特許第5835213号(P5835213)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2015.5.11 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】5835213
(24)【登録日】2015年11月13日
(45)【発行日】2015年12月24日
(54)【発明の名称】無線アクセス方式および携帯端末装置
(51)【国際特許分類】
   H04W 60/04 20090101AFI20151203BHJP
   H04W 48/18 20090101ALI20151203BHJP
   H04W 88/06 20090101ALI20151203BHJP
【FI】
   H04W60/04
   H04W48/18 111
   H04W88/06
【請求項の数】4
【全頁数】11
(21)【出願番号】特願2012-512772(P2012-512772)
(86)(22)【出願日】2011年4月15日
(86)【国際出願番号】JP2011059413
(87)【国際公開番号】WO2011136053
(87)【国際公開日】20111103
【審査請求日】2014年3月4日
(31)【優先権主張番号】特願2010-102860(P2010-102860)
(32)【優先日】2010年4月28日
(33)【優先権主張国】JP
(73)【特許権者】
【識別番号】000004237
【氏名又は名称】日本電気株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000121
【氏名又は名称】アイアット国際特許業務法人
(72)【発明者】
【氏名】後藤 浩平
(72)【発明者】
【氏名】金内 正臣
【審査官】 桑原 聡一
(56)【参考文献】
【文献】 3rd Generation Partnership Project;Technical Specification Group Services and System Aspects;General Packet Radio Service (GPRS) enhancements forEvolved Universal Terrestrial Radio Access Network(E-UTRAN) access(Release 9),3GPP TS 23.401 V9.4.0 (2010-03),3GPP,2010年 3月,第21-23,248-252頁
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H04B 7/24−7/26
H04W 4/00−99/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数の無線アクセス技術の通信方式で通信可能な携帯端末装置とネットワークとの間でISR(Idle mode Signalling Reduction)を有効とすることにより、記携帯端末装置が、記複数の無線アクセス技術との間で一定の時間が経過するごとに位置登録処理を行い、すでに位置登録された無線アクセス技術間では、記携帯端末装置を、新たな位置登録処理を行うことなく移動可能とする無線アクセス方式において、
記携帯端末装置は、前記ISRが無効の状態で、それまで位置登録されていた無線アクセス技術に対して前記一定の時間が経過しても位置登録処理を行うことなく別の無線アクセス技術に位置登録処理を行った場合は、前記ネットワークが前記携帯端末装置に前記ISRの有効化を指示しても、前記携帯端末装置は前記ISRを無効のままとする
ことを特徴とする無線アクセス方式。
【請求項2】
請求項記載の無線アクセス方式において、
前記携帯端末装置は、前記別の無線アクセス技術に位置登録処理を行った後に、前記それまで位置登録されていた無線アクセス技術に移動して位置登録処理を行う場合には、前記ネットワークが前記別の無線アクセス技術と前記それまで位置登録されていた無線アクセス技術との間で位置登録に関する情報を引き継ぐことができる設定で、前記ネットワークに位置登録処理を要求する
ことを特徴とする無線アクセス方式。
【請求項3】
請求項1記載の無線アクセス方式において、
前記携帯端末装置は、前記ISRが有効の状態で、それまで位置登録されていた無線アクセス技術に対して前記一定の時間が経過しても位置登録処理を行うことができない場合でも、前記一定の時間が経過してから所定の時間の後に前記ISRを無効とする処理を実行することができない場合には、前記ネットワークが前記携帯端末装置に前記ISRの有効化を指示しても、前記携帯端末装置はその指示を無視する
ことを特徴とする無線アクセス方式。
【請求項4】
複数の無線アクセス技術の通信方式でネットワークと無線通信可能な無線部と、
