(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】5835168
(24)【登録日】2015年11月13日
(45)【発行日】2015年12月24日
(54)【発明の名称】インジケータ駆動回路
(51)【国際特許分類】
B60R 16/02 20060101AFI20151203BHJP
G09G 3/14 20060101ALI20151203BHJP
G09G 3/04 20060101ALI20151203BHJP
H01L 33/00 20100101ALI20151203BHJP
【FI】
B60R16/02 645A
G09G3/14 K
G09G3/04 K
H01L33/00 J
【請求項の数】1
【全頁数】6
(21)【出願番号】特願2012-199450(P2012-199450)
(22)【出願日】2012年9月11日
(65)【公開番号】特開2014-54869(P2014-54869A)
(43)【公開日】2014年3月27日
【審査請求日】2014年12月22日
(73)【特許権者】
【識別番号】000003207
【氏名又は名称】トヨタ自動車株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100107766
【弁理士】
【氏名又は名称】伊東 忠重
(74)【代理人】
【識別番号】100070150
【弁理士】
【氏名又は名称】伊東 忠彦
(72)【発明者】
【氏名】菰口 徹哉
【審査官】
前田 浩
(56)【参考文献】
【文献】
特開2012−011970(JP,A)
【文献】
特開2001−105929(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B60R 16/02
G09G 3/04
G09G 3/14
H01L 33/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
インジケータの動作又は非動作を選択するインジケータ駆動回路であって、
当該インジケータ駆動回路の入力と出力との間を前記非動作の場合に切断する切断手段と、
前記入力に対して前記出力を反転させるインバータとを含み、
前記切断手段は前記インバータと前記インジケータ駆動回路の出力端子との間に介在されることを特徴とするインジケータ駆動回路。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、車載のインジケータを適宜点灯制御及び滅等制御するインジケータ駆動回路に関する。
【背景技術】
【0002】
車載のインジケータを適宜駆動するインジケータ駆動回路としては、例えば特許文献1に記載されたようなものがある。インジケータは例えばLED(Light Emitting Diode)等の発光部品により構成され、インジケータ駆動回路は例えば車載向けの予防安全系を始めとしたECU(Electronic Control Unit)により構成される。
【0003】
ECUはインジケータの点灯により警報を行い、インジケータの動作時つまり点灯時には所望の電圧もしくは電流を、インジケータを含むインジケータ回路に印加する。ここで非動作時つまり非点灯時にはインジケータ駆動回路の出力を接地する方式が一般に採用されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2009−204712号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、このようなインジケータ駆動回路においては、車両のモータ駆動系の電源ラインからのノイズがECUとインジケータ回路との間を結ぶワイヤーハーネスに重畳すると、インジケータ回路と接地回路においてノイズの波形のレベル増大と周期の長大化及びレベルそのものの増大を招いて、不適切なインジケータの点灯を招来するおそれがあった。
【0006】
本発明は、上記問題に鑑み、インジケータの不適切な点灯を防止することができるインジケータ駆動回路を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記の問題を解決するため、本発明に係るインジケータ駆動回路は、インジケータの動作又は非動作を選択するインジケータ駆動回路であって、当該インジケータ駆動回路の入力と出力との間を前記非動作の場合に切断する切断手段
と、前記入力に対して前記出力を反転させるインバータとを含み、前記切断手段は前記インバータと前記インジケータ駆動回路の出力端子との間に介在されることを特徴とする。
【発明の効果】
【0008】
本発明によれば、インジケータ駆動回路内の入力と出力間を切断手段によって非動作時には切断するので、インジケータのノイズによる不適切な点灯を防止することができる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【
図1】本発明による実施例のインジケータ駆動回路1の前提構成を示す回路図である。
【
図2】実施例のインジケータ駆動回路1の前提構成におけるノイズの伝播態様を示す模式図である。
【
図3】実施例のインジケータ駆動回路1の前提構成におけるノイズが増大される態様を示す模式図である。
【
図4】実施例のインジケータ駆動回路1の概念を示す模式図である。
【
