特許第5835249号(P5835249)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2015.5.11 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】5835249
(24)【登録日】2015年11月13日
(45)【発行日】2015年12月24日
(54)【発明の名称】フォークリフトの油圧制御装置
(51)【国際特許分類】
   B66F 9/22 20060101AFI20151203BHJP
   B66F 9/24 20060101ALI20151203BHJP
【FI】
   B66F9/22 X
   B66F9/24 W
【請求項の数】4
【全頁数】20
(21)【出願番号】特願2013-37069(P2013-37069)
(22)【出願日】2013年2月27日
(65)【公開番号】特開2014-162624(P2014-162624A)
(43)【公開日】2014年9月8日
【審査請求日】2014年10月27日
(73)【特許権者】
【識別番号】000003218
【氏名又は名称】株式会社豊田自動織機
(74)【代理人】
【識別番号】100068755
【弁理士】
【氏名又は名称】恩田 博宣
(74)【代理人】
【識別番号】100105957
【弁理士】
【氏名又は名称】恩田 誠
(72)【発明者】
【氏名】上田 祐規
(72)【発明者】
【氏名】松尾 力
(72)【発明者】
【氏名】宇野 峰志
(72)【発明者】
【氏名】石川 洋彦
【審査官】 葛原 怜士郎
(56)【参考文献】
【文献】 特開2013−133196(JP,A)
【文献】 特開2007−254058(JP,A)
【文献】 特開平02−231398(JP,A)
【文献】 特開2012−232815(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B66F 9/22− 9/24
F15B 11/00−11/22
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
昇降指示部材の操作によって作動油を給排させることによりフォークを昇降動作させる昇降用油圧シリンダと、傾動指示部材の操作によって作動油を給排させることにより前記フォークが装着されるマストを傾動動作させる傾動用油圧シリンダと、を含む複数の油圧機構を備えたフォークリフトの油圧制御装置において、
油圧ポンプと、
前記油圧ポンプを駆動させる電動機と、
前記昇降用油圧シリンダと前記油圧ポンプとの間に配設されるとともに、前記フォークを下降動作させる場合には前記昇降用油圧シリンダから前記油圧ポンプへの作動油の流出を許容する一方で、前記フォークを停止させている場合又は上昇動作させる場合には前記昇降用油圧シリンダから前記油圧ポンプへの作動油の流出を遮断する流出制御機構と、
前記流出制御機構とドレイン部との間に配設される比例弁と、
前記流出制御機構とドレイン部との間に配設されるとともに、前記比例弁の前後の圧力差に応じた開度で開弁する流量制御弁と、
前記電動機の駆動を制御する制御部と、を備え、
前記制御部は、前記昇降用油圧シリンダによる前記フォークの下降動作と他の油圧機構による他動作が同時に行われる場合、前記昇降指示部材の操作量に応じた指示速度で前記下降動作を行わせるために必要な前記油圧ポンプの下降動作用必要回転数と、前記他動作を行わせるために必要な前記油圧ポンプの他動作用必要回転数との回転数差に応じて前記比例弁の開度を制御することを特徴とするフォークリフトの油圧制御装置。
【請求項2】
前記制御部は、前記下降動作と複数の他動作が同時に行われる場合、前記下降動作用必要回転数と、前記他動作の前記他動作用必要回転数のうち、最大の他動作用必要回転数との回転数差に応じて前記比例弁の開度を制御する請求項1に記載のフォークリフトの油圧制御装置。
【請求項3】
前記制御部は、前記下降動作が単独で行われる場合、前記下降動作用必要回転数と、前記油圧ポンプの実回転数との回転数差に応じて前記比例弁の開度を制御する請求項1又は請求項2に記載のフォークリフトの油圧制御装置。
【請求項4】
前記流出制御機構は、開状態と閉状態の2位置を取り得るON−OFF弁である請求項1〜請求項3のうち何れか一項に記載のフォークリフトの油圧制御装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、フォークリフトの油圧制御装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、フォークリフトでは、フォークやマストなどの可動部材を動作させる機構として、油圧シリンダが採用されている。例えば、特許文献1の油圧装置では、単一の油圧ポンプと当該油圧ポンプを駆動させる単一の電動機を備え、油圧ポンプを回転させることによって、フォークを昇降動作させるための油圧シリンダ(リフトシリンダ)とマストを傾動動作させるための油圧シリンダ(ティルトシリンダ)と、を動作させている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開平2−231398号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、単一の油圧ポンプを採用する油圧装置では、フォークの昇降動作とマストの傾動動作をそれぞれ単独で行う場合は、その動作対象を動作させるために指示された速度に合わせて電動機の駆動を制御することで、動作対象を指示速度で動作させることができる。しかしながら、上記油圧装置では、フォークとマストというように複数の動作対象を同時動作させる場合は、何れか一方の動作対象を動作させるために指示された速度に合わせて電動機の駆動を制御することになるので、両動作対象を指示速度で動作させることが難しかった。