記複数の無線アクセス技術のそれぞれについて、記無線部による通信を制御する通信制御部と
を有し、
記通信制御部は、記複数の無線アクセス技術のそれぞれについて、記ネットワークとの間で位置登録処理を行い、すでに位置登録された無線アクセス技術間では、新たな位置登録処理を行うことなく移動可能とするISRを実行するとともに、前記ISRが無効の状態で、それまで位置登録されていた無線アクセス技術に対して前記一定の時間が経過しても位置登録処理を行うことなく別の無線アクセス技術に位置登録処理を行った場合は、前記ネットワークから記ISRの有効化が指示されても、その指示を無視する
ことを特徴とする無線端末装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、携帯電話機などの携帯端末装置に関し、特に、複数の無線アクセス技術(RAT:Radio Access Technology)との通信方式をサポートする無線アクセス方式および携帯端末装置に関する。
【背景技術】
【0002】
3GPP(Third Generation Partnership Project)標準化においてLTE(Long Term Evolution)あるいはEーUTRA(Evolved Universal Terrestrial Radio Access)として規定される通信方式では、複数のRATとの通信方式(GSM(Global System for Mobile communications)、UMTS(Universal Mobile Telecommunications System)など)に対応する携帯端末装置が異なるRAT間を移動する際に、ネットワークとの間で発生する位置登録処理の頻度を減少させるため、ISR(Idle mode Signalling Reduction)という機能が導入されている。ISRが有効である場合、携帯端末装置は、ネットワークから受信したGSMやUMTS関連位置登録情報パラメータと、LTE関連位置登録情報パラメータとを両方保持し、すでに位置登録処理を実施したGSM/UMTSエリアとLTEエリアとの間を、ネットワークとの位置登録処理をすることなく移動することが可能となる。
【0003】
ISRの概要については、3GPP仕様書である非特許文献1〜3に規定されている。
【先行技術文献】
【非特許文献】
【0004】
【非特許文献1】TS23.401: General Packet Radio Service (GPRS) enhancements for Evolved Universal Terrestrial Radio Access Network (E−UTRAN) access(http://www.3gpp.org/ftp/Specs/html−info/23401.htm)
【非特許文献2】TS24.301: Non−Access−Stratum(NAS) protocol for Evolved Packet System(EPS); Stage 3)(http://www.3gpp.org/ftp/Specs/html−info/24301.htm
【非特許文献3】TS24.008: Mobile radio interface Layer 3 specification; Core network protocols; Stage 3(http://www.3gpp.org/ftp/Specs/html−info/24008.htm)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ところで、3GPPにおけるISR動作において、携帯端末装置が保持する位置登録周期タイマ満了後にネットワークからISR有効化が指示されると、その後、携帯端末装置は、ISR無効化タイマを開始せず、ISR有効のままとなってしまうことがある。このような場合、ネットワークはISR無効として動作するが、携帯端末装置側はISR有効のまま動作するという状態不一致が発生する。
【0006】
その理由は、携帯端末装置とネットワークが位置登録状態を同期するためにそれぞれ保持する位置登録周期タイマの長さは、完全には同じではなく、ネットワークが保持するタイマの方が長く設定される仕様となっているためである。
【0007】
また、ネットワークと携帯端末装置間でISRの状態不一致が発生した状態において、携帯端末装置が異なるRATのエリアに移動し、位置登録処理を実施すると、ネットワークは、異なるRATのエリア間で携帯端末装置の位置登録情報を引き継ぐことができないことになる。
【0008】
