特許第5835113号(P5835113)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2015.5.11 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】5835113
(24)【登録日】2015年11月13日
(45)【発行日】2015年12月24日
(54)【発明の名称】貯湯式給湯機
(51)【国際特許分類】
   F24H 1/00 20060101AFI20151203BHJP
   F24H 1/18 20060101ALI20151203BHJP
【FI】
   F24H1/00 611P
   F24H1/18 503Z
【請求項の数】7
【全頁数】13
(21)【出願番号】特願2012-129984(P2012-129984)
(22)【出願日】2012年6月7日
(65)【公開番号】特開2013-253745(P2013-253745A)
(43)【公開日】2013年12月19日
【審査請求日】2014年7月31日
(73)【特許権者】
【識別番号】000006013
【氏名又は名称】三菱電機株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100082175
【弁理士】
【氏名又は名称】高田 守
(74)【代理人】
【識別番号】100106150
【弁理士】
【氏名又は名称】高橋 英樹
(74)【代理人】
【識別番号】100115543
【弁理士】
【氏名又は名称】小泉 康男
(72)【発明者】
【氏名】稲葉 好次
(72)【発明者】
【氏名】宮下 章志
(72)【発明者】
【氏名】平岡 宗
(72)【発明者】
【氏名】豊島 正樹
【審査官】 吉村 俊厚
(56)【参考文献】
【文献】 国際公開第2010/029786(WO,A1)
【文献】 特開2005−308235(JP,A)
【文献】 特開2006−125654(JP,A)
【文献】 特開2005−221109(JP,A)
【文献】 特開2010−091178(JP,A)
【文献】 特開2010−159886(JP,A)
【文献】 特開2010−261636(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F24H 1/00
F24H 1/18 − 1/20
F28G 1/00 − 15/10
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
温水を貯留させる貯湯タンクと、
所定の加熱手段を利用して前記貯湯タンク内の水を加熱して高温水とする加熱用熱交換器と、
一端が前記貯湯タンクの下部に接続され、途中に前記加熱用熱交換器が設置され、他端が前記貯湯タンクの上部に接続された加熱循環回路と、
前記加熱循環回路に設置された循環ポンプと、
前記加熱用熱交換器により加熱された湯水の温度を検知する温度検知手段と、
前記貯湯タンク内の水を沸き上げる沸き上げ運転時に、前記温度検知手段により検知された温度が所定の沸き上げ目標温度となるように、前記循環ポンプを制御する沸き上げ運転時制御手段と、
前記沸き上げ運転時に、前記循環ポンプによる送水量を増減させることにより、前記加熱用熱交換器内の水流に脈動を生じさせる制御手段と、を備え、
前記制御手段は、前記沸き上げ目標温度に応じて、前記脈動の間隔および振幅の何れか一方又は両方を制御することを特徴とする貯湯式給湯機。
【請求項2】
前記制御手段は、前記沸き上げ目標温度が高いほど、前記脈動の間隔が小さくなるように、前記循環ポンプを制御することを特徴とする請求項1記載の貯湯式給湯機。
【請求項3】
前記制御手段は、前記沸き上げ目標温度が高いほど、前記脈動の振幅が大きくなるように、前記循環ポンプを制御することを特徴とする請求項1または2記載の貯湯式給湯機。
【請求項4】
前記循環ポンプは、前記加熱循環回路内の湯水を正方向または逆方向に選択的に送水可能な正逆循環ポンプであり、