【0005】
この発明は、このような従来の技術に存在する問題点に着目してなされたものであり、その目的は、複数の動作対象を良好に動作させることができるフォークリフトの油圧制御装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記課題を解決する油圧制御装置は、昇降指示部材の操作によって作動油を給排させることによりフォークを昇降動作させる昇降用油圧シリンダと、傾動指示部材の操作によって作動油を給排させることにより前記フォークが装着されるマストを傾動動作させる傾動用油圧シリンダと、を含む複数の油圧機構を備えたフォークリフトの油圧制御装置において、油圧ポンプと、前記油圧ポンプを駆動させる電動機と、前記昇降用油圧シリンダと前記油圧ポンプとの間に配設されるとともに、前記フォークを下降動作させる場合には前記昇降用油圧シリンダから前記油圧ポンプへの作動油の流出を許容する一方で、前記フォークを停止させている場合又は上昇動作させる場合には前記昇降用油圧シリンダから前記油圧ポンプへの作動油の流出を遮断する流出制御機構と、前記流出制御機構とドレイン部との間に配設される比例弁と、前記流出制御機構とドレイン部との間に配設されるとともに、前記比例弁の前後の圧力差に応じた開度で開弁する流量制御弁と、前記電動機の駆動を制御する制御部と、を備え、前記制御部は、前記昇降用油圧シリンダによる前記フォークの下降動作と他の油圧機構による他動作が同時に行われる場合、前記昇降指示部材の操作量に応じた指示速度で前記下降動作を行わせるために必要な前記油圧ポンプの下降動作用必要回転数と、前記他動作を行わせるために必要な前記油圧ポンプの他動作用必要回転数との回転数差に応じて前記比例弁の開度を制御する。
【0007】
この構成によれば、フォークの下降動作と他動作とが同時に行われる場合において、下降動作用必要回転数と他動作用必要回転数に差が生じ得るとき、比例弁と流量制御弁によって回転数差に相当する流量分の作動油をドレイン部に流通させる。すなわち、比例弁と流量制御弁は、指示速度で動作させるために必要な流量に対して不足する流量をドレイン部に流通させる。したがって、下降動作と他動作というように複数の動作対象を良好に動作させることができる。
【0008】
上記油圧制御装置において、前記制御部は、前記下降動作と複数の他動作が同時に行われる場合、前記下降動作用必要回転数と、前記他動作の前記他動作用必要回転数のうち、最大の他動作用必要回転数との回転数差に応じて前記比例弁の開度を制御しても良い。この構成によれば、複数の動作対象を良好に動作させることができる。
【0009】
上記油圧制御装置において、前記制御部は、前記下降動作が単独で行われる場合、前記下降動作用必要回転数と、前記油圧ポンプの実回転数との回転数差に応じて前記比例弁の開度を制御しても良い。この構成によれば、下降動作を単独で行う場合であっても、下降動作の指示速度を充足させることができる。
【0010】
上記油圧制御装置において、前記流出制御機構は、開状態と閉状態の2位置を取り得るON−OFF弁としても良い。この構成によれば、流出制御機構からの作動油のリーク量を抑制することができる。
【発明の効果】
【0011】
本発明によれば、複数の動作対象を良好に動作させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
図1】フォークリフトの側面図。
図2】フォークリフトの油圧制御装置の回路図。
図3】複数の動作対象を動作させる時の制御内容を示すフローチャート。
図4】同じく、制御内容を示すフローチャート。
図5】動作対象の回転数差と下降用比例弁の開度との関係を説明する説明図。
図6】別例の油圧制御装置の一部を示す回路図。
図7】別例の油圧制御装置の一部を示す回路図。
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下、フォークリフトの油圧制御装置を具体化した一実施形態を図1図5にしたがって説明する。
図1に示すように、バッテリ式のフォークリフト11の車体フレーム12にはその前部にマスト13が設けられている。マスト13は車体フレーム12に対して傾動可能に支持された左右一対のマストとしてのアウタマスト13aと、その内側に昇降可能に装備されたインナマスト13bとからなる。両アウタマスト13aの後側には油圧機構及び昇降用油圧シリンダとしてのリフトシリンダ14がアウタマスト13aと平行に固定されるとともに、リフトシリンダ14のピストンロッド14aの先端がインナマスト13bの上部に連結されている。
【0014】
インナマスト13bの内側にはリフトブラケット15がインナマスト13bに沿って昇降可能に装備され、リフトブラケット15にはフォーク16が取着されている。インナマスト13bの上部にはチェーンホイール17が支承され、チェーンホイール17には、第1端部がリフトシリンダ14の上部に、第2端部がリフトブラケット15にそれぞれ連結されたチェーン18が掛装されている。そして、リフトシリンダ14の伸縮によりチェーン18を介してフォーク16がリフトブラケット15とともに昇降動される。
【0015】
車体フレーム12の左右両側には油圧機構及び傾動用油圧シリンダとしてのティルトシリンダ19の基端が回動可能に支持されるとともに、ティルトシリンダ19のピストンロッド19aの先端がアウタマスト13aの上下方向ほぼ中央部に回動可能に連結されている。そして、ティルトシリンダ19の伸縮によりマスト13が傾動される。
【0016】
