特許第5835246号(P5835246)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】5835246
(24)【登録日】2015年11月13日
(45)【発行日】2015年12月24日
(54)【発明の名称】電池ユニット
(51)【国際特許分類】
   H01M 2/10 20060101AFI20151203BHJP
【FI】
   H01M2/10 E
   H01M2/10 Y
【請求項の数】4
【全頁数】22
(21)【出願番号】特願2013-36763(P2013-36763)
(22)【出願日】2013年2月27日
(65)【公開番号】特開2014-165100(P2014-165100A)
(43)【公開日】2014年9月8日
【審査請求日】2015年2月25日
(73)【特許権者】
【識別番号】000004260
【氏名又は名称】株式会社デンソー
(74)【代理人】
【識別番号】100121821
【弁理士】
【氏名又は名称】山田 強
(74)【代理人】
【識別番号】100139480
【弁理士】
【氏名又は名称】日野 京子
(74)【代理人】
【識別番号】100125575
【弁理士】
【氏名又は名称】松田 洋
(72)【発明者】
【氏名】田中 豪
(72)【発明者】
【氏名】山口 芳範
(72)【発明者】
【氏名】木下 秀宏
(72)【発明者】
【氏名】樋口 裕昭
【審査官】 宮田 透
(56)【参考文献】
【文献】 特開2001−325928(JP,A)
【文献】 特開2010−123281(JP,A)
【文献】 特開2008−235170(JP,A)
【文献】 特開2010−027261(JP,A)
【文献】 特開2008−047371(JP,A)
【文献】 米国特許出願公開第2009/0123829(US,A1)
【文献】 特開2005−203207(JP,A)
【文献】 特開2004−055346(JP,A)
【文献】 特開2008−287989(JP,A)
【文献】 特開2006−339031(JP,A)
【文献】 米国特許出願公開第2003/0223187(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01M 2/10
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
ラミネート型電池を有してなる蓄電池(11)と、
前記蓄電池の制御を実施する電子部品が実装された制御基板(12)と、
前記蓄電池及び前記制御基板を収容する収容ケース(13)と、
を備える電池ユニット(10)であって、
前記収容ケースは、前記蓄電池が、その厚み方向における第1面が当接した状態で設置される第1ケース体(14)と、前記蓄電池を挟んで前記第1ケース体とは反対側に取り付けられる第2ケース体(15)とを有しており、
前記蓄電池における前記第1面とは反対側の第2面と前記第2ケース体との間に設けられ、前記蓄電池を前記第1ケース体側に押圧する押圧手段(101)を有し、
前記蓄電池と前記第2ケース体との間のスペースには、互いの干渉を回避した状態で、前記制御基板と前記押圧手段とが横並びで設けられ
前記第2ケース体において前記蓄電池の前記第2面との対向部には、
前記第1ケース体に対する組み付け固定が行われる被固定部(31)と、
前記被固定部よりも中央側に位置し、前記押圧手段の第2ケース体側の端部を支える支持部(35)と、
前記被固定部と前記支持部との間に位置し、前記押圧手段による当該第2ケース体の変形を規制する変形規制部(33)と、が設けられていることを特徴とする電池ユニット。
【請求項2】
前記制御基板は、前記第2面における前記蓄電池の重心位置に重なるように配置されており、
前記押圧手段は、前記第2面における前記重心位置を押圧するものであり、
前記制御基板には、前記重心位置に重なる位置に、前記押圧手段との干渉を回避する回避部(102,141〜143)が設けられている請求項1に記載の電池ユニット。
【請求項3】
前記制御基板には、前記回避部として、基板厚み方向に貫通する貫通孔(102,143)が設けられている請求項2に記載の電池ユニット。
【請求項4】
前記制御基板には、前記回避部として、当該制御基板の外縁部から凹状に延びる凹状部(141)が設けられている請求項2に記載の電池ユニット。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、例えば自動車等の車両に搭載され、蓄電池が収容ケース内に収容されてなる電池ユニットに関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来から、複数の単電池を有してなる蓄電池(組電池モジュール)を備え、その蓄電池を収容ケースに収容することでパック化して電池ユニットを構成する技術が知られている。こうした電池ユニットでは、蓄電池を安定状態で保持することが要求され、そのための技術として蓄電池を押圧保持する技術が提案されている。例えば、特許文献1の電池パックでは、複数のラミネート型単電池が積層されてなる蓄電池と、その蓄電池を収容し一端側に開口部を有する収容ケースと、蓄電池を収容ケースの開口部側から押圧する蓋部材と、蓋部材を所定の押圧力で固定する固定手段とを備えている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2006−339031号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
一方で、蓄電池においては電池残容量(SOC)の算出や充放電の制御を実施する必要があり、制御素子を実装した制御基板を収容ケース内に収容し、電池ユニットにおいて蓄電池と制御基板とを一体化することが提案されている。しかしながら、収容ケース内に蓄電池と制御基板とを収容する場合には、基板収容用のスペースを確保する必要があり、それに起因して電池ユニットの大型化を招くといった不都合が生じる。特に、上記のとおり蓄電池を押圧保持するための押圧手段を有する構成では、押圧手段(押圧機構)の存在によって制御基板の設置場所に制約が生じ、その制約から電池ユニットの大型化が生じやすいものとなっている。
【0005】
例えば上記特許文献1の構成において収容ケース内に制御基板を収容する場合には、電池厚み方向に直交する方向(電池面方向)に収容ケースを拡張し、その拡張により基板収容スペースを確保しなければならない。それ故に、電池ユニットが大型化されることとなる。
【0006】
ちなみに、電池ユニットを車両に搭載する場合には、蓄電池の特性上、高熱環境にならない場所に搭載することが望ましく、車室内への搭載が考えられる。この場合、車室内は乗員の快適性が重要視され、車載部品の搭載スペースが限られている。したがって、電池ユニットを車載にする場合には、搭載スペースが制限される点からも電池ユニットの小型化が求められる。