前記制御手段は、前記正逆循環ポンプを正方向と逆方向に交互に作動させることにより前記脈動を生じさせることを特徴とする請求項1乃至3の何れか1項記載の貯湯式給湯機。
【請求項5】
前記制御手段は、前記沸き上げ運転中の所定期間に前記循環ポンプによる送水量を増減させることにより、前記加熱用熱交換器内の水流に脈動を生じさせることを特徴とする請求項1乃至4の何れか1項記載の貯湯式給湯機。
【請求項6】
前記沸き上げ運転が開始された後、前記温度検知手段により検知された温度が目標温度となるまでの期間は、前記制御手段による動作を制限する第2の制限手段を更に備えることを特徴とする請求項1乃至5の何れか1項記載の貯湯式給湯機。
【請求項7】
前記沸き上げ運転の終了後の冷却運転時に、前記沸き上げ運転時よりも多量の湯水が送水されるように前記循環ポンプを制御する冷却運転時制御手段と、
前記冷却運転時は、前記制御手段による動作を制限する制限手段と、
を更に備えることを特徴とする請求項1乃至6の何れか1項記載の貯湯式給湯機。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、貯湯式給湯機に係り、特に高硬度水の使用時において水熱交換器へのスケールの付着堆積を抑制する貯湯式給湯機に関する。
【背景技術】
【0002】
大気の熱を熱媒体に移し、その熱で湯を沸かすヒートポンプ式給湯機では、水道水や井戸水等の水がヒートポンプユニット内の水加熱用熱交換器の配管内で加熱されることによって湯が生成される。このとき、水中の硬度成分が高い水を使用すると、加熱によって水加熱用熱交換器の配管内に、水に含まれるカルシウム成分が炭酸カルシウムのスケール(固形析出物)として析出することがある。
【0003】
スケールが配管内に析出すると、水加熱用熱交換器の配管内の水に熱が伝わりにくくなり、水への熱伝達性能が低下する。また、スケールが配管内に堆積すると、配管内を流れる水に対する抵抗が大きくなるので、水加熱用熱交換器へ水を送るポンプの消費電力が増加する。更には、配管がスケールにより閉塞して給湯機が運転不能になることがある。
【0004】
このようなスケール析出の課題に対して、従来、例えば特許文献1には、運転時間の積算値が所定値に達した時に循環手段をフル回転させてスケールを除去する方法が提案されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2005-308235号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、上述した従来の技術の方法では、水の加熱に要した運転時間の積算値が所定値に達した時に、水の循環手段をフル駆動させることとしている。このため、運転時間の積算値が所定値に達するまでの間にスケールが付着堆積して熱交換効率が低下し、水の循環手段の消費電力が増加するおそれがあった。また、水質によっては、当該積算値が所定値に到達するより先に配管が閉塞してしまうという問題点があった。
【0007】
本発明は、上述のような課題を解決するためになされたものであって、沸き上げ運転時に所定流量の水流を確保しつつ循環流量を増減させることにより、水熱交換器へのスケールの付着堆積を抑制することが可能な貯湯式給湯機を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明に係る貯湯式給湯機は、温水を貯留させる貯湯タンクと、所定の加熱手段を利用して貯湯タンク内の水を加熱して高温水とする加熱用熱交換器と、一端が貯湯タンクの下部に接続され、途中に加熱用熱交換器が設置され、他端が貯湯タンクの上部に接続された加熱循環回路と、加熱循環回路に設置された循環ポンプと、加熱用熱交換器により加熱された湯水の温度を検知する温度検知手段と、貯湯タンク内の水を沸き上げる沸き上げ運転時に、温度検知手段により検知された温度が所定の沸き上げ目標温度となるように、循環ポンプを制御する沸き上げ運転時制御手段と、沸き上げ運転時に、循環ポンプによる送水量を増減させることにより、加熱用熱交換器内の水流に脈動を生じさせる制御手段と、を備え、制御手段は、沸き上げ目標温度に応じて、脈動の間隔および振幅の何れか一方又は両方を制御するものである。
