特許第5834928号(P5834928)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2015.5.11 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】5834928
(24)【登録日】2015年11月13日
(45)【発行日】2015年12月24日
(54)【発明の名称】十字軸式自在継手用ヨーク
(51)【国際特許分類】
   F16D 1/08 20060101AFI20151203BHJP
   F16D 1/06 20060101ALI20151203BHJP
   F16D 3/26 20060101ALI20151203BHJP
【FI】
   F16D1/08
   F16D1/06 S
   F16D3/26 X
【請求項の数】3
【全頁数】12
(21)【出願番号】特願2012-5177(P2012-5177)
(22)【出願日】2012年1月13日
(65)【公開番号】特開2013-145008(P2013-145008A)
(43)【公開日】2013年7月25日
【審査請求日】2014年6月12日
(73)【特許権者】
【識別番号】000004204
【氏名又は名称】日本精工株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000811
【氏名又は名称】特許業務法人貴和特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】森山 誠一
(72)【発明者】
【氏名】三田 辰徳
【審査官】 久島 弘太郎
(56)【参考文献】
【文献】 特開2009−210012(JP,A)
【文献】 特開2009−079677(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F16D 1/08
F16D 1/06
F16D 3/26
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
回転軸の端部を結合固定する為の基部と、この基部の軸方向先端縁のうちで、この基部に関する直径方向反対側となる2箇所位置から軸方向に延出した1対の腕部と、これら両腕部の先端部に互いに同心に形成された1対の円孔とを備え、
このうちの基部は、筒状であって、円周方向1箇所に、この基部の内周面と外周面と軸方向基端縁とにのみ開口する状態で設けられた軸方向に長いスリットと、このスリットを挟んで設けられた第一、第二両フランジ部と、このうちの第一フランジ部に、前記基部の中心軸に対し捩れの位置の関係で形成された通孔と、同じく第二フランジ部の一部でこの通孔に整合する位置に形成されたねじ孔と、前記第一フランジ部の外側面で前記通孔の開口部を囲む部分に形成された座面部とを備えており、
ボルトを、前記通孔に挿通すると共に、前記ねじ孔に螺合する事により、前記回転軸の端部を前記基部に結合固定する、
十字軸式自在継手用ヨークに於いて、
前記両腕部同士の配列方向と、前記第一、第二両フランジ部同士の配置方向とは、互いに90度ずれており、
前記スリットの幅が前記基部の内側に前記回転軸の端部を挿入可能な寸法まで広くなっている状態で、前記ねじ孔の中心軸と前記座面部の中心軸とが、前記基部の軸方向に直交する仮想平面内でも、この基部の軸方向と前記第一、第二両フランジ部同士の配列方向とに平行な仮想平面内でも、互いに傾斜しており、この基部の内側で前記回転軸の端部を固定可能な寸法にまで前記スリットの幅を狭くした状態で、前記ねじ孔の中心軸と前記座面部の中心軸とが互いに一致する傾向になり、
自由状態で、前記通孔に挿通した前記ボルトの杆部を、前記ねじ孔に螺合する事が可能となる様に、前記通孔の内径寸法を、前記ボルトの杆部の外径寸法及び前記ねじ孔の内径寸法よりも大きく形成しており、
前記ボルトの杆部を前記ねじ孔に螺合した状態で、前記ボルトの杆部の外周面と、前記通孔の内周面とが当接しない事を特徴とする十字軸式自在継手用ヨーク。
