特許第5835120号(P5835120)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2015.5.11 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】5835120
(24)【登録日】2015年11月13日
(45)【発行日】2015年12月24日
(54)【発明の名称】改質土の製造方法
(51)【国際特許分類】
   C02F 11/00 20060101AFI20151203BHJP
【FI】
   C02F11/00 CZAB
   C02F11/00 Z
【請求項の数】5
【全頁数】11
(21)【出願番号】特願2012-139486(P2012-139486)
(22)【出願日】2012年6月21日
(65)【公開番号】特開2014-560(P2014-560A)
(43)【公開日】2014年1月9日
【審査請求日】2014年8月11日
【新規性喪失の例外の表示】特許法第30条第2項適用 1)国土交通省 東北地方整備局 仙台港湾空港技術調査事務所主催「平成23年度 第1回技術発表会」、平成24年2月20日開催、仙台港湾空港技術調査事務所 大会議室 2)平成24年2月20日掲載、国土交通省 東北地方整備局 仙台港湾空港技術調査事務所のウェブサイト、http://www.pa.thr.mlit.go.jp/sendaigicho/topics/23/3.pdf
(73)【特許権者】
【識別番号】000006655
【氏名又は名称】新日鐵住金株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100132230
【弁理士】
【氏名又は名称】佐々木 一也
(74)【代理人】
【識別番号】100082739
【弁理士】
【氏名又は名称】成瀬 勝夫
(74)【代理人】
【識別番号】100087343
【弁理士】
【氏名又は名称】中村 智廣
(72)【発明者】
【氏名】横尾 正義
(72)【発明者】
【氏名】椛山 義規
(72)【発明者】
【氏名】中川 雅夫
(72)【発明者】
【氏名】赤司 有三
【審査官】 岡田 三恵
(56)【参考文献】
【文献】 特開平08−192193(JP,A)
【文献】 特開2004−154780(JP,A)
【文献】 特開2005−296903(JP,A)
【文献】 特開2007−175661(JP,A)
【文献】 特開2012−012287(JP,A)
【文献】 特開2001−113299(JP,A)
【文献】 特開2006−289307(JP,A)
【文献】 特開2003−126826(JP,A)
【文献】 特開2013−136911(JP,A)
【文献】 特開2011−093751(JP,A)
【文献】 国際公開第2010/116602(WO,A1)
【文献】 特開2006−231208(JP,A)
【文献】 特開2007−061744(JP,A)
【文献】 特開2009−121167(JP,A)
【文献】 特開平09−010732(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C02F 11/00
C02F 11/12
C02F 11/14
E02F 7/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
木片等の混入異物を含んだ泥土と鉄鋼スラグとを混合して強度の付加された改質土を製造する方法であって、
上下に出入口を有した縦型円筒形の処理室内に回転軸を備え、この回転軸を中心に水平方向に回転する回転破砕具が備え付けられた回転式破砕混合装置を用いて、第1の鉄鋼スラグと泥土とを破砕混合する工程と、
得られた破砕混合物から泥土由来の混入異物を篩い分けする工程と、
篩下の破砕混合物と第1の鉄鋼スラグより粒径が大きい第2の鉄鋼スラグとを混合する工程と、
