特許第5834985号(P5834985)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2015.5.11 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】5834985
(24)【登録日】2015年11月13日
(45)【発行日】2015年12月24日
(54)【発明の名称】液浸露光用レジスト組成物
(51)【国際特許分類】
   G03F 7/039 20060101AFI20151203BHJP
   G03F 7/004 20060101ALI20151203BHJP
   G03F 7/38 20060101ALI20151203BHJP
   C08F 20/38 20060101ALI20151203BHJP
   C07C 309/68 20060101ALN20151203BHJP
   C07C 309/73 20060101ALN20151203BHJP
【FI】
   G03F7/039 601
   G03F7/004 501
   G03F7/38 501
   C08F20/38
   !C07C309/68
   !C07C309/73
【請求項の数】6
【全頁数】39
(21)【出願番号】特願2012-29995(P2012-29995)
(22)【出願日】2012年2月14日
(65)【公開番号】特開2013-167706(P2013-167706A)
(43)【公開日】2013年8月29日
【審査請求日】2014年7月3日
(73)【特許権者】
【識別番号】000004178
【氏名又は名称】JSR株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100120329
【弁理士】
【氏名又は名称】天野 一規
(74)【代理人】
【識別番号】100159581
【弁理士】
【氏名又は名称】藤本 勝誠
(74)【代理人】
【識別番号】100159499
【弁理士】
【氏名又は名称】池田 義典
(74)【代理人】
【識別番号】100158540
【弁理士】
【氏名又は名称】小川 博生
(74)【代理人】
【識別番号】100150027
【弁理士】
【氏名又は名称】加藤 早苗
(74)【代理人】
【識別番号】100106264
【弁理士】
【氏名又は名称】石田 耕治
(74)【代理人】
【識別番号】100133651
【弁理士】
【氏名又は名称】森田 慶子
(74)【代理人】
【識別番号】100176876
【弁理士】
【氏名又は名称】各務 幸樹
(72)【発明者】
【氏名】浅野 裕介
(72)【発明者】
【氏名】征矢野 晃雅
【審査官】 外川 敬之
(56)【参考文献】
【文献】 特開2012−001711(JP,A)
【文献】 特開2011−252145(JP,A)
【文献】 特開2010−209259(JP,A)
【文献】 特開2004−244436(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G03F 7/039
C08F 20/38
G03F 7/004
G03F 7/38
C07C 309/68
C07C 309/73
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
[A]下記式(i)で表される基を含む構造単位(I)を有し、かつフッ素原子を含む重合体
[B]酸発生体、及び
[D]酸拡散制御体
を含有し、
上記構造単位(I)が、下記式(1)で表され、
上記[D]酸拡散制御体が、光分解性酸拡散制御剤である液浸露光用レジスト組成物。
【化1】
(式(i)中、Rは、下記式(iii)〜(v)のいずれかで表されるアルカリ解離性基である。Aは、−SO−O−*で表される基である。*は、上記Rとの結合部位を示す。)
【化2】
(式(iii)中、R及びRは、それぞれ独立して、炭素数1〜20の1価の有機基である。但し、上記RとRとが互いに結合して、それらが結合している炭素原子と共に環構造を形成してもよい。)
【化3】
(式(iv)中、R及びRは、それぞれ独立して、炭素数1〜20の1価の有機基である。但し、上記RとRとが互いに結合して、それらが結合している窒素原子と共に環構造を形成してもよい。)
【化4】
(式(v)中、Rは、炭素数1〜20の1価の炭化水素基又は炭素数1〜20の1価のフッ素化炭化水素基である。)
【化5】
(式(1)中、R及びAは、上記式(i)と同義である。Xは、単結合又は炭素数1〜20の2価の鎖状炭化水素基である。但し、上記鎖状炭化水素基が有する水素原子の一部又は全部は、フッ素原子で置換されていてもよい。Rは、単結合、炭素数1〜20の2価の鎖状炭化水素基又は炭素数3〜20の2価の脂環式炭化水素基である。Rは、炭素数1〜20の(n+1)価の炭化水素基、又は炭素数1〜20の(n+1)価の炭化水素基と−CO−、−COO−、−OCO−、−O−、−NR−、−CS−、−S−、−SO−、及び−SO−からなる群より選択される少なくとも1種の基とを組み合わせた基である。但し、nが1の場合、Rは、単結合であってもよい。また、上記(n+1)価の炭化水素基が有する水素原子の一部又は全部は、フッ素原子で置換されていてもよい。Eは、単結合、酸素原子、−CO−O−*又は−CO−NH−*である。*は、上記Rとの結合部位を示す。Rは、水素原子、フッ素原子、メチル基又はトリフルオロメチル基である。nは、1〜3の整数である。nが2以上の場合、複数のR、A、X及びRは、それぞれ同一でも異なっていてもよい。)
【請求項2】
[C]上記[A]重合体よりもフッ素原子含有率の小さい重合体
をさらに含有し、
この[C]重合体が、酸解離性基を有する請求項に記載の液浸露光用レジスト組成物。
【請求項3】
[A]重合体が、下記式(2)で表される構造単位(II)をさらに有する請求項1又は2に記載の液浸露光用レジスト組成物。
【化6】
(式(2)中、Rは、水素原子、フッ素原子、メチル基又はトリフルオロメチル基である。Yは、下記式(Y−1)で表される基である。)
【化7】
(式(Y−1)中、Rb1、Rb2及びRb3は、それぞれ独立して、炭素数1〜4のアルキル基又は炭素数3〜20の1価の脂環式炭化水素基である。Rb2及びRb3は互いに結合して、それらが結合している炭素原子と共に炭素数3〜20の2価の脂環式炭化水素基を形成してもよい。)
【請求項4】
[C]重合体が、上記構造単位(II)を有する請求項2に記載の液浸露光用レジスト組成物。
【請求項5】
[A]重合体が、下記式(3)で表される構造単位(III)をさらに有する請求項1から請求項4のいずれか1項に記載の液浸露光用レジスト組成物。
【化8】
(式(3)中、Rは、水素原子、フッ素原子、メチル基又はトリフルオロメチル基である。RL1は、単結合又は2価の連結基である。RLcは、ラクトン構造を有する1価の有機基、スルトン構造を有する1価の有機基又は環状カーボネート構造を有する1価の有機基である。)
【請求項6】
[C]重合体が、上記構造単位(III)をさらに有する請求項2に記載の液浸露光用レジスト組成物。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、液浸露光用レジスト組成物に関する。
【背景技術】
【0002】
集積回路素子の製造に代表される微細加工の分野においては、従来、酸解離性基を有する重合体を含む樹脂組成物によって基板上にレジスト膜を形成し、マスクパターンを介するエキシマレーザー光等の短波長の放射線の照射によりレジスト膜を露光し、露光部をアルカリ現像液で除去することにより微細なレジストパターンを形成することが行われている。この際、樹脂組成物中に放射線照射により酸を発生する酸発生剤を含有させ、その酸の作用により感度を向上させた「化学増幅型レジスト」が利用されている。
【0003】
このような化学増幅型レジストにおいて、さらに微細なレジストパターンを形成する方法として液浸露光法の利用が拡大しつつある。この方法では、露光レンズとレジスト膜との間を、空気や不活性ガスに比して屈折率が大きい液浸露光液で満たして露光を行う。この液浸露光法によれば、レンズの開口数を増大させた場合でも、焦点深度が低下し難く、しかも高い解像性が得られるという利点がある。
【0004】
上記液浸露光法に用いられる樹脂組成物としては、レジスト膜から液浸露光液への酸発生剤等の溶出を防止し、レジスト膜の水切れを良くすることを目的として、撥水性が高いフッ素含有重合体を含有した液浸露光用レジスト組成物が提案され(国際公開2007/116664号参照)、更にはレジスト膜の撥水化に伴う未露光部の現像欠陥等を抑制することを目的として、液浸露光時には撥水性で、アルカリ現像時には親水性となるカルボン酸発生型のフッ素含有重合体が提案されている(特開2010−032994号公報参照)。このカルボン酸発生型のフッ素含有重合体によれば、アルカリ現像液での現像時に上記重合体が有するアルカリ解離性基が解離してカルボン酸を生じ、このカルボン酸により親水性が増してアルカリ現像液に易溶となる結果、現像欠陥が低減するとされている。
【0005】
しかしながら、上記フッ素含有重合体を用いたとしても、現像欠陥の低減は未だ不十分である。加えて、上記カルボン酸発生型のフッ素含有重合体を含有する組成物は、アルカリ現像時以外においても少量ではあるがアルカリ解離性基の解離によりカルボン酸を生じ、このカルボン酸と上記組成物中の他の共存成分との間で難溶性の塩を形成して沈殿し、フォトレジスト組成物としての保存安定性の低下を引き起こすという不都合がある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】国際公開2007/116664号
【特許文献2】特開2010−032994号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
本発明は、以上のような事情に基づいてなされたものであり、その目的は、感度及びLWR(Line width roughness)等の一般的特性を十分満足できると共に、現像時の現像欠陥を低減することができ、かつ保存安定性にも優れた液浸露光用レジスト組成物を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記課題を解決するためになされた発明は、
[A]下記式(i)で表される基を含む構造単位(I)を有し、かつフッ素原子を含む重合体(以下、「[A]重合体」ともいう)、及び[B]酸発生体を含有する液浸露光用レジスト組成物である。
