特許第5835102号(P5835102)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2015.5.11 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】5835102
(24)【登録日】2015年11月13日
(45)【発行日】2015年12月24日
(54)【発明の名称】内容物の切り出し装置及び切り出し方法
(51)【国際特許分類】
   C21B 7/18 20060101AFI20151203BHJP
   C21B 5/00 20060101ALI20151203BHJP
   B65G 47/19 20060101ALI20151203BHJP
【FI】
   C21B7/18
   C21B5/00 301
   B65G47/19
【請求項の数】3
【全頁数】7
(21)【出願番号】特願2012-119879(P2012-119879)
(22)【出願日】2012年5月25日
(65)【公開番号】特開2013-245379(P2013-245379A)
(43)【公開日】2013年12月9日
【審査請求日】2014年8月11日
(73)【特許権者】
【識別番号】000006655
【氏名又は名称】新日鐵住金株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100089462
【弁理士】
【氏名又は名称】溝上 哲也
(74)【代理人】
【識別番号】100116344
【弁理士】
【氏名又は名称】岩原 義則
(74)【代理人】
【識別番号】100129827
【弁理士】
【氏名又は名称】山本 進
(72)【発明者】
【氏名】村上 俊平
(72)【発明者】
【氏名】岸野 友康
(72)【発明者】
【氏名】渡邊 健太
(72)【発明者】
【氏名】菅井 清
(72)【発明者】
【氏名】高橋 勉
【審査官】 酒井 英夫
(56)【参考文献】
【文献】 実開平05−037780(JP,U)
【文献】 欧州特許出願公開第00349800(EP,A1)
【文献】 欧州特許出願公開第00557567(EP,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C21B7/18
C21B5/00
B65G47/00−47/20
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
内容物を一時的に蓄えるホッパと、このホッパに蓄えられた内容物を取り出すための振動フィーダと、この振動フィーダによって取り出された内容物の取り出し量を調整する切り出しゲートを備えた内容物の切り出し装置であって、
前記切り出しゲートの下流側の、切り出しゲートから前記内容物の平均粒径の5〜20倍の位置に、前記振動フィーダにより取り出されて搬送されてくる前記内容物に下端部分が埋没して前記内容物の移動を阻害するように、障害物設置装置に上部を取り付けられて垂下状となされた棒状の障害物を、前記内容物の移動方向と同一の平面内における直角方向に複数配置したことを特徴とする内容物の切り出し装置。
【請求項2】
内容物を一時的に蓄えるホッパと、このホッパに蓄えられた内容物を取り出すための振動フィーダと、この振動フィーダによって取り出された内容物の取り出し量を調整する切り出しゲートと、この切り出しゲートの下流側の、切り出しゲートから前記内容物の平均粒径の5〜20倍の位置に、取り出された前記内容物に下端部分が埋没して内容物の移動を阻害するように、障害物設置装置に上部を取り付けられて垂下状となされた棒状の障害物を、前記内容物の移動方向と同一の平面内における直角方向に複数配置した内容物の切り出し装置を用いた切り出し方法であって、
切り出し速度に応じて前記障害物の数を増減させることで前記内容物の切り出し速度を制御することを特徴とする内容物の切り出し方法。
【請求項3】