【発明の効果】
【0009】
本発明の給湯装置によれば、沸き上げ運転時に所定流量の水流を確保しつつ循環流量を増減させることにより、水熱交換器へのスケールの付着堆積を抑制することが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
図1】本発明の実施の形態1におけるヒートポンプ式給湯機の回路構成図である。
図2】加熱循環用送水ポンプの運転間隔を変化させた場合の水加熱用熱交換器における循環流量の変化を示す図であり、図2(a)は、沸き上げ目標温度が90℃のような高温の場合の循環流量の変化を、図2(b)は、沸き上げ目標温度が80℃のような中間的な出湯温度の場合の循環流量の変化を、そして、図2(c)は、沸き上げ目標温度が70℃のような低温の場合の循環流量の変化を、それぞれ示している。
図3】加熱循環用送水ポンプの出力比を変えた時の水加熱用熱交換器における循環流量の変化を示す図であり、図3(a)は、沸き上げ目標温度が90℃のような高温の場合の循環流量の変化を、図3(b)は、沸き上げ目標温度が70℃のような低温の場合の循環流量の変化を、それぞれ示している。
図4】加熱循環用送水ポンプの運転間隔および出力比の何れも変えた時の水加熱用熱交換器における循環流量の変化を示す図であり、図4(a)は、沸き上げ目標温度が90℃のような高温の場合の循環流量の変化を、図4(b)は、沸き上げ目標温度が70℃のような低温の場合の循環流量の変化を、それぞれ示している。
図5】加熱循環用送水ポンプの出力の制御に正逆の方向性を加えた時の、水加熱用熱交換器における循環流量の変化を示している。
図6】沸き上げ中の出湯温度と加熱循環用送水ポンプ10の運転状況の概略を示した図であり、図6(a)は、沸き上げ目標温度が90℃のような高温の場合の運転状況を、図6(b)は、沸き上げ目標温度が70℃のような低温の場合の運転状況を、それぞれ示している。
図7】沸き上げ目標温度が70℃の場合における、循環流量変動運転の実行期間の他の例を示した図である。
図8】沸き上げ運転の終了時における加熱循環用送水ポンプの運転状況の概略を示した図である。
図9】沸き上げ中の出湯温度と加熱循環用送水ポンプの運転状況の概略を示した図である。
図10】貯湯タンク下部側に循環回路が形成されている状態を示した図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、図面を参照して本発明の実施の形態について説明する。尚、各図面において共通する要素には、同一の符号を付して、重複する説明を省略する。また、この実施の形態により本発明が限定されるものではない。
【0012】
実施の形態1.
図1は、本発明の実施の形態1におけるヒートポンプ式給湯機の回路構成図である。本実施の形態1におけるヒートポンプ式給湯機は、ヒートポンプユニット1とタンクユニット2とから構成されている。ヒートポンプユニット1は、圧縮機3、水加熱用熱交換器4、膨張弁5、および蒸発器6を配管7で順に接続して構成され、ヒートポンプユニットケース内に収められている。このヒートポンプユニット1は、自然冷媒である二酸化炭素を冷媒として用いている。
【0013】
タンクユニット2は、タンクユニットケース内に、貯湯タンク8、制御部9、加熱循環用送水ポンプ10、給湯配管13、混合弁14、逃がし弁16、四方弁17、減圧弁18、バイパス配管19を内蔵している。貯湯タンク8には、上部に高温水が、下部に低温水が、温度層ごとに分離して貯えられる。
【0014】
貯湯タンク8には、上部に温水導入導出口81が、下部に水戻り口82、水導入口83および水導出口84が、それぞれ設けられている。また、貯湯タンク8の上部には、圧力が過度に上昇した場合のための逃がし弁16が設けられている。
【0015】
加熱循環経路は、貯湯タンク8の下部に設けられた水導出口84から水を取り出し、加熱循環用送水ポンプ10、往き配管11を通ってヒートポンプユニット1の水加熱用熱交換器4に至り、戻り配管12およびその途中に配置されている四方弁17を通って貯湯タンク8の上部に接続された温水導入導出口81から貯湯タンク8内に戻す回路で構成される。また、戻り配管12の途中には、水加熱用熱交換器4により加熱された湯水の温度を検知するサーミスタ21が設けられている。