運転室20の前部にはステアリング21、昇降指示部材としてのリフト用の操作レバー22及び傾動指示部材としてのティルト用の操作レバー23がそれぞれ設けられている。図1においては操作レバー22,23が重なった状態で示されている。リフト用の操作レバー22の操作によりリフトシリンダ14が伸縮されるとともにフォーク16が昇降するようになっている。また、ティルト用の操作レバー23の操作によりティルトシリンダ19が伸縮されるとともに、マスト13が傾動するようになっている。
【0017】
マスト13は、予め定めた最後傾位置から最前傾位置の間で傾動可能とされている。図1に示すマスト13の位置を垂直位置とした場合、運転室20に接近する方向に傾動する動作が後傾動作となり、運転室20から離間する方向に傾動する動作が前傾動作となる。本実施形態のフォークリフト11の構成では、ティルトシリンダ19が伸びる方向に動作した時にマスト13が前傾動作する一方で、ティルトシリンダ19が縮む方向に動作した時にマスト13が後傾動作する。
【0018】
また、フォークリフト11は、油圧式のアタッチメントを有する場合、そのアタッチメントを動作させる油圧機構が装備される。油圧機構としては、例えば、油圧シリンダである。アタッチメントには、例えばフォーク16を左右動作、傾動動作又は回転動作させるアタッチメントがある。そして、運転室20には、アタッチメントの動作を指示するアタッチメント用の操作レバーが装備されている。
【0019】
次に、図2にしたがって本実施形態の油圧制御装置を説明する。
この実施形態の油圧制御装置は、リフトシリンダ14、ティルトシリンダ19及びアタッチメント用の油圧シリンダ25の動作を制御する。そして、油圧制御装置は、単一のポンプと該ポンプを駆動する単一の電動機により、各油圧シリンダを動作させる油圧回路を構成している。
【0020】
リフトシリンダ14のボトム室14bに接続される配管K1は、油圧ポンプ及び油圧モータとして機能する油圧ポンプモータ30に接続されている。油圧ポンプモータ30には、電動機及び発電機として機能するモータ(回転電機)31が接続されている。本実施形態においてモータ31は、油圧ポンプモータ30を油圧ポンプとして作動させる場合に電動機となり、油圧ポンプモータ30を油圧モータとして作動させる場合に発電機となる。本実施形態の油圧ポンプモータ30は、一方向に回転可能な構成とされている。
【0021】
リフトシリンダ14と油圧ポンプモータ30の間には、開状態としての第1位置32aと、閉状態としての第2位置32bとの2位置を取り得るON−OFF弁としての下降用切換弁32が配設されている。この実施形態において下降用切換弁32は、第1位置32aの時、リフトシリンダ14のボトム室14bから油圧ポンプモータ30への作動油の流出を許容する一方で、第2位置32bの時、ボトム室14bから油圧ポンプモータ30への作動油の流出を遮断する流出制御機構を構成する。また、油圧ポンプモータ30の吸入口30aには、チェック弁33を介して作動油を貯留する油タンク34が接続されている。チェック弁33は、油タンク34からの作動油を流通させる一方で、その逆方向からの作動油を流通させないように配設されている。
【0022】
下降用切換弁32における作動油の流出側には、配管K1から分岐形成されて油タンク34に接続されるドレイン部としての配管K2が接続されている。配管K2には、配管K1との分岐部から油タンク34に向かって、流量制御弁35と、比例弁としての下降用比例弁36と、が順に配設されている。
【0023】
流量制御弁35は、開状態としての第1位置35aと、閉状態としての第2位置35bと、開状態としてその開度を調整可能な第3位置35cと、を取り得る。この本実施形態の流量制御弁35は、下降用比例弁36の前後の圧力差に応じた開度で開弁する。つまり、流量制御弁35は、前記圧力差により、第1位置35a、第2位置35b、及び第3位置35cの何れかの位置を取り得るように作動する。下降用比例弁36は、開状態としてその開度を任意に変更可能な第1位置36aと、作動油の流通を許容しない閉状態としての第2位置36bと、を取り得る。この実施形態の油圧制御装置では、流量制御弁35と下降用比例弁36により、ドレイン部である配管K2を流れる作動油の流量を制御する。配管K2を流れる作動油は、油タンク34に戻される。
【0024】
流量制御弁35は、下降用比例弁36の前後の圧力差が大きくなるほど開度を閉じるように作動するとともに、前記圧力差が小さくなるほど開度を開くように作動する。下降用比例弁36の前後の圧力は、下降用比例弁36の開度が大きくなるほど小さくなる。流量制御弁35が閉状態である第2位置35bのとき、リフトシリンダ14のボトム室14bから排出された作動油は、図1に示す流量Q1となって油圧ポンプモータ30の吸入口30aに流通する。一方、流量制御弁35が開状態である第1位置35a又は第3位置35cのとき、リフトシリンダ14のボトム室14bから排出された作動油は、油圧ポンプモータ30の吸入口30aと油タンク34のそれぞれに流通する。つまり、作動油は、図1に示す流量Q1が油圧ポンプモータ30の吸入口30aに流通する一方で、図1に示す流量Q2が油タンク34に流通する。流量制御弁35は、圧力差に応じて所望の開度を取り得るように予め調整されている。
【0025】
油圧ポンプモータ30の吐出口30b側の配管K1には、上昇用比例弁37と、チェック弁38とが接続されている。上昇用比例弁37は、油圧ポンプモータ30から吐出される作動油をボトム室14bへ流通させる開状態としてその開度を任意に変更可能な第1位置37aと、前記作動油を配管K3に接続されるティルト用比例弁39へ流通させる閉状態としての第2位置37bを取り得る。チェック弁38は、上昇用比例弁37からの作動油をリフトシリンダ14のボトム室14bへ流通させる一方で、その逆方向からの作動油を流通させないように接続されている。
