特許第5835112号(P5835112)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2015.5.11 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】5835112
(24)【登録日】2015年11月13日
(45)【発行日】2015年12月24日
(54)【発明の名称】空気入りタイヤ
(51)【国際特許分類】
   B60C 11/12 20060101AFI20151203BHJP
   B60C 11/03 20060101ALI20151203BHJP
【FI】
   B60C11/12 A
   B60C11/12 C
   B60C11/03 300A
   B60C11/12 B
【請求項の数】17
【全頁数】20
(21)【出願番号】特願2012-128342(P2012-128342)
(22)【出願日】2012年6月5日
(65)【公開番号】特開2013-252749(P2013-252749A)
(43)【公開日】2013年12月19日
【審査請求日】2014年11月18日
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】000006714
【氏名又は名称】横浜ゴム株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100089118
【弁理士】
【氏名又は名称】酒井 宏明
(74)【代理人】
【識別番号】100118762
【弁理士】
【氏名又は名称】高村 順
(72)【発明者】
【氏名】古澤 浩史
【審査官】 岡▲さき▼ 潤
(56)【参考文献】
【文献】 国際公開第2007/088738(WO,A1)
【文献】 特開2005−119415(JP,A)
【文献】 特開2011−162022(JP,A)
【文献】 特開2005−041339(JP,A)
【文献】 特開2006−007793(JP,A)
【文献】 特開2006−051891(JP,A)
【文献】 特開2011−079406(JP,A)
【文献】 特開平10−309910(JP,A)
【文献】 特開平10−151915(JP,A)
【文献】 特開2002−273736(JP,A)
【文献】 特開2009−248819(JP,A)
【文献】 特開2002−283813(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B60C 11/12
B60C 11/03
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
タイヤ周方向に延在する複数の周方向主溝と、前記周方向主溝に区画されて成る複数の陸部とを備える空気入りタイヤであって、
前記陸部が複数のブロックを備えると共に、1つの前記ブロックが複数の補助サイプを有し、
前記補助サイプが、トレッド部の平面視にて、第一屈曲部と第二屈曲部とを接続して成る屈曲形状を有し、
前記周方向主溝の溝深さDgと、前記補助サイプの前記第一屈曲部のサイプ深さDs_1および前記第二屈曲部のサイプ深さDs_2とが、0.5≦Ds_1/Dg≦1.0および0.2≦Ds_2/Ds_1≦0.5の関係を有し、
前記第二屈曲部のサイプ深さDs_2が、0.2[mm]≦Ds_2≦2.0[mm]の範囲にあり、且つ、
1つの前記ブロック内で隣り合う前記補助サイプの前記第一屈曲部および第二屈曲部の延在方向が、相互に異なることを特徴とする空気入りタイヤ。
【請求項2】
1つの前記補助サイプにおける前記第一屈曲部の総サイプ長さLs_1と前記第二屈曲部の総サイプ長さLs_2とが、0.25≦Ls_2/(Ls_1+Ls_2)≦0.75の関係を有する請求項1に記載の空気入りタイヤ。
【請求項3】
1つの前記補助サイプにおける前記第一屈曲部が延在方向を揃えて配置される請求項1または2に記載の空気入りタイヤ。
【請求項4】
前記陸部が、複数の主サイプを備え、且つ、
前記主サイプのサイプ深さDmと、前記第一屈曲部のサイプ深さDs_1とが、0.60≦Ds_1/Dm≦1.20の関係を有する請求項1〜3のいずれか一つに記載の空気入りタイヤ。
【請求項5】
前記主サイプと前記補助サイプとが、相互に並列に配置される請求項4に記載の空気入りタイヤ。
【請求項6】
隣り合う一対の前記主サイプの間に配置される前記補助サイプの数が、3つ以下である請求項5に記載の空気入りタイヤ。
【請求項7】
前記陸部が、複数の主サイプを備え、且つ、
1つの前記陸部に配置された前記主サイプの数Nmと、前記補助サイプの数Nsとが、0.30≦Ns/(Nm+Ns)≦0.60の関係を有する請求項1〜6のいずれか一つに記載の空気入りタイヤ。
【請求項8】
前記陸部が、複数の主サイプを備え、且つ、
前記周方向主溝の溝深さDgと、前記主サイプのサイプ深さDmとが、0.6≦Dm/Dg≦1.2の関係を有する請求項1〜7のいずれか一つに記載の空気入りタイヤ。
【請求項9】
前記陸部が、複数の主サイプを備え、且つ、
タイヤ新品時における前記主サイプのサイプ長さLmと、50[%]摩耗時における前記主サイプのサイプ長さLm’とが、0.7≦Lm’/Lmである請求項1〜8のいずれか一つに記載の空気入りタイヤ。
【請求項10】
前記陸部が、複数の主サイプを備え、且つ、
前記主サイプが、トレッド部の平面視にて屈曲形状を有する三次元サイプであり、前記補助サイプが、二次元サイプである請求項1〜9のいずれか一つに記載の空気入りタイヤ。
【請求項11】
前記陸部が、複数の主サイプを備え、且つ、
複数の前記主サイプが並列に配置されると共に、少なくとも1本の前記補助サイプが複数の前記主サイプの延在方向に対して所定角度で傾斜しつつ延在する請求項1〜3のいずれか一つに記載の空気入りタイヤ。
【請求項12】
前記陸部が、複数の主サイプを備え、且つ、
前記陸部が、複数のブロックを有し、複数の前記主サイプと少なくとも1本の前記補助サイプとが、前記ブロックの中心部から縁部に向かって放射状に延在する請求項1〜3のいずれか一つに記載の空気入りタイヤ。
【請求項13】
前記補助サイプの前記第一屈曲部のサイプ深さDs_1と、前記第二屈曲部のサイプ深さDs_2とが、0.2≦Ds_2/Ds_1≦0.29の関係を有する請求項1〜12のいずれか一つに記載の空気入りタイヤ。
