特許第5834979号(P5834979)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2015.5.11 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】5834979
(24)【登録日】2015年11月13日
(45)【発行日】2015年12月24日
(54)【発明の名称】共焦点計測装置
(51)【国際特許分類】
   G01C 3/06 20060101AFI20151203BHJP
   G01B 11/00 20060101ALI20151203BHJP
【FI】
   G01C3/06 120P
   G01B11/00 B
【請求項の数】7
【全頁数】14
(21)【出願番号】特願2012-22539(P2012-22539)
(22)【出願日】2012年2月3日
(65)【公開番号】特開2013-160628(P2013-160628A)
(43)【公開日】2013年8月19日
【審査請求日】2015年1月29日
(73)【特許権者】
【識別番号】000002945
【氏名又は名称】オムロン株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001195
【氏名又は名称】特許業務法人深見特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】早川 雅之
(72)【発明者】
【氏名】山下 吉弘
【審査官】 神谷 健一
(56)【参考文献】
【文献】 特開2008−241712(JP,A)
【文献】 特開2007−147299(JP,A)
【文献】 特表2012−518445(JP,A)
【文献】 独国特許出願公開第10321885(DE,A1)
【文献】 特開2004−126394(JP,A)
【文献】 特開2011−170028(JP,A)
【文献】 米国特許第5785651(US,A)
【文献】 米国特許出願公開第2006/0098872(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G01C 3/00− 3/32
G01B 11/00−11/30
G02B 19/00−21/00
G02B 21/06−21/32
G02B 21/34−21/36
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
共焦点光学系を利用して計測対象物の変位を計測する共焦点計測装置であって、
複数の波長の光を出射する光源と、
前記光源から出射する光に、光軸方向に沿って色収差を生じさせる回折レンズと、
前記回折レンズで色収差を生じさせた光のうち、前記計測対象物において合焦する光の強度を波長ごとに計測する計測部と
を備え、
前記光源から前記回折レンズへの主光線を、前記回折レンズの光軸に対してずらしてある、共焦点計測装置。
【請求項2】
前記回折レンズより前記計測対象物側に配置され、前記回折レンズで色収差を生じさせた光を前記計測対象物に集光する対物レンズをさらに備える、請求項1に記載の共焦点計測装置。
【請求項3】
前記回折レンズから前記光源および前記計測部までの光路に用いる光ファイバをさらに備え、
前記光ファイバの端部を、前記回折レンズの光軸に対してずらすことで、前記光源から前記回折レンズへの主光線を、前記回折レンズの光軸に対してずらしてある、請求項1または請求項2に記載の共焦点計測装置。
【請求項4】
共焦点光学系を利用して計測対象物の変位を計測する共焦点計測装置であって、
複数の波長の光を出射する光源と、
前記光源から出射する光に、光軸方向に沿って色収差を生じさせる回折レンズと、
前記光源から前記回折レンズまでの間、および前記回折レンズより前記計測対象物側のうち少なくとも一方に配置されている光学素子と、
前記回折レンズで色収差を生じさせた光のうち、前記計測対象物において合焦する光の強度を波長ごとに計測する計測部と
を備え、
前記光源から前記回折レンズへの主光線を、前記回折レンズの光軸に対して一致させ、
前記光学素子の光軸を、前記回折レンズの光軸に対してずらしてある、共焦点計測装置。
【請求項5】
前記回折レンズから前記光源および前記計測部までの光路に用いる光ファイバをさらに備え、