を有することを特徴とする改質土の製造方法。
【請求項2】
鉄鋼スラグが粒度分布を有した鉄鋼スラグ材料であって、該鉄鋼スラグ材料を篩い分けした篩下が第1の鉄鋼スラグであり、篩上が第2の鉄鋼スラグである請求項1に記載の改質土の製造方法。
【請求項3】
第2の鉄鋼スラグはエージング処理が施されたものであり、第1の鉄鋼スラグはエージング処理が施されていないものである請求項1又は2に記載の改質土の製造方法。
【請求項4】
改質土1m3あたりの容積比で第1及び第2の鉄鋼スラグの合計が10%以上50%以下、泥土が50%以上90%以下となるようにする請求項1〜3のいずれかに記載の改質土の製造方法。
【請求項5】
JIS A1211規定のCBR試験によるCBRが10%以上である請求項1〜4のいずれかに記載の改質土の製造方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、泥土から強度の付加された改質土を製造する方法に関する。
【背景技術】
【0002】
造成工事や地盤改良工事等で発生する土木・建設排土や、港湾、河川等の浚渫工事で発生する浚渫土、更には、台風による河川の増水や土砂崩れ、津波等の自然災害で発生する汚泥等は、現場からの運搬やその処理がしばしば問題になる。
【0003】
これらの土木・建設排土、浚渫土、汚泥等のような水を含んだ軟弱な土(以下、これらを総称して泥土と呼ぶ)は、埋め戻し材や盛土材等の土木建築材料として再利用することもできるが、そのためには少なくとも強度を付加して改質しなければならない。
【0004】
そこで、例えば、泥土に対して、セメントを混ぜて強度を発現させる技術のほか、石炭灰を添加混合して泥土を粒状土に再生する方法(特許文献1参照)が知られている。ところが、泥土には、水と土粒子のほかに、木片をはじめとして、鉄屑、コンクリート、石、ガレキ、布、ビニール等の異物が混入していることがあり、再利用にあたっては事前にこれらの混入異物を取り除く必要がある。
【0005】
そのため、予め建設残土をスクリーンにかけて、土とアスファルトやコンクリート等の土以外のものと分けて、スクリーンを通過したものに生石灰を混ぜて土質を改良する方法(特許文献2参照)などが知られているが、このように直に泥土を篩い分けしただけでは、混入異物に付着した土粒子の大部分が篩上に残ってしまい、泥土から強度の改質された改質土を効率良く製造することはできない。また、篩上に残った混入異物は、必要に応じて比重選別機等で選別して焼却処分が可能な物とそれ以外の物とに分別され、最終的にそれぞれ処分されるが、混入異物に土粒子が大量に付着しているとこの分別が正しく行われなかったり、埋め立て処分する廃棄物の量が増えてしまうなど、別の問題が生じてしまう。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開2001−29996号公報
【特許文献2】特開平5−192695号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
そこで、泥土から強度の付加された改質土を製造する上で従来技術が抱える問題を解消するために、本発明は、泥土に含まれた混入異物を正確かつ容易に分別しながら、良質の改質土を効率良く製造することができる方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明者らは、上記課題を解決するために鋭意検討した結果、木片等の混入異物を含んだ泥土と鉄鋼スラグとを混合して改質土を製造する際、先ず、粒径の小さい鉄鋼スラグと泥土とを回転式破砕混合装置で破砕混合し、得られた破砕混合物を篩い分けして、次いで、篩下の破砕混合物と粒径の大きい鉄鋼スラグとを混合して改質土を得ることで、泥土由来の異物の混入が少なく、かつ、締固め性能に優れた改質土を効率良く製造することができることを見出し、本発明を完成した。
【0009】
すなわち、本発明の要旨は以下のとおりである。