前記内容物は、コークス、鉱石、焼結鉱およびペレットの少なくとも一種であることを特徴とする請求項2に記載の内容物の切り出し方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、例えば高炉原料となるコークス、鉱石、焼結鉱、ペレット等の粉体や粒状体等の内容物をホッパ内から取り出す切り出し装置、及びこの切り出し装置を用いた切り出し方法に関し、特にその切り出し速度の制御に関するものである。以下、本明細書では、前記粉体や粒状体等の内容物を粉粒体と称する。
【背景技術】
【0002】
鉄鋼業等の製造業では、粉粒体を一時的にホッパに蓄え、必要時にホッパから必要量の粉粒体を取り出して使用する設備が、多くの生産プラントで用いられている。ホッパに一時的に蓄えられた粉粒体を前記ホッパから取り出すための切り出し機構を具備したホッパ装置の従来の構成の概略を図4に示す。
【0003】
図4中の、1は内部に粉粒体2を一時的に蓄えるホッパであり、ホッパ1に蓄えられた粉粒体2は、ホッパ1の下部に設けられた振動フィーダ3により取り出された後、切り出しゲート4の開度調整により所定の切り出し速度(質量/時間)となるように制御される。
【0004】
切り出しゲート4により所定の速度で切り出された粉粒体2は、振動フィーダ3により振動篩5まで運ばれて細粒が取り除かれた後、例えばロードセルを備えたウエイトホッパで秤量され、装入ベルトコンベヤによって炉頂へ搬送される。
【0005】
前記秤量時の誤差は粉粒体の切り出し速度が遅いほど小さくなる。また、粉粒体の切り出し速度が遅いほど振動篩での篩効率が上昇するので、高炉への細粒の混入を防止することができる。よって、ホッパ内に蓄えられた粉粒体の切り出し速度を遅くすることは、高炉操業にとって有効である。
【0006】
ところで、前記粉粒体の切り出し速度の下限値は、高炉操業で要求される装入速度に制約されており、当該装入速度に対して若干の余裕を見込んで決定されるが、長期間にわたる高炉操業中に操業方針が変わり、切り出し速度の下限値も変化する。一方で、設備は最大操業値を基に設計されている。
【0007】
そこで、図4に示した切り出し装置において、切り出し速度の下限値を小さくする方法として、例えば特許文献1には、切り出しゲートの開度を調整することにより、また特許文献2には、振動フィーダの速度を調整することにより行う方法が記載されている。
【0008】
しかしながら、特許文献1に記載された制御方法では、切り出し速度を遅くしようとして切り出しゲートの開度を閉じすぎた場合は、切り出しゲートで粉粒体が詰まったり、棚吊りが発生したりする。
【0009】
また、特許文献2に記載された制御方法では、振幅や振動数がある閾値を超えた場合に切り出し速度が極端に低下するので、秤量遅れが発生するという問題が生じる。
【0010】
すなわち、特許文献1,2に記載された制御方法では、切り出し速度の下限値を予め設定した値よりも小さくする場合に十分な対応ができず、切り出し速度の低減による高炉操業の有効性を享受できない場合がある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0011】
【特許文献1】特開2005−133170号公報
【特許文献2】特開平08−177008号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0012】
本発明が解決しようとする問題点は、特許文献1,2に記載された制御方法では、切り出し速度の下限値を予め設定した値よりも小さくする場合に十分な対応ができず、切り出し速度の低減による高炉操業の有効性を享受できない場合があるという点である。
【課題を解決するための手段】
【0013】
本発明は、
切り出しゲートで詰まりや棚吊りを生じない開度を維持したまま、棚吊り限界のゲート開度時の切り出し速度より小さい切り出し速度での操業を可能とするために、
粉粒体を一時的に蓄えるホッパと、このホッパに蓄えられた粉粒体を取り出すための振動フィーダと、この振動フィーダによって取り出された粉粒体の取り出し量を調整する切り出しゲートを備えた内容物の切り出し装置であって、
前記切り出しゲートの下流側の、切り出しゲートから粉粒体の平均粒径の5〜20倍の位置に、前記振動フィーダにより取り出されて搬送されてくる前記粉粒体に下端部分が埋没して前記粉粒体の移動を阻害するように、障害物設置装置に上部を取り付けられて垂下状となされた棒状の障害物を、前記粉粒体の移動方向と同一の平面内における直角方向に複数配置したことを最も主要な特徴としている。