その理由は、携帯端末装置がRATをまたぐエリア移動を行った場合、携帯端末装置がネットワークへ送信する位置登録要求メッセージに設定する端末固有識別子(GUTI (Globally Unique Temporary Identifier)、P−TMSI(Packet Temporary Mobile Subscriber Identity)など)は、ISRの有効/無効により異なるためである。ネットワークと携帯端末装置間でISRの状態不一致が発生している状態で、携帯端末装置がISR有効として位置登録要求メッセージを送信した場合、3GPP上では、ネットワーク内部でエリア移動前のRATからの位置登録情報を引き継ぐことができない仕様となっている。
【0009】
さらに、携帯端末装置が異なるRATのエリアを移動し位置登録処理を実施するが、ネットワークは異なるRATのエリア間で携帯端末装置の位置登録情報を引き継ぐことができない場合には、携帯端末装置が、ネットワークから不要な登録解除処理要求を受信する可能性がある。
【0010】
その理由は、ネットワークは異なるRATのエリア間で携帯端末装置の位置登録情報を引き継ぐことができない場合、携帯端末装置の正しい位置登録情報を得るため、一度携帯端末装置に登録解除処理を行い、再度位置登録処理の実施を要求することが、ネットワーク動作として許容されているためである。
【0011】
本発明は、このような課題を解決し、ネットワークとの間のISR状態の不一致の発生を事前に防ぐことのできる無線アクセス方式および携帯端末装置を提供すること目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0012】
本発明の第1の観点によると、複数の無線アクセス技術の通信方式で通信可能な携帯端末装置とネットワークとの間でISRを有効とすることにより、携帯端末装置が、複数の無線アクセス技術との間で一定の時間が経過するごとに位置登録処理を行い、すでに位置登録された無線アクセス技術間では、携帯端末装置を、新たな位置登録処理を行うことなく移動可能とする無線アクセス方式において、携帯端末装置とネットワークとの間でISRの有効または無効の状態が異なる可能性ある場合に、ネットワークが携帯端末装置にISRの有効化を指示しても、携帯端末装置はその指示を無視することを特徴とする無線アクセス方式が提供される。
【0013】
携帯端末装置が、ISRが無効の状態で、それまで位置登録されていた無線アクセス技術に対して一定の時間が経過しても位置登録処理を行うことなく別の無線アクセス技術に位置登録処理を行った場合は、ネットワークが携帯端末装置にISRの有効化を指示しても、携帯端末装置はISRを無効のままとすることが望ましい。
【0014】
携帯端末装置は、別の無線アクセス技術に位置登録処理を行った後に、それまで位置登録されていた無線アクセス技術に移動して位置登録処理を行う場合には、ネットワークが別の無線アクセス技術とそれまで位置登録されていた無線アクセス技術との間で位置登録に関する情報を引き継ぐことができる設定で、ネットワークに位置登録処理を要求することが望ましい。
【0015】
また、携帯端末装置は、ISRが有効の状態で、それまで位置登録されていた無線アクセス技術に対して一定の時間が経過しても位置登録処理を行うことができない場合でも、その時間が経過してから所定の時間の後にISRを無効とする処理を実行することができない場合には、ネットワークが携帯端末装置にISRの有効化を指示しても、携帯端末装置はその指示を無視することもできる。
【0016】
本発明の第2の観点によると、複数の無線アクセス技術の通信方式でネットワークと無線通信可能な無線部と、複数の無線アクセス技術のそれぞれについて、無線部による通信を制御する通信制御部とを有し、通信制御部は、複数の無線アクセス技術のそれぞれについて、ネットワークとの間で位置登録処理を行い、すでに位置登録された無線アクセス技術間では、新たな位置登録処理を行うことなく移動可能とするISRを実行するとともに、ネットワークとの間でISRの有効または無効の状態が異なる可能性ある場合には、ネットワークからISRの有効化が指示されても、その指示を無視することを特徴とする無線端末装置が提供される。
【発明の効果】
【0017】
本発明によると、ネットワークとの間のISR状態の不一致の発生を事前に防ぐことのできる効果がある。
【図面の簡単な説明】
【0018】
図1】本発明の実施の形態に係る無線アクセス方式の利用例とともに、無線アクセス方式で用いられる携帯端末装置の構成例を示す図である。
図2】3GPP仕様要求事項を説明する図であり、携帯端末装置とネットワークの動作例を示すシーケンス図である。
図3図1に示す携帯端末装置とネットワークの動作例を示すシーケンス図である。
図4】ISRで使用されるISR無効化タイマの動作について、携帯端末装置とネットワークの動作例を示すシーケンス図である。
【発明を実施するための形態】
【0019】
以下、本発明の実施の形態について、図面を参照して詳細に説明する。