(1)木片等の混入異物を含んだ泥土と鉄鋼スラグとを混合して強度の付加された改質土を製造する方法であって、
上下に出入口を有した縦型円筒形の処理室内に回転軸を備え、この回転軸を中心に水平方向に回転する回転破砕具が備え付けられた回転式破砕混合装置を用いて、第1の鉄鋼スラグと泥土とを破砕混合する工程と、
得られた破砕混合物から泥土由来の混入異物を篩い分けする工程と、
篩下の破砕混合物と第1の鉄鋼スラグより粒径が大きい第2の鉄鋼スラグとを混合する工程と、
を有することを特徴とする改質土の製造方法。
【0010】
(2)鉄鋼スラグが粒度分布を有した鉄鋼スラグ材料であって、該鉄鋼スラグ材料を篩い分けした篩下が第1の鉄鋼スラグであり、篩上が第2の鉄鋼スラグである(1)に記載の改質土の製造方法。
(3)第2の鉄鋼スラグはエージング処理が施されたものであり、第1の鉄鋼スラグはエージング処理が施されていないものである(1)又は(2)に記載の改質土の製造方法。
【0011】
(4)改質土1m3あたりの容積比で第1及び第2の鉄鋼スラグの合計が10%以上50%以下、泥土が50%以上90%以下となるようにする(1)〜(3)のいずれかに記載の改質土の製造方法。
(5)JIS A1211規定のCBR試験によるCBRが10%以上である(1)〜(4)のいずれかに記載の改質土の製造方法。
【発明の効果】
【0012】
本発明によれば、泥土に含まれた混入異物を正確かつ容易に分別しながら、泥土由来の異物の混入が少ない良質の改質土を効率良く製造することができる。しかも、得られた改質土は締固め性能に優れるため、土木・建設工事材料をはじめとした種々の用途に好適に利用することができる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
図1図1は、本発明で用いる回転式破砕混合装置を示した模式説明図である。
図2図2は、本発明によって改質土を製造するひとつの実施形態を示した模式説明図である。
図3図3は、混入異物の分離評価試験に使用した試験用泥土の写真である。
図4図4は、混入異物の分離評価試験における各混合試料の20mm篩残留物と20mm篩通過物の写真である。
図5図5は、改質土の製造試験で得られた改質土の荷重−貫入量曲線(CBR試験)である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
以下、本発明の内容を詳細に説明する。
本発明における改質土の製造方法では、先ず、上下に出入口を有した縦型円筒形の処理室を備えた回転式破砕混合装置を用いて、木片等の混入異物を含んだ泥土と第1の鉄鋼スラグとを破砕混合する。これらが装置の入口側から投入されて処理室内を落下する間には、処理室内に設けられた回転軸を中心にして水平方向に回転する回転破砕具によって破砕されながら攪拌されるため、装置の出口側から破砕混合物が得られる。
【0015】
図1には、本発明で用いる回転式破砕混合装置1の一例が示されており、上部に入口を有して下部に出口を有した縦型円筒形の処理室2の内部には、その上下方向に沿って回転軸3が設けられ、この回転軸3に対して垂直な面内を回転することができる回転破砕具4が取り付けられている。そして、この回転式破砕混合装置1の入口側から木片等の混入異物を含んだ泥土5と第1の鉄鋼スラグ6とを投入し、これらを落下させながら回転破砕具4で破砕混合して、出口側から破砕混合物7を得る。
【0016】
この図1は、回転軸3の長さ方向に上下2段の回転破砕具4が備え付けられた例であり、各段の回転破砕具4はそれぞれ4つの打撃部材4aを有する。この打撃部材4aについては、泥土5に含まれた混入異物をある程度の形状に破砕しながら撹拌することができるものであれば特に制限はなく、例えば、チェーン(鎖)やブレード(刃)のような形状のほか、棒状や板状等の打撃部材であってもよく、これらを組み合わせて形成するようにしてもよい。また、処理室2の大きさをはじめ、回転軸3に備え付ける回転破砕具4の段数や各回転破砕具4に配する打撃部材4aの数については、装置に求められる処理能力に応じて適宜設定すればよいが、好適には複数の打撃部材4aを有した回転破砕具4を回転軸3の長さ方向に対して複数段で備え付けるようにするのがよい。