【0014】
また、上記本発明の内容物の切り出し装置を使用した切り出し速度の制御は、切り出し速度に応じて前記障害物の数を増減させることで行う。これが本発明の内容物の切り出し方法である。
【0015】
上記本発明では、切り出しゲートから粉粒体の平均粒径の5〜20倍下流側の位置に、粉粒体の移動方向と同一の平面内における直角方向に複数配置した障害物の数を増減させることで、棚吊り限界のゲート開度時の切り出し速度より遅い切り出し速度に制御する。従って、切り出しゲートで粉粒体の詰まりや棚吊りを生じることがなく、また、切り出し速度が極端に低下して秤量遅れが発生することもない。
【発明の効果】
【0016】
本発明によれば、切り出しゲートの下流側の、切り出しゲートから粉粒体の平均粒径の5〜20倍の位置に、振動フィーダにより搬送されてくる粉粒体に下端部分が埋没して粉粒体の移動を阻害するように、障害物設置装置に上部を取り付けられて垂下状となされた棒状の障害物を、粉粒体の移動方向と同一の平面内における直角方向に複数配置するだけで、切り出し速度の低速制御を安価に実現できる。
【図面の簡単な説明】
【0017】
図1】本発明の内容物の切り出し装置の一例を示す概略構成図である。
図2】本発明の内容物の切り出し装置を構成する障害物と粉粒体の切り出し速度の関係を示した図である。
図3】本発明の内容物の切り出し装置を構成する障害物による切り出し速度の低減により篩効率が改善されたことを示した図である。
図4】従来の内容物の切り出し装置の概略構成図である。
【発明を実施するための形態】
【0018】
本発明は、切り出しゲートで詰まりや棚吊りを生じない開度を維持したまま、棚吊り限界のゲート開度時の切り出し速度より遅い切り出し速度での操業を可能とすることを目的とするものである。
【0019】
本発明では、切り出しゲートの下流側の、切り出しゲートから粉粒体の平均粒径の5〜20倍の位置に、振動フィーダにより搬送されてくる粉粒体に下端部分が埋没して粉粒体の移動を阻害するように、障害物設置装置に上部を取り付けられて垂下状となされた棒状の障害物を、粉粒体の移動方向と同一の平面内における直角の方向に複数配置することで実現した。
【実施例】
【0020】
以下、本発明を実施するための実施例を、図1を用いて説明する。
図1は本発明の切り出し装置の一例を示す概略構成図である。なお、図1において、図4と同一番号は、同一部分或いは相当部分を示し、詳細な説明を省略する。
【0021】
図1において、11は、振動フィーダ3により取り出されて搬送されてくる、例えばコークス、鉱石、焼結鉱およびペレットの少なくとも一種を含む粉粒体2に下端部分が埋没するように、障害物設置装置12に上部を取付けられて垂下状となされた例えば棒状の障害物である。
【0022】
なお、前記粉粒体2を一時的に蓄えるホッパ1は、複数の種類の銘柄の粉粒体2を蓄えることが可能であるが、一時に一種類の粉粒体2だけを内容物として蓄えるものであっても良い。また、振動フィーダ3は駆動用電動機で駆動され、当該駆動用電動機は電動機制御盤内の駆動回路によって所望の回転数に制御される。
【0023】
この障害物11は、切り出しゲート4の下流側の、切り出しゲート4の下端から前記粉粒体2の平均粒径の5〜20倍の距離Lのところに、粉粒体2の移動方向と同一平面内における直角方向(図1の紙面前後方向)に配置される。
【0024】
前記距離Lが粉粒体2の平均粒径の5倍未満の場合は、ゲート開度を小さくすることと類似の効果を有して棚吊りや詰まりを発生する場合があるからである。一方、前記距離Lが粉粒体2の平均粒径の20倍を超える場合は、切り出しゲート4部で切り出し速度を減速させる効果を失い、振動フィーダ3上で粉粒体2があふれる場合があるからである。
【0025】