【0020】
図1は、本発明の実施の形態に係る無線アクセス方式の利用例とともに、無線アクセス方式で用いられる携帯端末装置の構成例を示す図である。ここでは、
【0021】
携帯端末装置1とネットワーク2とは、複数のRATの通信方式で通信可能である。ここでは、RATとして、E-UTRAN(LTE)と、GERAN/UTRAN(GSM EDGE Radio Access Network/Universal Terrestrial Radio Access Network)の2つを利用する場合を例に説明する。
【0022】
携帯端末装置1とネットワーク2とのでISRを有効とすることにより、携帯端末装置1が、複数のRATとの間で一定の時間が経過するごとに位置登録処理を行い、すでに位置登録されたRAT間では、携帯端末装置1を、新たな位置登録処理を行うことなく移動可能とすることができる。また、携帯端末装置1とネットワーク2との間でISRの有効または無効の状態が異なる可能性ある場合に、ネットワーク2が携帯端末装置1にISRの有効化を指示しても、携帯端末装置1はその指示を無視する構成となっている。
【0023】
携帯端末装置1は、複数のRATの通信方式でネットワーク2と無線通信可能な無線部3と、複数のRATのそれぞれについて、無線部3による通信を制御する通信制御部4とを備える。携帯端末装置1はまた、無線部3および通信制御部4の動作を制御する主制御部5と、主制御部5から指示される情報を保持し、読み込みや書き込みに対応するメモリ6とを備える。
【0024】
通信制御部4は、対向するネットワーク2内のE-UTRANとの接続を制御するLTE制御部7と、GERAN/UTRANとの接続を制御する2G/3G制御部8とを備える。
【0025】
LTE制御部7は、LTE送受信制御部9と、LTE送受信処理部10とを備える。LTE送受信制御部9は、通信制御ソフトウェアにより構成され、対向するネットワーク2と送受信するメッセージやデータを制御する。LTE送受信処理部10は、対向するネットワーク2と送受信するメッセージやデータを、LTE送受信制御部9の扱う形式と無線部3の扱う形式との間で変換する。
【0026】
2G/3G制御部8は、2G/3G送受信制御部11と、2G/3G送受信処理部12とを備える。2G/3G送受信制御部11は、通信制御ソフトウェアにより構成され、対向するネットワーク2と送受信するメッセージやデータを制御する。2G/3G送受信処理部12は、対向するネットワーク2と送受信するメッセージやデータを、2G/3G送受信処理部12の扱う形式と無線部3の扱う形式との間で変換する。
【0027】
通信制御部4はまた、無線部3による通信を制御するため、
・ISR状態(有効/無効)(3GPP上は、携帯端末装置の内部パラメータであるTIN(Temporary Identity used in Next update)により管理される)
・LTEネットワークへの位置登録情報(TAU Periodic Timer, E-UTRAN deactivate ISR timer、GUTI(Globally Unique Temporary Identifier)など)
・GERAN/UTRANネットワークへの位置登録情報(RAU Periodic Timer, GERAN/UTRAN Deactivate ISR timer、P-TMSI(Packet Temporary Mobile Subscriber Identity)など)
を管理する。
【0028】
図2は、3GPP仕様要求事項を説明する図であり、携帯端末装置1とネットワーク2の動作例を示すシーケンス図である。
【0029】
ここで、携帯端末装置1の初期状態が、ISRが無効であるとする(ステップS1)。このとき、ネットワーク2内のLTEネットワーク21は、携帯端末装置1の位置登録情報を保持しているものとする(ステップS2)。これは、この時点までに、携帯端末装置1がLTEネットワーク21に対して位置登録処理を実施し、成功していることを示す。これに対し、ネットワーク2内のGERAN/UTRANネットワーク22は、携帯端末装置1の位置登録情報は保持していないものとする(ステップS3)。これは、現在、携帯端末装置1からGERAN/UTRANネットワーク22に対して、位置登録処理が実施されていないことを示す。
【0030】
位置登録した状態で一定の時間が経過すると携帯端末装置1から再度ネットワーク2に対し位置登録処理を試みる動作が、3GPP上規定されている。この一定の時間の経過は、通信制御部4内において、位置登録周期タイマ(TAU(Tracking Area Update) Periodic Timer、RAU(Routing Area Update) Periodic Timerなど)の満了により検出される。図2の例では、TAU Periodic Timerの満了が検出される。位置登録周期タイマ(TAU Periodic Timer)が満了すると(ステップS4)、TAUなど位置登録処理の開始が要求される。しかし、LTEエリアの圏外であった場合など、位置登録処理が開始できない状況においては、位置登録処理は開始されない。この場合、次に位置登録処理が開始できる状況になるまで位置登録処理を開始しないことが、3GPP上規定されている。