【0007】
本発明は、蓄電池の押圧保持機能を有する構成において、収容ケース内に制御基板を一体的に設けることに起因する大型化を抑制することができる電池ユニットを提供することを主たる目的とするものである。
【課題を解決するための手段】
【0008】
以下、上記課題を解決するための手段、及びその作用効果について説明する。
【0009】
本発明の電池ユニットは、ラミネート型電池を有してなる蓄電池(11)と、前記蓄電池の制御を実施する電子部品が実装された制御基板(12)と、前記蓄電池及び前記制御基板を収容する収容ケース(13)と、を備えている。そして、前記収容ケースは、前記蓄電池が、その厚み方向における第1面が当接した状態で設置される第1ケース体(14)と、前記蓄電池を挟んで前記第1ケース体とは反対側に取り付けられる第2ケース体(15)とを有しており、前記蓄電池における前記第1面とは反対側の第2面と前記第2ケース体との間に設けられ、前記蓄電池を前記第1ケース体側に押圧する押圧手段(101)を有し、前記蓄電池と前記第2ケース体との間のスペースには、互いの干渉を回避した状態で、前記制御基板と前記押圧手段とが横並びで設けられている。
【0010】
上記構成によれば、収容ケース内において蓄電池が、厚み方向における第1面が第1ケース体に当接した状態で設置され、その第1面とは反対側の第2面が押圧手段により押圧されている。これにより、蓄電池が安定状態で保持されるようになっている。また、制御基板と押圧手段とは、蓄電池と第2ケース体との間のスペースに、互いの干渉を回避した状態で横並びで設けられている。つまり、蓄電池と第2ケース体との間のスペースを、制御基板と押圧手段とを共存させるスペースとして利用するようにしている。これにより、蓄電池の押圧保持機能を有する構成において、収容ケース内に制御基板を一体的に設けることに起因する大型化を抑制することができる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
図1】電池ユニットの全体構成を示す斜視図。
図2図1の2−2線断面図。
図3】電池ユニットの主要な構成を分解して示す分解斜視図。
図4】ベースの斜視図。
図5】ベースの平面図。
図6】カバーの下面図。
図7】中間ケースの斜視図。
図8】(a)は中間ケースの平面図、(b)は中間ケースの下面図。
図9図8(a)の9−9線断面図。
図10】水没検出部を拡大して示す斜視図。
図11】水没検出部の高さ位置を示す断面図。
図12】組電池モジュールの斜視図。
図13】組電池モジュールの各構成要素を分解して示す分解斜視図。
図14】組電池モジュールの各構成要素を分解して示す分解斜視図。
図15】電池アッシーにおいて各電極タブの接続状態を示す図。
図16】組電池モジュールがベースに組み付けられた状態を示す平面図。
図17】制御基板の斜視図。
図18】制御基板がベースに組み付けられた状態を示す平面図。
図19】電源システムの電気的な構成を示す回路図。
図20】制御基板の別の構成を示す図。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下、本発明を具体化した一実施形態を図面に基づいて説明する。本実施形態では、車両に搭載される電源システムに具体化した場合を想定しており、本電源システムは、車載の各種電気負荷に電力を供給するための蓄電部(電源部)において充電や放電を逐次制御するものとなっている。車両は、内燃機関であるエンジンと、エンジンやその他各部を制御する車載ECUと、エンジンにより駆動されて発電する発電機(オルタネータ)と、発電機の発電電力により充電される蓄電部とを備えるものであり、特に蓄電部として、鉛蓄電池とリチウムイオン蓄電池とを用いる構成としている。本実施形態では、リチウムイオン蓄電池として機能するLi電池ユニット(以下、単に電池ユニットという)について詳しく説明する。
【0013】
まずは、電池ユニット10の全体構成について図1図3を用いて説明する。なお、以下の説明では便宜上、電池ユニット10を水平面に設置した状態である図1図2を基準に、電池ユニット10の上下方向を規定することとしている。
【0014】
電池ユニット10は、主要な構成として、複数のラミネート型単電池を有してなる組電池モジュール11と、組電池モジュール11における充放電の制御等を制御する制御基板12と、これら組電池モジュール11及び制御基板12を収容する収容ケース13とを備えている。収容ケース13は、本電池ユニット10の搭載場所に固定されるベース14と、ベース14の上方に取り付けられるカバー15と、ベース14及びカバー15の間に設けられる中間ケース16とを備えている。組電池モジュール11と制御基板12とは、組電池モジュール11が下、制御基板12が上になるように互いに上下に対向配置され、それぞれベース14に対して固定されている。カバー15及び中間ケース16も同様に、それぞれベース14に対して固定されている。
【0015】
また、電池ユニット10は、ユニット外部の鉛蓄電池や発電機に対して電気的に接続される端子台17と、車載ECU等に対して電気的に接続されるコネクタ部18とを有している。コネクタ部18は、車載ECUの他、本電池ユニット10からの電力供給対象となる各種の電気負荷にも接続可能となっている。これら端子台17及びコネクタ部18は、図1に示すように、電池ユニット10の外部において一面側に露出した状態で設けられている。
【0016】
次に、電池ユニット10の各部構成について詳しく説明する。
【0017】
<収容ケース13のベース14>
まずは収容ケース13のベース14について説明する。図4はベース14の斜視図であり、図5はベース14の平面図である。
【0018】
ベース14は、例えばアルミニウム等の金属材料により形成されており、底板部21と、その底板部21から起立して設けられる立ち壁部22とを有している。底板部21は略四角形状をなしており、その周縁部又は周縁部付近を取り囲んで立ち壁部22が設けられている。底板部21は、組電池モジュール11が載置されるモジュール載置部となっており、底板部21上に組電池モジュール11が載置された状態ではその組電池モジュール11が立ち壁部22により取り囲まれるようになっている。
【0019】
図5において、符号23で示す部分が、組電池モジュール11が当接した状態で載置されるモジュール載置面である。このモジュール載置面23はその外側の部分よりも若干突出して設けられ、その上面は研磨加工等が施された平坦面となっている。立ち壁部22は、組電池モジュール11を囲むように連続して環状に設けられている。
【0020】
