特許第5834977号(P5834977)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2015.5.11 β版

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  • 特許5834977-エレベーターのかご装置 図000002
  • 特許5834977-エレベーターのかご装置 図000003
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】5834977
(24)【登録日】2015年11月13日
(45)【発行日】2015年12月24日
(54)【発明の名称】エレベーターのかご装置
(51)【国際特許分類】
   H04Q 9/00 20060101AFI20151203BHJP
   B66B 5/00 20060101ALI20151203BHJP
   B66B 3/00 20060101ALI20151203BHJP
【FI】
   H04Q9/00 301B
   B66B5/00 D
   B66B3/00 U
【請求項の数】8
【全頁数】12
(21)【出願番号】特願2012-20973(P2012-20973)
(22)【出願日】2012年2月2日
(65)【公開番号】特開2013-162224(P2013-162224A)
(43)【公開日】2013年8月19日
【審査請求日】2014年10月9日
(73)【特許権者】
【識別番号】000006013
【氏名又は名称】三菱電機株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100082175
【弁理士】
【氏名又は名称】高田 守
(74)【代理人】
【識別番号】100106150
【弁理士】
【氏名又は名称】高橋 英樹
(74)【代理人】
【識別番号】100142642
【弁理士】
【氏名又は名称】小澤 次郎
(72)【発明者】
【氏名】岩津 徹
【審査官】 吉村 伊佐雄
(56)【参考文献】
【文献】 特開2007−254034(JP,A)
【文献】 特開平05−014378(JP,A)
【文献】 特開平08−073148(JP,A)
【文献】 特開2006−298610(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B66B3/00−5/28
H03J9/00−9/06
H04Q9/00−9/16
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
所定のリモートコントローラーから出力された無線信号を受信する受信手段と、
前記受信手段が受信した信号に基づいて、エレベーターの設定を行わせる設定手段と、
前記受信手段が受信した信号に基づいて、エレベーターの現在の設定内容を第1記憶手段にリモコンデータとして保存するマスター基板と、
盤内通信手段によって前記マスター基板に接続され、前記マスター基板から受信したデータに基づいて、エレベーターの現在の設定内容を第2記憶手段にリモコンデータとして保存するスレーブ基板と、
第3記憶手段を有し、前記盤内通信手段によって前記マスター基板に接続され、前記マスター基板から受信したデータに基づいて、エレベーターの現在の設定内容を前記第3記憶手段にリモコンデータとして保存する保存専用基板と、
を備え
前記保存専用基板は、防水処理が施されたエレベーターのかご装置。
【請求項2】
前記マスター基板は、前記第1記憶手段に保存されているリモコンデータと前記第2記憶手段に保存されているリモコンデータとが一致しない場合に、前記第2記憶手段に、前記第1記憶手段に保存されているリモコンデータを保存させる請求項1に記載のエレベーターのかご装置。
【請求項3】
前記マスター基板は、前記第1記憶手段に保存されているリモコンデータが初期値である場合に、前記第1記憶手段に、前記第2記憶手段に保存されているリモコンデータを保存させる請求項1又は請求項2に記載のエレベーターのかご装置。
【請求項4】
前記マスター基板は、電源投入時に、前記第1記憶手段に、前記第3記憶手段に保存されているリモコンデータを保存させる請求項1から請求項3の何れか一項に記載のエレベーターのかご装置。
【請求項5】
