特許第5835161号(P5835161)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2015.5.11 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】5835161
(24)【登録日】2015年11月13日
(45)【発行日】2015年12月24日
(54)【発明の名称】交通情報システム
(51)【国際特許分類】
   G08G 1/09 20060101AFI20151203BHJP
   G01C 21/32 20060101ALI20151203BHJP
【FI】
   G08G1/09 F
   G01C21/32
【請求項の数】4
【全頁数】21
(21)【出願番号】特願2012-189413(P2012-189413)
(22)【出願日】2012年8月30日
(65)【公開番号】特開2014-48768(P2014-48768A)
(43)【公開日】2014年3月17日
【審査請求日】2015年1月23日
(73)【特許権者】
【識別番号】000005108
【氏名又は名称】株式会社日立製作所
(74)【代理人】
【識別番号】100100310
【弁理士】
【氏名又は名称】井上 学
(72)【発明者】
【氏名】熊谷 正俊
(72)【発明者】
【氏名】奥出 真理子
【審査官】 東 勝之
(56)【参考文献】
【文献】 特開2006−023886(JP,A)
【文献】 特開2011−191335(JP,A)
【文献】 米国特許出願公開第2012/0143886(US,A1)
【文献】 特開平08−030892(JP,A)
【文献】 特開2011−008569(JP,A)
【文献】 特開2004−295165(JP,A)
【文献】 特開2005−122555(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G08G 1/00 − 1/16
G01C 21/00 − 21/36
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数の異なる地図フォーマットに対応した交通情報を格納した複数の交通情報データベースと、各地図フォーマット毎の道路区間情報を備え、各交通情報データベースの交通情報を統合した交通情報を求める交通情報システムにおいて、
交通情報を統合する対象地点を含む道路区間を前記各地図フォーマット毎に求め、前記各交通情報データベースから対応する地図フォーマットについて求めた前記道路区間で計測された、同一時間帯の交通情報を取得する交通情報検索手段と、
各地図フォーマット毎に求めた前記各道路区間の端点を各道路区間を重ねた直線上に写像する道路区間写像手段と、
前記直線上に重ねた各道路区間を写像された前記各端点で分割した差分区間を求める差分区間分割手段と、
前記各道路区間における前記同一時間帯の交通情報を、前記差分区間毎に差分区間交通情報として統合する交通情報統合手段とを備える
ことを特徴とする交通情報システム。
【請求項2】
請求項1に記載の交通情報システムにおいて、
前記交通情報統合手段は、前記交通情報検索手段で取得された前記道路区間における前記同一時間帯の交通情報を、当該道路区間を構成する前記差分区間について、該差分区間の距離に応じて按分し、各差分区間毎に按分された前記各交通情報を平均した値を当該差分区間の差分区間交通情報として算出することを特徴とする交通情報システム。
【請求項3】
請求項1に記載の交通情報システムにおいて、
前記交通情報統合手段は、前記交通情報検索手段で取得された前記道路区間における前記同一時間帯の交通情報を、当該道路区間を構成する前記差分区間の差分区間交通情報の和として表した式において、前記差分区間交通情報を未知数とした連立方程式として表し、当該連立方程式の解から前記差分区間の差分区間交通情報を求めることを特徴とする交通情報システム。
【請求項4】
請求項1乃至3のいずれかに記載の交通情報システムにおいて、
前記交通情報データベースで採用しているいずれかの地図フォーマットと同じ地図フォーマットを用いる経路案内システムや車載端末に対して、前記差分区間毎に統合された差分区間交通情報を当該地図フォーマットに割り付けて送出する差分区間交通情報送信手段を備えることを特徴とする交通情報システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は交通情報システムに関する。
【背景技術】
【0002】