【請求項2】
前記座面部の中心軸が前記第一フランジ部の厚さ方向に対して傾斜しており、且つ、前記ねじ孔の中心軸が前記第二フランジ部の厚さ方向に対して傾斜している、請求項1に記載した十字軸式自在継手用ヨーク。
【請求項3】
前記座面部の中心軸が前記第一フランジ部の厚さ方向に対して傾斜しており、且つ、前記ねじ孔の中心軸が前記第二フランジ部の厚さ方向に一致している構造と、前記座面部の中心軸が前記第一フランジ部の厚さ方向に一致しており、且つ、前記ねじ孔の中心軸が前記第二フランジ部の厚さ方向に対して傾斜している構造とのうちの、何れか一方の構造を採用している、請求項1に記載した十字軸式自在継手用ヨーク。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、例えば自動車用操舵装置を構成する回転軸同士を、トルク伝達可能に接続する為の十字軸式自在継手(カルダンジョイント)を構成するヨークの改良に関する。
【背景技術】
【0002】
自動車のステアリング装置は、図7に示す様に構成している。運転者が操作するステアリングホイール1の動きは、ステアリングシャフト2、自在継手3、中間シャフト4、別の自在継手3を介して、ステアリングギヤユニット5の入力軸6に伝達される。そして、このステアリングギヤユニット5に内蔵したラック&ピニオン機構により左右1対のタイロッド7、7を押し引きし、左右1対の操舵輪に、上記ステアリングホイール1の操作量に応じて、適切な舵角を付与する様に構成している。
【0003】
この様なステアリング装置に組み込む前記各自在継手3、3として、一般的には、十字軸式自在継手が使用されている。この様な十字軸式自在継手を構成するヨークのうち、本発明の対象となる基本構造を備えたヨークの従来構造の第1例に就いて、図8〜10を参照しつつ説明する。この従来構造の第1例であるヨーク8は、鋼材等の金属素材に鍛造加工及び切削加工を施す事により造られたもので、基部9と、1対の腕部10、10とを備える。
【0004】
このうちの基部9は、円筒状であって、円周方向1箇所に軸方向に長いスリット11を、この基部9の内周面と外周面と軸方向基端縁{図8図9の(A)、図10の(A)に於ける右端縁}とにのみ開口する状態で形成している。このスリット11は、前記基部9の内径を拡縮可能とする為に設けられている。又、この基部9は、このスリット11を挟んで設けられた第一、第二両フランジ部12、13を備える。この様な基部9の中心孔は、セレーション孔14としている。又、前記第一、第二両フランジ部12、13の互いに整合する位置には、通孔15とねじ孔16とが、それぞれ前記セレーション孔14の中心軸に対して捩れの位置の関係で形成されている。又、前記第一フランジ部12の外側面で前記通孔15の開口部を囲む部分には、後述するボルト21の頭部22の内側面を当接させる為の座面部17が、前記通孔15の軸方向に直交する方向に形成されている。即ち、これら通孔15の中心軸と座面部17の中心軸とは、互いに一致している。
【0005】
又、図8〜9に示す、前記ヨーク8の自由状態で、前記第一、第二両フランジ部12、13は、互いに平行になっている。又、同じ状態で、前記通孔15及び座面部17と、前記ねじ孔16とは、互いに同心になっている。更に、同じ状態で、前記スリット11の幅は、前記セレーション孔14の内側に後述する回転軸19の端部を挿入可能な寸法まで広くなっている。
【0006】
又、前記両腕部10、10は、前記基部9の軸方向先端縁{図8図9の(A)、図10の(A)に於ける左端縁}のうちで、この基部9に関する直径方向反対側となる2箇所位置から軸方向に延出する状態で設けられている。前記両腕部10、10同士の配列方向(図8の上下方向)と、前記第一、第二両フランジ部12、13同士の配置方向(図8の表裏方向)とは、互いに90度ずれている。又、前記両腕部10、10の先端部には、互いに同心の円孔18、18が形成されている。前記十字軸式自在継手を組み立てた状態で、これら両円孔18、18内には、それぞれ有底円筒状の軸受カップが内嵌固定される。これと共に、これら両軸受カップ内に、それぞれ複数本のニードルを介して、十字軸の端部が回動自在に支持される。