また、前記障害物11の、搬送される粉粒体2の上流側から投影した場合の幅は特に限定されないが、粉粒体2の平均粒径の0.1〜2倍とすることが望ましい。粉粒体2の粒径の0.1倍未満では、摩耗による欠損が生じて障害物11の取替え周期が短くなり、コストメリットが小さくなるからである。一方、粉粒体2の平均粒径の2倍を超えると、障害物11周りの粒子の挙動が不規則になり、特に設置数を増加する場合に切り出し速度の制御が不安定となるからである。
【0026】
また、下端部分が振動フィーダ3により搬送されてくる粉粒体2に埋没する前記障害物11の下端と、粉粒体2の搬送面である振動フィーダ3の上面との間隔は、振動フィーダ3の振幅よりも大きくすることが望ましい。
【0027】
振動フィーダ3の上面と障害物11の下端の間隔が振動フィーダ3の振幅よりも小さい場合、振動により振動フィーダ3の上面が障害物11に繰り返し衝突し、振動フィーダ3の上面に孔が開く場合があるからである。
【0028】
発明者らが本発明の内容物の切り出し装置を用いて、前記粉粒体1の切り出し速度の低下割合について調査した。
【0029】
調査は、ホッパ1(容量:600m3)に蓄えた粉粒体2(平均粒径が45〜55mmのコークス)を、振動フィーダ3(振幅:10mm(0を基準に±5mmで振動)、振動数:25Hz)で取り出し、切り出し速度の制御は、切り出しゲート4(切り出し部の幅:1040mm)の開度(高さ)を350mmとすることで行った。
【0030】
この切り出しゲート4の前記開度(350mm)は、障害物11の無い状態で切出し速度を低下させる場合に、棚吊りを生じない開度として経験的に得られた開度である。
【0031】
前記条件で切り出した場合の切り出し速度は、コークスにおいて100〜120ton/hrであり、高炉操業から規定される切り出し速度の下限値が100ton/hr以下の状況であっても、切り出しの下限制御の安定度の制約から、100ton/hr以下で切り出しを行うことは困難であった。
【0032】
これに対して、本発明では、障害物11として直径φが38mm、長さが500mmの丸鋼を、振動フィーダ3の上面と障害物11の下端の間隔が100mmとなるように、切り出しゲート4の下端から450mmだけ下流側(コークス平均粒径の8.1〜10倍の位置)に設置した。
【0033】
その際、前記障害物11(丸鋼)を、粉粒体2の移動方向と直角方向に、前記切り出しゲート4の切り出し部の幅をほぼ均等に分割するように、3個、5個、7個設置した(障害物1の設置間隔:130〜200mm)。
【0034】
その結果、障害物11(丸鋼)を3個設置した場合の切出し速度は85ton/hr、5個設置した場合の切出し速度は65ton/hr、7個設置した場合の切出し速度は50ton/hrとなった。
【0035】
すなわち、本発明の切り出し装置を使用することで、切り出しゲート4で詰まりや棚吊りを生じない開度を維持したまま、棚吊り限界のゲート開度時の切り出し速度より遅い100ton/hr以下の切出し速度を安定に達成することができた。また、図2より、障害物11の設置数と切り出し速度の間に線形の関係を有することが判明した。
【0036】
本発明の内容物の切り出し方法は、上記結果に基づいてなされたものであり、切り出し速度に応じて前記障害物11の数を増減させることで前記粉粒体2の切り出し速度を制御するものである。
【0037】
上記本発明による篩効率の改善例を図3に示す。篩効率(%)は、粉粒体2中の振動篩5の篩目以下の質量比率をA、篩上中の篩目以下の質量比率をBとした場合、100×(A−B)/Aで示される。
【0038】
前記式に先の調査結果をあてはめて計算すると、障害物11を設置しない場合の篩効率は37.0%であったが、障害物11(丸鋼)を7本設置してコークス切出し速度を50ton/hrに低下することで、篩効率は44.9%に増加した。
【0039】
本発明は上記した例に限らないことは勿論であり、請求項に記載の技術的思想の範疇であれば、適宜実施の形態を変更しても良いことは言うまでもない。
【0040】
例えば上記の例では、障害物11として棒状の丸鋼を採用しているが、横断面が矩形状等の多角形状の棒材を採用しても良い。
【符号の説明】
【0041】
1 ホッパ
2 粉粒体
3 振動フィーダ
4 切り出しゲート
5 振動篩
11 障害物
12 障害物設置装置
図1
図2
図3
図4