【0017】
本発明において、少なくとも2種類の粒径を有した鉄鋼スラグを用い、かつ、粒径の小さい鉄鋼スラグと泥土とを先に回転式破砕混合装置で破砕混合する理由は、ひとつに、後の篩い分け工程で改質土の材料成分になる破砕混合物とそれ以外の泥土由来の混入異物とを効率良く分別できるようにするためである。
【0018】
すなわち、本発明では、土木・建設工事に関連して発生する土木・建設排土や、浚渫工事での浚渫土のほか、河川の氾濫、土砂崩れ、津波等の自然災害で発生した汚泥であったり、山林から採取された建設用の土砂等のように、従来、その取扱いや処分が問題となっていたような泥土を対象にすることができ、これらは水を含んだ軟弱な土である。加えて、木片、鉄屑、コンクリート、石、ガレキ、布、ビニール等に代表されるような何らかの異物が混入しており、これらの泥土由来の混入異物が改質土に多く含まれてしまうと、改質土が所望の性能を発揮できないなどの問題が生じ、特に、木片等の有機物は後々に改質土の品質を劣化させてしまう原因になる。
【0019】
そのため、篩目をより小さくして篩い分けにより取り除くことが考えられるが、その場合には、泥土の土粒子と鉄鋼スラグとにより造粒された改質土を取り除いてしまい無駄が生じる。しかも、篩下から回収される粒子の小さい改質土のみでは、十分な締固め性能が得られないことがある。そこで、本発明では、先ず、粒径の小さい第1の鉄鋼スラグと泥土とから破砕混合を得て、これを篩い分けした後に粒径の大きい第2の鉄鋼スラグを混合することで、異物のみを正確に取り除いて異物混入量の少ない良質の改質土を得ながら、高い回収率で、しかも締固め性能に優れた改質土を得るようにする。
【0020】
また、本発明においては、鉄鋼スラグに含まれるカルシウム分(CaO)と泥土に含まれるシリカ分(SiO2)とが泥土中の水を介して反応して水和固化し、カルシウムシリケート系の水和物(C-S-H)やカルシウムアルミネート(AFm)等が形成されて固化が促進され、一般に鉄鋼スラグよりも粒径の小さい土粒子(通常0.075mm以下)が鉄鋼スラグの表面に付着して、再泥化することのない改質土が得られると考えられる。ところが、泥土には比較的高い含水比(一般に10〜100%程度)で水分が含まれ、破砕混合物はある程度湿った状態で回収されるため、後の篩い分け工程ではその水分が混入異物の正確な分別の障害になる。
【0021】
そこで、表面積がより大きい粒径の小さい第1の鉄鋼スラグを先に泥土と混ぜることで、上記のような水和固化反応をより促進させて破砕混合物の水分量を減らし、篩い分けによる混入異物の分別をより行い易くする。その際、水和固化の発熱反応によって水分量を減らす効果もあると考えられる。更には、回転式破砕混合装置による破砕混合の際に、粒径の小さい第1の鉄鋼スラグが泥土に含まれた混入異物の表面に付着した土粒子を剥がし落とす、いわゆるサンドブラスト材の働きをするため、泥土から得られる改質土の回収率をより高めることができる。
【0022】
回転式破砕混合装置を用いて破砕混合した破砕混合物は、次の篩い分け工程によって泥土由来の混入異物を取り除くようにする。ここでは、粒径の大きな第2の鉄鋼スラグは未だ含まれていないため、破砕混合物に含まれた異物の状況に応じて篩目を適宜選択することができ、異物の少ない良質の改質土を得るにはより小さな篩目で篩い分けすればよい。但し、篩目の選定にあたっては作業性を考慮し、また、第1の鉄鋼スラグの粒径よりも小さくならないようにするのがよく、好適には、5mm以上20mm以下の篩目(目開き)を有した篩を用いるのがよい。
【0023】