【請求項14】
前記第一屈曲部と前記第二屈曲部とが交互かつ直接に接続されて、前記補助サイプのジグザグ形状が構成される請求項1〜13のいずれか一つに記載の空気入りタイヤ。
【請求項15】
1つの前記補助サイプが、相互に異なる方向に傾斜してN字状に接続された3つを一組とする前記第一屈曲部と、1つの前記第二屈曲部とを交互かつ直接に接続して成る請求項1〜14のいずれか一つに記載の空気入りタイヤ。
【請求項16】
タイヤ周方向に延在する複数の周方向主溝と、前記周方向主溝に区画されて成る複数の陸部とを備える空気入りタイヤであって、
前記陸部が、複数の補助サイプを備え、
前記補助サイプが、トレッド部の平面視にて、所定角度をもって相互に異なる方向に傾斜する第一屈曲部と第二屈曲部とを交互かつ直接に接続して成るジグザグ状の屈曲形状を有し、
前記周方向主溝の溝深さDgと、前記補助サイプの前記第一屈曲部のサイプ深さDs_1および前記第二屈曲部のサイプ深さDs_2とが、0.5≦Ds_1/Dg≦1.0および0.2≦Ds_2/Ds_1≦0.5の関係を有し、且つ、
前記第二屈曲部のサイプ深さDs_2が、0.2[mm]≦Ds_2≦2.0[mm]の範囲にあることを特徴とする空気入りタイヤ。
【請求項17】
タイヤ周方向に延在する複数の周方向主溝と、前記周方向主溝に区画されて成る複数の陸部とを備える空気入りタイヤであって、
前記陸部が、複数の補助サイプを備え、
前記補助サイプが、トレッド部の平面視にて、相互に異なる方向に傾斜してN字状に接続された3つを一組とする第一屈曲部と1つの第二屈曲部とを交互かつ直接に接続して成る屈曲形状を有し、
前記周方向主溝の溝深さDgと、前記補助サイプの前記第一屈曲部のサイプ深さDs_1および前記第二屈曲部のサイプ深さDs_2とが、0.5≦Ds_1/Dg≦1.0および0.2≦Ds_2/Ds_1≦0.5の関係を有し、且つ、
前記第二屈曲部のサイプ深さDs_2が、0.2[mm]≦Ds_2≦2.0[mm]の範囲にあることを特徴とする空気入りタイヤ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、空気入りタイヤに関し、さらに詳しくは、氷上制動性能および雪上操安性能を向上できる空気入りタイヤに関する。
【背景技術】
【0002】
例えば、スタッドレスタイヤなどの空気入りタイヤでは、トレッド表面に多数のサイプを配置することにより、氷表面の水膜を除去して氷上制動性能を向上させている。一方で、サイプの枚数を増加させると、陸部の剛性が低下して雪上操安性能が低下するという課題がある。
【0003】
この点において、従来の空気入りタイヤでは、サイプを底上げすることにより、陸部の剛性を確保している。かかる構成を採用する従来の空気入りタイヤとして、特許文献1、2に記載される技術が知られている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特許4340112号公報
【特許文献2】特開2009−12648号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
この発明は、氷上制動性能および雪上操安性能を向上できる空気入りタイヤを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記目的を達成するため、この発明にかかる空気入りタイヤは、タイヤ周方向に延在する複数の周方向主溝と、前記周方向主溝に区画されて成る複数の陸部とを備える空気入りタイヤであって、前記陸部が複数のブロックを備えると共に、1つの前記ブロックが複数の補助サイプを有し、前記補助サイプが、トレッド部の平面視にて、第一屈曲部と第二屈曲部とを接続して成る屈曲形状を有し、前記周方向主溝の溝深さDgと、前記補助サイプの前記第一屈曲部のサイプ深さDs_1および前記第二屈曲部のサイプ深さDs_2とが、0.5≦Ds_1/Dg≦1.0および0.2≦Ds_2/Ds_1≦0.5の関係を有し、前記第二屈曲部のサイプ深さDs_2が、0.2[mm]≦Ds_2≦2.0[mm]の範囲にあり、且つ、1つの前記ブロック内で隣り合う前記補助サイプの前記第一屈曲部および第二屈曲部の延在方向が、相互に異なることを特徴とする。
【発明の効果】
【0007】
この発明にかかる空気入りタイヤでは、タイヤ新品時にて、補助サイプが深いサイプ深さDs_1を有する第一屈曲部を備えるので、陸部の吸水性が向上する。これにより、タイヤの氷上制動性能が向上する利点がある。また、補助サイプが浅いサイプ深さDs_2を有する第二屈曲部を備えることにより、陸部の剛性が適正に確保されて、タイヤの雪上操安性能が向上する利点がある。また、摩耗中期にて、浅い第二屈曲部が消滅した後にも、補助サイプの第一屈曲部が陸部の踏面に残存するので、摩耗中期における陸部のエッジ成分が増加する。これにより、トラクション性が向上して、タイヤの雪上操安性能が向上する利点がある。
【図面の簡単な説明】
【0008】
図1図1は、この発明の実施の形態にかかる空気入りタイヤを示すタイヤ子午線方向の断面図である。
図2図2は、図1に記載した空気入りタイヤを示すトレッド平面図である。
図3図3は、図1に記載した空気入りタイヤのブロックを示す平面図である。
図4図4は、図3に記載したブロックの補助サイプを示す説明図である。
図5図5は、図1に記載した空気入りタイヤの作用を示す説明図である。
図6図6は、三次元サイプの一例を示す説明図である。
図7図7は、三次元サイプの一例を示す説明図である。
図8図8は、図1に記載した空気入りタイヤの変形例を示す説明図である。
図9図9は、図1に記載した空気入りタイヤの変形例を示す説明図である。
図10図10は、図1に記載した空気入りタイヤの変形例を示す説明図である。
図11図11は、図1に記載した空気入りタイヤの変形例を示す説明図である。
図12図12は、図1に記載した空気入りタイヤの変形例を示す説明図である。
図13図13は、図1に記載した空気入りタイヤの変形例を示す説明図である。
図14図14は、図1に記載した空気入りタイヤの変形例を示す説明図である。
図15図15は、図1に記載した空気入りタイヤの変形例を示す説明図である。