前記光ファイバの端部を、前記光学素子の光軸に対してずらしてある、請求項4に記載の共焦点計測装置。
【請求項6】
共焦点光学系を利用して計測対象物の変位を計測する共焦点計測装置であって、
複数の波長の光を出射する光源と、
前記光源から出射する光に、光軸方向に沿って色収差を生じさせる回折レンズと、
前記回折レンズで色収差を生じさせた光のうち、前記計測対象物において合焦する光の強度を波長ごとに計測する計測部と、
前記回折レンズを格納する計測ヘッド部と
を備え、
前記回折レンズの光軸を、前記計測ヘッド部の長軸、または前記計測対象物へ光を出射する前記計測ヘッド部の出射面に対して傾けてある、共焦点計測装置。
【請求項7】
前記回折レンズより前記計測対象物側に配置され、前記回折レンズで色収差を生じさせた光を前記計測対象物に集光する対物レンズをさらに備える、請求項6に記載の共焦点計測装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、非接触で計測対象物の変位を計測する計測装置であって、共焦点光学系を利用して計測対象物の変位を計測する共焦点計測装置に関する。
【背景技術】
【0002】
非接触で計測対象物の変位を計測する計測装置のうち、共焦点光学系を利用して計測対象物の変位を計測する共焦点計測装置が特許文献1に開示されている。特許文献1に開示されている共焦点計測装置は、複数の波長の光を出射する光源(たとえば白色光源)と、当該光源から出射する光に、光軸に沿って色収差を生じさせる回折レンズを備えている。特許文献1に開示されている共焦点計測装置は、計測対象物の変位に応じて合焦する光の波長が異なるので、ピンホールを通過する光の波長を計測することで計測対象物の変位を計測することができる。
【0003】
ここで、回折レンズには、原理上、一次回折光以外に二次回折光などの高次回折光が存在する。そのため、回折レンズを用いる共焦点計測装置では、予め計測に利用する次数を決めて光学設計を行なう必要がある。たとえば、計測に利用する次数を一次と決めて光学設計をした場合、共焦点計測装置は、一次回折光が集光する位置に計測対象物を配置することで、計測対象物の変位を計測することができる。
【0004】
しかし、共焦点計測装置は、計測に利用する次数を一次と決めて設計した場合であっても、高次回折光の信号(誤信号)を計測することがある。特に、計測対象物が鏡面を有する場合、共焦点計測装置は、計測対象物の鏡面で反射する高次回折光の信号をより多く計測することになる。そのため、共焦点計測装置は、高次回折光による計測への影響が大きくなる。たとえば、二次回折光が集光する位置に計測対象物を配置した場合、共焦点計測装置は、二次回折光による信号(誤信号)を利用して計測対象物の変位を誤って計測する場合があった。また、共焦点計測装置は、たとえば一次回折光のうち計測対象物で二次回折光として反射する光、または二次回折光のうち計測対象物で一次回折光として反射する光(以下、異なる次数の回折光の反射光ともいう)による信号(誤信号)を計測して、計測対象物の変位を誤って計測する場合があった。
【0005】
特に、設計次数において、一次の回折効率と、二次の回折効率とでは、効率が大きく異なる。そのため、共焦点計測装置において、二次回折光による誤信号よりも、一次回折光のうち計測対象物で二次回折光として反射する光(異なる次数の回折光の反射光)による誤信号のほうが、強度が大きくなりやすく、誤って計測する可能性が高い。
【0006】
そこで、特許文献2および特許文献3では、高次回折光による計測への影響を緩和することが可能な回折レンズが開示されている。特許文献2および特許文献3で開示されている回折レンズは、鋸歯状に形成された面を持つ複数の回折素子を、積重ねて複層化した回折レンズである。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】米国特許第5785651号明細書
【特許文献2】特開2004−126394号公報
【特許文献3】特開2011−170028号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
特許文献2および特許文献3で開示されている回折レンズは、単層の回折レンズに比べて製造工程が複雑で製造コストが高くなる問題があった。また、共焦点計測装置に複層化した回折レンズを用いる場合、当該共焦点計測装置の光学系で利用できるように、鋸歯状に形成された面を持つ回折素子を設計し、当該回折素子を積重ねる必要があるため、設計・開発コストも高くなる問題があった。