ベース14には、組電池モジュール11、制御基板12、カバー15及び中間ケース16がそれぞれ固定されるようになっており、これら各部材を固定するための複数の固定部24(24a〜24d)が設けられている。このうち、固定部24aは、制御基板12を固定するための固定部であり、固定部24bはカバー15を固定するための固定部である。これらの固定部24a,24bは、立ち壁部22の内側に、上方に延びる複数の支柱部として設けられている。固定部24a,24bは、立ち壁部22の上端部よりも上方に(すなわち反底板部側に)延びるように設けられており、この固定部24a,24bの上端部にて制御基板12やカバー15がそれぞれ固定されるようになっている。なお、ベース14において立ち壁部22の入隅部分には内側に突出する突出部25が設けられており、突出部25が設けられている部位ではその突出部25から上方に延びるようにして固定部24a,24bが設けられている。
【0021】
また、固定部24cは、組電池モジュール11を固定するための固定部であり、これは立ち壁部22の内側に設けられている。固定部24cは、立ち壁部22の上端よりも背の低い支柱部として設けられている。さらに、固定部24dは、中間ケース16を固定するための固定部であり、これは立ち壁部22の外側に設けられている。
【0022】
各固定部24a〜24dは、その上端面が底板部21の底面と同方向に延びる平坦面となっており、各固定部24a〜24dの上端部にはネジ孔がそれぞれ形成されている。各固定部24a〜24dには、その上端面に、組電池モジュール11や制御基板12、カバー15、中間ケース16のそれぞれの被固定部が当接した状態とされ、その状態で固定ネジNによってこれら各部材が固定されるようになっている。なお、各固定部24a〜24dは、組電池モジュール11や制御基板12、カバー15、中間ケース16をそれぞれ固定できる構成であれば、任意に変更可能である。例えばこれらの各固定部24a〜24dは立ち壁部22の内側及び外側のいずれに設けられていてもよい。
【0023】
また、ベース14には、固定部24a,24bと同様に上方に延びるようにして円柱状の位置決め部26が複数箇所(図では2カ所)に設けられている。位置決め部26は、下部の大径部、上部の小径部を有する二段構成となっており、大径部によって中間ケース16の位置決めが行われ、小径部によって制御基板12の位置決めが行われるようになっている。
【0024】
ベース14には、組電池モジュール11や制御基板12にて生じた熱を外部に放出する放熱手段が設けられている。この放熱手段として、立ち壁部22の内側には、制御基板12の裏面側に対向するようにしてパワー素子用の放熱部27が設けられている。放熱部27は、その上面が制御基板12に対向する対向板部27aとなっており、その対向板部27aの下面側には複数の放熱用のフィン(図示略)が設けられている。放熱部27は、制御基板12においてパワー素子Pの実装部分に対向して設けられており、パワー素子Pにて生じた熱は、対向板部27aに伝わり、さらにフィンからユニット外に放出される。
【0025】
パワー素子Pは電力用半導体素子よりなり、本電池ユニット10においては、組電池モジュール11に繋がる電力経路に、パワー素子Pとしてパワートランジスタ(例えばパワーMOSFETやIGBT)が設けられている。パワー素子Pの開閉(オン/オフ)により、組電池モジュール11に対する電力の入出力が制御される。なお、本電池ユニット10は鉛蓄電池や発電機に接続されており、組電池モジュール11に繋がる電力経路は、鉛蓄電池や発電機に繋がる電力経路にもなっている。
【0026】
なお、図示は省略するが、底板部21の下面側には放熱用のリブが設けられている。この場合、組電池モジュール11の熱は、底板部21のモジュール載置面23から底板部21に伝わり、さらに底板部21のリブからユニット外に放出される。また、制御基板12の熱は、放熱部27から底板部21に伝わり、さらに底板部21のリブからユニット外に放出される。底板部21のリブは、補強リブも兼ねている。
【0027】
その他、立ち壁部22には、収容ケース13内に存在するガスの排出(ガス抜き)を行うための排出ポート28が設けられている。また、底板部21には、立ち壁部22よりも外側にフランジ29が設けられるとともに、そのフランジ29にはユニット固定用の固定具(ボルト等)を挿通させるための挿通孔が形成されている。
【0028】
<カバー15>
図6は、カバー15を下方から見た下面図である。カバー15は、ベース14と同様に例えばアルミニウム等の金属材料により形成されている。カバー15は、略四角形状をなしており、平面視においてフランジ29を除く部分のベース14とほぼ同じ大きさを有している。カバー15の周縁部には、ベース14に対する組み付け固定が行われる被固定部31が設けられるとともに、中間ケース16の上端部(後述する中間壁部41の上端部)が挿し入れられる環状溝32が設けられている。被固定部31は、ベース14の固定部24bに対応する位置、具体的にはカバー15の面内において四隅付近の各位置にそれぞれ設けられており、各被固定部31にネジ挿通孔が形成されている。環状溝32は、被固定部31の外側であって、ベース14の立ち壁部22と同じ平面形状で形成されている。カバー15の下面側には、補強用のリブ33が形成されている。
【0029】
また、カバー15の下面側には、組電池モジュール11とカバー15との間に設けられる押圧バネ101を上方から押さえるバネ押さえ部35が形成されている。バネ押さえ部35は、カバー下面側に突出して形成され、押圧バネ101の片側端部(上端部)が個々に挿し入れられる円形状の凹部35aを複数有している。ただし、押圧バネ101を用いた押圧構造については後に詳述する。
【0030】
リブ33は、バネ押さえ部35を中心に放射状に拡がるようにして設けられている。これにより、バネ押さえ部35に負荷(カバー15を押し上げる向きの押圧バネ101の反力)がかかった場合におけるカバー15の変形が規制されるようになっている。バネ押さえ部35が押圧バネ101の一端を支える支持部に相当し、リブ33が変形規制部に相当する。
【0031】
カバー15は、ベース14の固定部24bに対して被固定部31が当接した状態で、これら固定部24b及び被固定部31に固定ネジNが挿し入れられて固定される。この場合、カバー15は、ベース14の立ち壁部22よりも上方に組み付けられることになり、この状態では、収容ケース13の周囲壁部分に、ベース14の立ち壁部22とカバー15とのいずれもが存在しない環状の空き間が形成されるようになっている。
【0032】
<中間ケース16>
次に、中間ケース16について説明する。図7は中間ケース16の斜視図である。図8(a)は中間ケース16の平面図であり、(b)は中間ケース16の下面図である。また、図9図8の9−9線断面図である。
【0033】
中間ケース16は、ベース14及びカバー15に比べて低剛性な構成となっており、具体的には合成樹脂材料により形成されている。中間ケース16は、ベース14に組み付けられることで、立ち壁部22に連続してその上方に延び、さらにその上にカバー15が組み付けられる中間部材である。この中間ケース16により、ベース14とカバー15との間の空き間(ベース14の立ち壁部22とカバー15とのいずれもが存在しない環状の空き間)が埋められるようになっている。