【化1】
(式(i)中、Rは、アルカリ解離性基である。Aは、−SO−O−*、−SO−O−*、−NO−O−*、−N−O−*、−B(ORa1)−O−*、−P(=O)(ORa2)−O−*又は下記式(ii)で表される基である。*は、上記Rとの結合部位を示す。Ra1及びRa2は、それぞれ独立して、炭素数1〜20の1価の炭化水素基である。)
【化2】
(式(ii)中、mは、0〜10の整数である。*は、上記Rとの結合部位を示す。)
【0009】
本発明の液浸露光用レジスト組成物は、フッ素原子を含む[A]重合体を含有することで、形成されるレジスト膜の撥水性が向上し、レジスト膜からの酸発生体等の溶出を抑制することができる。特に、他の重合体と共に用いた場合には、この[A]重合体がレジスト膜表面に偏在化するため、上記効果をより高めることができる。加えて、[A]重合体が上記式(i)で表される特定の基を含むことで、現像時においてアルカリ解離性基の解離によりアルカリ現像液に易溶となるため、現像欠陥を低減することができると共に、当該組成物の保存安定性を高めることができる。特に、酸拡散制御体と共に用いた場合においても、この[A]重合体が上記式(i)で表される特定の基を含むことで、保存安定性に優れる。
【0010】
上記構造単位(I)は、下記式(1)で表されることが好ましい。
【化3】
(式(1)中、R及びAは、上記式(i)と同義である。Xは、単結合又は炭素数1〜20の2価の鎖状炭化水素基である。但し、上記鎖状炭化水素基が有する水素原子の一部又は全部は、フッ素原子で置換されていてもよい。Rは、単結合、炭素数1〜20の2価の鎖状炭化水素基又は炭素数3〜20の2価の脂環式炭化水素基である。Rは、炭素数1〜20の(n+1)価の炭化水素基、又は炭素数1〜20の(n+1)価の炭化水素基と−CO−、−COO−、−OCO−、−O−、−NR−、−CS−、−S−、−SO−、及び−SO−からなる群より選択される少なくとも1種の基とを組み合わせた基である。但し、nが1の場合、Rは、単結合であってもよい。また、上記(n+1)価の炭化水素基が有する水素原子の一部又は全部は、フッ素原子で置換されていてもよい。Eは、単結合、酸素原子、−CO−O−*又は−CO−NH−*である。*は、上記Rとの結合部位を示す。Rは、水素原子、フッ素原子、メチル基又はトリフルオロメチル基である。nは、1〜3の整数である。nが2以上の場合、複数のR、A、X及びRは、それぞれ同一でも異なっていてもよい。)
【0011】
このように、[A]重合体が上記特定の構造単位(I)を有することで、現像欠陥を低減することができ、かつ保存安定性にも優れた樹脂成分を与えることができる。
【0012】
当該液浸露光用レジスト組成物は、[C]上記[A]重合体よりもフッ素原子含有率の小さい重合体(以下、「[C]重合体」ともいう)をさらに含有し、この[C]重合体が、酸解離性基を有することが好ましい。
【0013】
このように、当該液浸露光用レジスト組成物が[C]重合体をさらに含有することで、[A]重合体及び[C]重合体を含む組成物からレジスト膜を形成した際には、[A]重合体がレジスト膜表面に偏在化する度合いが高くなるため、この[A]重合体の撥水性が効率的に発現される。
【0014】
上記式(i)におけるAは、−SO−O−*又は−NO−O−*であることが好ましい。このように、上記Aが、特定の基であることで、アルカリ解離性基の解離により生じる酸の高い酸性度により[A]重合体がアルカリ現像液にさらに易溶となり、現像欠陥をより低減することができる。
【0015】
上記式(i)におけるRは、下記式(iii)〜(v)のいずれかで表されることが好ましい。
【化4】
(式(iii)中、R及びRは、それぞれ独立して、炭素数1〜20の1価の有機基である。但し、上記RとRとが互いに結合して、それらが結合している炭素原子と共に環構造を形成してもよい。)
【化5】
(式(iv)中、R及びRは、それぞれ独立して、炭素数1〜20の1価の有機基である。但し、上記RとRとが互いに結合して、それらが結合している窒素原子と共に環構造を形成してもよい。)
【化6】
(式(v)中、Rは、炭素数1〜20の1価の炭化水素基又は炭素数1〜20の1価のフッ素化炭化水素基である。)
【0016】
このように、上記Rが上記特定の基であることで、アルカリ現像液に対するアルカリ解離性基の解離性を向上することができ、[A]重合体がアルカリ現像液に易溶となって現像欠陥をさらに低減することができる。
【0017】
当該液浸露光用レジスト組成物は、[D]酸拡散制御体をさらに含有することが好ましい。このように、当該液浸露光用レジスト組成物が[D]酸拡散制御体をさらに含有することで、レジストパターン形状を向上させることができる。また、上記式(i)で表される特定の基を含む[A]重合体と組み合わせて用いることで、当該組成物の保存安定性をより高めることができる。
【0018】
上記[D]酸拡散制御体は、光分解性酸拡散制御剤であることが好ましい。このように、上記[D]酸拡散制御体が光分解性酸拡散制御剤であることで、レジストパターン形状を向上させることができる。また、上記式(i)で表される特定の基を含む[A]重合体と組み合わせて用いることで、当該組成物の保存安定性をよりいっそう高めることができる。
【発明の効果】
【0019】
本発明の液浸露光用レジスト組成物によれば、感度及びLWR等の一般的特性を十分満足できるレジスト膜を形成でき、現像時におけるアルカリ現像液への易溶化により現像欠陥を低減することができ、かつ保存安定性にも優れる。従って、当該液浸露光用レジスト組成物は、パターンの更なる微細化が進む半導体デバイスでの液浸露光法を用いた製造プロセスに好適に使用することができる。
【発明を実施するための形態】
【0020】
<液浸露光用レジスト組成物>
本発明の液浸露光用レジスト組成物は、[A]重合体及び[B]酸発生体を含有する。また、当該組成物は、好適成分として[C]重合体及び[D]酸拡散制御体を含有していてもよい。さらに、当該組成物は、本発明の効果を損なわない範囲で、その他の任意成分を含有してもよい。以下、各成分について説明する。
【0021】
<[A]重合体>
[A]重合体は、上記式(i)で表される基を含む構造単位(I)を有し、かつフッ素原子を含む重合体である。[A]重合体は、フッ素原子を含んでいるため、形成されるレジスト膜の撥水性が向上し、レジスト膜からの酸発生体等の溶出を抑制できると共に、優れた水切り特性を発揮する。特に、通常併用される後述の[C]重合体等の他の重合体と共に用いた場合には、その表層において[A]重合体の存在分布が高くなって偏在化する傾向にあるため、上記効果をより高めることができる。[A]重合体のフッ素原子含有率としては、5質量%以上であることが好ましく、7質量%以上であることがより好ましく、10質量%以上であることがさらに好ましい。なお、フッ素原子含有率は、13C−NMRを用いて重合体の構造を同定し、この構造から算出することができる。
【0022】
加えて、[A]重合体は、上記式(i)で表される特定の基を含むことで、現像時においてアルカリ解離性基の解離により水酸基を生じ、アルカリ現像液に易溶となって濡れ性が増すため、当該組成物は、現像欠陥を低減することができる。また、[A]重合体が上記式(i)で表される特定の基を含むことで、当該組成物の保存安定性を高めることができる。
【0023】
[A]重合体は、本発明の効果を損なわない範囲で、構造単位(I)以外の構造単位(例えば、後述の構造単位(II)、(III)等)を有していてもよい。なお、[A]重合体は、各構造単位を2種以上有していてもよい。
【0024】
[構造単位(I)]
構造単位(I)は、上記式(i)で表される基を含む構造単位である。
上記式(i)中、Rは、アルカリ解離性基である。Aは、−SO−O−*、−SO−O−*、−NO−O−*、−N−O−*、−B(ORa1)−O−*、−P(=O)(ORa2)−O−*又は上記式(ii)で表される基である。*は、上記Rとの結合部位を示す。Ra1及びRa2は、それぞれ独立して、炭素数1〜20の1価の炭化水素基である。
【0025】
ここで、アルカリ解離性基とは、例えば、ヒドロキシ基、スルホ基等の極性官能基中の水素原子を置換する基であって、アルカリの存在下(例えば、23℃のテトラメチルアンモニウムヒドロキシド2.38質量%水溶液中)で解離する基をいう。
【0026】
上記Rで表されるアルカリ解離性基としては、アルカリの存在下で解離して極性基を生じるものであれば特に限定されないが、上記式(iii)〜(v)のいずれかで表される基であることが好ましい。上記Rが上記特定の基であることで、アルカリ現像液に対するアルカリ解離性基の解離性を向上することができ、アルカリ現像時におけるアルカリの存在下で容易に解離して水酸基を生じ、[A]重合体がアルカリ現像液に易溶となって現像欠陥をさらに低減することができる。
【0027】
上記式(iii)中、R及びRは、それぞれ独立して、炭素数1〜20の1価の有機基である。但し、上記RとRとが互いに結合して、それらが結合している炭素原子と共に環構造を形成してもよい。
【0028】
上記式(iv)中、R及びRは、それぞれ独立して、炭素数1〜20の1価の有機基である。但し、上記RとRとが互いに結合して、それらが結合している窒素原子と共に環構造を形成してもよい。
【0029】
上記式(v)中、Rは、炭素数1〜20の1価の炭化水素基又は炭素数1〜20の1価のフッ素化炭化水素基である。
【0030】
上記R〜Rで表される炭素数1〜20の1価の有機基としては、例えば、炭素数1〜20の1価の炭化水素基、又は−CO−、−COO−、−OCO−、−O−、−NR−、−CS−、−S−、−SO−、及び−SO−からなる群より選択される少なくとも1種の基と炭素数1〜20の1価の炭化水素基とを組み合わせた基等が挙げられる。
【0031】
上記1価の炭化水素基が有する水素原子の一部又は全部は、置換基により置換されていてもよい。上記置換基としては、例えば、フッ素原子、ヒドロキシ基、カルボキシ基、シアノ基等が挙げられる。
【0032】
上記Rは、水素原子又は炭素数1〜20の1価の有機基である。このRで表される1価の有機基としては、例えば、上記R〜Rで例示した基と同様の基を適用することができる。
【0033】
上記炭素数1〜20の1価の炭化水素基としては、例えば、炭素数1〜20のアルキル基、炭素数3〜20の1価の脂環式炭化水素基等が挙げられる。
【0034】