【0009】
本発明は斯かる事情に鑑みてなされたものであり、特に、誤って計測する可能性の高い、異なる次数の回折光の反射光による計測への影響を緩和することができる共焦点計測装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明に従った共焦点計測装置は、共焦点光学系を利用して計測対象物の変位を計測する共焦点計測装置であって、複数の波長の光を出射する光源と、光源から出射する光に、光軸方向に沿って色収差を生じさせる回折レンズと、回折レンズで色収差を生じさせた光のうち、計測対象物において合焦する光の強度を波長ごとに計測する計測部とを備え、光源から回折レンズへの主光線を、回折レンズの光軸に対してずらしてある。
【0011】
また、本発明の共焦点計測装置では、好ましくは、回折レンズより計測対象物側に配置され、回折レンズで色収差を生じさせた光を計測対象物に集光する対物レンズをさらに備える。
【0012】
また、本発明の共焦点計測装置では、好ましくは、回折レンズから光源および計測部までの光路に用いる光ファイバをさらに備え、光ファイバの端部を、回折レンズの光軸に対してずらすことで、前記光源から前記回折レンズへの主光線を、前記回折レンズの光軸に対してずらしてある。
【0013】
本発明に従った別の共焦点計測装置は、共焦点光学系を利用して計測対象物の変位を計測する共焦点計測装置であって、複数の波長の光を出射する光源と、光源から出射する光に、光軸方向に沿って色収差を生じさせる回折レンズと、光源から回折レンズまでの間、および回折レンズより計測対象物側のうち少なくとも一方に配置されている光学素子と、回折レンズで色収差を生じさせた光のうち、計測対象物において合焦する光の強度を波長ごとに計測する計測部とを備え、光源から回折レンズへの主光線を、回折レンズの光軸に対して一致させ、光学素子の光軸を、回折レンズの光軸に対してずらしてある。
【0014】
また、本発明の別の共焦点計測装置では、好ましくは、回折レンズから光源および計測部までの光路に用いる光ファイバをさらに備え、光ファイバの端部を、光学素子の光軸に対してずらしてある。
【0015】
本発明に従ったさらに別の共焦点計測装置は、共焦点光学系を利用して計測対象物の変位を計測する共焦点計測装置であって、複数の波長の光を出射する光源と、光源から出射する光に、光軸方向に沿って色収差を生じさせる回折レンズと、回折レンズで色収差を生じさせた光のうち、計測対象物において合焦する光の強度を波長ごとに計測する計測部と、回折レンズを格納する計測ヘッド部とを備え、回折レンズの光軸を、計測ヘッド部の長軸、または計測対象物へ光を出射する計測ヘッド部の出射面に対して傾けてある。
【0016】
また、本発明のさらに別の共焦点計測装置では、回折レンズより計測対象物側に配置され、回折レンズで色収差を生じさせた光を計測対象物に集光する対物レンズをさらに備える。
【発明の効果】
【0017】
上記構成によれば、本発明に従った共焦点計測装置は、計測に利用する次数の回折光が集光する光軸と、異なる次数の回折光の反射光が集光する位置とをずらし、異なる次数の回折光の反射光を受光しにくくして、異なる次数の回折光の反射光による計測への影響を緩和することができる。
【図面の簡単な説明】
【0018】
図1】本発明の実施の形態1に係る共焦点計測装置の構成を示す模式図である。
図2】本発明の実施の形態1に係る共焦点計測装置において採用されているヘッド部の共焦点光学系の構成を示す模式図である。
図3】本発明の実施の形態1に係るヘッド部の端面に取付けてあるレセプタクルの位置を示す模式図である。
図4】本発明の実施の形態1に係る共焦点計測装置において採用されているヘッド部の回折光の様子を説明するための模式図である。
図5】光ファイバの光軸を、回折レンズの光軸に対して一致させ、光ファイバの端部を、回折レンズの光軸に対して一致させてあるヘッド部の回折光の様子を説明するための模式図である。
図6】本実施の形態2に係る共焦点計測装置において採用されているヘッド部の共焦点光学系の構成を示す模式図である。
図7】本実施の形態3に係る共焦点計測装置において採用されているヘッド部の共焦点光学系の構成を示す模式図である。
【発明を実施するための形態】
【0019】