これまで、路側に設けられたセンサからの情報や、走行する車両の情報から求めた交通情報が、それぞれ個別に配信されていた。しかしそれぞれの交通情報は、その精度やカバー範囲が異なるものであった。これに対し、特許文献1には、情報源の異なる交通情報の精度を実験用走行車両による計測データにより評価し、その精度に応じて各情報源の情報を統合した交通情報を交通情報センタから車載器に配信することで、ユーザに提供する交通情報のカバー範囲を拡大する技術が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2006−023886号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1に開示された技術では、実験用走行車両によるデータを用いて各情報源からの情報の精度を比較するため、統合の対象となるのは実験用走行車両が走行したのと同一の道路区間で計測され同一の地図フォーマットでデータ化された交通情報である。一方、異なる地図フォーマットでデータ化された交通情報は、同一地点を含む道路区間で計測された交通情報であっても、地図フォーマット毎に当該道路区間の開始地点と終了地点が異なる場合があるため、異なる地図フォーマットでデータ化された交通情報を統合することはできない。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明による交通情報システムは、複数の異なる地図フォーマットに対応してデータ化された交通情報を格納した複数の交通情報データベースと、各地図フォーマット毎の道路区間情報を備え、各交通情報データベースの交通情報を統合した交通情報を求める交通情報システムであって、交通情報を統合する対象地点を含む道路区間を各地図フォーマット毎に求めて、各交通情報データベースから対応する地図フォーマットについて求めた交通情報を統合する対象地点を含む道路区間で計測された同一時間帯の交通情報を検索して取得する交通情報検索手段と、各地図フォーマット毎に求めた対象地点を含む各道路区間の端点を各道路区間を重ねた直線上に写像する道路区間写像手段と、この直線上に重ねた各道路区間を写像された各道路区間を端点で分割した差分区間を求める差分区間分割手段と、各道路区間について求めた同一時間帯の各交通情報を、求めた差分区間毎に差分区間交通情報として統合する交通情報統合手段とを備えることを特徴とする。
【発明の効果】
【0006】
本発明による経路案内システムは、地図フォーマット毎の道路区間の相違に基づき分割された差分区間毎に、対応する交通情報統合した差分区間交通情報を求めるため、異なる地図フォーマットでデータ化された交通情報同士を統合することができる。そしてこれにより、複数の情報源からの交通情報を統合したより広いカバー範囲の交通情報を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0007】
図1】第1の実施の形態における交通情報システムの構成図である。
図2】交通情報データベースのデータフォーマットを例示する図である。
図3】交通情報検索手段による道路区間選択の模式図である。
図4】道路区間写像手段による道路区間の数直線への写像を示す模式図である。
図5】差分区間分割手段による数直線の差分区間への分割を示す模式図である。
図6】道路区間写像手段による道路区間の数直線への写像を示す模式図である。
図7】差分区間分割手段による数直線の差分区間への分割を示す模式図である。
図8】交通情報システムの処理フロー図である。
図9】第2の実施の形態における交通情報システムの構成図である。
図10】交通情報システムが受信する交通情報のデータフォーマットを例示する図である。
図11】交通情報システムが送信する差分区間交通情報のデータフォーマットを例示する図である。
【発明を実施するための形態】
【0008】
以下、図面を用いて本発明の実施の形態について説明する。
−−−第1の実施の形態−−−
図1は、第1の実施の形態における交通情報システム100の構成を表す図である。交通情報システム100は、交通情報データベース群101と、地図データベース群102と、交通情報検索手段103と、統合対象地点リスト104と、統合対象日時リスト105と、道路区間選択テーブル群106と、道路区間写像手段107と、差分区間分割手段108と、交通情報統合手段109とを有する。
【0009】
交通情報データベース群101は、図1に示す例ではA〜Eの異なる情報源に基づく交通情報データベースにより構成されている。各交通情報データベースA〜Eは、それぞれ異なる地図フォーマットでデータ化された交通情報が格納されているものとする。なお、全ての地図フォーマットが互いに異なるものでなくともよいが、少なくとも複数種類の地図フォーマットが存在するものとする。地図データベース群102には、交通情報データベースA〜Eで用いられている地図フォーマットに対応して、各地図フォーマットを構成するリンクの位置や形状のデータが、それぞれA〜Eの地図データベースとして格納されている。また交通情報データベース群101の各交通情報データベースに格納されている交通情報は、例えば図2のように、地図フォーマットで各リンクを識別するためのリンク番号と、このリンク番号で特定される道路リンク(道路区間)における、日時に対応したリンク旅行時間(所要時間)である。
【0010】