前記マスター基板は、電源投入時に、前記第1記憶手段に、前記第3記憶手段に保存されているリモコンデータを保存させた後、前記第2記憶手段に、前記第1記憶手段に保存されているリモコンデータを保存させる請求項に記載のエレベーターのかご装置。
【請求項6】
前記盤内通信手段を備えたかご操作盤と、
を備え、
前記マスター基板及び前記スレーブ基板は、前記かご操作盤の内部に設けられた請求項1から請求項の何れか一項に記載のエレベーターのかご装置。
【請求項7】
前記盤内通信手段を備えたかご操作盤と、
を備え、
前記かご操作盤は、
インジケーターを制御するインジ制御基板と、
スピーカーを制御するアナウンス制御基板と、
かご釦に関する制御を行う釦制御基板と、
の少なくとも2つの制御基板を備え、
前記マスター基板は、前記かご操作盤が備える1つの前記制御基板からなり、
前記スレーブ基板は、前記かご操作盤が備える他の前記制御基板からなる
請求項1から請求項の何れか一項に記載のエレベーターのかご装置。
【請求項8】
所定のリモートコントローラーから出力された無線信号を受信する受信手段と、
前記受信手段が受信した信号に基づいて、エレベーターの設定を行わせる設定手段と、
前記受信手段が受信した信号に基づいて、エレベーターの現在の設定内容を第1記憶手段にリモコンデータとして保存するマスター基板と、
盤内通信手段によって前記マスター基板に接続され、前記マスター基板から受信したデータに基づいて、エレベーターの現在の設定内容を第2記憶手段にリモコンデータとして保存するスレーブ基板と、
前記盤内通信手段を備えたかご操作盤と、
を備え、
前記かご操作盤は、
インジケーターを制御するインジ制御基板と、
スピーカーを制御するアナウンス制御基板と、
かご釦に関する制御を行う釦制御基板と、
の少なくとも2つの制御基板を備え、
前記マスター基板は、前記かご操作盤が備える1つの前記制御基板からなり、
前記スレーブ基板は、前記かご操作盤が備える他の前記制御基板からなる
エレベーターのかご装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、リモートコントローラーを使用して各種設定を行うことができるエレベーターのかご装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
エレベーター装置には、かごの操作盤に、各種設定を行うためのスイッチが備えられている。即ち、エレベーターの設定は、このスイッチの接点位置(ON位置/OFF位置)によって定まる。例えば、かご内照明のON/OFFや、エレベーターの運転モードは、スイッチ(の接点)をON位置にしたりOFF位置にしたりすることにより、所望の状態に切り替えることができる。スイッチの接点信号は、エレベーターの制御盤に入力される。制御盤は、スイッチから入力される接点信号に基づいて、現在の設定内容を認識し、保存する。
【0003】
かご操作盤から上記スイッチを無くすための方策としては、例えば、エレベーターの設定を、リモートコントローラーを使用して行うことが考えられる。
【0004】
下記特許文献1には、エレベーターホールにいる保守員が、制御盤内のデータを、無線通信を利用して保守端末に取り込むための技術が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開平11−263546号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
エレベーターの設定をリモートコントローラーを使用して行う場合は、設定をスイッチで行う時のように、接点位置によって設定内容を認識することができない。このため、設定内容をどこかに保存し、必要に応じて保存先からデータを取り込む必要がある。
【0007】
特許文献1に記載のもののように、制御盤にデータを保存すると、制御盤を含むエレベーターシステムの改修が必要になってしまう。このため、改修のための費用負担が大きく、リモートコントローラーを使用したシステムへの移行が困難になるといった問題があった。
また、上述したように、エレベーターの設定をリモートコントローラーを使用して行う場合は、スイッチが備えられている時のように接点位置によって設定内容を認識することができない。このため、保存先のデータが消滅した場合のことも考慮して、消滅時の設定内容を容易に復元できることが重要となる。
【0008】