破砕混合物を篩い分けした後は、篩下の破砕混合物と第2の鉄鋼スラグとを混合して改質土を得る。粒径の大きい第2の鉄鋼スラグを加えることで、改質土に鉄鋼スラグの細粒分と粗粒分とを含んだ粒度分布が形成されて、締固め強度を向上させることができる。篩下の破砕混合物と第2の鉄鋼スラグとの混合は、両者が十分に混合されるのであれば特にその手段に制限はなく、先で使用したような回転式破砕混合装置を使用してもよいが、作業効率を考慮してバックホウ等の建設機械を使って混合するようにしてもよく、それ以外にも公知の混合装置や混合手段によって混合することができる。
【0024】
本発明では、回転式破砕混合装置で破砕混合する際に用いる第1の鉄鋼スラグに比べて、篩い分け工程後に篩下の破砕混合物と混合する第2の鉄鋼スラグの方が粒径の大きいものであればよく、それぞれ個別に粒径を調整した2種類の鉄鋼スラグを用いてもよく、粒度分布を有した1種類の鉄鋼スラグ材料のうちの細粒分を第1の鉄鋼スラグとし、粗粒分を第2の鉄鋼スラグとして用いるようにしてもよい。
【0025】
すなわち、鉄鋼スラグは、破砕・整粒された高炉スラグや製鋼スラグが用途毎の規格に対応する粒度範囲に管理されて取り扱われることがあり、例えば、道路用路盤材やアスファルトコンクリート用骨材に使用される道路用鉄鋼スラグにはJIS A5015が定められ、高炉スラグを原料とするコンクリート骨材にはJIS A5011-1が定められている。これらには、それぞれ複数段の篩い目(目開き)によって篩を通過する質量分率(%)で管理された粒度範囲の種類が規定されており、粒径の異なる鉄鋼スラグを含んで粒度分布を有した鉄鋼スラグ材料として製造される。
【0026】
そこで、例えば、コンクリート骨材において細骨材に分類されるようなものを第1の鉄鋼スラグ(例えば粒度範囲が5mm以下のもの)とし、粗骨材に分類されるものを第2の鉄鋼スラグ(例えば粒度範囲が40〜5mmのもの)として用いるようにしてもよい。また、例えば、JIS A5015「道路用鉄鋼スラグ」の呼び名のHMS-25、MS-25、CS-40、CS-30、CS-20等の鉄鋼スラグ材料を用意し、これらのうちいずれか1種を篩い分けして、その篩下(細粒分)を第1の鉄鋼スラグとし、篩上(粗粒分)を第2の鉄鋼スラグとして用いるようにしてもよい。
【0027】
なお、第1及び第2の鉄鋼スラグの粒径の大小については、それぞれ単一粒径の鉄鋼スラグからなる場合は、その粒径の大きさを比べて第1、第2の鉄鋼スラグを区別するようにすればよい。粒度分布を有する場合には、いずれかの規格で定められた粒度範囲の種類(区分)を比較して第1、第2の鉄鋼スラグを区別してもよく、或いは、篩い分けした篩上と篩下とで区別するようにしてもよい。また、第1及び第2の鉄鋼スラグは、それぞれに粒度分布を有していても勿論よい。つまり、先の例で言えば、粒度範囲が5mm以下の細骨材は5mm篩の通過率が95〜100%であればよく、粒度範囲が40〜5mmの粗骨材は5mm篩の通過率が0〜5%であればよい。
【0028】
本発明で用いる鉄鋼スラグの種類としては、製鋼スラグ、高炉除冷スラグ、高炉水砕スラグ等が挙げられる。これらは、いずれも鉄鋼製造プロセスで副産物として産出されるものであり、このうち、製鋼スラグは、転炉や電気炉等の製鋼炉において、銑鉄やスクラップから不要な成分を除去して、靭性・加工性のある鋼にする製鋼工程で生じる石灰分を主体としたものであり、例えば、転炉スラグ、予備処理スラグ、脱炭スラグ、脱燐スラグ、脱硫スラグ、脱珪スラグ、電気炉還元スラグ、電気炉酸化スラグ、二次精錬スラグ、造塊スラグ等を例示することができる。また、高炉除冷スラグとは、銑鉄を製造する製銑過程で生成する溶融状態の高炉スラグを自然放冷と適度の散水により徐冷処理したものである。更に、高炉水砕スラグは、溶融状態の高炉スラグに加圧水を噴射するなどして水砕し、急激に冷却したものである。なお、鉄鋼スラグは1種からなるものを使用してもよく、2種以上を混合したものを使用してもよい。
【0029】
