特許第5835140号(P5835140)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2015.5.11 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】5835140
(24)【登録日】2015年11月13日
(45)【発行日】2015年12月24日
(54)【発明の名称】貯湯式給湯機
(51)【国際特許分類】
   F24H 1/18 20060101AFI20151203BHJP
【FI】
   F24H1/18 301Z
   F24H1/18 H
【請求項の数】6
【全頁数】12
(21)【出願番号】特願2012-162618(P2012-162618)
(22)【出願日】2012年7月23日
(65)【公開番号】特開2014-20750(P2014-20750A)
(43)【公開日】2014年2月3日
【審査請求日】2014年7月28日
(73)【特許権者】
【識別番号】000006013
【氏名又は名称】三菱電機株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100082175
【弁理士】
【氏名又は名称】高田 守
(74)【代理人】
【識別番号】100106150
【弁理士】
【氏名又は名称】高橋 英樹
(74)【代理人】
【識別番号】100115543
【弁理士】
【氏名又は名称】小泉 康男
(72)【発明者】
【氏名】平岡 宗
(72)【発明者】
【氏名】山本 昭徳
(72)【発明者】
【氏名】竹内 史人
(72)【発明者】
【氏名】渡邉 尚希
(72)【発明者】
【氏名】飯田 恭平
(72)【発明者】
【氏名】高橋 健
【審査官】 吉村 俊厚
(56)【参考文献】
【文献】 特開2007−271163(JP,A)
【文献】 特開2005−164237(JP,A)
【文献】 特開2012−007820(JP,A)
【文献】 特開2007−322071(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F24H 1/00
1/18 − 1/20
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
水を加熱して湯を生成可能な加熱手段と、
湯水を貯留可能な貯湯タンクと、
被加熱物と熱源水とを熱交換させることにより前記被加熱物を加熱する利用側熱交換器と、
前記貯湯タンクの上部領域から取り出された湯を前記熱源水として前記利用側熱交換器に送り、前記利用側熱交換器を通過した前記熱源水を前記貯湯タンクの上部領域に流入させる熱源水上部戻し運転を行う手段と、
前記貯湯タンクの上部領域から取り出された湯を前記熱源水として前記利用側熱交換器に送り、前記利用側熱交換器を通過した前記熱源水を前記貯湯タンクの下部領域に流入させる熱源水下部戻し運転を行う手段と、
前記熱源水上部戻し運転を実行して前記被加熱物を加熱する場合の加熱能力を、前記熱源水下部戻し運転を実行して前記被加熱物を加熱する場合の加熱能力より低くするように制限する制御手段と、
を備え
前記熱源水上部戻し運転において前記利用側熱交換器を通過した前記熱源水が前記貯湯タンクの上部領域に流入する第一上部口と、前記熱源水上部戻し運転において前記貯湯タンクの上部領域から前記熱源水を取り出す第二上部口と、前記熱源水下部戻し運転において前記利用側熱交換器を通過した前記熱源水が前記貯湯タンクの下部領域に流入する下部口とが設けられ、
前記利用側熱交換器を通過した前記熱源水を前記貯湯タンク内に回収する回収口は、前記第一上部口と前記下部口との二つのみであり、
前記第一上部口と前記第二上部口とが同じ高さの位置に設けられているか、または、前記第一上部口が前記第二上部口より高い位置に設けられている貯湯式給湯機。
【請求項2】
前記制御手段は、前記熱源水上部戻し運転の実行時に前記利用側熱交換器に循環する前記熱源水の循環流量が、前記熱源水下部戻し運転の実行時に前記利用側熱交換器に循環する前記熱源水の循環流量より低くなるように制限する請求項1記載の貯湯式給湯機。
【請求項3】
前記制御手段は、前記熱源水上部戻し運転の運転継続時間が、前記熱源水下部戻し運転の運転継続時間より短くなるように制限する請求項1または2記載の貯湯式給湯機。