図16図16は、図1に記載した空気入りタイヤの変形例を示す説明図である。
図17図17は、図1に記載した空気入りタイヤの変形例を示す説明図である。
図18図18は、図1に記載した空気入りタイヤの変形例を示す説明図である。
図19図19は、図1に記載した空気入りタイヤの変形例を示すトレッド平面図である。
図20図20は、この発明の実施の形態にかかる空気入りタイヤの性能試験の結果を示す図表である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、この発明につき図面を参照しつつ詳細に説明する。なお、この実施の形態によりこの発明が限定されるものではない。また、この実施の形態の構成要素には、発明の同一性を維持しつつ置換可能かつ置換自明なものが含まれる。また、この実施の形態に記載された複数の変形例は、当業者自明の範囲内にて任意に組み合わせが可能である。
【0010】
[空気入りタイヤ]
図1は、この発明の実施の形態にかかる空気入りタイヤを示すタイヤ子午線方向の断面図である。同図は、空気入りタイヤ1の一例として、乗用車用ラジアルタイヤを示している。なお、符号CLは、タイヤ赤道面である。
【0011】
この空気入りタイヤ1は、一対のビードコア11、11と、一対のビードフィラー12、12と、カーカス層13と、ベルト層14と、トレッドゴム15と、一対のサイドウォールゴム16、16と、一対のリムクッションゴム17、17とを備える(図1参照)。
【0012】
一対のビードコア11、11は、環状構造を有し、左右のビード部のコアを構成する。一対のビードフィラー12、12は、一対のビードコア11、11のタイヤ径方向外周にそれぞれ配置されてビード部を補強する。
【0013】
カーカス層13は、単層構造を有し、左右のビードコア11、11間にトロイダル状に架け渡されてタイヤの骨格を構成する。また、カーカス層13の両端部は、ビードコア11およびビードフィラー12を包み込むようにタイヤ幅方向外側に巻き返されて係止される。また、カーカス層13は、スチールあるいは有機繊維材(例えば、アラミド、ナイロン、ポリエステル、レーヨンなど)から成る複数のカーカスコードをコートゴムで被覆して圧延加工して構成され、絶対値で85[deg]以上95[deg]以下のカーカス角度(タイヤ周方向に対するカーカスコードの繊維方向の傾斜角)を有する。
【0014】
ベルト層14は、一対の交差ベルト141、142と、ベルトカバー143とを積層して成り、カーカス層13の外周に掛け廻されて配置される。一対の交差ベルト141、142は、スチールあるいは有機繊維材から成る複数のベルトコードをコートゴムで被覆して圧延加工して構成され、絶対値で10[deg]以上30[deg]以下のベルト角度を有する。また、一対の交差ベルト141、142は、相互に異符号のベルト角度(タイヤ周方向に対するベルトコードの繊維方向の傾斜角)を有し、ベルトコードの繊維方向を相互に交差させて積層される(クロスプライ構造)。ベルトカバー143は、スチールあるいは有機繊維材から成る複数のベルトコードをコートゴムで被覆して圧延加工して構成され、絶対値で10[deg]以上45[deg]以下のベルト角度を有する。また、ベルトカバー143は、交差ベルト141、142のタイヤ径方向外側に積層されて配置される。
【0015】
トレッドゴム15は、カーカス層13およびベルト層14のタイヤ径方向外周に配置されてタイヤのトレッド部を構成する。一対のサイドウォールゴム16、16は、カーカス層13のタイヤ幅方向外側にそれぞれ配置されて左右のサイドウォール部を構成する。一対のリムクッションゴム17、17は、左右のビードコア11、11およびビードフィラー12、12のタイヤ幅方向外側にそれぞれ配置されて、左右のビード部を構成する。
【0016】
図2は、図1に記載した空気入りタイヤを示すトレッド平面図である。同図は、一般的なブロックパターンを有する空気入りタイヤ1を示している。なお、符号Tは、タイヤ接地端である。
【0017】
この空気入りタイヤ1は、タイヤ周方向に延在する複数の周方向主溝21、22と、これらの周方向主溝21、22に区画された複数の陸部31、32と、これらの陸部31、32に配置された複数のラグ溝41、42とをトレッド部に備える(図2参照)。
【0018】
例えば、図2の構成では、3本の周方向主溝21、22がタイヤ赤道面CLを中心として左右対称に配置されている。また、これらの周方向主溝21、22により、2列のセンター陸部31、31と左右一対のショルダー陸部32、32とが区画されている。また、すべての陸部31、32が、タイヤ幅方向に延在する複数のラグ溝41、42をそれぞれ有している。また、これらのラグ溝41、42が、陸部31、32をタイヤ幅方向に横断するオープン構造を有し、また、タイヤ周方向に所定間隔で配列されている。これにより、すべての陸部31、32が、複数のブロック311、321に分断されたブロック列となっている。
【0019】
なお、周方向主溝とは、4.0[mm]以上の溝幅を有する周方向溝をいう。また、後述するラグ溝とは、3.0[mm]以上の溝幅を有する横溝をいう。これらの溝幅は、溝開口部に形成された切欠部や面取部を除外して測定される。また、後述するサイプとは、陸部に形成された切り込みであり、一般に1.0[mm]未満のサイプ幅を有する。
【0020】
[ブロックの補助サイプ]
図3は、図1に記載した空気入りタイヤのブロックを示す平面図である。図4は、図3に記載したブロックの補助サイプを示す説明図である。これらの図において、図3は、単体のブロックを示し、図4は、1本の補助サイプ52のトレッド平面図(図4(a))および補助サイプ52のサイプ壁面の平面図(図4(b))を示している。
【0021】
この空気入りタイヤ1では、陸部31、32が、相互に所定間隔を隔てて並列に配置された複数のサイプ51、52をそれぞれ備える(図2参照)。これらのサイプ51、52は、主サイプ51と、補助サイプ52とに分類される。
【0022】
主サイプ51は、汎用されている一般的なサイプである。この主サイプ51は、トレッド部の平面視にて、ストレート形状および屈曲形状のいずれを有しても良い。また、主サイプ51は、陸部31、32を貫通するオープン構造、陸部31、32内で終端するクローズド構造およびセミクローズド構造のいずれを有しても良い。また、主サイプ51は、サイプ深さを底上げする底上部を有しても良い。また、主サイプ51は、二次元サイプおよび三次元サイプのいずれであっても良い。