また、本発明においては、第2の鉄鋼スラグはエージング処理が施されたものを使用し、第1の鉄鋼スラグはエージング処理が施されていないものを使用するようにしてもよい。一般に、鉄鋼スラグは、スラグの膨張現象を防ぐ目的等でエージング処理されるが、あえて第1の鉄鋼スラグはエージング処理品を施さずに、未エージング処理のものでカルシウム分を多く含ませておくことで、上述した水和固化反応をより促進させることができる。このことは、鉄鋼スラグのエージング処理作業の効率化を図ることにもつながる。
【0030】
また、本発明における改質土の製造方法において、改質土1m3あたりの容積比で第1及び第2の鉄鋼スラグの合計が10%以上50%以下、泥土が50%以上90%以下となるようにするのがよい。改質土における鉄鋼スラグの割合が10%以上であれば、泥土の強度改質効果を確実に発現させることができる。鉄鋼スラグの割合が増えればこの効果は高まる傾向になるが、効果が飽和することから鉄鋼スラグの割合は50%であれば十分である。また、第1の鉄鋼スラグと第2の鉄鋼スラグの割合については、例えば、JIS A5015「道路用鉄鋼スラグ」のCS-30等に相当する粒度範囲を有した鉄鋼スラグ材料での細粒分の割合などを考慮すると、好ましくは、第1の鉄鋼スラグと第2の鉄鋼スラグとの質量比が20:80〜60:40の範囲になるようにするのがよい。
【0031】
本発明における改質土の製造方法を利用して泥土の処理を行うには、例えば、図2に示したようなプラントを構築するようにしてもよい。すなわち、混入異物を含んだ泥土を泥土フィーダー装置8に入れ、投入側ベルトコンベア9を使って泥土を回転式破砕混合装置まで搬送する。回転式破砕混合装置を用いて破砕混合するため、泥土を直接投入して処理することができるが、泥土に大型の岩やコンクリート塊等の混入が確認されるような場合には、事前にトロンメル篩等を用いてこれらを取り除いてから回転式破砕混合装置に投入するようにしてもよい。
【0032】
投入側ベルトコンベア9の途中には鉄鋼スラグ供給装置10が配されており、泥土に対して一定量の第1の鉄鋼スラグが供給されて、回転式破砕混合装置1の入口側から投入される。そこで泥土と第1の鉄鋼スラグとが破砕混合されて破砕混合物が得られる。回転式破砕混合装置1の出口側には回収側ベルトコンベア11が配されており、これを介して得られた破砕混合物が振動篩12に供給され、篩い分けされる。
【0033】
そして、篩下の破砕混合物13と第2の鉄鋼スラグとをバックホウ等を用いて混合することで(図示外)、改質土を得ることができる。得られた改質土は締固め性能に優れるため、土木・建設工事材料をはじめとした種々の用途で利用することができ、特にJIS A1211規定のCBR試験によるCBRが10%以上を示すことから、道路路床材、宅地造成材、工場用地などの盛土材等を形成するのに好適である。一方、破砕混合物を篩い分けした篩上の混入異物14は、表面に付着していた土粒子が第1の鉄鋼スラグとの水和固化反応に使われるほか、第1の鉄鋼スラグがサンドブラスト材となって土粒子を落とす作用等により、表面に付着していた土粒子が取り除かれた状態で回収される。そのため、公知の比重選別機等を使用して、木片等の可燃物と埋め立て処分が必要な廃棄物とに容易に分別することができる。
【実施例】
【0034】
以下、各種評価試験に基づき、本発明について具体的に説明する。なお、以下の内容は実施形態の一例に過ぎず、本発明はこれらに制限されるものではない。
【0035】
[混入異物の分離評価試験]
A市の処理事業で回収された泥土からトロンメル篩(篩い目40mm)で岩や木の幹などを取り除いて、試験用泥土Xとした。この試験用泥土Xには、図3に示したように、木片(木屑)のほか、鉄屑、石などの混入異物が含まれており、水と土粒子との質量比率(水/土粒子)で表される含水比は34%であった。また、5〜0mmの粒度範囲を持つ第1の製鋼スラグと30〜5mmの粒度範囲を持つ第2の製鋼スラグとを用意した。これらは、JIS A5015「道路用鉄鋼スラグ」のCS-30に相当する粒度範囲を有した製鋼スラグ材料を5mmの篩目を有した篩で篩い分けし、篩下の細粒分を第1の製鋼スラグとし、篩上の粗粒分を第2の製鋼スラグとしたものである。