上記炭素数1〜20のアルキル基としては、例えば、メチル基、エチル基、n−プロピル基、n−ブチル基等の直鎖状のアルキル基;i−プロピル基、i−ブチル基、sec−ブチル基、t−ブチル基等の分岐状のアルキル基等が挙げられる。
【0035】
上記炭素数3〜20の1価の脂環式炭化水素基としては、例えば、シクロプロピル基、シクロブチル基、シクロペンチル基、シクロヘキシル基、シクロヘプチル基、シクロオクチル基、シクロデシル基、メチルシクロヘキシル基、エチルシクロヘキシル基等の単環式飽和炭化水素基;シクロブテニル基、シクロペンテニル基、シクロヘキセニル基、シクロヘプテニル基、シクロオクテニル基、シクロデセニル基、シクロペンタジエニル基、シクロヘキサジエニル基、シクロオクタジエニル基、シクロデカジエン等の単環式不飽和炭化水素基;ビシクロ[2.2.1]ヘプチル基、ビシクロ[2.2.2]オクチル基、トリシクロ[5.2.1.02,6]デシル基、トリシクロ[3.3.1.13,7]デシル基、テトラシクロ[6.2.1.13,6.02,7]ドデシル基、ノルボルニル基、アダマンチル基等の多環式飽和炭化水素基等が挙げられる。なお、「脂環式炭化水素基」は、脂環式炭化水素の構造のみで構成されている必要はなく、その一部に鎖状構造を含んでいてもよい。
【0036】
上記R及びRで表される炭素数1〜20の1価の有機基としては、炭素数1〜20の1価の炭化水素基、及び炭素数1〜20の1価のフッ素化炭化水素基が好ましい。
【0037】
上記R及びRで表される炭素数1〜20の1価の有機基としては、−CO−と炭素数1〜20の1価のフッ素化炭化水素基とを組み合わせた基が好ましい。
【0038】
上記Rで表される炭素数1〜20の1価の炭化水素基としては、例えば、上記R〜Rで表される炭素数1〜20の1価の有機基として例示した炭素数1〜20の1価の炭化水素基と同様の基等が挙げられる。
【0039】
上記Rで表される炭素数1〜20の1価のフッ素化炭化水素基としては、例えば、上記炭素数1〜20の1価の炭化水素基として例示した基が有する水素原子の一部又は全部が、フッ素原子で置換された基等が挙げられる。
【0040】
上記式(iii)〜(v)で表される好ましい基としては、上記式(iii)として下記式(iii−1)〜(iii−4)が、上記式(iv)として下記式(iv−1)が、上記式(v)として下記式(v−1)〜(v−3)がそれぞれ挙げられる。
【0041】
【化7】
【0042】
これらの中で、式(iii−1)、式(iii−2)、式(iv−1)、式(v−3)がより好ましい。
【0043】
上記Ra1及びRa2で表される炭素数1〜20の1価の炭化水素基としては、例えば、炭素数1〜20のアルキル基、炭素数3〜20の1価の脂環式炭化水素基、炭素数6〜20の1価の芳香族炭化水素基等が挙げられる。
【0044】
上記炭素数1〜20のアルキル基及び炭素数3〜20の1価の脂環式炭化水素基としては、例えば、上記R〜Rで表される炭素数1〜20の1価の有機基の説明中で示したアルキル基及び脂環式炭化水素基の例示と同じ基等をそれぞれ適用することができる。
【0045】
上記炭素数6〜20の1価の芳香族炭化水素基としては、例えば、フェニル基、トリル基、ビフェニル基、ターフェニル基、ベンジル基、ナフチル基等が挙げられる。
【0046】
上記式(i)におけるAは、−SO−O−*又は−NO−O−*であることが好ましく、上記式(i)で表される基としては、下記式で表される基が好ましい。
【0047】
【化8】
【0048】
上記式中、Rは、式(i)と同義である。上記式(i)におけるAを−SO−O−*又は−NO−O−*とすることで、アルカリ解離性基の解離により生じる酸の高い酸性度により[A]重合体がアルカリ現像液にさらに易溶となり、現像欠陥をより低減することができる。
【0049】
構造単位(I)としては、上記式(1)で表される構造単位であることが好ましい。[A]重合体が上記特定の構造単位(I)を有することで、現像欠陥を低減することができ、かつ保存安定性にも優れた樹脂成分を与えることができる。
【0050】
上記式(1)中、R及びAは、上記式(i)と同義である。Xは、単結合又は炭素数1〜20の2価の鎖状炭化水素基である。但し、上記鎖状炭化水素基が有する水素原子の一部又は全部は、フッ素原子で置換されていてもよい。Rは、単結合、炭素数1〜20の2価の鎖状炭化水素基又は炭素数3〜20の2価の脂環式炭化水素基である。Rは、炭素数1〜20の(n+1)価の炭化水素基、又は炭素数1〜20の(n+1)価の炭化水素基と−CO−、−COO−、−OCO−、−O−、−NR−、−CS−、−S−、−SO−、及び−SO−からなる群より選択される少なくとも1種の基とを組み合わせた基である。但し、nが1の場合、Rは、単結合であってもよい。また、上記(n+1)価の炭化水素基が有する水素原子の一部又は全部は、フッ素原子で置換されていてもよい。Eは、単結合、酸素原子、−CO−O−*又は−CO−NH−*である。*は、上記Rとの結合部位を示す。Rは、水素原子、フッ素原子、メチル基又はトリフルオロメチル基である。nは、1〜3の整数である。nが2以上の場合、複数のR、A、X及びRは、それぞれ同一でも異なっていてもよい。
【0051】
上記X及びRで表される炭素数1〜20の2価の鎖状炭化水素基としては、例えば、メチレン基、エチレン基、1,3−プロピレン基、1,2−プロピレン基、1,1−プロピレン基、2,2−プロピレン基、1−メチル−1,3−プロピレン基、2−メチル−1,3−プロピレン基、2−メチル−1,2−プロピレン基、1−メチル−1,4−ブチレン基、2−メチル−1,4−ブチレン基等が挙げられる。なお、「鎖状炭化水素基」とは、主鎖に環状構造を含まず、鎖状構造のみで構成された炭化水素基を意味し、直鎖状炭化水素基及び分岐状炭化水素基の双方を含む。
【0052】
上記Rで表される炭素数3〜20の2価の脂環式炭化水素基としては、例えば、シクロブチレン基、シクロペンチレン基、シクロオクチレン基等の単環式炭化水素基;ノルボルニレン基、アダマンチレン基等の多環式炭化水素基等が挙げられる。
【0053】
上記Rで表される炭素数1〜20の(n+1)価の炭化水素基としては、例えば、炭素数1〜20の直鎖状若しくは分岐状の(n+1)価の炭化水素基、炭素数3〜20の(n+1)価の脂環式炭化水素基、炭素数6〜20の(n+1)価の芳香族炭化水素基等が挙げられる。
【0054】
上記炭素数1〜20の直鎖状若しくは分岐状の(n+1)価の炭化水素基としては、例えば、炭素数1〜20の直鎖状若しくは分岐状の1価のアルキル基から水素原子をn個除いた基等が挙げられる。
【0055】
上記炭素数1〜20の直鎖状若しくは分岐状のアルキル基としては、例えば、メチル基、エチル基、n−プロピル基、i−プロピル基、n−ブチル基、2メチルプロピル基、1−メチルプロピル基、t−ブチル基等が挙げられる。
【0056】
上記炭素数3〜20の(n+1)価の脂環式炭化水素基は、炭素数3〜20の1価の脂環式炭化水素基から水素原子をn個除いた基である。
【0057】
上記炭素数3〜20の1価の脂環式炭化水素基としては、例えば、シクロプロピル基、シクロブチル基、シクロペンチル基、シクロヘキシル基、ノルボルニル基、アダマンチル基等が挙げられる。
【0058】
上記炭素数6〜20の(n+1)価の芳香族炭化水素基は、炭素数6〜20の1価の芳香族炭化水素基から水素原子をn個除いた基である。
【0059】
上記炭素数6〜20の1価の芳香族炭化水素基としては、例えば、フェニル基、トリル基、ナフチル基等が挙げられる。
【0060】
上記構造単位(I)としては、下記式で表される構造単位が好ましい。
【0061】
【化9】
【0062】
上記式中、R、R及びAは、上記式(1)と同義である。
【0063】
[A]重合体における全構造単位に対する構造単位(I)の含有割合としては、10モル%〜100モル%が好ましく、20モル%〜98モル%がより好ましい。構造単位(I)の含有割合を上記特定範囲とすることで、液浸露光時においては高い撥水性を示すと共に、現像時においてはアルカリ現像液に対して十分な溶解性を確保することができる。
【0064】
[構造単位(II)]
[A]重合体は、下記式(2)で表される構造単位(II)を有していてもよい。[A]重合体が構造単位(II)を有することで、現像後のレジストパターンの形状をより改善することができる。
【0065】
【化10】
【0066】
上記式(2)中、Rは、水素原子、フッ素原子、メチル基又はトリフルオロメチル基である。Yは、酸解離性基である。
【0067】
上記Yで表される酸解離性基としては、下記式(Y−1)で表される基が好ましい。
【0068】
【化11】
【0069】
上記式(Y−1)中、Rb1、Rb2及びRb3は、それぞれ独立して、炭素数1〜4のアルキル基又は炭素数3〜20の1価の脂環式炭化水素基である。Rb2及びRb3は互いに結合して、それらが結合している炭素原子と共に炭素数3〜20の2価の脂環式炭化水素基を形成してもよい。
【0070】
上記Rb1、Rb2及びRb3で表される炭素数1〜4のアルキル基としては、例えば、メチル基、エチル基、n−プロピル基、i−プロピル基、n−ブチル基、2−メチルプロピル基、1−メチルプロピル基、t−ブチル基等が挙げられる。
【0071】
上記Rb1、Rb2及びRb3で表される炭素数3〜20の1価の脂肪族環状炭化水素基、並びに上記Rb2及びRb3が互いに結合してそれらが結合している炭素原子と共に形成される炭素数3〜20の2価の脂環式炭化水素基としては、例えば、アダマンタン骨格、ノルボルナン骨格等の有橋式骨格や、シクロペンタン、シクロヘキサン等の単環のシクロアルカン骨格を有する基;これらの基を、例えば、メチル基、エチル基、n−プロピル基、i−プロピル基等の炭素数1〜10の直鎖状、分岐状又は環状のアルキル基の1種又は1個以上で置換した基等の脂環式炭化水素骨格を有する基が挙げられる。
【0072】
これらの中でも、現像後のレジストパターンの形状をより改善させることができる点で単環のシクロアルカン骨格を有する基が好ましい。
【0073】
上記構造単位(II)としては、例えば、下記式(2−1)〜(2−7)で表される構造単位等が挙げられる。
【0074】
【化12】
【0075】
上記式(2−1)〜(2−7)中、Rは、式(2)と同義である。Rb1、Rb2及びRb3は、式(Y−1)と同義である。rは、それぞれ独立して、1〜3の整数である。
【0076】
