特許第5835156号(P5835156)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2015.5.11 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】5835156
(24)【登録日】2015年11月13日
(45)【発行日】2015年12月24日
(54)【発明の名称】ハイブリッド回路
(51)【国際特許分類】
   H01P 5/22 20060101AFI20151203BHJP
   H01P 5/16 20060101ALI20151203BHJP
【FI】
   H01P5/22 B
   H01P5/16 C
【請求項の数】13
【全頁数】12
(21)【出願番号】特願2012-186250(P2012-186250)
(22)【出願日】2012年8月27日
(65)【公開番号】特開2014-45315(P2014-45315A)
(43)【公開日】2014年3月13日
【審査請求日】2014年9月30日
(73)【特許権者】
【識別番号】000006013
【氏名又は名称】三菱電機株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100112210
【弁理士】
【氏名又は名称】稲葉 忠彦
(74)【代理人】
【識別番号】100108431
【弁理士】
【氏名又は名称】村上 加奈子
(74)【代理人】
【識別番号】100153176
【弁理士】
【氏名又は名称】松井 重明
(74)【代理人】
【識別番号】100109612
【弁理士】
【氏名又は名称】倉谷 泰孝
(72)【発明者】
【氏名】津留 正臣
(72)【発明者】
【氏名】谷口 英司
【審査官】 岸田 伸太郎
(56)【参考文献】
【文献】 特公昭49−021974(JP,B1)
【文献】 特開昭63−043412(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01P 5/22
H01P 5/16
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1から第6の入出力端子と、
電気長が所望周波数で90度となる第1から第10の伝送線路とを備え、
前記第1の伝送線路の一端に前記第1の入出力端子が接続され、
前記第1の伝送線路の他端と前記第2の伝送線路の一端が接続され、
前記第2の伝送線路の他端と前記第3の伝送線路の一端および前記第4の伝送線路の一端が接続され、
前記第3の伝送線路の他端と前記第5の伝送線路の一端および前記第6の伝送線路の一端が接続され、
前記第5の伝送線路の他端と前記第1の伝送線路の一端が接続され、
前記第4の伝送線路の他端と前記第7の伝送線路の一端および前記第8の伝送線路の一端が接続され、
前記第7の伝送線路の他端に前記第6の伝送線路の他端および前記第9の伝送線路の一端が接続され、
前記第8の伝送線路の他端と前記第10の伝送線路の一端が接続され、
前記第9の伝送線路の他端と前記第10の伝送線路の他端が接続され、
前記第1の伝送線路の他端と前記第2の伝送線路の一端の接続点に前記第2の入出力端子が接続され、
前記第2の伝送線路の他端と前記第3の伝送線路の一端および前記第4の伝送線路の一端の接続点に前記第3の入出力端子が接続され、
前記第4の伝送線路の他端と前記第7の伝送線路の一端および前記第8の伝送線路の一端の接続点に前記第4の入出力端子が接続され、
前記第8の伝送線路の他端と前記第10の伝送線路の一端の接続点に前記第5の入出力端子が接続され、
前記第9の伝送線路の他端と前記第10の伝送線路の他端の接続点に前記第6の入出力端子が接続され
前記第1から第10の伝送線路の特性インピーダンスが互いに全て等しいことを特徴とするハイブリッド回路。
【請求項2】
第1から第5の入出力端子と、
電気長が所望周波数で90度となる第1から第10の伝送線路とを備え、
前記第1の伝送線路の一端に前記第1の入出力端子が接続され、
前記第1の伝送線路の他端と前記第2の伝送線路の一端が接続され、
前記第2の伝送線路の他端と前記第3の伝送線路の一端および前記第4の伝送線路の一端が接続され、
前記第3の伝送線路の他端と前記第5の伝送線路の一端および前記第6の伝送線路の一端が接続され、
前記第5の伝送線路の他端と前記第1の伝送線路の一端が接続され、
前記第4の伝送線路の他端と前記第7の伝送線路の一端および前記第8の伝送線路の一端が接続され、
前記第7の伝送線路の他端に前記第6の伝送線路の他端および前記第9の伝送線路の一端が接続され、
前記第8の伝送線路の他端と前記第10の伝送線路の一端が接続され、
前記第9の伝送線路の他端と前記第10の伝送線路の他端が接続され、
前記第1の伝送線路の他端と前記第2の伝送線路の一端の接続点に前記第2の入出力端子が接続され、
