特許第5835041号(P5835041)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2015.5.11 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】5835041
(24)【登録日】2015年11月13日
(45)【発行日】2015年12月24日
(54)【発明の名称】貯湯式給湯機の断熱構造体
(51)【国際特許分類】
   F24H 9/00 20060101AFI20151203BHJP
   F24H 1/18 20060101ALI20151203BHJP
   F16L 59/065 20060101ALI20151203BHJP
【FI】
   F24H9/00 E
   F24H1/18 A
   F16L59/065
【請求項の数】8
【全頁数】12
(21)【出願番号】特願2012-62057(P2012-62057)
(22)【出願日】2012年3月19日
(65)【公開番号】特開2013-194979(P2013-194979A)
(43)【公開日】2013年9月30日
【審査請求日】2014年7月7日
(73)【特許権者】
【識別番号】000006013
【氏名又は名称】三菱電機株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100082175
【弁理士】
【氏名又は名称】高田 守
(74)【代理人】
【識別番号】100106150
【弁理士】
【氏名又は名称】高橋 英樹
(74)【代理人】
【識別番号】100115543
【弁理士】
【氏名又は名称】小泉 康男
(72)【発明者】
【氏名】竹内 史人
(72)【発明者】
【氏名】杉木 稔則
【審査官】 鈴木 貴雄
(56)【参考文献】
【文献】 特開2007−139072(JP,A)
【文献】 特開2011−237087(JP,A)
【文献】 特開平08−014733(JP,A)
【文献】 特開昭61−107080(JP,A)
【文献】 特開2000−320958(JP,A)
【文献】 特開平10−141584(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F24H 9/00
F16L 59/00 − 59/22
F24H 1/00
F24H 1/18 − 1/20
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
温水を貯留する貯湯タンクに面した内側面と外部空間に面した外側面とを有し、前記貯湯タンクの少なくとも一部を外側から覆う発泡断熱材と、
前記発泡断熱材の内部に設けられ、前記貯湯タンクを覆うように前記発泡断熱材の内側面と外側面との間に延在した板状の真空断熱材と、を備え、
前記発泡断熱材は、鉛直方向に延びる前記貯湯タンクの側面に沿って配置し、
前記真空断熱材は、上部側よりも下部側で前記発泡断熱材の内側面に近接するように鉛直方向に対して傾斜させる構成とした貯湯式給湯機の断熱構造体。
【請求項2】
温水を貯留する貯湯タンクに面した内側面と外部空間に面した外側面とを有し、前記貯湯タンクの少なくとも一部を外側から覆う発泡断熱材と、
前記発泡断熱材の内部に設けられ、前記貯湯タンクを覆うように前記発泡断熱材の内側面と外側面との間に延在した板状の真空断熱材と、を備え、
前記発泡断熱材の内部には、互いに離間した複数個の前記真空断熱材を配置し、
前記発泡断熱材の内側面と外側面のうち少なくとも一方の表面と前記各真空断熱材の表面との距離が部位によって異なるように、前記各真空断熱材を前記発泡断熱材の一方の表面に対して傾斜させる構成とした貯湯式給湯機の断熱構造体。
【請求項3】
温水を貯留する貯湯タンクに面した内側面と外部空間に面した外側面とを有し、前記貯湯タンクの少なくとも一部を外側から覆う発泡断熱材と、
前記発泡断熱材の内部に設けられ、前記貯湯タンクを覆うように前記発泡断熱材の内側面と外側面との間に延在した板状の真空断熱材と、を備え、