【0016】
また、給湯経路は、貯湯タンク8の上部に設けられた温水導入導出口81から混合弁14をとおり蛇口15に至る給湯配管13により構成される。また、水導入口83および混合弁14へ連通する水導入配管20の途中には減圧弁18が設けられている。減圧弁18は、水道からの一次圧がタンク配管に対して直接かからないように減圧する。
【0017】
四方弁17と水戻り口82とは、バイパス配管19によって接続されている。凍結防止運転を行う場合には、四方弁を切り替えて水加熱用熱交換器4の吐出側と水戻り口82とを、戻り配管12およびバイパス配管19によって連通させることにより、貯湯タンク8内の水を水加熱用熱交換器4内へ循環させる。尚、タンクユニット2の内部には、上述した他に、風呂追い焚き加熱用の配管、熱交換器、弁類等も内蔵されているが、本発明の主要な構成ではないため、その記載および説明を省略する。
【0018】
次に、本実施の形態1の動作について説明する。図1に示すヒートポンプ式給湯機において、沸き上げ運転による貯湯タンク8への貯湯動作を実施する場合には、制御部9からの貯湯運転信号を受けてヒートポンプユニット1が運転される。この場合、冷媒は圧縮機3で圧縮されて高温高圧となり、水加熱用熱交換器4で熱交換して冷却される。そして、冷却された冷媒は膨張弁5により減圧され、蒸発器6により大気から吸熱して蒸発し、圧縮機3に戻る。一方、水導出口84から出水された貯湯タンク8内の水は、加熱循環用送水ポンプ10により往き配管11を通って水加熱用熱交換器4に供給される。水加熱用熱交換器4では、熱交換により水が加熱される。加熱により高温となった水は、戻り配管12を通って貯湯タンク8の上部の温水導入導出口81から順次貯湯される。また、沸き上げ運転時には、水加熱用熱交換器4において加熱された沸き上げ水の温度がサーミスタ21によって検出され、当該検出温度が所定の沸き上げ目標温度となるように、加熱循環用送水ポンプ10の回転数が制御される。
【0019】
次に、本実施の形態1の特徴的動作であるスケールの付着堆積の抑制動作について詳細に説明する。本実施の形態1におけるヒートポンプ式給湯機では、沸き上げ運転による高温水の生成に伴い、ヒートポンプユニット1における水加熱用熱交換器4および戻り配管12内部の水分中にスケールが析出する。ここで、スケールとは、主に水に含まれる炭酸カルシウム(CaCO)や硫酸カルシウム(CaSO)などの析出物のことであり、水温の上昇によりその溶解度が小さくなる。このため、沸き上げ運転等によって生成される高温水は特にスケールが発生し易く、この析出したスケールを処理せずに放置した場合、経年的な堆積によって水加熱用熱交換器4および戻り配管12の配管閉塞が発生するおそれがある。
【0020】
そこで、本実施の形態のヒートポンプ式給湯機では、沸き上げ運転時に加熱循環回路内に脈動流を形成し、この脈動流によって、循環回路内の壁面などに付着しつつあるスケールを引き剥がすこととしている。具体的には、制御部9からの指示信号を受けて、加熱循環用送水ポンプ10の回転数が短い周期で変動されることにより、一定流量時と回転数変動時の流量差による脈動流が形成される。脈動流は、往き配管11を通って水加熱用熱交換器4に供給される。水加熱用熱交換器4内では、加熱されて高温状態となった水が滞留することなく順次戻り配管12に導かれていく。これにより、水加熱用熱交換器4内部においてスケールが付着堆積することが抑制される。加熱されて高温となった水は、戻り配管12を通って貯湯タンク8の上部の温水導入導出口81から当該貯湯タンク8内へ流入される。
【0021】
ここで、上述したとおり、スケールは水温が高いほどその溶解度が小さくなる。つまり、沸き上げ運転時の沸き上げ温度が高いほど水加熱用熱交換器4および戻り配管12内において析出するスケールが多量となる。そこで、本実施の形態のヒートポンプ式給湯機では、沸き上げ運転時の沸き上げ目標温度に応じて加熱循環用送水ポンプ10の回転数を制御することにより、脈動流の周期を可変に設定することとしている。具体的には、沸き上げ運転時の目標沸き上げ温度が高いほど、脈動流の周期が小さくなるように、加熱循環用送水ポンプ10の回転数を制御することとする。