前記第2の伝送線路の他端と前記第3の伝送線路の一端および前記第4の伝送線路の一端の接続点に前記第3の入出力端子が接続され、
前記第4の伝送線路の他端と前記第7の伝送線路の一端および前記第8の伝送線路の一端の接続点に前記第4の入出力端子が接続され、
前記第8の伝送線路の他端と前記第10の伝送線路の一端の接続点に前記第5の入出力端子が接続され
前記第1から第10の伝送線路の特性インピーダンスが互いに全て等しいことを特徴とするハイブリッド回路。
【請求項3】
第1から第5の入出力端子と、
電気長が所望周波数で90度となる第1から第8の伝送線路とを備え、
前記第1の伝送線路の一端に前記第1の入出力端子が接続され、
前記第1の伝送線路の他端と前記第2の伝送線路の一端が接続され、
前記第2の伝送線路の他端と前記第3の伝送線路の一端および前記第4の伝送線路の一端が接続され、
前記第3の伝送線路の他端と前記第5の伝送線路の一端および前記第6の伝送線路の一端が接続され、
前記第5の伝送線路の他端と前記第1の伝送線路の一端が接続され、
前記第4の伝送線路の他端と前記第7の伝送線路の一端および前記第8の伝送線路の一端が接続され、
前記第7の伝送線路の他端に前記第6の伝送線路の他端が接続され、
前記第1の伝送線路の他端と前記第2の伝送線路の一端の接続点に前記第2の入出力端子が接続され、
前記第2の伝送線路の他端と前記第3の伝送線路の一端および前記第4の伝送線路の一端の接続点に前記第3の入出力端子が接続され、
前記第4の伝送線路の他端と前記第7の伝送線路の一端および前記第8の伝送線路の一端の接続点に前記第4の入出力端子が接続され、
前記第8の伝送線路の他端に前記第5の入出力端子が接続されたことを特徴とするハイブリッド回路。
【請求項4】
前記第1から第8の伝送線路の特性インピーダンスが互いに全て等しいことを特徴とする請求項3に記載のハイブリッド回路。
【請求項5】
前記第1から第10の伝送線路の特性インピーダンスが前記第1の入出力端子に接続される負荷のインピーダンスと等しいことを特徴とする請求項1または請求項2に記載のハイブリッド回路。
【請求項6】
前記第1から第8の伝送線路の特性インピーダンスが前記第1の入出力端子に接続される負荷のインピーダンスと等しいことを特徴とする請求項に記載のハイブリッド回路。
【請求項7】
前記第6の入出力端子に接続される負荷のインピーダンスが前記第1の入出力端子に接続される負荷のインピーダンスか、もしくは互いに全て等しい特性インピーダンスを有する前記第1から第10の伝送線路の特性インピーダンスの、少なくともどちらか一方と等しいことを特徴とする請求項1に記載のハイブリッド回路。
【請求項8】
前記第1から第10の伝送線路の少なくとも一つが集中定数素子で構成されることを特徴とする請求項1または請求項2に記載のハイブリッド回路。
【請求項9】
前記第1から第8の伝送線路の少なくとも一つが集中定数素子で構成されることを特徴とする請求項3に記載のハイブリッド回路。
【請求項10】
前記第1から第10の伝送線路の少なくとも一つが可変容量素子を備えることを特徴とする請求項1または請求項2に記載のハイブリッド回路。
【請求項11】
前記第1から第8の伝送線路の少なくとも一つが可変容量素子を備えることを特徴とする請求項3に記載のハイブリッド回路。
【請求項12】
前記第2から第5の入出力端子に接続される負荷のインピーダンスが互いに全て等しいことを特徴とする請求項1から請求項3のいずれか1項に記載のハイブリッド回路。
【請求項13】
前記第2から第5の入出力端子に接続される負荷のインピーダンスが前記第1の入出力端子に接続される負荷のインピーダンスと等しいことを特徴とする請求項12に記載のハイブリッド回路。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、マイクロ波回路等に用いられるハイブリッド回路に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来のハイブリッド回路として、例えば特許文献1の図6に示すブランチライン型90度ハイブリッドがある。
ブランチライン型90度ハイブリッドは、電気長が所望周波数で90度となる第1から第4の伝送線路を備え、前記第1の伝送線路の一端に第1の入出力端子が接続され、前記第1の伝送線路の他端と前記第2の伝送線路の一端が接続され、前記第2の伝送線路の他端と前記第3の伝送線路の一端が接続され、前記第3の伝送線路の他端と前記第4の伝送線路の一端が接続され、前記第4の伝送線路の他端と前記第1の伝送線路の一端が接続され、前記第1の伝送線路の他端と前記第2の伝送線路の一端の接続点に第2の入出力端子が接続され、前記第2の伝送線路の他端と前記第3の伝送線路の一端の接続点に第3の入出力端子が接続され、前記第3の伝送線路の他端と前記第4の伝送線路の一端の接続点に第4の入出力端子が接続されている。