前記発泡断熱材の内側面と外側面のうち少なくとも一方の表面と前記真空断熱材の表面との距離が部位によって異なるように、前記真空断熱材を前記発泡断熱材の一方の表面に対して傾斜させ、かつ、前記真空断熱材は、前記発泡断熱材を成形する成形型の発泡粒子挿入口と対面する位置で前記成形型の内側面と前記真空断熱材との距離が小さくなり、当該対面位置から離れるほど前記成形型の内側面と前記真空断熱材との距離が大きくなるように傾斜させる構成とした貯湯式給湯機の断熱構造体。
【請求項4】
前記真空断熱材は長辺と短辺とを有する略矩形状の板材により形成し、前記長辺の一端側よりも他端側で前記発泡断熱材の内側面に近接するように傾斜させる構成としてなる請求項2または3に記載の貯湯式給湯機の断熱構造体。
【請求項5】
前記発泡断熱材は、鉛直方向に延びる前記貯湯タンクの側面に沿って配置し、前記真空断熱材は、上部側よりも下部側で前記発泡断熱材の内側面に近接するように鉛直方向に対して傾斜させる構成としてなる請求項2乃至4のうち何れか1項に記載の貯湯式給湯機の断熱構造体。
【請求項6】
前記発泡断熱材は、上部側から下部側に向けて徐々に薄くなるように形成してなる請求項1または5に記載の貯湯式給湯機の断熱構造体。
【請求項7】
前記発泡断熱材の内部には、少なくとも前記内側面に対して傾斜すると共に互いに離間した複数個の前記真空断熱材を配置してなる請求項1または3に記載の貯湯式給湯機の断熱構造体。
【請求項8】
前記真空断熱材は、前記発泡断熱材を成形する成形型の発泡粒子挿入口と対面する位置で前記成形型の内側面と前記真空断熱材との距離が小さくなり、当該対面位置から離れるほど前記成形型の内側面と前記真空断熱材との距離が大きくなるように傾斜させる構成としてなる請求項1または2に記載の貯湯式給湯機の断熱構造体。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、貯湯タンクを備えた貯湯式給湯機の断熱構造体に関する。
【背景技術】
【0002】
一般に、貯湯式給湯機に搭載された貯湯タンクの断熱性能を改善すると、給湯機自体の性能が改善する。このため、従来技術では、貯湯タンクの断熱材として、ビーズ法ポリスチレンフォーム(EPS)に代表される発泡断熱材だけでなく、熱伝導率の優れた真空断熱材を採用し、貯湯タンクの断熱性能を改善したものが知られている(特許文献1)。
【0003】
また、他の従来技術としては、貯湯タンクの外郭のほぼ全面を覆って保温及び断熱を行う断熱材であって、耐熱性発泡ポリスチレンからなる発泡断熱材と真空断熱材とを一体成形した断熱材が知られている(特許文献2)。この断熱材は、真空断熱材が予め挿入された成形型内に発泡樹脂を流し込むことで、発泡断熱材のほぼ中央に真空断熱材が位置するように成形され、さらに貯湯タンクの形状に合わせて複数個に分割されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2010−091134号公報
【特許文献2】特開2007−139072号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、特許文献1の従来技術において、発泡断熱材には、真空断熱材を取付けるための取付溝及び取付孔が形成されており、これらの取付溝や取付孔の位置には隙間が生じ易い。このため、特許文献1の従来技術では、前記隙間から貯湯タンクの熱が漏れることにより、真空断熱材の高い断熱性能を十分に発揮できないという問題がある。一方、特許文献2の従来技術では、真空断熱材が発泡断熱材の内部(厚さ方向のほぼ中央)に配置されており、複数個の断熱材を組合わせて貯湯タンクの全面を覆った状態では、個々の断熱材を構成する真空断熱材の端部同士が互いに重なり合うように接続される。しかしながら、この構成では、発泡断熱材と真空断熱材とを一体成形するときに、成形型内で発泡粒子が回り込まない部位が発生し易く、この部位で断熱材の強度が局所的に低下するという問題がある。