【0023】
なお、二次元サイプとは、サイプ長さ方向に垂直な断面視にて直線形状のサイプ壁面を有するサイプ(いわゆる平面サイプ)である。三次元サイプとは、サイプ長さ方向に垂直な断面視にて、サイプ幅方向に屈曲した形状のサイプ壁面を有するサイプ(いわゆる立体サイプ)である。三次元サイプは、二次元サイプと比較して、対向するサイプ壁面の噛合力が強いため、陸部の剛性を補強する作用を有する。
【0024】
また、周方向主溝21、22の溝深さDgと、主サイプ51のサイプ深さDmとが、0.6≦Dm/Dg≦1.2の関係を有する(後述する図6および図7参照)。これにより、主サイプ51が、タイヤの摩耗中期まで適正に残存する。なお、周方向主溝21、22の溝深さDgは、周方向主溝21、22の最大深さ位置にて測定される。したがって、周方向主溝21、22が底上部を有する場合には、これらの底上部が除外されて測定される。また、主サイプ51のサイプ深さDmは、主サイプ51の最大深さ位置にて測定される。したがって、主サイプ51が底上部を有する場合には、これらの底上部が除外されて測定される。
【0025】
また、タイヤ新品時における主サイプ51のサイプ長さLmと、タイヤの50[%]摩耗時における主サイプ51のサイプ長さLm’とが、0.7≦Lm’/Lmの関係を有する。これにより、主サイプ51が、タイヤの摩耗中期まで適正に残存する。なお、サイプ長さは、サイプが平面視にて屈曲形状を有する場合には、そのサイプの道のりの長さとして測定される。
【0026】
補助サイプ52は、トレッド部の平面視にて、屈曲形状を有する(図4参照)。屈曲形状には、例えば、屈折しつつ延在するジグザグ形状、湾曲しつつ延在する波状形状が含まれる。また、補助サイプ52は、陸部31、32を貫通するオープン構造、陸部31、32内で終端するクローズド構造およびセミクローズド構造のいずれを有しても良い。また、補助サイプ52は、二次元サイプおよび三次元サイプのいずれであっても良い。
【0027】
また、補助サイプ52は、第一屈曲部521と第二屈曲部522とを接続して構成される。第一屈曲部521とは、周方向主溝21、22の溝深さDgあるいは主サイプ51のサイプ深さDmを基準として規定される所定のサイプ深さDs_1を有するサイプ部分をいう。第二屈曲部522とは、第一屈曲部521よりも浅いサイプ深さDs_2を有するサイプ部分をいう。具体的には、周方向主溝21、22の溝深さDgと、補助サイプ52の第一屈曲部521のサイプ深さDs_1および第二屈曲部522のサイプ深さDs_2とが、0.60≦Ds_1/Dm≦1.20、および、0.2≦Ds_2/Ds_1≦0.5の関係を有する。
【0028】
また、補助サイプ52は、複数の第一屈曲部521と複数の第二屈曲部522とを所定の配列パターンでサイプ長さ方向に接続して構成される。このとき、1つの補助サイプ52における第一屈曲部521の総サイプ長さLs_1と、第二屈曲部522の総サイプ長さLs_2とが、0.25≦Ls_2/(Ls_1+Ls_2)≦0.75の関係を有する。総サイプ長さLs_2/(Ls_1+Ls_2)は、陸部31、32の踏面におけるサイプ長さとして測定される。
【0029】
例えば、図2および図3の構成では、1つのブロック311(321)が、複数の主サイプ51と、複数の補助サイプ52とを備えている。また、各主サイプ51が、ジグザグ形状を有し、タイヤ幅方向かつ相互に同一方向に延在している。また、各主サイプ51が、タイヤ周方向に所定間隔をあけつつ相互に並列に配置されている。また、主サイプ51のサイプ深さDmが、6[mm]≦Dm≦8[mm]の範囲内に設定されている。
【0030】
また、補助サイプ52が、ジグザグ形状を有する二次元サイプであり(図4参照)、主サイプ51に対して所定間隔を隔てつつ並列に配置されている。また、隣り合う主サイプ51、51の間に、1つの補助サイプ52が配置されている。これにより、主サイプ51と補助サイプ52とがタイヤ周方向に交互に隣り合って配置されている。
【0031】
また、図4(a)に示すように、補助サイプ52の第一屈曲部521が延在方向を揃えて配置されている。具体的には、補助サイプ52の第一屈曲部521がタイヤ周方向に対して一方向に傾斜し、第二屈曲部522がタイヤ周方向に対して他方向(第一屈曲部521の傾斜方向に対して異なる方向)に傾斜することにより、第一屈曲部521と第二屈曲部522とが所定角度をもって相互に異なる方向に傾斜している。そして、第一屈曲部521と第二屈曲部522とが交互に接続されて、補助サイプ52のジグザグ形状が構成されている。また、図4(b)に示すように、深いサイプ深さDs_1を有する第一屈曲部521と、浅いサイプ深さDs_2を有する第二屈曲部522とが交互に接続されて、櫛状の補助サイプ52が形成されている。
【0032】
また、第一屈曲部521のサイプ深さDs_1が、主サイプ51のサイプ深さDmに対して0.60≦Ds_1/Dm≦1.00の範囲内に設定されている。また、第二屈曲部522のサイプ深さDs_2が、第一屈曲部521のサイプ深さDs_1よりも浅く、0.2[mm]≦Ds_2≦2.0[mm]の範囲内に設定されている。
【0033】
図5は、図1に記載した空気入りタイヤの作用を示す説明図である。同図において、(a)は、タイヤ新品時におけるブロック311(321)の踏面の様子を示し、(b)は、50[%]摩耗時におけるブロック311(321)の踏面の様子示している。
【0034】
タイヤ新品時(図5(a)参照)には、ブロック311(321)が補助サイプ52を有することにより、ブロックが主サイプのみを有する構成(図示省略)と比較して、サイプの高密度配置が可能となり、ブロック311(321)のエッジ成分が増加する。これにより、トラクション性が向上して、タイヤの雪上操安性能が向上する。
【0035】
また、補助サイプ52が深いサイプ深さDs_1を有する第一屈曲部521を備えるので(図4参照)、補助サイプが一様に浅いサイプ深さを有する構成(図示省略)と比較して、ブロック311(321)の吸水性が向上する。これにより、タイヤの氷上制動性能が向上する。