【0026】
油圧ポンプモータ30の吐出口30b側の配管K1には、油タンク34にフィルタ40を介して接続される配管K4と、ティルト用比例弁39に接続される配管K5とが、分岐接続されている。配管K4には、油圧上昇を防止するリリーフ弁41が接続されている。また、配管K4には、ティルト用比例弁39からの作動油を油タンク34に流通させる配管K6が接続されている。配管K5には、油圧ポンプモータ30からの作動油を流通させる一方で、その逆方向からの作動油を流通させないようにチェック弁42が接続されている。
【0027】
ティルト用比例弁39は、閉状態としての第1位置39aと、開状態としてその開度を調整可能な第2位置39bと、開状態としてその開度を調整可能な第3位置39cと、を取り得る。第1位置39aは、配管K3を通じて上昇用比例弁37からの作動油を油タンク34に流通させる。本実施形態のティルト用比例弁39は、第1位置39aを中立位置とし、制御部Sの制御によって第2位置39b又は第3位置39cの何れかの方向に動く。第2位置39bは、チェック弁42からの作動油を、ティルトシリンダ19のロッド室19rに接続される配管K7に流通させる。また、第2位置39bは、ティルトシリンダ19のボトム室19bに接続される配管K8からの作動油を、配管K6に流通させる。第3位置39cは、チェック弁42からの作動油を配管K8に流通させるとともに、配管K7からの作動油を配管K6に流通させる。
【0028】
また、配管K3には、ティルト用比例弁39と油タンク34との間に、アタッチメント用比例弁43が接続されている。また、配管K4には、アタッチメント用比例弁43からの作動油を油タンク34に流通させる配管K9が接続されている。また、配管K5は、アタッチメント用比例弁43にも接続されている。配管K5には、油圧ポンプモータ30からの作動油を流通させる一方で、その逆方向からの作動油を流通させないようにチェック弁44が接続されている。
【0029】
アタッチメント用比例弁43は、閉状態としての第1位置43aと、開状態としてその開度を調整可能な第2位置43bと、開状態としてその開度を調整可能な第3位置43cと、を取り得る。第1位置43aは、配管K3を通じてティルト用比例弁39からの作動油を油タンク34に流通させる。本実施形態のアタッチメント用比例弁43は、第1位置43aを中立位置とし、制御部Sの制御によって第2位置43b又は第3位置43cの何れかの方向に動く。第2位置43bは、チェック弁44からの作動油を、アタッチメント用の油圧シリンダ25のロッド室25rに接続される配管K10に流通させる。また、第2位置43bは、アタッチメント用の油圧シリンダ25のボトム室25bに接続される配管K11からの作動油を、配管K9に流通させる。第3位置43cは、チェック弁44からの作動油を配管K11に流通させるとともに、配管K10からの作動油を配管K9に流通させる。
【0030】
次に、油圧制御装置の制御部Sの構成を説明する。
制御部Sには、リフト用の操作レバー22の操作量を検出するポテンショメータ22aと、ティルト用の操作レバー23の操作量を検出するポテンショメータ23aと、アタッチメント用の操作レバー45の操作量を検出するポテンショメータ45aと、が電気的に接続されている。制御部Sは、リフト用の操作レバー22の操作量に基づくポテンショメータ22aからの検出信号をもとに、モータ31の回転を制御するとともに、下降用切換弁32と、下降用比例弁36と、上昇用比例弁37の切換えを制御する。制御部Sは、ティルト用の操作レバー23の操作量に基づくポテンショメータ23aからの検出信号をもとに、モータ31の回転を制御するとともに、ティルト用比例弁39の切換えを制御する。制御部Sは、アタッチメント用の操作レバー45の操作量に基づくポテンショメータ45aからの検出信号をもとに、モータ31の回転を制御するとともに、アタッチメント用比例弁43の切換えを制御する。
【0031】
制御部Sには、インバータS1が電気的に接続されている。モータ31には、バッテリBTの電力がインバータS1を介して供給される。モータ31で生じた電力は、インバータS1を介してバッテリBTに蓄電される。
【0032】
以下、本実施形態の油圧制御装置の作用を説明する。
最初に、図3及び図4にしたがって、フォーク16の下降動作を単独で行う場合、及びフォーク16の下降動作とマスト13やアタッチメントなどの他動作を同時に行う場合の制御内容を説明する。
【0033】
制御部Sは、リフト用の操作レバー22が下降動作を指示するように操作されると、各操作レバー22,23,45の操作量を取得する(ステップS10)。次に、制御部Sは、ステップS10で取得した操作量をもとに、ティルト用の操作レバー23が操作されているか否かを判定する(ステップS11)。この判定結果が肯定の場合、制御部Sは、ステップS10で取得した操作量をもとに、アタッチメント用の操作レバー45が操作されているか否かを判定する(ステップS12)。この判定結果が肯定の場合、制御部Sは、フォーク16の下降動作と、マスト13の前傾動作又は後傾動作と、アタッチメントの動作とが同時に行われることから、ステップS13以降の処理を実行する。
【0034】