【請求項4】
前記被加熱物を前記利用側熱交換に循環させる被加熱物循環手段を備え、
前記制御手段は、前記熱源水上部戻し運転の実行時に前記利用側熱交換器に循環する前記被加熱物の循環流量が、前記熱源水下部戻し運転の実行時に前記利用側熱交換器に循環する前記被加熱物の循環流量より低くなるように制限する請求項1乃至3の何れか1項記載の貯湯式給湯機。
【請求項5】
前記被加熱物を前記利用側熱交換に循環させる被加熱物循環手段を備え、
前記制御手段は、前記熱源水上部戻し運転時に前記利用側熱交換器に循環する前記被加熱物の循環継続時間が、前記熱源水下部戻し運転時に前記利用側熱交換器に循環する前記被加熱物の循環継続時間より短くなるように制限する請求項1乃至4の何れか1項記載の貯湯式給湯機。
【請求項6】
前記利用側熱交換器は、浴槽から送られた浴槽水を前記被加熱物として加熱するものである請求項1乃至5の何れか1項記載の貯湯式給湯機。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、貯湯式給湯機に関する。
【背景技術】
【0002】
ヒートポンプユニット等の加熱手段により沸き上げた湯を貯留する貯湯タンクと、被加熱物(例えば、浴槽から送られる浴槽水)を加熱するための利用側熱交換器とを備え、貯湯タンクから取り出した湯を熱源水として利用側熱交換器を経由させて貯湯タンクに戻す加熱動作を行うことにより上記被加熱物を加熱可能な貯湯式給湯機が広く用いられている。
【0003】
そのような貯湯式給湯機において、利用側熱交換器での熱交換を終えて貯湯タンクに戻る戻り熱源水を貯湯タンク内に流入させるための回収口を高さ方向の位置を異ならせて複数設け、各回収口の近傍にそれぞれ貯湯タンク内の湯水の温度を検出するタンク温度センサを配設し、戻り熱源水の配管には戻り熱源水の温度を検出する戻り温度センサを設け、利用側熱交換器からの戻り熱源水を貯湯タンクに戻すに際して、制御手段が、戻り温度センサにより検出される戻り熱源水の温度とタンク温度センサにより検出される貯湯タンク内の湯水の温度分布とに応じて戻り熱源水が複数の回収口を通じて貯湯タンクに回収されるように流量調整弁を制御する技術が提案されている(例えば、特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2007−271163号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
上記公報に開示された貯湯式給湯機では、貯湯タンク内で戻り熱源水の温度に最も近い高低両側の温度成層に所定の分配比率で戻り熱源水を分配することにより、戻り熱源水が、貯湯タンク上部にある高温水や貯湯タンク下部にある低温水と混ざることをできるだけ避け、高温出湯能力の低下を防止するとともに、沸き上げ運転時のヒートポンプユニットの運転効率を高く維持するようにしている。しかしながら、特許文献1の貯湯式給湯機では、高さ方向の位置が異なる多数(実施例では4つ)の回収口を貯湯タンクに設ける必要があり、更には各々の回収口に対して、流量制御弁と戻り熱源水の温度を検出するための温度センサと設ける必要があるなど、貯湯タンクの構造および配管や構成が複雑化し、また制御も複雑になる。このようなことから、上記公報に開示された貯湯式給湯機を実現する場合、製造コストが著しく高くなるという問題がある。
【0006】
また、戻り熱源水の温度が、給湯に使用可能な温度に満たない中温の場合には、貯湯タンク内の同じ温度の領域に戻して貯留したとしても、給湯に再利用されずに貯湯タンク内に残存し、効率向上に寄与しない場合が多い。そのような場合には、貯湯タンク内に残存した中温水が次回の沸き上げ運転時にヒートポンプユニットに入水することにより、ヒートポンプユニットの効率の低下を招く。
【0007】