【0034】
中間ケース16は、平面視で略四角形の環状をなす中間壁部41を有しており、その中間壁部41の下端部である環状部42には、ベース14の立ち壁部22の上端部が挿し入れられる環状溝43が形成されている。環状部42には、環状溝43よりも外側に、ベース14に対する組み付け固定が行われる被固定部44が設けられている。被固定部44は、ベース14の固定部24dに対応する位置にそれぞれ設けられており、各被固定部44にネジ挿通孔が形成されている。中間ケース16は、ベース14の固定部24dに対して被固定部44が当接した状態で、これら固定部24d及び被固定部44に固定ネジNが挿し入れられて固定される。この場合、中間ケース16は、ベース14の立ち壁部22よりも上方に組み付けられることになる。
【0035】
また、中間壁部41の内側には、ベース14の位置決め部26(大径部)を挿通させるための挿通部45が形成されている。
【0036】
中間ケース16には、端子台17に電気的に接続される接続端子部47と、コネクタ部18とが一体に設けられている。これら接続端子部47とコネクタ部18とは、中間ケース16の四方の各辺のうち1つに横並びに設けられている。
【0037】
コネクタ部18は、中間ケース16の外側に露出して設けられ、図示しないハーネスのコネクタが組み付けられる組付部51と、その組付部51の内側に設けられ、複数の接続端子53を有する端子部52とを備えている。複数の接続端子53は、制御基板12に対してはんだ付け等により電気的に接続されるものであり、上方に向けて延びるように設けられている。接続端子53には、電力出力用の電力端子(バスバー)や信号入出力用の信号端子が含まれている。
【0038】
また、中間壁部41の内側には、端子部52に近接する位置に、本電池ユニット10において水没検出を行うための水没検出部60が設けられている。水没検出部60は、電池ユニット10内に水が浸入した場合にその水を検知することで、電池ユニット10の水没を検知するものである。図10は水没検出部60を拡大して示す斜視図である。
【0039】
水没検出部60は、大別して、環状部42よりも下方に延びるように設けられている延長板部61と、延長板部61に組み付けられるセンサ基板62とを有している。延長板部61は四角形の板状をなし、その内部に導電部材としての複数の接続端子63が埋設されている。接続端子63はバスバーよりなる。接続端子63は、一端が延長板部61の上方に突き出ており、他端が延長板部61の側面(基板取付面61a)に突き出ている。この場合、接続端子63は、延長板部61内において直角に折り曲げられている。また、延長板部61の側面(基板取付面61a)には円柱状の突起部64が設けられている。突起部64は、大径部と小径部との二段構成となっており、延長板部61の正面視で左右2カ所に設けられている。
【0040】
センサ基板62は、接続端子63の下側の突出部63aが挿し入れられる孔部65と、突起部64が挿し入れられる孔部66とを有している。そして、各孔部65,66に、接続端子63の突出部63aと延長板部61の突起部64とがそれぞれ挿し入れられた状態で、突起部64の先端部での熱カシメによりセンサ基板62が固定されるようになっている。これにより、延長板部61の基板取付面61aにセンサ基板62が固定される。センサ基板62は、その基板面が上下方向に延びる向きで固定されている。センサ基板62の下端部には、上下方向に延びるスリット67(細長の切欠)が形成されており、基板面にはスリット67を挟むようにして水検知手段としての複数の水検知電極68が取り付けられている。
【0041】
ベース14に対して中間ケース16を取り付けた状態での水没検出部60の位置を図11にて説明する。図11は、ベース14及び中間ケース16を一体化した構成において水没検出部60を横切る位置での断面図である。
【0042】
図11に示すように、ベース14に対して中間ケース16を取り付けた状態では、ベース14の立ち壁部22の内側(ケース内側)に延長板部61が位置し、さらにその内側にセンサ基板62が位置している。この場合、複数の水検知電極68は、延長板部61の下端部よりも低く(当然ながら、ベース14の立ち壁部22の上端よりも低く)、底板部21に近い位置に配置されている。したがって、仮に収容ケース13内に水が浸入すると、早い段階で水位が水検知電極68の高さに達し、電極68同士の導通により水の浸入(すなわち水没)が検出される。
【0043】
また、図11において、制御基板12との関係を言えば、センサ基板62は、制御基板12の下方においてセンサ基板62の基板面が制御基板12の基板面に交差する向き(本実施形態では直交する向き)で設けられている。また、複数の水検知電極68は、ベース14と中間ケース16との見切り境界部(図11のK)よりも低い位置に設けられ、制御基板12は見切り境界部Kよりも高い位置に設けられている。なお、センサ基板62が延びる向きは、組電池モジュール11において複数の単電池83の積層方向でもある。
【0044】
また、図7に示すように、中間ケース16には、環状部42よりも下方に延びるようにして絶縁壁部71が設けられている。この場合、中間ケース16がベース14に取り付けられた状態では、図2に示すように、絶縁壁部71は、中間壁部41からベース14の底板部21に向けて延びて立ち壁部22の内側に重なるようになっている。また、絶縁壁部71は、組電池モジュール11の電極部(後述の電極タブ84,85)と立ち壁部22との電気的な接続(接触)を抑制するものであり、その組電池モジュール11の電極部と立ち壁部22との間に介在するようにして設けられている。なお本実施形態では、ベース14には立ち壁部22の内側に突出する突出部25が設けられていることから、その突出部25にも組電池モジュール11の電極部が接触しないようにすべく、絶縁壁部71が2辺に折れ曲がった形状となっている(図8参照)。
【0045】
図2には、ベース14に対してカバー15と中間ケース16とが組み付けられた状態が示されている。図2に示すように、ベース14の立ち壁部22の上端部は、中間ケース16の環状部42に設けられた環状溝43に挿し入れられている。この場合、ベース14の固定部24dに中間ケース16の被固定部44(被固定部44の下端面)が当接した状態でベース14に対して中間ケース16が固定されており、かかる状態では、中間ケース16の環状溝43の溝底部(中間壁部41のベース14側の端部に相当)が、立ち壁部22の上端部に対して所定の隙間を介して離間した状態となっている。そして、その隙間を埋めるべく、環状溝43内にはシール部材75が入れられている。本実施形態のシール部材75の概略形状は図3を参照されたい。シール部材75は、立ち壁部22の上端部により押し潰された状態となっており、これによりベース14と中間ケース16との間に防水性及び気密性が付与されている。