【0003】
次に動作について説明する。
第1の入出力端子から入力された所望周波数の信号は、第4の伝送線路を介して第4の入出力端子に伝搬する波と、第1から第3の伝送線路を介して第4の入出力端子に伝搬する波とに分かれる。第4の伝送線路を介して第4の入出力端子に達した波と第1から第3の伝送線路を介して第4の入出力端子に達した波は180度の位相差があるため相殺し、第4の入出力端子には出力されなくなる。したがって、第4の入出力端子は仮想短絡点とみなせ、アイソレーション端子となる。このとき、第1の入出力端子からみた第4の伝送線路および第3の入出力端子からみた第3の伝送線路は開放とみなせるため、第2および第3の入出力端子に等分配される。また、第2と第3の入出力端子は第3の伝送線路のために90度の位相差が生じる。
【0004】
以上から、第1の入出力端子から入力された所望周波数の信号は、第2および第3の入出力端子から90度の位相差をもった等しい電力の信号として出力され、第4の端子からは出力されないことになる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2002−026614号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
従来のブランチライン型ハイブリッドは、90度差をもった2つの出力が得られるのみであり、0度、90度、180度、270度のそれぞれの位相差をもった4つの出力は得られなかった。このため、差動の直交信号が必要な回路にそのまま適用できないなどの課題があった。
【0007】
本発明は、以上のような課題を解決するためになされたものであり、0度、90度、180度、270度のそれぞれの位相差をもった4つの信号を出力する簡易な構成のハイブリッド回路を得ることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
この発明に係るハイブリッド回路は、
第1から第6の入出力端子と、
電気長が所望周波数で90度となる第1から第10の伝送線路とを備え、
前記第1の伝送線路の一端に前記第1の入出力端子が接続され、
前記第1の伝送線路の他端と前記第2の伝送線路の一端が接続され、
前記第2の伝送線路の他端と前記第3の伝送線路の一端および前記第4の伝送線路の一端が接続され、
前記第3の伝送線路の他端と前記第5の伝送線路の一端および前記第6の伝送線路の一端が接続され、
前記第5の伝送線路の他端と前記第1の伝送線路の一端が接続され、
前記第4の伝送線路の他端と前記第7の伝送線路の一端および前記第8の伝送線路の一端が接続され、
前記第7の伝送線路の他端に前記第6の伝送線路の他端および前記第9の伝送線路の一端が接続され、
前記第8の伝送線路の他端と前記第10の伝送線路の一端が接続され、
前記第9の伝送線路の他端と前記第10の伝送線路の他端が接続され、
前記第1の伝送線路の他端と前記第2の伝送線路の一端の接続点に前記第2の入出力端子が接続され、
前記第2の伝送線路の他端と前記第3の伝送線路の一端および前記第4の伝送線路の一端の接続点に前記第3の入出力端子が接続され、
前記第4の伝送線路の他端と前記第7の伝送線路の一端および前記第8の伝送線路の一端の接続点に前記第4の入出力端子が接続され、
前記第8の伝送線路の他端と前記第10の伝送線路の一端の接続点に前記第5の入出力端子が接続され、
前記第9の伝送線路の他端と前記第10の伝送線路の他端の接続点に前記第6の入出力端子が接続され
前記第1から第10の伝送線路の特性インピーダンスが互いに全て等しいことを特徴とするものである。
【発明の効果】
【0009】
この発明によれば、0度、90度、180度、270度のそれぞれの位相差をもった出力信号を簡易な構成で得られるという効果がある。
【図面の簡単な説明】
【0010】
図1】この発明の実施の形態1によるハイブリッド回路を示す構成図である。
図2】この発明の実施の形態1の動作原理の説明図(電気壁)である。
図3】この発明の実施の形態1の動作原理の説明図(磁気壁)である。
図4】この発明の実施の形態1の回路シミュレータにおける回路図である。
図5】この発明の実施の形態1の回路シミュレータにおける反射量の計算結果である。
図6】この発明の実施の形態1の回路シミュレータにおける通過量の計算結果である。
図7】この発明の実施の形態1の回路シミュレータにおける通過位相の計算結果である。
図8】この発明の実施の形態1による他のハイブリッド回路を示す構成図である。
図9】この発明の実施の形態1による他のハイブリッド回路を示す構成図である。
図10】集中定数素子を備えた伝送線路の構成図である。
図11】可変容量素子を備えた伝送線路の構成図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
実施の形態1.