【0006】
本発明は、上述のような問題点を解消するためになされたもので、貯湯タンクの熱が断熱構造体の隙間から漏れるのを防止し、かつ、断熱構造体の成形時に発泡粒子を成形型内の隅々まで回りこませて強度を向上させることが可能な貯湯式給湯機の断熱構造体を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明に係る貯湯式給湯機の断熱構造体は、温水を貯留する貯湯タンクに面した内側面と外部空間に面した外側面とを有し、貯湯タンクの少なくとも一部を外側から覆う発泡断熱材と、発泡断熱材の内部に設けられ、貯湯タンクを覆うように発泡断熱材の内側面と外側面との間に延在した板状の真空断熱材と、を備え、発泡断熱材は、鉛直方向に延びる貯湯タンクの側面に沿って配置し、真空断熱材は、上部側よりも下部側で発泡断熱材の内側面に近接するように鉛直方向に対して傾斜させる構成としている。
【発明の効果】
【0008】
本発明によれば、断熱構造体の成形時には、発泡及び膨張する発泡粒子を成形型内の各部位に円滑に回り込ませることができ、成形された発泡断熱材の内部に隙間が生じるのを防止することができる。これにより、断熱構造体の強度を向上させることができ、また、貯湯タンクの熱が隙間から漏れるのを防止して貯湯タンクの保温及び断熱性能を高めることができる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
図1】本発明の実施の形態1の貯湯式給湯機を示す構成図である。
図2図1中の断熱構造体を拡大して示す分解斜視図である。
図3】断熱構造体を図2中の平面Aに沿って破断した状態を示す縦断面図である。
図4】断熱構造体を図2中の平面Bに沿って破断した状態を示す横断面図である。
図5】従来の方法による断熱材部品の成形工程を模式的に示す説明図である。
図6】本発明の実施の形態1による断熱構造体の成形工程を模式的に示す縦断面図である。
図7】本発明の実施の形態2による断熱構造体を成形型と共に示す縦断面図である。
図8】本発明の実施の形態3による断熱構造体を成形型と共に示す縦断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、本発明の実施の形態について、図面を参照して詳細に説明する。なお、本発明は、以下に説明する実施の形態1乃至3に限定されるものではない。また、各図において共通する要素には、同一の符号を付して、重複する説明を省略する。
【0011】
実施の形態1.
まず、図1乃至図6を参照しつつ、本発明の実施の形態1について説明する。図1は、本発明の実施の形態1の貯湯式給湯機を示す構成図である。ヒートポンプ式給湯機1は、市水等の低温水を熱源機により湯に沸き上げて所望個所に給湯するもので、ヒートポンプユニット10と貯湯ユニット20とを備えている。
【0012】
ヒートポンプユニット10は、圧縮機11、水作動媒体熱交換器12、膨張弁13及び蒸発器14を備えている。これらの機器は、作動媒体循環配管15により環状に接続されて冷凍サイクルシステムを構成し、熱源機として機能する。また、上記機器はユニットケース16内に収容されている。上記冷凍サイクルシステムの作動時には、二酸化炭素等の作動媒体(冷媒)が圧縮機11により圧縮されて高温・高圧となる。そして、この作動媒体は、水作動媒体熱交換器12内で放熱し、膨張弁13により減圧された後に、蒸発器14内で吸熱して圧縮機11に吸い込まれる。作動媒体として二酸化炭素を用いる場合には、高圧側での冷媒圧力が二酸化炭素の臨界圧を超える条件下で運転することが好ましい。
【0013】
一方、貯湯ユニット20は、貯湯タンク21、給水管路30、貯湯用循環管路40、給湯管路50、後述の断熱構造体100等を備えており、これらの機器はユニットケース60内に収容されている。貯湯タンク21は、給水管路30から供給される低温水及びヒートポンプユニット10で沸き上げられた高温水(湯)を貯留する積層式のタンクであり、その外郭は断熱構造体100により覆われている。また、貯湯タンク21は、鉛直方向(上下方向)に延びる軸線を中心として略円筒状に形成されている。