なお、リモートコントローラーは、多種のエレベーター装置において使用される。このため、各種エレベーター装置の設定内容を、同じリモートコントローラーに保存させることは困難であった。
【0009】
この発明は、上述のような課題を解決するためになされたもので、その目的は、エレベーターの設定をリモートコントローラーを使用して行う場合に、その設定内容を適切に保存し、容易に復元することができるとともに、リモートコントローラーの使用によってエレベーターの改修が必要になる場合であっても、改修に要する手間と費用とを大幅に低減させることができるエレベーターのかご装置を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0010】
この発明に係るエレベーターのかご装置は、所定のリモートコントローラーから出力された無線信号を受信する受信手段と、受信手段が受信した信号に基づいて、エレベーターの設定を行わせる設定手段と、受信手段が受信した信号に基づいて、エレベーターの現在の設定内容を第1記憶手段にリモコンデータとして保存するマスター基板と、盤内通信手段によってマスター基板に接続され、マスター基板から受信したデータに基づいて、エレベーターの現在の設定内容を第2記憶手段にリモコンデータとして保存するスレーブ基板と、第3記憶手段を有し、盤内通信手段によってマスター基板に接続され、マスター基板から受信したデータに基づいて、エレベーターの現在の設定内容を第3記憶手段にリモコンデータとして保存する保存専用基板と、を備え、保存専用基板は、防水処理が施されたものである。
また、この発明に係るエレベーターのかご装置は、所定のリモートコントローラーから出力された無線信号を受信する受信手段と、受信手段が受信した信号に基づいて、エレベーターの設定を行わせる設定手段と、受信手段が受信した信号に基づいて、エレベーターの現在の設定内容を第1記憶手段にリモコンデータとして保存するマスター基板と、盤内通信手段によってマスター基板に接続され、マスター基板から受信したデータに基づいて、エレベーターの現在の設定内容を第2記憶手段にリモコンデータとして保存するスレーブ基板と、盤内通信手段を備えたかご操作盤と、を備え、かご操作盤は、インジケーターを制御するインジ制御基板と、スピーカーを制御するアナウンス制御基板と、かご釦に関する制御を行う釦制御基板と、の少なくとも2つの制御基板を備え、マスター基板は、かご操作盤が備える1つの制御基板からなり、スレーブ基板は、かご操作盤が備える他の制御基板からなるものである。


【発明の効果】
【0011】
この発明に係るエレベーターのかご装置であれば、エレベーターの設定をリモートコントローラーを使用して行う場合に、その設定内容を適切に保存し、容易に復元することができる。また、リモートコントローラーの使用によってエレベーターの改修が必要になる場合であっても、改修に要する手間と費用とを大幅に低減させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
図1】この発明の実施の形態1におけるエレベーターのかご装置の要部を示す構成図である。
図2】この発明の実施の形態1におけるエレベーターのかご装置の動作を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0013】
添付の図面を参照して、本発明を詳細に説明する。各図において、同一又は相当する部分には、同一の符号を付している。重複する説明については、適宜簡略化或いは省略している。
【0014】
実施の形態1.
図1はこの発明の実施の形態1におけるエレベーターのかご装置の要部を示す構成図である。
【0015】
本実施の形態におけるエレベーター装置には、エレベーターに関する各種設定を、リモートコントローラー1を使用して行う機能が備えられている。リモートコントローラー1は、赤外線を利用した無線信号を出力する。例えば、かご内照明のON/OFFの切り替えや、運転モードの切り替えといった従来開戸内スイッチによって行われていたエレベーターの設定は、リモートコントローラー1を適切に操作する(リモートコントローラー1から適切な信号を送信する)ことにより、行うことができる。
【0016】
図1において、2はかご操作盤、3は制御盤である。
かご操作盤2は、エレベーターのかごの内部に設けられている。かご操作盤2は、例えば、1つのユニット装置からなる。かご操作盤2には、インジケーター4、インジ制御基板5、スピーカー6、アナウンス制御基板7、かご釦8、釦制御基板9、保存専用基板10が備えられている。