【0007】
前記ステアリング装置を組み立てるべく、前記ヨーク8の基部9を、前記ステアリングシャフト2と、前記中間シャフト4と、前記入力軸6(図7)とのうちの何れかである、回転軸19の端部に、トルクの伝達を可能に結合固定する場合には、先ず、図8〜9に示す様に、前記ヨーク8の自由状態で、前記基部9のセレーション孔14の内側に、前記回転軸19の端部を挿入する。これにより、このセレーション孔14と、この回転軸19の端部外周面に設けられた雄セレーション20とを、セレーション係合させる。次いで、図10に示す様に、ボルト21を、前記通孔15に挿通すると共に、前記ねじ孔16に螺合し、更に締め付ける。これにより、前記スリット11の幅を弾性的に狭める事に基づき、前記セレーション孔14を弾性的に縮径させる。この結果、前記セレーション係合部の面圧が上昇し、前記基部9が前記回転軸19の端部に、トルクの伝達を可能に結合固定された状態となる。
【0008】
上述した様なヨーク8の場合、前記ボルト21を組み付ける(締め付ける)と、前記基部9が弾性変形乃至は塑性変形する事に伴い、前記両フランジ部12、13に傾斜が生じる。特に、上述したヨーク8の場合には、これら両フランジ部12、13同士の間に存在する前記スリット11が、前記基部9の内周面と外周面と軸方向基端縁とにのみ開口している。この為、前記両フランジ部12、13の傾斜は、図10の(B)に示す様な、前記基部9の径方向に対する傾斜(この基部9の径方向外側に向かう程、前記両フランジ部12、13同士が互いに近づき合う方向の傾斜)と、同図の(A)に示す様な、前記基部9の軸方向に対する傾斜(この基部9の軸方向基端側に向かう程、前記両フランジ部12、13同士が互いに近づき合う方向の傾斜)とが、複合されたものとなる。又、これに伴って生じる、前記ねじ孔16の中心軸と前記座面部17の中心軸との傾斜も、図10の(B)に示す様な、前記基部9の軸方向に直交する仮想平面内での傾斜と、同図の(A)に示す様な、この基部9の軸方向と前記両フランジ部12、13の配列方向とに平行な仮想平面内での傾斜とが、複合されたものとなる。何れにしても、上述したヨーク8の場合には、前記ボルト21を組み付けた状態で、前記ねじ孔16の中心軸と前記座面部17の中心軸とが互いに傾斜する為、この事に起因して、前記ボルト21に曲げ応力が加わる。そして、このボルト21の締め付け力が大きくなると、この曲げ応力が大きくなって、図10に示す様に、このボルト21の杆部の中間部が比較的大きく曲がる傾向となる。この結果、このボルト21の耐久性が損なわれる可能性がある。
【0009】
この様なボルトの耐久性に関する問題を緩和する為に、特許文献1には、図11に示す様な構造が、特許文献2には、図12に示す様な構造が、それぞれ記載されている。これら従来構造の第2〜3例のヨーク8a、8bも、上述した従来構造の第1例のヨーク8の場合と同様、基部9a、9bの円周方向1箇所に設けたスリット11を、この基部9a、9bの内周面と外周面と軸方向基端縁とにのみ開口させている。但し、これら従来構造の第2〜3例のヨーク8a、8bの場合には、上述した従来構造の第1例のヨーク8の場合と異なり、図11〜12の(A)(B)に示す自由状態で、第一フランジ部12a、12bに形成した座面部17a、17bの中心軸と、第二フランジ部13a、13bに形成したねじ孔16a、16bの中心軸とを、図11〜12の(B)に示す基部9a、9bの軸方向に直交する仮想平面内でのみ、互いに傾斜させている。これにより、図11〜12の(C)(D)に示すボルト21の組み付け状態で、前記座面部17a、17bの中心軸と前記ねじ孔16a、16bの中心軸とが、図11〜12の(D)に示す前記基部9a、9bの軸方向に直交する仮想平面内で、互いに一致する傾向になる様にしている。そして、この様な構成を採用する事により、前記ボルト21に加わる曲げ応力を抑えられる様にしている。