ステップS13において制御部Sは、モータ31の出力トルクを制限するトルク制限をOFFする。トルク制限をOFFした場合、制御部Sは、モータ31を力行動作させることができる。次に、制御部Sは、ステップS10で取得した操作量から、それぞれの操作量に応じた指示速度で動作させるために必要な油圧ポンプモータ30の必要回転数を算出する(ステップS14)。ステップS14において制御部Sは、フォーク16を指示速度で下降動作させるために必要な下降動作用必要回転数としてのリフト用の必要回転数を算出する。また、制御部Sは、他動作用必要回転数として、マスト13を指示速度で前傾動作又は後傾動作させるために必要なティルト用の必要回転数と、アタッチメントを指示速度で動作させるために必要なアタッチメント用の必要回転数と、を算出する。
【0035】
次に、制御部Sは、ステップS14で算出した必要回転数のうち、ティルト用の必要回転数とアタッチメント用の必要回転数を比較し、最大回転数を判定する(ステップS15)。次に、制御部Sは、ステップS14で算出したリフト用の必要回転数とステップS15で判定した最大回転数をもとに、回転数差を算出する(ステップS16)。そして、制御部Sは、ステップS16で算出した回転数差から下降用比例弁36の開度を算出する(ステップS17)。ステップS17において制御部Sは、予め記憶してある回転数差と下降用比例弁36の開度の関係を示す情報をもとに下降用比例弁36の開度を算出する。
【0036】
図5に示すように、回転数差と下降用比例弁36の開度の関係を示す情報は、マップ化されて記憶されている。この情報は、回転数差が大きくなるほど、下降用比例弁36の開度が大きくなるように構築されている。回転数差は、リフト用の必要回転数と比較する比較回転数が小さいほど、大きくなる。比較回転数は、例えば、前述したステップS16の場合、最大回転数となる。この実施形態の油圧制御装置は、比較回転数がリフト用の必要回転数に満たない場合、下降動作の指示速度を充足させるためにリフトシリンダ14から排出される作動油を配管K2から油タンク34へ流通させる。このため、図5に示す情報は、回転数差が大きくなるほど、下降用比例弁36の開度を大きくし、配管K2へ流通させる流量を増加させている。
【0037】
次に、制御部Sは、ステップS10で取得したティルト用の操作レバー23の操作量をもとにティルト用比例弁39の弁開度を算出するとともに、ステップS10で取得したアタッチメント用の操作レバー45の操作量をもとにアタッチメント用比例弁43の弁開度を算出する(ステップS18)。そして、制御部Sは、下降用切換弁32を第1位置32aで開く(ステップS19)。また、制御部Sは、ステップS15で判定した最大回転数をモータ31の指令回転数として出力する(ステップS20)。また、制御部Sは、ステップS18で算出したティルト用比例弁39の弁開度を指令し、ティルト用の操作レバー23の操作によって指示された動作が行われるようにティルト用比例弁39を第2位置39b又は第3位置39cで開く(ステップS21)。また、ステップS21において制御部Sは、ステップS18で算出したアタッチメント用比例弁43の弁開度を指令し、アタッチメント用の操作レバー45の操作によって指示された動作が行われるようにアタッチメント用比例弁43を第2位置43b又は第3位置43cで開く。また、制御部Sは、ステップS17で算出した下降用比例弁36の弁開度を指令し、下降用比例弁36を開く(ステップS22)。
【0038】
一方、ステップS12の判定結果が否定の場合、制御部Sは、フォーク16の下降動作と、マスト13の前傾動作又は後傾動作と、が同時に行われることから、ステップS23以降の処理を実行する。
【0039】
ステップS23において制御部Sは、ステップS13と同様にトルク制限をOFFする。次に、制御部Sは、ステップS10で取得した操作量から、フォーク16を指示速度で下降動作させるために必要なリフト用の必要回転数と、マスト13を指示速度で前傾動作又は後傾動作させるために必要なティルト用の必要回転数と、を算出する(ステップS24)。次に、制御部Sは、ステップS24で算出したリフト用の必要回転数とティルト用の必要回転数をもとに、回転数差を算出する(ステップS25)。そして、制御部Sは、ステップS25で算出した回転数差から下降用比例弁36の開度を算出する(ステップS26)。ステップS26において制御部Sは、ステップS17と同様に、図5に示す情報をもとに下降用比例弁36の開度を算出する。
【0040】
次に、制御部Sは、ステップS10で取得したティルト用の操作レバー23の操作量をもとにティルト用比例弁39の弁開度を算出する(ステップS27)。そして、制御部Sは、下降用切換弁32を第1位置32aで開く(ステップS28)。また、制御部Sは、ステップS24で算出したティルト用の必要回転数をモータ31の指令回転数として出力する(ステップS29)。また、制御部Sは、ステップS27で算出したティルト用比例弁39の弁開度を指令し、ティルト用の操作レバー23の操作によって指示された動作が行われるようにティルト用比例弁39を第2位置39b又は第3位置39cで開く(ステップS30)。また、制御部Sは、ステップS26で算出した下降用比例弁36の弁開度を指令し、下降用比例弁36を開く(ステップS31)。
【0041】
一方、ステップS11の判定結果が否定の場合、制御部Sは、図4に示すステップS32に移行し、ステップS10で取得した操作量をもとに、アタッチメント用の操作レバー45が操作されているか否かを判定する。この判定結果が肯定の場合、制御部Sは、フォーク16の下降動作と、アタッチメントの動作とが同時に行われることから、ステップS33以降の処理を実行する。
【0042】