【0046】
また、中間ケース16の中間壁部41の上端部は、カバー15の周縁部に設けられた環状溝32に挿し入れられている。この場合、ベース14の固定部24bにカバー15の被固定部31(被固定部31の下端面)が当接した状態でベース14に対してカバー15が固定されており、かかる状態では、カバー15の環状溝32の溝底部(カバー15のベース14側の端部に相当)が、中間壁部41の上端部に対して所定の隙間を介して離間した状態となっている。そして、その隙間を埋めるべく、環状溝32内にはシール部材76が入れられている。本実施形態のシール部材76の概略形状は図3を参照されたい。シール部材76は、中間壁部41の上端部により押し潰された状態となっており、これによりカバー15と中間ケース16との間に防水性及び気密性が付与されている。なお、シール部材75,76として液体シール等、他のシール手段を用いることも可能である。例えば液体シールの場合、環状溝43,32にシール剤を塗布し、その後硬化させて使用する。
【0047】
ここで、上記のとおりベース14の立ち壁部22の上端部と中間ケース16の環状溝43の溝底部との間に隙間を設けるとともに、中間ケース16の中間壁部41の上端部とカバー15の環状溝32の溝底部との間に隙間を設けたため、カバー15に対して上方から外力が作用した場合に、その外力が中間ケース16に直接伝わることが抑制されるようになっている。
【0048】
<組電池モジュール11>
次に、組電池モジュール11について説明する。図12は、組電池モジュール11の斜視図であり、図13及び図14は、組電池モジュール11の各構成要素を分解して示す分解斜視図である。
【0049】
組電池モジュール11は、複数(本実施形態では4つ)の単電池83を有してなる電池アッシー81と、その電池アッシー81に組み付けられる電池ホルダ82とを有している。電池アッシー81は、ラミネート型電池よりなる複数の単電池83を有して構成されている。これら各単電池83は、一対のラミネートフィルムよりなる可撓性の扁平状容器と、四角板状の電池本体とを有し、扁平状容器の周縁部が封止されることで容器内に密封状態で電池本体が収容されている。そして、各単電池83が上下に積層されている。単電池83は、板状をなし電池本体から外方へ引き出された一対の電極タブ84,85を有している。この一対の電極タブ84,85は、電池本体の相対向する2辺側にそれぞれ設けられており、一方が正極タブ84、他方が負極タブ85となっている。本実施形態では、正極タブ84がアルミニウムよりなり、負極タブ85が銅よりなる。
【0050】
上下に積層される各単電池83は、上下に隣り合う単電池83同士で正極タブ84と負極タブ85とが互い違いになる向きで配置されており、それ故に、上下の各単電池83では、一方の単電池83の正極タブ84と他方の単電池83の負極タブ85とが上下に向き合うようになっている。この場合、上下に隣り合う単電池83同士で、正極タブ84と負極タブ85とが互いに結合されることにより、各単電池83が直列に接続されるようになっている。
【0051】
互いに電気的に接続される上下の各単電池83では、それら各単電池83の正極タブ84及び負極タブ85が互いに近づく側に折り曲げられることで重ね合わされ、その重なり部分で互いに接合されるようになっている。この場合、電極タブ同士の接合には超音波溶着が用いられる。本実施形態では、電池アッシー81において各電極タブが図15のように接続されている。つまり、電池アッシー81の一方の電極部側(図の右側)では、最も上の正極タブ84と最も下の負極タブ85とがそれぞれ真横に向けて延びるとともに、その間の正極タブ84及び負極タブ85が互いに接合されている。また、他方の電極部側(図の左側)では、上2つの正極タブ84及び負極タブ85が互いに接合されるとともに、下2つの正極タブ84及び負極タブ85が互いに接合されている。
【0052】
各単電池83の間には、両面接着タイプの接着テープ86が介在しており、この接着テープ86の接着により複数の単電池83が一体化されている。4層の単電池83のうち最上の単電池83の上には、接着テープ86により剛性プレート87が取り付けられている。剛性プレート87は、例えば鉄板よりなり、少なくとも単電池83の電池本体と同じ板面積(本実施形態では電池本体よりも大きい板面積)を有するものとなっている。この剛性プレート87は、押圧手段としての押圧バネ101の受け部を構成している。
【0053】
一方、電池ホルダ82は、各単電池83の相対向する2辺のうち一方側の各電極タブに対して組み付けられる第1保持部91と、他方側の各電極タブに対して組み付けられる第2保持部92と、これら各保持部91,92を互いに連結する連結部93とを有している。これら各部は、例えば合成樹脂材料によって一体に形成されている。
【0054】
第1保持部91は、電池アッシー81の両側(単電池83の対向する2辺)のうち一方側の各電極タブに電気的に接続される複数(3つ)のバスバー94(94a,94b,94c)を有している。これら各バスバー94a〜94cは板面が上下を向くようにして片持ち状態で設けられており、板面が各電極タブ84,85に当接した状態でそれら各電極タブ84,85に接合されている。このうち特に、バスバー94aとバスバー94cとは、電池アッシー81における電池正端子(複数の単電池83からなる直列回路の正側端子)と電池負端子(同負側端子)とを構成するものであり、本電池アッシー81の2つの電力端子95にそれぞれ接続されている。
【0055】
また、第2保持部92は、電池アッシー81の両側のうち他方側の各電極タブに電気的に接続される複数(2つ)のバスバー94(94d,94e)を有している。これら各バスバー94d,94eは板面が上下を向くようにして片持ち状態で設けられており、板面が各電極タブ84,85に当接した状態でそれら各電極タブ84,85に接合されている。
【0056】
本実施形態では、電池アッシー81において単電池83ごとに端子電圧の検出が可能となっており、第1保持部91には3つの各バスバー94a〜94cに各々接続される3つの電圧検出端子96が設けられ、第2保持部92には2つの各バスバー94d,94eに各々接続される2つの電圧検出端子96が設けられている。電力端子95と電圧検出端子96とはいずれも上方に延びるようにして設けられており、その先端が制御基板12に接続されるようになっている。
【0057】
なお、各電圧検出端子96は、バスバー94(94a〜94e)に一体に設けられているとよい。つまり、バスバー94を電圧検出用として併用する。具体的には、各バスバー94の一端部が電池アッシー81の電極部に接続され、他端部が各電圧検出端子96として制御基板12に接続されるようになっているとよい。バスバー94の中間部分は、折り曲げ形成された状態で埋め込まれているとよい。
【0058】