【0014】
貯湯タンク21の下部には、水導入口22、水導出口23及びバイパス戻り口(図示せず)が設けられている。そして、水導入口22には、給水管路30が接続され、水導出口23には、貯湯用循環管路40の往き管41が接続されている。また、前記バイパス戻り口には、貯湯用循環回路40のバイパス管43が接続されている。一方、貯湯タンク21の上部には、温水導入導出口24が設けられており、温水導入導出口24には、貯湯用循環管路40の戻り管42と、給湯管路50とが接続されている。貯湯タンク21は、常に満水状態に保たれる。
【0015】
給水管路30は、市水等の低温水を貯湯タンク21、給湯管路50及び所定の給湯先に供給する管路であり、第1〜第3給水管部31〜33および減圧弁(図示せず)を備えている。第1給水管部31は、水道等の水源(図示せず)と貯湯タンク21の水導入口22とを接続し、第2給水管部32は、第1給水管部31から分岐して第1給水管部31と後述の混合弁44とを接続している。第3給水管部33は、第1給水管部31から分岐して第1給水管部31と所定の給湯先とを接続している。図1では、給湯先の一例として1つの給湯栓45を例示している。前記減圧弁は、第1給水管部31での第3給水管部33の分岐個所よりも下流側に設けられ、水源水圧を所定以下となるように減圧する。
【0016】
貯湯用循環管路40は、貯湯タンク21の水導出口23からヒートポンプユニット10中の水作動媒体熱交換器12を経由して貯湯タンク21の温水導入導出口24に達する管路である。また、貯湯用循環管路40は、三方弁34と熱源ポンプ35とが設けられた貯湯用循環管路往き管41と、貯湯用循環管路戻り管42と、貯湯用循環管路バイパス管43とを備えている。貯湯用循環管路往き管41は、水導出口23と三方弁34とを接続し、貯湯用循環管路戻り管42は、三方弁34と温水導入導出口24とを接続し、貯湯用循環管路バイパス管43は、三方弁34とバイパス戻り口(図示せず)とを接続している。凍結防止運転時には、貯湯タンク21から貯湯用循環管路往き管41に流入した水が水作動媒体熱交換器12とバイパス管43を経由してタンク下部に再び流入する。
【0017】
給湯管路50は、貯湯タンク21に貯留された湯と給水管路30から供給される低温水とを混合弁44で混合して所定温度の湯水を生成し、この湯水を所定の給湯先(例えば、給湯栓45)に供給する管路である。給湯管路50は、混合弁44の他に、第1,第2給湯管部51,52を備えている。第1給湯管部51は、貯湯タンク21の温水導入導出口24と混合弁44とを接続し、第2給湯管部52は、混合弁44と給湯栓45とを接続している。図1では、給湯栓45からの湯水の流出方向を矢印で示している。
【0018】
上述した貯湯ユニット20の構成部材のうち、給水管路30、貯湯用循環管路40及び給湯管路50は、その一部がユニットケース60の外部にまで延在しており、残りの構成部材は、ユニットケース60に納められている。
【0019】
次に、図2乃至図6を参照しつつ、本実施の形態の特徴事項である断熱構造体100について説明する。図2は、図1中の断熱構造体を拡大して示す分解斜視図である。この図に示すように、断熱構造体100は、複数の分割断熱材100A〜100Eを備えており、これらの分割断熱材100A〜100Eを組立てることにより、略円筒状をなす貯湯タンク21の少なくとも一部を覆うように構成されている。これにより、断熱構造体100は、貯湯タンク21の保温及び断熱を行うものである。なお、本発明において、分割断熱材の個数や形状は、実施の形態1に限定されるものではなく、例えば配管を接続するために分割断熱材を部分的にくり抜いた形状や、当該くり抜き部を別の断熱材で施蓋する構造も可能である。
【0020】