【0017】
11は盤内通信手段、12は盤外通信手段である。盤内通信手段11は、かご操作盤2内の通信機能を司る。盤外通信手段12は、かご操作盤2と外部機器との通信機能を司る。制御盤3は、エレベーター全体の運行を制御する。制御盤3は、例えば、機械室等に配置され、かごの走行制御、戸開閉制御等を行う。かご操作盤2は、盤外通信手段12を介して、制御盤3と通信する。
【0018】
インジケーター4は、文字や図柄等を表示し、かご内の乗客に所定の情報を報知する。インジ制御基板5は、インジケーター4(の表示)を制御する機能を有している。インジ制御基板5には、例えば、マイクロプロセッサ13(以下、単に「マイコン13」ともいう)、記憶素子14(記憶手段)、受光素子15が備えられている。
【0019】
記憶素子14には、インジケーター4の制御に必要な各種データが記憶される。例えば、インジケーター4に所定の表示を行うための表示データは、記憶素子14に記憶されている。記憶素子14は、例えば、EEPROMやフラッシュROMで構成される。記憶素子14は、マイコン13に内蔵されていても構わない。
【0020】
受光素子15は、リモートコントローラー1から出力された無線信号を受信する受信手段を構成する。受光素子15は、所定の設定を行うための信号をリモートコントローラー1から受信すると、受信した信号(或いは、受信した信号に応じた信号)をマイコン13に出力する。
【0021】
本実施の形態では、受光素子15をインジ制御基板5に搭載した構成を示している。しかし、この構成は、単に一例を示すものである。例えば、インジ制御基板5以外の場所に受信手段を設置しても構わない。
【0022】
マイコン13は、記憶素子14に記憶されているデータや各種入力信号に基づいて、所定の制御を行う。
リモートコントローラー1から出力された信号は、受光素子15に受信され、対応の信号が受光素子15からマイコン13に出力される。マイコン13は、受光素子15から所定の信号が入力されると、受光素子15が受信した信号(リモートコントローラー1から送信された信号)に応じた所定の制御を行う。
【0023】
例えば、マイコン13は、受光素子15からの入力信号に基づいて、適切なアンサーバック表示をインジケーター4に行わせる。
【0024】
また、マイコン13は、受光素子15が受信した信号に基づいてエレベーターの設定を制御盤3等に行わせる設定手段としての機能を有している。即ち、マイコン13は、受光素子15からの入力信号に基づいて制御盤3等に指令を出力し、受光素子15が受信した信号に応じた動作を各機器に行わせる。例えば、エレベーターの運転を通常モードから保守モードに切り替えるための信号がリモートコントローラー1から出力された場合、マイコン13は、受光素子15からの入力信号に基づいて、運転モードの切り替えを行うための指令を制御盤3に出力する。制御盤3では、マイコン13から上記指令を受信すると、エレベーターの運転を通常モードから保守モードに切り替える。
【0025】
本実施の形態では、インジ制御基板5のマイコン13が設定手段の機能を備える構成を示している。しかし、この構成は、単に一例を示すものである。例えば、インジ制御基板5とは別に、設定手段の機能を備えた基板が、かご操作盤2に備えられていても構わない。
【0026】
上記記憶素子14には、エレベーターの現在の設定内容が、リモコンデータ(リモートコントローラー1によって設定された内容を示すデータ)として保存されている。マイコン13は、受光素子15からの入力信号に基づいて、記憶素子14に記憶されているリモコンデータを更新する。即ち、マイコン13は、受光素子15から新たな信号が入力されると、記憶素子14に記憶されているリモコンデータを、上記新規入力信号(受光素子15がリモートコントローラー1から新規に受信した信号)に合わせて変更する。この更新機能により、記憶素子14に保存しているリモコンデータを、常に最新の設定内容に一致させることができる。
【0027】
マイコン13は、受光素子15が新たな信号を受信し、記憶素子14のリモコンデータを更新すると、更新後のリモコンデータ(の全部、或いは一部(更新部分))をアナウンス制御基板7、釦制御基板9、保存専用基板10に出力する。
【0028】