連結部93は、上下2本の連結バー98を有している。これら各連結バー98は、上下に隣り合う各単電池83のフィルム周縁部(フィルム封止部)の間の隙間に入り込むことが可能な幅(断面寸法)で形成されており、電池アッシー81に対して電池ホルダ82が組み付けられた状態では、上下のフィルム封止部の間の隙間に各連結バー98が入り込むようになっている。これにより、電池アッシー81に電池ホルダ82を組み付けた状態で、連結部93が電池アッシー81よりもはみ出ることを抑制でき、大型化抑制の効果が得られるものとなっている。また、見方を変えれば、連結部93は、フィルム封止部を挿し入れることが可能な長孔(スリット)を有する構成となっている。
【0059】
また付け加えれば、第1保持部91と第2保持部92とは、いずれも電池積層方向の高さ寸法(樹脂成形部分の高さ寸法)が電池アッシー81の積層高さ寸法よりも小さくなっている(図2参照)。これにより、組電池モジュール11をベース14に組み付けた際に、保持部91,92が他部材の邪魔になることが生じないようになっている。
【0060】
図16は、組電池モジュール11がベース14に組み付けられた状態を示す平面図である。なお、図16では、ベース14に組電池モジュール11だけでなく中間ケース16を組み付けた状態が示されている。
【0061】
図16に示すように、組電池モジュール11は、中間ケース16のコネクタ部18側から見て、電池本体を挟んで一対の電極部(電極タブ84,85)が左右に並ぶ向きで配置されている。また、組電池モジュール11は、ベース14において放熱部27に横並びになる位置に配置されている。この場合、電池ホルダ82は、放熱部27の側、換言すればコネクタ部18及び接続端子部47の側に配置されている。組電池モジュール11は、ベース14の固定部24cに対して電池ホルダ82の被固定部(図12の符号97)が当接した状態で、これら固定部24c及び被固定部97に固定ネジNが挿し入れられて固定されている。
【0062】
図3に示すように、組電池モジュール11において電池本体の下方には両面接着タイプの接着テープ111が介在しており、この接着テープ111により組電池モジュール11の底面がベース14に固定されている。また、組電池モジュール11において一対の電極部の下方には絶縁シート112が介在しており、この絶縁シート112により電極部と底板部21とが電気的に絶縁されている。
【0063】
<制御基板12>
次に、制御基板12について説明する。図17は、制御基板12の構成を示す斜視図であり、図18は、制御基板12がベース14に組み付けられた状態を示す平面図である。なお図18には、説明の便宜上、組電池モジュール11の設置場所(詳しくは剛性プレート87)を破線にて示している。
【0064】
制御基板12は、基板面に回路パターンが形成されたプリント基板よりなり、その基板面には各種の電子部品が実装されている。電子部品には、組電池モジュール11の充放電制御の処理等を実行する制御部としてのCPU(制御演算素子)や、上述のパワー素子Pが含まれている。制御基板12は、組電池モジュール11の上方にそれに重なるようにして配置される。つまり、制御基板12は、組電池モジュール11を挟んで底板部21とは反対側に設けられている。
【0065】
制御基板12は、ベース14の固定部24aに対して基板下面が当接した状態で、複数の固定ネジNによりベース14に対して固定されている。この場合詳しくは、図18に示すように、制御基板12において中央部(後述する貫通孔102)を囲む複数の位置にて固定ネジNによる固定が行われるようになっている。
【0066】
上述したとおり水没検出部60の水検知電極68はベース14の底板部21に近い位置に配置されている。そのため、制御基板12のCPU(制御部)では、浸水により電池ユニット10の機能停止等が生じる以前に、水没検出部60からの浸水の検出信号に基づいて、自ら組電池モジュール11の充放電を停止する等の処置を実施できる。
【0067】
制御基板12は、その一部が組電池モジュール11の真上から側方にはみ出るように配置され、そのはみ出し部分(非重複部分)にパワー素子Pが実装されている。このはみ出し部分はベース14の放熱部27(図5参照)の真上に位置する。これにより、ベース14の放熱部27とパワー素子Pの実装部分とを上下に対向させて配置でき、パワー素子Pの発熱が放熱部27を介して外部に放出されるようになっている。
【0068】
なお、放熱部27の対向板部27aと制御基板12との間には絶縁シート113が挟み込まれており(図3参照)、絶縁シート113によって放熱部27と制御基板12とが電気的に絶縁されている。
【0069】
ベース14に対して制御基板12を組み付けた状態では、制御基板12に形成された各スルーホールに、中間ケース16に設けられた接続端子53,63や、組電池モジュール11に設けられた電力端子95及び電圧検出端子96が挿し入れられ、その状態ではんだ付け等により各端子の固定が行われている。
【0070】
図18において、制御基板12には配線105を介して温度センサ106(サーミスタ)が接続されている。この温度センサ106は、電池温度を検出する温度検出手段であり、組電池モジュール11に固定されている。具体的には、図12等に示すように、組電池モジュール11の電池ホルダ82には、上方に延びるようにしてセンサ取付部107が一体的に設けられており、そのセンサ取付部107に温度センサ106が取り付けられるようになっている。
【0071】
ところで、本実施形態の電池ユニット10では、組電池モジュール11を上方から押圧した状態で保持する押圧構造が採用されている。具体的は、組電池モジュール11の上面とカバー15との間に押圧手段としての押圧バネ101(図2参照)を配設し、そのバネ力により組電池モジュール11をベース14側に押圧する構成としている。ただしこの場合、組電池モジュール11とカバー15との間に制御基板12を配設する構成では、制御基板12と押圧バネ101との干渉が問題となる。
【0072】
そこで本実施形態では、制御基板12の略中央部に、基板厚み方向に貫通する貫通孔102を設け、その貫通孔102内に押圧バネ101を配設する構成としている。押圧バネ101は、その伸縮方向(軸方向)が制御基板12の基板面に対して交差するようにして配設されている。貫通孔102は、制御基板12において押圧バネ101との干渉を回避する回避部に相当する。全体形状からすれば、制御基板12は略ドーナツ状をなしているとも言える。なお、貫通孔102は、図示のように多角形状をなす以外に、円形状であってもよい。
【0073】
電池押圧構造について補足説明する。組電池モジュール11では平面視の中央部分が押圧位置になっており、その押圧位置に、圧縮コイルバネよりなる複数の押圧バネ101が配設されるようになっている。押圧位置は、平面視における組電池モジュール11の重心位置を含む位置である。本実施形態では、4つの押圧バネ101を用い、それを二行二列に配置している。なお図2では便宜上、斜向かいに配置される押圧バネ101の断面視を示している。制御基板12は、組電池モジュール11の重心位置に重なるように配置されており、同制御基板12には、組電池モジュール11の重心位置に重なる位置に貫通孔102が設けられている。