図1はこの発明の実施の形態1によるハイブリッド回路を示す構成図である。
図において、11は第1の入出力端子、12は第2の入出力端子、13は第3の入出力端子、14は第4の入出力端子、15は第5の入出力端子、16は第6の入出力端子、21は第1の伝送線路、22は第2の伝送線路、23は第3の伝送線路、24は第4の伝送線路、25は第5の伝送線路、26は第6の伝送線路、27は第7の伝送線路、28は第8の伝送線路、29は第9の伝送線路、30は第10の伝送線路である。
【0012】
伝送線路21、22、23、24、25、26、27、28、29、30はそれぞれ電気長が所望の周波数で略90度となるように設定されている。すなわち、所望の周波数における伝送線路中の電気信号の波長をλとすると、各伝送線路の長さは全て略λ/4となっている。
【0013】
図1において、伝送線路21の一端に入出力端子11が接続され、伝送線路21の他端と伝送線路22の一端が接続され、伝送線路22の他端と伝送線路23の一端および伝送線路24の一端が接続され、伝送線路23の他端と伝送線路25の一端および伝送線路26の一端が接続され、伝送線路25の他端と伝送線路21の一端が接続され、伝送線路24の他端と伝送線路27の一端および伝送線路28の一端が接続され、伝送線路27の他端に伝送線路26の他端および伝送線路29の一端が接続され、伝送線路28の他端と伝送線路30の一端が接続され、伝送線路29の他端と伝送線路30の他端が接続され、
伝送線路21の他端と伝送線路22の一端の接続点に入出力端子12が接続され、伝送線路22の他端と伝送線路23の一端および伝送線路24の一端の接続点に入出力端子13が接続され、伝送線路24の他端と伝送線路27の一端および伝送線路28の一端の接続点に入出力端子14が接続され、伝送線路28の他端と伝送線路30の一端の接続点に入出力端子15が接続され、伝送線路29の他端と伝送線路30の他端の接続点に入出力端子16が接続されている。
【0014】
次に動作について説明する。
入出力端子11から入力された所望周波数の電気信号は、それぞれの伝送線路21〜30を介して、入出力端子12〜16へ出力されることになる。このとき、入出力端子12と13は伝送線路22により90度の位相差が生じ、入出力端子13と14は伝送線路24により90度の位相差が生じ、入出力端子14と15は伝送線路28により90度の位相差が生じている。このため、入出力端子15、14、13、12のそれぞれの端子からは、相対的に0度、90度、180度、270度の位相差をもった電気信号の出力が得られる。一方、入出力端子16では、主な経路である伝送線路21、22、24、28、30からの一方の電波(電気信号)と、伝送線路25、26、29からの他方の電波とが、逆相で重なることから相殺され、電気信号が出力されない。
【0015】
より詳細には、図1の回路が、伝送線路24および26それぞれの中点において線対称であることから、図2図3に示すように、上記の中点にそれぞれ電気壁および磁気壁を仮定することで、解析することができる。図2図3において、図1と同一符号は同一又は相当部分を示す。
【0016】
図2に示す、中点を短絡とした電気壁モデルにおいて、入力端子11における反射係数S11Sと入出力端子11から入出力端子13への透過係数S21Sを計算すると、次式のように表すことができる。
【数1】
【数2】
ただし、Zは伝送線路21、23の特性インピーダンス、Zは伝送線路22、25の特性インピーダンス、Zは伝送線路23、26の特性インピーダンス、Zは入出力端子のインピーダンスである。
=Z=Z=Zのとき、式(1)および式(2)は次式となる。
11S=0 (3)
21S=−(1+j)/2 (4)
【0017】
同様に図3に示す、中点を開放とした磁気壁モデルにおいて、入力端子11における反射係数S11Oと入出力端子11から入出力端子13への透過係数S21Oは次式のように表すことができる。