上記構造単位(II)の含有割合としては、[A]重合体における全構造単位に対して70モル%以下が好ましく、5モル%〜90モル%がより好ましく、5モル%〜80モル%が特に好ましい。構造単位(II)の含有割合を上記特定範囲とすることで、現像後のレジストパターンの形状をさらに改善することができる。
[構造単位(III)]
[A]重合体は、下記式(3)で表される構造単位(III)を有していてもよい。[A]重合体が構造単位(III)を有することで、現像液に対する親和性を向上させることができる。
【0077】
【化13】
【0078】
上記式(3)中、Rは、水素原子、フッ素原子、メチル基又はトリフルオロメチル基である。RL1は、単結合又は2価の連結基である。RLcは、ラクトン構造を有する1価の有機基、スルトン構造を有する1価の有機基又は環状カーボネート構造を有する1価の有機基である。
【0079】
上記RL1で表される2価の連結基としては、例えば、炭素数1〜20の2価の炭化水素基等が挙げられる。この炭素数1〜20の2価の炭化水素基としては、例えば、上記R〜Rで表される炭素数1〜20の1価の有機基において例示した炭素数1〜20の2価の炭化水素基と同様の基等を適用することができる。
【0080】
構造単位(III)としては、例えば、下記式(3−1)〜(3−9)で表されるラクトン構造を有する構造単位、下記式(3−10)〜(3−21)で表されるスルトン構造を有する構造単位、及び下記式(3−22)〜(3−30)で表される環状カーボネート構造を有する構造単位等が挙げられる。
【0081】
【化14】
【化15】
【化16】
【0082】
上記式中、Rは、式(3)と同義である。これらの中で、式(3−1)、(3−9)及び式(3−22)で表される構造単位が好ましい。
【0083】
上記構造単位(III)の含有割合としては、[A]重合体における全構造単位に対して50モル%以下が好ましく、40モル%以下がより好ましく、5〜30モル%が特に好ましい。上記構造単位(III)の含有割合を上記特定範囲とすることで、現像液に対する親和性を効果的に向上させることができる。
【0084】
[他の構造単位]
[A]重合体は、本発明の効果を損なわない範囲で、上記構造単位(I)〜(III)以外の他の構造単位を有していてもよい。
【0085】
[A]重合体の含有量としては、当該組成物中における[A]重合体と必要に応じて含有する他の重合体とを合わせた全重合体に対して、通常0.1質量%〜20質量%であり、0.5質量%〜15質量%が好ましく、1質量%〜10質量%がより好ましい。[A]重合体の含有量が0.1質量%未満であると、レジスト膜の撥水性に場所的なムラを生じるおそれがあり、20質量%を超えると、露光部と未露光部とでレジスト膜の溶解差が小さくなるため、レジストパターンの形状が悪化するおそれがある。
【0086】
<[A]重合体の合成方法>
[A]重合体は、ラジカル重合等の常法に従って合成することができる。例えば、(1)単量体及びラジカル開始剤を含有する溶液を、反応溶媒又は単量体を含有する溶液に滴下して重合反応させる方法、(2)単量体を含有する溶液とラジカル開始剤を含有する溶液とを各別に、反応溶媒又は単量体を含有する溶液に滴下して重合反応させる方法、(3)各々の単量体を含有する複数種の溶液と、ラジカル開始剤を含有する溶液とを各別に、反応溶媒又は単量体を含有する溶液に滴下して重合反応させる方法、(4)単量体及びラジカル開始剤を含有する溶液を無溶媒中や反応溶媒中で重合反応させる方法、等で合成することが好ましい。
【0087】
なお、単量体溶液に対して、単量体溶液を滴下して反応させる場合、滴下される単量体溶液中の単量体量は、重合に用いられる単量体総量に対して30モル%以上であることが好ましく、50モル%以上であることがより好ましく、70モル%以上であることが特に好ましい。
【0088】
これらの方法における反応温度は開始剤種によって適宜決定すればよい。通常30℃〜150℃であり、40℃〜150℃が好ましく、50℃〜140℃がより好ましい。滴下時間は、反応温度、開始剤の種類、反応させる単量体等の条件によって異なるが、通常30分〜8時間であり、45分〜6時間が好ましく、1時間〜5時間がより好ましい。また、滴下時間を含む全反応時間も、滴下時間と同様に条件により異なるが、通常30分〜12時間であり、45分〜12時間が好ましく、1〜10時間がより好ましい。
【0089】
上記重合に使用されるラジカル開始剤としては、例えば、2,2’−アゾビス(2−イソブチロニトリル)、2,2’−アゾビス(4−メトキシ−2,4−ジメチルバレロニトリル)、2,2’−アゾビス(2−シクロプロピルプロピオニトリル)、2,2’−アゾビス(2,4−ジメチルバレロニトリル)、ジメチル2,2’−アゾビス(2−イソブチロニトリル)、ジメチル2,2’−アゾビス(2−メチルプロピオネート)等のアゾ系ラジカル開始剤;ベンゾイルパーオキサイド、t−ブチルハイドロパーオキサイド、クメンハイドロパーオキサイド等の過酸化物系ラジカル開始剤等が挙げられ。この中で、2,2’−アゾビス(2−イソブチロニトリル)、ジメチル2,2’−アゾビス(2−イソブチロニトリル)が好ましい。なお、ラジカル開始剤は、単独で又は2種以上を組み合わせて用いてもよい。
【0090】
反応溶媒としては、重合を阻害する溶媒(重合禁止効果を有するニトロベンゼン、連鎖移動効果を有するメルカプト化合物等)以外の溶媒であって、その単量体を溶解可能な溶媒であれば使用することができる。例えば、アルコール類、エーテル類、ケトン類、アミド類、エステル・ラクトン類、ニトリル類及びその混合溶媒等が挙げられる。これらの溶媒は、単独で又は2種以上を組み合わせて用いてもよい。
【0091】
重合反応により得られた重合体は、再沈殿法により回収することが好ましい。すなわち重合反応終了後、重合液を再沈溶媒に投入することにより、目的の重合体を粉体として回収する。再沈溶媒としては、アルコール類やアルカン類等を単独で又は2種以上を組み合わせて用いてもよい。また、再沈殿法の他に、分液操作やカラム操作、限外ろ過操作等により、単量体、オリゴマー等の低分子成分を除去して、重合体を回収することもできる。
【0092】
[A]重合体のゲルパーミエーションクロマトグラフィ(GPC)によるポリスチレン換算重量平均分子量(Mw)は、1,000〜50,000が好ましく、1,000〜40,000がより好ましく、1,000〜30,000が特に好ましい。[A]重合体のMwが1,000未満であると、液浸露光時に十分な撥水性を発現しないおそれがある。一方、[A]重合体のMwが50,000を超えると、レジスト膜の現像性が低下するおそれがある。
【0093】
[A]重合体のGPCによるポリスチレン換算数平均分子量(Mn)に対するMwの比(Mw/Mn)は、通常1.0〜5.0であり、1.0〜4.0が好ましく、1.0〜2.0がより好ましい。
【0094】
<[B]酸発生体>
[B]酸発生体は、放射線の露光により酸を発生する感放射線性の成分である。当該組成物が[B]酸発生体を含有することで、露光により発生した酸の作用により後述する[C]重合体等の重合体が有する酸解離性基などを解離させ、生成したカルボキシル基等の極性により露光部における上記重合体が現像液に対して易溶となる。当該組成物を構成する[B]酸発生体の含有形態としては、後述のような化合物の形態(以下、適宜「[B]酸発生剤」とも称する)でも、重合体の一部として組み込まれた形態でも、これらの両方の形態でもよい。なお、[B]酸発生体は、単独で又は2種以上を組み合わせて用いてもよい。
【0095】
[B]酸発生剤の具体例としては、例えば、特開2009−134088号公報の段落[0080]〜[0113]に記載の化合物等が挙げられるが、ヨードニウム塩、スルホニウム塩、テトラヒドロチオフェニウム塩等のオニウム塩化合物、スルホン酸化合物が好ましい。
【0096】
[B]酸発生剤としては、具体的には、
ヨードニウム塩として、ジフェニルヨードニウムトリフルオロメタンスルホネート、ジフェニルヨードニウムノナフルオロ−n−ブタンスルホネート、ジフェニルヨードニウムパーフルオロ−n−オクタンスルホネート、ビス(4−t−ブチルフェニル)ヨードニウムトリフルオロメタンスルホネート、ビス(4−t−ブチルフェニル)ヨードニウムノナフルオロ−n−ブタンスルホネート、ビス(4−t−ブチルフェニル)ヨードニウムパーフルオロ−n−オクタンスルホネート;
【0097】
スルホニウム塩として、トリフェニルスルホニウムトリフルオロメタンスルホネート、トリフェニルスルホニウムノナフルオロ−n−ブタンスルホネート、トリフェニルスルホニウムパーフルオロ−n−オクタンスルホネート、シクロヘキシル・2−オキソシクロヘキシル・メチルスルホニウムトリフルオロメタンスルホネート、ジシクロヘキシル・2−オキソシクロヘキシルスルホニウムトリフルオロメタンスルホネート、2−オキソシクロヘキシルジメチルスルホニウムトリフルオロメタンスルホネート、4−ヒドロキシ−1−ナフチルジメチルスルホニウムトリフルオロメタンスルホネート;
【0098】
テトラヒドロチオフェニウム塩として、4−ヒドロキシ−1−ナフチルテトラヒドロチオフェニウムトリフルオロメタンスルホネート、4−ヒドロキシ−1−ナフチルテトラヒドロチオフェニウムノナフルオロ−n−ブタンスルホネート、4−ヒドロキシ−1−ナフチルテトラヒドロチオフェニウムパーフルオロ−n−オクタンスルホネート、1−(1−ナフチルアセトメチル)テトラヒドロチオフェニウムトリフルオロメタンスルホネート、1−(1−ナフチルアセトメチル)テトラヒドロチオフェニウムノナフルオロ−n−ブタンスルホネート、1−(1−ナフチルアセトメチル)テトラヒドロチオフェニウムパーフルオロ−n−オクタンスルホネート、1−(3,5−ジメチル−4−ヒドロキシフェニル)テトラヒドロチオフェニウムトリフルオロメタンスルホネート、1−(3,5−ジメチル−4−ヒドロキシフェニル)テトラヒドロチオフェニウムノナフルオロ−n−ブタンスルホネート、1−(3,5−ジメチル−4−ヒドロキシフェニル)テトラヒドロチオフェニウムパーフルオロ−n−オクタンスルホネート;
【0099】
スルホン酸化合物として、トリフルオロメタンスルホニルビシクロ[2.2.1]ヘプト−5−エン−2,3−ジカルボジイミド、ノナフルオロ−n−ブタンスルホニルビシクロ[2.2.1]ヘプト−5−エン−2,3−ジカルボジイミド、パーフルオロ−n−オクタンスルホニルビシクロ[2.2.1]ヘプト−5−エン−2,3−ジカルボジイミド、N−ヒドロキシスクシイミドトリフルオロメタンスルホネート、N−ヒドロキシスクシイミドノナフルオロ−n−ブタンスルホネート、N−ヒドロキシスクシイミドパーフルオロ−n−オクタンスルホネート、1,8−ナフタレンジカルボン酸イミドトリフルオロメタンスルホネートが好ましい。