ステップS33において制御部Sは、ステップS13,S23と同様にトルク制限をOFFする。次に、制御部Sは、ステップS10で取得した操作量から、フォーク16を指示速度で下降動作させるために必要なリフト用の必要回転数と、アタッチメントを指示速度で動作させるために必要なアタッチメント用の必要回転数と、を算出する(ステップS34)。次に、制御部Sは、ステップS34で算出したリフト用の必要回転数とアタッチメント用の必要回転数をもとに、回転数差を算出する(ステップS35)。そして、制御部Sは、ステップS35で算出した回転数差から下降用比例弁36の開度を算出する(ステップS36)。ステップS36において制御部Sは、ステップS17,S26と同様に、図5に示す情報をもとに下降用比例弁36の開度を算出する。
【0043】
次に、制御部Sは、ステップS10で取得したアタッチメント用の操作レバー45の操作量をもとにアタッチメント用比例弁43の弁開度を算出する(ステップS37)。そして、制御部Sは、下降用切換弁32を第1位置32aで開く(ステップS38)。また、制御部Sは、ステップS34で算出したアタッチメント用の必要回転数をモータ31の指令回転数として出力する(ステップS39)。また、制御部Sは、ステップS37で算出したアタッチメント用比例弁43の弁開度を指令し、アタッチメント用の操作レバー45の操作によって指示された動作が行われるようにアタッチメント用比例弁43を第2位置43b又は第3位置43cで開く(ステップS40)。また、制御部Sは、ステップS36で算出した下降用比例弁36の弁開度を指令し、下降用比例弁36を開く(ステップS41)。
【0044】
フォーク16の下降動作と他動作を同時に行う場合、下降動作の必要回転数に対して他動作の必要回転数が小さく回転数差が生じているときに、リフトシリンダ14から排出される全ての作動油を油圧ポンプモータ30へ流通させると、他動作の指示速度を充足できない。つまり、他動作は、下降動作の指示速度を充足させるためにリフトシリンダ14から排出される全ての作動油が油圧シリンダへ供給されることで、指示速度よりも速い速度で動作する。一方、回転数差が生じている場合に他動作の必要回転数で油圧ポンプモータ30を制御すると、リフトシリンダ14から排出される作動油の流量が不足し、下降動作の指示速度が充足されない。
【0045】
このため、この実施形態の油圧制御装置では、下降動作の必要回転数と他動作の必要回転数の回転数差をもとに下降用比例弁36の弁開度を制御することで、リフトシリンダ14から排出された作動油を配管K2から油タンク34へ流通させ、下降動作の指示速度を充足させるようにしている。この制御によれば、流量制御弁35は、ステップS17,S26,S36の算出結果をもとに下降用比例弁36の弁開度が制御されることにより、下降用比例弁36の前後の圧力差に応じた開度とされる。そして、流量制御弁35が開いた場合、下降動作時にリフトシリンダ14から排出された作動油は、流量制御弁35及び下降用比例弁36の弁開度に応じて、油圧ポンプモータ30と油タンク34のそれぞれに流通する。これにより、フォーク16の下降動作は、油圧ポンプモータ30の回転数が下降動作の必要回転数よりも低い回転数であっても、指示速度を充足させるために不足する流量の作動油が配管K2を通じて油タンク34へ流通することにより、指示速度が充足される。一方、フォーク16の下降動作と同時に行われる他動作については、油圧ポンプモータ30から吐出された作動油によって油圧シリンダが駆動されて制御される。
【0046】
なお、下降動作の必要回転数と他動作の必要回転数に回転数差が生じていない場合は、下降用比例弁36が第2位置36bになることで流量制御弁35も開かない。そして、リフトシリンダ14から排出された作動油の全ては油圧ポンプモータ30へ流通する。これにより、フォーク16の下降動作は、指示速度が充足される。一方、フォーク16の下降動作と同時に行われる他動作については、油圧ポンプモータ30から吐出された作動油によって油圧シリンダが駆動されて制御される。
【0047】
図4の説明に戻り、ステップS32の判定結果が否定の場合、制御部Sは、フォーク16の下降動作が単独で行われることから、ステップS42以降の処理を実行する。単独動作とは、1つの動作対象(例えばフォーク16)を動作させる時には他の動作対象(この場合はマスト13やアタッチメント)を動作させないことである。
【0048】
ステップS42において制御部Sは、トルク制限をONする。これにより、制御部Sは、モータ31が必要以上に電力を消費しないように、出力トルクの上限値(例えば0Nm)を設定する。つまり、制御部Sは、トルク制限をONにすることにより、モータ31の力行動作を規制する。
【0049】
次に、制御部Sは、ステップS10で取得した操作量から、フォーク16を指示速度で下降動作させるために必要なリフト用の必要回転数を算出する(ステップS43)。次に、制御部Sは、下降用切換弁32を第1位置32aで開く(ステップS44)。次に、制御部Sは、ステップS43で算出したリフト用の必要回転数をモータ31の指令回転数として出力する(ステップS45)。
【0050】
次に、制御部Sは、ステップS45で出力した指令回転数とモータ31の実回転数をもとに、回転数差を算出する(ステップS46)。そして、制御部Sは、ステップS46で算出した回転数差から下降用比例弁36の開度を算出する(ステップS47)。ステップS47において制御部Sは、ステップS17,S26,S36と同様に、図5に示す情報をもとに下降用比例弁36の開度を算出する。そして、制御部Sは、ステップS47で算出した下降用比例弁36の弁開度を指令し、下降用比例弁36を開く(ステップS48)。
【0051】
下降用切換弁32が開弁すると、リフトシリンダ14のボトム室14bから排出される作動油は、油圧ポンプモータ30へ流通する。このとき、モータ31は、油圧ポンプモータ30がボトム室14bから排出された作動油を駆動力として指令回転数で動作する場合、出力トルクがマイナス側の値となり、回生動作を行う。つまり、モータ31は、油圧ポンプモータ30が油圧モータとして機能することで発電機として機能する。このため、発電機として動作するモータ31で生じた電力は、インバータS1を介してバッテリBTに蓄電される。