本発明は、上述のような課題を解決するためになされたもので、被加熱物を加熱するための利用側熱交換器から貯湯タンクに戻る戻り熱源水を貯湯タンク内に回収する回収口の数をできるだけ減らした低コストの装置構成で、エネルギー効率を向上することができる貯湯式給湯機を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明に係る貯湯式給湯機は、水を加熱して湯を生成可能な加熱手段と、湯水を貯留可能な貯湯タンクと、被加熱物と熱源水とを熱交換させることにより被加熱物を加熱する利用側熱交換器と、貯湯タンクの上部領域から取り出された湯を熱源水として利用側熱交換器に送り、利用側熱交換器を通過した熱源水を貯湯タンクの上部領域に流入させる熱源水上部戻し運転を行う手段と、貯湯タンクの上部領域から取り出された湯を熱源水として利用側熱交換器に送り、利用側熱交換器を通過した熱源水を貯湯タンクの下部領域に流入させる熱源水下部戻し運転を行う手段と、熱源水上部戻し運転を実行して被加熱物を加熱する場合の加熱能力を、熱源水下部戻し運転を実行して被加熱物を加熱する場合の加熱能力より低くするように制限する制御手段と、を備え、熱源水上部戻し運転において利用側熱交換器を通過した熱源水が貯湯タンクの上部領域に流入する第一上部口と、熱源水上部戻し運転において貯湯タンクの上部領域から熱源水を取り出す第二上部口と、熱源水下部戻し運転において利用側熱交換器を通過した熱源水が貯湯タンクの下部領域に流入する下部口とが設けられ、利用側熱交換器を通過した熱源水を貯湯タンク内に回収する回収口は、第一上部口と下部口との二つのみであり、第一上部口と第二上部口とが同じ高さの位置に設けられているか、または、第一上部口が第二上部口より高い位置に設けられているものである。
【発明の効果】
【0009】
本発明によれば、被加熱物を加熱するための利用側熱交換器から貯湯タンクに戻る戻り熱源水を貯湯タンク内に回収する回収口の数をできるだけ減らした低コストの装置構成で、エネルギー効率を向上することが可能となる。また、被加熱物を加熱する加熱動作の実行中または実行後に給湯動作を行った場合にも、給湯温度の変動などを確実に抑制することができる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
図1】本発明の実施の形態1の貯湯式給湯機を示す構成図である。
図2】本発明の実施の形態1の貯湯式給湯機の制御部が浴槽加熱動作時に実行する制御動作を示すフローチャートである。
図3】本発明の実施の形態2の貯湯式給湯機の制御部が浴槽加熱動作時に実行する制御動作を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、図面を参照して本発明の実施の形態について説明する。なお、各図において共通する要素には、同一の符号を付して、重複する説明を省略する。
【0012】
実施の形態1.
図1は、本発明の実施の形態1の貯湯式給湯機を示す構成図である。図1に示す本実施形態の貯湯式給湯機は、ヒートポンプユニット31と、貯湯タンクユニット32とを備えている。ヒートポンプユニット31と、貯湯タンクユニット32とは、ヒートポンプ入口配管7と、ヒートポンプ出口配管8と、電気配線(図示せず)とを介して接続されている。貯湯タンクユニット32には、湯水を貯留する貯湯タンク1と、熱源循環ポンプ2と、浴槽循環ポンプ3と、追焚熱交換器13(利用側熱交換器)と、流路切替手段としての第1の三方弁14、第2の三方弁15および四方弁16と、湯水を混合して給湯温度を調節するための混合弁17と、制御部21(制御手段)とが搭載されている。ヒートポンプユニット31および貯湯タンクユニット32が備える各種の弁類、ポンプ類等の作動は、これらと電気的に接続された制御部21により制御される。
【0013】
ヒートポンプユニット31は、貯湯タンクユニット32から導かれた水を加熱する(沸き上げる)ための加熱手段として機能するものである。ヒートポンプユニット31は、圧縮機41、加熱熱交換器42、膨張弁43および吸熱熱交換器44を冷媒循環配管にて環状に接続した冷凍サイクル(ヒートポンプサイクル)を搭載している。加熱熱交換器42は、圧縮機41から流れる高温の冷媒と、ヒートポンプ入口配管7から流入する水との間で熱交換する。吸熱熱交換器側送風ファン45は、吸熱熱交換器44で空気と冷媒とを熱交換をさせるために送風を行う。
【0014】
貯湯タンク1は、略円筒形状のものが好ましく用いられる。貯湯タンク1の下部領域(中間より下側の領域)には、導入口1a、第一下部口1bおよび第二下部口1eが設けられている。貯湯タンク1の上部領域(中間より上側の領域)には、第一上部口1cおよび第二上部口1dが設けられている。
【0015】