【0022】
図2は、加熱循環用送水ポンプ10の運転間隔を変化させた場合の水加熱用熱交換器4における循環流量の変化を示している。尚、図2(a)は、沸き上げ目標温度が90℃のような高温の場合の循環流量の変化を、図2(b)は、沸き上げ目標温度が80℃のような中間的な出湯温度の場合の循環流量の変化を、そして、図2(c)は、沸き上げ目標温度が70℃のような低温の場合の循環流量の変化を、それぞれ示している。
【0023】
沸き上げ目標温度が高温に設定された時は、スケール付着堆積の可能性が高くなる。このため、図2(a)に示すように、制御部9は、加熱循環用送水ポンプ10の出力を通常の値から所定の値まで、また所定の値から通常の値まで変動させて循環流量を増減させるとともに、循環流量の増減する間隔(脈動流の周期)を短時間に設定し、循環流量の増減を頻発させることとする。これにより、水加熱用熱交換器4内部へのスケールの付着堆積を有効に抑制することが可能となる。
【0024】
また、沸き上げ温度が中間的な温度に設定された時は、スケール付着堆積の可能性が低くなる。このため、図2(b)に示すように、制御部9は、加熱循環用送水ポンプ10の出力を通常の値から所定の値まで、また所定の値から通常の値まで変動させて循環流量を増減させるが、この際に循環流量の増減する間隔(脈動流の周期)を延長し、循環流量の増減する頻度を低下させる。これにより、水加熱用熱交換器4内部へのスケールの付着堆積を抑制しつつ、加熱循環用送水ポンプ10の負荷を軽減することが可能となる。
【0025】
更に、沸き上げ目標温度が低温に設定された時は、スケール付着堆積の可能性が更に低くなる。このため、図2(c)に示すように、制御部9は、加熱循環用送水ポンプ10の出力を通常の値から所定の値まで、また所定の値から通常の値まで変動させて循環流量を増減させるが、この際に循環流量の増減する間隔(脈動流の周期)を更に延長し、循環流量の増減する頻度を更に低下させる。これにより、水加熱用熱交換器4内部へのスケールの付着堆積を抑制しつつ、加熱循環用送水ポンプ10の負荷を更に軽減することが可能となる。
【0026】
このように、本実施の形態のヒートポンプ式給湯機では、目標沸き上げ温度に応じて循環流量の増減する頻度、すなわち脈動流の周期を増減させることができるので、スケールの付着堆積を抑制するとともに、目標沸き上げ温度が低い場合には加熱循環用送水ポンプ10にかかる負荷を軽減することができる。
【0027】
ところで、上述した実施の形態1のヒートポンプ式給湯機では、図2に示すように、脈動流の流量比を5倍に固定しているが、他の倍率でもよい。また、脈動の間隔(周期)についても、図2(a)、(b)、(c)において、それぞれ5秒毎、10秒毎、20秒毎として示しているが、この値に限定されるものではない。
【0028】
実施の形態2.
次に、本実施の形態2の動作について説明する。実施の形態2のヒートポンプ式給湯機では、沸き上げ運転時の沸き上げ目標温度に応じて、循環流量のピークとベースとの流量比(すなわち脈動流の振幅)を可変に設定する点に特徴を有している。図3は、加熱循環用送水ポンプ10の出力比を変えた時の水加熱用熱交換器4における循環流量の変化を示している。尚、図3(a)は、沸き上げ目標温度が90℃のような高温の場合の循環流量の変化を、図3(b)は、沸き上げ目標温度が70℃のような低温の場合の循環流量の変化を、それぞれ示している。
【0029】
沸き上げ目標温度が高温に設定された時は、スケール付着堆積の可能性が高くなる。このため、図3(a)に示すように、制御部9は、加熱循環用送水ポンプ10の出力を通常の値から最大値まで、また最大値から通常の値まで変動させて循環流量を増減させる場合に、循環流量のピーク流量とベース流量との比(脈動流の振幅)を大きく設定することとする。これにより、水加熱用熱交換器4内部へのスケールの付着堆積を有効に抑制することが可能となる。