交通情報検索手段103は、統合対象地点リスト104に格納されている地点情報のそれぞれと、統合対象日時リスト105に格納された日時のそれぞれについて、対象となる地点を含む道路区間の交通情報を交通情報データベース群101から検索して取得する。図3は交通情報の検索に際して道路区間選択の方法を示した模式図である。地図データベース群102には、リンクの位置と形状データが例えば緯度経度列で格納されており、図3では点列301がリンクiの緯度経度列、点列302がリンクjの緯度経度列、点列303がリンクkの緯度経度列とする。ここで点304を検索対象の地点情報とすると、緯度経度列の点列が構成する線分305と検索対象の地点である点304との間の距離306が最短となるリンクが、交通情報を取得する統合対象リンクとして交通情報データベース群101から選択される。このような道路区間の選択は交通情報データベースA〜Eと対応する地図情報データベースA〜Eのそれぞれについて実施され、各地図フォーマット毎に検索対象の地点情報に対応したリンクが求められる。
【0011】
このような道路区間選択の処理は交通情報を取得する都度実施することもできるが、統合対象地点リスト104に含まれる全ての地点情報について、予め地図データベース群102に対する道路区間選択を実施しておいてもよい。この場合、統合対象地点リスト104に含まれる全ての地点情報について選択された各地図フォーマットにおける道路区間を、地図データベースA〜Eに対応する道路区間選択テーブルとした道路区間選択テーブル群106を作成しておいてもよい。この場合、交通情報検索手段103は、地図フォーマットA〜Eに対応する道路区間選択テーブルA〜Eを参照し、統合対象地点リスト104に応じて交通情報データベースから交通情報を取得する統合対象リンクを決定する。交通情報検索に際しての日時の選択においては時間に幅を持たせ、例えば10:05のデータが必要な場合、10:01〜10:05の交通情報を取得する。
【0012】
以上の処理により、交通情報検索手段103は、交通情報データベース群101から、同一地点を含む道路区間の同一日時における異なる交通情報データベースの交通情報を取得する。日時の指定については統合対象日時リスト105を参照する代わりに現在日時を指定すれば、交通情報検索手段103の処理をリアルタイムに行うことになる。なお、道路区間選択においては、予め設定された閾値よりも距離306が大きくなり統合対象地点に該当する統合対象リンクが無いと判断される場合、あるいは交通情報データベースA〜Eにおいて統合対象リンクと統合対象日時に合致するデータが無い場合には、交通情報検索手段103はその交通情報データベースから交通情報を取得しないものとする。
【0013】
図4は、道路区間写像手段107の処理を示した模式図であり、直線道を例に図示している。リンク401A〜401Eは交通情報検索手段103によって交通情報データベース群101の交通情報データベースA〜Eから取得された同一地点かつ同一日時の交通情報に対応する道路区間、すなわち地図フォーマットA〜Eで記述された同じ統合対象地点に対応するリンクである。図の表記の都合上、リンク401A〜401Eの間に間隔を設けているが、実際には道路の幅方向にはほぼ重なっているものとする。また、左側を交通流の上流とし右側を下流とする。これらリンク401A〜401Eは同じ統合対象地点を含む道路区間に相当するが、地図フォーマットが異なるためにリンク端点は異なる。道路区間写像手段107はこれらリンク401A〜401Eを重ねて、それぞれのリンク端点を数直線402に写像した点403〜412を得る。
【0014】
図5は差分区間分割手段108の処理を示した模式図であり、道路区間写像手段107で得られた数直線上の点403〜412に基づいて、数直線402を端から分割し、差分区間501〜509を得る。得られた各差分区間の長さL1〜L9はリンク401A〜401Eの地図上での位置に応じた距離である。例えば図4の例において点403と点404に相当するリンク端点が互いに500m離れていれば、点403と点404の差分区間の長さL1を500mとする。
【0015】
交通情報統合手段109は差分区間501〜509のそれぞれについて交通情報検索手段103で得られた交通情報を統合し、代表値である差分区間交通情報を定める処理であり、以下に二通りの演算方法を説明する。
【0016】
第1の演算方法は、交通情報検索手段103で交通情報データベースA〜Eより得られた交通情報をリンク旅行時間tA〜tEとした場合、各リンク旅行時間を差分区間501〜509の距離L1〜L9で按分して平均することである。ここで、リンク旅行時間tA〜tEは、リンク401A〜401Eについて求められたリンク旅行時間を表す。例えば、図4におけるリンク401Aは差分区間503〜507から構成されて、各差分区間の長さがL3,L4,L5,L6,L7であるため、リンク旅行時間tAを(式1)のように按分する。
【0017】
【数1】
【0018】