【0036】
また、補助サイプ52が浅いサイプ深さDs_2を有する第二屈曲部522を備えることにより、この第二屈曲部522が補助サイプ52の底上部として機能する。これにより、補助サイプが一様に深いサイプ深さを有する構成(図示省略)と比較して、ブロック311(321)の剛性が適正に確保されて、タイヤの雪上操安性能が向上する。
【0037】
また、補助サイプ52が、深いサイプ深さDs_1を有する第一屈曲部521と浅いサイプ深さDs_2を有する第二屈曲部522とを交互に接続して成る櫛状形状を有することにより、補助サイプ52によるブロック311(321)の吸水性向上と剛性確保とが適正に両立される。これらにより、タイヤ新品時におけるタイヤの雪上操安性能および氷上制動性能が向上する。
【0038】
50[%]摩耗時(図5(b)参照)には、浅い第二屈曲部522がブロック311(321)の摩耗により消滅して、主サイプ51と補助サイプ52の第一屈曲部521とがブロック311(321)の踏面に残存する。これにより、ブロックが主サイプのみを有する構成(図示省略)と比較して、摩耗中期におけるブロック311(321)のエッジ成分が増加する。これにより、トラクション性が向上して、タイヤの雪上操安性能が向上する。
【0039】
また、補助サイプ52の第一屈曲部521が延在方向を揃えて配置されるので(図4(a)参照)、第二屈曲部522がブロック311(321)の摩耗により消滅したときに、一方向に延在した第一屈曲部521のみがブロック311(321)の踏面に残存する(図5(b)参照)。これにより、特定方向(第一屈曲部521の延在方向)に対するブロック311(321)のエッジ成分が確保される。これにより、タイヤの雪上操安性能が効率的に向上する。
【0040】
なお、図2の構成では、主サイプ51が、トレッド部の平面視にて屈曲形状を有する三次元サイプであることが好ましい。なお、かかる三次元サイプとしては、例えば、以下のものが挙げられる(図6および図7参照)。
【0041】
図6および図7は、三次元サイプの一例を示す説明図である。これらの図は、三次元サイプのサイプ壁面を示している。
【0042】
図6の三次元サイプでは、サイプ壁面が、三角錐と逆三角錐とをサイプ長さ方向に連結した構造を有する。言い換えると、サイプ壁面が、トレッド面側のジグザグ形状と底部側のジグザグ形状とを互いにタイヤ幅方向にピッチをずらせ、該トレッド面側と底部側とのジグザグ形状の相互間で互いに対向し合う凹凸を有する。また、サイプ壁面が、これらの凹凸において、タイヤ回転方向に見たときの凹凸で、トレッド面側の凸屈曲点と底部側の凹屈曲点との間、トレッド面側の凹屈曲点と底部側の凸屈曲点との間、トレッド面側の凸屈曲点と底部側の凸屈曲点とで互いに隣接し合う凸屈曲点同士の間をそれぞれ稜線で結ぶと共に、これら稜線間をタイヤ幅方向に順次平面で連結することにより形成される。また、一方のサイプ壁面が、凸状の三角錐と逆三角錐とを交互にタイヤ幅方向に並べた凹凸面を有し、他方のサイプ壁面が、凹状の三角錐と逆三角錐とを交互にタイヤ幅方向に並べた凹凸面を有する。そして、サイプ壁面が、少なくともサイプの両端最外側に配置した凹凸面をブロックの外側に向けている。なお、このような三次元サイプとして、例えば、特許第3894743号公報に記載される技術が知られている。
【0043】
また、図7の三次元サイプでは、サイプ壁面が、ブロック形状を有する複数の角柱をサイプ深さ方向に対して傾斜させつつサイプ深さ方向およびサイプ長さ方向に連結した構造を有する。言い換えると、サイプ壁面が、トレッド面においてジグザグ形状を有する。また、サイプ壁面が、ブロックの内部ではタイヤ径方向の2箇所以上でタイヤ周方向に屈曲してタイヤ幅方向に連なる屈曲部を有し、また、該屈曲部においてタイヤ径方向に振幅を持ったジグザグ形状を有する。また、サイプ壁面が、タイヤ周方向の振幅を一定にする一方で、トレッド面の法線方向に対するタイヤ周方向への傾斜角度をトレッド面側の部位よりもサイプ底側の部位で小さくし、屈曲部のタイヤ径方向の振幅をトレッド面側の部位よりもサイプ底側の部位で大きくする。なお、このような三次元サイプとして、例えば、特許第4316452号公報に記載される技術が知られている。
【0044】
[変形例]
図8および図9は、図1に記載した空気入りタイヤの変形例を示す説明図である。これらの図は、タイヤ新品時における単体のブロック311(321)の平面図を示している。
【0045】
図3の構成では、1つのブロック321(322)にて、主サイプ51と補助サイプ52とがタイヤ周方向に交互に配置されている。言い換えると、隣り合う主サイプ51、51間に、1つの補助サイプ52が配置されている。かかる構成では、摩耗中期における主サイプ51と補助サイプ52の第一屈曲部521との配置バランスが適正化されるので、タイヤの雪上操安性能および氷上制動性能を効果的に向上できる点で好ましい。
【0046】
しかし、これに限らず、複数の主サイプ51と複数の補助サイプ52との配置パターンは、任意に選択できる。
【0047】
例えば、図8の構成では、隣り合う主サイプ51、51間に補助サイプ52を有さない部分を残すことにより、一部の主サイプ51が連続して配置されている。すなわち、図3の構成において、一部の補助サイプ52が間引かれている。これにより、ブロック321(322)の好適な領域にのみ、補助サイプ52を配置できる。
【0048】
また、図9の構成では、隣り合う主サイプ51、51間に、2つの補助サイプ52が配置されている。このように、隣り合う主サイプ51、51間に、複数の補助サイプ52が配置されても良い。これにより、ブロック321(322)の剛性を補助サイプ52の第二屈曲部522により確保しつつ、ブロック321(322)のサイプ密度を密にできる。このとき、隣り合う主サイプ51、51間に配置される補助サイプ52の数は、3つ以下であることが好ましい。
【0049】
なお、図8および図9の構成では、1つのブロック321(322)に配置された主サイプ51の数Nmと、補助サイプ52の数Nsとが、0.30≦Ns/(Nm+Ns)≦0.60の関係を有することが好ましい。
【0050】