【数3】
【数4】
=Z=Z=Zのとき、式(5)および式(6)は次式となる。
11O=0 (7)
21O=−(1−j)/2 (8)
【0018】
したがって、図1に示すハイブリッド回路において、入力端子11における反射係数S11および入出力端子11から入出力端子13への透過係数S21はそれぞれ、電気壁モデルと磁気壁モデルにおける値の平均値となるので、次式で表される。
11=(S11S+S11O)/2=0 (9)
21=(S21S+S21O)/2=−1/2 (10)
【0019】
式(9)、式(10)から分かるように、入出力端子11では反射が生じず、入出力端子11から入力された所望周波数の電気信号は位相が反転して入出力端子13に出力される。入出力端子11から入力された電気信号に対し、入出力端子13に出力される電気信号の(電圧)振幅は1/2である。すなわち、入出力端子11から入力された電気信号のうち、入出力端子13に出力される電力は1/4となる。
【0020】
図1の回路の対称性から、入出力端子14に出力される電力は入出力端子13と同じく入力電力の1/4である。また、入出力端子12と入出力端子15に出力される電力は、やはり回路の対称性から同じになる。これから、入出力端子12、入出力端子15それぞれに出力される電力も、やはり入力電力の1/4ずつとなる。
以上のように、図1において、入出力端子11から入力した電力は、入出力端子12、13、14、15それぞれに1/4ずつに4等分され出力される。
【0021】
次に、図1に示すハイブリッド回路の動作を回路シミュレータによって確認する。
図4図1に示す回路の回路シミュレータにおける回路図を示す。回路シミュレータによる解析結果のうち、図5に各入出力端子における反射振幅特性を、図6に入出力端子11から各入出力端子への通過振幅特性を、図7に入出力端子11から各入出力端子への通過位相特性を、それぞれ示す。
所望の周波数において、全入出力端子において反射がなく、入出力端子12、13、14、15から等しい電力が90度差をもって出力され、入出力端子16はアイソレーション端子となっていることが分かり、本回路の動作が回路シミュレータによっても確認できている。
【0022】
なお、以上ではZ=Z=Z=Zのときについての説明を行ったが、これに限らず、Z=Z=Z≠Zであっても、入出力端子12、13、14、15から、それぞれ−90度(270度)、180度、90度、0度移相した、等しい電力の出力波が得られる。また、Z≠Z≠Z≠Zであっても、入出力端子12、13、14、15から、必ずしも等しい電力とはならないが、それぞれ−90度(270度)、180度、90度、0度移相した出力波が得られる。
【0023】
また、入出力端子11、12、13、14、15、16に接続される負荷のインピーダンスを、それぞれ異なる変数ZO1、ZO2、ZO3、ZO4、ZO5、ZO6で表したとき、例えば、Z=Z=Z=ZO1=ZO6であり、かつ、ZO2=ZO3=ZO4=ZO5≠ZO1であっても、各々の入出力端子で反射は生じるものの入出力端子12、13、14、15から等しい電力が90度差をもって出力される。
【0024】
さらに、ZO6はアイソレーション端子である入出力端子16に接続されている負荷のインピーダンスであるため、ZO1と大きく異なっていても、回路全体の動作に及ぼす影響は小さく、本実施の形態の効果が同様に得られる。
【0025】
以上のように、実施の形態1によれば、簡易な構成で、入出力端子11から所望の周波数の電気信号を入力することにより、入出力端子16がアイソレーション端子となり、入出力端子12、13、14、15からそれぞれ−90度(270度)、180度、90度、0度移相した、等しい電力の出力波が得られる効果がある。
【0026】
実施の形態2.