【0100】
[B]酸発生剤の含有量としては、レジストとしての感度及び現像性を確保する観点から、当該組成物に含まれる重合体の総量100質量部に対して0.1質量部〜30質量部であることが好ましく、0.1質量部〜20質量部であることがより好ましい。[B]酸発生剤の含有量が0.1質量部未満では、感度及び現像性が低下する傾向にある。一方、30質量部を超えると、放射線に対する透明性が低下して矩形のレジストパターンが得られ難くなる傾向がある。
【0101】
<[C]重合体>
[C]重合体は、[A]重合体よりもフッ素原子含有率の小さい重合体であり、酸解離性基を有するものである。[C]重合体が酸解離性基を有することで、当該組成物の放射線に対する感度を向上させることができると共に、[C]重合体のフッ素原子含有率が[A]重合体よりも小さいことで、[A]重合体がレジスト膜の表層に偏在化する度合いを高め、液浸露光時の液浸露光液に対する撥水性をより向上させることができる。[C]重合体のフッ素原子含有率としては、5質量%未満が好ましく、3質量%以下がより好ましく、1質量%以下がさらに好ましい。なお、フッ素原子含有率は、13C−NMRを用いて重合体の構造を同定し、この構造から算出することができる。
【0102】
[C]重合体は、上記構成を満たす限りその具体的な構造は特に限定されないが、[A]重合体についての上記式(2)で表される構造単位(II)を有することが好ましい。また、[C]重合体は、本発明の効果を損なわない範囲で、[A]重合体についての上記式(3)で表される構造単位(III)や他の構造単位を有していてもよい。なお、[C]重合体は、各構造単位を2種以上有していてもよい。
【0103】
[構造単位(II)]
上記構造単位(II)の含有割合としては、[C]重合体における全構造単位に対して5モル%〜90モル%が好ましく、10モル%〜80モル%がより好ましく、20モル%〜70モル%が特に好ましい。上記構造単位(II)の含有割合を上記特定範囲とすることで、放射線に対する感度をより高め、現像後のレジストパターンの形状を効果的に改善することができる。
【0104】
[構造単位(III)]
上記構造単位(III)の含有割合としては、[C]重合体における全構造単位に対して80モル%以下が好ましく、60モル%以下がより好ましく、10〜50モル%が特に好ましい。上記構造単位(III)の含有割合を上記特定範囲とすることで、現像液に対する親和性を効果的に向上させることができる。
【0105】
[他の構造単位]
[C]重合体は、本発明の効果を損なわない範囲で、上記構造単位(II)や(III)以外の他の構造単位を有していてもよい。
【0106】
[C]重合体を含有する場合の含有量としては、当該組成物中の全固形分に対して、通常70質量%以上であり、80質量%以上が好ましい。含有量が70質量%未満であると、レジストパターンの解像性能が低下する場合がある。
【0107】
<[C]重合体の合成方法>
[C]重合体は、例えば、各構造単位に対応する単量体を、ラジカル重合開始剤を使用し、適当な溶媒中で重合することにより製造できる。[C]重合体の合成方法としては、[A]重合体と同様な方法を適用できるため、その詳細な説明は省略する。
【0108】
[C]重合体のMwとしては、通常3,000〜300,000であり、4,000〜200,000が好ましく、4,000〜100,000がより好ましい。Mwが3,000未満であると、レジスト膜の耐熱性が低下するおそれがあり、Mwが300,000を超えると現像性が低下するおそれがある。
【0109】
[C]重合体のMnに対するMwの比(Mw/Mn)は、通常1.0〜5.0であり、1.0〜4.0が好ましく、1.0〜2.0がより好ましい。
【0110】
<[D]酸拡散制御体>
本発明の液浸露光用レジスト組成物は、[D]酸拡散制御体をさらに含有することが好ましい。[D]酸拡散制御体としては、例えば、下記式(4)で表される化合物(以下、「含窒素化合物(I)」ともいう)、同一分子内に窒素原子を2個有する化合物(以下、「含窒素化合物(II)」ともいう)、窒素原子を3個以上有する化合物(以下、「含窒素化合物(III)」ともいう)、アミド基含有化合物、ウレア化合物、含窒素複素環化合物等を挙げることができる。当該組成物が[D]酸拡散制御体を含有することで、レジストパターン形状を向上させることができると共に、当該組成物の保存安定性をより高めることができる。[D]酸拡散制御体の当該組成物における含有形態としては、後述するような化合物である酸拡散制御剤の形態(以下、適宜「[D]酸拡散制御剤」ともいう)でも、[A]重合体や[C]重合体等他の重合体の一部として組み込まれた酸拡散制御基の形態でも、これらの両方の形態でもよい。
【0111】
【化17】
【0112】
上記式(4)中、R10〜R12は、それぞれ独立して、水素原子、置換されていてもよい直鎖状、分岐状若しくは環状のアルキル基、アリール基又はアラルキル基である。
【0113】
含窒素化合物(I)としては、例えば、n−ヘキシルアミン等のモノアルキルアミン類;ジ−n−ブチルアミン等のジアルキルアミン類;トリエチルアミン等のトリアルキルアミン類;アニリン等の芳香族アミン類等が挙げられる。
【0114】
含窒素化合物(II)としては、例えば、エチレンジアミン、N,N,N’,N’−テトラメチルエチレンジアミン等が挙げられる。
【0115】
含窒素化合物(III)としては、例えば、ポリエチレンイミン、ポリアリルアミン等のポリアミン化合物;ジメチルアミノエチルアクリルアミド等の重合体等が挙げられる。
【0116】
アミド基含有化合物としては、例えば、ホルムアミド、N−メチルホルムアミド、N,N−ジメチルホルムアミド、アセトアミド、N−メチルアセトアミド、N,N−ジメチルアセトアミド、プロピオンアミド、ベンズアミド、ピロリドン、N−メチルピロリドン、N−t−アミロキシカルボニル−4−ヒドロキシピペリジン等が挙げられる。
【0117】
ウレア化合物としては、例えば、尿素、メチルウレア、1,1−ジメチルウレア、1,3−ジメチルウレア、1,1,3,3−テトラメチルウレア、1,3−ジフェニルウレア、トリブチルチオウレア等が挙げられる。
【0118】
含窒素複素環化合物としては、例えば、ピリジン、2−メチルピリジン等のピリジン類、ピラジン、ピラゾール、N−(ウンデシルカルボニルオキシエチル)モルホリン等が挙げられる。
【0119】
また、[D]酸拡散制御体としては、酸解離性基を有する含窒素有機化合物を用いることもできる。このような酸解離性基を有する含窒素有機化合物としては、例えば、N―(t−ブトキシカルボニル)ピペリジン、N―(t−ブトキシカルボニル)イミダゾール、N―(t−ブトキシカルボニル)ベンズイミダゾール、N―(t−ブトキシカルボニル)−2−フェニルベンズイミダゾール、N―(t−ブトキシカルボニル)ジ−n−オクチルアミン、N―(t−ブトキシカルボニル)ジエタノールアミン、N―(t−ブトキシカルボニル)ジシクロヘキシルアミン、N―(t−ブトキシカルボニル)ジフェニルアミン、N−(t−ブトキシカルボニル)−4−ヒドロキシピペリジン等が挙げられる。
【0120】
また、[D]酸拡散制御体としては、下記式(5)で表される化合物を用いることもできる。
【0121】
【化18】
【0122】
上記式(5)中、Xは、下記式(5−1−1)又は(5−1−2)で表されるカチオンである。Zは、OH、RD1−COOで表されるアニオン、RD1−SOで表されるアニオン又はRD1−N−SO−RD2で表されるアニオンである。RD1は、置換されていてもよいアルキル基、1価の脂肪族環状炭化水素基又はアリール基である。RD2は、一部又は全部の水素原子がフッ素原子で置換されたアルキル基若しくは1価の脂環式炭化水素基である。
【0123】
【化19】
【0124】
上記式(5−1−1)中、RD3〜RD5は、それぞれ独立して、水素原子、アルキル基、アルコキシ基、水酸基又はハロゲン原子である。上記式(5−1−2)中、RD6及びRD7は、それぞれ独立して、水素原子、アルキル基、アルコキシ基、水酸基又はハロゲン原子である。
【0125】
上記化合物は、露光により分解して酸拡散制御性を失う酸拡散制御剤(以下、「光分解性酸拡散制御剤」ともいう)として用いられるものである。当該組成物がこの光分解性酸拡散制御剤を含有することで、露光部では酸が拡散し、未露光部では酸の拡散が制御されることにより露光部と未露光部のコントラストが優れる(すなわち、露光部と未露光部の境界部分が明確になる)ため、レジストパターンの解像性能の改善に有効であると共に、当該組成物の保存安定性をよりいっそう高めることができる。
【0126】
上記式(5)におけるXは、上記式(5−1−1)又は(5−1−2)で表されるカチオンである。そして、上記式(5−1−1)におけるRD3〜RD5は、それぞれ独立して、水素原子、アルキル基、アルコキシル基、水酸基又はハロゲン原子であり、これらの中でも、上記化合物の現像液に対する溶解性を低下させる効果があるため、水素原子、アルキル基、アルコキシ基、ハロゲン原子であることが好ましい。また、上記式(5−1−2)中のRD6及びRD7は、それぞれ独立に、水素原子、アルキル基、アルコキシル基、水酸基、又はハロゲン原子であり、これらの中でも水素原子、アルキル基、ハロゲン原子であることが好ましい。
【0127】
上記式(5)中のZは、OH、RD1−COOで表されるアニオン、RD1−SOで表されるアニオン又は式RD1−N−SO−RD2で表されるアニオンである。但し、これらの式中のRD1は、置換されていてもよいアルキル基、脂環式炭化水素基又はアリール基であり、これらの中でも、上記化合物の現像液に対する溶解性を低下させる効果があるため、脂環式炭化水素基又はアリール基であることが好ましい。
【0128】
上記式(5)における置換されていてもよいアルキル基としては、例えば、ヒドロキシメチル基等の炭素数1〜4のヒドロキシアルキル基;メトキシ基等の炭素数1〜4のアルコキシル基;シアノ基;シアノメチル基等の炭素数2〜5のシアノアルキル基等の置換基を1種以上有する基等が挙げられる。これらの中でも、ヒドロキシメチル基、シアノ基、シアノメチル基が好ましい。
【0129】