図10図13は、図1に記載した空気入りタイヤの変形例を示す説明図である。これらの図は、摩耗中期(50[%]摩耗時)にて、第二屈曲部522がブロック321(322)の摩耗により消滅した状態を示している。なお、タイヤ新品時(図示省略)には、補助サイプ52が、図5(a)に示すようなタイヤ幅方向に連続したジグザグ形状を有している。
【0051】
図3の構成では、1つのブロック321(322)に配置されたすべての補助サイプ52の第一屈曲部521が一方向に延在し、すべての第二屈曲部522が他方向に延在することにより、第一屈曲部521と第二屈曲部522とが所定角度をもって相互に異なる方向に延在している。また、補助サイプ52が屈曲形状を有し、深いサイプ深さDs_1を有する第一屈曲部521と浅いサイプ深さDs_2を有する第二屈曲部522と屈曲形状の屈曲点にて交互に接続されて、補助サイプ52が構成されている。かかる構成では、摩耗中期にて第二屈曲部522が消滅したときに、一方向に延在した第一屈曲部521のみがブロック311(321)の踏面に残存する(図5(b)参照)。これにより、特定方向(第一屈曲部521の延在方向)に対するエッジ成分を確保できるので、好ましい。
【0052】
これに対して、図10の構成では、1つのブロック321(322)に配置された複数の補助サイプ52にて、隣り合う補助サイプ52の第一屈曲部521および第二屈曲部522の延在方向が、相互に異なる。かかる構成では、摩耗中期にて第二屈曲部522が消滅したときに、第一屈曲部521のエッジ成分を分散させて残存させ得る点で好ましい。
【0053】
また、図11図13に示すように、1つの補助サイプ52における第一屈曲部521の延在方向と第二屈曲部522の延在方向との関係は、任意に設定できる。また、図12および図13に示すように、1つの補助サイプ52にて、相互に異なる方向に延在する複数の第一屈曲部521が相互に接続されて配置されても良い。
【0054】
例えば、図11の構成では、補助サイプ52が、所定方向にのみ傾斜する1つの第一屈曲部521と、相互に異なる方向に傾斜する3つの第二屈曲部522(図示省略)とを交互に接続して構成されている。このため、摩耗中期にて第二屈曲部522が消滅すると、第一屈曲部521が、図5(b)の構成よりも少ない数で残存する。
【0055】
また、図12の構成では、補助サイプ52が、相互に異なる方向に傾斜する2つの第一屈曲部521と、相互に異なる方向に傾斜する2つの第二屈曲部522(図示省略)とを交互に接続して構成されている。このため、摩耗中期にて第二屈曲部522が消滅すると、V字状の第一屈曲部521が残存する。
【0056】
また、図13の構成では、補助サイプ52が、相互に異なる方向に傾斜する3つの第一屈曲部521と、相互に異なる方向に傾斜する1つの第二屈曲部522(図示省略)とを交互に接続して構成されている。このため、摩耗中期にて第二屈曲部522が消滅すると、Z字状の第一屈曲部521が残存する。
【0057】
図14および図15は、図1に記載した空気入りタイヤの変形例を示す説明図である。これらの図は、タイヤ新品時における単体のブロック321(322)の平面図を示している。
【0058】
図3の構成では、1つのブロック321(322)にて、主サイプ51と補助サイプ52とが、所定間隔をあけて相互に並列に配置されている。
【0059】
しかし、これに限らず、図14および図15に示すように、1つのブロック321(322)にて、複数の主サイプ51が並列に配置され、補助サイプ52がこれらの主サイプ51の延在方向に対して所定角度で傾斜しつつ延在するように配置されても良い。
【0060】
例えば、図14の構成では、1つの補助サイプ52が、ブロック321(322)のタイヤ幅方向の中央領域に配置されてタイヤ周方向に延在している。また、複数の主サイプ51が、補助サイプ52を境界とするブロック321(322)の左右の領域に配置され、また、相互に並列に配置されてタイヤ幅方向に延在している。また、各主サイプ51が、補助サイプ52に対して略直交する方向に延在して補助サイプ52の手前で終端している。
【0061】
また、図15の構成では、1つの補助サイプ52が、ブロック321(322)の中央領域に配置されてタイヤ周方向に対して所定の傾斜角にて傾斜しつつ延在している。また、複数の主サイプ51が、補助サイプ52を境界とするブロック321(322)の各領域に配置され、また、相互に並列に配置されてタイヤ幅方向に延在している。また、各主サイプ51が、補助サイプ52に対して略45[deg]の傾斜角にて傾斜して補助サイプ52の手前で終端している。
【0062】
図16図18は、図1に記載した空気入りタイヤの変形例を示す説明図である。同図は、タイヤ新品時における単体のブロック321(322)の平面図を示している。
【0063】
例えば、図16の構成では、複数の主サイプ51および複数の補助サイプ52が、ブロック321(322)の中心部から縁部に向かって放射状に延在している。このため、ブロック321(322)の中心部では、サイプ51、52が密に配置され、ブロック321(322)の縁部では、サイプ51、52が疎に配置されている。また、主サイプ51と補助サイプ52とが、相互に交差することなく、ブロック321(322)の周方向に交互に配置されている。このとき、隣り合う主サイプ51、51の間に、複数の補助サイプ52が配置されても良い(図示省略。図9参照。)。
【0064】
また、図17および図18の構成では、1つの補助サイプ52が、ブロック321(322)の中央をタイヤ幅方向(図17)あるいはタイヤ周方向に対して略45[deg]で傾斜する方向に延在している。また、複数の主サイプ51が、補助サイプ52を境界とするブロック321(322)の各領域に配置されている。また、各主サイプ51が、ブロック321(322)の中心部から縁部に向かって放射状に延在している。また、主サイプ51と補助サイプ52とが、相互に交差していない。
【0065】
なお、図16図18の構成では、主サイプ51および補助サイプ52の一方の端部が、ブロック321(322)のタイヤ周方向およびタイヤ幅方向の縁部に開口している。しかし、これに限らず、主サイプ51および補助サイプ52の両端部が、ブロック321(322)内で終端しても良い(図示省略)。
【0066】