スピーカー6は、音声を出力し、かご内の乗客に所定の情報を報知する。アナウンス制御基板7は、スピーカー6(の出力)を制御する機能を有している。アナウンス制御基板7には、例えば、マイクロプロセッサ16(以下、単に「マイコン16」ともいう)、記憶素子17(記憶手段)が備えられている。
【0029】
記憶素子17には、スピーカー6の制御に必要な各種データが記憶される。例えば、スピーカー6からアナウンスするためのメッセージデータは、記憶素子17に記憶されている。また、記憶素子17には、エレベーターの現在の設定内容が、リモコンデータとして保存されている。記憶素子17は、例えば、EEPROMやフラッシュROMで構成される。記憶素子17は、マイコン16に内蔵されていても構わない。
【0030】
マイコン16は、記憶素子17に記憶されているデータや各種入力信号に基づいて、所定の制御を行う。
リモートコントローラー1から出力された信号は、受光素子15に受信され、対応の信号が受光素子15からマイコン13に出力される。マイコン13は、受光素子15から所定の信号が入力されると、記憶素子14内のリモコンデータを更新するとともに、アナウンス制御基板7にその更新データを出力する。
【0031】
マイコン16は、インジ制御基板5(マイコン13)から受信した更新データに基づいて、記憶素子17に記憶されているリモコンデータを更新する。即ち、マイコン16は、インジ制御基板5から更新データが入力されると、記憶素子17に記憶されているリモコンデータを、上記更新データ(受光素子15がリモートコントローラー1から新規に受信した信号)に合わせて変更する。この更新機能により、記憶素子17に保存しているリモコンデータを、常に最新の設定内容に一致させることができる。
【0032】
かご釦8は、かご内の乗客が操作するための押し釦からなる。かご釦8は、例えば、行先階毎の行先釦や、戸開釦、戸閉釦から構成される。釦制御基板9は、かご釦8に関する制御を行う。釦制御基板9には、例えば、マイクロプロセッサ18(以下、単に「マイコン18」ともいう)、記憶素子19(記憶手段)が備えられている。
【0033】
記憶素子19には、かご釦8に関する制御に必要な各種データが記憶される。例えば、各釦の配列を特定するための釦配列データは、記憶素子19に記憶されている。また、記憶素子19には、エレベーターの現在の設定内容が、リモコンデータとして保存されている。記憶素子19は、例えば、EEPROMやフラッシュROMで構成される。記憶素子19は、マイコン18に内蔵されていても構わない。
【0034】
マイコン18は、記憶素子19に記憶されているデータや各種入力信号に基づいて、所定の制御を行う。
リモートコントローラー1から出力された信号は、受光素子15に受信され、対応の信号が受光素子15からマイコン13に出力される。マイコン13は、受光素子15から所定の信号が入力されると、記憶素子14内のリモコンデータを更新するとともに、釦制御基板9にその更新データを出力する。
【0035】
マイコン18は、インジ制御基板5(マイコン13)から受信した更新データに基づいて、記憶素子19に記憶されているリモコンデータを更新する。即ち、マイコン18は、インジ制御基板5から更新データが入力されると、記憶素子19に記憶されているリモコンデータを、上記更新データ(受光素子15がリモートコントローラー1から新規に受信した信号)に合わせて変更する。この更新機能により、記憶素子19に保存しているリモコンデータを、常に最新の設定内容に一致させることができる。
【0036】
保存専用基板10は、エレベーターの現在の設定内容をリモコンデータとして保存するための専用の小型基板からなる。保存専用基板10は、アナウンス制御基板7や釦制御基板9と同様に、盤内通信手段11を介してインジ制御基板5に接続されている。保存専用基板10は、防水処理が施された状態で、かご操作盤2に組み込まれている。このため、かご操作盤2が冠水しても、保存専用基板10に保存されているデータは、破壊されない。保存専用基板10には、例えば、マイクロプロセッサ20(以下、単に「マイコン20」ともいう)、記憶素子21(記憶手段)が備えられている。
【0037】
記憶素子21には、エレベーターの現在の設定内容が、リモコンデータとして保存されている。記憶素子21は、例えば、EEPROMやフラッシュROMで構成される。記憶素子21は、マイコン20に内蔵されていても構わない。