【0030】
また、沸き上げ目標温度が低温に設定された時は、スケール付着堆積の可能性が低くなる。このため、図3(b)に示すように、制御部9は、加熱循環用送水ポンプ10の出力を通常の値から所定の値まで、また所定の値から通常の値まで変動させて循環流量を増減させるが、この際に循環流量の変動量を沸き上げ目標温度が高温のときよりも小さくして、循環流量のピーク流量とベース流量との比(脈動流の振幅)を小さく設定することとする。これにより、水加熱用熱交換器4内部へのスケールの付着堆積を抑制しつつ、加熱循環用送水ポンプ10の負荷を軽減することが可能となる。
【0031】
このように、本実施の形態のヒートポンプ式給湯機では、目標沸き上げ温度に応じて循環流量の増減幅、すなわち脈動流の振幅を変動させることができるので、スケールの付着堆積を抑制するとともに、目標沸き上げ温度が低い場合は加熱循環用送水ポンプ10にかかる負荷を軽減することができる。
【0032】
ところで、上述した実施の形態2のヒートポンプ式給湯機では、図3に示すように、脈動流の間隔(周期)を5秒毎に固定しているが、この値に限定されるものではなく他の周期でもよい。また、脈動流の流量比(振幅)についても、図3(a)、(b)において、それぞれ5倍、3倍に固定しているがこの値に限定されるものではない。
【0033】
実施の形態3.
次に、本実施の形態3の動作について説明する。実施の形態3のヒートポンプ式給湯機では、沸き上げ運転時の沸き上げ目標温度に応じて、循環流量のピークとベースとの流量比(すなわち脈動流の振幅)および循環流量の増減する間隔(脈動流の周期)を可変に設定する点に特徴を有している。図4は、加熱循環用送水ポンプ10の運転間隔および出力比の何れも変えた時の水加熱用熱交換器4における循環流量の変化を示している。尚、図4(a)は、沸き上げ目標温度が90℃のような高温の場合の循環流量の変化を、図4(b)は、沸き上げ目標温度が70℃のような低温の場合の循環流量の変化を、それぞれ示している。
【0034】
沸き上げ目標温度が高温に設定された時は、スケール付着堆積の可能性が高くなる。このため、図4(a)に示すように、制御部9は、加熱循環用送水ポンプ10の出力を通常の値から最大値まで、また最大値から通常の値まで変動させて循環流量の増減幅(脈動の振幅)を最大にするとともに、循環流量の増減する間隔(脈動流の周期)を短時間に設定し、循環流量の増減を頻発させることとする。これにより、水加熱用熱交換器4内部へのスケールの付着堆積を有効に抑制することが可能となる。
【0035】
また、沸き上げ目標温度が低温に設定された時は、スケール付着堆積の可能性が低くなる。このため、図4(b)に示すように、制御部9は、加熱循環用送水ポンプ10の出力を通常の値から所定の値まで、また所定の値から通常の値まで変動させて循環流量の増減幅(脈動の振幅)を沸き上げ目標温度が高温のときよりも小さく設定するとともに、循環流量の増減する間隔(脈動流の周期)を沸き上げ目標温度が高温のときよりも延長し、循環流量の増減の頻度を低下させることとする。これにより、水加熱用熱交換器4内部へのスケールの付着堆積を抑制しつつ、加熱循環用送水ポンプ10の負荷を有効に軽減することが可能となる。
【0036】
このように、本実施の形態のヒートポンプ式給湯機では、目標沸き上げ温度に応じて循環流量の増減幅、すなわち脈動流の振幅を変動させるとともに、流量の増減する頻度、すなわち脈動流の周期を増減させることができるので、スケールの付着堆積を抑制するとともに、目標沸き上げ温度が低い場合は加熱循環用送水ポンプ10にかかる負荷を軽減することができる。
【0037】
ところで、上述した実施の形態3のヒートポンプ式給湯機では、図4(a)、(b)に示すように、脈動流の間隔(周期)を5秒毎、20秒毎に設定しているが、この値に限定されるものではなく他の周期でもよい。また、脈動流の流量比(振幅)についても、図4(a)、(b)において、それぞれ5倍、3倍に固定しているがこの値に限定されるものではない。
【0038】
実施の形態4.