上記式(5)における置換されていてもよい脂環式炭化水素基としては、例えば、ヒドロキシシクロペンタン、ヒドロキシシクロヘキサン、シクロヘキサノン等の単環のシクロアルカン骨格;1,7,7−トリメチルビシクロ[2.2.1]ヘプタン−2−オン(カンファー)等の有橋脂環式炭化水素骨格等の脂環式炭化水素由来の1価の基等が挙げられる。これらの中でも、1,7,7−トリメチルビシクロ[2.2.1]ヘプタン−2−オン由来の基が好ましい。
【0130】
上記式(5)における置換されていてもよいアリール基としては、例えば、フェニル基、ベンジル基、フェニルエチル基、フェニルプロピル基、フェニルシクロヘキシル基等、及びこれらの基の水素原子の一部又は全部を、ヒドロキシ基、シアノ基等で置換した基等が挙げられる。これらの中でも、フェニル基、ヒドロキシフェニル基、ベンジル基又はフェニルシクロヘキシル基が好ましい。
【0131】
上記式(5)におけるZは、下記式(5−2−1)で表されるアニオン(RD1が2−ヒドロキシフェニル基であるRD1−COOで表されるアニオン)、下記式(5−2−2)で表されるアニオン(RD1が1,7,7−トリメチルビシクロ[2.2.1]ヘプタン−2−オン由来の基であるRD1−SOで表されるアニオン)又は下記式(5−2−3)で表されるアニオン(RD1がブチル基であり、RD2がトリフルオロメチル基であるRD1−N−SO−RD2で表されるアニオン)であることが好ましい。
【0132】
【化20】
【0133】
上記光分解性酸拡散制御剤は、上記式(5)で表されるものであり、具体的には、上記条件を満たすスルホニウム塩化合物又はヨードニウム塩化合物であることが好ましい。
【0134】
上記スルホニウム塩化合物としては、例えば、トリフェニルスルホニウムハイドロオキサイド、トリフェニルスルホニウムサリチラート、トリフェニルスルホニウム4−トリフルオロメチルサリチラート、ジフェニル−4−ヒドロキシフェニルスルホニウムサリチラート、トリフェニルスルホニウム10−カンファースルホネート、4−t−ブトキシフェニル・ジフェニルスルホニウム10−カンファースルホネート等が挙げられる。これらの中でも、トリフェニルスルホニウムサリチラート、トリフェニルスルホニウム10−カンファースルホネートがより好ましい。なお、これらのスルホニウム塩化合物は、単独で又は2種以上を組み合わせて用いてもよい。
【0135】
上記ヨードニウム塩化合物としては、例えば、ビス(4−t−ブチルフェニル)ヨードニウムハイドロオキサイド、ビス(4−t−ブチルフェニル)ヨードニウムサリチラート、ビス(4−t−ブチルフェニル)ヨードニウム4−トリフルオロメチルサリチラート、ビス(4−t−ブチルフェニル)ヨードニウム10−カンファースルホネート等が挙げられる。なお、これらのヨードニウム塩化合物は、単独で又は2種以上を組み合わせて用いてもよい。
【0136】
[D]酸拡散制御体は、光分解性酸拡散制御剤であることが好ましい。[D]酸拡散制御体が光分解性酸拡散制御剤であることで、当該組成物の保存安定性をよりいっそう高めることができる。なお、[D]酸拡散制御体は、単独で又は2種以上を組み合わせて用いてもよい。
【0137】
[D]酸拡散制御剤の含有量としては、当該組成物に含まれる重合体の総量100質量部に対して、30質量部以下が好ましく、20質量部以下がより好ましく、10質量部以下がさらに好ましく、5質量部以下が特に好ましい。[D]酸拡散制御剤が過剰に含有されると、形成したレジスト膜の感度が著しく低下するおそれがある。
【0138】
<[E]溶媒>
[E]溶媒は、本発明の液浸露光用レジスト組成物が通常含有する成分である。[E]溶媒としては、[A]重合体及び[B]酸発生体、並びに必要に応じて含有する[C]重合体や[D]酸拡散制御剤等の任意成分を溶解又は分散することができれば特に限定されない。なお、[E]溶媒は、単独で又は2種以上を混合して用いてもよい。
【0139】
[E]溶媒としては、例えば、
2−ペンタノン、2−ヘキサノン、2−ヘプタノン、2−オクタノン等の直鎖状又は分岐状のケトン類;
シクロペンタノン、シクロヘキサノン等の環状のケトン類;
プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート、プロピレングリコールモノエチルエーテルアセテート等のプロピレングリコールモノアルキルエーテルアセテート類;
エチレングリコールモノメチルエーテルアセテート、エチレングリコールモノエチルエーテルアセテート等のエチレングリコールモノアルキルエーテルアセテート類;
プロピレングリコールモノメチルエーテル、プロピレングリコールモノエチルエーテル等のプロピレングリコールモノアルキルエーテル類;
エチレングリコールモノメチルエーテル、エチレングリコールモノエチルエーテル等のエチレングリコールモノアルキルエーテル類;
ジエチレングリコールジメチルエーテル、ジエチレングリコールジエチルエーテル等のジエチレングリコールジアルキルエーテル類;
2−ヒドロキシプロピオン酸メチル、2−ヒドロキシプロピオン酸エチル等の2−ヒドロキシプロピオン酸アルキル類;
3−メトキシプロピオン酸メチル、3−メトキシプロピオン酸エチル、3−エトキシプロピオン酸メチル、3−エトキシプロピオン酸エチル等の3−アルコキシプロピオン酸アルキル類;
ジエチルカーボネート、プロピレンカーボネート、酸メチル、酢酸エチル、酢酸n−ブチル、ピルビン酸メチル、ピルビン酸エチル、γ−ブチロラクトン、γ−バレロラクトン、等のエステル類;
等が挙げられる。
【0140】
これらの中でも、直鎖状又は分岐状のケトン類、環状のケトン類、プロピレングリコールモノアルキルエーテルアセテート類、プロピレングリコールモノアルキルエーテル類、2−ヒドロキシプロピオン酸アルキル類及び3−アルコキシプロピオン酸アルキル類が好ましく、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート、γ−ブチロラクトン、シクロヘキサノンがより好ましい。
【0141】
<その他の任意成分>
当該液浸露光用レジスト組成物は、本発明の効果を損なわない範囲で、偏在化促進剤、界面活性剤等のその他の任意成分を含有してもよい。その他の任意成分は、それぞれ、単独で又は2種以上を組み合わせて用いてもよい。また、その他の任意成分の含有量は、その目的に応じて適宜決定することができる。
【0142】
(偏在化促進剤)
偏在化促進剤は、[A]重合体を、より効率的にレジスト膜表面に偏析させる効果を有する。当該組成物がこの偏在化促進剤を含有することで、[A]重合体の添加量を従来よりも少なくすることができる。従って、感度やLWR等の一般的特性を損なうことなく、レジスト膜から液浸露光液への成分の溶出をさらに抑制したり、高速スキャンにより液浸露光をより高速に行うことが可能となる。
【0143】
このような偏在化促進剤として用いることができるものとしては、比誘電率が30以上200以下で、1気圧における沸点が100℃以上の低分子化合物が挙げられる。上記化合物としては、具体的には、ラクトン化合物、カーボネート化合物、ニトリル化合物、多価アルコール等が挙げられる。
【0144】
上記ラクトン化合物としては、例えば、γ−ブチロラクトン、バレロラクトン、メバロニックラクトン、ノルボルナンラクトン等が挙げられる。
上記カーボネート化合物としては、例えば、プロピレンカーボネート、エチレンカーボネート、ブチレンカーボネート、ビニレンカーボネート等が挙げられる。
上記ニトリル化合物としては、例えば、スクシノニトリル等が挙げられる。
上記多価アルコールとしては、例えば、グリセリン等が挙げられる。
【0145】
上記偏在化促進剤の含有量は、当該組成物に含まれる重合体の総量100質量部に対して、10質量部〜500質量部が好ましく、30質量部〜300質量部がより好ましい。なお、上記偏在化促進剤は、単独で又は2種以上を組み合わせて用いてもよい。
【0146】
(界面活性剤)
界面活性剤は、塗布性等を向上させる成分である。界面活性剤としては、例えば、ポリオキシエチレンラウリルエーテル、ポリオキシエチレンステアリルエーテル、ポリオキシエチレンオレイルエーテル、ポリオキシエチレンn−オクチルフェニルエーテル、ポリオキシエチレンn−ノニルフェニルエーテル、ポリエチレングリコールジラウレート、ポリエチレングリコールジステアレート等のノニオン系界面活性剤の他、以下商品名で、KP341(信越化学工業製)、ポリフローNo.75、同No.95(共栄社化学製)、エフトップEF301、同EF303、同EF352(トーケムプロダクツ製)、メガファックF171、同F173(大日本インキ化学工業製)、フロラードFC430、同FC431(住友スリーエム製)、アサヒガードAG710、サーフロンS−382、同SC−101、同SC−102、同SC−103、同SC−104、同SC−105、同SC−106(旭硝子製)等が挙げられる。
【0147】
上記界面活性剤の含有量は、当該組成物に含まれる重合体の総量100質量部に対して、通常2質量部以下である。なお、上記界面活性剤は、単独で又は2種以上を組み合わせて用いてもよい。
【0148】
<液浸露光用レジスト組成物の調製>
本発明の液浸露光用レジスト組成物は、通常、全固形分濃度が1質量%〜50質量%、好ましくは1質量%〜25質量%となるように[E]溶媒に溶解した後、例えば、孔径5nm程度のフィルターでろ過することによって調製される。フィルターの材質は特に制限されることは無いが、例えば、ナイロン6,6やナイロン6、ポリエチレン、或いはこれらを組み合わせたもの等が挙げられる。
【0149】
なお、当該液浸露光用レジスト組成物は、ハロゲンイオン、金属等の不純物の含有量が少ないほど好ましい。このような不純物の含有量が少ないと、レジスト膜の感度、解像度、プロセス安定性、パターン形状等をさらに向上させることができる。そのため、当該組成物が含有する[A]重合体や[C]重合体等の重合体は、例えば、水洗、液々抽出等の化学的精製法や、これらの化学的精製法と限外ろ過、遠心分離等の物理的精製法との組み合わせ等によって精製することが好ましい。
【0150】
<レジストパターンの形成方法>
当該液浸露光用レジスト組成物を用いたレジストパターンの形成方法は、通常、
(1)当該液浸露光用レジスト組成物を基板上に塗布し、レジスト膜を形成する工程、
(2)上記レジスト膜上に液浸露光液を配置し、この液浸露光液を介して放射線を上記レジスト膜に照射し、レジスト膜を液浸露光する工程、及び
(3)上記液浸露光されたレジスト膜を現像液により現像してレジストパターンを形成する工程を含む。