貯湯タンクユニット32には、外部の水道等の水源からの水を供給する給水配管4が接続されている。貯湯タンク1の導入口1aには、給水配管4から分岐した給水分岐管5が接続されている。給水配管4、給水分岐管5を介して供給される低温水が導入口1aから貯湯タンク1内に流入する。貯湯タンク1の第一下部口1bは、第1の三方弁14が備える二つの流入ポートのうちの一方に連通するように接続されている。第1の三方弁14の他方の流入ポートは、配管6を介して、追焚熱交換器13の熱源側流路の出口に接続されている。第1の三方弁14の流出ポートは、熱源循環ポンプ2の吸入口に連通するように接続されている。ヒートポンプ入口配管7は、熱源循環ポンプ2の吐出口と、加熱熱交換器42の入水口とを接続している。
【0016】
ヒートポンプ出口配管8は、加熱熱交換器42の出湯口と、四方弁16が備える二つの流入ポートのうちの一方とを接続している。四方弁16の他方の流入ポートには、熱源循環ポンプ2の吐出口付近のヒートポンプ入口配管7から分岐して延びた配管24が接続されている。四方弁16が備える二つの流出ポートのうちの一方は、配管9を介して、貯湯タンク1の第一上部口1cに接続されている。四方弁16の他方の流出ポートは、配管25を介して、貯湯タンク1の下部に設けられた第二下部口1eに接続されている。
【0017】
貯湯タンク1の第二上部口1dは、配管11を介して、第2の三方弁15が備える二つの流入ポートのうちの一方に接続されている。第2の三方弁15の他方の流入ポートには、配管9から分岐して延びた配管10が接続されている。第2の三方弁15の流出ポートは、追焚熱交換器13の熱源側流路の入口に連通するように接続されている。
【0018】
貯湯タンク1の第一上部口1cと第二上部口1dとは、必ずしも同じ高さの位置に設けられていなくても良い。第一上部口1cが第二上部口1dより高い位置に設けられていても良いし、その逆でも良い。また、図示の構成では、貯湯タンク1の第二下部口1eが第一下部口1bより高い位置に設けられているが、この逆でも良いし、第一下部口1bと第二下部口1eとが同じ高さに設けられていても良い。
【0019】
混合弁17には、給水配管4と、配管10から分岐して延びた配管12と、給湯配管49とが接続されている。混合弁17は、貯湯タンク1の第一上部口1cから取り出されて配管9,10および12を通って供給される湯と、給水配管4から供給される水とを任意の割合で混合し、温度調節できるように構成されている。混合弁17で混合されて温度調節された湯は、給湯配管49を通って、例えばシャワー、蛇口、浴槽19等の給湯先に供給される。なお、混合弁17を複数設けても良い。
【0020】
追焚熱交換器13の浴槽水出口は、配管22を介して浴槽19に接続されている。追焚熱交換器13の浴槽水入口は、配管23を介して浴槽19に接続されている。配管23の途中には、浴槽循環ポンプ3(被加熱物循環手段)が設置されている。浴槽19の保温または昇温を行う場合には、浴槽循環ポンプ3が運転されることにより、浴槽19内の浴槽水が、配管23、追焚熱交換器13、配管22を通って浴槽19に戻る経路で循環する。
【0021】
貯湯タンク1には、貯湯タンク1内の湯水の高さ方向の温度分布を検出するため、複数の貯湯温度センサ47が互いに異なる高さ位置に取り付けられている。制御部21は、これらの貯湯温度センサ47により検出された貯湯タンク1内の高さ方向の温度分布に基づいて、貯湯タンク1内の貯湯量または蓄熱量を算出することができる。
【0022】
制御部21は、ユーザーインターフェース装置(本実施形態では、例えば浴室や台所の壁等に設置されるリモコン装置20とする。)と相互に通信可能に接続されている。リモコン装置20には、例えば液晶表示装置、有機EL表示装置等で構成される表示部、ユーザーが操作可能な操作部、音声ガイダンスやメロディー等を発生可能なスピーカー等が設けられている。リモコン装置20の表示部には、貯湯タンク1内に貯えられている湯の温度や貯湯量、給湯温度、時刻、沸き上げモードなどの情報が表示可能になっている。ユーザーは、リモコン装置20に設けられた操作部を操作することにより、給湯温度や、浴槽19に張る湯(浴槽水)の温度、自動湯張り、自動浴槽保温、浴槽昇温動作(通常および急速)、沸き上げモードなどの設定を行うことができる。
【0023】