【0074】
この場合、上述したとおり組電池モジュール11には電池アッシー81の上側に剛性プレート87が取り付けられており、その剛性プレート87の上に押圧バネ101が設置されている。また、カバー15の下面側にはバネ押さえ部35が形成されており、押圧バネ101の上端部はバネ押さえ部35により保持されている。詳しくは、押圧バネ101の上端部はバネ押さえ部35の凹部33aに各々挿し入れられ、その状態で押圧バネ101の所定位置で保持されている。
【0075】
ベース14に対してカバー15が取り付けられた状態では、押圧バネ101が圧縮された状態(自然長に対して圧縮された状態)となり、組電池モジュール11には押圧バネ101による押圧力が作用する。この場合、複数の押圧バネ101を用いることで、押圧バネ101により直接押圧される範囲(押圧バネ101による押圧力が作用する範囲)が拡張されるようになっている。また、剛性プレート87を介して電池本体が押圧されることで、電池本体の全体が均等に押圧されるようになっている。
【0076】
<車両電源システムの電気的構成について>
次に、本電源システムの電気的な構成について図19を用いて概略説明する。電池ユニット10において、組電池モジュール11は、直列接続された4つの単電池83を有しており、各単電池83の正極側及び負極側となる各部が電気経路121を介して制御装置122に接続されている。制御装置122は、組電池モジュール11の充放電に関する制御を行うCPU(制御演算素子)により構成されており、制御基板12に実装される電子部品である。各単電池83の正極側及び負極側に設けられるのが、図13等に示すバスバー94(94a〜94e)であり、電気経路121は、バスバー94や電圧検出端子96により構成されている。
【0077】
また、電池ユニット10には接続端子123,124が設けられており、この接続端子123,124間が配線125により互いに接続されるとともに、その配線125から分岐する配線126に組電池モジュール11が接続されている。そして、配線125にスイッチ127が設けられ、配線126にスイッチ128が設けられている。スイッチ127,128は例えばパワーMOSFETからなる電力制御用のスイッチング素子であり、これが図17等に示すパワー素子Pに相当する。また、制御装置122には水没検出部60のセンサ基板62が接続されている。
【0078】
本車載電源システムでは、電源として電池ユニット10の他に鉛蓄電池131が設けられており、電池ユニット10の接続端子123に鉛蓄電池131が接続されている。電池ユニット10と鉛蓄電池131とに対しては発電機132(オルタネータ)による充電が適宜行われる。また、電気負荷としてエンジン始動用のスタータ装置133が設けられており、スタータ装置133の駆動に伴うエンジン始動時には基本的に、スタータ装置133に対して鉛蓄電池131による電力供給が行われる。一方、電池ユニット10の接続端子124には、オーディオ装置、ナビゲーション装置等、スタータ以外の電気負荷134が接続されており、この電気負荷134に対して組電池モジュール11から電力供給が行われる。
【0079】
制御装置122によるスイッチ127の制御を簡単に説明すると、スイッチ127は、組電池モジュール11における蓄電量、及び鉛蓄電池131における蓄電量に基づいてそのオン(閉鎖)及びオフ(開放)が制御されるようになっている。具体的には、組電池モジュール11の蓄電量があらかじめ定めた所定値K1以上であれば、スイッチ127がオフされる。これに対し、組電池モジュール11の蓄電量が所定値K1未満になると、スイッチ127がオンされて発電機132による組電池モジュール11の充電が行われる。
【0080】
また、スタータ装置133によるエンジン始動時において、鉛蓄電池131の蓄電量があらかじめ定めた所定値K2以上であれば、スイッチ127がオフされ、鉛蓄電池131からスタータ装置133に対して電力供給が行われる。これに対し、鉛蓄電池131の蓄電量が所定値K2未満であれば、スイッチ127がオンされて電池ユニット10からスタータ装置133に対して電力供給が行われる。
【0081】
本電源システムが搭載される車両は、イグニッションスイッチがオン状態である場合において車両走行状態に応じてエンジンを自動停止するアイドルストップ機能を有しており、所定の自動停止条件が成立すると、車載ECU(アイドルストップECU)によりエンジンが自動停止される。また、エンジンの自動停止後に所定の再始動条件が成立すると、車載ECUによりスタータ装置133が駆動されてエンジンが再始動される。自動停止条件としては、例えばアクセルオフであること、ブレーキオンであること、車速が所定以下であること等が含まれる。また、再始動条件としては、例えばアクセルオンであること、ブレーキオフであること等が含まれる。
【0082】
<電池ユニット10の設置について>
電池ユニット10は、車室を形成する車両床板部に載った状態で設置されるようになっており、より具体的には、車両において前部座席の下方に、ベース14の底板部21が水平になるようにして設置されている。電池ユニット10の設置場所が車室内であることから、例えばエンジンルームに設置される場合と比較して、車両走行時において水や泥等がかからないようになっている。電池ユニット10を、車室内において前部座席の下方以外に設置することも可能である。例えば、後部座席とトランクルームとの間の空間、運転席と助手席の間の空間などに配置することも可能である。
【0083】
以上詳述した本実施形態によれば、以下の優れた効果が得られる。
【0084】
組電池モジュール11の押圧構造として、収容ケース13内において組電池モジュール11が、厚み方向における第1面(下面)がベース14に当接した状態で設置され、その第1面とは反対側の第2面(上面)が押圧バネ101により押圧されている。これにより、組電池モジュール11が安定状態で保持されるようになっている。また、制御基板12と押圧バネ101とは、組電池モジュール11とカバー15との間のスペースに、互いの干渉を回避した状態で横並びで設けられている。つまり、組電池モジュール11とカバー15との間のスペースを、制御基板12と押圧バネ101とを共存させるスペースとして利用するようにしている。これにより、組電池モジュール11の押圧保持機能を有する構成において、収容ケース13内に制御基板12を一体的に設けることに起因する大型化を抑制することができる。
【0085】
組電池モジュール11の重心位置(すなわち中心位置)が押圧バネ101により押圧される構成としたため、少ない押圧箇所(小さい押圧面積)でも所望の押圧保持効果が得られることとなる。この場合、押圧箇所を少なくする(押圧面積を小さくする)ことで、制御基板12の貫通孔102を必要最小限にすることができる(本実施形態では1つ)。これにより、制御基板12の外形寸法が小さくなり、ユニット全体の小型化を図る上で有利となる。