【0010】
上述した従来構造の第2〜3例の場合には、自由状態で、前記座面部17a、17bの中心軸と前記ねじ孔16a、16bの中心軸とを、前記基部9a、9bの軸方向に直交する仮想平面内では、互いに傾斜させているが、この基部9a、9bの軸方向と前記両フランジ部12、13同士の配列方向とに平行な仮想平面内では、互いに傾斜させていない。これに対し、上述した従来構造の第2〜3例の場合も、前述した従来構造の第1例の場合と同様、前記ボルト21を組み付ける事に伴って生じる、前記座面部17a、17bの中心軸と前記ねじ孔16a、16bの中心軸との傾斜は、前記基部9a、9bの軸方向に直交する仮想平面内だけでなく、この基部9a、9bの軸方向と前記両フランジ部12、13同士の配列方向とに平行な仮想平面内でも生じる。従って、上述した従来構造の第2〜3例の場合も、前述した従来構造の第1例の場合と同様、前記ボルト21を組み付けた状態では、前記座面部17a、17bの中心軸と前記ねじ孔16a、16bの中心軸とが、前記基部9a、9bの軸方向と前記両フランジ部12、13同士の配列方向とに平行な仮想平面内で、互いに傾斜する傾向となる{従来構造の第1例に関する、図10の(A)参照}。そして、この傾斜が大きくなった場合には、前記ボルト21に加わる曲げ応力を十分に抑えられなくなる可能性がある。
尚、本発明に関連する先行技術文献として、上述した特許文献1〜2の他に、下記の特許文献3がある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0011】
【特許文献1】特開2008−298267号公報
【特許文献2】特開2009−8174号公報
【特許文献3】特開2001−254755号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0012】
本発明は、上述の様な事情に鑑み、基部の円周方向1箇所に設けたスリットを、この基部の内周面と外周面と軸方向基端縁とにのみ開口させているヨークに関して、ボルトを組み付けた状態で、第一フランジ部に形成した座面部の中心軸と、第二フランジ部に形成したねじ孔の中心軸とを、互いにほぼ一致させる事ができる構造を実現すべく発明したものである。
【課題を解決するための手段】
【0013】
本発明の十字軸式自在継手用ヨークは、回転軸の端部を結合固定する為の基部と、この基部の軸方向先端縁のうちで、この基部に関する直径方向反対側となる2箇所位置から軸方向に延出した1対の腕部と、これら両腕部の先端部に互いに同心に形成された1対の円孔とを備える。
このうちの基部は、筒状であって、円周方向1箇所に、この基部の内周面と外周面と軸方向基端縁とにのみ開口する状態で設けられた軸方向に長いスリットと、このスリットを挟んで設けられた第一、第二両フランジ部と、このうちの第一フランジ部に、前記基部の中心軸に対し捩れの位置の関係で形成された通孔と、同じく第二フランジ部の一部でこの通孔に整合する位置に形成されたねじ孔と、前記第一フランジ部の外側面で前記通孔の開口部を囲む部分に形成された座面部とを備えている。
そして、ボルトを、前記通孔に挿通すると共に、前記ねじ孔に螺合する事により、前記回転軸の端部を前記基部に結合固定する。
特に、本発明の十字軸式自在継手用ヨークに於いては、前記スリットの幅が前記基部の内側に前記回転軸の端部を挿入可能な寸法まで広くなっている状態で、前記ねじ孔の中心軸と前記座面部の中心軸とが、前記基部の軸方向に直交する仮想平面内でも、この基部の軸方向と前記第一、第二両フランジ部同士の配列方向とに平行な仮想平面内でも、互いに傾斜している。そして、この基部の内側で前記回転軸の端部を固定可能な寸法にまで前記スリットの幅を狭くした状態で、前記ねじ孔の中心軸と前記座面部の中心軸とが互いに一致する傾向になる。
以上の様な構成を有する本発明の十字軸式自在継手用ヨークを実施する場合には、追加的に、前記両腕部同士の配列方向と、前記第一、第二両フランジ部同士の配置方向とを、互いに90度ずらした構成を採用する事ができる。