【0151】
[工程(1)]
本工程では、本発明の液浸露光用レジスト組成物を基板上に塗布し、レジスト膜を形成する。
【0152】
上記基板としては、例えば、シリコンウエハ、アルミニウムで被覆したウエハ等が挙げられる。この基板上に当該組成物を塗布することによりレジスト膜が形成される。当該組成物の塗布方法としては、特に限定されないが、例えば、スピンコート法等の公知の方法により塗布することができる。当該組成物を塗布する際には、形成されるレジスト膜が所望の膜厚となるように、塗布する当該組成物の量を調整する。なお、当該組成物を基板上に塗布した後、溶媒を揮発させるためにプレベーク(以下、「PB」ともいう)を行ってもよい。プレベークの加熱温度としては、通常30℃〜200℃であり、50℃〜150℃が好ましい。
【0153】
[工程(2)]
本工程では、上記工程(1)で形成されたレジスト膜上に液浸露光液を配置し、この液浸露光液を介して放射線を上記レジスト膜に照射し、このレジスト膜を液浸露光する。
【0154】
上記液浸露光液としては、通常、空気より屈折率の高い液体を使用する。具体的には、例えば、純水、長鎖又は環状の脂肪族化合物等が挙げられる。この液浸露光液を介した状態、すなわち、レンズとレジスト膜との間に液浸露光液を満たした状態で、露光装置から放射線を照射し、所定のパターンを有するマスクを介してレジスト膜を露光する。
【0155】
上記放射線としては、使用される酸発生剤の種類に応じて、可視光線、紫外線、遠紫外線、X線、荷電粒子線等から適宜選定されて使用されるが、この中でも、ArFエキシマレーザー光(波長193nm)及びKrFエキシマレーザー光(波長248nm)に代表される遠紫外線が好ましく、ArFエキシマレーザー光(波長193nm)がより好ましい。なお、露光量等の露光条件は、液浸露光用レジスト組成物の配合組成や添加剤の種類等に応じて適宜選定することができる。
【0156】
本発明においては、露光後に加熱処理(PEB)を行うことが好ましい。このPEBにより、樹脂成分中の酸解離性基の解離反応を円滑に進行させることができる。PEBの加熱条件は、液浸露光用レジスト組成物の配合組成によって適宜調整されるが、通常30℃〜200℃であり、50℃〜170℃が好ましい。
【0157】
また、液浸露光用レジスト組成物の潜在能力を最大限に引き出すため、例えば、特公平6−12452号公報(特開昭59−93448号公報)等に開示されているように、使用される基板上に有機系又は無機系の反射防止膜を形成しておくこともできる。また、環境雰囲気中に含まれる塩基性不純物等の影響を防止するため、例えば、特開平5−188598号公報等に開示されているように、レジスト膜上に保護膜を設けることもできる。
【0158】
[工程(3)]
本工程では、工程(2)で液浸露光されたレジスト膜を現像液により現像してレジストパターンを形成する。
【0159】
上記現像液としては、例えば、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、炭酸ナトリウム、けい酸ナトリウム、メタけい酸ナトリウム、アンモニア水、エチルアミン、n−プロピルアミン、ジエチルアミン、ジ−n−プロピルアミン、トリエチルアミン、メチルジエチルアミン、エチルジメチルアミン、トリエタノールアミン、テトラメチルアンモニウムヒドロキシド、ピロール、ピペリジン、コリン、1,8−ジアザビシクロ−[5.4.0]−7−ウンデセン、1,5−ジアザビシクロ−[4.3.0]−5−ノネン等のアルカリ性化合物の少なくとも1種を溶解したアルカリ性水溶液が好ましい。なお、この現像液には、例えば、メタノール、エタノール等のアルコール類等の水溶性有機溶媒や、界面活性剤を適量添加することもできる。
【実施例】
【0160】
以下、本発明を実施例によりさらに具体的に説明するが、本発明は、これらの実施例に制限されるものではない。各種物性値の測定方法を以下に示す。
【0161】
[重量平均分子量(Mw)、数平均分子量(Mn)]
東ソー製GPCカラム(G2000HXL 2本、G3000HXL 1本、G4000HXL 1本)を用い、流量:1.0ミリリットル/分、溶出溶媒:テトラヒドロフラン、カラム温度:40℃の分析条件で、単分散ポリスチレンを標準とするゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)により測定した。
【0162】
H−NMR分析、13C−NMR分析]
化合物のH−NMR分析、各重合体のフッ素原子含有率を求めるための13C−NMR分析は、核磁気共鳴装置(日本電子製「JNM−ECP500」)を使用して行った。
[マススペクトロメトリ分析]
化合物のマススペクトロメトリ分析は、GC−MS(アジレント・テクノロジー製、7890A GC、240MSシステム)を使用して行った。
【0163】
<化合物の合成>
[A]重合体の合成に用いた化合物(M−1)〜(M−7)の合成例を下記に示す。
[合成例1](化合物(M−1)の合成)
窒素置換した300mlの3つ口フラスコに、3−(メタクリロイルオキシ)−1,1,1−トリフルオロプロパン−2−イルスルホン酸ナトリウム塩2.84gを、テトラヒドロフラン20ml、ジクロロメタン20mlの混合溶剤に入れて懸濁液とし、氷浴にて0℃とした。懸濁液をスターラーにて攪拌しながら、オキサリルクロリド1.52gを10分かけて加えた後、N,N−ジメチルホルムアミドを0.1g加えた。その後、反応液を23℃までゆっくり昇温し、1時間攪拌した。反応液を吸引ろ過して固形分を除去し、ろ液をエバポレーターにて濃縮した。濃縮液にジクロロメタンを30ml加え、硫酸ナトリウムを5g加えて30分間攪拌し、吸引ろ過した。ろ液をエバポレーターにて濃縮した。濃縮液を窒素置換した300mlの3つ口フラスコへ移し、そこへ乾燥したジクロロメタンを20ml加えて溶解させ、氷浴にて0℃とした。そこへアセトンオキシム0.73gのジクロロメタン20ml溶液を5分かけて加え、続いてトリエチルアミン1.21gを20分かけて加えた。反応液を0℃にて2時間攪拌した。反応終了後、反応液に1N塩酸を30ml加え、分液ロートへ移して分液操作により有機層を回収した。有機層を純水で3回洗浄し、エバポレーターにて濃縮することで、化合物(M−1)を1.87g得た(収率59%)。
【0164】
(化合物(M−1)の物性)
H−NMR分析(測定溶媒:CDCl、基準物質:テトラメチルシラン):
σ=6.12(s,1H,=CH),5.90(m,1H,CH),5.60(s,1H,=CH),4.45(m,2H,CH),2.05(s,3H,CH),1.95(s,3H,CH),1.90(s,3H,CH
マススペクトロメトリ分析(イオン化方法:メタノールCI):m/z 318[M+H],248,245,232
【0165】
[合成例2〜7](化合物(M−2)〜(M−7)の合成)
化合物(M−1)の合成と同様の手法にて、3−(メタクリロイルオキシ)−1,1,1−トリフルオロプロパン−2−イルスルホン酸ナトリウム塩の代わりに対応するスルホン酸塩を同物質量、アセトンオキシムの代わりに対応する化合物を同物質量用いて合成した。
収率は、化合物(M−2):38%、化合物(M−3):67%、化合物(M−4):33%、化合物(M−5):50%、化合物(M−6):69%、化合物(M−7):70%であった。
【0166】
(化合物(M−2)の物性)
H−NMR分析(測定溶媒:DMSO、基準物質:テトラメチルシラン):
σ=6.19(s,1H,=CH),6.00(m,1H,CH),5.83(s,1H,=CH),2.10(s,3H,CH),1.98(s,3H,CH),1.89(s,3H,CH
マススペクトロメトリ分析(イオン化方法:メタノールCI):m/z 354[M+H],284,281,268
【0167】
(化合物(M−3)の物性)
H−NMR分析(測定溶媒:CDCl、基準物質:テトラメチルシラン):
σ=6.14(s,1H,=CH),5.64(s,1H,=CH),5.28(
2.10(s,3H,CH),1.98(s,3H,CH),1.89(s,3H,CH
マススペクトロメトリ分析(イオン化方法:メタノールCI):m/z 354[M+H],284,281,268
【0168】
(化合物(M−4)の物性)
H−NMR分析(測定溶媒:DMSO、基準物質:テトラメチルシラン):
σ=6.19(s,1H,=CH),6.00(m,1H,CH),5.83(s,1H,=CH),2.13(s,3H,CH),1.89(s,3H,CH
マススペクトロメトリ分析(イオン化方法:メタノールCI):m/z 408[M+H],338,322,281
【0169】
(化合物(M−5)の物性)
H−NMR分析(測定溶媒:CDCl、基準物質:テトラメチルシラン):
σ=6.11(s,1H,=CH),5.63(s,1H,=CH),4.30(t,2H,O−CH),3.44(t,2H,SOCH),2.34(m,2H,CH),1.95(s,3H,CH
マススペクトロメトリ分析(イオン化方法:メタノールCI):m/z 427[M+H],357,341,191,
【0170】
(化合物(M−6)の物性)
H−NMR分析(測定溶媒:CDCl、基準物質:テトラメチルシラン):
σ=7.90(d,2H,C),7.58(d,2H,C),6.78(dd,1H,=CH),5.96(d,1H,=CH),5.53(d,1H,CH),5.27(m,1H,O−CH)
マススペクトロメトリ分析(イオン化方法:メタノールCI):m/z 334[M+H],167,151
【0171】
(化合物(M−7)の物性)
H−NMR分析(測定溶媒:CDCl、基準物質:テトラメチルシラン):
σ=7.96(d,2H,C),7.58(d,2H,C),6.78(dd,1H,=CH),5.94(d,1H,=CH),5.50(d,1H,CH),2.13(s,1H,CH
マススペクトロメトリ分析(イオン化方法:メタノールCI):m/z 294[M+H],167,110
【0172】
<[A]重合体の合成>
下記式(M−1)〜(M−21)で表される化合物を用いて、各重合体を合成した。なお、重合体の合成に用いた化合物(M−1)〜(M−7)は、上記合成例1〜7で合成したものを使用した。各重合体のMw、Mw/Mn及びフッ素原子含有率を表1に示す。
【0173】
【化21】
【0174】
[合成例8](重合体(A−1)の合成)