ヒートポンプユニット31を利用して貯湯タンク1内の水を沸き上げる沸き上げ運転時には、第1の三方弁14が貯湯タンク1の第一下部口1bと熱源循環ポンプ2の吸入口とを連通させる状態に制御され、四方弁16がヒートポンプ出口配管8と配管9とを連通させる状態に制御されることで沸き上げ回路が形成され、熱源循環ポンプ2およびヒートポンプユニット31が運転される。この沸き上げ運転時には、貯湯タンク1の第一下部口1bから流出する水は、第1の三方弁14、熱源循環ポンプ2、ヒートポンプ入口配管7を経由してヒートポンプユニット31に導かれ、加熱熱交換器42において加熱されて高温水(湯)となり、ヒートポンプ出口配管8、四方弁16、配管9を経由して、貯湯タンク1の第一上部口1cから貯湯タンク1内に流入し貯えられる。このような沸き上げ運転が実行されることで、貯湯タンク1の内部では、上層部から高温水が貯えられていき、この高温水層が徐々に厚くなっていき、貯湯温度センサ47により把握される貯湯タンク1内の貯湯量または蓄熱量が所定量を超えると、沸き上げ運転が停止される。
【0024】
本実施形態の貯湯式給湯機は、浴槽19の保温または昇温するための浴槽加熱動作を行う場合に、貯湯タンク1の上部領域から取り出した湯を熱源水として追焚熱交換器13に循環させる運転方法として、追焚熱交換器13での熱交換により温度低下して中温となった熱源水を貯湯タンク1の上部領域に戻す熱源水上部戻し運転と、追焚熱交換器13での熱交換により温度低下して中温となった熱源水を貯湯タンク1の下部領域に戻す熱源水下部戻し運転とを、選択的に実行可能になっている。熱源水上部戻し運転による浴槽加熱動作時には、第1の三方弁14が配管6と熱源循環ポンプ2の吸入口とを連通させる状態に制御され、第2の三方弁15が配管11と追焚熱交換器13の熱源側流路の入口とを連通させる状態(図1中の矢印A方向)に制御され、四方弁16が配管24と配管9とを連通させる状態(図1中の矢印A方向)に制御されることで熱源水上部戻し回路が形成され、熱源循環ポンプ2および浴槽循環ポンプ3が運転される。この熱源水上部戻し運転による浴槽加熱動作時には、貯湯タンク1の第二上部口1dから高温の熱源水が流出し、配管11、第2の三方弁15を経由して追焚熱交換器13に導かれ、浴槽水との熱交換により温度低下し、中温の熱源水となる。この中温の熱源水は、配管6、第1の三方弁14、熱源循環ポンプ2、ヒートポンプ入口配管7、配管24、四方弁16、配管9を経由して第一上部口1cから貯湯タンク1内に流入する。
【0025】
一方、熱源水下部戻し運転による浴槽加熱動作時には、第1の三方弁14が配管6と熱源循環ポンプ2の吸入口とを連通させる状態に制御され、第2の三方弁15が配管11と追焚熱交換器13の熱源側流路の入口とを連通させる状態に制御され、四方弁16が配管24と配管25とを連通させる状態(図1中の矢印B方向)に制御されることで熱源水下部戻し回路が形成され、熱源循環ポンプ2および浴槽循環ポンプ3が運転される。この熱源水下部戻し運転による浴槽加熱動作時には、貯湯タンク1の第二上部口1dから高温の熱源水が流出し、配管11、第2の三方弁15を経由して追焚熱交換器13に導かれ、浴槽水との熱交換により温度低下し、中温の熱源水になる。この中温の熱源水は、配管6、第1の三方弁14、熱源循環ポンプ2、ヒートポンプ入口配管7、配管24、四方弁16、配管25を経由して第二下部口1eから貯湯タンク1内に流入する。
【0026】
本実施形態では、制御部21は、浴槽加熱動作を行う場合に、貯湯式給湯機の状態(例えば、貯湯タンク1内の貯湯温度あるいは蓄熱量)やリモコン装置20に入力されるユーザーの意向等に応じて、所定の規則に基づき、熱源水上部戻し運転と、熱源水下部戻し運転との何れかを選択して実施する。例えば、制御部21は、貯湯タンク1内の上部領域の貯湯温度が十分に高い場合には、熱源水上部戻し運転を選択することが好ましい。また、制御部21は、短時間で浴槽加熱を完了すること(急速の浴槽昇温動作)をユーザーが希望している場合には、熱源水下部戻し運転を選択することが好ましい。逆に、浴槽加熱の完了までに時間が掛かることをユーザーが許容している場合には、制御部21は、熱源水上部戻し運転を選択することが好ましい。
【0027】