図19は、図1に記載した空気入りタイヤ1の変形例を示すトレッド平面図である。同図は、乗用車用ウインタータイヤのトレッドパターンを示している。
【0067】
図2の構成では、空気入りタイヤ1が、ストレート形状を有する3本の周方向主溝21、22と、これらの周方向主溝21、22に開口する複数のラグ溝41、42と、これらの周方向主溝21、22およびラグ溝41、42に区画されて成る複数のブロック321、322とを備えている。したがって、陸部31、32が、ブロック列となっている。そして、各ブロック321、322が、複数の主サイプ51および複数の補助サイプ52をそれぞれ備えている。
【0068】
しかし、これに限らず、リブ状の陸部31、32に、主サイプ51および補助サイプ52が配置されても良い(図19参照)。
【0069】
例えば、図19の構成では、空気入りタイヤ1が、イナズマ状にステップバックしつつタイヤ周方向に延在する2本の周方向主溝22、22と、これらの周方向主溝22、22に区画されて成る1列のセンター陸部31および左右のショルダー陸部32、32とを備えている。また、センター陸部31が、タイヤ周方向に連続するリブであり、また、一方の周方向主溝22に開口する複数の切欠溝312を有している。また、センター陸部31が、イナズマ形状を有する左右の周方向主溝22、22により区画されて、V字をタイヤ周方向に連設した形状を有している。また、左右のショルダー陸部32、32が、タイヤ周方向に対して傾斜しつつ延在する複数の傾斜ラグ溝42を有し、これらの傾斜ラグ溝42により複数のブロック321に分断されている。また、一部のブロック321が、タイヤ周方向に傾斜しつつラグ溝42に開口する切欠溝322を有している。
【0070】
また、センター陸部31が、複数の主サイプ51および複数の補助サイプ52を有している。また、これらの主サイプ51および補助サイプ52が、所定間隔を隔てつつタイヤ周方向に交互に配置されて、タイヤ幅方向に延在している。このとき、主サイプ51および補助サイプ52が、センター陸部31のV字形状の枝部にもそれぞれ配置されている。
【0071】
また、ショルダー陸部32が、複数の主サイプ51および複数の補助サイプ52を有している。また、これらの主サイプ51および補助サイプ52が、傾斜ラグ溝42の傾斜方向に沿って交互かつ並列に配置されている。また、主サイプ51および補助サイプ52が、タイヤ周方向に所定角度で傾斜しつつ延在して、タイヤ周方向に隣り合う傾斜ラグ溝42、42にそれぞれ開口している。
【0072】
図19の構成では、センター陸部31が、V字をタイヤ周方向に連設した形状を有することにより、エッジ成分が増加してトラクション性が向上する。また、センター陸部31がリブ状構造を有することにより、センター陸部31の剛性が確保される。これらにより、タイヤの雪上操安性能が向上する。
【0073】
[効果]
以上説明したように、この空気入りタイヤ1は、タイヤ周方向に延在する複数の周方向主溝21、22と、これらの周方向主溝21、22に区画されて成る複数の陸部31、32とを備える(図2参照)。また、陸部31、32が、複数の補助サイプ52を備える(図3参照)。また、補助サイプ52が、トレッド部の平面視にて、第一屈曲部521と第二屈曲部522とを接続して成る屈曲形状を有する(図4(a)参照)。また、周方向主溝21、22の溝深さDgと、補助サイプ52の第一屈曲部521のサイプ深さDs_1および第二屈曲部522のサイプ深さDs_2とが、0.5≦Ds_1/Dg≦1.0および0.2≦Ds_2/Ds_1≦0.5の関係を有する(図4(b)参照)。
【0074】
かかる構成では、タイヤ新品時(図5(a)参照)にて、補助サイプ52が深いサイプ深さDs_1を有する第一屈曲部521を備えるので(図3および図4(b)参照)、陸部(ブロック311、321)の吸水性が向上する。これにより、タイヤの氷上制動性能が向上する利点がある。また、補助サイプ52が浅いサイプ深さDs_2を有する第二屈曲部522を備えることにより、陸部の剛性が適正に確保されて、タイヤの雪上操安性能が向上する利点がある。また、50[%]摩耗時(図5(b)参照)にて、浅い第二屈曲部522が消滅した後にも、補助サイプ52の第一屈曲部521が陸部の踏面に残存するので、摩耗中期における陸部のエッジ成分が増加する。これにより、トラクション性が向上して、タイヤの雪上操安性能が向上する利点がある。
【0075】
また、この空気入りタイヤ1では、1つの補助サイプ52における第一屈曲部521の総サイプ長さLs_1と第二屈曲部522の総サイプ長さLs_2とが、0.25≦Ls_2/(Ls_1+Ls_2)≦0.75の関係を有する(図4参照)。これにより、補助サイプ52における第二屈曲部522の比Ls_2/(Ls_1+Ls_2)が適正化される利点がある。すなわち、0.25≦Ls_2/(Ls_1+Ls_2)であることにより、第二屈曲部522の割合が確保されて、陸部の剛性が確保される。また、Ls_2/(Ls_1+Ls_2)≦0.75であることにより、第一屈曲部521の割合が確保されて、陸部の吸水性が向上する。
【0076】
また、この空気入りタイヤ1では、1つの補助サイプ52における第一屈曲部521が延在方向を揃えて配置される(図4参照)。かかる構成では、摩耗中期にて第二屈曲部522が消滅したときに、第一屈曲部521が延在方向を揃えて配置されるので、特定方向に対するエッジ成分が確保される。これにより、タイヤの雪上操安性能が効率的に向上する利点がある。
【0077】
また、この空気入りタイヤ1では、陸部31、32が、複数の主サイプ51を備える(図2および図3参照)。また、主サイプ51のサイプ深さDmと、補助サイプ52の第一屈曲部521のサイプ深さDs_1とが、0.60≦Ds_1/Dm≦1.20の関係を有する(図4参照)。これにより、第一屈曲部521のサイプ深さDs_1が適正化される利点がある。
【0078】
また、この空気入りタイヤ1では、主サイプ51と補助サイプ52とが、相互に並列に配置される(図3参照)。これにより、サイプ51、52の配列方向に対する陸部のエッジ成分を高め得る利点がある。
【0079】
また、この空気入りタイヤ1では、隣り合う一対の主サイプ51、51の間に配置される補助サイプ52の数が、3つ以下である(図3図8および図9参照)。これにより、補助サイプの過剰配置による陸部の剛性低下を抑制できる利点がある。