ここで、各分割断熱材について説明すると、まず、貯湯タンク21の上面部を覆う上部の分割断熱材100Aと、貯湯タンク21の下面部を覆う下部の分割断熱材100Bとは、例えば略半球状に湾曲した蓋体(底体)として形成されている。また、貯湯タンク21の外周面(側面)を覆う側面部の分割断熱材100C,100Dは、四角形状の平板を半円弧状に湾曲させた形状を有し、両者の端面を衝合することにより円筒状の断熱材となるように構成されている。また、一方の分割断熱材100Dには、くり貫き部(貫通孔)が設けられており、この部位は分割断熱材100Eにより施蓋される構成となっている。さらに、分割断熱材100A〜100Eの端面には、それぞれ突条部または凹溝からなる嵌合構造(図示せず)が設けられている。そして、分割断熱材100A〜100E同士は、この嵌合構造によって互いに連結され、貯湯タンク21の熱が断熱構造体100の外側に漏れるのを抑制するように構成されている。
【0021】
また、個々の分割断熱材100A〜100Eは、単材料型の断熱材と複合材料型の断熱材とからなる2種類の断熱材の何れかにより構成されている。単材料型の断熱材は、非真空断熱材(例えば、発泡断熱材)のみを用いて形成されたもので、複合材料型の断熱材は、非真空断熱材と真空断熱材とを組合わせる(一体成形する)ことにより形成されている。複合材料型の断熱材に用いる非真空断熱材は、例えばビーズ法ポリスチレンフォーム(EPS)断熱材等の発泡断熱材により構成されている。
【0022】
分割断熱材100A〜100Eのうち、何れの分割断熱材を単材料型(または複合材料型)の断熱材により構成するかについては、任意に選択することができる。一例を挙げると、例えばくり抜き部が存在せず、平板状の真空断熱材を湾曲させるだけで形成可能な側面部の分割断熱材100Cは、複合材料型の断熱材により構成するのが好ましい。また、他の分割断熱材100A,100B,100D,100Eは、単材料型の断熱材により構成するのが容易であるが、本発明はそれに限定されるものではない。即ち、本発明では、全ての分割断熱材100A〜100Eを複合材料型の断熱材により構成してもよい。
【0023】
次に、図3及び図4を参照して、複合材料型の断熱材からなる側面部の分割断熱材100Cについて説明する。図3は、断熱構造体を図2中の平面Aに沿って破断した状態を示す縦断面図であり、図4は、断熱構造体を図2中の平面Bに沿って破断した状態を示す横断面図である。これらの図に示すように、分割断熱材100Cは、後述の発泡断熱材101と真空断熱材102とを備えており、例えば半円筒形の板状に成形されている。
【0024】
発泡断熱材101は、EPS断熱材等により半円筒形の板状に形成され、貯湯タンク21の側面に面して配置される内側面101aと、外部空間に面して配置される外側面101bとを有している。これらの内側面101aと外側面101bとは、発泡断熱材101の表面を構成している。本実施の形態では、発泡断熱材101が径方向に対して一定の厚さをもって形成され、内側面101aと外側面101bとは互いに平行に配置されている。ここで、発泡断熱材101の厚さとは、図3中の左右方向(図4中の径方向)における内側面101aと外側面101bとの距離に対応する寸法である。そして、発泡断熱材101は、貯湯タンク21の側面に沿って鉛直方向及び周方向に延在し、貯湯タンク21を外側から覆うように配置される。
【0025】
一方、真空断熱材102は、例えば芯材及び真空断熱材外皮(何れも図示せず)により構成されている。芯材は、例えばガスバリア性のラミネートフィルムからなる真空断熱材外皮の内部に真空に近い圧力状態で封止されている。また、真空断熱材102は、例えば鉛直方向に延びる長辺と水平方向に延びる短辺とを有する略矩形状の真空断熱材を半円筒状に湾曲させることにより、発泡断熱材101と略同形の板状に形成されている。また、真空断熱材102は、例えばインサート成形等の手段を用いて発泡断熱材101と一体成形され、発泡断熱材101の内部に埋設された状態で内側面101aと外側面101bとの間に延在している。これにより、真空断熱材102は、発泡断熱材101と共に貯湯タンク21を外側から覆うように配置される。