図8はこの発明の実施の形態2によるハイブリッド回路を示す構成図である。
図8において、図1と同一符号は同一又は相当部分を示し、説明を省略する。
図8では、第6の入出力端子である入出力端子16がないことが、図1と異なっており、その他の点では図1と同様の構成となっている。
【0027】
次に動作について説明する。
実施の形態1に示したように、図1の入出力端子16はアイソレーション端子となっており、入出力端子11から入力した電気信号が全く出力しない。
したがって、入出力端子16にどのような負荷を接続しても、他の回路の部分の動作に大きな影響を与えない。
【0028】
このため、入出力端子16に負荷を接続せず、開放としても良い。すなわち、入出力端子16は無くても良い。
したがって、図8に示す回路においても、実施の形態1と同様の効果が得られる。
さらに、回路がより簡易な構成になるという効果がある。
【0029】
なお、図8において、伝送線路29と伝送線路30を1つの伝送線路として、電気長が所望の周波数で略180度となるように、すなわち所望の周波数における伝送線路中の電気信号の波長λに対して略λ/2の長さとなるように設定してもよいことは自明である。
【0030】
実施の形態3.
図9はこの発明の実施の形態3によるハイブリッド回路を示す構成図である。
図9において、図1図8と同一符号は同一又は相当部分を示し、説明を省略する。
図9では、図8に対して、さらに第9の伝送線路である伝送線路29と第10の伝送線路である伝送線路30を削除した構成となっており、その他の点では図8と同様の構成となっている。
【0031】
次に動作について説明する。
実施の形態1に示したように、図1の入出力端子16はアイソレーション端子となっており、入出力端子11から入力した電気信号が全く出力しない。
したがって、入出力端子16にどのような負荷を接続しても、他の回路の部分の動作に大きな影響を与えない。
【0032】
このため、入出力端子16の負荷をショートとし、短絡としても良い。すなわち、図8の伝送線路29と伝送線路30との接続点をショートとしても良い。
このとき、ショート点に対して伝送線路での波長λに対して略λ/4離れた点は、等価的に開放となっていることに等しい。これは、図8の伝送線路29と伝送線路30を削除した構成であり、図9の構成である。
【0033】
したがって、図9に示す回路においても、実施の形態1や実施の形態2と同様の効果が得られる。
また、回路がより簡易な構成になり、さらに小型化が図れるという効果がある。
【0034】
なお、図9において、伝送線路26と伝送線路27を1つの伝送線路として、電気長が所望の周波数で略180度となるように、すなわち所望の周波数における伝送線路中の電気信号の波長λに対して略λ/2の長さとなるように設定してもよいことは明らかである。
【0035】
実施の形態4.
この発明の実施の形態4によるハイブリッド回路は、図1図8図9に示すものと同様のものであり、これらのどのような構成としてもよい。
図10図11はこの発明の実施の形態4によるハイブリッド回路に用いる伝送線路の構成図である。
【0036】
図10において、41、42はキャパシタ、43はインダクタ、44は伝送線路である。また図11において、45、46は可変容量素子、43はインダクタ、44は伝送線路である。
【0037】
図1図8図9に示すハイブリッド回路において、図10に示すように少なくとも1部の伝送線路をキャパシタ、インダクタなどを用いて集中定数素子化しても良い。また、図11に示すように可変容量素子を装荷して所望周波数を変化させても良いことは、当業者であれば周知のことである。これによって伝送線路の小型化を図ることができる。
【0038】
なお、伝送線路の1部または全てを集中定数化せず、分布定数素子を用いたものとしてもよいことは明らかである。
【0039】
以上のように、実施の形態4によれば、より小型なハイブリッド回路が得られる効果がある。
【符号の説明】
【0040】
11、12、13、14、15、16 入出力端子、21、22、23、24、25、26、27、28、29、30、44 伝送線路、41、42 キャパシタ、43 インダクタ、45、46 可変容量素子
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11