【0080】
また、この空気入りタイヤ1では、1つの陸部31、32に配置された主サイプ51の数Nmと、補助サイプ52の数Nsとが、0.30≦Ns/(Nm+Ns)≦0.60の関係を有する(図3図8および図9参照)。これにより、補助サイプの過剰配置による陸部の剛性低下を抑制できる利点がある。
【0081】
また、この空気入りタイヤ1では、周方向主溝21、22の溝深さDgと、主サイプ51のサイプ深さDmとが、0.6≦Dm/Dg≦1.2の関係を有する(図4参照)。これにより、主サイプ51のサイプ深さDmが適正化される利点がある。
【0082】
また、この空気入りタイヤ1では、タイヤ新品時における主サイプのサイプ長さLmと、50[%]摩耗時における主サイプのサイプ長さLm’とが、0.7≦Lm’/Lmである。これにより、主サイプ51が、タイヤの摩耗中期まで適正に残存する利点がある。
【0083】
また、この空気入りタイヤ1では、主サイプ51が、トレッド部の平面視にて屈曲形状を有する三次元サイプ(図6および図7参照)であり、補助サイプ52が、二次元サイプである(図4参照)。かかる構成では、主サイプ51が三次元サイプであることにより、陸部の剛性が増加して、タイヤの雪上操安性能が向上する。また、補助サイプ52が二次元サイプであることにより、補助サイプ52を主サイプ51の間に容易に配置できる。これにより、主サイプ51と補助サイプ52との混合配置が容易となり、タイヤの氷上制動性能および雪上操安性能が向上する利点がある。特に、主サイプ51および補助サイプ52が屈曲形状を有する構成(図3参照)では、主サイプ51と補助サイプ52との混合配置を容易化できることは、特に有益である。
【0084】
また、この空気入りタイヤ1では、複数の主サイプ51が並列に配置されると共に、少なくとも1本の補助サイプ52が複数の主サイプ51の延在方向に対して所定角度で傾斜しつつ延在する(図14および図15参照)。これにより、補助サイプ52の配置によるブロック321(322)の剛性低下を抑制できる利点がある。また、主サイプ51と補助サイプ52とが相互に傾斜して配置されることにより、ブロック321(322)のエッジ作用が向上する利点がある。
【0085】
また、この空気入りタイヤ1では、陸部31、32が、複数のブロック321、322を有する(図2参照)。また、複数の主サイプ51と少なくとも1本の補助サイプ52とが、ブロック311(321)の中心部から縁部に向かって放射状に延在する(図16図18参照)。かかる構成では、ブロック311(321)の中心部におけるサイプ密度が密になる。これにより、ブロック311(321)の排水性が向上し、また、ブロック311(321)のエッジ成分が増加して、タイヤの氷上制動性能が向上する利点がある。また、ブロック311(321)の縁部におけるサイプ密度が疎になる。これにより、ブロック311(321)の縁部における剛性が確保されて、タイヤの雪上操安性能が向上する利点がある。
【実施例】
【0086】
図20は、この発明の実施の形態にかかる空気入りタイヤの性能試験の結果を示す図表である。
【0087】
この性能試験では、相互に異なる複数の空気入りタイヤについて、(1)雪上操安性能および(2)氷上制動性能に関する評価が行われた(図20参照)。この性能試験では、タイヤサイズ195/65R15の空気入りタイヤがリムサイズ15×6JJのリムに組み付けられ、この空気入りタイヤに空気圧210[kPa]およびJATMA規定の最大負荷が付与される。また、空気入りタイヤが、試験車両である排気量2000[cc]の乗用車に装着される。
【0088】
(1)雪上操安性能に関する評価では、試験車両が雪路試験場のスノー路面を走行し、専門のテストドライバーがレーンチェンジ性能やコーナリング性能などに関してフィーリング評価を行う。この評価は、従来例1を基準(100)とした指数評価により行われ、その数値が大きいほど好ましい。
【0089】
(2)氷上制動性能に関する評価では、試験車両が氷路試験場の氷路面を走行し、初速度40[km/h]からの制動距離が測定される。そして、測定結果に基づいて従来例1を基準(100)とした指数評価が行われる。評価は、その数値が大きいほど好ましい。
【0090】
実施例1〜3の空気入りタイヤ1は、図1図3に記載した構造を有する。また、1つのブロック321(322)が、7つの主サイプ51と、8つの補助サイプ52とを有する。また、これらの主サイプ51および補助サイプ52が、並列かつ交互に配置されている。また、主サイプ51が、ジグザグ形状を有する三次元サイプであり、底上部を有していない。また、補助サイプ52が、ジグザグ形状を有する二次元サイプであり、図4に記載した構造を有する。また、周方向主溝21、22の溝深さDgが、Dg=8.9[mm]であり、主サイプ51のサイプ深さDmが、Dm=7.0[mm]である。
【0091】
従来例1の空気入りタイヤは、実施例の空気入りタイヤにおいて、主サイプ51のみを有し、補助サイプ52を有していない。また、従来例2の空気入りタイヤは、実施例の空気入りタイヤにおけるサイプ51、52がすべて主サイプ51となっている。従来例3の空気入りタイヤは、実施例の空気入りタイヤにおいて、補助サイプ52が一定のサイプ深さ(1.0[mm])を有する浅底サイプとなっている。
【0092】
試験結果に示すように、実施例の空気入りタイヤでは、従来例1〜3の空気入りタイヤと比較して、タイヤの雪上操安性能および氷上制動性能が向上することが分かる。
【符号の説明】
【0093】
1 空気入りタイヤ、11 ビードコア、12 ビードフィラー、13 カーカス層、14 ベルト層、141、142 交差ベルト、143 ベルトカバー、15 トレッドゴム、16 サイドウォールゴム、17 リムクッションゴム、21、22 周方向主溝、31 センター陸部、311 ブロック、312 切欠溝、32 ショルダー陸部、321 ブロック、322 切欠溝、41、42 ラグ溝、51 主サイプ、52 補助サイプ、521 第一屈曲部、522 第二屈曲部
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14
図15
図16
図17
図18
図19
図20