ここで例えばtA3はtAを差分区間503に按分した値である。同様にしてリンク401Bのリンク旅行時間tBからはtB4〜tB8が、tCからはtC2〜tC9が、tDからはtD5〜tD6が、tEからはtE1〜tE5が得られる。これら差分区間501〜509についてリンク401A〜401Eのリンク旅行時間を按分した値を、それぞれの差分区間について平均すると、差分区間501〜509におけるリンク旅行時間の平均値t1〜t9が(式2)のように得られる。
【0019】
【数2】
【0020】
交通情報統合手段109はこれら平均値t1〜t9を差分区間501〜509それぞれの代表値である差分区間交通情報とする。
【0021】
第2の演算方法は、より精度の高い方法であり、交通情報データベース群101から取得された同一地点かつ同一日時の交通情報(リンク旅行時間)に対応するリンクを分割した差分区間501〜509の差分区間交通情報t1〜t9を未知数として、交通情報検索手段103で交通情報データベースA〜Eから得られたリンク旅行時間tA〜tEを構成する(式3)の連立方程式を解く。
【0022】
【数3】
【0023】
この連立方程式は、各交通情報データベースからのリンク旅行時間を、対応するリンクを構成する差分区間の差分区間交通情報の和として構成したものであり、(式4)のような行列方程式で表される。
【0024】
【数4】
【0025】
ここに(式3)に対応するSは(式5)のように、各行が交通情報検索手段103で交通情報データベース群から得られた交通情報に、各列が交通情報に対応したリンクを構成する差分区間に対応した行列で表される。
【0026】
【数5】
【0027】
すると(式4)は次のように解ける。
【0028】
【数6】
【0029】
この例においては、(式4)が劣拘束方程式(未知数より方程式が少ない)なので、S-1は一般化逆行列であり、得られる解t1〜t9は(式4)を誤差二乗和最小で満足し、かつt1〜t9の二乗和が最小となる値である。また、(式4)が過拘束方程式(未知数より方程式が多いか同数)の場合には、S-1は左側逆行列であり、得られる解t1〜t9は(式4)を誤差二乗和最小で満足する値である。交通情報統合手段109はこのようにして得られる未知数t1〜t9の解を差分区間501〜509それぞれの代表値である差分区間交通情報とする。
【0030】
図4図5に示した例では、道路構造が直線道の場合を例に差分区間分割手段108の処理を説明しているが、これを交差点のように分岐を伴う道路構造における処理へ拡張すると図6図7のようになる。図6図7は、二分岐道の例を表している。地図フォーマットによっては、同じ交差点付近のリンクであっても、交差点でリンクを分割する、あるいは交差点を跨いだリンクを設定するなど、リンク構成が異なる場合がある。リンク601A〜601Eは、図4,5に示したリンク401A〜401E同様に、それぞれ交通情報検索手段103によって交通情報データベース群101の交通情報データベースA〜Eから取得された同一地点かつ同一日時の交通情報に対応する道路区間、すなわち地図フォーマットA〜Eで記述されたリンクである。道路区間写像手段107はこれらのリンクのリンク端点を分岐道に対応した数直線602並びに数直線603へ写像し、点604〜611を得る。この例では二分岐道を表すために数直線は2本あり、分岐点手前から分岐点までに位置する点604〜607は双方の数直線に共通する。
【0031】
図7は、差分区間分割手段108の処理を示した模式図であり、道路区間写像手段107で得られた数直線上の点604〜611に基づいて、図5に示した直線道の場合と同様にして、数直線602と603を端から分割し、差分区間701〜707を得る。各差分区間の長さL1〜L7はリンク601A〜601Eの地図上での位置に応じた距離である。
【0032】
即ち、交差点のように分岐を伴う道路構造の場合は、各分岐に対応した数直線を設けて、リンクを対応する数直線上で端から分割して差分区間を求めることになり、各数直線状での分割は直線道の場合と同様となる。
【0033】
次に、交通情報統合手段109が差分区間701〜707のそれぞれについて交通情報検索手段103で得られた交通情報を統合し、代表値である差分区間交通情報を定める処理は、前述の直線道の場合と同様であり、(式1)〜(式6)に対応する演算は次のようになる。
【0034】
まず各リンク旅行時間を差分区間701〜707の距離L1〜L7で按分して平均する第1の演算方法においては、例えば交通情報検索手段103で交通情報データベースAから得られたリンク601Aのリンク旅行時間tAは、リンク601Aが差分区間703,704に分割されることから、それぞれの差分区間の距離L3,L4に応じて(式7)のように按分する。
【0035】
【数7】
【0036】