【0038】
マイコン20は、記憶素子21に記憶されているリモコンデータを、エレベーターの現在の設定内容に合わせるための所定の制御を行う。
リモートコントローラー1から出力された信号は、受光素子15に受信され、対応の信号が受光素子15からマイコン13に出力される。マイコン13は、受光素子15から所定の信号が入力されると、記憶素子14内のリモコンデータを更新するとともに、保存専用基板10にその更新データを出力する。
【0039】
マイコン20は、インジ制御基板5(マイコン13)から受信した更新データに基づいて、記憶素子21に記憶されているリモコンデータを更新する。即ち、マイコン20は、インジ制御基板5から更新データが入力されると、記憶素子21に記憶されているリモコンデータを、上記更新データ(受光素子15がリモートコントローラー1から新規に受信した信号)に合わせて変更する。この更新機能により、記憶素子21に保存しているリモコンデータを、常に最新の設定内容に一致させることができる。
【0040】
上記構成を有するかご操作盤2では、インジ制御基板5を、リモコンデータを保存するためのマスター基板として利用している。また、マスター基板は、盤内通信手段11を介して、複数のスレーブ基板に接続されている。本実施の形態に示す構成においては、アナウンス制御基板7、釦制御基板9、保存専用基板10が、上記スレーブ基板に該当する。
【0041】
かご操作盤2では、リモコンデータを、内部の複数の基板(記憶素子)に分散記憶させている。このため、一部の基板(記憶素子)に記憶させたリモコンデータが消滅しても、他の基板(記憶素子)に記憶させたリモコンデータを利用して、上記一部の基板のリモコンデータを復元させることができる。
【0042】
例えば、一部の基板が故障して、新規基板に交換された場合を考える。新規基板のリモコンデータは、初期値に設定されている。かかる場合、他の基板のリモコンデータを新規基板にコピーすることにより、容易に、且つ制御盤3等の外部機器に頼ることなく(かご操作盤2の内部処理のみにおいて)、新規基板のリモコンデータを、エレベーターの現状設定に一致させることができる。図1に示す例であれば、インジ制御基板5(マイコン13)は、記憶素子17(或いは19)のリモコンデータが記憶素子14のリモコンデータに一致しなければ、記憶素子17(或いは19)に、記憶素子14のリモコンデータをコピーすれば良い。また、インジ制御基板5(マイコン13)は、記憶素子14のリモコンデータが初期値であれば、記憶素子14に、記憶素子17(或いは、19、21)のリモコンデータをコピーすれば良い。
【0043】
エレベーターのかごが冠水すると、インジ制御基板5、アナウンス制御基板7、釦制御基板9は、全て故障してしまう。本構成のかご操作盤2には、スレーブ基板の一つとして、防水処理が施された保存専用基板10が採用されている。このため、かごが冠水した場合であっても、この保存専用基板10のリモコンデータを正として、他の基板(マスター基板及び他のスレーブ基板)のリモコンデータを容易に復旧させることができる。
【0044】
図1に示した構成は、マスター基板及びスレーブ基板の一例を示したものである。インジ制御基板5以外の基板をマスター基板として採用しても構わない。また、スレーブ基板として1つの基板のみを採用しても構わない。スレーブ基板に保存専用基板10が備えられていなくても構わない。このような構成であっても、一定の効果を奏することは可能である。
【0045】
次に、上記かご操作盤2に備えられたリモコンデータの整合性チェック機能について、具体的に説明する。
整合性チェック機能とは、マスター基板のリモコンデータと各スレーブ基板のリモコンデータとが、エレベーターの現在の設定内容に一致しているか否かを判定するための機能である。また、かご操作盤2には、リモコンデータの自動復旧機能も備えられている。この自動復旧機能は、一部の基板のリモコンデータが現在の設定内容に一致していない場合に、その基板のリモコンデータを現在の設定内容に自動で一致させるための機能である。
【0046】
図2はこの発明の実施の形態1におけるエレベーターのかご装置の動作を示すフローチャートである。図2は、かご操作盤2の電源が投入された際に、上記整合性チェック機能と自動復旧機能とが有効になる時の処理フローを示している。図2及び図2の説明においては、リモコンデータの記憶機能を備えた基板のうち、マスター基板及び保存専用基板10以外の基板を、スレーブ基板と表記する。図2に示す処理フローは、例えば、各基板に搭載されたマイコンによって行われる。