【0026】
また、本実施の形態では、水平方向における発泡断熱材101の表面(内側面101a及び外側面101b)と、真空断熱材102の表面との間の距離dが部位によって異なるように、真空断熱材102を発泡断熱材101の内側面101a及び外側面101bに対して傾斜させる構成としている(図3参照)。具体的に述べると、まず、分割断熱材100Cは、鉛直方向に延びる貯湯タンク21の側面に沿って配置される。この状態で、真空断熱材102は、湾曲させる前の形状(矩形状)の長辺の一端が上部側となり、長辺の他端が下部側となるように配置される。そして、真空断熱材102は、上部側よりも下部側で発泡断熱材101の内側面101aに近接するように鉛直方向に対して傾斜している。即ち、図3に示すように、真空断熱材102の上部側の表面と発泡断熱材101の内側面101aとの距離d1は、真空断熱材102の下部側の表面と前記内側面101aとの距離d2よりも大きく設定されている(d1>d2)。なお、d1及びd2は、距離dの具体例を示すものである。
【0027】
次に、図5及び図6を参照して、上記構成による作用効果について説明する。まず、図5は、従来の方法による断熱材部品の成形工程を模式的に示す説明図である。この図に示すように、従来の断熱材部品120は、発泡断熱材121と真空断熱材122とが一体成形されているものの、真空断熱材122は、発泡断熱材121の表面(内側面及び外側面)に対して平行に配置されている。
【0028】
従来の断熱材部品120を製造する場合には、まず、金型等の成形型130の内部に真空断熱材122を配置し、この状態で成形型130に設けられた発泡粒子挿入口130aから予備発泡粒子131を挿入する。次に、成形型130の内部に蒸気を吹き付けることにより、予備発泡粒子131を成形型130内で発泡(膨張)させる。これにより、発泡断熱材121の内部に真空断熱材122が一体成形された断熱材部品120を製造することができる。なお、上記成形工程では、真空断熱材122を成形型130内の空間に浮かせた状態で発泡断熱材121を成形するのが難しいので、例えば薄板状の発泡断熱材に真空断熱材122を固定した部品を予め作成しておき、この部品を成形型130内に配置した状態で予備発泡粒子131を挿入する等の方法が採用される。
【0029】
従来の成形工程では、板状に形成された真空断熱材122が成形型130の内側面と平行に配置されている。従って、発泡粒子挿入口130aから挿入された予備発泡粒子131は、成形型130と真空断熱材122との間に形成された扁平かつ平行な空間内で膨張することになり、これによって自由な膨張(流動)が阻害され易い。この結果、従来の成形工程では、予備発泡粒子131を成形型130内の全体にわたって均等に膨張させることができず、特に真空断熱材122の上下両端側等には、予備発泡粒子131が充填されない(発泡断熱材121が形成されない)隙間が生じ易くなるという問題がある。
【0030】
一方、図6は、本発明の実施の形態1による断熱構造体の成形工程を模式的に示す縦断面図である。この図に示すように、本実施の形態では、真空断熱材102を発泡断熱材101の内部で傾斜させる構成としている。この構成に対応して、本実施の形態の成形工程で用いる成形型110には、真空断熱材102が発泡断熱材101の内側面101a及び外側面101bに近接する位置にそれぞれ発泡粒子挿入口110a,110bが配置されている。即ち、成形型110を基準として説明すれば、真空断熱材102は、成形型110の発泡粒子挿入口110a(110b)と対面する位置で成形型110の内側面と真空断熱材102との距離が小さくなり、かつ、当該対面位置から離れるほど成形型110の内側面と真空断熱材102との距離が大きくなるように傾斜している。
【0031】