【0052】
このような回生動作は、フォーク16の積荷が十分に重い状態での下降動作時に生じ得る。つまり、この場合の下降動作では、フォーク16や積荷の重量によってボトム室14b内の作動油が排出され易く、リフト用の操作レバー22の操作量に応じた指示速度で下降動作させるために必要な流量の作動油が油圧ポンプモータ30に流通する。このため、油圧ポンプモータ30は、モータ31を力行側で動作させなくても、リフト用の操作レバー22の操作量に応じた指示速度で下降動作させるために必要な必要回転数、すなわち指令回転数で動作する。
【0053】
一方、制御部Sは、回生動作時のように下降動作の速度を指示速度で制御できない場合、下降用比例弁36を開弁することにより指示速度を充足させるための動作を行う。
フォーク16の積荷が軽い状態で下降動作が行われる場合は、フォーク16や積荷の重量のみによってはボトム室14b内の作動油が排出され難く、リフト用の操作レバー22の操作量に応じた指示速度で下降動作させるために必要な流量の作動油が油圧ポンプモータ30に流通し難い。このため、油圧ポンプモータ30を指令回転数で回転させて指示速度を充足させるためには、モータ31を力行動作させる必要がある。しかし、モータ31を力行動作させる場合は電力を消費することになるので、この実施形態の油圧制御装置ではトルク制限による制御を行うことで、消費電力を抑制させている。このようにトルク制限によってモータ31を制御した場合は、モータ31の回転数が抑えられることになるので、下降動作を指示速度で行わせるために必要な流量が不足することになるが、この不足分の流量を補うように流量制御弁35と下降用比例弁36が動作する。
【0054】
つまり、下降用比例弁36は、指令回転数と実回転数の回転数差に応じた開度で開かれる。そして、流量制御弁35は、下降用比例弁36の前後の圧力差に応じた開度で開く。これにより、リフトシリンダ14から排出される作動油は、油圧ポンプモータ30に流通する流量(図1に示す流量Q1)と、流量制御弁35及び下降用比例弁36を介して油タンク34(ドレイン側)に流通する流量(図1に示す流量Q2)と、に分配される。したがって、流量制御弁35と下降用比例弁36が作動油の流通路となる配管K2を開くことによって前述した不足分の流量が補われることにより、下降動作の指示速度が充足されることになる。このように本実施形態の油圧制御装置では、単独動作による下降動作時、回生動作を行うことができない条件下において、モータ31の制御、流量制御弁35及び下降用比例弁36の作用によって消費電力を抑制しつつ、下降動作の指示速度を充足させることが実現される。
【0055】
なお、制御部Sは、フォーク16の上昇動作、マスト13の前傾動作、マスト13の後傾動作、及びアタッチメントの動作を、それぞれ単独動作させる場合、以下の制御を行う。
【0056】
フォーク16を上昇動作させる場合、制御部Sは、リフト用の操作レバー22の操作量に応じた指示速度で上昇動作させるために必要な油圧ポンプモータ30の必要回転数と、上昇用比例弁37の弁開度を算出する。そして、制御部Sは、算出した必要回転数をモータ31の指令回転数としてモータ31の駆動を制御するとともに、上昇用比例弁37を算出した弁開度の第1位置37aで開く。これにより、油圧ポンプモータ30が油圧ポンプとして機能し、吐出口30bから吐出された作動油が上昇用比例弁37とチェック弁38を通じてリフトシリンダ14のボトム室14bに供給される。
【0057】
マスト13を前傾動作又は後傾動作させる場合、制御部Sは、ティルト用の操作レバー23の操作量に応じた指示速度で後傾動作又は前傾動作させるために必要な油圧ポンプモータ30の必要回転数と、ティルト用比例弁39の弁開度を算出する。そして、制御部Sは、算出した必要回転数をモータ31の指令回転数としてモータ31の駆動を制御するとともに、ティルト用比例弁39を算出した弁開度の第2位置39b又は第3位置39cで開く。また、制御部Sは、下降用切換弁32を第2位置32bとするとともに上昇用比例弁37を第2位置37bとする。
【0058】
これにより、油圧ポンプモータ30が油圧ポンプとして機能し、吐出口30bから吐出された作動油がチェック弁42及びティルト用比例弁39を通じて、前傾動作時にはボトム室19bに供給されるとともに、後傾動作時にはロッド室19rに供給される。一方、前傾動作時にはロッド室19rの作動油が排出されるとともに、後傾動作時にはボトム室19bの作動油が排出される。
【0059】
アタッチメントを動作させる場合、制御部Sは、アタッチメント用の操作レバー45の操作量に応じた指示速度で動作させるために必要な油圧ポンプモータ30の必要回転数と、アタッチメント用比例弁43の弁開度を算出する。そして、制御部Sは、算出した必要回転数をモータ31の指令回転数としてモータ31の駆動を制御するとともに、アタッチメント用比例弁43を算出した弁開度の第2位置39b又は第3位置39cで開く。また、制御部Sは、下降用切換弁32を第2位置32bとするとともに上昇用比例弁37を第2位置37bとし、さらにティルト用比例弁39を第1位置39aとする。
【0060】
これにより、油圧ポンプモータ30が油圧ポンプとして機能し、吐出口30bから吐出された作動油がチェック弁44及びアタッチメント用比例弁43を通じて、ボトム室25b又はロッド室25rに供給される。一方、ボトム室25bに作動油が供給される場合にはロッド室25rの作動油が排出されるとともに、ロッド室25rに作動油が供給される場合にはボトム室25bの作動油が排出される。