同様にして交通情報データベースBから得られたリンク601Bのリンク旅行時間tBからは、リンク601Bを分割した差分区間L1〜L5に按分されたリンク旅行時間tB1〜tB5が求まり、以下、リンク601Cのリンク旅行時間tCからはtC2、tC3、tC6が、リンク601Dのリンク旅行時間tDからはtD3が、リンク601Eのリンク旅行時間tEからはtE2、tE3、tE6、tE7がそれぞれ得られる。これらの差分区間に按分されたリンク旅行時間の値を各差分区間701〜707について平均すると、平均値t1〜t7が(式8)のように得られる。
【0037】
【数8】
【0038】
交通情報統合手段109は、これら平均値t1〜t7を差分区間701〜707それぞれの代表値である差分区間交通情報とする。
【0039】
一方、行列方程式を用いた第2の演算方法においても、前述の直線道を例にした場合の処理と同様、差分区間701〜707の差分区間交通情報t1〜t7を未知数として、交通情報検索手段103で交通情報データベースA〜Eから得られたリンク旅行時間tA〜tEを、対応するリンク601A〜601Eを構成する差分区間に対応して構成する(式9)のような連立方程式を解く。この連立方程式は、道路区間について求められたリンク旅行時間を、その道路区間を構成する差分区間の差分区間交通情報の和として表した式を、リンク旅行時間が求められている道路区間について連立させたものである。従って、例えばリンク601Aが差分区間703,704から構成されているため、リンク601Aのリンク旅行時間tAは、差分区間703,704の差分区間交通情報t3,t4の和として表されている。
【0040】
【数9】
【0041】
この連立方程式は(式4)と同様に(式10)のような行列方程式で表される。
【0042】
【数10】
【0043】
また、(式8)に対応するSは(式5)の場合と同様、(式11)のような行列となる。
【0044】
【数11】
【0045】
すると(式10)は次の(式12)のように解ける。
【0046】
【数12】
【0047】
この(式12)の解の意味するところは(式6)と同様であり、交通情報統合手段109はこのようにして得られる未知数t1〜t7の解を差分区間701〜707それぞれの代表値である差分区間交通情報とする。
【0048】
図8は、交通情報システム100の処理フローである。S801、S802は、それぞれ統合対象日時リスト105、統合対象地点リスト104について、統合対象日時リスト105に格納された統合対象日時と統合対象地点リスト104に格納されている統合対象地点に関する、交通情報検索手段103における処理のループである。また、S803は、交通情報データベース群101に含まれる各交通情報データベースに関するループである。
【0049】
このループの中で、まず交通情報検索手段103により、S804のループ処理で処理対処としている交通情報データベースに対応した地図フォーマットにおける統合対象地点の道路区間(リンク)を地図データベース群102から選択する、あるいは道路区間選択テーブル群106が存在する場合には各地図フォーマットに対応する道路区間テーブルから道路区間を検索して求める道路区間選択S804の処理を行う。
【0050】
そしてS805では、道路区間選択S804において統合対象地点に合致する道路区間(統合対象リンク)の有無を調べ、統合対象地点に合致する統合対象リンクが無い場合(S805:No)は、S807における交通情報取得の処理は実施しない。また統合対象地点に合致する統合対象リンクが有る場合(S805:Yes)、次にS806では、処理対象としている交通情報データベースに、この統合対象リンクについて統合対象日時に合致するデータの有無を調べる。統合対象リンクについて統合対象日時に合致するデータが有れば、続くS807の交通情報取得の処理で、道路区間選択S804の処理で求めた地図フォーマット毎の道路区間(リンク)について、交通情報データベース群の各情報源に対応した交通情報データベースから統合対象日時の交通情報(リンク旅行時間)を取得する。一方、処理対象としている交通情報データベースにおいて統合対象リンクに統合対象日時と合致するデータが無い場合(S806:No)は、交通情報取得S807は実施しない。
【0051】
各交通情報データベースについて交通情報取得を終えると、S804で求めた統合対象地点に合致する全ての道路区間(統合対象リンク)について、図4又は図6で説明したように、道路区間写像手段107により各道路区間を対応する数直線へ写像する道路区間写像の処理S808を行う。そして図5又は図7で説明したように、数直線上に写像された道路区間のリンク端点において各道路区間を差分区間に分割する差分区間分割の処理S809を、差分区間分割手段108により行う。
【0052】
次に、交通情報統合手段109により、S807で取得した全ての交通情報に対し、(式1),(式2)あるいは(式7),(式8)で説明した第1の演算方法により、各道路区間の交通情報を差分区間に按分した上で、各差分区間毎の平均を計算したり、若しくは、(式3)〜(式6)あるいは(式9)〜(式12)で説明した第2の演算方法により行列方程式を解いて、S809で求めた差分区間における差分区間交通情報を求める交通情報統合の処理S810を実施する。