【0036】
第1の製鋼スラグ(細粒分)が1m3あたりの容積比で20vol%となるように30kgの試験用泥土Xと混合した混合試料iと、第2の製鋼スラグ(粗粒分)が1m3あたりの容積比で20vol%となるように30kgの試験用泥土Xと混合した混合試料iiとを準備し、それぞれ回転式破砕混合装置に投入して破砕混合した。
【0037】
この装置は、図1に示したように、直径が約2,000mm、高さが約2,500mmであって、上下に出入口を有した縦型円筒形の処理室内に回転軸を有し、4本のチェーン式打撃部材を備えた回転破砕具が回転軸の上下方向に3段取り付けられている。試験では回転破砕具の回転数を400rpmとし、混合試料i及び混合試料iiを別々に破砕混合して、得られた破砕混合物をそれぞれ篩目20mmの振動篩機で篩い分けした。そして、20mm篩の通過率と、篩下の破砕混合物の含水比を測定した。結果を表1に示す。また、混合試料i及び混合試料iiの篩上(20mm篩残留物)と篩下(20mm篩通過物)について、それぞれ図4に写真を示す。
【0038】
【表1】
【0039】
表1に示したように、粒径の小さい第1の製鋼スラグを用いて破砕混合した方が、粒径の大きい第2の製鋼スラグを用いた場合に比べて篩の通過率が高く、また、篩下の破砕混合物の水分量を低減できることが分かる。すなわち、同じ破砕混合であっても細粒分の製鋼スラグを使用することで泥土との反応性を高めて含水比を下げることができ、また、含水比の低減が混入異物に付着した土粒子の剥ぎ取り性能の向上にも寄与していると考えられる。
【0040】
[改質土の製造試験]
上記の分離評価試験で用いたものと同様にして準備した試験用泥土X、第1の製鋼スラグ、及び第2の製鋼スラグを用いて、以下のようにして改質土を製造する試験を行った。
先ず、第1の製鋼スラグ(細粒分)が1m3あたりの容積比で20vol%となるように試験用泥土Xと混合した混合試料をベルトコンベアで回転式破砕混合装置に連続投入し、回転破砕具の回転数を400rpmとして破砕混合して2000kg程度の破砕混合物を得た。次いで、得られた破砕混合物を篩目20mmの振動篩機で篩い分けし、篩下を回収して試験用改質土Iとした。また、試験用改質土Iを得るまでは同様にし、更に、この試験用改質土Iに対して第2の製鋼スラグ(粗粒分)を加え、バックホウで均一になるように混合して試験用改質土IIを得た。ここで、第2の製鋼スラグは、試験用改質土IIの1m3あたりの容積比で20vol%となるようにした。
【0041】
上記で得られた試験用改質土I、及び試験用改質土IIについて、それぞれを地面に対して厚み20cmに敷き均し、振動ローラー(酒井社製 型式TW350)を使って締固めて、試験用の路床を作製した。そして、JIS A1211規定のCBR試験を行ってCBR値を求めた(標準荷重2030kgf)。結果を表2に示す。また、貫入試験による荷重−貫入量曲線を図5に示す。
【0042】
【表2】
【0043】
表2及び図5に示した結果から分かるように、本発明に係る方法で製造した試験用改質土IIはCBR値が10%を超えており、道路路床材に用いる材料としても条件を満たしている。これに対して、試験用改質土Iは試験用改質土IIよりも劣る結果であった。
【符号の説明】
【0044】
1:回転式破砕混合装置、2:処理室、3:回転軸、4:回転破砕具、4a:打撃部材、5:混入異物を含んだ泥土、6:第1の鉄鋼スラグ、7:破砕混合物、8:泥土フィーダー装置、9:投入側ベルトコンベア、10:鉄鋼スラグ供給装置、11:回収側ベルトコンベア、12:振動篩、13:篩下の破砕混合物、14:混入異物。
図1
図2
図5
図3
図4