以下、本発明の実施の形態について、図面を参照しながら詳細に説明する。
(実施の形態1)
図1は、本発明の実施の形態1に係る共焦点計測装置の構成を示す模式図である。図1に示す共焦点計測装置100は、ヘッド部10の共焦点光学系を利用して計測対象物200の変位を計測する計測装置である。共焦点計測装置100で計測する計測対象物200には、たとえば液晶表示パネルのセルギャップなどがある。
【0020】
共焦点計測装置100は、共焦点の光学系を有するヘッド部10、光ファイバ11を介して光学的に接続されたコントローラ部20、コントローラ部20から出力される信号を表示するモニタ部30を備えている。
【0021】
ヘッド部10は、回折レンズ1、回折レンズ1より計測対象物200側に配置された対物レンズ2を備えている。回折レンズ1の焦点距離は、回折レンズから対物レンズまでの距離と、対物レンズの焦点距離との差より大きくしてある。
【0022】
ここで、回折レンズ1は、光源(たとえば、白色光源)から出射する光に、光軸方向に沿って色収差を生じさせる光学素子である。回折レンズ1は、レンズの表面に、たとえばキノフォーム形状あるいはバイナリ形状(ステップ形状、階段形状)などの微細な起伏形状を周期的に形成するか、光の透過率を周期的に変更する振幅型のゾーンプレートを形成してある。なお、回折レンズ1の構成は、上記の記載の構成に限定されるものではない。
【0023】
対物レンズ2は、回折レンズ1で色収差を生じさせた光を計測対象物200に集光する光学素子である。なお、共焦点計測装置100は、複数の波長の光を出射する光源に、白色光源を用いる場合について以下に説明する。
【0024】
白色光源から出射する光は、光ファイバ11を介してヘッド部10に導かれている。白色光源から回折レンズ1への主光線が、回折レンズ1の光軸に対してずれるように、光ファイバ11とヘッド部10とを接続している。なお、光ファイバ11との接続を含むヘッド部10の詳細な構成については、後述する。ここで、白色光源から回折レンズ1への主光線とは、光を出射する光源と回折レンズの開口部の中心を通る光線であり、光ファイバ11の開口部の中心と回折レンズの開口部の中心を通る光線を、以下、光ファイバ11からの主光線という。また、ここで回折レンズの開口部とは、回折レンズのうち光ファイバ11からの出射光が透過する範囲をいう。
【0025】
光ファイバ11は、ヘッド部10からコントローラ部20までの光路であるとともに、ピンホールとしても機能している。つまり、対物レンズ2で集光した光のうち、計測対象物200で合焦する光が、光ファイバ11の開口部で合焦することになる。そのため、光ファイバ11は、計測対象物200で合焦しない波長の光を遮光し、計測対象物200で合焦する光を通過させるピンホールとして機能することになる。ヘッド部10からコントローラ部20までの光路に光ファイバ11を用いることで、ピンホールが不要となる。
【0026】
共焦点計測装置100は、ヘッド部10からコントローラ部20までの光路に光ファイバ11を用いない構成であっても良いが、当該光路に光ファイバ11を用いることで、ヘッド部10をコントロール部に対してフレキシブルに移動することが可能になる。また、共焦点計測装置100は、ヘッド部10からコントローラ部20までの光路に光ファイバ11を用いない構成の場合、ピンホールを備える必要があるが、光ファイバ11を用いる構成の場合、共焦点計測装置100は、ピンホールを備える必要がない。
【0027】
コントローラ部20は、白色光源である白色LED(Light Emitting Diode)21、分岐光ファイバ22、分光器23、撮像素子24、制御回路部25を備えている。白色光源として白色LED21を用いているが、白色光を出射することができる光源であれば他の光源であってもよい。
【0028】
分岐光ファイバ22は、光ファイバ11と接続する側に一本の光ファイバ22a、反対側に二本の光ファイバ22b、22cを有している。なお、光ファイバ22bは白色LED21に、光ファイバ22cは分光器23にそれぞれ接続してある。そのため、分岐光ファイバ22は、白色LED21から出射する光を光ファイバ11に導くとともに、光ファイバ11を介してヘッド部10から戻る光を分光器23に導くことができる。
【0029】