以上の様な構成を有する本発明の十字軸式自在継手用ヨークを実施する場合には、追加的に、自由状態で、前記通孔に挿通した前記ボルトの杆部を、前記ねじ孔に螺合する事が可能となる様に、前記通孔の内径寸法を、前記ボルトの杆部の外径寸法及び前記ねじ孔の内径寸法よりも大きく形成する構成を採用できる。
又、この様な構成を採用した場合には、追加的に、前記ボルトの杆部を前記ねじ孔に螺合した状態で、前記ボルトの杆部の外周面と、前記通孔の内周面とが当接しない様に構成する事ができる。
【0014】
上述の様な本発明の十字軸式自在継手用ヨークを実施する場合には、例えば請求項2に記載した発明の様に、前記座面部の中心軸を前記第一フランジ部の厚さ方向に対して傾斜させ、且つ、前記ねじ孔の中心軸を前記第二フランジ部の厚さ方向に対して傾斜させる。
或いは、請求項3に記載した発明の様に、前記座面部の中心軸を前記第一フランジ部の厚さ方向に対して傾斜させ、且つ、前記ねじ孔の中心軸を前記第二フランジ部の厚さ方向に一致させる構造と、前記座面部の中心軸を前記第一フランジ部の厚さ方向に一致させ、且つ、前記ねじ孔の中心軸を前記第二フランジ部の厚さ方向に対して傾斜させる構造とのうちの、何れか一方の構造を採用する。
【発明の効果】
【0015】
上述の様に構成する本発明の十字軸式自在継手用ヨークによれば、前記ボルトを組み付けた状態、即ち、前記通孔に挿通したこのボルトの杆部を前記ねじ孔に螺合し、更に締め付ける事により、前記基部の内側で前記回転軸の端部を固定可能な寸法にまで前記スリットの幅を狭くした状態で、前記ねじ孔の中心軸と、前記ボルトの頭部の内側面を当接させる為の前記座面部の中心軸とを、互いにほぼ一致させる事ができる。この為、前記ボルトの締め付け力が大きくなった場合にも、このボルトに大きな曲げ応力が加わる事を防止できる。この結果、このボルトの耐久性を高める事ができる。
【0016】
又、請求項2に記載した発明の構成を採用すれば、前記第一フランジ部の厚さ方向に対する前記座面部の中心軸の傾斜角度と、前記第二フランジ部の厚さ方向に対する前記ねじ孔の中心軸の傾斜角度とを、比較的小さく抑えられる。この為、前記第一フランジ部に対する前記座面部の形成のし易さと、前記第二フランジ部に対する前記ねじ孔の形成のし易さとを、それぞれ良好にできる。
又、請求項3に記載した発明に関して、前記座面部の中心軸を前記第一フランジ部の厚さ方向に一致させる構成を採用する場合には、この第一フランジ部に対する前記座面部の形成のし易さを、より高いレベルで良好にできる。これに対し、前記ねじ孔の中心軸を前記第二フランジ部の厚さ方向に一致させる構成を採用する場合には、この第二フランジ部に対する前記ねじ孔の形成のし易さを、より高いレベルで良好にできる。
【図面の簡単な説明】
【0017】
図1】本発明の実施の形態の第1例を示す側面図。
図2図1のa−a断面図(A)、及び、(A)のb−b断面図(B)。
図3】ボルト組み付け後の状態で示す、図2と同様の図。
図4】本発明の実施の形態の第2例を示す、図2と同様の図。
図5】同第3例を示す、図2と同様の図。
図6】同第4例を示す、図2と同様の図。
図7】従来から知られているステアリング装置の1例を示す斜視図。
図8】従来構造の第1例を示す側面図。
図9図8のc−c断面図(A)、及び、(A)のd−d断面図(B)。
図10】ボルト組み付け後の状態で示す、図9と同様の図。
図11】従来構造の第2例を、ボルト組み付け前の状態で示す側面図(A)及び断面図(B)、並びに、ボルト組み付け後の状態で示す側面図(C)及び断面図(D)。
図12】同第3例を示す、図11と同様の図。
【発明を実施するための形態】
【0018】
[実施の形態の第1例]
図1〜3は、本発明の実施の形態の第1例を示している。尚、本例のヨーク8cの特徴は、自由状態で互いに平行に配置された第一、第二両フランジ部12c、13cに対する、通孔15cとねじ孔16cと座面部17cとの形成方向にある。その他の部分の構造及び作用は、前述の図8〜10に示した従来構造の第1例の場合と同様であるから、同等部分には同一符号を付して、重複する説明を省略若しくは簡略にし、以下、本例の特徴部分を中心に説明する。