これにより、予備発泡粒子111を挿入する前の状態において、成形型110の内側面と真空断熱材102との間には、発泡粒子挿入口110aの開口位置から上方に向けて拡開するV字状の空間と、発泡粒子挿入口110bの開口位置から下方に向けて逆V字状に拡開する空間とを形成することができる。成形型110の内部に挿入された予備発泡粒子111は、狭い空間から広い空間に向けて膨張する特性がある。このため、発泡断熱材101の成形工程では、成形型110の発泡粒子挿入口110aから挿入した予備発泡粒子111を、前記V字状の空間に沿って上方へと円滑に膨張させることができる。これにより、膨張する予備発泡粒子111を、発泡粒子挿入口110aからみて真空断熱材102の裏面側に安定的に回り込ませることができる。
【0032】
従って、予備発泡粒子111を成形型110内の隅々まで円滑に回り込ませることができるので、成形された発泡断熱材101の内部に隙間が生じるのを防止し、分割断熱材100Cの強度を向上させることができる。また、貯湯タンク21の熱が前記隙間から漏れるのを防止し、貯湯タンク21の保温及び断熱性能を高めることができる。一方、発泡断熱材101の外側面101bでも、成形型110の発泡粒子挿入口110bから挿入した予備発泡粒子111を、前記逆V字状の空間に沿って下方へと円滑に膨張させ、発泡粒子挿入口110bからみて真空断熱材102の裏側に安定的に回り込ませることができる。これにより、発泡粒子挿入口110b側でも、発泡粒子挿入口110a側と同様の作用効果を得ることができる。
【0033】
特に、成形型110内に挿入した予備発泡粒子111は、真空断熱材102の短辺よりも長辺に沿って長い距離を膨張(移動)させる必要がある。このため、本実施の形態では、真空断熱材102を長手方向に傾斜させる構成としている。これにより、前記V字状(及び逆V字状)の空間を真空断熱材102の長手方向に延在させることができ、予備発泡粒子111を長手方向に効率よく膨張させることができる。
【0034】
また、分割断熱材100Cは、貯湯タンク21の側面に沿って配置される。貯湯タンク21は、上部側に高温水が貯留されて下部側に低温水が貯留される積層式であるから、上部側の方がより高温となる。一方、真空断熱材102は、比較的熱に弱い特性を有している。このため、本実施の形態では、真空断熱材102を、上部側よりも下部側で前記発泡断熱材の内側面に近接するように鉛直方向に対して傾斜させている。これにより、貯湯タンク21が高温となる上部側で貯湯タンク21と真空断熱材102との間に大きな距離を確保することができる。従って、真空断熱材102を貯湯タンク21の熱から保護し、分割断熱材100Cの耐久性を向上させることができる。
【0035】
実施の形態2.
次に、図7を参照して、本発明の実施の形態2について説明する。図7は、本発明の実施の形態2による断熱構造体(分割断熱材)を成形型と共に示す縦断面図である。この図に示すように、本実施の形態では、発泡断熱材201の内部に、複数個(例えば、2個)の真空断熱材202を設ける構成としている。ここで、発泡断熱材201は、実施の形態1とほぼ同様に、互いに平行に配置された内側面201aと外側面201bとを有している。また、2個の真空断熱材202は略矩形状に形成され、それぞれ上部側よりも下部側で発泡断熱材201の内側面201aに近接するように、内側面201a及び外側面201b(鉛直方向)に対して傾斜している。さらに、各真空断熱材202は、互いに触れ合わないように離間した状態で発泡断熱材201の内部に埋設されると共に、互いに平行に配置されている。
【0036】
このように構成される本実施の形態でも、前記実施の形態1とほぼ同様の作用効果を得ることができる。特に、本実施の形態では、発泡断熱材201の内部に配置する真空断熱材を、2つの真空断熱材202に分割することにより、真空断熱材の寸法制約等に対処することができ、設計自由度を高めることができる。また、各真空断熱材202を互いに平行に配置することにより、隣接する2つの真空断熱材202の間に一定寸法の間隔(隙間)を安定的に確保することができる。これにより、発泡断熱材201の成形工程では、予備発泡粒子111を各真空断熱材202の間に円滑に回り込ませることができる。
【0037】
実施の形態3.