分光器23は、ヘッド部10から戻る光を反射する凹面ミラー23a、凹面ミラー23aで反射した光が入射する回折格子23b、回折格子23bから出射する光を集光する集光レンズ23cを有している。分光器23は、ヘッド部10から戻る光を波長ごとに分けることができれば、ツェルニターナ型、リトロー型などのいずれの構成であってもよい。
【0030】
撮像素子24は、分光器23から出射する光の強度を計測するラインCMOS(Complementary Metal Oxide Semiconductor)やCCD(Charge Coupled Device)である。ここで、共焦点計測装置100では、分光器23および撮像素子24で、ヘッド部10から戻る光の強度を波長ごとに計測する計測部を構成している。なお、計測部は、ヘッド部10から戻る光の強度を波長ごとに計測することができれば、CCDなどの撮像素子24の単体で構成してもよい。
【0031】
制御回路部25は、白色LED21や撮像素子24などの動作を制御する回路である。また、図示していないが、制御回路部25には、白色LED21や撮像素子24などを動作を調整するための信号を入力する入力インターフェース、撮像素子24の信号を出力する出力インターフェースなどを有している。
【0032】
モニタ部30は、撮像素子24が出力した信号を表示する。たとえば、モニタ部30は、ヘッド部10から戻る光のスペクトル波形を描画し、計測対象物の変位が123.45μmであることを表示する。
【0033】
共焦点計測装置100は、回折レンズ1をヘッド部10に用いているので、計測に利用する次数を一次と決めて設計した場合であっても、計測に利用する次数以外(高次)の回折光の誤信号を計測することがある。特に、計測対象物200が鏡面を有する場合、共焦点計測装置100は、計測に利用する次数以外(高次)の回折光による計測への影響が大きくなる。そこで、共焦点計測装置100では、ヘッド部10の共焦点光学系の構成を変更することで、計測で利用する次数以外の回折光による計測への影響を緩和している。
【0034】
図2は、本発明の実施の形態1に係る共焦点計測装置100において採用されているヘッド部10の共焦点光学系の構成を示す模式図である。図2に示すヘッド部10の共焦点光学系の構成は、回折レンズ1より計測対象物200側に対物レンズ2を配置する構成である。つまり、ヘッド部10は、光ファイバ11の端部から出射する光を回折レンズ1で光軸方向に沿って色収差を生じさせ、色収差が生じた光を対物レンズ2で計測対象物200に集光する。なお、ヘッド部10は、回折レンズ1より計測対象物200側に対物レンズ2を配置する構成に限定されるものではなく、回折レンズ1より光ファイバ11側にレンズなどの光学素子を配置してもよい。また、ヘッド部10は、対物レンズ2を配置しない構成であってもよい。
【0035】
光ファイバ11とヘッド部10との接続は、光ファイバ11の端部に取付けたコネクタ11aと、ヘッド部10の端面に設けたレセプタクル10aとを嵌合することで実現している。
【0036】
さらに、ヘッド部10の端面に取付けてあるレセプタクル10aの位置について説明する。図3は、本発明の実施の形態1に係るヘッド部10の端面に取付けてあるレセプタクル10aの位置を示す模式図である。レセプタクル10aは、回折レンズ1の中心に対して図中の水平方向にずらしてヘッド部10の端面に取付けてある。
【0037】
図3に示すように、回折レンズ1の中心を通る中心線1b,1cと、レセプタクル10aの中心を通る中心線10bとをそれぞれ図示してある。なお、レセプタクル10aの中心は、回折レンズ1の中心に対して垂直方向に一致しているので、レセプタクル10aの中心を通る水平方向の中心線は、回折レンズ1の中心を通る中心線1bと重なるため図示していない。
【0038】
図3から分かるように、レセプタクル10aの中心を通る中心線10bは、回折レンズ1の中心を通る中心線1cに対して図中左側にずれており、レセプタクル10aの中心は、回折レンズ1の中心に対して水平方向にずれている。そのため、レセプタクル10aにコネクタ11aを嵌合した場合、光ファイバ11の端部を、回折レンズ1の光軸に対してずらして接続することができる。よって、レセプタクル10aの中心を通る光ファイバ11からの主光線は、回折レンズ1の光軸に対してずれるので、回折レンズ1の光軸を通ることはなく、回折レンズ1の光軸に対して傾いている。なお、ヘッド部10の端面において、レセプタクル10aのずれ量X(図3)は、たとえば、ヘッド部10の長手方向の寸法A(図2)=64mm、短手方向の寸法B(図3)=24mmのとき、0.2mm〜0.3mm程度である。