【0019】
本例の場合には、前記第一フランジ部12cに形成した前記通孔15cと前記座面部17cとを、互いに同心に配置しているが、これら通孔15c及び座面部17cの中心軸を、前記第一フランジ部12cの厚さ方向に対して傾斜させている。又、前記第二フランジ部13cに形成した前記ねじ孔16cの中心軸も、この第二フランジ部13cの厚さ方向に対して傾斜させている。これにより、自由状態で、前記通孔15c及び座面部17cの中心軸と、前記ねじ孔16cの中心軸とを、前記基部9cの軸方向に直交する仮想平面{図2の(B)の紙面}内でも、この基部9cの軸方向と前記第一、第二両フランジ部12c、13cの配列方向とに平行な仮想平面{図2の(A)の紙面}内でも、互いに傾斜させている。具体的には、前記通孔15c及び座面部17cの中心軸と、前記ねじ孔16cの中心軸とをそれぞれ、図2の(B)の紙面内で、互いに近づく方向に向かう程、前記両フランジ部12c、13cの先端側{図2の(B)の左端側}に向かう方向に傾斜させると共に、図2の(A)の紙面内で、互いに近づく方向に向かう程、前記基部9cの軸方向基端側{図2の(A)の右端側}に向かう方向に傾斜させている。そして、この様な構成を採用する事により、図3に示すボルト21の組み付け状態で、前記通孔15c及び座面部17cの中心軸と、前記ねじ孔16cの中心軸とが、互いにほぼ一致する様にしている。
【0020】
即ち、本例の場合には、前記ボルト21を組み付けた状態で、前記通孔15c及び座面部17cの中心軸と、前記ねじ孔16cの中心軸とが、互いにほぼ一致する様に、前記ボルト21を組み付ける事に伴う、前記両フランジ部12c、13cの傾斜方向及び傾斜量を考慮して、自由状態での前記通孔15c及び座面部17cの中心軸と前記ねじ孔16cの中心軸との傾斜方向及び傾斜量を規制している。この傾斜方向は、図1に示す様に、前記両フランジ部12c、13cの配列方向(図1の表裏方向)から見た状態で、前記基部9cの中心軸に対してθ度傾斜したα方向となる。この傾斜角度θは、45度程度が目安となるが、実際には、前記ヨーク8cの材質や前記スリット11の形状及び寸法等の諸条件によって、その値が変化する。この為、前記傾斜角度θは、前記ヨーク8cの実際の変形に応じた適切な値に設定する。自由状態での前記通孔15c及び座面部17cの中心軸と前記ねじ孔16cの中心軸との傾斜量に就いても同様である。尚、前記座面部17cは、図1の矢印イ方向に向かって深くなる様に形成している。
【0021】
又、本例の場合、前記通孔15cの内径寸法は、前記ボルト21の杆部の外径寸法よりも、十分に大きくしている。これにより、自由状態で、前記通孔15cに挿通した前記ボルト21の杆部を、前記ねじ孔16cに螺合する事を可能にしている。これと共に、その後、このボルト21を締め付けた状態で、このボルト21の杆部の外周面に、前記通孔15cの内周面(特に、この内周面の軸方向端部)が強く押し付けられる事を防止できる様にしている。
【0022】
上述の様に、本例の十字軸式自在継手用ヨークによれば、前記ボルト21を組み付けた状態で、前記ねじ孔16cの中心軸と、前記ボルト21の頭部22の内側面を当接させる為の座面部17cの中心軸とを、互いにほぼ一致させる事ができる。この為、前記ボルト21の締め付け力が大きくなった場合にも、このボルト21に大きな曲げ応力が加わる事を防止できる。この結果、このボルト21の耐久性を高める事ができる。
【0023】
又、本例の場合には、前記通孔15c及び座面部17cの中心軸を前記第一フランジ部12cの厚さ方向に対して傾斜させると共に、前記ねじ孔16cの中心軸を前記第二フランジ部13cの厚さ方向に対して傾斜させる構成を採用している。この為、前記第一フランジ部12cの厚さ方向に対する前記通孔15c及び座面部17cの中心軸の傾斜角度と、前記第二フランジ部13cの厚さ方向に対する前記ねじ孔16cの中心軸の傾斜角度とを、比較的小さく抑えられる。この為、前記第一フランジ部12cに対する前記通孔15c及び座面部17cの形成のし易さと、前記第二フランジ部13cに対する前記ねじ孔16cの形成のし易さとを、それぞれ良好にできる。