図5】実施例のインジケータ駆動回路1の具体的回路構成を示す模式図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、本発明を実施するための形態について、添付図面を参照しながら説明する。本実施例のインジケータ駆動回路1は、例えばECUであって、前提構成として、周知のインバータを含み、インバータは入力端子IN、出力端子OUT、電源端子Vddを含み、接地回路Gを含むものである。出力端子OUTはワイヤーハーネス2を介してインジケータ回路3に接続されている。
【0011】
インジケータ回路3は、例えばLEDにより構成されるインジケータ4を含み、インジケータ4に直列に電流制限用の抵抗Rを含み、インジケータ4に並列に電圧調整用のコンデンサCを含み、分岐点Pのワイヤーハーネス2側に整流用のダイオードDを含んでいる。インジケータ4も接地回路Gを含んでいる。
【0012】
インジケータ駆動回路1を構成するECUは、例えば車両の予防安全系ECUであり、インジケータ4の点灯つまり動作時には、インジケータ4に対してインバータの動作に基づいて所望の電圧もしくは電流を印加し、例えば車両外の他者に対する警報を行う。また、ECUはインジケータ4の消灯つまり非動作時には、インバータの出力端子OUTを接地回路Gにより接地する。
【0013】
ここでインジケータ駆動回路1とインジケータ回路3との間のワイヤーハーネス2は、例えば車両のパワーシートやミラーアクチュエータ等のモータ系機構の電源ラインのハーネス等と並走するケースがある。この場合には、
図2に示すように、モータ系の誘導ノイズが隣接したハーネス間の容量カップリングで結合し、ワイヤーハーネス2に誘導ノイズが乗り、インジケータ4のインジケータ回路3内のハーネスラインにノイズが伝播することを招く。このノイズレベルがインジケータ4の動作閾値電圧を上回るとインジケータ4がECUの非動作時に点灯してしまう誤点灯を招いてしまう。
【0014】
またワイヤーハーネス2に誘導ノイズが乗ると、以下のメカニズムによりノイズレベルの増幅と周期の増大を招く。すなわち、
図3に示すように、ワイヤーハーネス2に丸1で示すように誘導ノイズが伝播すると、ダイオードDやLEDであるインジケータ4により丸2に示すように半波整流されて、負の電圧成分が除去される。さらに、丸3に示すように、インジケータ回路3内の接地回路Gとインジケータ駆動回路1内の接地回路Gとを結ぶ破線で示す接地ラインとモータ系機構の電源ラインとの寄生容量により波形が平滑化されて、波形のレベルが増大し周期も長くなる。
【0015】
このノイズが接地回路G、インバータ、出力端子OUTを経由して再度ワイヤーハーネス2に乗り、インジケータ回路3に到達するとインジケータ4の誤点灯を招く。特にノイズの周期が長くなる程インジケータ4の誤点灯が人間の目に認識されやすくなる不都合を招く。
【0016】
そこで本実施例のインジケータ駆動回路1では、インジケータ4の動作又は非動作を選択するインジケータ駆動回路1であるとともに、インジケータ駆動回路1の入力端子IN(入力)と出力端子OUT(出力)との間を非動作の場合に切断する切断手段11を
図4に示すように含む。
【0017】
この切断手段11の具体的構成は
図5に示すMOSFET11(Metal-Oxide-Semiconductor Field-Effect Transistor)である。ここで、インバータは入力に対して出力を反転させるものであり、MOSFET11はインバータとインジケータ駆動回路1の出力端子OUTとの間に介在され、ECU内部のDSP12(Digital Signal Processor)によりMOSFET11は動作時にオンとされ非動作時にオフとされる。
【0018】
すなわちインジケータ4の非動作時、つまり非点灯時においては、インジケータ駆動回路1の出力端子OUTは、
図4に示すように接地回路Gとの導通がMOSFET11のオフにより遮断されてFloating状態とされるので、インジケータ回路3内の接地回路Gとインジケータ駆動回路1内の接地回路Gとを結ぶ破線で示す接地ラインから、モータ系機構の電源ラインとの寄生容量により波形が平滑化されて、波形のレベルが増大し周期も長くされたノイズがワイヤーハーネス2に伝播することを防止することができる。これにより、インジケータ4のノイズによる誤点灯を防止することができる。
【0019】
以上本発明の好ましい実施例について詳細に説明したが、本発明は上述した実施例に制限されることなく、本発明の範囲を逸脱することなく、上述した実施例に種々の変形および置換を加えることができる。
【0020】
例えばMOSFET11に変えて機械的な接点を有するリレーを切断手段として、インバータと出力端子OUTとの間に挿入することもできる。この場合はDSP12によりリレーのコイル端子を非動作時にオフとし動作時にオンとする。
【産業上の利用可能性】
【0021】
本発明は、インジケータを選択的に点灯制御するインジケータ駆動回路に関するものであり、特に車両内においてモータ駆動系の電源系統からのノイズとノイズの増幅に基づいてインジケータが消灯時に誤点灯してしまうことをより適切に防止することができるものである。これにより特には予防安全系ECUにより制御されるインジケータの警報の信頼性を高めることができる。
【符号の説明】
【0022】
1 インジケータ駆動回路(ECU)
11 MOSFET(切断手段)
12 DSP
2 ワイヤーハーネス
3 インジケータ回路
4 インジケータ
D ダイオード
C コンデンサ
R 抵抗
P 分岐点
Vdd 電源端子
IN 入力端子
OUT 出力端子
G 接地回路