浴槽加熱動作の実行中に追焚熱交換器13から戻る中温の熱源水(以下、「戻り熱源水」と称する)は、例えば40℃程度の温度を有しており、給湯に利用可能な温度(例えば45℃)よりは温度が低いとしても、給水配管4から供給される低温水よりは温度が十分に高く、熱量を有している。熱源水上部戻し運転を実施した場合には、この戻り熱源水が貯湯タンク1の上部領域に流入し、貯湯タンク1内の上部領域に貯えられている高温の湯と混合する。その混合した湯は、給湯に利用可能な温度以上になるので、混合弁17から給湯先へ給湯可能となる。このように、熱源水上部戻し運転によれば、戻り熱源水が持つ熱量を給湯先への給湯に有効に再利用することが可能となるので、エネルギー使用効率を向上することができる。また、熱源水上部戻し運転では、戻り熱源水を貯湯タンク1の下部領域に流入させないため、貯湯タンク1の下部領域に貯留された低温水の温度上昇を確実に抑制することができる。一般にヒートポンプユニット31は、流入する水の温度が低いほど効率の良い運転ができる。熱源水上部戻し運転によれば、沸き上げ運転の際に貯湯タンク1からヒートポンプユニット31への入水温度を低く維持することが可能となり、沸き上げ運転の効率を高くすることができる。
【0028】
その一方で、熱源水上部戻し運転を行うと、戻り熱源水が貯湯タンク1内の上部領域に流入することにより、貯湯タンク1内の上部領域に貯えられている湯の温度が低下する。このため、熱源水上部戻し運転による浴槽加熱動作の実行中あるいは実行後に混合弁17から給湯先へ給湯した場合に、給湯温度が不安定になったり、給湯温度がユーザーの設定した設定温度(以下、「目標温度」と称する)を下回ったりする可能性がある。
【0029】
これに対し、熱源水下部戻し運転による浴槽加熱動作の場合、追焚熱交換器13からの戻り熱源水が貯湯タンク1の下部領域に流入し、貯湯タンク1内の下部領域に貯えられている低温水と混合する。このような熱源水下部戻し運転による浴槽加熱動作では、貯湯タンク1内の上部領域に貯えられている湯の温度の低下を回避することができる。よって、熱源水下部戻し運転による浴槽加熱動作の実行中あるいは実行後に混合弁17から給湯先へ給湯した場合にも、給湯温度が不安定になったり、給湯温度が目標温度を下回ったりすることを防止することができる。しかしながら、熱源水下部戻し運転による浴槽加熱動作では、戻り熱源水が貯湯タンク1の下部領域に流入することにより、貯湯タンク1の下部領域に貯留されている水の温度が上昇する。このため、熱源水下部戻し運転による浴槽加熱動作を行った場合には、沸き上げ運転時にヒートポンプユニット31へ流入する水の温度が高くなり、ヒートポンプユニット31の効率の低下を招く。
【0030】
本実施形態の貯湯式給湯機では、上述した事項に鑑み、熱源水上部戻し運転による浴槽加熱動作を行った後に混合弁17から給湯先へ給湯した場合に、給湯温度が不安定になったり、給湯温度が目標温度を下回ったりすることを確実に防止するため、以下のような制御を行う。すなわち、制御部21は、熱源水上部戻し運転による浴槽加熱動作を行う場合の加熱能力を、熱源水下部戻し運転による浴槽加熱動作を行う場合の加熱能力より低くするように制限する。ここで、加熱能力とは、時間当たりの加熱量、または通算の加熱量である。本実施形態によれば、熱源水上部戻し運転による浴槽加熱動作を行う場合に、加熱能力を制限することにより、貯湯タンク1内の上部領域に貯えられている湯の温度が急激に低下することを確実に防止することができる。その結果、熱源水上部戻し運転による浴槽加熱動作の実行中あるいは実行後に混合弁17から給湯先へ給湯した場合にも、給湯温度が不安定になったり、給湯温度が目標温度を下回ったりすることを確実に抑制することができる。
【0031】
図2は、本実施の形態1の貯湯式給湯機の制御部21が浴槽加熱動作の実行時に行う制御動作を示すフローチャートである。図2のフローチャートのステップS51で浴槽加熱動作を開始すると、制御部21は、熱源水を循環させる方法として熱源水上部戻し運転が選択されているか否かを判断する(ステップS52)。その結果、熱源水上部戻し運転が選択されていない場合、すなわち熱源水下部戻し運転が選択されている場合には、熱源循環ポンプ2を予め設定された規定回転数で駆動する(ステップS54)。その後、処理を終了する(ステップS55)。上記規定回転数は、追焚熱交換器13に循環する熱源水の循環流量が、規定の流量となる回転数である。このようにして追焚熱交換器13に規定流量の熱源水が循環することにより、予め設定された規定の加熱能力が追焚熱交換器13にて発揮される。