次に、図8を参照して、本発明の実施の形態3について説明する。図8は、本発明の実施の形態3による断熱構造体(分割断熱材)を成形型と共に示す縦断面図である。この図に示すように、本実施の形態では、発泡断熱材301を、上部側から下部側に向けて徐々に薄くなるように形成している。ここで、発泡断熱材301は、実施の形態1とほぼ同様に、内側面301aと外側面301bとを有するものの、外側面301bは、上部側よりも下部側で内側面301aに近接するように傾斜している。また、真空断熱材302は略矩形状に形成され、上部側よりも下部側で発泡断熱材301の内側面301aに近接するように、内側面301a(鉛直方向)に対して傾斜している。
【0038】
このように構成される本実施の形態でも、前記実施の形態1とほぼ同様の作用効果を得ることができる。特に、本実施の形態では、発泡断熱材301の下部側を薄肉に形成することができるので、成形工程では、発泡及び膨張する予備発泡粒子111を、成形型110′の発泡粒子挿入口110a′からみて真空断熱材302の裏面側に円滑に回り込ませることができる。また、予備発泡粒子111の使用量を削減し、コストダウンを促進することができる。しかも、発泡断熱材301の下部側は、積層式の貯湯タンク21の低温部に沿って配置されるので、薄肉化しても十分な断熱性能(保温性能)を確保することができる。
【0039】
また、本実施の形態によれば、例えば発泡断熱材301のうち下部側の薄肉部位を予め成形しておき、この部位に真空断熱材302を固定した部品を成形型110内に配置した状態で、予備発泡粒子111を成形型110′内に挿入する製造方法が容易に採用可能となる。これにより、真空断熱材302を成形型110′内の空間に浮かせた状態で発泡断熱材301を円滑に成形することができ、製造効率を高めることができる。
【0040】
なお、前記実施の形態1,2では、発泡断熱材101,201の内側面101a,201aと外側面101b,201bとを平行に形成し、真空断熱材102,202を内側面101a,201a及び外側面101b,201bの両方に対して傾斜させる場合を例示した。しかし、本発明はこれに限らず、発泡断熱材の内側面と外側面とを平行に形成せず、真空断熱材を内側面と外側面の何れか一方のみに対して傾斜させる構成としてもよい。また、本発明では、真空断熱材を長手方向と垂直な方向(短辺の伸長方向)に対して傾斜させる構成としてもよく、さらには真空断熱材を上部側よりも下部側で発泡断熱材の内側面から離れるように傾斜させてもよい。
【0041】
また、実施の形態1乃至3では、発泡断熱材101,201,301及び真空断熱材102,202,302を略矩形状に形成する場合を例示したが、本発明はこれに限らず、任意の形状に形成してよいものである。さらに、実施の形態1乃至3では、断熱構造体100のうち分割断熱材100Cに対して、本発明の特徴事項を適用したが、本発明は、分割断熱材100A〜100Eの全て、または任意の一部分に適用することができる。
【0042】
また、前記実施の形態2では、発泡断熱材201の内部に2個の真空断熱材202を配置する場合を例示したが、本発明において、発泡断熱材の内部に配置する真空断熱材の個数は、2個以上の任意の個数に設定してよいものである。
【0043】
また、本発明は、前記実施の形態2,3を組合わせることにより実現してもよい。即ち、本発明では、発泡断熱材の内部に複数個の真空断熱材を配置し、発泡断熱材を、上部側から下部側に向けて徐々に薄くなるように形成してもよい。
【符号の説明】
【0044】
1 ヒートポンプ式給湯機(貯湯式給湯機)
21 貯湯タンク
100 断熱構造体
100A〜100E 分割断熱材
101,201,301 発泡断熱材
101a,201a,301a 内側面
101b,201b,301b 外側面
102,202,302 真空断熱材
110,110′ 成形型
110a,110a′,110b,110b′ 発泡粒子挿入口
111 予備発泡粒子
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8