【0039】
ヘッド部10では、光ファイバ11からの主光線を回折レンズ1の光軸に対してずらして、光ファイバ11からの主光線を回折レンズ1の光軸に対して傾けてある。これにより、ヘッド部10は、計測で利用する次数(たとえば一次)の回折光が集光する光軸と、異なる次数の回折光の反射光(たとえば、一次回折光に対する二次回折光としての反射光)が集光する位置とをずらすことができる。
【0040】
具体的に、計測で利用する次数の回折光が集光する位置と、その他の次数の回折光が集光する位置との関係を模式図を用いて説明する。図4は、本発明の実施の形態1に係る共焦点計測装置100において採用されているヘッド部10の回折光の様子を説明するための模式図である。なお、計測で利用する次数は、一次としてある。
【0041】
図4に示すヘッド部10は、光ファイバ11からの主光線11bを、回折レンズ1の光軸1aに対してずらして、光ファイバ11からの主光線を回折レンズ1の光軸に対して傾けてある。なお、光ファイバ11からの主光線11bを、回折レンズ1の光軸1aに対してずらすことは、単に光ファイバ11からの主光線11bと、回折レンズ1の光軸1aとが平行にずれている場合に限定されるものではなく、光ファイバ11からの主光線11bと、回折レンズ1の光軸1aとが傾いてずれている場合も含まれる。
【0042】
そのため、回折レンズ1の一次回折光1dが集光する位置と、二次回折光1eが集光する位置とを通る光軸1de(以下、一次回折光1dを集光する光軸1deともいう)上に、回折レンズ1の一次回折光1dのうち、仮想面200bで反射し二次回折光として仮想面200aに集光する光(一次−二次回折光)1fが位置しなくなる。よって、光1fのような異なる次数の回折光の反射光は、光軸1de上に集光することがなく、計測部で二次回折光1eの誤信号が計測されにくくなる。異なる次数の回折光の反射光には、光1f以外に、二次回折光のうち、一次回折光として計測対象物200に集光する光(図示せず)も存在する。
【0043】
よって、図4に示すヘッド部10が、一次回折光1dが集光する光軸1deと、異なる次数の回折光の反射光が集光する位置とをずらすことができるので、異なる次数の回折光の反射光を受光しにくくなり、計測した信号に含まれる誤信号の割合が低下する。
【0044】
逆に、光ファイバ11からの主光線を、回折レンズ1の光軸に対して一致させてある焦点計測装置について説明する。図5は、光ファイバ11からの主光線を、回折レンズ1の光軸に対して一致させてあるヘッド部の回折光の様子を説明するための模式図である。なお、計測で利用する次数は、一次としてある。
【0045】
図5に示すヘッド部10cは、光ファイバ11からの主光線11bを、回折レンズ1の光軸1aに一致させてある。
【0046】
そのため、一次回折光1dを集光する光軸1de上に、回折レンズ1の一次回折光1dのうち、仮想面200bで反射し二次回折光として仮想面200aに集光する光(一次−二次回折光)1fが位置する。よって、光1fのような異なる次数の回折光の反射光は、光軸1de上に集光し、計測部で二次回折光1eの誤信号が計測される。
【0047】
よって、図5に示すヘッド部10cは、一次回折光1dが集光する光軸1deと、異なる次数の回折光の反射光が集光する位置とが一致しているので、計測で利用する次数以外の回折光による計測への影響を受けることになる。
【0048】
以上のように、本発明の実施の形態1に係る共焦点計測装置100は、ヘッド部10が、光ファイバ11からの主光線11bを、回折レンズ1の光軸1aに対してずらしてある。そのため、本発明の実施の形態1に係る共焦点計測装置100は、一次回折光1dが集光する光軸1deと、異なる次数の回折光の反射光が集光する位置とをずらすことができ、異なる次数の回折光の反射光を受光しにくくなり、異なる次数の回折光の反射光による計測への影響を緩和することができる。
【0049】
なお、ヘッド部10は、図4に示すように、対物レンズ2の光軸を、回折レンズ1の光軸1aに一致させる構成に限定されるものではなく、対物レンズ2の光軸を、回折レンズ1の光軸1aに対してずらしてある構成でもよい。
【0050】
(実施の形態2)