【0086】
また、制御基板12には、組電池モジュール11の重心位置に重なる位置に、押圧バネ101との干渉を回避する回避部としての貫通孔102が設けられている。この場合、収容ケース13内の収容効率を高めるべく組電池モジュール11と制御基板12との重なりの範囲を大きくしても、所望とする位置、すなわち組電池モジュール11の重心位置に、押圧バネ101を設けることができる。
【0087】
上記構成では、制御基板12において回避部が貫通孔102により構成されており、貫通孔102の周りは基板材により環状に繋がっている。この場合、制御基板12の剛性を確保しつつ、電池ユニット10の小型化が可能となる。
【0088】
収容ケース13のカバー15は、その天板部分の周縁部(組電池モジュール11の上面との対向部分の周縁部)に設けられ、ベース14に対する組み付け固定が行われる被固定部31と、その被固定部31よりも中央側に設けられ、押圧バネ101の端部を支えるバネ押さえ部35(支持部)と、被固定部31とバネ押さえ部35との間に設けられ、押圧バネ101の反力によるカバー15の変形を規制するリブ33(変形規制部)とを有している。この場合、カバー15では、その周縁部が固定された状態で中央部にて押圧バネ101による変形力が生じるが、変形規制部としてのリブ33を有しているため、カバー15の変形を適正に規制できる。これにより、押圧バネ101を押さえ付ける構成として好適な構成を実現できる。また特に、リブ33は、バネ押さえ部35を中心に放射状に拡がるように設けられており、押圧バネ101による押圧変形を抑制する上で好適な構成となっている。
【0089】
カバー15は押圧バネ101の反力に耐えうる剛性を有しているため、カバー15単体で押圧バネ101を固定することができ、電池ユニット10としての体格の小型化が可能となる。
【0090】
押圧手段として、複数の押圧バネ101を並べて用いる構成とした。これにより、バネ荷重を受ける面積を大きくすることができ、組電池モジュール11を押圧保持する構成を好適化できる。
【0091】
押圧手段として、弾性体である押圧バネ101を用いる構成とした。これにより、組電池モジュール11の高さ方向の製造寸法公差や、充放電による電池厚み変化の吸収が可能となる。
【0092】
組電池モジュール11において各単電池83を両面接着タイプの接着テープ86により一体化した。この場合、接着テープ86の接着力により、最小限のスペースで各単電池83の積層方向に直交する方向のズレを防止することが可能となる。
【0093】
(他の実施形態)
上記実施形態を例えば次のように変更してもよい。
【0094】
・上記実施形態では、組電池モジュール11の重心部分(中央部分)に押圧手段としての押圧バネ101を設ける構成としたが、これを変更してもよい。具体的には、組電池モジュール11の重心部分以外に押圧バネ101を設ける構成とする。例えば、組電池モジュール11の重心部分を中心に放射状に複数のバネ押圧位置を定めておき、それら各位置に押圧バネを配置する。また、押圧手段として、皿バネやゴムなど他の弾性体を用いてもよい。
【0095】
・上記実施形態では、収容ケース13のベース14及びカバー15をアルミニウム等の金属材料により成形したが、これを変更し、合成樹脂材料により形成される構成であってもよい。この場合、ベース14が絶縁材料により構成されていれば、組電池モジュール11とベース14との間の絶縁が不要となり、中間ケース16の絶縁壁部71を省略することもできる。
【0096】
・制御基板12において、押圧バネ101(押圧手段)との干渉を回避するための回避部を以下のように構成してもよい。図20は、制御基板12と組電池モジュール11との配置の関係を示す図であり、同図には、制御基板12を実線で、組電池モジュール11及び押圧バネ101を破線で示している。なおここでは、押圧手段として1つの押圧バネ101を図示している。
【0097】
図20(a)では、回避部として、制御基板12に基板外縁部の一辺部から延びる凹状部141が設けられている。この場合、制御基板12には、凹状部141を挟んで対向し、互いの熱の影響を受けにくい2つの基板領域(図のR1,R2)が設けられ、それら基板領域にそれぞれ所定の電子部品が実装されている。具体的には、制御基板12において基板領域R1にパワー素子Pが実装され、基板領域R2にパワー素子Pからの熱の影響を抑制したい電子部品(例えばCPU)が実装されるとよい。これにより、比較的発熱量の大きいパワー素子Pが実装されていても、そのパワー素子Pの影響を抑えることができる。
【0098】
図20(b)では、回避部として、制御基板12の1つの出隅部分を凹ませて凹状部142が設けられている。
【0099】
また、図20(c)では、2つの組電池モジュール11A,11Bを用いる構成(又は、2つの電池アッシー81を有してなる1つの組電池モジュール11を用いる構成)を想定しており、それら2つの組電池モジュール(又は2つの電池アッシー)に跨るようにして制御基板12が設けられている。この場合、組電池モジュールごと(又は電池アッシーごと)に設けられる押圧バネ101との干渉を回避するべく、制御基板12に2つの貫通孔143が設けられている。なお、貫通孔143の数は組電池モジュール11の数(又は電池アッシーの数)に応じて増やせばよい。
【0100】
・上記実施形態では、収容ケース13を、ベース14、カバー15及び中間ケース16からなる構成としたが、これを変更してもよい。例えば、中間ケース16を無くし、ベース14及びカバー15により収容ケース13を構成する。この場合、収容ケース13において高さ方向のスペースを確保するには、ベース14の立ち壁部22を高くするか、又はカバー15に垂れ壁部を設けるとよい。
【0101】
・上記実施形態では、電池ユニット10を、車両の座席下方に設置する構成としたが、これを変更し、車両のダッシュボード内やエンジンルーム内に電池ユニット10を設置することも可能である。
【0102】
・上記実施形態では、単電池としてリチウムイオン蓄電池を用いる構成としたが、これを変更し、単電池としてニカド蓄電池や複数のニッケル水素蓄電池など、他の二次電池を用いる構成としてもよい。
【0103】
・上記実施形態の電池ユニット10を、内燃機関とモータとの両方を車両走行の駆動源とするハイブリッド車両に適用してもよいし、内燃機関を持たず、モータのみを車両走行の駆動源とする電気車両に適用してもよい。
【符号の説明】
【0104】
10…電池ユニット、11…組電池モジュール(蓄電池)、12…制御基板、13…収容ケース、14…ベース(第1ケース体)、15…カバー(第2ケース体)、101…押圧バネ(押圧手段)。
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