【0053】
以上のS803〜S810の処理をループS801とS802の中で実施することにより、統合対象日時リスト105と統合対象地点リスト104に格納された各統合対象日時と各統合対象地点について交通情報の統合が実施される。なお、図示されていない入力手段により特定の日時と特定の地点を指定して交通情報の統合を行う場合には、S801とS802のループは用いず、S803〜S810の処理を1回のみ実施するようにすればよい。
−−−第2の実施の形態−−−
第1の実施の形態における交通情報システム100を通信による交通情報サービスで用いる場合には、図9に示す第2の実施の形態を用いる。第2の実施の形態における交通情報システム900は、第1の実施の形態における交通情報システム100に、交通情報受信手段901と差分区間交通情報送信手段902を加えたものである。
【0054】
この交通情報受信手段901で受信する交通情報は、交通情報源903から送信される。交通情報源903は、例えば交通情報収集事業者の運用する交通情報センタであり、路上センサやプローブカーで収集された交通情報904と、その交通情報をデータ化するのに用いる地図フォーマットを構成するリンクの位置や形状のデータを格納した地図データベース905と、交通情報を送出する交通情報送信手段906を備える。
【0055】
交通情報送信手段906は、交通情報904の各交通情報(リンク旅行時間)に、地図データベース905における交通情報が収集されたリンクのリンク番号と、収集された日時とを関連付けたデータを、例えば図10に示すような通信フォーマットで送信する。交通情報受信手段901は、交通情報送信手段906から送信されたデータを受信し、交通情報データベース群101に格納する。
【0056】
図9の例では、交通情報源903から送信されたデータは交通情報データベースAに格納される構成となっているが、交通情報源903と同様のシステムが複数あってもよく、その場合、それぞれの送信するデータは交通情報データベース群101において対応する交通情報データベースに格納される。また、地図データベース群102の地図データベースA〜Eには、交通情報源のそれぞれで採用している地図フォーマットを構成するリンクの位置や形状のデータを格納しているものとする。
【0057】
一方、差分区間交通情報送信手段902は、交通情報統合手段109で得られた差分区間交通情報を、複数の情報源による交通情報を統合した交通情報として、交通情報を利用する経路案内システム907や車載端末908に送信する。経路案内システム907や車載端末908が、交通情報データベースA〜Eに格納されている地図フォーマットのいずれかと同様の地図を採用しているものとして、例えば地図フォーマットAを採用している場合、この地図フォーマットに対応した図4図5に示したリンク401Aの差分区間交通情報を送信するには、このリンク401Aの地図フォーマットAにおけるリンク番号と各差分区間の長さL3〜L7に統合対象日時とそれぞれの差分区間交通情報を関連付けた図11のような通信フォーマットを用いる。
【0058】
図11における“差分区間”の項目が差分区間の長さL3〜L7であり、それに対応する“差分区間旅行時間”の項目が交通情報統合手段109によって得られた差分区間交通情報である。このように差分区間の長さと組み合わせて差分区間交通情報を送出することで、経路案内システム907や車載端末908の側では差分区間に関する情報を持たなくとも、大本の交通情報源903で採用している地図フォーマットのみを参照して、リンク端点からの距離に応じた差分区間交通情報を利用することができる。
【0059】
またこの場合、交通情報データベース群101の同じ地図フォーマットに対応する交通情報データベースに統合対象日時の交通情報が無い場合でも、統合地点に対応する道路区間について他の情報源からの異なる地図フォーマットでデータ化された交通情報により、交通情報を統合した差分区間交通情報が求まるため、複数の情報源からの交通情報を統合したより広いカバー範囲の交通情報を提供することができる。
【符号の説明】
【0060】
100 交通情報システム
101 交通情報データベース群
102 地図データベース群
103 交通情報検索手段
104 統合対象地点リスト
105 統合対象日時リスト
106 道路区間選択テーブル群
107 道路区間写像手段
108 差分区間分割手段
109 交通情報統合手段
900 交通情報システム
901 交通情報受信手段
902 差分区間交通情報送信手段
903 交通情報源
904 交通情報
905 地図データベース
906 交通情報送信手段
907 経路案内システム
908 車載端末
図1
図2
図3
図4
図5
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図9
図10
図11