【0032】
一方、ステップS52で、熱源水上部戻し運転が選択されている場合には、熱源循環ポンプ2を、上記規定回転数より低い回転数として予め設定された制限回転数で駆動する(ステップS53)。その後、処理を終了する(ステップS55)。これにより、追焚熱交換器13には、上記規定流量より低い所定の制限流量で熱源水が循環する。その結果、上記規定の加熱能力より低い、制限された加熱能力が追焚熱交換器13にて発揮される。上記制限流量は、戻り熱源水がその流量で貯湯タンク1内の上部領域に流入しても、貯湯タンク1内の上部領域に貯えられている湯の温度が急激に低下することのないような値として設定されている。本実施形態では、このようにして熱源水上部戻し運転時の加熱能力を熱源水の循環流量によって制限することにより、貯湯タンク1内の上部領域に貯えられている湯の温度が急激に低下することを確実に防止することができる。その結果、熱源水上部戻し運転による浴槽加熱動作の実行中あるいは実行後に混合弁17から給湯先へ給湯した場合にも、給湯温度が不安定になったり、給湯温度が目標温度を下回ったりすることを確実に抑制することができる。
【0033】
なお、上述した実施の形態では、熱源水上部戻し運転時の加熱能力を、追焚熱交換器13に循環する熱源水の循環流量によって制限しているが、熱源水上部戻し運転の運転継続時間(すなわち熱源循環ポンプ2の運転継続時間)によって加熱能力を制限しても良い。すなわち、熱源水上部戻し運転を行う場合の運転継続時間(すなわち熱源循環ポンプ2の運転継続時間)が、熱源水下部戻し運転を行う場合の運転継続時間(すなわち熱源循環ポンプ2の運転継続時間)より短くなるように制御しても良い。熱源水上部戻し運転の運転継続時間を短時間に制限することにより、貯湯タンク1内の上部領域に貯えられている湯の温度が急激に低下することを確実に抑制することができるので、上記と同様の効果が得られる。また、熱源水上部戻し運転時の加熱能力を、追焚熱交換器13に循環する熱源水の循環流量と、運転継続時間との双方によって制限しても良い。
【0034】
以上説明した本実施形態の貯湯式給湯機によれば、浴槽加熱動作を行う方法として、戻り熱源水の熱量を有効に再利用することができ且つ沸き上げ運転時のヒートポンプユニット31の効率も向上することのできる熱源水上部戻し運転を可能としたことにより、貯湯式給湯機の全体的なエネルギー効率を向上することができる。また、本実施形態の貯湯式給湯機では、追焚熱交換器13から戻る戻り熱源水を貯湯タンク1内に回収する回収口の数が、第一上部口1cおよび第二下部口1eの二つで済む。このように、本実施形態によれば、追焚熱交換器13から戻る戻り熱源水を貯湯タンク1内に回収する回収口の数が少ないため、貯湯タンク1の構造や配管構成を簡素化することができ、戻り熱源水を複数の回収口に分配するための流量制御弁も不要であるので、低コストの装置構成で、貯湯式給湯機のエネルギー効率を向上することができる。
【0035】
なお、以上の説明では、貯湯タンク1から取り出した湯を熱源水として利用して浴槽水を加熱する浴槽加熱動作を行う場合について説明したが、本発明の貯湯式給湯機は、ヒートポンプユニット31で加熱した湯を熱源水として追焚熱交換器13に直接供給し、戻り熱源水をヒートポンプユニット31に送って再加熱して再循環させることよって浴槽加熱動作を行う機能を兼ね備えていても良い。このようにしてヒートポンプユニット31によって浴槽加熱動作を行う場合には、第1の三方弁14が配管6と熱源循環ポンプ2の吸入口とを連通させる状態に制御され、第2の三方弁15が配管10と追焚熱交換器13の熱源側流路の入口とを連通させる状態に制御され、四方弁16がヒートポンプ出口配管8と配管9とを連通させる状態に制御され、ヒートポンプユニット31の加熱熱交換器42で加熱された熱源水が、ヒートポンプ出口配管8、四方弁16、配管9、配管10、第2の三方弁15、追焚熱交換器13、配管6、第1の三方弁14、熱源循環ポンプ2、ヒートポンプ入口配管7、加熱熱交換器42の順に循環する。
【0036】
また、本実施形態では、浴槽水を加熱する追焚熱交換器13を利用側熱交換器とする構成を例に説明したが、本発明は、浴槽水以外の被加熱物(例えば、暖房用循環水)を加熱する利用側熱交換器を用いる貯湯式給湯機にも同様に適用可能である。
【0037】
実施の形態2.