【0031】
この状態で、携帯端末装置1がGERAN/UTRANネットワーク22のエリアへ移動し、GERAN/UTRANエリアの圏内に入るものとする(ステップS5)。携帯端末装置1は、GERAN/UTRANネットワーク22に対し、RAU(Routing Area Update)などの位置登録処理を開始するため、RAU REQUESTなどの位置登録要求メッセージを送信する(ステップS6)。これに対し、GERAN/UTRANネットワーク22は、携帯端末装置1からの要求を受け入れたことを示すメッセージ(RAU ACCEPTなど)を送信する。このメッセージ内部のパラメータにより、ネットワーク2は、携帯端末装置1に対し、ISRの有効化を指示する(ステップS8)。
【0032】
図2の例では、ステップS4にて携帯端末装置1側の位置登録周期タイマが満了しているが、LTEネットワーク21に対する位置登録は行われていない状態となる。この状態で、LTEネットワーク21側の持つ位置登録周期タイマ(Mobile reachable timerなど)が満了していないとき、LTEネットワーク21は、位置登録がいまだに有効としている。このため、GERAN/UTRANネットワーク22も位置登録が成功し(ステップS7)、LTE、GERAN/UTRANの両ネットワーク21、22が位置登録成功状態となり、ネットワーク2がISRを有効とすることがある。しかし、実際には、ステップS6の位置登録処理の後にLTEネットワーク21の位置登録周期タイマが満了し(ステップS10)、LTEネットワーク21が保持する携帯端末装置1の位置登録情報は解放される(ステップS11)。このとき、ネットワーク2側はISRが無効となったことを認識するが、携帯端末装置1側は、ステップS6の位置登録処理にてGERAN/UTRANネットワーク22から指示されたとおり、ISRを有効としている(ステップS8)。このため、携帯端末装置1とネットワーク2との間で、ISRの状態が不一致となる。
【0033】
また、携帯端末装置1とネットワーク2との間でISRの状態が不一致となると、携帯端末装置1がISR有効として以前のRAT(図2の場合はLETネットワーク21)移動して位置登録処理を行おうとしても(ステップS12)、ネットワーク2から切断される(ステップS13)。これは、携帯端末装置1がネットワーク2へ送信する位置登録要求メッセージに設定する端末固有識別子がISRの有効/無効で異なるため、3GPP上では、ネットワーク2内部でエリア移動前のRATからの位置登録情報を引き継ぐことができない仕様となっていることによる。
【0034】
図3は、図1に示す携帯端末装置1とネットワーク2の動作例を示すシーケンス図である。この動作例では、携帯端末装置1が、ISRが無効の状態で、それまで位置登録されていたRAT(この例ではE-UTRAN(LTE))に対して一定の時間が経過しても位置登録処理を行うことなく別のRAT(GERAN/UTRAN)に位置登録処理を行った場合は、ネットワーク2が携帯端末装置1にISRの有効化を指示しても、携帯端末装置1はISRを無効のままとする。
【0035】
すなわち、図2の場合と同様にステップS6まで進み、ステップS6の位置登録処理においてネットワーク2からISRの有効が指示された場合においても、携帯端末装置1は、ISRの状態を有効にせず、無効のままとする(ステップS21)。
【0036】
これにより、その後、携帯端末装置1がLTEネットワーク21の圏内へ移動し(ステップS9)、LTEネットワーク21に対し位置登録処理を行うためにTAU REQUESTなどの位置登録要求メッセージを送信する際に設定する端末固有識別子は、ISR無効時のものとなる(ステップS22)。このとき、携帯端末装置1は、LTEネットワーク21に対し、GERAN/UTRANネットワーク22の保持する位置登録情報を引き継ぐ必要があることを通知する。これにより、LTEネットワーク21は、GERAN/UTRANネットワーク22から、ステップS7で保持している位置登録情報を引き継ぐことができる(ステップS23)。引継ぎが成功する場合、ネットワーク2側ではISRが有効となり、LTEネットワーク21から携帯端末装置1へ送信されるメッセージにおいても、ISRの有効が通知される(ステップS24)。これを受け、携帯端末装置1は、ISRの状態を有効とする(ステップS25)。
【0037】