【0047】
かご操作盤2の電源が投入されると(S1)、かご操作盤2に組み込まれている各基板が稼働する。これにより、リモートコントローラー1から送信された赤外線信号を、受光素子15によって受信し、対応の信号をマスター基板に入力させることが可能となる。
【0048】
かご操作盤2に電源が投入されると、インジ制御基板5(マスター基板)では、かご操作盤2に保存専用基板10が存在するか否かを確認する(S2、S3)。インジ制御基板5は、所定の信号を出力することにより、S3の判定を行う。即ち、インジ制御基板5は、盤内通信手段11によって接続された基板からの返信の有無に基づいて、保存専用基板10が存在するか否かを判定する。
【0049】
例えば、かご操作盤2に組み込まれている各基板に、予めIDを割り付けておく。インジ制御基板5は、IDコマンドに対する返信の有無に基づいて、保存専用基板10の有無を識別する。なお、インジ制御基板5は、IDコマンドに対する返信の有無に基づいて、スレーブ基板の有無と、スレーブ基板が存在する場合はその枚数とを識別することもできる。
【0050】
インジ制御基板5は、保存専用基板10用のIDコマンドに対する返信を検出することができなければ、かご操作盤2に保存専用基板10が存在しないことを判定する(S3のNo)。かかる場合、インジ制御基板5は、次に、かご操作盤2にスレーブ基板が存在するか否かを確認する(S4、S5)。インジ制御基板5は、スレーブ基板の有無の判定も、保存専用基板10の有無の判定と同様に行う。
【0051】
インジ制御基板5は、スレーブ基板用のIDコマンドに対する返信を何も検出することができなければ、かご操作盤2にスレーブ基板が存在しないことを判定する(S5のNo)。S3及びS5の双方においてNoの判定がなされた場合、インジ制御基板5から見て、盤内通信手段11に何も基板が接続されていないことになる。このような状態は、正常であるとは言えない。このため、インジ制御基板5は、S5でNoを判定すると、リモコンデータの整合性チェックの失敗(NG)を検出し、かご操作盤2をリセットさせる(S6)。
【0052】
一方、インジ制御基板5は、S3において保存専用基板10用のIDコマンドに対する返信を検出すると、かご操作盤2に保存専用基板10が存在することを判定する(S3のYes)。かかる場合、インジ制御基板5は、保存専用基板10に記憶されているリモコンデータを、盤内通信手段11を介して記憶素子14にコピーする(S7)。S7の処理においては、上記コピーが正常に行われたか否かのベリファイチェックを組み込むことが望ましい。
【0053】
保存専用基板10のリモコンデータを記憶素子14にコピーすると、インジ制御基板5は、次に、かご操作盤2にスレーブ基板が存在するか否かを確認する(S8、S9)。S8及びS9の処理は、S4及びS5の処理と同様である。
【0054】
インジ制御基板5は、スレーブ基板用のIDコマンドに対する返信を何も検出することができなければ、かご操作盤2にスレーブ基板が存在しないことを判定する(S9のNo)。かかる場合、インジ制御基板5は、S6の処理に進み、リモコンデータの整合性チェックの失敗(NG)を判定する。
【0055】
インジ制御基板5は、スレーブ基板用のIDコマンドに対する返信を1つでも検出することができれば、かご操作盤2にスレーブ基板が存在することを判定する(S9のYes)。かかる場合、インジ制御基板5は、記憶素子14に記憶されているリモコンデータを、盤内通信手段11を介してスレーブ基板の記憶素子(例えば、アナウンス制御基板7の記憶素子17及び釦制御基板9の記憶素子19)にコピーする(S10)。S10の処理においても、上記コピーが正常に行われたか否かのベリファイチェックを組み込むことが望ましい。
【0056】
記憶素子14のリモコンデータを記憶素子17及び19にそれぞれコピーすると、インジ制御基板5は、リモコンデータの整合性チェックの成功(OK)を検出する(S11)。これにより、かご操作盤2は、制御盤3との通信を開始し、通常機能で動作する。
【0057】
一方、インジ制御基板5は、S5においてスレーブ基板用のIDコマンドに対する返信を1つでも検出することができれば、かご操作盤2にスレーブ基板が存在することを判定する(S5のYes)。かかる場合、インジ制御基板5は、マスター基板に記憶されているリモコンデータとスレーブ基板に記憶されているリモコンデータとの整合性チェックを行う(S12)。