次に、図3を参照して、本発明の実施の形態2について説明するが、上述した実施の形態1との相違点を中心に説明し、同一部分または相当部分は同一符号を付し説明を省略する。本実施の形態2の貯湯式給湯機のハードウェア構成は、図1に示す実施の形態1の構成と同一であるので、説明を省略する。
【0038】
図3は、本実施の形態2の貯湯式給湯機の制御部21が浴槽加熱動作の実行時に行う制御動作を示すフローチャートである。図3のフローチャートのステップS61で浴槽加熱動作を開始すると、制御部21は、熱源水を循環させる方法として熱源水上部戻し運転が選択されているか否かを判断する(ステップS62)。その結果、熱源水上部戻し運転が選択されていない場合、すなわち熱源水下部戻し運転が選択されている場合には、浴槽循環ポンプ3を予め設定された浴槽ポンプ用規定回転数で駆動し(ステップS65)、熱源循環ポンプ2を予め設定された熱源ポンプ用規定回転数で駆動する(ステップS66)。その後、処理を終了する(ステップS67)。
【0039】
一方、ステップS62で、熱源水上部戻し運転が選択されている場合には、上記浴槽ポンプ用規定回転数より低い回転数として予め設定された第一の制限回転数で浴槽循環ポンプ3を駆動し(ステップS63)、上記熱源ポンプ用規定回転数より低い回転数として予め設定された第二の制限回転数で熱源循環ポンプ2を駆動する(ステップS64)。その後、処理を終了する(ステップS67)。
【0040】
以上の制御により、本実施の形態2では、熱源水上部戻し運転時の熱源水の循環流量を熱源水下部戻し運転時の熱源水の循環流量より低く制限することに加え、熱源水上部戻し運転時の浴槽水の循環流量を熱源水下部戻し運転時の浴槽水の循環流量より低く制限することにより、熱源水上部戻し運転時の加熱能力を熱源水下部戻し運転時の加熱能力より低く制限する。このような本実施の形態2の制御によれば、熱源水上部戻し運転によって貯湯タンク1内の上部領域に貯えられている湯の温度が急激に低下することをより確実に防止することができる。その結果、熱源水上部戻し運転による浴槽加熱動作の実行中あるいは実行後に混合弁17から給湯先へ給湯した場合にも、給湯温度が不安定になったり、給湯温度が目標温度を下回ったりすることをより確実に抑制することができる。
【0041】
本実施の形態2では、熱源水上部戻し運転時の熱源水の循環流量および浴槽水の循環流量の双方を制限することによって熱源水上部戻し運転時の加熱能力を制限しているが、熱源水上部戻し運転時の浴槽水の循環流量のみを制限することによって熱源水上部戻し運転時の加熱能力を制限しても良い。また、浴槽水の循環流量を制限することに代えて、熱源水上部戻し運転を行う場合の浴槽水の循環継続時間(すなわち浴槽循環ポンプ3の運転継続時間)が、熱源水下部戻し運転を行う場合の浴槽水の循環継続時間(すなわち浴槽循環ポンプ3の運転継続時間)より短くなるように制御することにより、熱源水上部戻し運転時の加熱能力を制限しても良い。この制御によっても、同様の効果が得られる。
【符号の説明】
【0042】
1 貯湯タンク、1a 導入口、1b 第一下部口、1c 第一上部口、
1d 第二上部口、1e 第二下部口、2 熱源循環ポンプ、3 浴槽循環ポンプ、
4 給水配管、5 給水分岐管、
6,9,10,11,12,22,23,24,25 配管、
7 ヒートポンプ入口配管、8 ヒートポンプ出口配管、13 追焚熱交換器、
14 第1の三方弁、15 第2の三方弁、16 四方弁、17 混合弁、19 浴槽、
20 リモコン装置、21 制御部、31 ヒートポンプユニット、
32 貯湯タンクユニット、41 圧縮機、42 加熱熱交換器、43 膨張弁、
44 吸熱熱交換器、45 吸熱熱交換器側送風ファン、47 貯湯温度センサ、
49 給湯配管
図1
図2
図3