【0061】
したがって、本実施形態によれば、以下に示す効果を得ることができる。
(1)フォーク16の下降動作と他動作とが同時に行われる場合において、リフト用の必要回転数と他動作の必要回転数に差が生じ得るとき、流量制御弁35と下降用比例弁36によって回転数差に相当する流量分の作動油を配管K2(油タンク34)に流通させることができる。したがって、下降動作と他動作というように複数の動作対象を良好に動作させることができる。
【0062】
(2)フォーク16の下降動作と他動作とが同時に行われる場合、他動作の必要回転数のうち最大回転数を用いて回転数差を算出するので、複数の動作対象を良好に動作させることができる。
【0063】
(3)フォーク16の下降動作を単独で行う場合でも、下降動作の指示速度を充足させることができる。
(4)流出制御機構を、ON−OFF弁である下降用切換弁32で構成したことにより、下降用切換弁32に代えて電磁比例弁を設ける場合に比して作動油のリーク量を抑制することができる。そして、回生動作には、圧力損失を低減させ、高効率に回生動作を行わせることができる。
【0064】
(5)配管K2上に流量制御弁35と下降用比例弁36を配設し、流量制御弁35を圧力補償弁として機能させている。この構成により、配管K2を通じて油タンク34に流通する作動油の流量を流量制御弁35によって調整できる。つまり、回転数差に応じて下降用比例弁36の開度を決めるだけの構成の場合には、フォーク16の積荷が重いほど配管K2を通じてバイパスさせる流量が増えてしまい、同じ指示速度であっても荷重によって下降速度が変動してしまう。しかし、この実施形態では流量制御弁35を圧力補償弁としていることで、荷重による下降動作の速度の変動を小さく抑えることができる。したがって、フォークリフト11の操作性を安定化させることができる。
【0065】
なお、上記実施形態は以下のように変更してもよい。
○ フォーク16の下降動作又は上昇動作、マスト13の前傾動作又は後傾動作、アタッチメントの動作を指示する部材はレバー式に限らず、他の構造でも良い。例えば、ボタン式でも良い。
【0066】
図4のステップS42のトルク制限で設定する出力トルクの上限値を0Nm以上の値、例えば5Nmなどにしても良い。
○ 実施形態は、アタッチメントを装備せずに、フォーク16の動作とマスト13の動作を制御する油圧制御装置に具体化しても良い。
【0067】
○ 実施形態は、複数のアタッチメントを装備するフォークリフト11の油圧制御装置に具体化しても良い。
○ 油圧機構として、油圧パワーステアリング機構を備えたフォークリフト11の油圧制御装置に具体化しても良い。油圧パワーステアリング機構に必要な作動油の流量は操舵速度に応じて決まり、その必要な流量は一般的にフォーク16の下降動作に必要な作動油の流量に比して少ない。このため、下降動作と操舵動作を同時に行う場合には、消費電力が必要以上に大きくなったり、下降動作の速度が不足する可能性がある。このため、実施形態の油圧制御装置の構成や制御を採用することで、上記課題を解決することができる。
【0068】
○ 流量制御弁35と下降用比例弁36の配置を逆にしても良い。この配置の場合も、流量制御弁35は、下降用比例弁36の前後の圧力差に応じて開弁させる。この構成によれば、実施形態と同様の効果を得ることができる。
【0069】
図6は、図2に破線で囲んだ領域A1に対応する図である。図6に示すように、流出制御機構を、下降用切換弁32に代えて、ポペット弁46と電磁弁47とによって構成しても良い。電磁弁47は、ポペット弁46にパイロット圧を付与する。下降動作時には、ポペット弁46と電磁弁47が開弁するとともに、ポペット弁46の開度によって油圧ポンプモータ30へ流出する作動油の流量が制御される。このように構成しても、実施形態の下降用切換弁32と同様に、下降動作時には作動油の流出を許容し、フォーク16の停止時及び上昇動作時には作動油の流出を遮断することができる。また、油圧制御装置として、実施形態と同様の効果を得ることができる。
【0070】
図7は、図2に破線で囲んだ領域A1に対応する図である。図7に示すように、流出制御機構を、下降用切換弁32に代えて、ポペット弁46と電磁弁47とによって構成する。また、下降用比例弁36に代えて、パイロット圧を受けて動作するパイロット比例弁48を設ける。パイロット比例弁48は、電磁弁47と配管K1の間に接続した電磁比例弁49のパイロット圧を受けて開弁する。制御部Sは、回転数差に応じて電磁比例弁49の開度を制御し、この制御によってパイロット比例弁48の開度が制御される。また、電磁比例弁49とパイロット比例弁48の間の流路には、オリフィス50が接続されている。このように構成しても、実施形態の下降用切換弁32と同様に、下降動作時には作動油の流出を許容し、フォーク16の停止時及び上昇動作時には作動油の流出を遮断することができる。また、油圧制御装置として、実施形態と同様の効果を得ることができる。
【0071】
次に、上記実施形態及び別例から把握できる技術的思想を以下に追記する。
(イ)制御部は、下降動作が単独で行われる場合には電動機の出力トルクを制限する一方で、下降動作と他動作が同時に行われる場合には出力トルクを制限しない。
【符号の説明】
【0072】
11…フォークリフト、13…マスト、14…リフトシリンダ、16…フォーク、19…ティルトシリンダ、22…リフト用の操作レバー、23…ティルト用の操作レバー、30…油圧ポンプモータ、31…モータ、32…下降用切換弁、35…流量制御弁、36…下降用比例弁、S…制御部、K2…配管。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7