【0024】
[実施の形態の第2例]
図4は、本発明の実施の形態の第2例を示している。本例の場合には、ねじ孔16cの中心軸のみを、第二フランジ部13cの厚さ方向に対して傾斜させており、通孔15及び座面部17の中心軸は、第一フランジ部12の厚さ方向に一致させている。この様な構成を採用する本例の場合には、この第一フランジ部12に対する前記通孔15及び座面部17の形成のし易さを、より高いレベルで良好にできる。
その他の構成及び作用は、上述した実施の形態の第1例の場合と同様であるから、同等部分には同一符号又は同種の符号(同一数字及び異なるアルファベット文字から成る符号)を付して、重複する図示並びに説明は省略する。
【0025】
[実施の形態の第3例]
図5は、本発明の実施の形態の第3例を示している。本例の場合には、通孔15c及び座面部17cの中心軸のみを、第一フランジ部12cの厚さ方向に対して傾斜させており、ねじ孔16の中心軸は、第二フランジ部13の厚さ方向に一致させている。この様な構成を採用する本例の場合には、この第二フランジ部13に対する前記ねじ孔16の形成のし易さを、より高いレベルで良好にできる。
その他の構成及び作用は、前述した実施の形態の第1例の場合と同様であるから、同等部分には同一符号又は同種の符号(同一数字及び異なるアルファベット文字から成る符号)を付して、重複する図示並びに説明は省略する。
【0026】
[実施の形態の第4例]
図6は、本発明の実施の形態の第4例を示している。本例の場合には、座面部17cの中心軸のみを、第一フランジ部12dの厚さ方向に対して傾斜させている。通孔15の中心軸は、この第一フランジ部12dの厚さ方向に一致させており、ねじ孔16の中心軸も、第二フランジ部13の厚さ方向に一致させている。この様な構成を採用する本例の場合には、前記第一フランジ部12dに対する前記通孔15の形成のし易さと、前記第二フランジ部13に対する前記ねじ孔16の形成のし易さとを、それぞれより高いレベルで良好にできる。
その他の構成及び作用は、前述した実施の形態の第1例の場合と同様であるから、同等部分には同一符号又は同種の符号(同一数字及び異なるアルファベット文字から成る符号)を付して、重複する図示並びに説明は省略する。
【産業上の利用可能性】
【0027】
本発明は、基部の円周方向1箇所に設けたスリットが、この基部の内周面と外周面と軸方向基端縁とにのみ開口しているヨークであって、基部を構成する第一、第二両フランジ部同士の配列方向と、1対の腕部同士の配列方向とが、互いに直角になっている構造に適用できる。但し、本発明の技術的範囲からは外れるが、基部の円周方向1箇所に設けたスリットが、この基部の内周面と外周面と軸方向基端縁とにのみ開口しているヨークであって、基部を構成する第一、第二両フランジ部同士の配列方向と、1対の腕部同士の配列方向とが互いに一致している構造(例えば、特許文献3の図6〜8参照)に対しても、適用できる。
【符号の説明】
【0028】
1 ステアリングホイール
2 ステアリングシャフト
3 自在継手
4 中間シャフト
5 ステアリングギヤユニット
6 入力軸
7 タイロッド
8、8a〜8f ヨーク
9、9a〜9f 基部
10 腕部
11 スリット
12、12a〜12d 第一フランジ部
13、13a〜13c 第二フランジ部
14 セレーション孔
15、15a〜15c 通孔
16、16a〜16c ねじ孔
17、17a〜17c 座面部
18 円孔
19 回転軸
20 雄セレーション部
21 ボルト
22 頭部
図1
図2
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図4
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図12