ここでは、LTEネットワーク21に対する位置登録周期タイマが満了し、GERAN/UTRANネットワーク22からLTEネットワーク21へ位置登録情報を引き継ぐ場合を例に説明した。これとは逆に、GERAN/UTRANネットワーク22に対する位置登録周期タイマが満了し、LTEネットワーク21からGERAN/UTRANネットワーク22へ位置登録情報を引き継ぐこともできる。
【0038】
また、ステップS21において、携帯端末装置1内部のISRの状態を実際に無効に設定せずとも、ステップS22においてネットワーク2に対しISR無効として端末識別子の設定を行うことで、実質的に、携帯端末装置1が、ネットワーク2からのISRの有効化を無視するようにすることもできる。
【0039】
図4は、ISRで使用されるISR無効化タイマの動作について携帯端末装置1とネットワーク2の動作例を示すシーケンス図である。
【0040】
ISRが有効の状態で、携帯端末装置1でISRが有効な状態となっているものとし(ステップS31)、LTEネットワーク21は携帯端末装置1の位置登録情報を保持し(ステップS32)、GERAN/UTRANネットワーク22も携帯端末装置1の位置登録情報を保持しているものとする(ステップS33)。この状態で、一定の時間が経過して携帯端末装置1の位置登録周期タイマが満了しても(ステップS34)、LTEエリアの圏外であった場合など位置登録処理が開始できない状況であることから位置登録処理が実施できない場合には、ISR無効化タイマ(3GPP上ではE-UTRAN deactivate ISR timer(T3423)、GERAN/UTRAN Deactivate ISR timer(T3323)が定義される)が開始される(ステップS35)。所定の時間が経過した後にISR無効化タイマが満了すると(ステップS37)、携帯端末装置1は、ISR状態を無効に変更する(ステップS38)。また、LTEネットワーク21でも、位置登録周期タイマが満了する(ステップS39)と、携帯端末装置1の位置登録情報を解放する(ステップS40)。このように、ネットワーク2側のISR状態が無効になった場合にも、携帯端末装置1とネットワーク2間でISRの状態が無効で一致することが、3GPP仕様で規定されている。
【0041】
しかし、携帯端末装置1でISRを無効とする処理を実行することができない場合には、携帯端末装置1ではISRが有効のままであり、ネットワーク2ではISRが無効となって、ISRの状態が一致しないことになる。
【0042】
そこで、ISR無効化タイマを開始できない条件においては、ネットワーク2にISRの有効化が指示されても、携帯端末装置1は、その指示を無視することとする。ISR無効化タイマを開始できない条件とは、ネットワークからISR有効を指定されるが、すでに位置登録周期タイマ(T3412など)が満了している状態などである。
【0043】
以上説明した本発明の実施の形態によれば、ISRが有効ではない状態で位置登録周期タイマが満了し、その後別RATで実施した位置登録にてネットワーク2からISR有効化が指示されても、携帯端末装置1側がその指示を無視しISRを有効化しないように動作するようにしたので、ISRが有効ではない状態で携帯端末装置1が保持する位置登録周期タイマ満了後にネットワーク2からISR有効化が指示された場合にも、ネットワーク2と携帯端末装置1間のISR状態の不一致を事前に防ぐことができる。その結果、たとえば、不要な位置登録が発生することを防ぎ、ネットワーク2との間のトラフィックの減少、携帯端末装置1のバッテリー消費の減少を図ることができる。
【0044】
また、以上のように、携帯端末装置1がRATをまたぐエリア移動を行った場合、携帯端末装置1が、ネットワーク2へ送信する位置登録要求メッセージに設定する端末固有識別子として、ISRの有効/無効に合わせて適切な値を設定するようにしたので、ネットワーク2と携帯端末装置1との間のISR状態の不一致を事前に防ぐことにより、携帯端末装置1が異なるRATのエリアを移動し位置登録を実施する場合に、ネットワーク2は、異なるRATのエリア間で携帯端末装置1の位置登録情報を引き継ぐことができる。これにより、ネットワーク2から不要な登録解除処理要求を受信する可能性がなくなる。その結果として、ネットワーク2からの不要な登録解除処理要求によりユーザが提供される呼が切断されることを防ぐことができる。
【符号の説明】
【0045】
1 携帯端末装置
2 ネットワーク
3 無線部
4 通信制御部
5 主制御部
6 メモリ
7 LTE制御部
8 2G/3G制御部
9 LTE送受信制御部
10 LTE送受信処理部
11 2G/3G送受信制御部
12 2G/3G送受信処理部
21 LTEネットワーク
22 GERAN/UTRANネットワーク
図1
図2
図3
図4