構成部分「y=8−2x」を範囲指定してディスプレイ210における下方の空白領域にドラッグする旨の操作をユーザが行うと(ステップS21;Yes)、
図6(e)に示すように、範囲指定された数式構成部分「y=8−2x」がドラッグ先の位置にペースト入力されて表示される(ステップS22)。
【0085】
次に、表示中の数式に登録文字「y」,「x」が存在すると判定され(ステップS65;Yes)、数式構成部分記憶テーブル242において当該登録文字「y」,「x」に対応付けられたマーカ色「赤」,「青」が検出されて、登録文字「y」,「x」が該当のマーカ色「赤」,「青」でそれぞれ識別表示される(ステップS66)。
【0086】
次に、識別表示された文字「x」に対してユーザがクリック操作を行うと(ステップS23;Yes)、
図6(f)に示すように、クリック操作の行われた文字「x」が、当該文字に対応する数式構成部分「3」に置換されて表示される(ステップS24)。
【0087】
次に、ユーザが実行操作を行うと(ステップS33;Yes)、数式を単純化する機能が許可されていると判定され(ステップS34;Yes)には、
図6(g)に示すように、入力済みの末尾の数式「y=8−2・3」の項が整理されて当該数式が「y=1」に単純化して表示される(ステップS35)。
【0088】
以上、本実施の形態によれば、
図3のステップS61〜S68や
図4〜
図6等に示したように、文字と数式構成部分との置換式が検出されると、置換式の両辺の数式構成部分と文字とが対応付けて数式構成部分記憶テーブル242に記憶され、表示された数式内から、数式構成部分記憶テーブル242に記憶された数式構成部分及び文字が検出されて識別表示されるので、何れの文字と数式構成部分とを置換して良いのかを容易に視認することができる。従って、文字と数式構成部分とを置換しつつ進めていく計算を容易に行うことができる。
【0089】
また、
図3のステップS67〜S68等に示したように、表示された数式内から、数式構成部分記憶テーブル242に記憶された数式構成部分と同値の各数式構成部分が検出されて識別表示されるので、置換式において文字と等号で結ばれた数式構成部分が変形されている場合であっても、容易に視認することができる。
【0090】
なお、上記の実施の形態における学習装置1の各構成要素の細部構成及び細部動作に関しては、本発明の趣旨を逸脱しない範囲で適宜変更可能であることは勿論である。
【0091】
例えば、本発明に係る数式表示装置を学習装置1として説明したが、本発明が適用可能なものは、このような製品に限定されず、関数電卓、携帯電話、パソコン、PDA(Personal Digital Assistant)、ゲーム機などの電子機器全般に適用可能である。また、本発明に係る数式表示プログラム240は、学習装置1に対して着脱可能なメモリカード、CD等に記憶されることとしてもよい。
【0092】
また、置換式の各辺から検出される数式構成部分及び文字が同じマーカ色で識別表示されることとして説明したが、例えば表示色や下線の種類など、他の表示態様で識別表示されることとしても良い。
【0093】
以上、本発明のいくつかの実施形態を説明したが、本発明の範囲は、上述の実施の形態に限定するものではなく、特許請求の範囲に記載された発明の範囲とその均等の範囲を含む。
以下に、この出願の願書に最初に添付した特許請求の範囲に記載した発明を付記する。付記に記載した請求項の項番は、この出願の願書に最初に添付した特許請求の範囲の通りである。
〔付記〕
<請求項1>
少なくとも1つの数式を表示する数式表示手段と、
前記数式表示手段に表示された数式から、文字と数式構成部分との置換式を検出する置換式検出手段と、
前記置換式の両辺の数式構成部分と文字とを対応付けて記憶する数式文字記憶手段と、
前記数式表示手段に表示された数式内から、前記数式文字記憶手段により記憶された数式構成部分及び文字を検出する登録数式文字検出手段と、
前記登録数式文字検出手段により検出された数式構成部分及び文字を前記数式表示手段に識別表示させる登録数式文字識別表示制御手段と、
を備えることを特徴とする数式表示装置。
<請求項2>
請求項1記載の数式表示装置において、
前記登録数式文字検出手段は、
前記数式表示手段に表示された数式内から、前記数式文字記憶手段により記憶された数式構成部分と同値の各数式構成部分を検出することを特徴とする数式表示装置。
<請求項3>
請求項1または2記載の数式表示装置において、
ユーザから操作を受けるポインティングデバイスと、
前記数式表示手段に表示された何れかの数式構成部分に対し、前記ポインティングデバイスを介してジェスチャー入力が行われた場合に、当該ジェスチャー入力に応じて、入力対象の数式構成部分を因数分解または展開して表示させる式変形制御手段と、
前記式変形制御手段の処理に対する許可または不許可の旨を、ユーザ操作に基づいて切替可能に記憶する式変形可否記憶手段と、
を備え
前記式変形制御手段は、
前記式変形可否記憶手段により許可の旨が記憶されている場合にのみ処理を行うことを特徴とする数式表示装置。
<請求項4>
請求項1〜3の何れか一項に記載の数式表示装置において、
ユーザ操作に基づいて、前記数式表示手段に表示された数式内の項を整理して当該数式を単純化して表示させる式単純化制御手段と、
前記式単純化制御手段の処理に対する許可または不許可の旨を、ユーザ操作に基づいて切替可能に記憶する式単純化可否記憶手段と、
を備え
前記式単純化制御手段は、
前記式単純化可否記憶手段により許可の旨が記憶されている場合にのみ処理を行うことを特徴とする数式表示装置。
<請求項5>
少なくとも1つの数式を表示する数式表示手段を備えるコンピュータに、
前記数式表示手段に表示された数式から、文字と数式構成部分との置換式を検出する置換式検出機能と、
前記置換式の両辺の数式構成部分と文字とを対応付けて記憶する数式文字記憶機能と、
前記数式表示手段に表示された数式内から、前記数式文字記憶機能により記憶された数式構成部分及び文字を検出する登録数式文字検出機能と、
前記登録数式文字検出機能により検出された数式構成部分及び文字を前記数式表示手段に識別表示させる登録数式文字識別表示制御機能と、
を実現させることを特徴とする数式表示プログラム。