【0058】
上記整合性チェックにおいて、インジ制御基板5は、先ず、盤内通信手段11を介して、記憶素子17に記憶されているリモコンデータと記憶素子19に記憶されているリモコンデータとを取り込む。そして、インジ制御基板5は、取り込んだリモコンデータが、記憶素子14に記憶されているリモコンデータと一致するか否かを判定する(S13)。
【0059】
各スレーブ基板に記憶されているリモコンデータが、インジ制御基板5に記憶されているリモコンデータに一致していれば(S13のNo)、インジ制御基板5は、リモコンデータの整合性チェックの成功(OK)を検出する(S11)。これにより、かご操作盤2は、制御盤3との通信を開始し、通常機能で動作する。
【0060】
何れかのスレーブ基板に記憶されているリモコンデータが、インジ制御基板5に記憶されているリモコンデータに一致しない場合、インジ制御基板5は、そのスレーブ基板のリモコンデータについて整合NGを判定する(S13のYes)
【0061】
例えば、インジ制御基板5のリモコンデータが「0Ah」、アナウンス制御基板7のリモコンデータが「0Ah」、釦制御基板9のリモコンデータが「00h」である場合を考える。アナウンス制御基板7のリモコンデータは、インジ制御基板5のリモコンデータに一致している。このため、インジ制御基板5は、アナウンス制御基板7のリモコンデータについては、整合OKを判定する。一方、釦制御基板9のリモコンデータは初期値であり、インジ制御基板5のリモコンデータに一致していない。このため、インジ制御基板5は、釦制御基板9が新規基板に交換されたと判断し、そのリモコンデータについては、整合NGを判定する。
【0062】
S13において何れかのスレーブ基板について整合NGを判定すると、インジ制御基板5は、記憶素子14に記憶されているリモコンデータを、盤内通信手段11を介して、整合NGが判定されたスレーブ基板の記憶素子(上記例では、釦制御基板9の記憶素子19)にコピーする(S14)。S14の処理においても、上記コピーが正常に行われたか否かのベリファイチェックを組み込むことが望ましい。
【0063】
記憶素子14のリモコンデータを、整合NGが判定されたスレーブ基板の記憶素子にコピーすると、インジ制御基板5は、リモコンデータの整合性チェックの成功(OK)を検出する(S11)。これにより、かご操作盤2は、制御盤3との通信を開始し、通常機能で動作する。
【0064】
上記構成を有するエレベーターのかご装置であれば、エレベーターの設定をリモートコントローラー1を使用して行う場合に、その設定内容を適切に保存し、容易に復元することができる。また、リモコンデータの分散記憶機能及び自動復元機能を、制御盤3等の外部機器に頼ることなく、かご操作盤2の内部処理のみにおいて実現することができる。このため、既存のエレベーター装置からの大幅な改修は不要となり、赤外線リモートコントロールシステムを搭載したエレベーター装置の適用を容易化することが可能となる。
【0065】
既存のエレベーター装置にも、インジケーターを制御する基板や、スピーカーを制御する基板、かご釦を制御する基板等がかご操作盤に備えられており、各基板に記憶素子が搭載されている。このため、これらの記憶素子を用いてリモコンデータの保存・書き込み・読み出しを実施すれば、基板自体の変更を最小限にして対応することが可能となる。
【0066】
また、リモコンデータが記憶された基板を新規基板に交換した場合は、かご操作盤2の電源投入時等に、その新規基板の記憶素子に、エレベーターの現状設定と一致するリモコンデータが記憶される。このため、基板交換前にリモコンデータを記憶する作業や、その記憶したリモコンデータを新規基板に再登録する作業が不要となり、エレベーターの保守作業を大幅に簡素化させることができるようになる。
【符号の説明】
【0067】
1 リモートコントローラー
2 かご操作盤
3 制御盤
4 インジケーター
5 インジ制御基板
6 スピーカー
7 アナウンス制御基板
8 かご釦
9 釦制御基板
10 保存専用基板
11 盤内通信手段
12 盤外通信手段
13、16、18、20 マイクロプロセッサ(マイコン)
14、17、19、21 記憶素子
15 受光素子
図1
図2