次に、本実施の形態4の動作について説明する。実施の形態4のヒートポンプ式給湯機では、加熱循環用送水ポンプ10として、正逆両方向に選択的に送水可能に構成されたポンプを使用する点に特徴を有している。図5は、加熱循環用送水ポンプ10の出力の制御に正逆の方向性を加えた時の、水加熱用熱交換器4における循環流量の変化を示している。沸き上げ運転時には、図5に示すように、制御部9は、加熱循環用送水ポンプ10の出力を通常の値から所定の値まで、また所定の値から通常の値まで変動させて循環流量を増減させる。次に、加熱循環用送水ポンプ10の出力を反転させて通常の値から所定の値まで、また所定の値から通常の値まで変動させて逆向きの循環流量を増減させる。制御部9は、上記動作を繰り返し行なうことで脈動流を生じさせる。これにより、脈動流の流量比をより大きく変化させることができるので、付着堆積しつつあるスケールを引き剥がし、堆積を有効に抑制することが可能となる。
【0039】
尚、上述した実施の形態4のヒートポンプ式給湯機における加熱循環用送水ポンプ10の制御は、上述した実施の形態1〜3のヒートポンプ式給湯機における加熱循環用送水ポンプ10の制御に適用することとしてもよい。具体的には、上述した実施の形態1〜3のヒートポンプ式給湯機において目標沸き上げ温度に応じて脈動流の振幅及び/又は周期を増減させる場合に、上述した実施の形態4の加熱循環用送水ポンプ10における正逆出力反転動作を適用すればよい。これにより、水加熱用熱交換器4内部へのスケールの付着堆積を更に抑制しつつ、加熱循環用送水ポンプ10の負荷を有効に軽減することが可能となる。
【0040】
実施の形態5.
次に、実施の形態5の動作について説明する。上述した実施の形態1〜4のヒートポンプ式給湯機では、沸き上げ運転中に沸き上げ目標温度に応じた循環流量の増減動作(循環流量変動運転)を行ない、脈動流を形成することとしている。これに対して、実施の形態5のヒートポンプ式給湯機では、沸き上げ運転中の所定期間にのみ、上記実施の形態1〜4における循環流量変動運転を行なう点に特徴を有している。図6は、沸き上げ中の出湯温度と加熱循環用送水ポンプ10の運転状況の概略を示した図である。尚、図6(a)は、沸き上げ目標温度が90℃のような高温の場合の運転状況を、図6(b)は、沸き上げ目標温度が70℃のような低温の場合の運転状況を、それぞれ示している。
【0041】
沸き上げ目標温度が高温に設定された時は、スケール付着堆積の可能性が高くなる。このため、図6(a)に示すように、制御部9は、沸き上げ運転開始から終了までの期間、加熱循環用送水ポンプ10の出力を制御して循環流量変動運転を実行し脈動流を形成する。これにより、水加熱用熱交換器4内部へのスケールの付着堆積を有効に抑制することが可能となる。
【0042】
一方、沸き上げ目標温度が低温に設定された時は、スケール付着堆積の可能性が低くなる。このため、図6(b)に示すように、制御部9は、沸き上げに要する時間のうち所定時間のみ、加熱循環用送水ポンプ10の出力を制御して循環流量変動運転を実行し脈動流を形成する。これにより、水加熱用熱交換器4内部へのスケールの付着堆積を抑制しつつ、加熱循環用送水ポンプ10の負荷を軽減することが可能となる。
【0043】
このように、本実施の形態のヒートポンプ式給湯機では、循環流量変動運転によって脈動流を形成する期間を、目標沸き上げ温度に応じて変化させることとしているので、スケールの付着堆積を抑制するとともに、加熱循環用送水ポンプ10にかかる負荷を軽減することができる。
【0044】
ところで、上述した実施の形態4のヒートポンプ式給湯機では、図6(b)に示すように、沸き上げ目標温度が低い場合における、沸き上げ運転の後半の期間に循環流量変動運転を行うこととしているが、循環流量変動運転を行う期間は係る期間に限られない。図7は、沸き上げ目標温度が70℃の場合における、循環流量変動運転の実行期間の他の例を示した図である。この図に示すように、沸き上げ目標温度が低い場合における循環流量変動運転は、沸き上げ運転初期の所定期間と沸き上げ運転終期の所定期間に行うこととしてもよい。これにより、スケールの付着堆積を抑制するとともに、目標沸き上げ温度が低い場合は加熱循環用送水ポンプ10にかかる負荷を軽減することができる。
【0045】
実施の形態6.