実施の形態1に係る共焦点計測装置100とは異なる構成で、計測で利用する次数以外の回折光による計測への影響を緩和することができる構成を、本実施の形態2に係る共焦点計測装置を説明する。
【0051】
本実施の形態2に係る共焦点計測装置は、ヘッド部以外の構成が図1に示す実施の形態1に係る共焦点計測装置100と同じ構成であるため、同じ構成要素に同じ符号を付して詳細な説明を繰返さない。
【0052】
図6は、本実施の形態2に係る共焦点計測装置において採用されているヘッド部の共焦点光学系の構成を示す模式図である。図6に示すヘッド部10dの共焦点光学系の構成は、回折レンズ1より計測対象物200側に対物レンズ2を配置する構成である。つまり、ヘッド部10dは、光ファイバ11の端部から出射する光を回折レンズ1で光軸方向に沿って色収差を生じさせ、色収差が生じた光を対物レンズ2で計測対象物200に集光する。なお、ヘッド部10dは、回折レンズ1より計測対象物200側に対物レンズ2を配置する構成に限定されるものではなく、回折レンズ1より光ファイバ11側にレンズなどの光学素子を配置してもよい。
【0053】
光ファイバ11とヘッド部10dとの接続は、図2で示したように、光ファイバ11の端部に取付けたコネクタ11aと、ヘッド部の端面に設けたレセプタクル10aとを嵌合することで実現している。
【0054】
図6に示すヘッド部10dは、光ファイバ11からの主光線11bを、回折レンズ1の光軸1aに一致させてある。しかし、対物レンズ2の光軸2aは、回折レンズ1の光軸1aに対してずらしてある。なお、対物レンズ2の光軸2aを、回折レンズ1の光軸1aに対してずらすことは、単に対物レンズ2の光軸2aと、回折レンズ1の光軸1aとが平行にずれている場合に限定されるものではなく、対物レンズ2の光軸2aと、回折レンズ1の光軸1aとが傾いてずれている場合も含まれる。対物レンズ2は、光ファイバ11からの主光線11bを計測対象物200に集光させる。よって、対物レンズ2によって一次回折光1dは、光軸1de上に集光することになる。
【0055】
そのため、一次回折光1dを集光する光軸1de上に、回折レンズ1の一次回折光1dのうち、仮想面200bで反射し二次回折光として仮想面200aに集光する光(一次−二次回折光)1fが位置しなくなる。よって、光1fのような異なる次数の回折光の反射光は、光軸1de上に集光することがなく、計測部で二次回折光1eの誤信号が計測されにくくなる。異なる次数の回折光の反射光には、光1f以外に、二次回折光のうち、一次回折光として計測対象物200に集光する光(図示せず)も存在する。
【0056】
よって、図6に示すヘッド部10は、一次回折光1dが集光する光軸1deと、異なる次数の回折光の反射光が集光する位置とをずらすことができるので、異なる次数の回折光の反射光を受光しにくくなり、計測した信号に含まれる誤信号の割合が低下する。
【0057】
以上のように、本発明の実施の形態2に係る共焦点計測装置は、ヘッド部10dが、対物レンズ2の光軸2aを、回折レンズ1の光軸1aに対してずらしてある。そのため、本発明の実施の形態2に係る共焦点計測装置は、一次回折光1dが集光する光軸1deと、異なる次数の回折光の反射光が集光する位置とをずらすことができ、異なる次数の回折光の反射光を受光しにくくなり、異なる次数の回折光の反射光による計測への影響を緩和することができる。
【0058】
なお、本発明の実施の形態2に係る共焦点計測装置は、ヘッド部10dに、回折レンズ1より光ファイバ11側にレンズなどの光学素子をさらに配置し、当該光学素子の光軸を回折レンズ1の光軸1aに対してずらす構成であてもよい。
【0059】
(実施の形態3)
実施の形態1および2に係る共焦点計測装置とは異なる構成で、計測で利用する次数以外の回折光による計測への影響を緩和することができる構成を、本実施の形態3に係る共焦点計測装置を説明する。
【0060】
本実施の形態3に係る共焦点計測装置は、ヘッド部以外の構成が図1に示す実施の形態1に係る共焦点計測装置100と同じ構成であるため、同じ構成要素に同じ符号を付して詳細な説明を繰返さない。
【0061】