化合物(M−1)12.99gと、化合物(M−8)2.01gを、2−ブタノン30gに溶解し、更に2,2’−アゾビス(2−イソブチロニトリル)0.42gを100mLの三口フラスコに投入した。30分窒素パージした後、反応釜を攪拌しながら80℃に加熱し、過熱開始を重合開始時間とし、重合反応を6時間実施した。重合終了後、重合溶液を水冷することにより30℃以下に冷却し、エバポレーターにて重合溶液の重量が12.5gになるまで減圧濃縮した。重合液を0℃に冷却したn−ヘキサン75gへゆっくり投入し、固形分を析出させた。混合液をデカンテーションして液体を除去し、固形分をn−ヘキサンで3回洗浄し、得られた樹脂を40℃で15時間真空乾燥した。白色粉末状の重合体(A−1)11.25g(収率75%)を得た。この重合体(A−1)のMwは9,400であり、Mw/Mnは1.50であった。
【0175】
[合成例9]〜[合成例22](重合体(A−2)〜(A−12)及び重合体(a−1)〜(a−3)の合成)
表1に示す種類及び使用量の化合物(単量体)を用いた以外は合成例8と同様に操作して、各重合体を合成した。合成した各重合体の収率(%)、Mw、Mw/Mn及びフッ素原子含有率(質量%)を表1に併せて示す。なお、表1中の「−」は、該当する化合物を使用しなかったことを示す。
【0176】
【表1】
【0177】
<[C]重合体の合成>
下記式(M−22)〜(M−26)で表される化合物を用いて、[C]重合体を合成した。[C]重合体の収率、Mw、Mw/Mn及びフッ素原子含有率を表2に示す。
【0178】
【化22】
【0179】
[合成例23](重合体(C−1)の合成)
化合物(M−22)11.92g、化合物(M−23)41.07g、化合物(M−24)15.75g、化合物(M−25)11.16、化合物(M−26)20.10g、ジメチル2,2’−アゾビス(2−イソブチロニトリル)3.88gを2−ブタノン200gに溶解して単量体溶液を調製した。一方、1000mLの三口フラスコに2−ブタノン100gを投入し、30分窒素パージした後、反応釜を攪拌しながら80℃に加熱した。そこへ上記単量体溶液を4時間かけて滴下し、さらに滴下終了後2時間80℃にて熟成した。重合終了後、重合溶液を水冷することにより30℃以下に冷却した。その重合溶液をエバポレーターにて重合溶液の重量が200gになるまで減圧濃縮した。その後、重合溶液を1000gのメタノールへ投入し、再沈操作を行った。析出したスラリーを吸引濾過して濾別し、固形分をメタノールにて3回洗浄した。この固形分を60℃で15時間真空乾燥し、白色粉末状の重合体(C−1)88.0g(収率88%)を得た。この重合体(C−1)のMwは9,300であり、Mw/Mnは1.60であった。また、13C−NMR分析の結果、化合物(M−22)、(M−23)、(M−24)、(M−25)及び(M−26)に由来する構造単位の含有率は、それぞれ16モル%、26モル%、19モル%、11モル%、28モル%であった。
【0180】
【表2】
【0181】
<液浸露光用レジスト組成物の調製>
液浸露光用レジスト組成物を構成する[A]重合体及び[C]重合体以外の各成分について以下に示す。
【0182】
[B]酸発生剤
下記式(B−1)で表される化合物
【0183】
【化23】
【0184】
[D]酸拡散制御剤
下記式(D−1)〜(D−4)で表される化合物
【0185】
【化24】
【0186】
[E]溶媒
E−1:プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート
E−2:シクロヘキサノン
E−3:γーブチロラクトン
【0187】
[実施例1]
[A]重合体として(A−1)5質量部、[B]酸発生剤として(B−1)8質量部、[C]重合体として(C−1)100質量部、[D]酸拡散制御剤として(D−1)0.6質量部、並びに[E]溶剤として(E−1)1,732質量部、(E−2)743質量部及び(E−3)275質量部を配合し、液浸露光用レジスト組成物を調製した。
【0188】
[実施例2〜18、比較例1〜7]
配合する各成分の種類及び配合量(質量部)を表3に記載の通りとした以外は、実施例1と同様に操作して、各組成物を調製した。
【0189】
【表3】
【0190】
<評価>
感度、LWR、現像欠陥評価及び保存安定性を測定し、その結果を表4に示す。
[感度]
直径12インチのシリコンウエハ上に表3に示した各組成物をスピンコートした後、120℃で60秒間ソフトベーク(SB)を行い、膜厚75nmのレジスト膜を形成した。次に、このレジスト膜を、ArFエキシマレーザー液浸露光装置(「NSR S610C」、NIKON製)を用い、NA=1.3、ratio=0.800、Annularの条件により、50nmLine100nmPitchのパターン形成用のマスクパターンを介して露光した。露光後、各レジスト膜ついて90℃で60秒間ポストベーク(PEB)を行った。その後、2.38質量%のテトラメチルアンモニウムヒドロキシド水溶液により現像し、水洗し、乾燥して、ポジ型のレジストパターンを形成した。このとき、50nmLine100nmPitchのパターン形成用のマスクパターンを介して露光した部分が線幅50nmのLineを形成する露光量を最適露光量(Eop)とした。この最適露光量を感度(mJ/cm)とした。このとき、感度が40(mJ/cm)以下であれば「良好」、40(mJ/cm)を超えれば「不良」とした。なお、測長には走査型電子顕微鏡(日立ハイテクノロジーズ製、CG4000)を用いた。
【0191】
[LWR]
上記感度(mJ/cm)の評価における方法と同様の方法により、ポジ型のレジストパターンを形成し、Eopを測定した。上記Eopにて形成された線幅50nmLine100nmPitchを、走査型電子顕微鏡(日立ハイテクノロジーズ製、CG4000)を用い、パターン上部から観察し、任意の10点において線幅を測定した。線幅の測定値の3シグマ値(ばらつき)をLWR(nm)とした。このとき、LWRの値が5.4nm以下であれば「良好」、5.4nmを超えれば「不良」とした。
【0192】
[現像欠陥評価]
下層反射防止膜(日産化学製、ARC66)を形成した12インチシリコンウェハ上に、フォトレジスト組成物によって膜厚110nmの被膜を形成し、120℃で50秒間SBを行うことによりレジスト膜を形成した。次に、このレジスト膜について、ArFエキシマレーザー液浸露光装置(NIKON製、NSR S610C)を用い、NA=1.3、ratio=0.800、Dipoleの条件により、ターゲットサイズが幅45nmのラインアンドスペース(1L/1S)のマスクパターンを介して露光した。露光後、95℃で50秒間PEBを行った。その後、東京エレクトロン製、クリーントラック「ACT12」の現像装置のGPノズルによって2.38質量%のテトラメチルアンモニウムヒドロキシド水溶液により10秒間現像し、15秒間純水によりリンスし、2,000rpmで液振り切り乾燥して、ポジ型のレジストパターンを形成した。このとき、幅45nmの1L/1Sを形成する露光量を最適露光量とした。この最適露光量にてウェハ全面に線幅45nmの1L/1Sを形成し、欠陥検査用ウェハとした。なお、測長には走査型電子顕微鏡(日立ハイテクノロジーズ製、CC−4000)を用いた。その後、欠陥検査用ウェハ上の欠陥数を、KLA−Tencor製、KLA2810を用いて測定した。更に、上記KLA2810にて測定された欠陥を、レジスト膜由来と判断されるものと外部由来の異物とに分類した。分類後、レジスト膜由来と判断される欠陥数の合計を現像欠陥評価とした。この欠陥数の合計が100個/ウェハ未満であった場合、現像欠陥評価は「良好」とし、100個以上500個以下/ウェハであった場合「やや良好」、500個/ウェハを超える場合「不良」とした。
【0193】
[保存安定性]
各実施例及び比較例において、調製直後のフォトレジスト組成物及び調製後23℃かつ暗所に30日間保存した後のフォトレジスト組成物を用い、これらのフォトレジスト組成物から形成されるレジスト膜の後退接触角を、下記手順に従って、測定した。
(1)下層反射防止膜の形成
12インチシリコンウェハ表面に、下層反射防止膜形成用組成物(商品名「ARC66」、日産化学製)を、半導体製造装置(型式名「Lithius Pro−i」、東京エレクトロン製)を使用して、スピンコートした。次いで、プレベーク(PB)(205℃、60秒間)を行うことにより、膜厚105nmの下層反射防止膜を形成した。
(2)レジスト膜の形成
上記下層反射防止膜を形成後、半導体製造装置(型式名「CLEAN TRACK ACT12」、東京エレクトロン製)を使用して、フォトレジスト組成物をスピンコートした。そして、PB(110℃、60秒間)し、冷却(23℃、30秒間)することにより、膜厚100nmのレジスト膜を形成した。
(3)接触角の測定
上記形成したレジスト膜について、室温23℃、湿度45%、常圧の環境下で、KRUSS製の「DSA−10」を用いて以下の手順で後退接触角を測定した。
まず、ウェハステージ位置を調整する。次に、ウェハをステージにセットする。「DSA−10」の針に水を注入する。次に、針の位置を微調整する。次に、針から水を排出してウェハ上に25μLの水滴を形成した後、水滴から針を一旦引き抜く。次に、針を上記微調整した位置に再び引き下げる。続いて、針によって水滴を10μL/分の速度で90秒間吸引するとともに、接触角を毎秒(計90回)測定する。次に、接触角が安定した時点から計20点の接触角について平均値を算出して後退接触角(°)とした。
【0194】
調製直後及び30日間保存後の両フォトレジスト組成物から形成されるレジスト膜についての後退接触角を求め、その変動率を保存安定性とした。このとき、変動率が3%以内の場合、保存安定性は良好「○」、3%を超えて5%以下の場合はやや良好「△」、5%を超える場合は不良「×」とした。
【0195】
【表4】
【0196】
表4に示した結果から分かるように、感度及びLWRについては良好な評価結果であると共に、比較例では、現像欠陥評価及び保存安定性の少なくともいずれかが不良であったのに対し、実施例では、現像欠陥評価及び保存安定性共に良好であった。
【産業上の利用可能性】
【0197】
本発明は、感度及びLWR等の一般的特性を十分満足できると共に、現像時の現像欠陥性を低減することができ、かつ保存安定性にも優れた液浸露光用レジスト組成物を提供することができる。従って、当該液浸露光用レジスト組成物は、パターンの更なる微細化が進む半導体デバイスにおける液浸露光法を用いた製造プロセスに好適に使用することができる。