次に、実施の形態6の動作について説明する。実施の形態6のヒートポンプ式給湯機では、沸き上げ運転終了後の水加熱用熱交換器4の冷却運転時に、上記実施の形態1〜4における循環流量変動運転の実行を制限する点に特徴を有している。図8は、沸き上げ運転の終了時における加熱循環用送水ポンプ10の運転状況の概略を示した図である。この図に示すように、沸き上げ運転終了後の水加熱用熱交換器4の冷却運転時は、沸き上げ運転中に比べて循環流量が多量に設定されている。このため、水加熱用熱交換器4の冷却運転時は、水加熱用熱交換器4内を流れる湯の温度が沸き上げ運転時よりも低下し、これによりスケールが付着堆積し難くなる。そこで、本実施の形態6のヒートポンプ式給湯機では、制御部9は、沸き上げ運転終了後の水加熱用熱交換器4の冷却運転時に循環流量変動運転の実行を制限し、通常の循環運転を実行する。これにより、スケールの付着堆積を抑制するとともに、不要な循環流量変動運転の実行を制限して加熱循環用送水ポンプ10にかかる負荷を軽減することができる。
【0046】
実施の形態7.
次に、実施の形態7の動作について説明する。実施の形態7のヒートポンプ式給湯機では、沸き上げ運転開始直後の出湯温度が上昇していく過程において、上記実施の形態1〜4における循環流量変動運転の実行を制限する点に特徴を有している。図9は、沸き上げ中の出湯温度と加熱循環用送水ポンプ10の運転状況の概略を示した図である。この図に示すように、沸き上げ運転開始直後で出湯温度が上昇していく過程では、温度制御のため加熱循環用送水ポンプ10の出力を細かく調整することがある。この時、加熱循環用送水ポンプ10の出力の増減により循環流量が増減すると温度制御が乱れ、最悪の場合エラーを発生して運転を停止することがある。このため、本実施の形態7のヒートポンプ式給湯機では、制御部9は、出湯温度が沸き上げ目標温度に到達するまでは循環流量変動運転の実行を制限し、通常の循環運転を行うように加熱循環用送水ポンプ10を制御する。そして、制御部9は、出湯温度が沸き上げ目標温度に到達して安定化した後に、循環流量変動運転を実行する。これにより、スケールの付着堆積を抑制するとともに、沸き上げ温度の過渡期にエラー等が発生する事態を抑制することができる。
【0047】
実施の形態8.
次に、実施の形態8の動作について説明する。実施の形態7のヒートポンプ式給湯機では、沸き上げ運転以外の運転時に循環流量変動運転を実行する点に特徴を有している。図10は、貯湯タンク下部側に循環回路が形成されている状態を示した図である。この図に示すように、凍結防止など、沸き上げ運転以外に水加熱用熱交換器4内に水が循環する場合、制御部9は、戻り配管12とバイパス配管19とが連通するように四方弁17を動作させるとともに、循環流量変動運転を実行する。これにより、沸き上げ運転以外の運転時において、付着堆積しつつあるスケールを引き剥がし堆積を抑制することが可能となる。
【符号の説明】
【0048】
1 ヒートポンプユニット(加熱手段)
2 タンクユニット
4 水加熱用熱交換器(加熱用熱交換器)
8 貯湯タンク
81 温水導入導出口
84 水導出口
9 制御部
10 加熱循環用送水ポンプ(循環ポンプ)
11 往き配管(加熱循環回路)
12 戻り配管(加熱循環回路)
21 サーミスタ(温度検知手段)
図1
図2
図3
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図6
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図8
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図10