図7は、本実施の形態3に係る共焦点計測装置において採用されているヘッド部の共焦点光学系の構成を示す模式図である。図7に示すヘッド部10eの共焦点光学系の構成は、回折レンズ1のみの構成で、計測対象物200側に対物レンズ2を配置しない構成である。つまり、ヘッド部10eは、光ファイバ11の端部から出射する光を回折レンズ1で光軸方向に沿って色収差を生じさせ、色収差が生じた光を計測対象物200に集光する。なお、ヘッド部10eは、回折レンズ1より計測対象物200側に対物レンズ2を配置する構成でも、回折レンズ1より光ファイバ11側にレンズなどの光学素子を配置する構成でもよい。
【0062】
また、ヘッド部10eは、図7に示すように回折レンズ1の光軸1aを、ヘッド部10eの長軸10fに対して傾くように回折レンズ1を固定してある。さらに、ヘッド部10eは、光ファイバ11からの主光線11bを、回折レンズ1の光軸1aに一致させてある。
【0063】
ここで、ヘッド部10eの製造方法として、たとえば、ヘッド部10eの長軸10fに対して斜めになるようにヘッド部10eの筐体に穴10gを開け、開けた穴10gの開口部10hから回折レンズ1を挿入して、予め定められた位置に回折レンズ1を固定する。さらに、開口部10hの反対側に光ファイバ11を接続する。
【0064】
次に、本実施の形態3に係る共焦点計測装置は、計測対象物200の垂線とヘッド部10eの長軸10fとが一致するようにヘッド部10eを配置して、計測対象物200の変位を計測する。このようにヘッド部10eを配置することで、回折レンズ1の一次回折光1dは、計測対象物200で集光する。一次回折光1dが集光する光軸が、光軸1deである。
【0065】
しかし、ヘッド部10eの開口部10hから出射される光は、計測対象物200に対して傾いている。そのため、一次回折光1dを集光する光軸1de上に、回折レンズ1の一次回折光1dのうち、仮想面200bで反射し二次回折光として仮想面200aに集光する光(一次−二次回折光)1fが位置しなくなる。よって、光1fのような異なる次数の回折光の反射光は、光軸1de上に集光することがなく、計測部で二次回折光1eの誤信号が計測されにくくなる。異なる次数の回折光の反射光には、光1f以外に、二次回折光のうち、一次回折光として計測対象物200に集光する光(図示せず)も存在する。
【0066】
よって、図7に示すヘッド部10は、一次回折光1dが集光する光軸1deと、異なる次数の回折光の反射光が集光する位置とをずらすことができるので、異なる次数の回折光の反射光を受光しにくくなり、計測した信号に含まれる誤信号の割合が低下する。
【0067】
以上のように、本発明の実施の形態3に係る共焦点計測装置は、ヘッド部10eが、回折レンズ1の光軸1aを、ヘッド部10eの長軸10fに対して傾くように回折レンズ1を固定してある。そのため、本発明の実施の形態3に係る共焦点計測装置は、一次回折光1dが集光する光軸1deと、異なる次数の回折光の反射光が集光する位置とをずらすことができ、異なる次数の回折光の反射光を受光しにくくなり、異なる次数の回折光の反射光による計測への影響を緩和することができる。
【0068】
なお、ヘッド部10eは、回折レンズ1の光軸1aを、ヘッド部10eの長軸10fに対して傾くように回折レンズ1を固定してあると規定したが、回折レンズ1の光軸1aを、計測対象物200へ光を出射するヘッド部10eの出射面10iに対して傾けてある規定してもよい。つまり、計測対象物200の変位を測定するために、ヘッド部10eと計測対象物200とを正対させた場合、回折レンズ1の光軸1aが、計測対象物200に対して傾くようにヘッド部10eが構成されていればよい。また、ヘッド部10eの出射面10iは、計測対象物200と正対する仮想面であり、ヘッド部10eの筐体の現実の一面でなくてもよい。
【0069】
今回開示された実施の形態はすべての点で例示であって制限的なものではないと考えられるべきである。本発明の範囲は、上記した説明ではなく、特許請求の範囲によって示され、特許請求の範囲と均等の意味および範囲内でのすべての変更が含まれることが意図される。
【符号の説明】
【0070】
1 回折レンズ、2 対物レンズ、10,10c,10d,10e ヘッド部、10a レセプタクル、11,22a,22b,22c 光ファイバ、11a コネクタ、20 コントローラ部、22 分岐光ファイバ、23 分光器、23a 凹面ミラー、23b 回折格子、23c 集光レンズ、24 撮像素子、25 制御回路部、30 モニタ部、100 共焦点計測装置、200 計測対象物。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7